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誤解や偏見のない社会を共に
「依存症」を考える
依存症にまつわるニュースをよく目にする。有名人による巨額のギャンブルに驚かされるが、他にも薬物やアルコール、最近ではゲームや買い物、 SNS 、美容などへの「依存症」に苦しむ人がいる。
世界保健機関( WHO )が定める「国際疾病分類」の第 11 回改訂版( 2019 年)によると、依存症の正式名は「物質使用および嗜癖行動による障害」。長年、アルコール、薬物など「物質への依存」に限られてきたが、改訂版には「行為・過程への依存」が加えられ、ギャンブル、ゲームへの依存が、国際的なガイドライン(指針)に従って診断される病気となった。
筑波大学の原田隆之教授は、依存症について、「脳の機能障害に基づくコントロール障害」と定義する。つまり、脳の病気であり、「心がけや意志で対処できるほど、依存症は生やさしいものではない」「ある種の物質の摂取や行動の反復によって、脳の機能が変化してしまい、コントロールが利かなくなった状態」という(『あなたもきっと依存症』文春新書)。
依存するものは異なるが、共通するのは「体調を崩す」「嘘をついて家族との関係を悪化させる」「行動や浪費がエスカレートして手段を選ばなくなる」「社会生活を送れなくなる」などだ。
アルコール依存症者を抱える。ある家庭では、親が、「自分がいないとダメになる」考えて長年、この借金を肩代わりしており、「共依存」が第三者の関与を難しくしていた。〝だらしない〟〝育て方が悪い〟といった誤解や偏見は根強く、世間体から周囲に相談しにくいという側面もあろう。
依存症は 1 度の経験だけで陥る可能性があり、誰もがなりうる病である。ゲーム依存症では、急速に進む低年齢化も危惧されている。
陰で最も苦しむのは家族だが、治療への最大の協力者となるのも家族である。ただ、家族や周りの人が適切な対応や接し方を知らないと、状況をこじらせかねない。自助グループや家族会への参加、専門の相談・診療機関へ連絡することを勧めたい。家族への支援も重要だ。
依存症者や家族がちゅうちょせず支援を受けて回復するためには、周囲の人々の理解も欠かせない。病気で苦しむ人が、誤解や偏見で二重に苦しまないよう、一人一人が依存症を正しく認識していきたい。
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