2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
全2件 (2件中 1-2件目)
1

国自体が冷房の掛かったオーストリアから脱出したと言うのに、冷房を掛けて寝るイロニーが早速喉の辺りで冷笑している。9時にMaro夫人が車で迎えに来て下さると言っていらしたので、二人テラスで待っているのだが、1時間してもいらっしゃらない。朝食を私のホテルで取りなさい、残りの宿泊代の清算もその時にしましょう、航空チケットも持ってらっしゃいね、私がリコンファーム致しますから…と言う事だった。 電話を入れると矢張り忘れて居たらしい。彼女の車でホテルに着くと「朝食はもう済ませた?」と訊かれ、思わず空腹の私達は素直に驚いてしまった。そこで彼女は又思い出し、溜息を付いた。 「じゃぁ、清算は朝食の後にしましょう。」 うーん。これなら近くのスーパーで食材を買って朝食を取るんだったと悔やんだ程、そのホテルの朝食に落胆した。Fetaチーズはカサカサ、ドレッシング用のオイルは「オリーヴ油」と書いてあるが、無色で香りが無い。切って置かれている野菜もかなり鮮度を失っている。 Maro夫人は夜中の4時迄結婚式の後片付けをしていらしたのだそうだ。本当に辛そうで、私達もなるべく早くお暇したかった。清算を済まし、クレタ島の地図を頂いた後、原付を貸す人を知らないかと尋ねた。彼女の古くからの知人で、原付をホテル迄届けてくれる人が居ると言う。他のレンタと比べるのも面倒なのでそこに頼む事にした。 12ccのスクーターなら私の車の免許で借りられる。ホテル入り口で待っていると、ヘルメットも付けずにKawasakiのバイクに乗った中年の男性がじっとこちらを見て通り過ぎた。程無く戻って来て「やっぱり君達だった。」と青い瞳が笑った。Michalisと言う。 これからIerapetraに行くと言うと唸っている。そっちの方角は行かない方が良いんだけどな。これでも北風に薙ぎ倒されそうになったからなぁ…とマシンを叩く。二人も乗ってれば大丈夫ですよと酋長さんが請合う。 彼の店もIerapetraにあると言うので落ち合う事にした。キャッシュカードでお金も下ろさなければならない。酋長さんがぶつぶつ文句を言いながら運転している。「あーあ。免停にさへならなければ、こんなへんちょこりんなスクーターで苦労せずに済むのになぁ。ギアが無いし、足閉じてるからバランス取れないし…」 しかし、この不平が一気に止まった。 Fermaを過ぎて、Koutsounariに近付く辺りでいきなり北風がスクーターの小さい車輪をぐいぐい横押しして来たのだ。息も出来ない。顔は乱暴なマッサージを受けているかの様だ。二人、へんちょこりんスクーターにしがみ付く。 とんでもない。へんちょこりんどころか、あの突風に負けずに走り抜いてくれた。Ierapetraバス・ターミナルの2軒隣、Michalisがコーヒーを飲みながら待っていた。見るとたくさんのスクーターやバイクが並んでいる。125ccのスクーターは一日29ユーロ、3日間借りれば4日目はただ。彼はおまけして80ユーロしか受け取らなかった。 Ierapetraでは、土曜の午前に市場が出る。エスカルゴと言えば聞こえはいいが、要するに馬鹿でかいカタツムリが大きな籠の中で犇めき合っている。一粒が3cm程もある実を持つ葡萄、訊いても分からなかったのが悔しい野菜達。奥へ行くと日用雑貨、服、靴、織物…。買いたくても現金が無いのでATMをまず探さなければならないのだが、人に訊く度に違う方向を教えられる…。 何があってもとにかくこの陽気があるから構わない…と思った。海岸沿いプロムナードで腹ごなしをした後、Fermaの部屋に向かった。相変わらずの強風にいちいち怖がる私を酋長さんが嗜める。 クレタでの初海。 裏庭から白い階段を降りて行くと可愛い海岸が入り瀬に収まっている。人もまばら。久し振り、地平線!見たかったんだ…。 それにしても…水が綺麗!! 浅瀬に立って小魚が見える。 スペインでクラゲが大発生したと言うので心配していたのだが、海草でさへ見当たらない。砂浜に残されたゴミも皆無に等しく、ゴミ箱も定期的に回収されている様子。表の車道にはこの海岸への表示が無い。人家の裏庭に階段が隠されているのを知っているのは、ここに宿を取った観光客と地元の人だけだ。 岩に座って足を海に繋げた。 ウィーンに留学して間も無く、生き方根本を考えたくて南駅から9時間列車に乗って海に向かった事を思い出した。遠泳できる訳でもないのに、海が恋しい。砂浜だろうが、港だろうが、海が見えれば良い。見て、どうなる訳じゃない。見て、座っている自分がいる。 入り瀬で静かな代わり、大きい日陰が早く訪れる。 階段を水着のままで上がり、アパートメント入り口の簡易シャワーを浴びた。日中の気温で水が殆どお湯になっている。 夕暮れの中、東に向けてスクーターを走らせた。Michalisの話からKoutsounariが北風で有名なのだと思っていたら、東に向かっても風が強い。余り遠出をせずMakligialosのTavernaで夕食。松脂の香りのするRetsinaと言う白ワインの味に、少しずつ慣れて来た。
2006/08/31
コメント(0)

「ギリシャに行くのに今頃航空便探しているの?未だ宿も取ってないって?」と、19歳のピアノの生徒に呆れられたのは、真夏の様な陽の差す6月半ばの事だった。チャーター便なら何とかなるかも…と、世界中のアパートメントを集めたサイトと共に教えてくれた。慌てて探して見付けた便は真夜中の発着。まぁ、酋長さんが運転するのだから安心だけど…と括った鷹が逃げてしまった。ギリシャへ出発する1週間前、ワイン8分の1L分だけ多く飲み過ぎて4週間の免停を食らってしまったのだ。何とウィーン迄2時間半の道程を、私が運転しなければならない…。 酋長さんは梟、私は雲雀。夜担当の梟さんが、眠気と戦いながら運転する雲雀の横でハラハラしていて可哀想だった。無事に着いてカウンターの長い列に並んでやっと順番が来たと思ったら、違うカウンターに並んで居たと教えられて大慌て。一寸乱暴な離陸にも拘らず、あっと言う間に眠りに着いた。 たった2時間でクレタ島。時計を1時間進めると、一寸だけ日本に近付いた気がする。へラクリオン空港から長距離バスの出る市内迄バスに乗らなくてはならないのに、旅行会社の団体用バスばかりでなかなか見つからない。やっと市内のバス乗り場に着くと、Ierapetra行きのバスは出たばかり。スクーターが車を縫う様にして走り回り、車が警笛を鳴らし、人は怒鳴る様に大声で話し、又ある人は時間が止まったかの如く熱気の中に立っている。 クーラーの効いた長距離バスは、郵送にも使われているらしい。バスターミナルから小包が大量に運び入れられる。IraklionからIerapetra迄片道約8ユーロ。東の海岸沿いの旅行客を乗降させながら走るので、非常に時間が掛かる。Agios Nikolaosから南へ下るIerapetra迄の道は結構早かった。そこから更に乗り換えてAgia Fotiaへ。私達の借りている部屋の持ち主の経営するホテルがある。 海岸は切り立つ崖の上からは見えないが真っ青な海は見える。ホテルの敷地内に大きなプールがあり、そこに結構たくさんの人がいるのに驚いた。海は直ぐそこなのに…? 以前ドイツに留学していたと言うMaro夫人。「貴方達もう来ないのかと思ったわ!」と半ば叱られてしまった。彼女の車で貸し部屋のあるFermaへ向かう。閑散としている割りにはスーパーマーケットが2,3ある小さな町。農家の隣のオリーブ畑のど真ん中に車が乗り入れ、酋長さんと顔を見合わせているといきなり海が見える崖っぷちに止まった。アパートメントの裏庭なのだ。2階建て8部屋、白地に青の扉。若い母猫がか細い二匹の子猫を突付いて道を空ける。又、煩くなるとでも言いたそうだ。 Maro夫人、この夜ホテルで結婚式があり、350人の世話をしなければならないと言う。それなのに、この貸し部屋の掃除や面倒も見なければならないのだから大変だ。部屋内部はあちこちにガタが来ているのが一寸目にも分かったが黙って見送った。 クーラー付で一晩42ユーロ。肝心のシャワーは水しか出ないし、洗面台は傾いていて物がろくに置けない。寝室の扉を一度閉めようとして取っ手が抜け、入り口のドアの鍵が掛からない。お湯の出ないシャワー以外は全て、マルクスと私とで何とか直した。 部屋の入り口前に小さなスペースがある。そこから海と空が寄り添っているのが見える。海の漣を聞いたのは、もう何年振りだろう?母子家庭の猫は皆、非常に静かで、時折子猫のシャックリが可愛く聞こえて来る。誰が餌を上げているのか…。流石に疲れが襲って来た。 酋長さんと二人、雲一つ無い夕空と心地良い熱気の中散歩に出た。見付けたTaverna(レストラン)は人気が無かったが、不味いかも知れないと疑う気力も無い。おじちゃんもおばちゃんも愛想が良いのか悪いのか分からない。するだけの事はして、後は放ったらかし。メニューを見ると、ギリシャ語、英語、ドイツ語で書かれている。食材が冷凍物の場合には★印が付いている。サラダを頼むとトマトときゅうりの大きな角切りにFetaと言う羊のチーズが中央に鎮座し、オレガノがどっさり掛かっている。ワインビネガーとオリーブオイルをたっぷり掛けただけなのに、かなり美味しかった。スヴラキ(肉の串焼き)は、きちんと炭焼きされている。Ouzo(ウゾ:アニスの蒸留酒)で締め、部屋に帰って床に就いた。 思えば、昨日は荷造りの緊張で朝の6時には起きていた。機内の仮眠を除けば40時間も寝ていない。新しい床では寝付けない筈の私も、この日は流石にがくんと眠りに落ちた。
2006/08/30
コメント(0)
全2件 (2件中 1-2件目)
1

![]()
