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IFJTにてR.先生の講義。第8回。 この日は第2部の6の最後あたり(Pocket版でp.349~351)と第3部の1の最初あたり(Pocket版でp.355~370)を中心に解説が進んだ。 優柔不断な性格のフレデリックも、やるときはやる。 アルヌー夫人への恋慕が消えるとすぐに、金持ちの公爵と暮らす女・ロザネットを訪ねていく。 「まあ、うれしい!あたしを助けにきてくださった のね。これで二度目だわ。それに、あなたは恩にきせ てお礼を……なんていわない人だし」 「失礼だが」そういって、フレデリックは女のから だを両手でかかえた。 「あら、どうなさるの?」ロザネットは彼の仕方に 驚きつつ、少し、はしゃいでいった。 彼はこたえた。 「ぼくもはやりにしたがいますよ。改革だ。」 彼女はされるがままに長椅子にあおむきにねて、彼 の接吻をうけながら笑いつづけていた。 (生島訳『感情教育 下』p.73) ―《 Ah ! merci ! tu viens me sauver ! c'est la seconde fois ! tu n'en demandes jamais le prix, toi ! 》 ―《 Mille pardons ! 》dit Frederic, en lui sai- sissant la taille dans les deux mains. ―《 Comment ? que fais-tu ? 》balbutia la Mare- chale, a la fois surprise et egayee par ces manieres. Il repondit : ―《 Je suis la mode. je me reforme. 》 Elle se laissa renverser sur divan, et continuait a rire sous ses baisers. (『L'Education sentimentale』Pocket p.350 ) この後フレデリックは、アルヌー夫人と過ごすために用意していた部屋へロザネットを連れ込んで、一夜をともにする。 R.先生はこの流れを「タテ vertical」が「ヨコ horizontal」になる…と解説していたが、見事な喩えだと思った。 第3部に入ると、1848年の2月革命の様子が出てくる。細かい描写が連なる印象である。 R.先生の解説で「内面への集中 focalisation interne、潜り immersion」という言葉が出てきた。文章上は歴史的な事項が多数見えてはいるが、フローベールが描こうとしているのは、あくまでもその中にいる個人である…という解釈のようだ。 次の第9回・12月5日(土)の講義は、第3部の1の一部、第3部の3の一部、第3部の4の一部(Pocket版でp.374~383、p.433~440、p.455~469)を扱う予定とのこと。
2009.11.28
過日、職場近くの文房具店「オフィス・デイズ」で、思い切って万年筆を買った。LAMYというドイツのメーカーの製品だ。自分用に買ったのは、これが初めてだと思う。 今まで、いわゆる“つけペン”を使っていた。ペン軸・ペン先とインク瓶のセットならば、万年筆一本よりも値段が安いからだった。洒落っ気も少なからず、あったかもしれない。 昨日、新しい万年筆にインクを充填した。今まで使っていたインク瓶から、吸い上げた。 紙に直線や曲線を書いてみると、滑らかな感触が指先に伝わってきた。とても心地良かった。 次に、何か意味のある文字列を書いてみたくなった。 手づるとは不思議な縁し烏瓜 私が好きな、祖母の句。 手もとに祖母が遺した俳句ノートがある。万年筆の文字が詰まっている。 上掲の句が、そのノートの中に見当たらない。どこかで私はメモしてきたのだろうが、それがどこだったのか、もう覚えていない。
2009.11.27
ここ1週間ほど、職場のPCがwebに接続していない。プロバイダの乗り換えをしようとして、申し込みや手続きに手間取ったために、ブランクができているのだ。あと2週間程度は、このままの状態が続きそうだ。 不便になっても仕方ない、とは思っていた。しかし、予想以上にストレスを感じないので、自分でも少々驚いている。携帯電話があれば、ほとんどの情報にアクセスできる。それに、自宅のPCはwebに接続している。帰宅後か出勤前にブログなどを更新すれば、それで事がほぼ全部済んでしまうのである。 職場では、物事が順調に進む。 曇ったガラス戸を、綺麗に磨き上げた。滞りがちだった売上や原価の集計を、一気に片付けた。いつか整理すれば、と乱雑にファイルに押し込んだままだった人様の名刺を、業種や地域などで分類して随分とスッキリさせた。伸び悩みが予想される来年の1~2月の対策を、思案してみる。販売用の新しい手作りドリンクや料理も、考えようという気にさえなる。そこで、今までいったいどれだけの時間を、ネットサーフィンにボンヤリと費やしていたのだろうか?と反省の気持ちも出てくる。 webに接続したPCがすぐそこにあれば、業務に役立つことも、もちろん多い。 YouTubeなどは、ジュークボックスに等しい。よほど特殊な音楽でなければ、大抵のものは探し出せる。未知のカクテルのレシピも、すぐに見付け出せる。話題に詰まった時には、ポータルサイトのニュース欄を見れば、何かしら捻り出せたりもする。やはり、大変便利な機械である。 使い過ぎない程度に使う。それが機械というものだ。と、当たり前な結論を一人つぶやいてから、大事なことに気付いた。 職場の名前は「コネクシオン」である。接続していないのは、ちょっと、マズいかもしれない。
2009.11.25
IFJTにてR.先生の講義。第7回。 この日は第2部の5、6の一部(Pocket版でp.305~310とp.332~340)を中心に解説が進んだ。 デローリエがアルヌー夫人を誘惑しようとする。 お坊ちゃまタイプで優柔不断なフレデリックとは対照的に、デローリエは強かなタイプでヤル気満々だ。 しかし、何を企てるにしても、もっともかんじんなものは 意志ではないか。意志さえあれば、どんなことでもなしとげ られるのだから… (生島訳『感情教育 下』p.8) Cependant, est-ce que la volonte n'etait pas l'element capital des entreprises ? et, puisque avec elle on triom- phe de tout... (『L'Education sentimentale』Pocket p.306 ) ただ残念なことに、デローリエの頑張りは見事に空回りする。 彼は夫人の手にむさぼるように接吻した。 「何をなさるんです?」 夫人は壁を背に立ち上がって、いら立った大きな黒い眼で、 相手を射すくめてしまった。 「聴いてください。私はあなたが好きなんです!」 夫人は、声を立てて、笑った。辛辣な、とりつくしまもな い、苛酷な笑いだった。 (生島訳『感情教育 下』p.12~13) il lui baisa la main voracement. ―《 Que faites-vous, monsieur ? 》 Et, debout contre la muraille, elle le maintenait immoble, sous ses grands yeux noirs irrites. ―《 Ecoutez-moi ! je vous aime ! 》 Elle partit d'un eclat de rire, un rire aigu, dese- sperant, atroce. (『L'Education sentimentale』Pocket p.308 ) Mon pauvre ! スマートさに欠けるデローリエ君、個人的には応援したくなるのだが。 さて、上記場面での会話について、R.先生が興味深い解説をしていた。 ・discours direct 直接話法 ・sous-conversation 会話未満(会話中の登場人物の思いなど) ・sur-conversation 会話超過(会話中の登場人物の表情・態度など) ・sous-entendu 言外の意味(会話の中でも話されないこと) これらの要素をうまく組み合わせているのがフローベールの特長、とのことであった。 日頃の生活で人と会話しているとき、交わしているのは、確かに言葉だけではない。言葉にはなっていないニュアンス、あるいは表情も、重要な情報として飛び交う。また、臨んでいる者の気持ちも、場の空気感となって会話の要素に入り込んで来るものだ。 私は会社員の頃に営業職で、人との会話を文字に残さねばならない機会が、しばしばあった。これが本当に骨が折れた。会社で上司へ報告を上げるのに、直接話法は使えなかった…。相手の表情やニュアンス、その場の空気感も、「先方担当者の反応は良好」「当社に対する認識は薄い模様」程度にしか書けなかった…。 フローベールが営業マンだったら、どんな報告書を作ったのだろうか。 次回11月28日(土)の講義は、第2部の6の一部~第3部の1の一部(Pocket版でp.349~372)を扱う予定とのこと。
2009.11.21
IFJTにてR.先生の講義。第6回。 前週・7日(土)の第5回を休んでいるうちに大きく飛んでおり、この日は第2部の4の一部(Pocket版でp.273~p.288)を中心に解説が進んだ。 邦訳さえ全く読まずに出席していた。フレデリックがシジーと揉め事を起こし決闘することになった、しかしギリギリのところでアルヌーが介入して和解、という流れ程度だけ理解できた。 前日の勤務が早朝近くまで続いたこともあり、眠気も強く集中力も散漫であった… 次回11月21日(土)の講義は、第2部の5、6(Pocket版でp.305~310とp.332~349)を扱う予定とのこと。
2009.11.14
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