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2012.02.06
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カテゴリ: 小説
11 犬死せしもの

 野良犬、野犬捕獲隊は犬笛を吹きながら、ゆっくりと、包囲網を狭めて来ていた。自由の犬軍団にも緊迫感が漲った。
 すでに、ハスキーのロンが応援隊の連絡にボスである、襤褸のもとへ、走っている。小型犬たちは、必死になって落とし穴を掘っている。挟み撃ち作戦の後方隊長は虎鉄、正面の隊長はリーダーの武蔵である、精悍な貌、引き締まった筋肉がぶるるんと震え、緊張が高まってきている。人間の臭気が近づいてきた、ざわめきも聞こえる。

 「うおおおおお!」と、武蔵の咆哮、戦闘開始の合図である。捕獲隊は狼のような咆哮に恐怖が走り、手足が震える。咆哮が聞こえた山の上を目指して、「あそこだ!行くぞ!」と、団長が声を出したその時、後方から、虎鉄率いる8匹の犬が奇襲戦法、猛烈な勢いで襲いかかる。捕獲隊、「うわああ」慌てて、走り出した、三人が落とし穴にはまる。パニックに陥る捕獲隊 猛然と挑む虎鉄軍団、捕獲網や捕獲棒で応戦する人間。捕獲棒がコリーの脳天を叩き割る血が、脳味噌が飛び散る。怒り狂った虎鉄はその人間目がけて、凄まじい跳躍、首筋に牙を喰いこませる。
 「ぎゃあああ、」悲鳴が飛ぶ、
 「撃て、撃て、撃ち殺せ」団長の命が下る。
 パン、パン、パン、銃声が山間に木魂する。消炎の臭いが犬たちを狂気に走らせる。武蔵の軍団も怒涛の勢いで戦いの輪の中に加わる。だが、所詮は銃と牙の武器の差、犬と人間の壮絶な乱戦の戦いは、あっけなく人間の勝利に終わった。

 死亡犬 15匹(銃殺11匹、撲殺4匹)

 死亡人  1人(首筋損傷 大量出血)
 怪我人  8人(咬みつき4名、転倒2名、落とし穴2名)
 逃亡犬が何匹いたのかは不明、捕えられた犬たちも黙秘権を行使して、口を割らない。死亡犬の中に、リーダーの武蔵、虎鉄も含まれていた。虎鉄の遺体を悲しそうにじいっと眺めていたプードルがいたが逃走した。

 犬の自由な天国はこうして消滅してしまった。所詮、人間にとって、自由に暮らす犬などは許されないのだ、自分たちの枠のなかで、自分たちを喜ばせる犬でなければ、生かしておいてはくれないのだ。
 散り散りになった、仲間はどうしているのか、犬の革命はいつかくるのか、苦しい暗い戦いは続くのか、もう、奴隷以下の生活に戻るしかないのか。人間の傲慢な誤解の下で、犬の悲しい宿命は永遠に続きそうだ、人間たちの勝利の雄叫びが山に木魂していた。
 「これで、安心して暮らせる、これからも犬たちを自由にしてはいけない。躾を厳しくし、逆らう犬は早めに処分、それが、我々の幸福を守ることだ」

つづく

作:朽木一空

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最終更新日  2012.02.06 11:01:36
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