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作家、小川糸の本と思い、手に取った。読んでみた。目の見えない少女の話。目の見えない人の話をこれまで読んだ記憶がない。耳の聞こえない人の話は読んだことがある。(「デフ・ヴォイス:法廷の手話通訳士」)目の見えない人の物語が読めるなんて、驚き。目の見えない人がこの物語のように光を感じ、音を感じ、匂いを感じているのかわからない。それは、この主人公独特のものなのかもしれないから。目の見えない人が本を読むのも、驚きであった。今日が何日なのか、何年なのか。母との暮らしが懐かしく、突然、ひとりぼっちなってしまった、とわ。ひとりになってしまった、とわ。私は、本を読むのをやめようかな、と考えた。しかし、読みやすく、つい読んでしまう文体に、読み続けた。主人公とわ(永遠)は成長していく。その後の展開は、読んでみて、発見してください…。とても、素敵だとか、すごいとか言えない、もっとちがう意味の作品だと思える。淡々と朝も昼も夜もわからない暮らし。この本を読んで感動するとは思わなかった。後半の後半を読んで、感動した。なぜだか、感動した。他の人も感動するとは思えないけれど、感動した自分に驚いた。「とわの庭」は書き下ろし、だそうです。とわの庭 [ 小川 糸 ]
2022.05.29
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感動で次々と読み進めたいと思った名著「百貨の魔法」。その前段にあたる「百貨の魔法」の星野百貨店の中にある書店・銀河堂書店の文庫本担当・月原一整を主人公に描く書店員の物語。万引き事件をきっかけに月原一整は銀河堂書店からいなくなるのだけれど、その不条理な出来事は銀河堂書店員のみならず、月原一整に関心を持つ者の心を痛めます。生きる希望も気力もなくなった月原一整が再生する後半。彼だけでなく彼を見守る人々の視線からも物語は描かれます。この本から読み始めたかったのに、勘違いして「桜風堂夢ものがたり」を先に読んでしまい、ファンタジーホラーに面食らい、ついていけなかったけれど、この「桜風堂ものがたり」を読んで、また気持ちを寄せることが出来ました。あとがきを読むとこの「桜風堂ものがたり」の完成までに多くの書店員さんたちの助言、フォローがあり、Twitterで回答や指摘をいただき、実地調査(?)で書店の裏側を見たりと物語の書店や書店員たちを現実に即したものにしていったことが知らされます。作家・村山早紀さんと彼女のフォロワーで作り上げた作品なのだとわかりました。そのことも嬉しい報告として読みました。素敵な本、素晴らしい本、多くの皆さんに読んでほしい本を知らせるために書店員のかたたちが奮闘していること。そのことをこの本を読んで知り、その心意気、行動に感動し、ネットでの購入でなく、書店に足を運ぼうかなとも思いました。恵まれない環境にいながらも本をよすがに生きる。主人公・月原一整の生き方、生活にエールを送りたい。素敵な本をありがとう。桜風堂ものがたり [ 村山早紀 ]
2022.05.25
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この表紙、読みたいなと思えるほどのものとは思えない。おもちゃ箱をひっくり返したようにいろいろなものが散らばった絵。しかし、本と花(植物)に彩られた世界がダイアナが暮らす世界だったのかもしれない。小学生なのに金髪。シングルマザーは歌舞伎町でクラブの雇われママをしている金髪のティアラ。思ったことをズケズケという、べらんめえ口調のティアラは16歳で娘ダイアナを出産した、まだ20代の人気ホステスだ。本の虫、本が友達というダイアナが唯一の友とできたのは編集者の父と家庭的な母の間に遅く生まれた彩子。すくすくと育った聡明で美くしい彩子は小っちゃくてガリガリのダイアナとは対照的だった。ダイアナも美しかったけれど染められた金髪はまわりに人を寄せ付けなかった。そんなダイアナと彩子の小・中・高校、そして大人への成長物語。「赤毛のアン」をはじめ本の数々のエピソードが散りばめられ、森鴎外の文豪の話なども出てくる、小説読書家には垂涎の内容だ。ワクワクよりもドキドキする展開にハラハラしながらも没入してしまうかもしれない。私は電車で読んでいて没入してしまい降車駅を乗り過ごした。とても素敵な作品だけれど、成長にともない、読み応えのある感動すべきシーンがいくつも登場するけれど、クライマックスは大人にならんとするときだろうか。ただ、落胆するほどになんともない終盤はこの作品の評価を押し上げることはなかったように思う。とはいえ劇的なものが劇的でなかったとしてもそれこそが人生、だから人生とも思えた。素晴らしい作品に出会えたことに感謝。本屋さんのダイアナ (新潮文庫) [ 柚木 麻子 ]
2022.05.21
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なんてこった。読む本を間違えた。「百貨の魔法」を読んで感激し、その元となった「桜風堂ものがたり」を読もうとして、シリーズ最新刊の三作目を手に取ってしまった。しかも、そのことに気づかず、ホラーのような、ファンタジーのような現実離れした作品を読み、その内容に入り込めずに8割ほど読んだときに気づいた。この本が「桜風堂ものがたり」でないことに。ショックのあまり言葉に出来ず、それでもほとんど読んでいたので最後まで読むことにした。そして、読了。スタンド・バイ・ミーのような子供の冒険譚から始まる物語に不思議なまま心に染みわたることなく読み終えた。痛恨の極み。この本の良さはこの本だけで理解できる人もいるかもしれないけれど、やはり元ネタ「桜風堂ものがたり」を読んでから出ないとその世界に入っていけないような気がする。そして今、「桜風堂ものがたり」を読み始めた。読み始めて、ようやくこの読書レビューを書ける気持ちになった。この作品を正当に評価できない自分に残念な気持ちである。桜風堂夢ものがたり [ 村山 早紀 ]
2022.05.21
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読んでみたら面白い。金の亡者である弁護士・剣持麗子。名は体を表すといえる容姿端麗・頭脳明晰な女性なのだろう。ただ価値観が金銭絶対主義すぎてまわりとは調和しないのかも。その彼女の登場の颯爽さ、ゴージャスさ、スタイリッシュさが小気味いい。菜々緒をイメージしたが、竹内結子や石原さとみでもいいかもしれない。恋人のプロポーズにケチをつけ、ボーナス倍増の弁護士事務所にてボーナス減額の憂き目にあい、とっとと退職する勇ましさ。秀麗である。元彼・森川栄治は大手製薬会社の御曹司。長身の美男子でモテまくり。だから、向井理や速水もこみちを想像した。億を越える資産を自分を殺害した犯人に譲るという、ありえない遺言状から始まった犯人探しに元カノで弁護士としてのっぴきならない状況に追い込まれ、関わらざるを得なくなった主人公・剣持麗子。元カレがとんでもない金持ちの御曹司であったことも知らなかったということで面白みが湧く。人間関係の複雑なつながりもわかりやすく、遺産の行方も理解しやすかった。神出鬼没な剣持麗子の八面六臂の行動は読んでいて楽しかった。奇想天外、予測不能な交錯模様も面白く、撮り溜めていた月9ドラマをどのように表現してくれるかと見始めたら…キャストはイメージにそぐわず(これはしかたないにしても)、ストーリーの骨組みをかえてしまって(犯人選考会の選考委員が3人から2人)興味を無くし、ビデオを消した。ああ、残念なドラマ。本はとても面白かったです。続編も読もうかな。元彼の遺言状 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) [ 新川 帆立 ]
2022.05.15
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オーストラリア、期間限定の恋から始まる物語。エスキースとは下絵のことで、エスキースを描いた後に画家は本作品を描くらしい。「赤と青とエスキース」はエスキースでありながら、完成品としていろいろな場所と時を経る。プロローグ、一章、二章、三章、四章、エピローグからなる。長さはまちまち。登場人物もまちまち。エピローグに来た時に、この物語の連綿さを感じる。書店店頭で「木曜日にはココアを」を手に取ってから、青山美智子さんの物語に惹かれ、早く次の作品が出ないかと心待ちにしてネットをチェックしていたけれど、次作はなかなか出ず、そのうち本から遠ざかっていたので本屋大賞をにぎわす作家になっていたとは知らなかった。そして、新宿に出た際に紀伊國屋書店で買ったのが「青と赤とエスキース」。あいだの5作品をとばしているせいか、ずいぶんと作家としての技量をあげた気がした。読み終えた後に、そうなのか!そうなの?と思えたので、読み返したいと思った。とても素敵な作品です。いま、このブログを書くまで「赤と青のエスキース」とばかり思っていた。ほんとうは「赤と青とエスキース」だった。それを知ったとき、ぶわゎ~んと振動を感じた。赤と、青と、エスキース、かぁ。赤と青とエスキース [ 青山 美智子 ]彼女の小説の紹介ブログがあったので…[2022年版]青山美智子の小説 全作品紹介 おすすめ
2022.05.14
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文庫本の表紙が写っているけれど、読んだのは単行本。作家・木皿泉という名からして女性だと思って読み始めた。楚々とした印象の文体はさすがに女性だと思われ、最近、女流作家の本を読むことが多いので、さもありなん、と考えた。一章、二章と読み進み、三章を読み進めると、それまではたおやかな文だった作品が男の匂いをぷんぷんと放つ力強いものに感じられた。これは、女性と見せかけて男性が書いた本だったのか、あるいはジェンダーで中性か男性女性か女性男性が書いたものなのかといぶかしんだ。そこで思わず奥付を見た。…!なんとドラマ「すいか」で向田邦子賞を受賞した夫婦脚本家。とあった。文体が女にも男にも感じられたことに納得し、しっかりとした文体にも納得がいった。物語は、一人息子の一樹が亡くなって7年。その嫁、テツコとその父のふたり暮らしの日々。二人に、一樹を含めると、この家族三人にまつわる人々の話を綴った小話の連作。淡々と生活をしているテツコとギフ(義父)の暮らしのつましさ。連綿と続く揺るぎない生活のようでいて、たゆとう暮らしが読んでいて心に染み入る感じがする。昨夜のカレー、明日のパン [ 木皿 泉 ]
2022.05.12
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「推し、燃ゆ」芥川賞だったんだ。読んだ。これ、独白。ブログ。独り言。僕にも推しがいた。日本一有名でメンバー数の多いグループ。推しがそのグループを卒業したあと次の推しを探してみたけれど、推したりもしたけれど、推しほど推せなくて新たな推しを探すことをやめた。アイドルのファンだったことは昔からある。ただ推しとしては推しが初めてであり、その後に推しはいない。推しを推してブログを書く。それがこの主人公である。作家・宇佐美りんも推したことがあるのだろう。取材してかけるネタではないし、想いである。推しを推した高校生の話。感傷的ではなく感情的でもなく本能的に推した。推した、推した、推した…。推しを推した、そのモノローグ。この本には感性しか感じなかったなぁ…。推し、燃ゆ [ 宇佐見 りん ]
2022.05.07
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しみじみと感動。小川糸の小説の語り口は女性である。朴訥に紡ぐように話す、そんな感じで読書した。「ライオンのおやつ」のライオンには意味があった。おやつは文字通りおやつだったけれど。不治の病にかかった一人暮らし33歳の女性が育ての親に最後の別れも告げず瀬戸内の島、ホスピスにやってきた。その終末期の暮らしを主人公しーちゃんの言葉で紡いでいる。ビンビンというほどではないので、ヒンヒンくらいかもしれないけれど、読むとヒンヒン感動しながら、先を先を、しーちゃんを死に急がせるわけではないけれど、読み進まずにはいられなかった。どんどん、どんどん読み続けたい本。それが、小川糸の本である。”生きることは、誰かの光になること。”人は何ゆえに生きるのか。という命題を頭の隅に抱えていた私に、この言葉はある種の答えであった。”誰かの光になること”、そう思って彼女は書いているのかもしれない。ライオンのおやつ (一般書 212) [ 小川 糸 ]
2022.05.05
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2人の母親と3人の父親を持つ森宮優子が主人公。変遷を経て、風変わりで血のつながりのない父親、森宮さんとの二人暮らし。風変わりな小説である。意地の悪い人が少々登場すること以外はいい人、優子のことを一番に考えてくれる人たちしか登場しない善良な作品。苗字が替わることで苦労することがあるのかないのか。親は選べないはずなのに、親を選べるのか。高校生活の息苦しさも友達とのいざこざも気を使いすぎるからなのか、気にしないせいなのか。家族がかわる大事なことを何度も経験しているわりに、感情的にはならず、物語も大きな感動をさせようと意気込んでいるところもない。淡々とした感じとは違うけれど、ある意味時が解決してくれると無作為を決め込むところが非情であり達観しているように思える。映画化されている作品である。私がイメージした登場人物とはまったく違うキャスティングである。私が思うキャスティングであれば、どのようになったであろうか。興味を持って読了。そして、バトンは渡された [ 瀬尾 まいこ ]そして、バトンは渡された (文春文庫) [ 瀬尾 まいこ ]
2022.04.29
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原田マハの「本日は、お日柄もよく」の文庫本を読んだ。僕が号泣にむせび泣いた「キネマの神様」のあとに書かれたものであるが、彼女の名を一躍有名にした「楽園のカンヴァス」より前の作品である。。スピーチ・ライターが主役となる作品である。それなのに、結婚式の祝辞では使ってはいけないとされる「最後になりますが・・・」という言葉を使用しており、とてもひっかかった。言葉に関して重々注意を払わなければいけないスピーチライターでありながら、この初歩的ミスをおかすとは、この時点で原田マハは未熟だったのか?なんてことも思った。とはいえ、読者の心にぐいぐいと入り込み、その心を鷲掴みにする文章に魅入られてしまったのだから、彼女の文章力はただ物ではない。この物語をよんで、選挙、政治になみなみならぬ興味を持っていたことがうかがい知れ、のちに「総理の夫」という映画化までされた作品を生み出したこと、納得した次第である。キー・ワードとして“まっすぐに“という言葉が用いられるが、原田マハはまっすぐな性分なのだろう。猪突猛進、思い込んだらまっすぐに突き進む。なんて、彼女のプロフィールを見ても、そう思える。精力的に執筆をし、作品を上梓しつづけてきた腕力(?)は凄まじい。物語の展開に主人公のこと葉同様振り回されながら、時折、涙ぐみながら楽しく読んだ。本日は、お日柄もよく (徳間文庫) [ 原田マハ ]
2022.04.26
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「キラキラ共和国」は「ツバキ文具店」の続編だ。鎌倉の山側で暮らす文具店の店主・ポッポちゃんこと鳩子さん。別居結婚からいよいよ同居となり、日々暮らす中で代書を請け負い、四季を感じながら生活する物語。とうとつとした語り口のような文であるが、前のめりに先へ先へと読みたくなる情緒あふれた作品。家族の愛おしさ、愛する人の愛情の深さ、そのようなものを感じながら、今回も幾度となく涙がにじみ、時として涙した。『キラキラ共和国』のキラキラの意味が分かったとき、とてもとても嬉しく感動した。とても素敵な日々物語。この4月から神奈川新聞でポッポちゃんシリーズ第3弾となる『椿ノ恋文』が連載とのこと。早く本になって読んでみたい…。キラキラ共和国 [ 小川糸 ]キラキラ共和国 (幻冬舎文庫) [ 小川糸 ]
2022.04.24
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コム・デ・ギャルソン、Pコート、エリック・サティ、浜田省吾…そんな時代だった。若かりし青春の思い出。19歳女子大生のつぼみの思い、思い出を画とともに一冊の本にした。なぜか、わかる気がした…。楽天ブックス: おいしい水 - 原田 マハ - 9784000281720 : 本 (rakuten.co.jp)
2022.04.16
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オードリー・タンさんに注目して、この本を読もうと図書館に予約してかれこれ半年?予約順番1になってからも一カ月ほど待った気がする。ついに手にして読んだ、読んだ、読んだ。読む手が止まらない、前のめりに読んでしまうことを抑えつつ、読み終えた。目からうろこ、というより知らないことが多かった。台湾で戒厳令が布かれていたとは知らなかった。台湾は親日だと思っていたけれど、そうでない人々もいるということを知った。台湾には原住民がいて、言語は数種類あると知った。台湾の大きさが日本の九州ほどということを知った。オードリー・タンは台湾の教育改革をしたかったことを知った。台湾の政治はオープンですべての会議などでの発言は誰がどんなことをいったかをネットで見られる。またリンクがあり関連性のある発言はたどっていける。オードリー・タンは8時間眠る。オードリー・タンは誰とでも会う。オードリー・タンはリーダーでなく助言者。この本を読んで、泣くとは思わなかった。何が私の琴線に触れたのだあろうか。この本の副題「IQよりも大切なこと」はEQである。日本も密室で物事を決めるのではなくてオープンにして政治を進めてほしい。とてもとても感動し、とてもとても感化され、次なるオードリー・タン書籍も読みたいと思った。作者:近藤弥生子さんのことも興味深くて、彼女の著書も読んでいきたい。心跳台湾・台湾在住ライター・近藤弥生子素晴らしくて素敵な本。オードリー・タンの思考 [ 近藤 弥生子 ]
2022.04.16
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ツバキ文具店を読んだ。訥々と語るような文章。激情に走ることもなく、代書業という今ではなくなってしまったであろう生業を先代である祖母の後を継ぎ(正確には祖母、そして、おばのあと)文具もしている。鎌倉の山側に位置し、鎌倉の生活を淡々としているような。これまでの人生の紆余曲折、葛藤、積年の祖母への思い。いろいろなものを抱え込み、他人とのかかわりもほぼない中、鎌倉の暮らしで出会っていく地元民。鎌倉の暮らし。ポッポちゃんには、鎌倉の暮らし、がいいのだろう。温かさに包まれ、じわっと感じる。そんな物語でした。ツバキ文具店 (幻冬舎文庫) [ 小川糸 ]ツバキ文具店 [ 小川糸 ]
2022.04.14
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なぜこの本を読んでみようと思ったのか、いまはもう思い出せない。分厚く読み応えある内容に感心しながら読んだ。主人公が裁判官→元裁判官であるのか、その息子の嫁なのか、視点がかわるのでわからないけれど、とはいえこの(元)裁判官の心のゆれ、裁判官というよりは人間の矜持としての行動は納得できるものがある。しかし、結末は納得しがたい。これ以外の結末があるように思えるが、これ以外の結末があったとしも読者はもとよりこの(元)裁判官は納得がいかないのではないだろうか。結末の是非は難しい。犯人の心情が今一つわからないというか、とらえどころがない。人恋しいのか、何なのか。読み応えのある小説であることは間違いない。火の粉 (幻冬舎文庫) [ 雫井脩介 ]
2022.04.09
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泣いた。涙した。温かい小説。とあるまち、風早の百貨店。星野百貨店。そこには出会えば願いを一つ叶えてくれる白い猫がいるんだと。おとぎ話。おとぎ話であるが、サンタクロースのように、その存在を信じたい。出会いたいと思える猫。百貨店を愛してやまない人たちが、百貨店に携わる人たちが、入れ替わり立ち代わり、素敵なお話、ドラマを届けてくれる。テディベア、腕時計、バラの花束、などなど、品物を介して人と人との交流。温かみのある、ちょっとハレの日を感じさせる百貨店。コンシェルジュ芹沢結子の行く末は描かれていないけれど、みなまで言うなというか、読者が願う彼女の将来を思い描けばいいのかなと解釈した。とてもとても素敵な本でした。とてもとても心温まりました。とてもとても感動しました。終章では泣いてしまう予感がしたけれど、予感以上にというか予想以上に泣いてしまいました。鼻水も出るくらい泣いて、つけているマスクが濡れてしまったくらい。この「百貨の魔法」が2018年本屋大賞9位ですか。唯一読んでいる原田マハさんの「たゆたえども沈まず」より相当感動したんだけど。本屋大賞は書店員さんがノミネート作品すべてを読んでから選ぶ大賞とのこと。投票した皆さんは本当にこの本を読んだのかな。こんなに温かい本、こんなに優しい本。こんなに感動する本。なかなかないです。私には最高の本です。私の本屋大賞です。百貨の魔法/ポプラ社百貨の魔法 (ポプラ文庫 日本文学 424) [ 村山 早紀 ]
2022.04.02
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「チーム・バチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」で有名な海堂尊の小説。医師国家試験の結果を控えた研修医が主人公。著名な外科医のいる大学付属病院での研修とその後、手術を通して医者としての矜持、倫理を葛藤を持って会得していく。過去の医療ミスは事故なのか事件なのか。その謎がクライマックスに明らかになる。秀作といえる医療ミステリーである。新装版 ブラックペアン1988 (講談社文庫) [ 海堂 尊 ]
2022.03.31
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これは恋愛小説というのだろうか。結婚や同性愛やエッチが取り上げられているけれど、めくるめく恋やあこがれややむにやまれぬ思いはほぼない。水面下にあるような感じがするが、前向きというよりは前に突き進む姿勢。友情とか愛情というよりも各々の行為に力点がおかれ、裏切っても裏切られても激昂することはない。離婚しても失恋(?)しても滂沱の涙を流すことはない。もちろん痛みは感じ、ショックも受けるが、受け流してるのではないけれど、達観しているのではないけれど、自然と自身の感覚に正直でありのままに生きる、そんな主人公二人、早坂萌と室野(青木)るり子を描いた作品である。知らない人から見ると不思議な同居生活を送ったりするけれど、あっけらかんとのほほんとたくましく生きていく。風変わりな小説である。的確な描写に、面白く読んだ。肩ごしの恋人 (集英社文庫) 唯川 恵 (著)肩ごしの恋人 (集英社文庫) [ 唯川恵 ]
2022.03.16
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文章が硬いのか読みづらい。そして、目次にもあるのだが4人の主人公がそれぞれ個別に章をたてて話が展開する。関連性はなく、巡って続きが始まると、それまでの話を思い出すのにも苦労する。そうして展開されたそれぞれの物語が関連性を帯びてつながり始め、最終的に集約する傑作となるのか。第7回アガサ・クリスティー賞を受賞したミステリーだから期待する。しかし、腑に落ちる話となり一応の解決はするけれど、すべてが集約されるわけでもなく。ところどころわからないまま散逸した感じを残して終わる。こちらを鼓舞したり熱くしたりするものは絵以外にほぼなく、強いインパクトに欠けるという選者がいたがその評のごとく感じられる作品である。とはいえ、登場人物のそれぞれの思い。絵に執心する気持ちや出会った人へのシンパシイ、コーヒーへのこだわり、顧客に対する親切心など心に染みるものはあった。窓から見える最初のもの【電子書籍】[ 村木 美涼 ]
2022.03.13
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記憶喪失となったわたしの物語。読みやすく、興味が湧く展開。記憶をなくしているので、その主人公とともに情報を得ていって、夢に出てくる人は誰?真相も過去もわからないから、どう対処していけばよいのか皆目見当がつかない状況はつらい。そのつらさを共有して、これからのことを主人公とともに検討する。言葉だけではわからなかった家族の真意を理解する、くみ取ることの不思議さ。腑に落ちない点もあるけれど、楽しく(?)読んだ本です。わたしの本の空白は (ハルキ文庫) [ 近藤 史恵 ]
2022.03.13
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有川ひろ(有川浩)の何が魅力なのだろう。エッセイであるとされる「倒れるときは前のめり ふたたび」を読んだ。この本の中で有川ひろの対局とされる作家として湊かなえが提示される。作風と人物が真逆であるということで、湊かなえは優しい人、有川ひろはおどろおどろしい人ということになる。ちなみに湊かなえの「告白」を読んだときに、あまりに非情な結末にこの作家は読んではならないと思い、その後、一切読んではいない。また映画「告白」も見ていない。興味のあるキャスティングのドラマも原作・湊かなえと知った時点で見ることをやめた(初回だったと思う) 「倒れるときは前のめり ふたたび」のエッセイは私の胸を打った。いくつかの話で涙を感動を禁じえなかった。巻末の小説二作「彼女の本棚」と「サマーフェスタ」はどちらもとてもいい!特に「サマーフェスタ」は驚きがあった。それは、大学進学で田舎を出た女子は就職で正社員では戻れないということだ。私自身、映画好きも手伝って巨大スクリーンで映画が見られる都会志向であったから、田舎へ帰らない女子は都会志向だとばかり思っていた。今日の今日まで。ところが、本当は大学卒業後に田舎に帰りたい、戻りたいのに正社員としての仕事がないために戻れない、帰れないということだった。郷愁があったとしても、田舎には帰れないのだ。そのことを初めて知った。ひとは自分のものさしでしか測れない。できることならいろんなものさしをたくさん持っていたいものだ、と思った。 有川ひろの心持が私にシンクロしシンパシィをいだかせるのではないか。“はちきん”(男勝りの女性)が潔し。倒れるときは前のめり ふたたび [ 有川 ひろ ]
2022.02.05
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「傷だらけのカミーユ」はショッキングな内容ではあるけれど、こんな展開になるとは。三日間の出来事を一日目、二日目、三日目、と三部に分けて書いている。そしてそれぞれの日付の中も時間経過とともに時間が明示されている。 前作「その女、アレックス」は衝撃の内容だった。今まで読んだことのない犯罪小説であり猟奇的な殺戮が描かれていた。悪逆非道の犯人を操作し解決導くカミーユ。インパクトのある作品だった。同様に衝撃を受ける作品として期待して「傷だらけのカミーユ」読んだが、全く別のありえない衝撃を受けた。作品の衝撃度においてはおどろおどろしい「その女、アレックス」のほうが数段上だと思えるが、「傷だらけのカミーユ」の三日目の展開が予想だにしないもので、その点では比べ物にならないほどのものかもしれない。一日目、二日目のカミーユの恋人、被害者が三日目に…。う~ん、事件解決より、その結末に考え込んでしまう。傷だらけのカミーユ (文春文庫) [ ピエール・ルメートル ]
2022.01.08
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これはカッパ・ノベルズ版で先月11月に刊行された時の特設サイトの画像だ。久々に新宿紀伊國屋へ行き、一部改装工事中のなか文庫のある2Fで見かけたカッパ・ノベルズ版。『新宿鮫』シリーズの新刊が出ていたなんて、知らなかった。とはいえ、単行本で読んできていたのでカッパ・ノベルズ版でなく4Fにある単行本を探しに行った。本棚にはなかった。2年前に刊行された本だからか、それとも本棚に余裕があったので、ちょうど誰かが買い求めた後だったのか。書店員に在庫確認をするほどの気合もなく、帰りに地元の本屋をのぞいてみて、なければAMAZONで買い求めようと思った。その帰り、駅ビルの本屋には1冊だけ棚に収まっていた。帯の裾が若干よれていたのが気になったが、発刊から月日が経っているし、1冊しか展示してないのだから在庫があるとは思えず、本そのものはきれいなので買った。久々の新宿鮫。課長が殉職していたので、後任が来たり、初めて(?)相棒を組む刑事が来たりとまわりの人間が替わったりしたが、この先を読みたいと思える中毒性のエンタテイメント感は情感豊かなままだった。新宿鮫は映画化で真田広之、テレビドラマで舘ひろしが演じているが、外見的イメージは西城秀樹だと勝手に思っている。漫画「愛と誠」の映画「愛と誠」で太賀誠を演じたときのイメージである。現在、もし映画化するとなると適した俳優はいるのだろうか。今回は魅力的な中国残留孤児の孫娘マリカ、新本ほのかという女性が登場する。若き日の加賀まりこのような感じだろうか。現実の新宿がこの物語のように様変わりをしたのかどうかわからないけれど、中国マフィアが跋扈していた頃とはかわり、「トー横」として補導が記事になるくらい変わってしまったようだ。さて、新宿鮫は今後も続くのだろうか。鮫島はもういくつになったのだろうか。期待して次回作を待ちたい。それまでは、また最初から読み直してみるか。暗約領域 新宿鮫Ⅺ (カッパ・ノベルス) [ 大沢在昌 ]暗約領域 新宿鮫Ⅺ [ 大沢在昌 ]
2021.12.12
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文庫本で上下巻にわかれる「蜜蜂と遠雷」は読み終えるまでにずいぶんとかかった。読み応えのある内容に咀嚼していきながらの読書はなかなか力が必要だった。それに引き換え続編ともいえるこの「祝祭と予感」の短編集はエッセイを読むくらいの読みやすさ。そのうえ、この上ない感動を味合わせてくれる。短編は6本。・祝祭と掃苔・獅子と芍薬・袈裟と鞦韆・竪琴と葦笛・鈴蘭と階段・伝説と予感三つ目の「袈裟と鞦韆」と五つ目の「鈴蘭と階段」に感動しました。大いに感動しました。素敵な感動を味合わせてくれて感謝です。「蜜蜂と遠雷」の読者に読んでほしいスピンオフ小説です。祝祭と予感 [ 恩田陸 ]
2021.11.16
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映画は見そびれたので、原作を読んでみる。ここで主役二人を認識しているので、総理の夫である相馬日和(そうま ひより)は田中圭の顔が浮かび、女性初の首相となる相馬凛子(そうま りんこ)は中谷美紀の顔が浮かぶ。それはどうしても消え去れない。その問題は横に置くとして、総理の夫、相馬日和が書く日記として、彼らの死後、読むであろう読者に対して書いたものという体裁で書いてあるのがおもしろい。必然、主人公は相馬日和であるが彼は語り部の役として存在し、書かれる対象は相馬凛子である。あとがきによると2013年に書かれた作品で、2021年現在を予感させる内容となっている。折しも行われた自民党総裁選では高市早苗と野田聖子の両氏が立候補。女性首相の誕生にわずかな、ほんとにわずかな可能性を感じさせた。思えば、日本初の女性首相となるべく人は土井たか子さんだった気がするが、衆議院議長を務めるだけで終わってしまった。今、たけなわの立憲民主党の代表選も女性擁立ということで西村智奈美氏が出馬するもようである。さて、原田マハが思い描く政治の世界のあるべく姿を本書で味わうのはとても楽しかった。面白かった。映画も見てみたいので、早く配信してくれればと願う。文庫 総理の夫 First Gentleman 新版 (実業之日本社文庫) [ 原田 マハ ]
2021.11.15
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ほぼ何の飾り気も意匠もないような感じの表紙。先日、「キネマの神様 ディレクターズ・カット」を読んで、何かしら原田マハの作品を続けて読んでみたくなり、新田次郎文学賞を受賞していた理由でこの「リーチ先生」を手に取った。新田次郎は山岳小説が有名で「孤高の人」「八甲田山死の彷徨」などが有名で、とても好きな作家なのだが、彼の本を読んだことがあるのかどうかわからない。ただ、映画「聖職の碑」を見て強烈な印象が残っている。さて「リーチ先生」だが、私は絵が好きだけれど工芸にはあまり興味がない。それゆえバーナード・リーチという工芸家がいることを知らなかった。香港で生まれ、母が出産で亡くなったがため、当時日本にいた母方の祖父に日本で育てられた。4歳の時に父の再婚により、シンガポールへ移住。その後、イギリスへと移り、美術学校に入学するけれど、父の死去により、銀行員となった。銀行員の傍ら、美術学校でエッチングの技法を学んでいた時に、ロンドン留学中の高村光太郎と出会い、日本への郷愁が高まり来日。日本で焼き物工芸に魅せられて陶芸家となる。そして…。原田マハによる独創的な伝記作品である。リーチ先生が主人公でありながら、語り部は架空の人物、沖亀乃介(父)と沖高市(子)である。思いもよらない創作によって現実の物語をありありと見せてくれる手法は原田マハの真骨頂だ。どこまでが真実でどこまでが創作なのか。その筆加減が難しいところだけれど、彼女は数多くの取材と参考書物を読み漁り、堂々とした長編を書きあげている。文庫本にして588ページの小説はかなりの厚みだ。その厚みに気楽に読み始めることはできない。しかし、一旦、読み始めると止まらない。次はどうなる、この次はどうなる!?とワクワクが抑えきれずに読み進める。読書で夜更かししにようにコントロールするのがたいへんなくらいに興味がわいて尽きない。それとともに工芸への陶芸への興味が湧き、今も残るリーチの作品をこの目で見たいと思うようになった。後半の後半にある淡く真摯な恋物語も私を酔わせた。素晴らしく素敵な物語。もっと世の中に知られてもいいのではないかと思えた。圧巻である。リーチ先生 (集英社文庫(日本)) [ 原田 マハ ]
2021.10.17
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原田マハ映画「キネマの神様」の原作者であって、大幅な変更のあった映画化作品の脚本を承諾し、山田洋次監督作品とした。そして、その映画のノベライズが本書である。これまた、終盤において原田マハ的改良がおこなわれた本となっている。原田マハは、とても映画が好きな人なんだ。改めて認識した。この「キネマの神様 ディレクターズカット」版には原田マハの映画に対する愛がつまっている。愛がいっぱいである。それを感じて目頭が熱くなった。本編の映画を見たときに、原作の原型を残していないと思える改作に驚くとともに、気落ちもした。映画は山田洋次監督としてできうる限りの作品になっていたと思われるが、大きな感動を与えるものではなかったと思う。それが、この本を読むことにより、映画に寄り添った原田マハが見せた、表現した映画へのあふれんばかりの厚情に私は感動した。原作者によるノベライズなんて、当初は忌避したけれど、映画を見て、山田洋次監督と原田マハとの対談記事を読んで、思い直し、本日、読んでみて、良かったと感じる。素敵な物語をありがとう。貴女の人生に、監督の人生に、私の人生に、映画があります。感謝。キネマの神様 ディレクターズ・カット [ 原田 マハ ]
2021.10.03
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「蜜蜂と遠雷」の下巻を本日読了した。上巻を8月28日に読み終えているから、下巻を読むのに18日かかったことになる。読み応えのある作品で、読んでいる間中、あたかもコンクールでピアノ演奏を聴いているかのように音が鳴っている感じがした。映像となる映画を先に見ていたので、登場人物たちの造形は映画キャストそのものであり、容姿を新たに想像することはできなかった。映画を見てからずいぶんと日にちが経っているせいもあって、印象的なところは覚えていたりするけれど、忘れてしまっていることも多く、コンクールの結果は記憶になかったので、その点はドキドキしながら読み進められた。主人公・栄伝亜夜の付き人として登場する幼友達(?)奏が映画での認識が全くないので、登場しないか、カットされたのだろうか。原作を読んでみて、映画を今一度、見直してみたいと思った。(映画評「蜜蜂と遠雷」)文庫本なので、あとがき、があるけれど、編集者があとがきを書いている。編集者があとがきを書いているものを初めて読んだ。読みごたえがあり、一気呵成に読了した読者が多いけれど、恩田陸の筆は遅く、何度も何度も催促をしても、さらに遅れて書かれたとある。その割に出版に際しての校正はほぼなかったとのこと。思いつくまま一気呵成に書いたのではない推敲を重ね、原稿を何度も書き直したのではないだろか。そのように思えた。私はピアノなぞ、一切触れたことがなく、子供の頃におふざけで”猫ふんじゃった”を弾いたくらいである。音楽の素養はないけれど、ピアノを弾いてみたいと、音楽を奏でてみたいと思った。とても感じ入ることのできた、素敵な本でした。蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫) [ 恩田陸 ]蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫) [ 恩田陸 ]
2021.09.15
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町田その子さんの「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」(新潮文庫)を読んでみて、本屋大賞をとったこの本「52ヘルツのクジラたち」が読みたくなった。書下ろしとのこと。本日、一気読み。声なき声を聴け、ではないけれど、発せられていても聞こえない音域がある。そして、その聞こえない音域で発声する52ヘルツのクジラをとりいれて書かれている。主人公が出会うアンさん、主税(ちから)、愛(いとし)。アンさんと出会い、自立し、主税と出会い、恋をし、愛しと出会い、生きる力を得る。衝撃的で健全でない状態、世界を描いて、読み手の心を揺さぶる。非道な人たちと、優しくて素敵な人たち。助けの声を発していた自分が、今度は助けの声を聴こうとした。しかし、助けの声を出していたのか。いい本を読んだ。そう思う。52ヘルツのクジラたち (単行本) [ 町田 そのこ ]
2021.08.01
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宝島社文庫なんて初めて買った。駅ビルの書店に入り、読みたくなる本をさんざん物色した結果、ふだん目にしない文庫ではあったが文庫の平積みのなか、高い山で積み上げられていたので目に付き手に取った。久しく中山七里さんの本は読んでいない。というか「さよならドビュッシー」とあと一作、読んだかどうか。とはいえ、展開といい読みごたえといい、読了感が良かった印象があったので購入した。オールスターキャストとでもいうべく、中山七里作品の主要人物がこぞって出ているとのこと。まったく相関関係を知らなくても、岬陽介を知らなくても楽しめる本だと思える。読みごたえ十分な本であったが、まず裕福な子女が通う幼稚園で先生2名、園児3名が惨殺される事件が発生。犯人はすぐに逮捕された。取調べ調書が出来上がり、裁判のために検事取調べが行われた時、密室殺人が行われた。犯人は…。次々と起こる事件に読者は惹きつけられ引きずられ、あれこれ詮索、想像しながら読み進めることになる。スキのない登場人物がつぎつぎと現れるが、この小説もスキがない(と思われる)。読み手の興味を増幅し、驚きの展開となること、秀逸である。密室殺人は否定できず、犯人と目された人間も他に生きている人がいないので犯人とならざるを得ない。しかし、私は犯人と目された人が犯人でないならば、殺害された人物の自殺ではないのかと思ってしまった。それほど、難解であった。岬洋介が登場し、友を信じるがゆえに果敢に謎解きに奔走する。ここからの展開、そして、謎解き。驚きの結末。読んでよかったと思う読後感に感謝。中山七里は妙味のストーリーテラーである。合唱 岬洋介の帰還 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) [ 中山 七里 ]
2021.07.25
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圧巻だった。衝撃だった。オムニバス、短編をまとめた本だったので、瞬時「思い出トランプ」を思い出した。それほどの筆力、向田邦子に匹敵するのではと思えるほどだった。今年、2021年「52ヘルツのクジラたち」で本屋大賞を受賞したので、直木賞を受賞する日も近いのではと思える。短編集は五話からなり、「カメルーンの青い鳥」 仲睦まじいカップルの話かと思って読んでいたら衝撃の事実に愕然。秀逸な話だった。「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」 ぎょぎょぎょ!!と驚く内容に、ショック。こんなことが描ける作家がいるんだ。「波間に浮かぶイエロー」 他人に顧みられることのない美しくない容姿の主人公に対照的な魅力的な女性が登場。そして”おんこ”もいる。不思議な関係が予想外のさらに外の真実に驚く。超絶な作品。「溺れるスイミー」 風来坊、放浪、ここではないどこかへ行きたがる性分は…わかるような、わからないような。「海になる」 死を意識した物語。そして生きてきた物語。今回この短編集を読んで町田その子をもっと読んでみたいと思った。夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫) [ 町田 そのこ ]
2021.07.18
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88歳の名女優、岸惠子の自伝。日本経済新聞に掲載した「私の履歴書」に加筆したものを出版したらしい。「私の履歴書」の書籍化の本を読むのは俳優、笠智衆の「俳優になろうか」以来。岸惠子の生い立ちが読めると勢い込んで買って読んでみた。前半は戦前、戦中の生きざまから当時の様子から興味津々に読んでいった。女学校時代の大船撮影所のところはさらに興味が募った。研究生という名目で、ギャラがなかったり、少額の固定制だったのは、人気があり売れっ子だったのに気の毒である。その後、改善されたようだけれど。「君の名は」の真知子で一世を風靡したうさわは伝え聞いているけれど、いまだその作品は見たことがない。ウイリアム・ホールデンとの恋バナ(?)をきいた覚えはあるのだけれど、ハリウッド出演を振って、映画「雪国」を最後にフランス人医師で映画監督のイヴ・シアンピと結婚するために渡仏したのは驚愕のニュースだったと思える。岸惠子、その存在は知っていても作品は知らず。映画としては「細雪」(1983)くらいしか見ていない。「たそがれ清兵衛」は見ているが、自伝ではナレーションとなっている。そんな岸惠子は”パリのおばさま”の印象が強い。山口百恵、三浦友和のゴールデンコンビのテレビドラマ「赤い疑惑」での幸子(山口百恵)の叔母役である。パリ在住の叔母役は岸惠子そのものだったのかもしれない。あとは自伝にも書かれているNHK朝ドラ「こころ」。ヒロイン中越典子の祖母役で、伊藤蘭の母役。すっくと立ち姿の美しい岸惠子を覚えている。数々の作品に出演しているのに、見ているものが少ないのは恐縮するが、長年、映像の世界で生きた割には出演作が少ない。それは自伝を読めばわかるが、岸惠子は女優というよりジャーナリストであったようだ。アフリカや中東の世界に興味を持ち、紛争地やジャングルに乗り込んで、時には単身で取材といったこともあったようだ。社会、世界情勢にとても大きな関心があり、疑問を持てば追求せずにはいられなかったようだ。映像畑でありながら自著「わりなき恋」を舞台化した経緯も書いてあり、興味深く読んだ。子育て、娘との葛藤も書かれており、読みどころはたくさんあり、堪能させていただいた。コロナ禍でフランスの娘、孫たちに2年以上会えていないとのこと。健康に留意されて、再会されることを願う。岸惠子の気持ち、精神がわかる素敵な本でした。わりなき恋 (幻冬舎文庫) [ 岸恵子 ]わりなき恋 [ 岸恵子 ]岸惠子自伝 卵を割らなければ,オムレツは食べられない [ 岸 惠子 ]
2021.06.19
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作家はいぬじゅん。本屋で手に取って買ってみた。ケータイ小説で出てきた作家さんらしい。文庫は実業之日本社文庫GROW。あたらに出た文庫の第一弾らしい。読み始めて、奈良県に土地勘のある作家だな、と思った。奈良を舞台にした小説ってあったかな、なんて思いながら読み進めた。今時の小説。若者の小説。刺激的で残虐で恐怖をあおる内容。続きがどうなるかのドキドキ感。ケーブルテレビと高校を舞台にして、テレビドラマを見ているような視聴者の立場に置かれる読者。第一章から第四章まで番組の進行とともに、読み進めたが、第五章の展開とクライマックスがこのようなものになるとはまったく予想だにしていなかった、愕然…、…、…。衝撃の結末に、言葉が出ない。これが、今どきの小説なのか…。文庫 今、きみの瞳に映るのは。 (実業之日本社文庫) [ いぬじゅん ]小説家いぬじゅんOfficial site実業之日本社文庫CROW 誕生!
2021.06.04
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最近、読書をしていない。ひと月に一冊は読みたいなぁ、と思い立った。で、これまた思いつきで向田邦子を選んでみた。今まで、読んだことはない。脚本家として有名だが、著書もかなりあるものだと思っていたが、この短編集を出して一年後に旅行中の飛行機事故で亡くなっている。当時、大ニュースになった記憶がある。帯に「向田邦子没後40年」とある。奧付には令和三年四月十日九十五刷とある。ベストセラーとして何度も増版されているようだ。さてこの文庫、表題作「思い出トランプ」という作品はない。著者が最終ページにかいているように小説新潮に掲載された十三篇の短編をまとめたもので題名に因んだとある。また、後ろ表紙にある直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録とあり、十三篇のうち三篇だけか、と思ったら、選者のひとり水上勉氏のあとがきにまだ三篇しか出ていない作品を評価するのか、全作品出し終えてから評価するのか議論となったけれど、強い推薦の結果、当初の三篇だけで直木賞となったことがわかる。それゆえ他の作品も含めて筆力のある名編ぞろいである。中でも私は「犬小屋」に深い味わいを感じとりわけ素晴らしいと思った。思い出トランプ (新潮文庫 むー3-2 新潮文庫) [ 向田 邦子 ]
2021.05.15
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途中まで読んで、その後、ツンドクになったまま眠っていた。何度も読まねばと思いながら。いつしかその間に国立西洋美術館では「松方コレクション展」が開催され、私も足を運んだ。それから数カ月。ようやく読み終えた。終盤のみを呼んだので、あくせく返還に奮闘した前半の物語は忘れてしまったようではあるが、松方コレクションを守り抜いた人物の話で終えたので、良かったかなという気がする。渾身の一作といえる作品だと思う。【楽天ブックス】美しき愚かものたちのタブロー [ 原田 マハ ]
2020.07.26
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青山美智子?知らない作家さんだな、と思い、書店で手に取った一冊。著者紹介を読んで短編が連作でつながっているようす。読んでみると、それぞれの登場人物が微妙に関連し合い、読み進めていくうちに、人物相関図が完成していく。喫茶店で働く僕から始まって、住宅街の中にある、落ち着いた感じの喫茶店。ひとつひとつの物語がその時の主人公の人生の重大局面であり、とても思い入れがある内容。さめざめと泣くというか、ほおを涙がつたうというか、清い水で洗われたように感じ入ってしまった。秋も深まり、冬になるが、読書の秋にちょっと読める粋な小品と思える。木曜日にはココアを (宝島社文庫) [ 青山美智子 ]
2019.11.23
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『阿蘇の山中にある"奇跡の児童書店"の物語』昨日読んで感動した記事プレジデントオンラインより
2019.04.28
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久々にMIXを購入したので、いきなり読んだら、思い出せず、「MIX10」「MIX11」と読んでから、読んだ。続きが、楽しみだ。MIX 12 (ゲッサン少年サンデーコミックス) [ あだち 充 ]MIX 13 (ゲッサン少年サンデーコミックス)[本/雑誌] (コミックス) / あだち充/著
2018.11.05
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「人間はなぜ生きるか」を若い頃、考え悩み、答えが見つからず、先送りにした。この本を読めばその解答なり、生きる理由がわかるかもしれないと、あるいは、なにか指針が示されているのではと思い、購入を躊躇したけれど、大ベストセラーになってきたので、買った。そして、読んだ。一、二時間で読めた。漫画とはいえ、文章が多い。その文章の内容を咀嚼するには時間がかかる。難解でなく理解できるけれど了解するには隔靴掻痒な思いを感じる。生きることに、答えはないのかもしれない。【楽天ブックスならいつでも送料無料】漫画 君たちはどう生きるか [ 吉野源三郎 ]
2018.01.20
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長谷部誠、いい男だと思う。また、めずらしい男かも。サッカー選手としてスター性はないのかもしれないが、堅実で着実に進化していっている。立ち振る舞いがキャプテンとしてありうべく人物のような気がしていた。また、キャプテンが似合うようにも感じていた。その彼が書いた本。彼の考え、思考が気になり、「サワコの朝」を見て、この本を買い求めた。なにか大したことが書いてあるとはいえないが、長谷部の人となりをしり、彼がサポーターや興味を持ってくれる人との溝を埋めたい、と思ったことの役には立っている気がする。読んでみて、嬉しかった。【楽天ブックスならいつでも送料無料】心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣 (幻冬舎文庫) [ 長谷部誠 ]
2017.07.17
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なぜか、テレビのCMを見て、MIX11の発売を知り、急遽、買った。読んだ。MIX10を読んだことも忘れていた。それで、本日アップ。(笑)そろそろですね。めざせ、甲子園!【楽天ブックスならいつでも送料無料】MIX 11 (ゲッサン少年サンデーコミックス) [ あだち 充 ]【楽天ブックスならいつでも送料無料】MIX 10 (ゲッサン少年サンデーコミックス) [ あだち 充 ]
2017.07.17
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原田マハさんの作品はとても素晴らしく感動できるものがあるが、時として読む進めないものがあり、積読になってしまうこともある。この本は、劇的に展開し、高校生が主人公ということもあり、非常に楽しめて読めた。音楽の話だけに解説が宮下奈都さんであった。さもありなん。(宮下さんは「羊と鋼の森」で本屋大賞を受賞。「よろこぶの歌」「終わらない歌」など、音楽にまつわる著書がある)この作品、主人公の和音と同じように、事実を知り、驚くことが多い。かっこいい女性として真弓が出てくるが、日本の音楽シーンにおいてチェロがどのような位置を占めているのか、また、モデルとなるような実在の人物がいたのか、わからない。ただ、トップミュージシャンになるには音に敏感で毎日十数時間も練習を繰り返さなければならないんだな、と思った。とてもユニークな話で楽しめた。永遠をさがしに [ 原田マハ ]価格:648円(税込、送料無料) (2017/2/22時点)
2017.02.22
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人との待ち合わせまで、ちょっと時間が空いた。映画を見るにも多くの時間はなく、その時間、見たい映画はすでに始まっていた。そこで、駅の本屋を覘く。この本屋は時々、というかいつもこの日のように、ポッカリ空いた時間をつぶっすためにたちより、時々、文庫本を購入する。この日も、数少ない、店員のPOPを読みながら、手軽に取れる本を物色した。装丁と題名が本を選ぶ基準となる。惹きつけられる装丁、読みたいと思わせる題名を探す。興味がわいた一冊があった。装丁が目を惹く。手に取ったが、とにかく分厚い。手軽に持ち運んだり、読むには時間がかかりそうだ。次に手にしたのは、新装丁の大沢在昌作品。久しく、彼の作品は読んでいない。目にとまったのはP.コーンウェルの検屍官シリーズの新刊。検屍官シリーズも久しく読んでいない。というのも、シリーズが長くなり、年老いてきた主人公たちを10歳ほど若返らせた作品を読んでから、彼女の本は手にしていない。10歳若返らせたことが不自然というより、そのことに気づきもしないで、あとがきかなにかで知って、違和感をもったのだ。さてさて、本を読むのか読まないのか。まだ、時間はあった。装丁は良いとは思えなかったが「デフ・ヴォイス」という文字に注目した。帯を見ると中江有里絶賛とある。彼女が推薦するならばと購入を決めた。待ち合わせの百貨店の椅子に座りながら、読みふける。それほど、引き込まれた。予想だにしない内容、展開。冒頭で中年バツイチ男女の恋愛を絡めたミステリーかと思わせながら、物語は展開に次ぐ展開で、殺人事件に繋がっていく。昨日と今日、二日間で読んだ。とても面白い、ユニークな作品だ。今までにないという意味でユニークだ。今風にいうとオンリー・ワンなのかもしれない。この作家、丸山正樹は5年ぶりの新作「漂う子」を昨年10月に出した、ひよっこ作家とのこと。とにかく、「デフ・ヴォイス」は素晴らしい。私も絶賛する。【楽天ブックスならいつでも送料無料】デフ・ヴォイス [ 丸山正樹 ]【楽天ブックスならいつでも送料無料】漂う子 [ 丸山 正樹 ]
2017.02.17
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映画「Wの悲劇」を見て以来、原作を読んでみたいなという思いがどこかにあった。長い年月を経て、文庫本を買った。積読のまま、年月は過ぎ、一度手に取り読みだした、冒頭を読んだまま、積読。そして、年月は流れ。帰省の新幹線で時間つぶしに読むものをと「Wの悲劇」を手に取った。遠い昔に見た、映画の内容など忘れてしまっていた。一行目から再読。行きに半分読んで、帰りにまた少し。物語の佳境に入り、クライマックスは・・・。クライマックスは、今日読んだ。なかなかの入り組んだ話。どんでん返しも二転三転。なかなか見どころ読みどころのある作品である。あとがきにもあるように舞台にして良い作品だと思う。映画はこの作品を劇中劇にしたオリジナルとのこと。そんなことも覚えていない。ただ、主演・薬師丸ひろこの悲しい旋律の歌だけが頭に残っている。確か、高木美保の出世作という記憶があるが・・・はたして。テレビドラマとしては何度もドラマ化されているようだ。一番原作に忠実でドラマティックな作品を見てみた気はする。さて、この作品を舞台化という話であるが、私はぜひミュージカル化して見てみたい。「オペラ座の怪人」ではないが、楽しめる愛憎劇になると思う。【楽天ブックスならいつでも送料無料】Wの悲劇新装版 [ 夏樹静子 ]【楽天ブックスならいつでも送料無料】Wの悲劇 改版 [ 夏樹静子 ]【楽天ブックスならいつでも送料無料】Wの悲劇 改版 [ 夏樹静子 ]
2017.01.11
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こんな実話があったとは。これ、実話だよね、小説だけれど。原田マハは好きな作家。彼女の芸術的エンタテイメントが好き。今回は美術史に残るデトロイト美術館の危機を回避したアンビリーバブルな物語をさらっと書いてくれている。感動的な話です。じ~んときたな。【楽天ブックスならいつでも送料無料】デトロイト美術館の奇跡 [ 原田 マハ ]
2016.10.16
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いつのまにか「MIX 9」が出ていた。買った。読んだ。楽しい、嬉しい。高校野球東東京大会準決勝。投手戦。早く「10」を読みたいものだ。ゲッサン少年サンデーコミックス送料無料/MIX 9/あだち充
2016.07.17
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本屋大賞、買うべきか、買わざるべきか…。本屋大賞だからやはり書店で買うべきと思い、駅の本屋さんで買った。本屋さんで買ったのは、書店員が選んだ対象だから。作家はもちろん、編集者も、書店も本を売りたい、買ってほしいと願い、それで生計を立てている人たちが報われなきゃ、意味ないような気がしたから。インターネットで買わず、図書館でも借りず、書店で本を買った。さて、「羊と鋼の森」。読み始めるまで、題名の良さがわからなかった。読んでみて、この題名は秀逸だと思った。僕が文庫で出会った「終わらない歌」。その歓喜の歌声、感動の小説に感激した衝動からすれば、この作品は感情の振れが少ない。しかし、それは小説に登場する双子の姉妹、和音と由仁の演奏の違いのように、違うだけで、読者に激震を起こさない良さなのかもしれない。主人公、外村のような本。それが「羊と鋼の森」である。宮下奈都の本をもっと読みたいと思った。【日時指定不可】【銀行振込不可】【2500円以上購入で送料無料】【新品】【本】羊と鋼の森 宮下奈都/著
2016.05.14
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「楽園のカンヴァス」を読んで以来、キュレーターという職業を知った。その作家、原田マハは私のお気に入りであり、彼女自身キュレーターである。この「大絵画展」はキュレーターが絡んだ物語。めくるめく絵画の世界にいざなってくれるもの、と思って読み始めたが、思惑と違い、ミステリーというか泥棒話、いえ詐欺の話だった。前半、絵を盗むところまでは読み物として面白かった。しかし、その後、騙しに騙して、何が何だか分からなくなってきたところで種明かしもあるのだが、奇妙奇天烈で、役者が出てくるころになると、ちょっとご都合主義すぎるんじゃないかと思えた。読み疲れ、結末が知りたくなり終盤は斜め読みになってしまった。というわけで、お薦め度合いは70%でしょうか。発想のユニークさは良く、人情がらみも泣かせる(?)【楽天ブックスならいつでも送料無料】大絵画展 [ 望月諒子 ]
2016.05.12
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AKB48の10年を記念して、こんな本が出ているとも知らず、気づいたので買ってみた。読んでみた。字があまりに細かいので、読書にむかない書物だと思ったが、載せたい情報量が多すぎるのか、文字量の多いAKB48の雑誌などもみな字が小さいなぁ。目が悪くなると思う。さて、知らないAKB48の姿と知っているAKB48の姿を読み進めるうちに、ファンになった時の思いや、何かしら熱いものがこみあげてきて、後半は読み進むのに時間がかかった。10年を通してみてもAKB48の運営の不手際がわかるだけで、それは秋元康の頭の中にしかない物を十分でない組織で運営していたせいなんだろうなと思う。初期も含めて、秋元康自身でさえわからない、迷い悩み想像もつかなかった出来事やトラブルを紆余曲折しながら乗り越えてきて、今がある。いまだにあっちゃんがなぜセンターだったのか、わからない。しかし、そのセンターを引き受けたあっちゃんは当時も卒業した今も重荷を背負っている気がする。(AKB48を卒業して、少しは軽くなったかもしれないが)。違うけれども、ぱるるも重荷を背負っているんだろうなぁ。(あんなにセンターに向かない娘はいないと思う)余談が、過ぎたが、この本、読んでみて、良かった。【楽天ブックスならいつでも送料無料】涙は句読点 [ 日刊スポーツ新聞社 ]
2016.05.01
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