2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
全28件 (28件中 1-28件目)
1
ジョナサン新宿一丁目店は、隣のヘッドパワーというライブハウスでパンク系のバンドを見た帰りのファンでごった返していた。みんな髪がパッツンだったり、アイメイクガッツリだったり、ファッションもスゴかったが、楽しげにファン同士の交流を繰り広げていた。そんな不思議な空気のなか、あたしたちは窓際の席でスクランブルエッグセットや、パンケーキなんかを注文した。いつもはきっとみんな、朝食なんて食べないけれど。岩崎くんは、もちろん、モーニングでなくビールとつまみを注文した。みんなタメだし、若くもないから合コンっていうウキウキ感ももうなくてマッタリと和んでいた。男性陣は、幼なじみだけあって昔話に花が咲いた。最初、藤澤くんも、佐野くんや岩崎くんと一緒にバンドをやっていて、しかもドラムだったこと。でも、すぐ辞めちゃったこと。藤澤くんは高校時代、岩崎くんと一緒に六本木で飲み歩くようになってお酒に興味を持ち、バーテンのアルバイト始めたこと。それが、もうすぐ自分の店を持つことにつながったということだった。
2006.02.28
コメント(0)
ゆかちゃんであろう人物を発見できた満足感と、彼女が岩崎くんの恋人だということへのしっくりいかない感じが混在していた。もっと、いかにも岩崎くんと似た雰囲気とか、個性的とか、共通点があれば納得できたのに。なんだか余計、あたしの心に火がついてしまった。・・・・・藤澤くんは、さすがにバーテンダー暦が長いだけあって、場を盛り上げるのがとてもうまかった。福山を物まねで歌ったり、おもしろい話をいろいろ聞かせてくれた。カラオケも終盤になると、岩崎くんも(どうせだれも聞いちゃいない)と思ったらしく常にエンターテイメントな彼にはめずらしく、孤独に熱唱したりしていた。そろそろ5時をまわったようだ。カラオケ店を出ると、空が白々と明るくなっていた。長野さんと佐藤さんは、電車も動き出したので帰ると言う。途中から、2人の世界に入ってしまっていたのできっと合コン、イマイチ楽しんでもらえなかったんだろうけれど、まぁ仕方ないな・・・。残った6人は、気づけばみんなタメだ。岩崎くんと佐野くんとケンちゃんと藤澤くん。みんな四谷の小中学校時代の同級生だった。あたしは、小中時代の友達なんて全くの音信不通だから、大人になっても、こんなふうに仲良しでいられるなんてとてもうらやましかった。幼なじみの男性陣4人と、舞ちゃんとあたしでまだ人のまばらな靖国通りを歩いた。
2006.02.27
コメント(0)
八丁堀で彼女は電車を降りた。あたしも急いでホームに降り立った。一定の距離を置きながら、見失わないように後を追った。エスカレーターを上り、JR改札を出たところで、彼女はまっすぐに日比谷線には向かわずに、トイレに入ってしまった。その辺りは、券売機のある狭い通路だし、ただ立ち止まっている人は誰もいないところで待ち伏せには都合の悪いところだった。なにげなく、券売機のあたりを行ったり来たりして彼女が出てくるのを待っていたがなかなか現れない。・・どうやら、人混みにまみれて見失ってしまったらしい。できれば、銀座のお店に入るところまで見届けて確証を得たかったのだが、やはり素人の尾行だから、うまくはいかなかったようだ。でも、ジャストな時間にあらわれた同年代の女性は他にみあたらなかったし、しかも身長や顔立ちも彼から聞いていたことにあてはまっていたし、乗換の駅も合っているのだから、まず90%くらいの確率で、彼女がゆかちゃんだろう。
2006.02.26
コメント(0)
2ドアほど離れたところに、彼女はいた。いくつか空席もあったが、立ったまま窓から外の景色を眺めている。ショートカットが伸びてきたくらいの髪型で、後ろが少し長いので、ゴムで束ねていた。目がぱっちりと大きく色白で丸顔だ。身長は160センチ以上あるだろう。茶色いコートに黒のズボンを履いていた。よく見たい気持ちを抑えて、チラチラっとさりげなく、視線に気づかれないように観察していた。かなりの条件が当てはまっていたから、多分彼女がゆかちゃんなんだろうな。でも、岩崎くんのイメージとはまったく相容れない印象だ。彼女は、潔癖というかスキがなさそうというか、むやみに人に近づいてほしくないような雰囲気を醸し出していた。あの感じだと、岩崎くんがゆかちゃんに隠れていろんな女の子と飲みに行ったりエッチしちゃったりしていることも気づいていないのかも知れない。気づいているのに受け入れているようなおおらかさとは正反対の、まっすぐな生真面目さを感じた。だとするとちょっとヤバいかも。“あたしが”ではなくて、“彼と彼女の関係が”だ。・・・でも、まだ、彼女が100%ゆかちゃんだと決まった訳ではない。とりあえず、次は八丁堀で日比谷線に乗り換えるかどうかだな。
2006.02.25
コメント(0)
そこであたしは何をしたかというと、オーソドックスに待ち伏せだ。ゆかちゃんはあたしの顔を知らないから、恐れることもないのだけれど、あたしもゆかちゃんの顔を知らないので、暖簾に腕押し状態で、全く見当がつかないかも知れない。そんな期待と不安が入り交じった気持ちで、葛西臨海公園駅に降り立った。30分ほど、駐輪場にそれらしいものはないか探したりしたが、自転車は数えきれないほどあり、しかも名前の書いてあるものはごく僅かなのでこの方法では手がかりは掴めないようだ。あとは、1つしかない改札の脇で、それらしい人が通らないか、うろうろしながら見ていた。銀座で17時から働くには、遅くとも16時19分東京行きに乗らなくてはならないだろう。もうそろそろ、タイムリミットだ。半分諦めて、ホームに行きその電車を待っていた。電車が到着し、ドアが開いて待っていた人達が乗り込む頃、階段を駆け上がってきて電車に駆け込む女の人がいた。歳の頃は、あたしと同じくらいに見えた。急いであたしも電車に乗り込んだ。
2006.02.24
コメント(2)
いままで、岩崎くんから聞いたゆかちゃんの情報をまとめると、・週6日、日曜以外は夕方から銀座の和食店で働いている。・住んでいるのは京葉線の葛西臨海公園。・年齢は、あたしや岩崎くんと同じ。・身長は、あたしより大きくて、きっと160センチ台。・昔は45キロくらいでとても痩せていたが、最近太って50キロを越えたらしい。・駅からは、自転車で移動。・誕生日は10月11日。岩崎くんとちょうど1ヶ月違い。・彼とぜんぜん違って濃い顔らしい。・髪は、彼好みのショートにしていたが、最近伸ばし始めた。・・・そんなところだな。
2006.02.23
コメント(2)
岩崎くんの、鮮やかな山吹色に近い黄色のトレーナーは彼女からのバレンタインの贈り物らしかった。胸に簡単な線画のイラストが入っていてそれが、ちょっとあたしたちの年齢にはかわいらしすぎると思ったが、岩崎くんのキャラクターには合っていなくもない。彼女は色違いで黒を持っているらしいが、あまり似合わなそうな気がする。岩崎くんと違って目がぱっちりと大きくて濃いめの顔立ちだからだ。なぜ、あたしはゆかちゃんの顔を知っているかと言うと、・・・じつは、岩崎くんのことが大好きになってしまってから、彼女はどんな子なのかすごく気になって、こっそり見に行ったことがあるのだ。
2006.02.22
コメント(2)
午前4時。佐藤さんは、今日は黒いVネックのセーターとパンツだった。黒はガードが固くみえるので、合コン向きではないと思うのだが、そう簡単には男に捕まりたくない彼女の気持ちを暗に表しているのかも知れない。カラオケも終盤に入って、長野さんと佐藤さんは2人で話している時間が多くなってきた。彼女達は仲良しで、一緒に温泉に行ったり食事に行ったりしているようだから、そんな2人が話し込み始めたということは、だんだん飽きてきて帰りたくなったんだろうな・・・と思った。時計をみると、もうすぐ午前4時になろうとしていた。
2006.02.21
コメント(0)
そんなこと言っても、岩崎くんの隣に座っているときがやっぱりいちばん安心だった。みんなの歌を聞いていて、ふと隣をみると、岩崎くんも、あたし同じように右を上に足を組んでいる。あたしがグラスをもってウーロン茶に口をつけると、隣で彼もちょうど飲み物を口にしたところだった。心理学の本かなんかで、仲の良い相手と一緒にいるといつの間にか、箸を口に運ぶタイミングや足を組み変えるタイミングが合うことがよくある、と読んだことがあった。そういうのを“シンクロニティ”と言うらしい。岩崎くんと2人で飲みに行ったとき、タバコをふかすタイミングやグラスを手にするタイミング、頬杖をついたり足を組んだりするタイミングが合ってしまうことが良くあった。そういうとき、彼の生きている波動を、確かに感じていた。自分以外の誰かと繋がっているという感覚。それはあたしの人生にとって貴重な、孤独から開放された時間だった。
2006.02.20
コメント(4)
岩崎くんは、相変わらず音程は微妙だったが、美声とセリフのうまさはピカイチだった。やっぱり、セリフがうまいのとウソがうまいのはリンクしているんだな。2枚目じゃないから俳優はダメでも、詐欺師には絶対なれる。・・・実際今だって、彼女のゆかちゃんは完全に騙されているのかも知れない。そんな男に魅かれてしまっているあたしもどうかしている。でも、恋愛は理屈じゃないので仕方がない。
2006.02.19
コメント(0)
そんなこんなで1次会はのどかに楽しく終了し、店を出ることにした。会費は女性3千円、男性4千円だが、なぜか会計のときに岩崎くんがぎこちない様子をみせたので(・・・あ、幹事様無料プランか?!)という疑いが頭をかすめたが、彼が手配してくれたわけだし飲み放題プランだからまあいいか・・・と見なかったことにした。たっちゃんと、天海くんと、松島さんは、それぞれ次の日朝から仕事や予定があるので帰ってしまったが、その他の人みんなで2次会はカラオケに行った。そこに、岩崎くんや佐野くんの中学時代のお友達、藤澤くんが登場した。彼はバーテンダーで、最近いよいよ自分のお店を持つことになってその準備で遅れたらしい。これで、もうそんなことどうでも良くなってはいたけれどまた合コンらしく男女4対4になった。カラオケが始まると、すでに酔いも回ってリラックスしていたのでみんな好き勝手に席を移動していた。ケンちゃんはドラマーだけど、やはりミュージシャンだ。歌もめちゃくちゃ上手だった。佐野くんはバンドの練習のときに聞いたことあるけれどさすがにうまい。ちょうど、あたしが佐野くんとケンちゃんの間に座っているときに2人がハモリの曲を歌ったので、両側から発される声が身体の中で共鳴して、違う世界へ誘われるようだった。
2006.02.18
コメント(2)
佐藤さんは、好みのイケメンはいないようで、いまいちノリが悪く見えた。彼女のように、恋愛および結婚を真剣に考えているタイプには、とりあえず、ただ楽しく盛り上がったりすることには、エネルギーを注ぎたくないのかもしれないと思った。彼女の好きな、原田龍二に似ている男性はいなかったから、仕方ない。長野さんは、真面目でかわいい子なのだが、性格が超個性的だった。男の人に対して、どうにも引かれそうな話の展開をする。岩崎くんに「長野ちゃんて、コワイよぉ。」と耳打ちされてしまった。キャパシティの広い彼がそう言うのだから、むずかしい。そんな感じで盛り上がりに欠けているところがあるとは知りつつも、あたしは自分が楽しむことに専念していた。岩崎くんが、静かになっている人に声をかけたりして頑張っているので、そこらへんの気配りは彼に任せることにした。だって、願わくばあたしも彼氏欲しいし、一応そのための合コンなんだもの。松島さんは、合コンに誘ったあと、急に彼氏ができてしまった。でも、それは隠して参加してくれた。相手は、『ハレルヤ』にずっと乳製品を配送している森田さんだったので、彼女は冷やかされるのを恐れて、店の人達に秘密にしていた。佐野くんと舞ちゃんは、2人とも音楽に詳しいからか、いい感じに盛り上がっていた。そうしたら、なんと同じ大学の同じ学部出身だということがわかったらしい。世の中は案外せまいと思った。
2006.02.17
コメント(0)
男性陣も舞ちゃんもだいたい同い年だから、なんだかすごくリラックスできた。アルコールに弱いし、飲み会って、学生時代からあまり楽しかった記憶がないけど、今日は楽しかった。佐野くんとしゃべっていたら、「岩崎がさ、頼むから人数揃えてくれって言ってきたんだよ。」と言った。あたしが思っているよりも、岩崎くんはあたしを大切に思ってくれているみたいでびっくりしたけど、ココロにグッときた。
2006.02.16
コメント(2)
舞ちゃんには、実は同棲している彼氏がいた。もう夫婦みたいな関係なのだが、結婚とかはどうでもいいようだった。大学の美術科で知り合ったので、2人とも絵画に造詣が深くロックが大好きで、ものすごく詳しいところも一緒だった。表だっては自己主張したりしないがテレビを見て批判したり、世の中を斜めに見ている感じも共通していた。舞ちゃんの彼は、岩崎くんと同じでバンドのベーシストだったが、やはり岩崎くんよりぜんぜんうまかった。舞ちゃんはあたしの人生にとって、キーパーソンだった。パソコンスクールのバイトで知り合って、同い年で、しゃべってみたら率直でしゃべりやすくて、ちょうどあたしがパソコンを習って絵に興味を持ち始めた頃だったので、舞ちゃんが通っている絵の学校にしばらくしてあたしも通うようになった。タバコとコーヒーが大好きで批判的でシニカルな一面も持っていたが、身近な友達にはやさしかった。舞ちゃんがあたしの絵を褒めてくれるので結構それに励まされていた。
2006.02.15
コメント(0)
ケンちゃんは、レコード会社に所属しているプロのドラマーだ。「どんな曲やっているの?」と聞いたらなぜか急に黙って、遠くを見つめる視線が少し泳いだ。そうか、・・・どうやらしゃべりたくないらしい。ミュージシャンって、憧れの職業だと思うけれど、いろいろたいへんなんだと思った。佐野くんは、中学時代から一緒にバンド活動をやったり岩崎くんの最も親しい友人だ。彼は『さかなくん』に負けないほど魚に詳しく、その魚好きと、写真好きとダイビング好きが高じて学生時代に休学してオーストラリアに行ったり、ここ2~3年は沖縄に住んだりしていた。最近、東京に帰ってきてプロレス団体のマネージメント会社に就職したそうだ。小柄で華奢なので、体育会系には見えないが、学生時代はプロレス同好会に入っていたらしい。・・・みんな年齢も同じくらいで、モラルの崩壊している岩崎くんの友達にしては、普通に分別があって落ち着いた男性に見える。合コンって、品定めするような目線でみられたり一夜限りの関係を狙って来ていたり、怖いようなイメージを持っていたけど、そういう、獲物を狙うような雰囲気を醸し出す男の人は誰もいなくて安心した。
2006.02.14
コメント(1)
個室は、掘りゴタツになっていた。まだみんな控えめで、奥に女性、手前に男性が1列に座った。「まぁ、途中で席替えするからな。」岩崎くんは、すでに気合い十分だ。天海くんは、製薬会社に勤めていて、やさしくておだやかそうな人だ。赤いシャツを着ていたが、派手に見えずしっくり似合っていた。今回の男性陣の中では、唯一、いわゆるサラリーマンだ。沖縄に住んでいた佐野くんと、旅行に行ったときに知り合ってときどき飲んだりするような仲になったようだ。たっちゃんも、真面目でおだやかそうな人だった。最初、職業は隠しておくつもりだったようだが、あっさり佐野くんに「こいつ歯医者な」とバラされてしまった。歯科医と言うと、お金持ちだと思って寄ってくる女性が多いから、そういうのはイヤなんだと言っていた。そんなところも、性格の良さがうかがえる気がした。天海くん以外はみんな四谷出身だが、たっちゃんは、中学の途中で埼玉のほうに転校したらしい。いまは、多摩センターで勤務しているそうだ。
2006.02.13
コメント(0)
伊勢丹の正面入口で、舞ちゃんと合流した。男性陣とは、店の前で待ち合わせらしい。舞ちゃんとは、同い年で気の置けない友達で、それに彼女は『ハレルヤ』の人ではないので、岩崎くんとエッチしちゃったら彼女がいたことや、ときどき一緒に飲んでラブホに行くことや、嘘がオニのように上手いことなども報告していた。だから、きっととんでもない男を想像していたに違いない。『遊邑RAKUZA』の入口に到着すると、男性陣が勢揃いしていた。あたしは佐野くんにもケンちゃんにも会ったことがあったから、そんなにドキドキしなかったけれど、佐藤さんは、さりげなく好みのタイプをチェックしたり、松島さんは、ちょっと緊張しながらも笑顔で挨拶していた。RAKUZAは、ウェイトレスのおねえちゃんたちの衣装が印象的だ。和服をアレンジしたもので、スパンコールだかラメだかがキラキラしているし、超ミニだった。斬新だけど上品さに欠けるかな・・・とか思った。しかし『ハレルヤ』はオーソドックスなベストと蝶ネクタイだったので、シゲキ的でちょっとうらやましかった。そして、内装が非常に凝っていた。土壁とか竹を組んだ窓とか植え込みとか、橋もあった。個室に案内されたが、もう1度入口まで戻るのに迷ってしまいそうだった。…案の定、トイレに行ったら迷った。
2006.02.12
コメント(2)
いよいよ合コン当日の土曜日、21時に仕事を終えた岩崎くんと松島さんとあたしは、早番だった佐藤さんと長野さんと待ち合わせて、丸の内線改札に向かった。岩崎くんは、新品の黄色いパーカーと細身のジーンズでガラにもなく爽やか青年風だ。遊び人のくせに初々しくて、なんだか微笑ましい。彼は、黄色がとても良く似合う人だった。女4人に男1人の状態に照れているのか、少し離れて歩いていった。土日の丸ノ内線は、とても空いていて、みんな横1列に並んで座れるほどだった。が、岩崎くんは照れて、向かい側に座っていた。「こっち座ればいいのに~。」「両手に花だよぉ。」佐藤さんとそんなことを言ってみたが、こっぱずかしいのか、寝た振りをしていた。
2006.02.11
コメント(2)
混んでいる人垣をかきわけ岩崎くんが降りていくのを見送った。立っている人の間から歩いている彼の姿を目で追ったが、すぐに見えなくなった。(あぁ、濃い時間だったな。)我に返って、ちょっと悲しくなった。合コンには、一緒にバリに行った佐藤さんとしっかりものの松島さんと、2年目の社員の長野さん、それと、絵の学校のお友達の舞ちゃんを誘うことにした。佐藤さんは3つ年下、松島さんと長野さんは9つも若い。舞ちゃんとは同い年だ。以前通っていたパソコンスクールのバイトで知り合った。いま通っている絵の学校も、舞ちゃんが通っていたので存在を知ったのだ。男性陣は、岩崎くんと、バンドの佐野くんとケンちゃん、岩崎くんと佐野くんと同じ中学のお友達のたっちゃん、佐野くんが沖縄時代に知り合った天海くんだ。あたしにいい男を紹介してくれるために合コンしてくれるという本来の目的からすれば、佐野くんとケンちゃんにはもう会ったことがあるし、仲間うちすぎる気もした。しかし、きまぐれの岩崎くんが幹事をやってくれるんだから、そのこと自体に感激していた。誰かがあたしのために何かしてくれるなんて貴重だと思った。・・・でも、その上ワガママ言えるなら、願わくば、あたしは岩崎くんの彼女になりたいと思っているのだからフクザツなのだ。
2006.02.10
コメント(2)
「ライブとかまだやらないの?」「うん、やりたいんだけどさ。 まだ1曲ずつ、エンディングとかアレンジを 決めていってるところなんだ。」前々からやりたいと言っている割にはなかなか実現の方向に進まないらしい。「先にどこか場所押さえちゃって 締め切り決めたほうがやれるんじゃない?」「たしかになぁ。 一応、佐野が曲選んだりまとめ役してるけど、 いまいちリーダーとか決まってないから 行動力に欠けるところあるんだよな。 オレもまだ具体的に話進めるほど、自信ないからさ。」「・・・そうかぁ。 まぁ、オトナだから、それぞれ仕事とかも いそがしいしねぇ。」・・・岩崎くんが、元気にしゃべっていればそれだけであたしもウキウキしちゃうから、いつも、とぎれないように、話していたかった。「ねぇ、合コンいつやってくれるの?合コン。」「あぁ、そうだなぁ。・・・今から誘ったり予約したりするから、 2月の後半くらいがいいんじゃない?」「わぁい!じゃあ岩崎くんが場所とか決めてくれるんだ!?」「女性はひろちゃんが集めてよぉ。」「えぇっ、・・・うーん、まぁ、誘ってみるよ。 じゃあ、正確な日にち決めちゃおうよ。」「そうだな・・・。第三土曜日くらいでどうだ?」「うん・・・、じゃあ、21日だねっ!」とりあえず、プライベートで遊べる約束ができて、よかったと思った。しかも合コンだし。ふと窓の外を見ると、新宿御苑だった。あと一駅か、と思った。
2006.02.09
コメント(4)
しゃべりたいこといろいろあったはずなのに、ただ隣にいるだけで、満足していく自分に気づいていた。幼い頃のように、なんの憂いもなくなって自由に解き放たれていく。・・・でも、新宿三丁目には17分程で到着してしまう。2人だけのときにしゃべりたいことしゃべらないと次はいつ一緒に帰れるか、遊べるかもわからないから、がんばって話さなくちゃ、と思った。「・・今日、いそがしかったよねぇ。」「あぁ、予約が2つあったしなぁ。」予約は10人くらいの団体が多かったし、コース料理を出すので、調理場は大変だった。「最近はバンドの練習してるの? ケンちゃんと佐野くん元気?」「うん。2人とも元気だよ。 こないだの土曜も練習あってさ。 終わった後、ケンちゃんの車で横浜にドライブに行ったんだ。」「へぇ!明け方にドライブなんて、若者みたいじゃん。 ベイブリッジとか通った?」「あぁ。久しぶりに、海とか見たよ。 でもさ、ケンちゃんの車、ポンコツだからさ。 ハンドル交換してすごい小さいのにしてるんだけど、 それが途中ですっぽ抜けたりしてさ。スリリングだったなぁ。」なんだか、すごく、楽しそう。「でさ、帰りに黄金町通ってきたんだ。」「なに、黄金町って?」「まぁ、知らないならいいんだ。」「・・・あ~、吉原みたいな感じ?」「・・・でも、店には入らなかったけどな。 意外に、ケンちゃんも興味あったみたいだな。」(ぢつは入ったんじゃないのぉ?)と思ったがツッコむのは止めておいた。それに、岩崎くんみたいにわかりやすくエロでなくても、男の人はやっぱそういうの好きなんだろう。
2006.02.08
コメント(2)
最近は、岩崎くんも呼び鈴を長鳴らしすることもなく、平穏な『ハレルヤ』での毎日を送っていた。年末年始も過ぎた1月のある日、23:41発荻窪行きの5号車に座って発車を待っていたら、岩崎くんが、ちょうど階段を降りて駆け込んできた。「・・早いじゃん。」「だって、銭湯閉まっちゃうもん。」荻窪行きの最終に乗ると、銭湯に行っても、もうジャグジーの泡は止まっているし、最後はお湯の循環も止まり、照明も一段階落とされ、25時をまわれば端から掃除を始めるので、せかされるように上がらなければならない。だから、できれば41分には乗りたいと思っていた。でも、岩崎くんは0:21分新宿行きの最終まで電車があるので呑気に調理場の人達と飲んでいることもしょっちゅうだから、一緒に帰りたいなと思っていても急いで先に店を出ることが多かった。ほとんど毎日顔を合わせているのに1週間ぶりに2人きりでしゃべるとなると、このチャンスにしゃべっておきたいこと、全部思い出そうとしてドキドキした。
2006.02.07
コメント(1)
バリのタバコは『ハレルヤ』の愛煙家の不評を一身に受けたが、その予感は買ったときからうすうすあった。何種類か買っていったが、どれもこれも、不思議な甘い匂いがする。しかもかなり強力だ。ためしに自分でも吸ってみたが、匂いだけでなく口に甘い味が残る。甘いもの好きの清水さんも、さすがにダメみたいだった。日本のタバコとは全然違った。岩崎くんには、個人的にはなにも土産を買っていかなかった。以前彼が沖縄に旅行に行ったときに「泡盛買ってきて。」と言ったら「できたらな。」と言いながら買ってきてくれなかったからだ。しかも、バリに行く直前にあんなにムカつくことがあったのでとても買う気にならなかったのだ。ひととおり、ホールのみんなに土産を配り終えてもまだまだ、タバコが余っていたので、佐藤さんが岩崎くんにタバコをあげた。まんざらでもなくうれしそうな顔をしていたが、後日、「・・・なんだあのタバコ。すごい味だな。」と言われた。う~ん、・・・やっぱりね、想像を超えていたみたい。
2006.02.06
コメント(0)
piyosakuraさんからいただきました!Q1.初デートの待ち合わせ、相手が理由もなく1時間遅刻。不機嫌になる。おごってくれたら機嫌が直る(^^;)Q2.デートの時、相手がありえないような服装。そのときのあなたの一言は?「それどこで買ったの?」と探りをいれる。Q3.デートの時、相手が携帯ばかりいじってて、そのときのあなたの一言は?「だれから?」と聞いてみる。Q4.ご飯を食べて、会計に行こうとした時に相手が「ちょっとトイレ行ってくるから、先に行ってて!!」 そこで一言。「わかった」と、とりあえず会計を済ませ、あとで請求する。Q5.相手の人とお揃いの携帯にしたい!! とか思ったことありますか?ないですねぇ、オリジナリティ重視です。Q6.付き合ってまだ1ヶ月。親に紹介してほしいと相手に言われました。とりあえず、お茶をにごしておく。相手がどういう気持ちでそう言うのか考える。Q7.大好きな人から結婚を申し込まれました!! 即返事がほしいって。あなたはなんて答える? 大好きなら勢いでOKしてみます、人生冒険です。Q8.次にバトンを回す5人。これを読んだ方、良かったら貰ってください☆ミ
2006.02.05
コメント(0)
大好きな人の胸の中で目覚めた。なんと幸せな朝だろう。日だまりのようなぬくもりにつつまている。あれ・・・でもここはどこだろう?いつの出来事だろう。ラブホ?春のような日差しだから、違うか。この褐色の見覚えのある胸板は、岩崎くん?・・・いや、野上くんだったっけ。純粋だったな、野上くん。でもどちらにも似ている。それとも違うだれかだろうか。とても懐かしくて、暖かい・・・。・・・そのとき、遠くでなにか鳴っているのが聞こえた。これは、・・・目覚ましの音だ。・・・あぁそうか。まだ半分夢の中にいたんだな。今、あたしは自分の部屋にいて、季節は秋で、布団から出ると少し寒い。南の島のバカンスも終わり、今日からまた『ハレルヤ』だ。
2006.02.04
コメント(0)
最終日の午前中、「プールはいいや。」という佐藤さんを部屋に残し、あたしは軽く泳ぎにいった。日差しがキラキラ美しいプールをのんびり泳いでいると、20代後半くらいの日本人女性と50代くらいのお金持ちそうなヨーロッパ系男性がイチャついているのが視界に入ってきた。なにげなく会話を聞いていると、女性がちょっとしりにしいている感じだ。・・・特に美人でもないしスタイルもポッチャリだし、国際交流好きそうなタイプにも見えないのに、リッチな外人とどういう関係なんだろ?と思った。横目で観察しながら(美人でなくてもスタイル良くなくてもなれるなら、あたしもお金持ちの愛人になりたいなぁ・・・)なんて、ボンヤリ考えた。プールの一角にはプールバーがあった。すでに前日見つけて、(入ってみたい!)と思っていたが、(・・・お金はどうやって払うんだろう?)それが心配で、まだ入れずにいた。しかし今日が最終日、2~3回、あたりを遠巻きに往復してからようやく、バーに近づいてみた。60代くらいのバーテンダーはにこやかで、やさしそうだったので勇気を出して『How money・・・?』と、文章にできてない質問をしてみた。『・~・Room number,~・・OK~』・・・どうやら、部屋番号を申告すればチェックアウトのときに一緒に会計する仕組みらしい。安心して、メニューのなかから、ココナッツ系のオリジナルカクテルを注文した。(水中イスに腰掛けてカクテルを飲むなんて、めったにできないよなぁ。)南国の光とアルコールのほてりに、風がとても心地よかった。午後は、いかにも観光用スポットなのだけれど、時間もあるし、サービス券も貰っていたので『プラザバリ』へ行った。もう『ハレルヤ』の仲間や家族などへのお土産はひととおり買ってあったので、なにかいいものあったら・・・と思っていたが、ちょうと欲しい形のアロマポットが見つかったので、うれしかった。佐藤さんと、『レゴンダンス』の衣装で記念撮影してくれる写真館に入りたいね、と、話していたが、予約でいっぱいで、残念ながら入れなかった。あたしたちのバカンスも、そろそろ終わりに近づいてきた。夜、デンパサール空港を立ち、帰りはジャカルタ経由で10時間の飛行だ。ジャカルタでは、飛行機からいったんみんな降りて空港をブラブラして時間をつぶすのだが、ほとんどの売店がちょうど閉店頃だったので、(寂しく果てしない異国の空港をたくさん歩く)という感じになった。日本は、まだ午前中で、良く晴れていた。京成の青砥で佐藤さんと別れ、新宿行から荻窪行に乗り換えるために降りた四谷駅の緑が「あぁ、日本に帰ってきたな。」と感じさせてくれた。
2006.02.03
コメント(0)
バリ旅行を通して、最も美味しかったのはホテルの朝食だった。・・・こう言うと、他がいかに美味しくなかったかのように聞こえるが、まあ、他はたしかに微妙なのが多かったが、でも、ブレックファストのすばらしさがピカイチだったと思う。テラスから見える中庭の美しさも夢のようだった。・・・すぐそこの池には睡蓮があちこちに佇み、生き生きとした南国の木々の緑には、ブーゲンビリアやハイビスカスの濃いピンクが鮮やかに彩っていた。だから、ついつい朝からしっかり食べてしまう。ビュッフェスタイルで基本的にヨーロッパ(?)なラインナップだが、地元バリはもちろん、各国料理もそろっていた。ハムやソーセージ、ベーコン、それに卵料理は実演販売だ。「スクゥランブルゥ」とか「ベイクッド」とか慣れない発音で言うと、その場でコックさんが作ってくれる。いろいろな種類のパン、焼き菓子、おかゆ、各種シリアル、なかでも一番ウットリだったのは焼きたてのバナナパンケーキだ。ハチミツとかメープルシロップを好きなだけかけてほおばれば、朝っぱらから昇天しそうだ。南国のフルーツも魅力的だった。メロン・マンゴー・パイナップル・スイカ・パッションフルーツ・マンゴスチン・・・。日本では食べたことのないスターフルーツなどもあった。ついつい各種、試食したくなってしまった。・・・しかし、不思議な点があった。野菜料理がひとつもないのだ。材料の1つとして僅かに入っているものはあっても見るからに『野菜』というものがない。ハムやウインナーの下に敷いてあるレタスくらいしか見つからなかった。主食類、肉・魚・卵・豆類、乳製品もあるし、果物や飲み物だって、もういろいろ全部あるのに。バリでは朝食に野菜を食べてはいけないかのようだった。不思議だけれど、その訳はいまも謎のままだ・・・。
2006.02.02
コメント(0)
ダイビングから帰ってきて午後は、ホテルの周辺を散策することになった。・・・と行っても、ヌサドゥア整備地区を出るのに炎天下を15分程歩くので、そこでかなりぐったりだ。整備地区はゴミ箱のデザインが非常に凝っていて、カエルが2匹絡まり合ってゴミを入れるカゴを持っていた。そこからさらに10分位歩くと、ようやく『Tragia』という、いわゆるスーパーに到着した。食料品はもちろん、煙草、酒、洋服、土産物も各種取り揃えていた。佐藤さんもあたしも、夢中になって見てまわった。いろいろなものがあって、とても楽しかったが、愕然としたことは、初日に土産物店で買ったものと同じものが売っていて、しかも半額以下だったことだ。バリコーヒーとか、木彫りの灰皿とか、ココナッツ石けんとか・・・。・・・まぁ、しかたがない。これも勉強だと思い、気を取り直してショッピングを続けた。そうしたら、缶入りラムコークが激安で売っていたのでつい買ってみたが、あとで飲んだら薬っぽくて、ダメだった。その日はバリ最後の夜なので、トランクからワンピをひっぱり出して、ホテルのメインダイニングに食事に行った。薄暗い階段を上ると、おねえさんが、あたし達の耳元にプルメリアの白い花をさして迎え入れてくれた。そして、中庭に面した広いテラス席に案内してくれた。ろうそくの明かりがほのかに灯り、向こうのプールには、月が揺れていてとても良い雰囲気だった。せっかくなので、コースをたのんでカクテルで乾杯した。料理は、盛りつけはさすがにステキだったが、味は、どれも微妙に塩気が強かった。バリ人の好みはこれくらいなんだろうか?デザートは反対にしっかり甘いのだが、バナナのテンプラや、ココナッツ餅のようなものなどは、とてもおいしかった。カップルで来るとよさそうな店なので、「こういうところ、彼氏と来たいよねー。」と佐藤さんは言った。レストランにいるときからなんとなく気配は感じていたが、部屋に帰って、明るいところで足を見たら膝下を中心に、20カ所くらい蚊にさされていた。「あぁ、やっぱり・・・。」「・・・なんかずっとムズムズしたもんねぇ。」そんなオマケがついていた。
2006.02.01
コメント(2)
全28件 (28件中 1-28件目)
1