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うすいベージュのキャミソールにデニムのサブリナパンツ。岩崎くんの話から想像していた地味な女性ではなく、化粧っけはないけれどかなり男性をそそる服装だと思った。きっと、彼とのデートだからに違いないけど。・・・でもなんかしっくりこない。岩崎くんの開放的で自由奔放な笑顔とその後ろにいた彼女の人見知りで潔癖そうな表情。水と油みたいに正反対だと思った。やっぱり彼女は完全にだまされているかもしれない。だって、子供みたいに人見知りして黙っているなんてかなり純情な人だろう。数々の彼のウソに感づいていながらも付き合っているという印象が持てなかった。複雑だった。たとえば、彼女が懐が深そうな大人の女性でなおかつ、岩崎くんの明るさと共通の強さを持っているならば、とてもお似合いのカップルだと思ったろう。もしくは天然でとっても個性的なタイプとかでも納得いっただろう。お似合いな2人を見れば、納得して身を引く気持ちが出てくるかもしれないと思ったけれど、逆だった。よけい心に火がついた気がした。2人帰ってほんとにすぐ、まいちゃん達が帰ってきた。「ちょうど今、岩崎くん達帰っちゃったよ。」そう言うと「え~っ、あたしも彼女見たかったのに!」そんなことを言った。あたしも見てほしかったと思った。そしてあたし以外の人の客観的な意見を聞きたかった。
2006.07.30
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2人は絵を見終わってしまって、まだあたしもまいちゃんも戻ってこないから諦めて帰るところだったらしい。岩崎くんに一目でも合えて、神に感謝した。と同時に、唯一席を離れている間に来るなんて・・・という気持ちも沸いていた。「来てくれたんだ!?」「あぁ、来るって言ったじゃん。どこ行ってた?もう見終わっちゃったじゃねぇか。」「だって~。もう来ないのかと思ったから、ご飯食べに行っちゃったよ。」岩崎くんの陽気な笑顔とは相反して、彼女は人見知りをする小さな子のように、岩崎くんの斜め後ろに隠れるようにしてはずかしそうに立っていた。少しオドオドしているようにも見えた。彼女はあたしと同い年のはずなのに、意外だった。このくらいの歳になれば、お愛想でもにこやかに挨拶するか、それとも敵対心をあらわにするか、どちらかするのではないかと思っていたのに。「せっかく来てくれたから、みんなで写真撮ろうよ!ゆかさんも一緒に。来てくれた人とみんな撮ってるんだ。」彼女が乗り気じゃないみたいで2人ともその場から動いてくれなかったのでその提案は流れた。彼女はお手洗いに行くと言い、その場を離れた。「・・・本当に絵見てくれた~?ねぇ。じゃあどの絵が良かったか言ってみてよ。」「そうだな~、あのネオンサインと花が描いてあったやつが良かったかな。彼女はまいちゃんの絵が好きだって言ってたよ。広い部屋に住んでたらああいう絵を飾りたいなって。」「もうすぐまいちゃんも戻ってくると思うよ。」「そうか。でも今日はここ来る前にもいろいろ歩いて、彼女が疲れたって言うからさ。もうそろそろ帰るよ。まいちゃんによろしく言っといてよ。」「・・・わかった。きっと残念がるよ。」そんな話をしていたら、ちょうど別のお友達が訪ねてきたので、慌ただしく2人を見送った。エレベーターに乗り込む二人を目の端で追いながら、友達が元気よく話し始めた近況に相槌をうっていたが、全くうわの空だった。
2006.07.16
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地下の蕎麦屋であたし達は冷やしとろろ蕎麦を食べていた。彼は来ないとほとんど諦めてはいたものの、友達とのおしゃべりにも身が入らずに携帯電話の電波が悪いことが気になって仕方なかった。そば湯で割ったそばつゆのわさびが思いのほかツンと効いて、諦めと期待でいっぱいになっている心臓をシゲキした。小一時間くらい蕎麦屋にいただろうか。そろそろ戻ろうかということになり友達を駅の近くまで送って会場のある4階に戻るためにエレベーターに乗った。エレベーターが開くと何人か、降りるために待っていた人がいた。そのなかで、赤いTシャツを着た男の人が人なつこい笑顔を容赦なくこちらに向けてきた。・・・一瞬誰だかわからなかったが、確かに彼が立っていた。どうやら散髪に行ったらしく初めて見る短髪だった。そしてゆかちゃんが隣にいた。目が大きくはっきりした顔立ちの、でも人見知りで他を寄せつけないような潔癖さを滲みだしていた。以前、京葉線できっとそうだと予測していたひとがやはり彼女だった。
2006.07.09
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