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『炙りや』を出て、歌舞伎町から三丁目方面をブラブラ歩いていた。もう午前3時近いというのに、この街はまだまだ人であふれている。『Clarks Dale』の扉を開けると、ラフなファッションの男性2人組とサラリーマン風の1人、薄暗い店内に佇んで見えた。あたし達は、その間の席に座った。マスターのヒロちゃんはあたしたちと同い年らしいが、いまだにとんがった性格をしていた。・・・こういう人が、真にワルなのかも知れない。いかにも普通で、美人でも色気がある訳でもないあたしみたいなのはバカにしているような雰囲気があった。岩崎くんは一見普通に見えて、実はまったく破天荒な男なのでヒロちゃんとは、ウマが合うのかも知れない。しょっちゅう飲みにきているようだった。あたしは1人ではとうてい来る気にはなれなかった。日曜日なら、担当しているユウちゃんが、にこやかで人当たりもやわらかなので、1人でも来たいと思ったけれど。岩崎くんには、2つ年下の妹がいた。彼女は、中学時代は岩崎くんよりも非行に走っており、自宅で友達とシンナーを吸ったり、恐喝をして警察に補導されたりしていたそうだ。そんな彼女も、いたって普通な広告会社のサラリーマンと結婚していまは2児の母だそうだ。妹さんに比べれば、岩崎くんは、表立っては派手な行動はしていなかったらしい。でも影で暗躍していたようだ。「いまは時効だと思うけれど、ホントひとには言えないようなことしてたからな。」・・・なにをしていたんだか、興味津々だ。
2006.03.21
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彼は、きっと女の子のキャパは非常に広いと思う。なんせ、3ケタなわけだし。来るもの拒まず去る者追わなさそうだし。お勉強とか嫌いなタイプだけど女の子を喜ばせる方法とか、相手に合わせる術とか、そういうところはとっても長けていた。でも一番の才能は、なんでも楽しんでしまえるところだ。その自由さと広さに、あたしは、どうしようもなく魅かれていたんだと思う。
2006.03.20
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彼は、お酒はだいたいなんでもイケた。芋焼酎は、匂いが苦手だと言っていたが、それ以外のお酒は、日本酒も、焼酎も、ワインも、ウイスキーも、OKだった。特に好きなのは、ジンと日本酒みたいだ。食べ物は、案外苦手なものが多くてというか、ネギとタマネギが嫌いなのでそれらの入った料理がたくさんあるということなんだけれど。(重要な基本食材なのに、しかも調理人のくせに、ネギ嫌いで大丈夫なのか)と思うけれど。あと、甘いものも全然ダメだ。1口も食べないくらい必要ないらしい。コーヒーや紅茶もほとんど飲まない。甘いものは嫌いだけれど、コーヒーには砂糖とミルクをいれる。好きな食べ物はチーズがトッピングされたようなものとか、イタリアンはいろいろ好きみたい。あと、竹輪のテンプラとか、練り物系も好きみたいだ。よく、居酒屋で注文している。あたしは、お酒は、とっても弱くて、日本酒やウイスキーはほとんど飲めない。ネギやタマネギは大好きだ。サブウェイでタマネギを抜いてもらったり、そばの薬味のネギを入れないなんて、気が知れない。毎食デザートが欲しいくらい、甘いものは大好きだ。お酒がダメなかわりに、コーヒーや紅茶は大好きだ。でも、チーズがトッピングされたようなものは大好きだ。イタリアンも好き。
2006.03.18
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その夜は、たしか水曜日だったと思う。思いがけず、あたしにとってはインパクトの強い、長い夜のはじまりだった。『ハレルヤ』を終え、どうやら彼女とケンカしているらしい岩崎くんと新宿は歌舞伎町の『炙りや』という居酒屋に行った。暖かい季節になってきていたので仕事後のビールは身体に沁み込む感じがした。「ここ、料理がけっこう美味しいんだよ。」彼が言う通り、アボガドロールもポテトのチーズ焼きもアジのお造りも、どれもうまかったし、付け合せや盛りつけもよかった。エビのマヨネーズ炒めは、彼の好きな一品だった。メニューにそれがあると、いつも注文していた。ここのは、エビもプリっプリだ。
2006.03.17
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そういえば、高校時代、よく渋谷で遊んでいた彼は、マクドナルドなどで、店に入って最初に目が合った娘に突進して行くという方法でナンパをしていたらしいと言っていたから、そういう人から見たら、躊躇し過ぎになるのかも知れない。それにしても、「腹をすかせたオオカミ」とか「狙った獲物は絶対逃がさないハンター」のようなどうもうなナンパ法だと思った。「でも、案外確率高いんだよ。」相手の娘も目が合った瞬間にある種の運命を感じちゃうのかも知れない。袖触れ合うのも多少の縁と考えれば、たしかに、縁があると言えなくもないし・・・。・・・岩崎くんのその積極性を少し分けてほしいくらいだ。
2006.03.16
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舞ちゃんとあたしには、ケンちゃんが1番人気だったと伝えたら、「なんだよ、言ってくれれば良かったのに。」と彼は言った。「・・・だって、岩崎くんがケンちゃんは松島さんみたいな色白でとってもスリムな娘が好みだって先に聞いちゃったからさ。」「そうだったっけ?でも、そんなことかまわず、いいと思ったら行っちゃわなきゃ。」などと岩崎くんらしいことを言った。
2006.03.15
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帰りの電車で、合コンのときの話をした。岩崎くんが話してくれたことには、佐野くんには実は胸の大きな彼女がいるそうだ。昔からそういう女性に魅かれてしまう性分らしい。(なんだよ~、合コンなんだから、ほんとに彼女いない人にしてよ~。)と、思ったが、佐野くんが足りないメンバーを集めてくれたらしいし、仕方がないか。
2006.03.14
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『ハレルヤ』は、ビヤホールか居酒屋のような店なので、冬は牡蠣鍋やおでん、春は筍の刺身やふきのとうの味噌和えなど、およそ洋食レストランらしからぬメニューも登場した。最近春だからなのか、ときどき(1時間過ぎてるのに、岩崎くん休憩から戻ってこない)と思っていると、あわてて寝起きの顔でタイムカードを押しにきたりして、30分ぶんの時給を損したりしていた。松島さんに、岩崎くんから返してもらったお金の半分を渡すと、「ひろちゃん、つおいねぇ。」と言われた。そうなのか、と思った。
2006.03.13
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この日の岩崎くんは、少し調子に乗りすぎていた。松島さんが引くような発言も少しみうけられた。翌々日、『ハレルヤ』で顔を合わせた岩崎くんはバツの悪そうな顔をした。あたしも、怒り心頭だったので仕事帰りの喫煙所で黄色いパーカーで一服していた岩崎くんに、「自分がなにしゃべったか覚えてるの?」「・・・楽しくない飲みなのに、ワリカンは納得いかないんだよね。」と、詰め寄った。また、バツの悪い顔をしていたから「もしかして、覚えてないの?」と聞くと、「・・・途中から、ちょっとな。」どうやら、酔っぱらって記憶がないらしい。初めて岩崎くんと飲みに行った次の日もそういえばバツの悪い顔していたなぁ、と思い出した。(そうか。そういう顔をしたときは途中から記憶がないときなんだ!)初めて納得がいった。それにしても、一昨日の飲みは岩崎くんひとりで楽しんじゃってる感じでタダでさえ、ストレスがたまっていたから飲みに行ったのにさらにストレスがたまった感じで思い出すほどにムカつく。「いっつも、岩崎くんがたくさん飲んでるだから金返してよね~!!」と、涙目で怒りをぶちまけた。そうしたら、「・・・これでいいか?」と1万円を財布から出した。案外、あっさりと折れたのでビックリしたが、松島さんとあたしが払った額とほぼ同じだったので、とりあえず、スッキリした。
2006.03.12
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松島さんは、生ビール、岩崎くんは、ギネス、あたしは、ジン・フィズで乾杯した。松島さんは、『ハレルヤ』で3年くらい前から働いていて、岩崎くんはもっと長く、5年くらいいるので、あたしが知らない時代の人間関係についても話題になった。以前、岩崎くんが付き合っていた彼女が、すぐ近くにある系列店で働いていたそうだ。今はもう辞めていないようだが。その彼女は、松島さんの元カレが、松島さんと付き合う前に好きだった女の子なんだとか。社員の宮島さんは、昔、高倉さんと付き合っていたかとか。岩崎くんと2人で飲みに行ったときは話す相手は、必然的にあたしになるわけだけど、今回みたいに3人で、しかもバーテンの娘とも親しい店だと松島さんに気を使って話を振り、お店の子に説明し、しかも、女の子に囲まれてイイ気になってあたしをオチに使ったりした。最初は楽しく話を聞いていたが、岩崎くんが、2~3回カチンと来ることを口走ったのでだんだんストレスがたまってきた。親しいから後回しにされるということもあるけれど、あたしだって、発散したくて飲みにきたんだから楽しくなかったらやりきれない。でも、松島さんや店の女の子は楽しげに聞いているのでこの雰囲気をブチ壊す訳にも行かずとりあえず、愛想笑いで過ごしていた。
2006.03.11
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松島さんもいるので、安心して肩肘張らずに、でも品よく飲めるショットバー『24th street』に行った。彼女は焼酎好きだし、普段は安めの居酒屋によく行っていてこういうお店は初めてのようだった。岩崎くんは、家から近く常連なので、バーテンの真子ちゃんやゆきこちゃんからいつもチヤホヤ扱われていた。彼自身、いつも陽気に飲むたちなので、店員さんも、他の難しいお客さんの相手をするより岩崎くんと軽口たたいてるほうが気が楽で楽しいのかもしれない。カウンター席に、彼を真ん中にして、右に松島さん、左にあたしが座った。
2006.03.10
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「いいけど。」「わーい。」「松島もいたよな。さそってみたら?」「え、いま出たところだから・・・、じゃあ、ちょっと待ってて!」ロッカーを出て1分くらいの、改札手前で松島さんに追いついた。「松島さん、今日飲みいきませんか?」「今からかぁ・・・どうしようかなぁ。でも、明日仕事夕方からだし、行っちゃおうかな。」松島さんは焼酎が好きで、結構、仕事帰りに彼氏とかと飲みに行って、朝まで飲んで、あまり眠らずに次の日も出勤したりしていた。仕事同様、遊びにもアグレッシブな人だった。『ハレルヤ』は、平日は23時閉店なので、それから飲みに行くということは、当然始発コースなのだ。
2006.03.09
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『ハレルヤ』の帰り、松島さんと店をでて新しくなったロッカー室に向かうと男女共有スペースにできた喫煙所で岩崎くんが一服していた。今日は、紺色のトレーナーを着ている。いそいで着替えて行ってみると、まだいた。となりに座ってバージニアスリムライトを1本吸った。その頃あたしは日に2~3本くらい喫煙するようになっていた。「ホステスがよく吸ってる銘柄な。」彼はそんなこと言った。ストレスがたまっていたので「今日、飲みいこうよぉ。」と言ってみた。
2006.03.08
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そんな感じなので、あたしは、財布はロッカーに置いてきて、その日使う現金だけ小分けにして持つようにした。他の人達も、忘れると困るので貴重品袋に預ける人は少なくなった。・・・結局、お金を盗んだ犯人はわからないまま日々は流れていった。状況的に内部の犯行の可能性が高いため、むやみに疑えないし、深追いしても後味が悪いことになるので、再発もなかったし、まぁ、これで良かったのだろう・・・。
2006.03.07
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何人も被害者がいたので、店長は、貴重品袋を作った。出勤したら、財布をその中に入れてレジをあずかる社員が、その下にある金庫で管理することになった。最初はみんな財布をあずけたが、そのうち、帰りに受け取るのを忘れて店を出て困る人が何人もあらわれた。閉店後の裏口は、外からは戻れない構造になっているので、店に電話をして中から開けてもらわなければ中に戻れない。もしみんなが店を出た後だと次の日まであきらめたほうが早くなってしまう。レジ担当の社員が、忘れている人がいないか確認してくれることもあったが、閉店作業のあわただしさにまみれてしまうことも多かった。あたしも一度忘れて、改札で定期を出そうとして初めて気づいた。まだ店に人がいたからなんとかなったけれど、もうちょっと遅かったら、お金も定期もなくて途方に暮れるところだった。
2006.03.06
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お客さんや外部の人が盗むということは場所的に不可能だ。とすると、やはり、内部の犯行だろう・・・。最近『ハレルヤ』に来た新しい人は、2週間くらい前に入ってきた朝番の島津くん。3月から転属になってきた社員の浅沼さん。スられた人は、みんな夜勤務なので、犯行はやはりランチタイムから閉店して帰るまでの間だろう。だとすると、朝番の島津くんには無理そうだ。浅沼さんは、仕事もままらなないほどのんびり屋なので常に人が行き来しているところで財布を物色したりするのは出来ないだろう。動機のありそうな人は、病院通いで体調もイマイチだし、お昼もすごく節約して金銭的に逼迫している清水さん。経済的に余裕はなさそうなのに、バリバリ働いているのは馬券を買うためかと思うくらい、毎週真剣に競馬新聞を読んでいる古市さん。あと、調理場の森田さんはプライベートが謎につつまれていて、どうやら借金があるとの噂もある。この3人には経済的動機がありそうだ。荷物を置いてある棚には、毎日新聞各紙が置いてあり、従業員が休憩のときに読んだりしている。たまに、そこでスポーツ新聞選びに没頭している岩崎くんや佐々木くんにも可能性はあるかも知れない。
2006.03.05
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次の出勤日、社員の松野くんに何となく言ってみたら、「ひろちゃんも!?俺もなんか最近、札が減ってるなぁってことあったんだ。」今年から『ハレルヤ』に転属になってきた社員の亜美ちゃんも「え~っ、あたしもだよ!!」と言うことになり、他にも聞いてみると、2~3人、そういう人がいた。これは、明らかに誰かにお金を抜かれているということだろう。みんな出勤すると、客席からは影になっているけれど、料理をとりにいったり、食器を下げたりするときに常に視界に入る棚に、荷物を置いていた。お客さんから呼ばれないときに待機している位置からも良く見える。だから、そこにある荷物から財布を物色してお札だけそっと抜き取るなんて、不可能に思えた。どんなにアイドルタイムで人手が少ないときでも、開店前や閉店後の作業中でも、いつ、誰が通るかわからない。明らかな空白の時間は、存在しないように思えた。
2006.03.04
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ここのところ、毎冬2回ほどニセコへスキー遠征している。・・・と言っても遊びだけれど。地元なので、やはりスキーは北海道に帰らなきゃ気が済まなかった。そして、そのたびに『ハレルヤ』のみんなにお土産を買ってくるのだが、圧倒的1番人気は六花亭の『マルセイバターサンド』だった。『白い恋人』や、『夕張メロンゼリー』など、いろいろ買ってきたこともあったが、それがわかってからは、バターサンド一本やりだ。好き嫌いが激しく、甘いものに非常にうるさい清水さんも納得の味だ。初めて買っていったときに、「お金払うから、こんど北海道帰るとき10個入り2つ買ってきてもらえる?」と言われたので、いままでなにげなく食べていたマルセイバターサンドを大いに見直したものだ。「冷蔵庫でよく冷やしてから食べた方がおいしいよ。」そんなことも教えてくれたりして、地元のあたしよりも愛をもって味わっているようだ。岩崎くんは、甘いものに全く興味がないので、調理場の中では、お酒もイケるが甘いものもOKな鈴木チーフとお酒が飲めなくて甘いものが好きな菅野さんと、そのときどきの洗い場のおばさんだけにお裾分けした。4月に入り、歓迎会などで『ハレルヤ』は賑わっていた。平日の夜は、背広姿のサラリーマン男性がお客さんの95%を占めるくらいのビヤホールと化していた。「とりあえず生中10個ね。」とか言われるので、みんな自然に生中(生ビールの中ジョッキ)をどんどん速く注げるようになっていった。そんなある日、仕事帰りのコンビニでお金を払おうとしたら、たしか3万はあったはずなのに1万円札が1枚しか残っていなかった。(あれぇ・・・?)たしか、先月もそんなことがあった。そのときは自分が忘れていただけかと思っていたのだが、今回は、明らかに万札が少なくなっていた。
2006.03.03
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新宿駅で、なんとなく2人だけで話してから帰りたいなあと思っていたら、舞ちゃんが「コーヒー飲んでく?」と言うので、彼女も話したかったんだなぁと思いつつ、駅地下の喫茶店に入った。「悪い人じゃないよね。」タバコをふかしながら、舞ちゃんは岩崎くんのことをそう言った。「話だけ聞いてるときは、どんなとんでもない男だろう?と思ってたけどさ。」たしかにそうだろうな、と思った。「舞ちゃんは誰がいちばんタイプだった?」「あたしケンちゃんかなぁ。」「あたしも。」いちばんクールでオトナな雰囲気のケンちゃんが舞ちゃんも気に入ったようだ。岩崎くんから「ケンちゃんのタイプは、細くて色白な娘なんだ。松島とかいいかも。」なんて聞いていなければ、もうちょっと積極的に話しかけたのに・・・なんて思った。ケンちゃんに、カラオケの時「岩崎、今日はシリとかださないでまともだなぁ。・・・2人でカラオケ行ったことあるんでしょ??そのときもこんな感じだった?」と聞かれたから、多分、2人でよく遊んでいることも知っているだろう。岩崎くんが、あたしとのことあけっぴろげに全部話してることだってあり得る。あたしが舞ちゃんに話しているみたいに。そんなケンちゃんにアタックするのは、やっぱり難しいじゃないか。そりゃあ、あたしだけを愛してくれる彼氏がいたらすごくいいと思うけれど、でも、手当たり次第、積極的に迫りたいほど、オトコがほしいわけでもないし・・・。そんなこと言ってるから彼氏できないのかな。。。「佐野くんも藤澤くんも楽しい人だったけどね。」とっても楽しい人達だし、なんといっても岩崎くんより常識の範疇できちんと地に足付けて生きている気がするから、実際、結婚とか考えたお付き合いをするなら、もちろん彼等の方が良いに決まっている。なのに、あたしは常識なんて全く意味を持たない岩崎くんのような男にどうしても魅かれてしまうのだから、やっかいだ。(困ったなぁ)と思いつつ、コーヒーをすすった。
2006.03.02
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岩崎くんは丸の内線の四谷辺りで見た白い光の話をした。あたしはその話を聞くのはは3回目くらいだから、同じところで、同じように間をおいて盛り上げようとしているな、とかそんなこと思いながら聞いていた。話が鉄道にむいたのをきっかけに、彼のトークに火が付いてしまったようだ。寝てないので、ハイテンションになってきたのかも知れない。『電車でGO』が異様に好きなことは知っていたが、ほんとうに鉄道オタクだった。酔っぱらいで夜の街が似合う、いわゆる鉄道マニアの人達とはまったく違うイメージの人間なのでなんだかしっくりこないのだけれど、どうやら、実際には行かないのに時刻表を見て乗り継ぎの予定を立てたり、車両ナンバーとか系とかチェックしてたり、そこの工業地帯で働いている人しか改札から出られない駅にも行ってみたりもしているらしい。みんな、寝てないせいかニコニコしながら鉄道話を聞いていたが、(なんか長くないか・・・)と思い始めた頃、佐野くんが「・・・っていうか、もう鉄道の話はいいだろ。」と、彼の暴走を止めてくれた。あたりさわりなくいいタイミングで止めてくれたのでさすが、付き合いの長い親友だと思った。20歳位の頃、みんなで湘南にナンパに行ったことや、その中のひとりはその時ナンパした娘とずっと付き合っていて結婚まで行きそうだとか、岩崎くんを砂の中に全部埋めて女の子が通りかかったら驚かした話とか、そのあとしばらくは目から砂が出てきた話とか、ケンちゃんは、自分が暮らしている以外に膨大なレコードコレクションのために1室借りて常に空調を効かせてあるとか、修学旅行で先生にみつからないようにお酒を買い込んだ話とか。・・・午後から予定のある人もいるのでもうそろそろお開きの時間になった。夜じゅうずっとみんなと一緒にいたのでなんだか解散するのがさみしかったけれど、もう、これ以上遊びまわる元気も残ってなかったので徒歩や地下鉄の男性陣と別れて、舞ちゃんと新宿駅に向かった。気持ちのよい晴れた日だった。こうして人生初めての合コンは終わった。
2006.03.01
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