2003年09月04日
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一切驚きはなかった。この鈍い音の正体は恐ろしく醜い情念のかたまり。
私が叫んだのは自分でも不可思議に感じている。

もうこの体を出て行こうか・・・。

生命体を渡り歩く行為を続けていると醜悪なものを目にする。どんな人間にもそういったものが渦巻いている。
私がこの男の体から出ようと半分出たとき、私には色が付いていたのであろうか?
若しくは抜け出ることの出来ない・・・
引っかかりのような・・・
この男に何か感覚として感じさせてしまったのであろうか?

男がみたものはどどめ色の臓物のようなグロテスクと言うよりは完成されたカオス?

無秩序の・・・
瞬間的な・・・
アレスの軍隊・・・。

私はこの男の中に・・・。
そして、もう一度、千年の存在を問うてみた。

遡る魂の中 私は地獄を見た・・
どれだけ時代を遡り繰り返してみても、そこにあるのは暴力、貧困、差別、欲望の渦巻く世界
生きる意味を持たぬ肉片・・・死への道標・・無・・・
私は何もかも存在しない世界を望んだ・・・。
目を閉じ想い描く世界は今ある現状のまま私一人の世界・・・
暗闇が私を包む・・・。

聞き慣れたような声で誰かが尋ねる。
「貴方はなに?」
薄れてゆく意識の中、その声は繰り返す。答えは見付からない。
「貴方はなに?」
「貴方はなに?」

・・・・・・。


どれぐらいの時が過ぎただろう。私は目を覚まして煙草を取り出す。
うつ伏せになりながら、煙草を口に銜え火を点けた。
溜め息混じりに吐き出した煙は今まで観ていた夢の全てを掻き消すように消えて行く。

煙草を灰皿に押し付け、いつもの様に冷蔵庫に向かおうと起き上がる。体が重たい・・。いつもの事だが寝た気がしない。
冷蔵庫を開け、買い溜めしている缶コーヒーを取り出す。
「今日も仕事か・・・。」
疲れ切った様な口調で吐いた私の独り言は缶コーヒーを開ける音に掻き消された。
一頻り準備を整え飲みかけの缶コーヒーを左手に私は家を出た。家を出て車に乗り込み店へ向かう。
私は小さな喫茶店をやっている。場所は駅から少し離れていて、ほとんど趣味でやっている様な店だ。
店に来る客もほとんどが常連客で、毎日、同じことの繰り返しだ。
しかし、この不景気の中、食べていけるだけまだマシな方だろう。
車を走らせている途中おかしな事に気付いた。私の車以外走っていないのだ。
「おかしいな?」
今日は休日でもないし、私は田舎町に住んでるわけでもない。首を傾げながらも私は店へ急いだ。






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最終更新日  2003年09月05日 05時06分20秒
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