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今更ですが、来年2016年、ミュージカル『エリザベート』の全国公演が発表された件について。今年の帝劇公演が、新演出・キャスト一新による劇的効果で、全日程チケット完売という久々の快挙をなしとげたので、早々に再演があるだろうということは多くの方が予想していたところでしょう。思った通りの展開となったわけですが、そうなると気になるのは、来年のキャストはどうなるのか、ということ。今年のエリザが大当たりしたのは、新演出もさることながら、キャストによる部分が大きかったように思います。ルドルフ役でデビューした井上くんがついにトートとして戻ってきたこと。好評だったにも関わらず続投がなかった城田トートの5年ぶりの復活。日本のシシィオリジナルキャストである花總さんの東宝エリザ進出。歌ウマ保障つきで歴代フランツ史上最年少の万里生くん(←しかも貴重なルドルフ経験者)。ジャニーズ事務所から東宝ミュージカルに黒船が!な京本大我くん。ついに新しいルキーニが登場!な育ちゃんと松也氏。スケジュール的に、今年のメインキャスト全員が来年の全国公演にも登板するとは考えにくいので、きっと一部はシングルでいったり、別の人がキャスティングされたりするのでは。個人的な希望としては、井上トートと城田トートにはぜひ続投していただきたい。できればWフランツも。他のキャストに関しては、続投もいいけど、別の人で観てみたい気持ちもあり。以前から熱望している浦井ルキーニが叶わないのは残念ですが(スケジュール的に無理ですものね~)、たとえWでも松也氏が全国公演全てに出演できるとは到底思えないので(歌舞伎の舞台に立てなくなっちゃう)、もう一人新たなルキーニが登場するのでは、と予想しています。例えばかっきールキーニとか、藤岡ルキーニとか、観てみたいんだけどなぁ。←ないと思うけど。ルドルフは、う~ん・・・難しいねぇ。本音としては誰でもいいから(!)、ぞくぞくするような『闇が広がる』が歌えて、インパクトのあるルドルフ像を創ってくれる若手役者さんの登場を願います。重要な役なのでオーディション沢山やってダイヤの原石を掘り出して下さい、小池さん。ともあれ、正式なキャスト発表があるまでは、あれこれ妄想を勝手に楽しもう(笑)アマゾン★エリザベート ― オリジナル・ウィーン・キャスト★★Ocr: Elisabeth-Das Musical★★ミュージカル エリザベート 2012ライブレコーディング 韓国キャストOST★楽天市場★エリザベート 雪組(DVD)★★【楽天ブックスならいつでも送料無料】『エリザベート』とクンツェ&リーヴァイの世界★
2015年08月30日
本日ソワレ、渋谷のパルコ劇場にて舞台『ウーマン・イン・ブラック』を観て参りました。こ、怖かった~!2008年に上川隆也さん&斉藤晴彦さんコンビで観た時も大変怖かったですが、新キャストの岡田将生さん&勝村政信さんコンビでも、あの怖さは健在でした。ウエストエンドで今もロングラン公演が続いているそうですが、それも納得。とにかく演出、舞台美術、音響、照明が巧みで素晴らしいです。特に、紗幕の使い方が印象的でした。ホント、うまいなぁ。。。上質な演劇を堪能することができて大満足。観劇できて本当に良かった!!!さて、今回新たに俳優&ヤングキップスにキャスティングされたのは岡田将生さん。藤原竜也くんと共演した『ST赤と白の捜査ファイル』など映像ではしばしば観ていましたが、舞台で拝見するのは初めてでした。さすがに前回まで同役を演じていた上川さんのような演技達者というわけにはいきませんが、素直な演技で、非常に観やすく、好感が持てました。映像と舞台であまり演技に差がないタイプの役者さんのようです。舞台上での存在感もあるし、声も通ってセリフも聴きやすい。これからの活躍にますます期待したい俳優さんとなりました。そしてオールドキップスには勝村政信さん。オールドキップスは劇中劇も含め何役もこなしますが、そこはさすが勝村さん。個性豊かは登場人物ばかりで、随所で笑いもとりつつ見事な演じ分けでした。東京公演は明日8/30で終わってしまいますが、これから名古屋・新潟・大阪公演がありますので、ご興味ある方は是非どうぞ。キャスト的にも作品的にも、観劇初心者の方にもおすすめです。(←ただし怖いのが苦手な方はやめておいた方が賢明ですが^^;)ちなみに2008年の時の感想はこちら。アマゾン★The Woman in Black★★ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館 スペシャル・プライス [DVD]★
2015年08月29日
『トロイラスとクレシダ』以降の出演情報がなかなか聞こえてこない浦井くんですが、ひとつ舞台の情報が解禁されましたね。今回明らかになったのはコレ。『アルカディア』2016年4月 Bunkamuraシアターコクーン/5月上旬 森ノ宮ピロティホール作:トム・ストッパード 翻訳:小田島恒志 演出:栗山民也 出演:堤 真一、寺島しのぶ、井上芳雄、浦井健治、安西慎太郎、趣里、山中 崇、迫田孝也、神野三鈴 他 おお~、ストレートプレイで井上くんと浦井くんが共演! ミュージカル界の人気者のふたりがストプレで同じ作品に出るだなんて、なんだか嬉しい。しかもふたりともこのポジションでの出演は最近では珍しいから、余計に嬉しい。こんな機会を与えてくれた人に感謝です。主演が堤さんで共演に寺島しのぶさん、神野三鈴さんとくれば、芝居好きならそれだけできっと観てみたいと思うだろうから、普段ミュージカルを観ない人にも井上くんと浦井くんを観てもらう絶好の機会だし。今から楽しみです(^^)ただ心配なのは劇場のキャパ。コクーンかぁ・・・。チケット争奪戦が激しそうだな~。浦井くんにはぜひ浦井大学も開催してほしいところですが(ゲストに井上くん希望!)もし開催されたとしてもそちらもチケット難になりそう。。。コクーンじゃ少なくとも3回くらいはやってくれないと絶対にファン入りきらない。それにしても、解禁された浦井くんの舞台情報は今のところ来年のものばかり。年内の予定はどうなっているのでしょうか???? 早く情報オープンして~。<浦井くん出演予定>■『アルカディア』2016年4月 Bunkamuraシアターコクーン ■『あわれ彼女は娼婦』2016年6月 新国立劇場 中劇場■ミュージカル『王家の紋章』2016年8月 帝国劇場アマゾン★Arcadia★★Tom Stoppard's Arcadia (L.A. Theatre Works Audio Theatre Collections)★
2015年08月23日
ミュージカル・ストプレを問わず、面白いと思う作品に出合うと、とにかく自分が観たキャストでリピートしたくなる場合と、別のキャストで観てみたくなる場合とがあります。もちろんそのどっちものこともあります。今回の『貴婦人の訪問』は後者。劇場からの帰路、いろいろな妄想キャストが頭の中をぐるぐるして(今もですが)、楽しいです。もし涼風さん以外の人がクレアをやるとしたら。クレアは派手なソロナンバーもあるので、歌が上手いことが必須条件。心理的な怖さを表現できる演技力も。まずまっさきに思い浮かんだのは、シルビア・グラブさん。歌の上手さは言うまでもありませんし(爆発力のあるソロを聴かせてくれそう!)、独特の色っぽさがある低めの声、『レベッカ』のダンヴァース夫人や『next to normal』のダイアナなど、表現力の高さでも私の中ではピカ一の女優さんです。あと、濱田めぐみさん。めぐさんがあのソロを歌ったら、クリエ中の観客が大熱狂しそう。クレアの孤独感や胸の奥に秘めている恋心も繊細に魅せてくれそうな気がします。他にも、一路真輝さんとか、実年齢が若すぎるかもしれませんが老け演技さえクリアすれば新妻聖子ちゃんのクレアも観てみたいな~。続きましてアルフレッド。アルフレッドは、クレアほどの大ソロナンバーはないので、歌唱力より演技力最重視のキャスティングの方がいい気がします。ストプレ中心に活躍されている役者さんか、ミュージカルもやりつつストプレにもある程度の比重を置いて活動されている役者さんね。アルフレッドはクレアから巨額の融資の条件として死ぬことを提示される当人なので、どんどん疑心暗鬼になっていく様子や、街のみんなに殺される!という恐怖感を観客に体感させてくれる人でないと。同時に、店目当てでクレアを捨てマチルデと結婚する男のずるさや、彼女たちの心をとらえ続ける男性としての色気、若い頃に自分がしたことがクレアを冷酷な女性に変えてしまったことへの後悔なども、魅力的に表現して欲しい。(でないとアルフレッドがただのゲス野郎になってしまうので。人間的魅力がある人物だからこそ「町の人気者」のはず)もろもろ考えあわせて、私が頭の中でイメージしたアルフレッドは橋本さとしさん。上川隆也さんや内野聖陽さんなども似合いそうな気がします。渋いところでは山路和弘さんとか。20年前であれば鹿賀丈史さんもぴったりだったかも。文学座の横田栄司さんも魅力的なアルフレッドを創ってくれるような気がします(ミュージカルで拝見したことがないので歌えるのか全く存じませんが)。しかし。私にとって何より重要なのは、別の演出家で観たい。ということ。(以下、私の個人的な思いなので、山田演出のファンの方は読まない方がよろしいかと・・・)ずっと以前から、山田さんの演出が自分の好みと合わないことは分かっています。が、『ダンス・オブ・ヴァンパイア』のようなコミカルな要素がある作品ならともかく、こと『レベッカ』や『貴婦人の訪問』のような心理ホラー(サスペンス?)作品では、観客の想像力をかきたてて怖さを演出してくれる方でないと、あまりに残念すぎる。作品の良さを演出で殺してどうする。舞台セットは最小限でいい。変に物を増やすと安っぽくしか見えない。場面設定は演出と役者の演技で表現してくれればいいのだから。もっと観客の想像力を信用して欲しい。何もかも細かく描きすぎで興ざめ。蛇足。(←なんなの樹の幹に光るハートマークって)観客に想像の余地を残して欲しい。セリフ一つ、表情一つでも、観る人によって解釈が分かれるような(場合によっては真逆にとらえることもあるような)そんな幅のある演技を役者にさせて欲しい。10代のころのクレアとアルフレッドの描き方もワンパターン。せっかく昔の2人と現在の2人が同じ板の上にいるのだから(時空の隔たりをすっとばして人物を共存させちゃうのはミュージカルならではの見せ場なのだから)もっとうまく絡ませようよ!(←あまりに悔しすぎて観ながら怒りがわいたシーン)とにかく演出的には残念の連続。デヴィット・ルヴォーだったら、この作品をどんな風に演出するかな。栗山さんだったら?鵜山さんだったら?板垣さんだったら?G2さんだったら?役者と違って演出家はWキャストというわけにはいかないので、だからこそ慎重に、作品のテイストと演出家の相性を製作サイドには慎重に見極めていただきたいと切に願います。(でも『貴婦人の訪問』もチケット完売だったから、きっと好評という判断で同じ演出家で再演されるんだろうなぁ・・・泣)
2015年08月23日
8/16マチネ、シアタークリエでミュージカル『貴婦人の訪問』を見て参りました。いろいろ思う所がありすぎて素直に「面白かった~♪」と言えないのが辛いのですが、それでも、トータルでは観ごたえ&聴きごたえのある作品でした。観劇できてよかったです。何よりもまず良かったのが、音楽。おそらく大劇場でも十分な迫力で聴かせられるであろう音楽をクリエでやっているのですから、これは堪りません。全体としては、キャッチーでスリリングな曲が多い印象。歌ウマ役者さんが多いおかげもあって、気持ちをがっつり掴まれました。そして今回、なんといっても良かったのは、大金持ちの未亡人クレアを演じた涼風真世さん。有り余る財力を武器に、破綻しかかった故郷への融資の条件として「アルフレッドの死」をつきつけるクレア。アルフレッドはかつての恋人。でもまだ10代だったクレアを裏切り、捨て、裁判の場で淫売との烙印を押した男でもある。アルフレッドの裏切りのためにクレアは町を追われ、娼婦として生きるという、どん底の人生を歩むことに。やがてクレアは金で一人の大富豪に買われ、その妻となり、彼の死後、巨万の富を相続する未亡人となる。そこからクレアの復讐が始める・・・。未亡人クレアは、美貌ではあるけれど、陰鬱で威圧感があって、何を考えているのか分からない不気味な女性。涼風さん、見事にハマってました。女の情念というか執念というか、自分の手は汚さずに金に眼がくらむ人の性(さが)をうまく利用してジワリジワリと相手を追いつめ息の根を止めていく、そんな執念深い怖さが滲んでいて、素敵でした。(←誉めてます!)歌もド迫力!涼風クレアめっちゃかっこいい~!!!それでいて、今も心のどこかで10代のころのままアルフレッドを愛し続けている切なさも垣間見せる涼風クレア。強さと弱さをいったりきたりするクレアの目の色、表情、歌声がとても印象的でした。他の出演者の方々も、皆さん良かったです。そもそも出演者が豪華なんですよね、この作品。だって、マティアス市長@今井清隆さん、クラウス校長@石川禅さん、ゲルハルト署長@今拓哉さん、ヨハネス牧師@中山昇さんですよ。美声&歌ウマ役者さん揃い踏み。なんとも贅沢。耳福耳福。ありがたや。クレアとは対照的なキャラクターで(特に1幕)しっとり聴かせる春野マチルデも良かったです。アンサンブルの方々も大活躍。さけもとあきらさん、竹内耕さんや俵和也さん、港幸樹さん、河合篤子さんなど、東宝ミュージカル常連さんがご出演なので安心して観て&聴いていられます。今回はチケット争奪戦が激しくて観たくても観劇できない人が多数いらっしゃると思うので、ぜひ再演を望みます。アマゾン★Der Besuch der Alten Dame-Gesamtaufnahme Live★
2015年08月17日
そして、浦井くん演じるトロイラス。『デスノート』からこの『トロイラスとクレシダ』の稽古で、5キロだか7キロだか体重が減ったという浦井くん。確かに浦井くん史上もっとも頬がシュッとしていました。トロイラスはトロイ王プライアムの末息子という設定で、演出の鵜山さん的には20歳くらいというイメージなんだとか。(ちなみ長兄ヘクター演じる吉田栄作さんのイメージでは、トロイラスはもう少し幼くて15~16歳くらいなんだそうです)私の個人的な印象としては、浦井トロイラスは18~20歳前後といった感じ。顔がシュッとしたことや髪型(編み込み)のせいもある程度はあるかもしれませんが、浦井くん、非常に若く見えます。王子然とした凛とした態度、細見のスタイル、機敏な動き。ファンの贔屓目を差し引いたとしても、浦井トロイラス、かなりかっこいいと思います。登場人物の中でも、とりわけ浦井トロイラスがダイナミックかつ魅力的に見えるのは、多分、物語の最初と最後で劇的にキャラクターが変化するから。家族からも、家臣からも愛されているトロイラス。国民からも、もう何年かしたらトロイラスがヘクターと並ぶもうひとりの国の柱になるだろうと期待されています。クレシダに恋い焦がれる前半はどこか少年っぽさを残した可愛らしさがありました。クレシダの心変わりを心配するのも、自分に確たる自信がないから。ダイアミティーズのような大人の男と比べられたら・・・それでもクレシダは自分を好きでいてくれるだろうか?という不安。そして後半、クレシダを奪われ、クレシダに裏切られて、大人の階段をひとつ上ったトロイラス。それからは、鬼神のような戦いぶり。国の柱とも頼む兄ヘクターを失うに至っては、全滅も覚悟、それでも戦い抜くのだという闘志の塊。少年のがむしゃらさではなく、どこか達観しているような冷静さも感じさせつつ、全身から炎が見えるようなえもいわれぬ迫力がありました。剣をつかっての戦闘シーンは、この作品の見せ場のひとつ。中でも浦井トロイラスは動きに勢いとキレがあります。長身に長い剣がとてもよく似合う。裏話では、殺陣の稽古で熱演のあまり何本も鉄の剣を曲げてしまったという浦井くん。怪我予防の意味からだと思いますが、殺陣師の方から「もっとゆっくり動いて!」という注意も受けていたようです。そうそうたる文学座の皆さんに混じって、浦井くんが遜色なくタイトルロールを演じていることが感慨深かったです。3年前に観た蜷川版『シンベリン』では、まだまだストプレの役者さんたちの中に混ざると声量のなさや発声の弱さが目立っていた浦井くん。今はもう別人のように実力をつけて、彼らと堂々と渡り合っている。凄いことです。作品や人との出会いに恵まれてきたというのもあるでしょうが、それもこれも浦井くん自身がおそらくものすごく努力を重ねてきた結果。そういう浦井くんの姿を見ているからこそ、演出家もプロデューサーも彼をまた使ってみたいと思うのでしょう。っと、あまりに感慨深くて本作の感想から脱線してしまいました(^^;) ご容赦を。これからはツアー公演が始まりますね。最後まで誰一人怪我なく大千秋楽を迎えられますよう、関東の片隅から祈っています。※ちなみに、蜷川版『シンベリン』を観た時の感想はこちら。
2015年08月05日
東京公演は終わってしまいましたが、自分用の記録として舞台『トロイラスとクレシダ』の感想を。。。私は7/20マチネと8/1ソワレの計2回観劇しました。できることならもっと観たかった!『トロイラスとクレシダ』:世田谷パブリックシアター 2015年7/15~8/2作:W・シェイクスピア翻訳:小田島雄志演出:鵜山仁出演:浦井健治、ソニン、岡本健一、吉田栄作、横田栄司、今井朋彦、石橋徹郎、浅野雅博、渡辺徹、江守徹、他タイトルロールのトロイラスを浦井くんが、クレシダをソニンちゃんが演じました。トロイラスは、トロイ王プライアムの末息子。つまり「王子」です。しかも軟弱な王子でははく、甲冑をまとい剣をふるい、みずから戦場で先頭を切って血にまみれながら戦う、武闘派な面も持つ凛々しい王子です。作品中で何度も「王子!」と呼ばれるトロイラスを、この人は本当に王子が似合う人だなぁ~、と惚れ惚れしながら観ていました。浦井くん、ソニンちゃん、岡本健一さん、吉田栄作さんの4人以外の出演者はすべて文学座の役者さんです。演出の鵜山さんも文学座。シェイクスピア作品にはよくあることですが、タイトルロールとはいえ2人が主役というわけではなく、トロイvsギリシャの戦争を舞台にした群像劇でした。一番の感想は、 さすが文学座のスターが集結した作品。皆さん上手い!面白い!!そして浦井くん、凄くかっこいい! 惚れ直しました!!!すみません、今思い出してもちょっと興奮気味になるくらい、ハイクオリティな舞台でした。まず、なにより特筆すべきは、文学座の方々のレベルの高さ。皆さん本当にキャラが立っていて、それほど出番の多くない方までが、出てくれば必ず観客に何らかの爪痕を残す、そんな密度の濃い演技をするのですよ。おかげで、トロイ軍とギリシャ軍、それぞれかなりの数の登場人物がいるにも関わらず誰が何の役だか全く混乱せずに、とても分かりやすく物語を楽しむことができました。(例によって予備知識ゼロでの観劇でした)観客から笑いが起きる場面が多かったのも、鵜山さんの演出が良いのはもちろんですが、役者さんたちの絶妙の間や演技による部分が大きかったように思います。中でも特に印象に残ったのは、トロイラスの2番目の兄パリスを演じた浅野雅博さん、ギリシャ軍の知将ユリシーズの今井朋彦さん、ギリシャ軍の英雄アキリーズの横田栄司さん、パリスに妻を奪われたメネレーアスの石橋徹郎さん。浅野パリスは、トロイの王子で武将でもあるのですが、どこか飄々としていて、妻ヘレン(元メネレーアスの妃)を侮辱されても怒ることなく上手に受け流す、そんな人物。ようやく結ばれたクレシダと別れなければならない弟トロイラスを思いやる優しさを見せたかとおもえば、「さ、(クレシダを連れに)行くか」とあっけなく態度を変えたり、あえてそうしているのか天然なのか判断がつかず、もしらしたら案外食えない人物なのかな~、と深読みしたくなるような、そんな面白い役作りでした。かと思えば、ぼそっというセリフがとても可笑しくて、思わず笑ってしまうことたびたび。特に客席通路でのメネレーアスとの、メ「(ヘレンを)返せ!」パ「返さん」のやりとりは、可笑しくて堪りませんでした。(←文字にすると何が可笑しいのか全然伝わらないのがもどかしい。何度も共演していて息のあったお二人ならではの絶妙の呼吸なのでしょうね~)(←ちなみに、浅野さんと石橋さんの二人芝居『モジョミキボー』を観た時の感想はこちら。)今井ユリシーズは、台詞や演技に独特のリズムがある感じ。惹き込まれます。まさに知将。でも知に長けてすぎて、どうやら時々それが裏目にでている様子もあるのがご愛嬌。ユリシーズはトロイラスがクレシダの裏切りを目撃する際の付き添い(?)でもあるので、浦井くんと至近距離での絡みがあるのがファンとしては嬉しい。浦井くんも、間近で見る今井さんの演技、刺激的だったのではないかしら。そして、横田アキリーズは破壊力が尋常じゃありませんでした。ご覧になった方には、それだけで通じるかと(笑)作品全体としても、衣装が現代的だったり演出に遊びが入っていたりと、かなり思い切った試みをしている本作ですが、アキリーズのキャラ像にいたっては相当な冒険。なんせギリシャ軍の英雄がビキニスタイルで泥酔して現れるのですから(笑)でも、そんなぶっ飛んだアキリーズを、横田さんが豪快に、非常に魅力的に演じていて、さすが!参りました!そんな気持ちになりました。最後は石橋メネレーアス。少ない出番で強いインパクトを残す、その代表格。妃ヘレンをパリスに奪われ、寝取られ亭主と揶揄されるメネレーアスは、そのことでイジられる場面が見せ場。赤い石のペンダントをヘレンに見立てて話しかけたり(ヘレンは登場シーンで赤いドレスを着ています)、ヘクターから「(ヘレンから)君への伝言は・・・特に無かった」と言われて「傷口に塩を塗るな~!」と怒ったり、前述のとおりパリスと(ヘレンを)返せいや返さん、のやりとりを舞台上とは関係のないところでやっていたり。どの場面も客席がどっと沸いていました。ちなみに石橋徹郎さんは井上くんと共演した『イーハト-ボの劇列車』で金持ちのボンボンを演じていた方です。と言えば、井上くんファンの方なら「ああ、あの!」と思いだされるのでは。あの役もインパクトありましたものね~。長くなったので、ここでひとまずUP。アマゾン★トロイラスとクレシダ―シェイクスピア全集〈23〉 (ちくま文庫)★★シェイクスピア全集 (〔24〕) (白水Uブックス (24))★★彩の国シェイクスピア・シリーズ NINAGAWA × SHAKESPEARE DVD BOX X (「シンベリン」/「トロイラスとクレシダ」)★(←こちらは蜷川幸雄版。『シンベリン』では浦井くんが蜷川作品に初登場)
2015年08月05日
続きまして、育三郎ルキーニ。こちらは井上トート以上に大変身。高嶋兄カラーがほぼ払拭され、ちゃんと育ちゃんオリジナルなルキーニになっていました。あざとさの少ない、どちらかと言えばクールでカッコイイ路線のルキーニで、これはこれで新鮮かも。ビジュアルが良いので、井上トートとの数少ない絡みにちょっと萌えも感じたりして(笑)育ルキーニの最大の強みである歌の上手さも十分に発揮。ルキーニの歌が上手いと、特に『ミルク』が盛り上がる。ビシッとひきしまったかっこいい『ミルク』でした。ただ、正直いえば、個人的には少し残念でもありました。というのも、せっかくルキーニを演るのだから、育ちゃんにはかっこよくない路線で振り切れた演技をしてほしかったのです。これは私の勝手な印象なので違っていたらゴメンナサイなのですが、育ちゃんは(多分無意識のうちにだと思うけれど)自分を良く見せようカッコよく見せようとする傾向があるのではないかなぁ、と感じてきました。イイ人の役、かっこいい役もそれはそれでいいけれど、そればかりだと観る方としてはちょっと飽きてしまう。欲張りな観客としては「こんな役もできるんだ!」「こんな演技ができるのか!」という意外性・驚きが欲しいのです。私が育ちゃんにそんな意外性を感じたのは、StarSでの『Today 4 U』でした。育ちゃんがエンジェル?! あの時の衝撃は忘れられません。おまけにそれがメッチャ魅力的だったのも強く印象に残りました。あの驚きと喜びをもう一度育ちゃんから貰いたいと思って期待していたルキーニだったから、ちょっと、ね。とはいえ、かっこいいルキーニというのも、新たなルキーニ像であるのは間違いなく。今後どんな風に進化していくのか、できることならこの眼で確認してみたいと思います。アマゾン★StarS First Tour -Live at TOKYU THEATRE Orb- (DVD2枚組+CD)★(←CDに『Today 4 U』が収録されています)
2015年08月02日
そして、今期2回目になる井上トート。その変化にちょっとびっくり。前回よりさらに歌に深みが増してる!妖艶さがUPしてる! 前回ですでにほぼ完成形だと感じていたので、さらにバージョンアップしている井上トートを観てすっかり魂を持っていかれました。やめろー、リピートしたくなっちゃうじゃないか!!!とりわけ、演技に艶っぽさが増しているのが嬉しい驚き。手指の動きといい、ますます内野さんのDNAを感じます。あ、別に井上くんが内野さんの真似をしているとかではないですよ。←念のため。そうではなく、「死」に官能的なニュアンスを持たせた役作りや、それを細かな動きや歌で表現している点が共通しているな、と。これまでの井上くんは、ルドルフやヴォルフガングなど苦悩する姿は色っぽく見えたものの、女性相手ではベッドシーンですら全く色気がなく(by『冬眠する熊に添い寝してごらん』)エロティックな雰囲気を出すのは難しい人なのかと思っていただけに、今回トートで垣間見せる艶っぽさは嬉しい限り。私は、トートは独立した人格ではなく、シシィが抱く「死」のイメージが擬人化されたものととらえているので、トートがエロティックである方がよりシシィの内面を赤裸々に表しているように思えて好きなのです。それにトート=シシィと考えると、長女ゾフィーの死も、ルドルフの死も、エルマー達の行動も帝国の崩壊も、本人が意識しているかどうかは別として、全てシシィ自身が招いた結果でもあるように見えてきて。それが面白いなぁ、と。そうそう、今回「アレ?」と思った場面がひとつ。ルドルフとの『闇が広がる』のラスト、前回の大我ルドとの時はやってなかったような気がするのですが、今回井上トートは古川ルドを抱きしめて終わったのです。ルドルフがトートに完全に取り込まれた感があって最高でした。確か以前城田トート・古川ルドの時は、二人は離れた位置で終わってたので、もしかして井上・古川が組んだ時の独特の動きなのかしら???トート・ルドだけでも4パターンの組み合わせがあるので、その違いを確かめるためだけでも、何度でもリピートしたくなってしまいます。完全に東宝さんの思うツボ。(←幸か不幸かチケットがないのでリピートしたくても出来ないんだけどね~)この回は蘭乃シシィの歌がかなり不安定でしたが(特に地声で歌う部分)、少なくとも井上くんは初演の内野トートを経験しているのであの程度ではびくともしないかと。たとえ歌がアレでも私は蘭乃さんを応援したい派なので(役作りと演技はいいと思うから、かな?)、ご本人的にも辛いでしょうが踏ん張って乗り越えていただきたいな、と思います。
2015年08月02日
7/31マチネ、帝劇にてミュージカル『エリザベート』を観劇。この回で、ようやく万里生フランツを観ることができました。万里生フランツ、すごくいい!これまでの歴代フランツとは一味違う、能動的で情熱的な皇帝でした。「年齢感」を意識的に演じ分けているのが分かります。「若き皇帝」としての登場シーン、本当に若い!皇帝としての理想に内に抱きながら、「冷静に、冷酷に」という皇太后の助言を受け入れ常に帝国のことを考えながら執務を行っている姿が凛々しい。もしかしたら不適切な表現かもしれませんが、万里生フランツはゾフィーの皇帝教育の賜物という気がしました。ゾフィーは後に同じ教育を孫のルドルフにも行おうとしたけれど、時代背景の変化やもともとの資質が違うこともあって上手くいかず、あのような悲劇に至ってしまった。いわばルドルフは「失敗例」。つまり何が言いたいかというと、父フランツの理想的な成長が息子ルドルフの不幸の種につながったわけで、そういう意味でも、凛々しい青年フランツと無力感に苦しむルドルフが非常に対照的で、因果で、切ないのです。若い万里生フランツは、明るく活発。年齢を重ねるごとにその明るさは影をひそめ、眉間にしわの苦悩の表情へと変わっていくけれど、シシィへの愛は常に強く燃え続けていて、逃げられても手を振り払われてもシシィの側へ歩み寄ろうとする一途さが胸に刺さりました。万里生くん自身がルドルフ役を経験しているからかもしれませんが、万里生フランツは、ルドルフとの父子関係をより強く意識しているように感じました。観客が自然と、フランツの軌跡とルドルフの軌跡を対比してしまうような構図になっているのです。これは歴代の他のフランツを観ていた時には無い感覚だったのでとても新鮮でした。1幕のフランツが若々しい分、2幕の老け具合が上手くいくのかやや不安でもありましたが、杞憂でした。万里生くん、見事な老けっぷり。立ち姿ひとつとっても、やや猫背ぎみで重心が前になっていて歳をとっていることが一目でわかります。声もしっかり老年モード。情感のこもった『夜のボート』。髪を振り乱してシシィを守ろうとする『悪夢』。カーテンコールは、ある意味フランツの幸福の絶頂期でもあったはずの婚礼衣装で登場。←泣ける。佐藤フランツとは全く違ったフランツ像で、私たち観客を楽しませてくれた万里生くん。素晴らしいです。できることなら何回でも観たい。アマゾン(田代万里生くん)★I am here ~Musical selection~★★ミュージカル『スリル・ミー』ライヴ録音盤CD・田代万里生×伊礼彼方★★Road to Mario Tashiro ~Sing My Life~★★Road to Mario Tashiro~history by 2011~ [DVD]★(←ルドルフだった時の心境なども語ってらっしゃいます。YouTubeでダイジェスト映像視聴可)★ミュージカル「マルグリット」日本公演 オリジナルキャスト ライブ盤★
2015年08月01日
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