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2026.09.21
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カテゴリ: 報徳記を読む
下館談話記【一】 その2
(現代語訳のこころみ)


去る天保9年に御依頼になったときも外にやり方が座無く、下館藩の過去の帳簿類を調査して、平均の分度を定め、再興の仕法を作成いたしました。
このたび成不成の根元を明らかにして、拡張しても、畳置きになろうと、10ヶ年以来の成果を、きちんと取調べて見れば、論を待たないで明白に分かることでしょう。
先日なぜそれ以来の調査ができないのかと衣笠氏へ尋ねましたところ、
奉行の鈴木源八郎氏が長く病気で遅れて、病床にあるのに調査の進み具合を尋ねるのも病気にさわるので、やむなくそのまま流れておりますとのお話。
これは何という事でしょうか。御仕法の調べは私事ではなく、一国の興廃にかかわる大事であるのを、一人の病気にかかわり、捨て置かれているとは、指の小さなキズを憂えて、全身の大きな患らいを捨てておくのと同様ではありませんか。一身の憂いを除く為には10本の指も切り落としても顧みないものではありませんか。これは大小軽重のためには、国家の大で事あれば、このために一命をも棄てるのが臣たる者の常道ではありませんか。
御家の興復の大業を病人のために実行できなず、廃しおかれるとはあまりの心得違いではありませんか。これは全くそうではなく、復興の志願がないためです。
復興の志が無いようならすぐに止めるべきところ、何となく歳月を送っては、依頼された方では差支えもないでしょうが、年来世話いたしてきた私において、今日の幕府での仕事を続けるべきか当惑しているところで、いずれかに定めたいと思ってまかり出ました。
鈴木氏や大嶋儀左衛門の両士がまだ桜町に出張されない時も明細の調査をいたして差上げました。いわんやその後の調べは誰かいなくても、分ららない事は無いところです。早々に調査してご覧にもいれましょう。その上でよろしくないということであれば、残る所なく焼き捨てて、お互いにこれまでの事などは取り棄てましょう。それとも調査するにも及ばないで、このままで止めてくれよとの思召しならその通りにいたしましょう。またますます押し立てたいと天保9年のように借財を皆済し領中を再復したいので取り計らいたいというご依頼であれば、最初どうしようもないほどの極難の状態でさえ承知して仕法を組み立ててあげたのですから、今は借金はだいぶ減っただけでなく、領内も自然と豊かになったのですから、引き受けて無借の道を取り計らうこともやさしい事です。

そもそも先君の厚い仁心で家政を取り直したい、領民を恵み育てたいと頼まれたのですから、思いがけず御逝去になり愁歎は限りなく、しかしながら思召しは当君が幼年でありますが、父君の思し召しを無に遊ばされるような不孝の思し召しは全くないことでしょう。いわんやおのおの方には先君の思し召しを継いで、幼君を補佐し、国家の永安にする政治を実施し、死に仕える事、生に仕えるような忠義に励み勤められることは当然として、いよいよ先君の思し召し通り借財を皆済し領分の復興の道を押し立てられれば、先君の尊霊を安らかにし、当君への忠義もしっかりと立ち、2万石を永久にする大きな幸いこれに過ぎないことになるでしょう。
このように厚く実行しさえすれば、まず皆済の道も立つようにいたしましょう。
私の方は最初からとにかく思いは無いことですから、どちらでも決めてくだされば、その旨をそれぞれへ伝達して、一身の進退をいたしましょう」と申されたところ、特に異論もなく、相談の上でごあいさつに及びましょうということで退散しましたとの事。


若 もし 又 また 弥 いよいよ 押 おし 立 たつ べき 道 みち に 候 そうら 得 え 共 ども 、 何 なん となく 相 あい 流 ながれ 居 おり 候 そうろう 故 ゆえ 、 次 し 第 だい に 御 おん 借 しゃく 財 ざい も 相 あい 増 まし 候 そうろう 儀 ぎ に 御 ご 座 ざ 候 そうら はば、 致 いたし 方 かた により 御 おん 皆 かい 済 さい の 道 みち も 相 あい 立 たつ べし。 左 さ 候 そうら はば 是 これ 迄 まで 相 あい 流 なが れ 候 そうろう 処 ところ は 是 ぜ 非 ひ 無 なき 儀 ぎ に 付 つき 、 戌 いぬ 年 とし 御 おん 頼 たのみ の 節 せつ に 立 たち 戻 もど り 取 とり 調 しらべ 、 如 い 何 か 様 よう に も 御 おん 皆 かい 済 さい 御 おん 安 あん 心 しん の 事 こと に 取 とり 計 はからい 差 さし 上 あぐ べし。 去 さり 乍 ながら 元 もと 々 もと 私 わたし 方 かた より 御 おん 難 なん 渋 じゅう 御 おん 立 たて 直 なおし の 儀 ぎ 、 求 もとめ て 取 とり 計 はからい 候 そうろう 儀 ぎ に 之 これ 無 なく 、 頻 しきり に 御 おん 頼 たのみ に 依 よっ て 余 よ 儀 ぎ 無 なく 御 おん 世 せ 話 わ 仕 つかまつり 候 そうろう 事 こと 故 ゆえ 、 私 わたくし 存 そん 意 い にて 取 とり 計 はから うべき 筋 すじ に 御 ご 座 ざ 無 なく 候 そうろう 間 あいだ 御 ご 相 そう 談 だん に 及 および 候 そうろう 。 去 さ る 戌 いぬ 年 とし 御 おん 頼 たのみ の 砌 みぎり も 外 ほか に 致 いたし 方 かた 御 ご 座 ざ 無 な く、 当 とう 表 おもて 御 おん 暮 くらし 向 むき 過 すぎ 去 さり 候 そうろう 有 あり 形 かた の 実 じつ 事 じ 取 とり 調 しらべ 見 み 、 過 か 不 ふ 及 きゅう 平 へい 均 きん を 以 もつて 御 おん 規 き 則 そく を 相 あい 定 さだめ 、 御 おん 再 さい 興 こう の 道 みち 仕 し 法 ほう 付 つけ 仕 つかまつり 候 そうら へ ば、 此 この 度 たび 成 せい 不 ふ 成 せい の 根 こん 元 げん を 明 あき らかに 致 いた し、 御 おん 押 おし 立 たて 成 な され 候 そうろう 共 とも 、 御 おん 畳 たたみ 置 おき に 相 あい 成 なり 候 そうろう 共 とも 、 拾 じっ ヶ 年 ねん 以 い 来 らい の 成 なり 行 ゆき 、 篤 しか と 取 とり 調 しらべ 見 み 候 そうら はば、 論 ろん を 待 ま たずして 明 めい 白 はく に 相 あい 分 わか り 申 もう すべし。 過 か 日 じつ 何 なに 故 ゆえ に 其 それ 以 い 来 らい の 御 おん 取 とり 調 しらべ 出 で 来 き ず 候 そうろう 哉 や と 衣 きぬ 笠 がさ 氏 し え 尋 たずね 候 そうろう 処 ところ 、 鈴 すず 木 き 氏 し (奉行鈴木源八郎) 長 なが 病 わずらい にて 相 あい 後 おく れ、 病 びょう 症 しょう 柄 がら 調 しらべ 向 むき の 儀 ぎ 相 あい 尋 たずね 候 そうら へ ば 病 びょう 気 き に 障 さわ り 候 そうろう 故 ゆえ 、 拠 よんどころ 無 な く 其 その 侭 まま に 流 なが れ 居 おり 候 そうろう との 御 おん 咄 はなし 、 是 これ 何 なん の 事 こと ぞや。 御 ご 仕 し 法 ほう の 調 しらべ は 私 し 事 じ にあらず。一 国 こく の 御 ご 興 こう 廃 はい に 拘 かかわ り 候 そうろう 大 だい 事 じ を、一 人 り の 病 やまい に 拘 かかわ り 捨 すて 置 お かれ 候 そうろう とは一 指 し の 小 しょう 瘡 そう を 憂 うれい て、 惣 そう 身 しん の 大 だい 患 かん を 捨 すつる が 同 どう 様 よう には 之 これ 無 なき 哉 や 。一 身 しん の 憂 うれい を 除 のぞ く 為 ため には十 指 し を 落 おと すも 顧 かえりみ ざる 時 とき 宜 よろしく 之 これ 有 ある べし。 是 これ は 大 だい 小 しょう 軽 けい 重 ちょう の 為 ため には 人 じん 臣 しん は 病 やま ず とも、 何 なん ぞ 国 こく 家 か の 大 だい 事 じ あらば、 是 これ が 為 ため に一 命 めい をも 棄 すて 候 そうろう は 臣 しん 為 たる 者 もの の 常 じょう 道 どう に 候 そうろう 処 ところ 、 御 おん 家 いえ 御 おん 興 こう 復 ふく の 大 たい 業 ぎょう を 病 びょう 人 にん の 為 ため に 懸 け 念 ねん 致 いた され、 御 おん 廃 はい し 置 おか れ 候 そうろう とは 余 あま りの 御 おん 心 こころ 得 え 違 ちがい には 御 ご 座 ざ 無 なき 哉 や 。 是 これ 全 まったく 左 さ にはあらず、 御 おん 興 こう 復 ふく の 御 ご 志 し 願 がん なきが 故 ゆえ 也 なり 。 御 おん 興 こう 復 ふく の 思 おぼし 召 めし 之 これ 無 なき 候 そうら はば 速 すみやか に 御 おん 止 やめ 成 なさ るべきの 処 ところ 、 何 なん となく 歳 さい 月 げつ を 送 おくり 候 そうろう ては、 御 おん 頼 たのみ の 方 ほう にては 御 おん 差 さし 支 つかえ も 之 これ 有 ある 間 ま 敷 じき 哉 や 、 年 ねん 来 らい 御 おん 世 せ 話 わ 仕 つかまつり 候 そうろう 拙 せっ 者 しゃ に 於 おい て、 今 こん 日 にち の 御 ご 奉 ほう 公 こう 進 しん 退 たい にも 当 とう 惑 わく 致 いたし 候 そうろう 間 あいだ 、 何 いず れか 取 とり 訳 わけ 治 ち 定 じょう 仕 つかまつり 度 たく 罷 まかり 出 で 候 そうろう 。 鈴木 すずき ・ 大嶋 おおしま (下級藩士大嶋儀左衛門) 両 りょう 士 し 未 いま だ 桜 さくら 町 まち に 出 しゅっ 張 ちょう 之 これ 無 なき の 時 とき だも 明細 めいさい の 取 とり 調 しら べ 致 いた し 差 さし 上 あげ 候 そうろう 儀 ぎ 、 況 いわん や 其 その 後 ご の 調 しらべ 誰 だれ か 居 おら れず 候 そうろう 共 とも 、 相 あい 分 わから ざる 事 こと は 之 これ 無 なき 候 そうろう に 付 つき 、 早 そう 々 そう 取 とり 調 しらべ 、 御 お 目 め に 掛 かけ るべし。 其 その 上 うえ にて 逸 いつ 々 いつ 宜 よろし からず 候 そうら はば、 残 のこ る 所 ところ なく 焼 やき 棄 すて 、 御 おん 互 たがい に 是 これ 迄 まで の 事 こと 共 ども 取 とり 棄 すて 申 もう すべし。 夫 それ 共 とも 調 しらべ 候 そうろう にも 及 およ ばず、 此 この 侭 まま にて 相 あい 止 と め 呉 くれ よとの 思 おぼし 召 めし に 候 そうら はば、 其 その 通 とお りに 仕 つかまつ るべし。 又 また 弥 いよいよ 押立 おしたつ べき 道 みち に 付 つき 戌 いぬ 年 とし の 如 ごと く 御 おん 借 しゃく 財 ざい 皆 かい 済 さい 御 おん 領 りょう 中 ちゅう 御 おん 再 さい 復 ふく の 儀 ぎ 取 とり 計 はからい 申 もうす べしとの 御 おん 頼 たのみ に 候 そうら はば、 初 しょ 発 はつ 致 いたし 方 かた も 御 ご 座 ざ 無 な く、 極 ごく 御 おん 難 なん 場 ば にてさへ 御 ご 承 しょう 知 ち の 通 とお り 仕 し 法 ほう 組 くみ 立 たて 差 さし 上 あげ 候 そうろう 儀 ぎ を、 今 いま は 多 た 分 ぶん の 御 おん 減 げん 借 しゃく に 相 あい 成 なり 居 おり 候 そうろう のみならず、 御 おん 領 りょう 中 ちゅう 自 し 然 ぜん 潤 じゅん 沢 たく 致 いたし 居 おり 候 そうろう 場 ば に 候 そうら へ ば、 下 げ 拙 せつ 一 人 り にて 引 ひき 受 うけ 、 御 おん 無 む 借 しゃく の 道 みち 取 とり 計 はからい 候 そうろう 共 とも 心 こころ 易 やす き 事 こと 、 初 しょ 発 はつ の 半 なかば にも 御 ご 座 ざ 無 なく 候 そうろう 間 あいだ 、 御 おん 安 あん 堵 ど の 道 みち 取 とり 計 はからい 申 もうす べし。 抑 そもそも 先 せん 君 くん 厚 あつき 御 ご 仁 じん 心 しん を 以 もって 御 おん 家 か 政 せい 御 おん 取 とり 直 なおし 御 おん 領 りょう 民 みん 御 おん 撫 ぶ 育 いく の 道 みち 御 おん 頼 たのみ 仰 おおせ 入 い られ 候 そうろう 処 ところ 、 計 はか らずも 御 ご 逝 せい 去 きょ 愁 しゅう 歎 たん 限 かぎり 無 なく 、 乍去 さりながら 思 おぼし 召 めし は 当 とう 領 りょう 分 ぶん 有 あら ん 限 かぎ り 減 げんじ 申 もう さず、 当 とう 君 くん 御 おん 幼 よう 年 ねん に 為 なし 渉 わた られ 候 そうろう 共 とも 、 御父君 ごふくん の 思 おぼし 召 めし を 無 む に 遊 あそば され 候 そうろう 御 ご 不 ふ 孝 こう の 思 おぼし 召 めし は 毛 もう 頭 とう 御 ご 座 ざ 有 ある 間 ま 敷 じく 、 況 いわん や 各 かく 方 ほう には 先 せん 君 くん の 思 おぼし 召 めし を 継 つぎ 、 幼 よう 君 くん を 補 ほ 佐 さ し、 御 おん 国 こく 家 か 御 おん 永 えい 安 あん の 政 まつりごと を 布 し かれ、 死 し に 事 つか える 生 せい に 事 つか える 如 ごとく の 御 おん 忠 ちゅう 義 ぎ 御 おん 励 はげみ 勤 つとめ 成 な さるべきは 申 もうす 迄 まで も 之 これ 無 なき 儀 ぎ に 付 つき 、 弥 いよいよ 先 せん 君 くん 思 おぼし 召 めし 通 とおり 御 おん 借 しゃく 財 ざい 御 おん 皆 かい 済 さい 御 おん 領 りょう 分 ぶん 御 おん 興 こう 復 ふく の 道 みち 御 おん 押 おし 立 たて に 相 あい 成 なり 候 そうら はば、 先 せん 君 くん の 尊 そん 霊 れい を 安 やすんじ 奉 たてまつり 、 当 とう 君 くん え の 御 ご 忠 ちゅう 義 ぎ 確 かっ 乎 こ として 相 あい 立 たち 、二 万 まん 石 ごく 永 えい 久 きゅう の 大 たい 幸 こう 過 す ぎざる の 義 ぎ に 御 ご 座 ざ 候 そうろう 間 あいだ 、 厚 あつ く 御 おん 取 とり 行 おこない 成 な され 候 そうら はば、 先 まず 御 おん 皆 かい 済 さい の 道 みち 相 あい 立 たち 差 さし 上 あぐ べし。 私 わたし 方 かた は 初 しょ 発 はつ より 兎 とに 角 かく の 存 そん 意 い 御 ご 座 ざ 無 なき 儀 ぎ に 付 つき 、 何 いず れにても 御 おん 治 ち 定 じょう 下 くだ され 候 そうら へ ば、 其 その 段 だん 向 むこう 々 むこう え 相 あい 達 たっし 、一 身 しん 進 しん 退 たい 仕 つかまつ るべく 候 そうろう とありければ、 何 いず れも 別 べつ の 異 い 論 ろん なく、 相談 そうだん の 上 うえ 御挨拶 ごあいさつ に 及 およぶ べき 旨 むね にて 退散 たいさん の 事 こと 。





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最終更新日  2026.09.21 00:00:09
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