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2026.09.22
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カテゴリ: 報徳記を読む
報徳記巻之六【4】先生下館の分度を定む その2
(現代語訳)

 家老以下非常に至当の論を感激してこの事を行いましょうと言い、下館藩に帰ってまず君に申し上げて、次に一藩に示して減少当然の必要な費用を立てることができた。分度が既に定まって一藩が艱難に対処して行った。家老以下は再び桜町に来てこれを先生に告げた。
先生は喜ばれて言われた。
「下館の君臣上下が天命を知ってその本が既に定まった。この時に当って負債を償却する道を設けなければなりません。」と。
ここに数日沈思黙慮してついに数巻の書を作成して、これを家老以下に示して言われた。
「今、君臣ともに艱苦に安んじ年々利子を支払う道が備ったといっても、元金3万両はいずれの時に減少することがありましょう。減少しない時には国に患いは消え除く時はありません。しかしながらこれを減じようとするのに一金でさえ出所がありません。やむを得ず、元金減少の道をあれこれ考えるにここに一つあります。来年の1月2月の両月の国用の米財に私の仕法の米金を贈ってこれを補い、7月8月の両月の米財は下館の町の富な商人は常に君家の用財を処理してきたもの8戸でこれを補い、さらに宗家石川侯は慈仁で憐れみの心が深い。今、下館藩の君臣が艱難を尽して以前からの衰弊を挙げて永安の政治を行おうとすることをくわしく述べれば、必ず補助をなされることでしょう。そうであれば3月4月5月6月の4ヶ月の用財を補ってくださるよう求めるべきです。下館藩が再復するならばその時になって本家並びに商家の出財を償うことははなはだやさしい。このようにして当年は下館領村の租税で借金を償うべきです。そうであれば元金の数多くを減じて、従来利子として支払っていた金のうち数多くの財が余るようになるでしょう。これで毎年に元金を償却するならば、ついに3万両の借金を償却することは難しくありません。」 と。
家老以下先生が仁でありさらにすぐれた知恵を備えていることを感嘆して、非常に喜んでこの事をくわしく本家に申上げた。本家は先生の誠意に感銘して4ヶ月の用財を贈られた。
先生はまた下館の商家8人を呼んで、国家を再盛し上下の艱難を除いて、永安の道を得る大理を教え諭し、前のように告げた。

「私たちの家の財産をことごとく出しても、君命であれば承諾しなければなりません。今、先生が下館藩における、少しも縁も理由もないのにこれを旧復するために多くの苦しみを尽し、そればかりでなく数多くの米財を贈られることはその恩に感謝する所を知りません。私たちの出財はもとから願う所です。」と言う。
ここで一年の貢税で遅延することが難しい負債を先立ってこれを償却し、元金の数多くを減じた。これが3万余両の負債を償却した始めである。



分度既に定れり一藩艱難に處(しょ)して行ふ。
大夫(たいふ)以下再び櫻町に至り之を先生に告ぐ。
先生悦びて曰く、
下館上下天命を知り其の本(もと)既に定れり。
此の時に當(あた)りて負債償却の道を設(まう)けずんばある可らず 
と。
是(これ)に於て數日(すうじつ)沈思黙慮して遂(つひ)に數巻(すうかん)の書を成し、之を大夫(たいふ)以下に示して曰く、
今君臣共に艱苦に安んじ年々利濟(りさい)の道備れりと雖も、元金三萬(まん)何(いづ)れの時か減ずることを得ん。
減ぜざる時は國患(こくくわん)消除の時あるべからず。
然れども之を減ぜんとするに一金の出所(しゆつしょ)あらず。
已(や)むを得ず、元金減少の道を案ずるに此(こゝ)に一あり。
來(らい)亥年(いどし)正月二月兩月(りやうげつ)の國用(こくよう)米財(べいざい)我が仕法の米金を贈り之を補ひ、七八兩月(りやうげつ)の米財は下館市井(しせい)の富商常に君家(くんか)の用財を辨(べん)じ來るもの八戸(こ)にて之を補ひ、且(かつ)宗家(そうけ)石川候は慈仁にして憐恕(れんじよ)深し。
今下館君臣艱難を盡(つく)し舊來(きうらい)の衰弊を擧(あ)げ永安の政(せい)を行はんとすることを具陳(ぐちん)せば、必ず補助を爲(な)し玉はんか。
然らば三四五六四ヶ月(げつ)の用財を補ひ玉はんことを請(こ)ふべし。
下館再復せば其の時に至りて本家並に商家の出財を償はんこと甚だ易し。
此の如くして當(たう)戌年(いぬとし)下館領邑(いふ)の租税を以て借債を償ふべし。
然らば元金許多(きよた)を減じ、從來(じゆうらい)利濟金(りさいきん)の内幾多(いくた)の財を餘(あま)すに至る。
之を以て毎年に元金を償はゞ、遂に三萬(まん)の借債を償却する難きにあらず
 と。
大夫(たいふ)以下先生の仁にして且(かつ)大知なることを感歎し、大いに悦びて此の事を具(つぶ)さに本家に聞(ぶん)す。
本家先生の誠意を感じ四ヶ月の用財を贈り玉ふ。





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最終更新日  2026.09.22 00:00:10
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