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「その本はたった一人にだけ、たった一晩だけしか他人に貸してはなりません。」「三月は深き紅の淵を」という本についての約束事です。「三月は深き紅の淵を」という幻の本に関連しての物語が内側と外側で展開されます。ものすごく凝った内容。どう説明していいか、ここまで悩む本も初めてのことです。内側の小説も、外側の小説も四部作になっており、そこがまた混乱させられるところです。一話読むごとにうぅーん、と唸り、なんだかメビウスの輪の中にいるような、そんな感覚にさせられます。第四話ではこの物語を書いている「作者」自身の物語へ。それでもやはり内側と外側は健在です。なんとも不思議で、そこがまた面白くて、何度も何度も読み返してみたくなる本当に不思議な本です。
2004年10月29日
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ハンガリーとイタリアのハーフであるトニー氏と結婚した漫画家の小栗さんが「国際結婚はロマンティックでアモーレな世界ばかりではない」という事実を書いたドキュメンタリー(?)です。漫画家ということもあり、ほとんど全編を通じてイラストが盛りだくさんなので「ちょっと字が多い漫画」という感じです。トニー氏はただの外国人ではなく、語学オタクなのだとか。日本語もとても上手に話せるので、会話などには全く問題がありません。そんなトニー氏の日本語に対するマニアックな質問、とんでもない発想が面白おかしく書いてあり、思わず吹き出してしまいます。日本語って人に説明するとなると本当に難しいな~としみじみ思ったり。シリーズとして1と2が出ていますが、どちらもとても面白かったです*^-^*
2004年10月23日
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う~~ん、さすが・・・!!という一言につきます。私が好んで良く読むような、事件やサスペンスとは全く違う種類の本なのですが、一番最後のページまで一気に読んでしまいました。この本の主人公「果歩」とその友人「静枝」の関係、それぞれの恋人との関係。その内面の精神的なものが見事に描写されています。女同士の友情って・・・と、考えさせられます。一番の理解者だったり、一番のライバルだったり。心配されるのが何よりも耐えられなかったり。それでも一番信用していたり・・・本の中では尾形亀之助さんの詩がいくつか引用されていて、それがまたイイのです。こちらの詩集も読んでみたいです。主人公の果歩、静枝ともとても魅力的で、丁寧に丁寧に作られた作品という印象。特に果歩の職場の友人として出てくる中野が、とても呑気で可愛らしく私は大好きでした*^-^*
2004年10月21日
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「横山秀夫」といえば警察本。そういう図式を覆した1冊です。私が今までに読んだ横山秀夫氏の本は、日記として書いていないものも含めて全て警察小説でした。この作品は1996年に出版されたものを全面改稿した、横山氏初の戦争小説です。甲子園で優勝した経験を持つ、野球部のエース「並木」。大学に進学した並木を待っていたものは「野球どころじゃない」日々。次第に傾く戦局に、ついには学生に対する「徴兵猶予」も停止。並木や野球部のチームメイトらも「学徒出陣」として出陣することになります。そして並木は「人間兵器」である「人間魚雷(回天)」に搭乗するのですが、何故並木は「回天」に搭乗を希望したのか?それを知るために、かつてのチームメイトが海軍時代の並木を知る人物と話をすることから物語は始まります。前半部分は「並木」のチームメイト達の視点でストーリーは展開し、中盤意向はほぼ「並木」の一人称になっているようです。「神風特攻隊」という空軍の特攻隊のことはよく知られているのですが、海軍にも人間兵器ならぬ「人間魚雷(回天)」というものが存在したのです。魚雷に乗り込み、敵の艦船に命中する。脱出装置はなし。死ぬことを運命づけられた並木が、死ぬための訓練を続けながらも、「生への執着」であるピッチング練習を毎日かかなさい。並木のいう「己の戦争」に終結をつけるまでを描いた作品です。生きていたい、と思うことすら憚られる時代。「出口のない海」とは一体?その意味がわかったとき、とても切ない気持ちで一杯になります。前途ある若者、夢を持ちそれを叶えるために努力する若者が、犠牲になるようなことが二度とあってはならないと思いました。。。
2004年10月20日
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デビュー作である前作「午前三時のルースター」でサントリーミステリー大賞受賞作、読者賞をダブル受賞した著者の2作目です。ファイト・パーティーを主催するストリートギャング「雅(みやび)」の若干19歳の頭、アキ。同じく「雅(みやび)」のブレーンともいえる少年、カオル。ある日、「雅(みやび)」の仲間がとんでもなく「やばい」金を持ち帰ってしまう。アキとカオルが仲間を救うために考えた「作戦」とは・・・?ストリートギャング×ヤクザ×プロの強盗の三つ巴の騙しあいが面白いです!この著者の書く登場人物は、いずれも魅力的で頭が切れます。読んでいて、ほうほう、そうきたか!など相槌を打ってしまうこと間違いなし。車にも深いこだわりがあるようで、「カーキチ」が出てくる作品が多いのですが、この本にも出てきます。私には全く車関係の用語がわからないのですが(汗)、車好きな方には興味深い描写が盛りだくさんです。社会に苛立ち、自分の行き方を探しあぐねている19歳の少年たち。アキが最後に決断する、自らの生き方とは?少し出来すぎかな?と思える部分がラストでチラホラあるので私自信のピカイチである「ワイルド・ソウル」には及ばないものの、それでもかなり楽しんで読めました。この作品には続編もあるので(ギャングスターレッスン)、読んでみようと思っています*^-^*
2004年10月19日
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「再生」「呼子池の怪魚」「特別料理」「バースデー・プレゼント」「鉄橋」「人形」表題作である「眼球綺譚」七つの短編が収録されたホラー小説です。七つの小説はすべて独立した物語ですが、どれにも「由伊(ゆい)」という名の女性が登場します。同一人物?と思えるような同姓同名の女性もいるのですが、どうも関係ないようです。ご自身もあとがきに書いていらっしゃるのですが、ホラー小説といってもどちらかというと「怪奇小説」に近いように思います。しかも内容が・・・・・。まだ未読の方もいらっしゃると思うので書きませんが、とにかくグロイです・・・。( ̄_ ̄|||)ほとんどの小説が、食前・食後に読むことをお勧めできないものなのです。好き・嫌いが分かれる小説であることは間違いないのですが、私はどうしても苦手な分野で・・・読むにはかなり努力を要しました(^_^;)綾辻行人さんの本を初めて手にとった私には、強烈な第一印象がついてしまいました。まぁ書名からして「眼球」なのだから・・・読む前に気付くべきでした・・・・f(^^;) ポリポリちなみに、この本の装丁は「京極夏彦氏」がされたそうです。
2004年10月15日
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第17回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブルで受賞した作品。先日感想を書いた「ワイルド・ソウル」の著者のデビュー作になります。旅行代理店に勤務する主人公が、失踪した父親を探す少年に同行しベトナムを訪れることから物語は始まります。現地で雇ったタクシーの運転手やガイド役の娼婦などの登場人物を加え、ベトナムで捜索活動をする一行を待ち受ける様々な出来事、そして最後に辿り付いた真実とは・・・?「ワイルド・ソウル」のルーツがここに、確かに感じられます。著者の垣根氏は旅行代理店に勤務しながらこの作品を書いたそうで、なるほど~と思わせる詳しい描写が多々あり、とても面白いです。「ワイルド・ソウル」ほどのインパクトはないものの、ストーリーの展開といい、魅力的な登場人物達といい、読んで損はない1冊でした。(というか、「ワイルド・ソウル」ほどの一冊には今後いつ巡りあえるかわからないのですが(^_^;))父親を探す少年の気持ちが後半ものすごく切々と伝わってきます。ミステリーもあり、友情もあり、親子って・・と考えさせられるところもあり。ちなみに「ルースター」とは一番鶏のことだそうです。「この街で、この国で、一番鶏の鳴き声を聞かなくなってから、久しい。」(本文より)本を読み終えた後、しみじみと考えてしまう言葉です。
2004年10月12日
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「風の歌を聴け」から25年、さらに新しい小説世界に向かう村上春樹書下ろし長編小説。という帯のメッセージに惹かれて手にとりましたが、今とても話題の1冊です。私は村上氏の本をかな~~~り昔に(多分10年以上前)に数冊読んだきりなので、「こういうのが村上春樹さんの本」という自分の中での位置付けのようなものは全くありませんでした。だからファンの皆さんが感じた印象とは違うかも知れませんが・・・真夜中から空が白むまでの間の時間帯「アフターダーク」に起こる、さまざまな出来事を淡々と綴っていくことでストーリーは展開していきます。一段落ごとに時計が表示してあり、この時間、こちらでは・・・という具合。「私たち」という第三者の目を通じて、登場人物たちをどこか離れたところから観察している、という表現がされていてとても面白いです。こういう書き方が多分「さらに新しい」村上氏なのかな?と思いつつ、読み進めていきました。ものすごく端的に言い表すと、主人公(だと思われる)浅井マリと、その姉である浅井エリの関係がメインなのだと思われ・・・「読後感が悪い」という声をよく聞くのですが、私は割と良かったように思います。というのも、とりあえずは主人公の姉妹の関係が一段落ついたようだったからです。でもそれ以外のところでは、謎、謎、謎・・・・だらけの終り方でした(^_^;) 結局どうなったんだろう?という人物達がたくさんいます。文中いたるところで感じる、よくわからない圧迫感のようなものにも説明がなく、とても「1冊で終わり」とは思えませんでした。もう少し、読者にもわかりやすく書いてほしかったかな・・・という気がします。。。ただ、登場人物達の会話は面白いものが多く、興味深かったです。今後どういった小説を書かれるのか、興味津々です。
2004年10月11日
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7名の作家が織り成す「恋愛物語」7編をまとめた短編集です。江國香織 ドラジェ角田光代 そしてふたたび、わたしたちのこと井上荒野 帰れない猫谷村志穂 これっきり藤野千夜 ビルの中ミーヨン くらげ唯川 恵 手のひらの雪のようにいずれも恋愛小説界において良く知られた作家さん達が、それぞれの持ち味をいかして記した恋の形。全ての作品に共通するのは、主人公が女性であるということ。男性作家では書き得ない、女性独特の感傷や女同士の友情などを書き綴った作品集です。それぞれの作品に登場する女性に共感したり、反発したりしながら、あっという間に読み終えてしまいました。印象的だったのが角田光代さんの「そしてふたたび、わたしたちのこと」。恋愛に焦点を当てているようでありながら、女同士の友情を超えた(?)不思議な関係を綴ったお話。これぞ恋愛小説!と私が一番好きだったのは、唯川恵さんの「手のひらの雪のように」。浮気をした恋人とある「約束」をした女性と、それを支えた人物のお話。読んだ後には、澄み切った爽やかな気持ちで一杯になります。
2004年10月09日
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先日感想を書いた「さよならの代わりに」の著者である貫井氏のデビュー作です。この本の特徴として、交互に二つのストーリーが展開していくところがあげられます。一つは「連続幼女誘拐事件」を捜査する警察官、特に捜査一課長に焦点をあて、難航する捜査状況を追ったストーリー。そしてもう一つは過去に娘を亡くしたことにより「心に穴が空いてしまった」ある男性が、宗教に救いを求めのめりこんでいく様を追ったストーリー。一見関係ないように思える二つのストーリーが錯綜し、その先に見えた真実とは・・・?この本の解説者である北村薫さんの推薦文としてタイトルは「慟哭」書き振りは「練達」読み終えてみれば「仰天」と書かれているのですが、正にその通りだと思います。とてもデビュー作とは思えない文章の巧さがあり、あっという間に引き込まれ、読み終えてしまいました。ただし読後感の悪さといったら・・・・。人が「慟哭」するさまを見事に描写した1冊だと思います。そして人が「慟哭」するさまというのは、見ている方も辛いものなのです。。。
2004年10月08日
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「壇 ふみ」という女優さんを私は最初知りませんでしたが、検索してご本人の画像を見てみると「あぁ~!」と納得。にこにこと柔らかい笑顔が印象に残る女優さんです。このエッセイは「日経流通新聞」に掲載された「ありがとうございません」を改題し加筆訂正したものだそうです。双子の妹さんである「紺野美紗子」さんのこと、愛犬のこと、女優道などいろんな面白いお話でいっぱいです。エッセイには人を中傷して面白おかしく書いている物も多く、面白い反面少し嫌な感じを受けることもあるのですが、壇さんのエッセイはそういうところが全くありません。写真の印象のままのお人柄を感じることが出来る、柔らかい文章で綴られたエッセイです。壇ふみ、という女優さんがとっても好きになってしまった1冊でした*^-^*
2004年10月04日
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むむむずかしい~~!!と思わずうめいてしまいました。森氏の他の作品を読んだときにも感じたのですが、内容があまりにも専門的過ぎるため読み手にある程度の知識・想像力が要されます。今回の作品は「そして二人だけになった」と似た背景があります。孤島の研究施設に閉じこもった天才工学博士「真賀田 四季」。研究施設を訪ねた主人公「犀川創平」と「西之園 萌絵」が博士の部屋に入ろうとした瞬間、進み出て来たものはなんと・・・!密室で起こった殺人事件。犯人は誰か?一見不可能に思われるトリックを解き明かす、というもの。あまりにも見事なトリックで、正直理解できた、とは言い切れませんイジイジ.....(〃_ _)σ【壁】 コンピューターに詳しい方ならわかるのかもしれません・・・何よりも私にとって理解不能だったのが「動機」です。それだけはどうしてもわからなかった・・・・犯人はきちんと動機を明らかにしているのですが、どうも納得いきません。もしかしたらシリーズの続きを読めば明らかになるのかもしれません。登場人物の会話にもとても哲学的(?)なものがあり、考えさせられます。「死」の定義について。「死を恐れている人はいない。死に至る生を恐れているのだ。」なるほどなぁ~~。何度も読み返してみたい魅力がある本でした。
2004年10月03日
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ご存知「世界の中心で、愛を叫ぶ」の著者が1995年に新潮社から刊行したものを復刊した作品です。復刊に際して「デジタル・リマスター」を施したとか。「デジタル・リマスター」・・・( ̄~ ̄;)?意味を知っている方は教えてくださると嬉しいです。この本は・・・うーむ、難しい本です。なんとも感想がいいようがないというか。捉えどころがないというか。1974年から1977年までの3年間を綴った物語で、どことなく古めかしい表現や、その当時流行っていたと思われる音楽などがよく出てきます。主人公の「ぼく」「カヲル」「ジーコ」の3人が織り成す青春物語(?)。一応「ぼく」と「カヲル」は恋人同士という感じですが、主人公の友人である「ジーコ」も強烈な存在感をもって関わってきます。主人公の「ぼく」よりも圧倒的な存在感をもつ「ジーコ」。変わった人です・・・・どう強烈に変わっているのか、というのは是非本で読んでほしいのですが。全体的に「世界の中心で~」と、似たような印象を受けます。「カヲル」が入院するくだりでは、正直「また恋人病死オチ?」などと心配してしまいました。(^_^;) 私はまだ「世界の中心で~」とこの本しか片山氏の本は読んでいないので違うのかもしれませんが、どうも「闘病記」がお好きなようです。ただ正直、少し暗くて重くて・・・読後感が良くなかったです。
2004年10月01日
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