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2021年09月25日
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テーマ: 中国情報(413)
カテゴリ: 中国、台湾
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 1978年、現実派の鄧小平は「四つの近代化」を掲げ、経済面では市場経済体制への移行を試みた。
 1989年の天安門事件を経て、1992年以降、再び改革開放が推し進められ、経済成長は一気に加速した。
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 中国は過去40年間、経済成長をほぼ一貫して優先し、現在GDPは世界第2位を安定的なものとしている。
​ 2021年、中国共産党は結成100周年を迎えて 、習近平国家主席は、社会的平等を一段と重視する姿勢を鮮明にしている。経済的に豊かになった中国において、共産党支配の存続に対する国民の支持を固めることが狙いだ。
 現在、「共同富裕」という格差解消のスローガンが演説から国営メディア、学校まであらゆる場所で掲げられている。
 共産党員の統制強化から始まり、少数民族の思想教育の強化や移住政策による民族解体がすすめられている。
 現在は、IT、ネット通販、不動産などの大企業・経営者・在外資産の統制も強化されている。
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コラム
木内登英のGlobal Economy & Policy Insight
中国規制・統制強化の5か年計画
と中国投資プレミアム
木内 登英
2021/08/19 NRI
中国「規制・統制強化の5か年計画」
 中国政府による産業・企業への規制強化は、とどまることなく進められている(コラム「中国企業への統制拡大でチャイナリスクが急浮上」、2021年7月29日、「中国、米国双方の規制強化で進むマネー・デカップリングと高まるチャイナリスク」、2021年8月5日)。
 それが、一時的な政策変更によるものではなく、 中国政府が腰を据えて経済活動の再構築を図り始めた ことが、次第に明らかになってきている。その底流にあるのは、共産党による統制強化と体制の安定維持、そして米国への対抗であろう。
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 中国国務院は11日に発表した声明で、経済の広範な分野を規制する取り組みについて、今後5年間、深く継続して進めていく考えを示した。いわば「規制・統制強化の5か年計画」である。
「国を統治する上で極めて必要になる」法的枠組みを改善するために、国家安全保障や技術革新、独占禁止を含む分野での法整備に「積極的」に取り組む 、と表明している。
 さらに、より良い生活を希求し続ける国民の要求を満たすために、 近代的な規制環境を作り上げる とも説明している。
 この声明は具体的な施策を詳細に説明するものではないが、規制・統制強化の取り組みが、非常に幅広く、また時間をかけて行うという当局の意思を伝える役割を果たしている。
 声明では、 IT部門と教育部門で規制強化が必要 であるとしているが、これについては既に実施されていることであり意外感はない。そのうえで、国民生活を改善させる観点からは、独占を取り締まる競争政策が必要であることを謳っている。これも、アント・グループやアリババグループなどに対して既に行われていることだ。
 また声明は、 デジタル経済、インターネット金融、人工知能(AI)、ビッグデータとクラウドコンピューティングといった分野で法的枠組みの点検に取り組む ようにも求めている。
  ―  引用終り  ―
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 共産党独裁体制の権力を見せつけるように、習近平政権による拝金主義の社会体制の是正は続く。
焦点:習氏の「小革命」
強大な権力で社会主義の原点目指す
ロイター編集
2021年9月12日 REUTERS
  … (略) …
 ところが、習氏はインターネット企業や営利目的の教育産業、オンラインゲーム、不動産市場のバブルなど広範な分野で締め付けを行ったり、格差解消戦略「共同富裕」を提唱したりするなど、新しい政策を次々と打ち出し、本気で中国を社会主義の原点に回帰させるつもりだということが明らかになってきた。
 毛沢東以来、最も強力な指導者となり、18年に2期10年までと定められていた任期制限を撤廃した習氏は、資本主義の行き過ぎを抑え、欧米による負の文化的影響を排除するために、小型の「革命」とも呼ばれる政策を推進している。
 こうした取り組みは習氏が17年に打ち出した政治思想「中国の特色ある社会主義に関する習近平思想」の学習を新たに義務付けるといった学校のカリキュラム改変から、不動産部門の規制強化、政府が不健全と見なす娯楽の制限まで、あらゆる分野に及んでおり、投資家の間で不安が広がり、政府や国営メディアがその鎮静化を図っている。
  … (略) …
 だが、一連の政策の意図するところは明白だと専門家は指摘する。
 オックスフォード大学のラナ・ミッター教授(中国史・政治学)は「習氏は新自由主義改革による平等性の毀損(きそん)という、極めて現代的な問題に取り組み、毛沢東主義だった初期の中国を成していた使命感を取り戻したいのだ」と述べた。
  ―  引用終り  ―
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 中国はこれから急速に高齢化社会に突入し、大きな経済拡大は望めなくなる。
 経済格差の是正、企業による膨大な富と権力の集中の是正、宗教やネット空間への都政強化で、旧体制と化した中国共産党への支持は回復するだろうか?

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最終更新日  2021年09月25日 06時00分09秒
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