全252件 (252件中 101-150件目)
日韓対立で韓国はボイコット・ジャパンに励む。 訪日韓国人は激減。 旅客減で、日本の観光地より先に韓国の航空会社が音を上げた。 韓国のLCC、日本の地方空港が厳しいとの話も出ているが、大韓航空に次ぐ韓国第2の航空会社、アシアナ航空が身売りする。 しかも錦湖アシアナグループを中核のアシアナ航空が単独でHDC現代産業開発グループに移る。 財務基盤の弱い財閥がまた一つ減るのか。 韓国・アシアナ航空、売却先候補は決まったものの・・・HDC、買収しても巨額の負債に航空不況で、難題山積玉置 直司2019.11.13 JBpress 韓国第2位の航空会社であるアシアナ航空の売却先候補が決まった。 建設大手のHDC現代産業開発などの企業連合が総額2兆4000億ウォン(1円=11ウォン)以上の金額を提示し、優先交渉権者になった。 経営不振に陥っていたアシアナ航空が新しいグループ入りして再浮上できるのか。 先行きには多くの難題が待ち受けている。 アシアナ航空の大株主である錦湖(クムホ)産業は2019年11月12日、理事会(取締役会に相当)を開き、アシアナ航空の売却に向けた優先交渉権者としてHDC現代産業開発などの企業連合を選定した。 アシアナ航空の子会社であるエアソウル、エア釜山など6社を合わせた一括売却となる。 …(略)… だが、「前途多難」(韓国紙デスク)を予想する声がそれ以上に多いことも否定できない。 優先交渉権者にはなったが、資金繰りが苦しい錦湖アシアナグループは、「プレミアム」を要求するとみられる。 朴三求氏はこれまでも危機に陥るたびに驚異の粘りで持ちこたえてきた。 これから始まる本交渉が簡単ではないとみる向きもある。 一方で、アシアナ航空の実態が予想以上によくない可能性がある。 アシアナ航空は2018年12月期決算で2000億ウォン近くの最終損失を計上した。 2019年も赤字基調は変わらない。 さらに、韓国メディアによると、10兆ウォンという巨額の負債を抱えている。 社債発行や借入金で苦しい資金繰りをしのいできたからだ。「整備人員の拡充や機内サービスの向上、新機体の導入などこれまで遅れていた投資に踏み切る必要もあり、新規資金需要も予想以上の金額になる」(同)との指摘も多い。 買収金額は2兆4000億ウォン以上というが、それだけではとても済まないのだ。 HDC連合の方で、買収を取りやめる可能性もある。 航空業界を取り巻く構造的な問題もある。 ― 引用終り ― ボイコット・ジャパンの影響は、韓国航空業界トップの大韓航空も大きな影響を受けている。 LCCは現在6社。 アシアナ航空を含め、韓国航空業界の再編は必至と思われる。
2019年12月12日
コメント(0)
東レも見放した三菱スペースジェットは、型式証明の取得もままならないまま。 生産計画が見直しになっている。 もちろん、前倒しはない。 三菱重工社長、来年半ばの民間ジェット機納入「確約できず」2019年11月21日 ロイター 三菱重工業の泉澤清次社長は20日、ロイターとのインタビューに応じ、開発中のジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」の納入計画に遅れが出ていると認めた上で、現行予定の2020年半ばの納入を確約できないと表明した。 社長は「現在、納入計画の見直しを行っている段階で、すべてが仮定の状態だ」と語った。 ― 引用終り ― いつまでたっても飛べないMRJ改めMSJは、優秀な人物が多く集めながら、変革に対応できない三菱重工を象徴するようだ。 買収したボンバルディアの活用を考える環境にはなっていない。
2019年12月06日
コメント(0)
トヨタ、VWなど自動車業界が今期の業績見通しを下方修正する中、旅客航空製造業界の先行きは明るいようだ。 ドバイ航空ショーでエアバスの受注は当然としても、連続墜落事故の原因が最近特定されたボーイングが、当の737MAX機を受注したのは驚き。 3月の運行停止以来初受注。 2020年の見通しは明るい!? エアバス、計300億ドル受注ボーイングもMAX機に受注2019年11月19日 ロイター 11月17日から開催されているドバイ航空ショーで、欧州航空大手エアバス がアラブ首長国連邦(UAE)の航空会社、エミレーツ航空とエア・アラビアから合計300億ドルの受注を獲得した。 米ボーイング も737MAX型機の受注を3月の運行停止以降で初めて正式に獲得した。エミレーツ航空は今年2月時点でエアバスのA330neoを40機、A350-900型機を30機購入する予定だったが、これを変更し、A350型機の購入数を50機に拡大する一方、A330neoの購入を見送った。 購入規模は160億ドル相当。保有機の多様化や排出量削減への影響などを考慮したという。 またエア・アラビアはA320neoやA321neoなど合計120機(140億ドル相当)を購入する。 ドバイ航空ショーでの購入機数は現時点で最大という。 一方、トルコの航空会社、サンエクスプレス はボーイングの737MAX8型機10機の追加購入を発表した。 購入額は12億ドル。 サンエクスプレスはすでに32機を発注している。 ボーイングMAX機の正式な購入発表は3月の運行停止以来初めて。 英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の親会社IAG は6月、ボーイングと737MAX型機購入で趣意書に調印したが、まだ最終決定されていない。 ― 引用終り ― 業界は明るい見通しだが三菱航空機・スペースジェットは不透明。 FAAの型式認証を取得が不透明、東レが尾翼部品の生産停止を表明し、順調に生産できるかも不透明。 東レが生産停止三菱ジェット用尾翼部品2019年11月15日 東京新聞 三菱航空機が開発中の国産初のジェット旅客機スペースジェット(旧MRJ)について、東レが尾翼向け部品の生産停止を決めたことが14日、分かった。 今後の部品生産は三菱航空機の親会社、三菱重工業が担う。 関係者によると、軽さや強度に優れた炭素繊維を材料に使う点や特別な工法のためにコストが高く、三菱側が内製化で抑制を目指したという。 ― 引用終り ―
2019年12月06日
コメント(0)
HondaJetの販売・供給は相変わらず好調。 2019年8月13日、、「HondaJet」の2019年上半期(1月~6月)のデリバリー数が17機となり、小型ジェット機カテゴリーにおいて、2017年と2018年に続き世界第1位を達成したことが発表された。 うまくいっているビジネスは相乗効果で益々うまくいく。 サービス、サポート、トレーニングのネットワークがより充実している。 ところで HondaJet はいつ累損を一掃して黒字になるのだろう。 HondaJetが世界最大のビジネス航空ショー「NBAA2019」で最近の活動状況を発表 Hondaの航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(Honda Aircraft Company 以下、HACI)は、米国ネバダ州ラスベガスで10月22日 (火)から24日(木)まで開催された世界最大の民間航空ショー「NBAA」(National Business Aviation Association, 以下NBAA)にて、最新の活動状況として以下の内容を発表しました。 ■緊急医療搬送用(Medevac)※1仕様を初公開 HACIは、緊急医療搬送用(Medevac)に改修された小型ビジネスジェット機「HondaJet Elite」の客室仕様を発表し、NBAA会場ではMedevac仕様の実物大モックアップが展示されました。Medevac仕様のHondaJet Elite初号機は、チャーター会社Wing Spirit社によってハワイ諸島で運用されます。 …(略)…※1 Medevacとは、緊急医療搬送用に改修された客室仕様を備えるヘリコプターや航空機のこと ■米国北東部に新たなメンテナンス・サービスセンターを設置 HACIは、世界中でHondaJetの運用機数が増加する中、幅広い範囲でお客様のご要望にお応えし続けるため、サービス・サポートネットワークの拡大に取り組んでいます。 米国においては、6ヶ所のHondaJetメンテナンス・サービスセンターがあり、今回新たに7ヵ所目となるHondaJetメンテナンス・サービスセンターとして米国北東部、デラウェア州ウィルミントン市の「flyADVANCED」社を選定しました。 新サービスセンターはアメリカ連邦航空局(FAA)の整備事業認定(Part 145)を取得しており、エアフレーム(機体胴体)、エンジン、航空機電子機器のメンテナンスなど様々なサービスを提供するflyADVANCED社の下で運営されます。 「flyADVANCED」社長のレジス・デ・ラメル氏は、「米国北東部におけるHondaJetのメンテナンス・サービスセンターに選ばれたことを誇りに思います。我々チームの高い専門知識と経験により、最先端の小型ビジネスジェット機HondaJetに相応しい最高レベルのサービス・サポートをご提供できると確信しています」と述べました。 ■HondaJetフライトシミュレーター2号機を導入 HACIは、HondaJetのパイロット訓練用フライトシミュレーターの2号機の導入、設置を発表しました。 HondaJetのフライトシミュレーターは、HACIと業界最大手のFlightSafety International〓社との共同開発によるもので、2015年、HACI本社敷地内のHondaJetトレーニングセンターに1号機を導入し、現在一日に約20時間運用されています。 2号機はイギリス ハンプシャー州ファンボロー市に設置する計画で、2020年4月に運用を開始する予定です。 ― 引用終り ― 最早独りよがりではなくなったと思うが、三菱航空機にも大いに頑張って欲しい。 航空機ビジネスは機体単体の完成度の話ではないとを、三菱航空機は身に染みて知ったことと思う。 借りるべき力は借り、利用すべき懐は利用しなければ、現代の高度に複雑化した航空機ビジネスでは土俵にさえ登れない。 さて、三菱航空機の黒字化はいつの日か。 HondaJet2015年 12月10日、FAA(米連邦航空局)の型式証明取得 12月24日、販売開始2016年 5月24日、欧州航空安全局の型式証明取得2018年 12月7日、日本の型式証明取得2019年 8月6日、中国での型式証明取得
2019年11月15日
コメント(0)
初の国産ジェット旅客機三菱スペースジェットの受注が動き始めた。 まずは100機増。 三菱航空機、米社から100機受注へReuters Staff2019年9月6日 ロイター 三菱重工業傘下で国産初のジェット旅客機を開発している三菱航空機が、65─88人乗りの「M100」を100機、米メサ航空から受注することで覚書を締結する見通しとなった。 ― 引用終り ― 約3年ぶりの受注で、受注累計機数は500機。 喜びもつかの間、100機の契約が解けた。 次に100機減。 三菱航空機、米トランス・ステーツとの計100機の契約を解消2019/10/31 ロイター 三菱重工業傘下の三菱航空機は31日、米独立系地域航空会社トランス・ステーツ・ホールディングス(TSH)との契約を解消すると発表した。 トランス・ステーツは「三菱スペースジェットM90」を計100機(確定50機、オプション50機)発注していた。 契約解消について三菱航空機は、米国市場の要求(スコープクローズ)を満たさないためとしている。 同社の水谷久和社長は「TSHと契約を締結した当時のリージョナル市場の見通しは現在とは異なっており、米国のスコープクローズは予想通りには緩和されなかった」とのコメントを発表。 「TSHとは、スペースジェットM100の発注に関する協議も続けていけることを期待している」とした。 ― 引用終わり ― 【スコープ・クローズ】 スコープ・クローズは、リージョナル機最大の市場である米国で、大手航空会社のパイロットの雇用を守るため、航空会社とパイロット組合の間で結ばれた労使協定のひとつ。 リージョナル機は大手傘下の地域航空会社が運航するが、大手より賃金が安い地域航空会社へ路線移管が進むと、大手のパイロットは賃下げなどの問題に直面しかねない。 それを防ぐためスコープ・クローズが設けられた。 座席数、最大離陸重量が基準に含まれる。
2019年11月13日
コメント(0)
5度に渡る納期延期を経て、MRJ改めスペースジェット「M100」はFAA(米・連邦航空局)の型式認定取得の目途もたったらしい。 2024年の納入開始を宣言。 納期の延期の間に失われた受注をカバーすべく受注協議がすすめられている。 この度100機受注のニュースが飛び込んできた。 三菱航空機、スペースジェット「M100」100機の受注協議開始2019年9月7日 財経新聞 三菱航空機は6日、米航空会社メサ航空とジェット旅客機スペースジェット(旧MRJ)の70席級「M100」を、100機受注する協議を開始したことを発表した。 総額は約4千億円規模で、納入開始は24年の予定だという。 08年から鳴り物入りで開発を始め、5度に渡る納期の繰り延べを行い正念場を迎えていた三菱リージョナルジェット(MRJ)は、主力機種と位置付けられた70座席級の「スペースジェットM100 」と、90座席級の「スペースジェットM90」の2機体で構成される三菱スペースジェットへと変身することが、6月に発表されていた。 当初から開発が続けられていた90座席の機体は、米国の大手航空会社とパイロット組合が締結している、「スコープ・クローズ」(上限値:最大離陸重量39トン、76座席)と呼ばれる労使協定をクリア出来ない機体だった。 幸か不幸か、5度に渡る納期の繰り延べが行われていたため目立たない事項だが、仮に無事完成していたとしても、「スコープ・クローズ」に抵触している機体を米国で飛ばすには制約があった。 6月25日に、三菱重工業は、カナダ・ボンバルディアとリージョナルジェット機「CRJ」事業の譲渡契約を締結したことを発表した。 事業取得費用に5億5千万ドル(約590億円)と債務継承に2億ドル(約210億円)、合計約800億円という高額な投資となるが、カナダに2カ所のサービス・サポートネットワーク拠点と米国に2カ所のサービスセンターを手に入れて、CRJシリーズの保守やカスタマーサポート、販売網なども継承している。 ― 引用終わり ― 三菱航空機は本日、米国のメサ航空(Mesa Air グループの完全子会社)と、SpaceJet M100の 100機購入に関する協議を開始する旨の覚書を締結した。 この覚書はテネシー州ナッシュビルで今年開催された Regional Airline Association(RAA)年次総会において、米国三菱航空機のブースで行われた署名イベントの中で発表された。 100機の内容は、確定50機、追加購入権50機。
2019年09月15日
コメント(0)
2008年5月、民間航空機製造会社として中国商用飛機(COMAC)上海で設立。 米欧の寡占状態下にある中・大型旅客機の開発製造に楔を打ち込む。 COMAC ARJ21 地域路線用の小型ジェット旅客機(リージョナル・ジェット)。 ARJ21-700は、2クラスで78人乗り、オールエコノミーで90人乗り。 中国初の自主開発実用ジェット旅客機。 2008年11月28日、初飛行。 2007年12月21日、生産開始。 2016年6月28日、運用開始。 中国の独自開発とされるARJは、マクドネルダグラスMD-90のライセンス生産施設を利用して作られた旅客機だとされている。 機首はMD-90とソックリといわれている。 エンジンは米国製GE製CF-34を装備。 ウクライナのアントノフによって開発されたウィングレットを備えた後退角25°の超臨界翼を備える。 2019年4月時点で、ARJ21の安全飛行時間は1万時間を超え、11機が就航。 延べ32万人近くの旅客を輸送している。 COMAC C919 168-190席級のナローボディ機。 ライバルは、エアバスA320neoとボーイング737MAX。 2015年11月2日、ロールアウト。 2017年5月5日、初飛行。 2021年、就航予定。 COMAC C929 ロシアの統一航空機製造会社(UAC)と共同開発。 290席級のワイドボディ機。 ライバルは、エアバスA350 XWBシリーズとボーイング787。 2017年5月、UACとCOMACの合弁会社「中露国際商用飛機有限責任公司」(CRAIC)が上海で設立。 2017年9月29日、COMAC C929は「CR929」と命名された。 2021年、初飛行予定。 2025-2027年、運用開始予定。 COMAC C939 C929の発展型。 390-400席級のワイドボディ機。 ライバルは、ボーイング777とボーイング747-8、エアバスA350-1000 XWB、A380-800。 ボーイング747-8とA380-800は製造中止がほぼ確定。
2019年09月12日
コメント(0)
先に中型旅客機(ナローボディ)を作り上げた中国とロシアがタッグを結成。 中国が胴体を製造。 ロシアが主翼とフィンと尾翼とエンジンを開発。 中華人民共和国の中国商用飛機(COMAC)とロシアの統一航空機製造会社(UAC)が共同でワイドボディ機を開発。 ロシアが企画・開発した航空機を一部中国で製造し、米欧寡占状態の大型旅客機市場に挑戦する。 第二次大戦後、大型機の航空機製造は収斂され続けた。 大型旅客機については米ボーイングとEU・エアバスの2社となった。 中国が絡むことで有利なのは、その国内市場の大きさ。 一帯一路で中国の支配下にある空域は大きく拡大。 中国とロシア、インドネシア、インドが組めば、地球の過半の人口がその空域下に収まる。 そこではFAA(米・連邦航空局)の型式認定の取得は無用。 独自で効率的な主翼と大型ジェットエンジンを開発する技術力のない中国を、ロシアが補う。 中ロ共同開発のC929旅客機、性能はエアバスやボーイングに匹敵―中国メディア2019年8月25日 Record china 中国メディアの環球網は2019年8月23日付で、中国とロシアが共同開発するC929旅客機は、主要性能が最新のエアバス機やボーイング機に匹敵すると紹介する記事を掲載した。 記事はまず、C929向けエンジンのPD-35を開発するロシア企業の統一エンジン製造が、C929の最大離陸重量は245トンであることを明らかにしたと紹介。 中国が開発し現在試験飛行を行っているC919旅客機の最大離陸重量は72.5トンなので、C929は約3倍になるという。 記事は、C929のライバル機であるエアバス社のA330-900の最大離陸重量は251トン、ボーイング社のB787-9は247トンなので、C929は離陸重量について同等の性能と論じた。 これまでに発表された資料によると、C929は乗客280人を乗せ、航続距離は1万2000キロメートルという。記事は、A330-900は260~300人の乗客を乗せ航続距離は1万3400キロメートル、B787-9は296人の乗客を乗せ航続距離は1万4000キロメートルと紹介。 旅客機の場合、基本タイプに加えて胴体の長さを延長するなどで大型化したタイプも開発される場合がある。 記事は、C929の大型タイプが開発されれば、A330-900やB787-9を「全面的に超越」することになると論じた。 統一エンジン製造の幹部は、PD-35について、最大推力は35トンで、2027年には型式証明を取得する予定と説明。 統一エンジン製造はさらに強力なエンジンのPD-38も開発しており、C929の大型タイプの機体に使用するよう提案しているという。 記事によると、英国のロールスロイスはTret 7000エンジンで、米GEはGEnxエンジンで、C929への採用を狙っている。また、中国航空発動機集団も自社製エンジンでC929の「エンジン採用レース」に参加するという。 ― 引用終り ― 販売においては性能の比較も大事だが、旅客機は何より信頼性。 英米のエンジンを搭載すれば、一定の信頼性を確保できる。 大型旅客機製造業界は世界三局三つ巴の闘いの場と化す。
2019年09月12日
コメント(0)
ボーイングは民間機の主力であるボーイングB737MAXの墜落事故による出荷停止などで売上高が35%減少。 新規受注も落ち込んでいる。 型式証明の取得時にFAAが十分に関与していなかったことも明らかになっており、B737MAXの運行再開時期の確約はない。 米ボーイング3100億円赤字4~6月、主力機停止響く 2019/7/24 日本経済新聞【ニューヨーク=中山修志】 米航空機大手ボーイングが24日発表した2019年4~6月期決算は、最終損益が29億4200万ドル(約3100億円)の赤字だった。 新型機「737MAX」の墜落事故による出荷停止などで売上高が35%減少した。 フライトの欠便に対する航空会社への補償費用も響いた。 前年同期は21億9600万ドルの黒字だった。 四半期ベースの最終赤字は16年4~6月期以来。 737MAXは事故前までボーイングの商用機の受注の7割を占め、売上高の3割、営業利益の5割近くを稼ぐ主力機だった。 同機の出荷停止に伴い、4~6月の引き渡しは90機と前年同期(194機)の半分以下に落ち込んだ。 同機便のキャンセルや出荷の遅れによる航空会社への損失補償の費用として、4~6月期に49億ドルを計上した。 補償額は19年10~12月に運航再開が認められると仮定して算出した。 運航停止が長引けば費用がさらに膨らむ可能性もある。 軍用機部門は売上高が前年同期比8%増、営業利益が2.6倍と好調だった。 サービス部門の営業利益も2ケタ伸びた。 デニス・ミューレンバーグ最高経営責任者(CEO)は「737MAXの安全性と品質向上に努め、運航再開に向けて注力する」とコメントした。 ― 引用終り ― 2019年2月、エアバスは世界最大の旅客機A380の生産を中止すると発表。 2021年以降の納入は行わないとのことで先行きは決して明るくなかった。 B737MAXというライバル機が消えたこともあり、民間機の納入が好調。 新規受注も順調。 エアバス社は納入機数で8年ぶりの世界一を目指す、という明るい決算発表となった。 エアバス決算5.4倍の大幅増益 2019年8月1日 モーサテ ヨーロッパの航空機大手エアバスの4月から6月期の決算は、純利益が1年前から5.4倍と大幅な増益となりました。 1株利益は予想を下回りました。民間機の納入が好調で、ことし上半期の納入数は389機とボーイングを150機上回り、通期では880機から890機を収める見通しです。 納入機数で8年ぶりの首位を目指すエアバスのフォーリCEOは声明で、「競争力のあるわれわれの製品への需要は引き続き強い」と自信を見せました。 ― 引用終り ― 2019年7月、エティハド航空の業績不振が報じられた。 過去2年間で34億ドル(約3800億円)の損失を計上。 エティハド航空のトニー・ダグラスCEO(最高経営責任者)は、世界での事業規模を縮小しようとしているとみられる。 エティハド航空は既に、経費削減と組織再編を発表している。 コスト削減のため旅客機の注文をキャンセルする可能性があり、エアバスとボーイングの業績に波及することも考えられる。 エティハド航空の発注済は、エアバスに98機、ボーイングに77機。 航空関連はビッグビジネス。 そして取引額は大きいが、ビジネスとしての安定性は乏しい。
2019年08月24日
コメント(0)
旅客機はレシプロエンジンによるプロペラ機からジェットエンジンによるジェット機へと替わった。 速度速くなり、航続距離が伸びた。 次世代はSSTかと思っていたら、亜音速のボーイングB747に大量航空輸送の時代となった。 速度より、効率に軍配があがった。 現在さらに効率(燃費の向上、輸送効率の向上)が求められている。 しかし、より速く、より遠くは人類(航空宇宙人?)の尽きせぬ夢らしい。 効率一辺倒の世の中で、SSTの夢は再度花開く。 近年、機体形状により、超音速飛行時でもソニックブームをあまり出さない航空機が研究されている。 それに伴い、超音速旅客機の研究開発、計画も復活。 次世代超音速旅客機開発のためのデータ収集を目的とする、ロシアと米国の共同プロジェクトのためTu144(RA-77114)が現役に復帰。 1996年11月30日に米国NASAの手でTu-144LLが初飛行した。 以後1999年まで米国で試験運用された。 Tu-144LLは、エンジンをTu-160が装備するより強力なTu-160爆撃機向けに開発されたクズネツォフNK-321ターボファンに換装。 また、操縦系統等にデジタル技術を取り入れ現代化された。 2016年、米国コロラド州のブーム・テクノロジー(Boom Technology、2014年設立)が、超音速旅客機のサブスケール技術実証機、XB-1を公開。 飛行速度はマッハ2.2(時速約2,716km)。 2020年代の運行開始を目指す。 2017年、日本航空はブーム・テクノロジーと資本提携し、20機の優先発注権を確保する予定があると発表。 2019年、ボーイングが12人乗りの超音速ビジネスジェット「アエリオン AS2」をエアバスと共同開発するアエリオン・コーポレーションへの出資を発表。 超音速機のエンジンとしては、PDE(パルス・デトネーション・エンジン)が注目されている。 現在のターボファンエンジンよりも効率を向上させつつ、高速度での飛行も可能にする。 米国のNASAはマッハ5で飛行する航空機のためのPDEエンジンの研究を行っている。 PDEはスクラムジェットエンジンとは異なり、静止時からエンジンを始動できる。 燃焼行程においてデトネーションで行われるため、定圧燃焼を利用したガスタービンエンジンに比べ高い理論熱効率が想定できる。 日本のJAXAと東京大学の研究チームではマッハ5クラスの極超音速旅客機に搭載するエンジンとして、液体水素を燃料とするターボジェットエンジンに高温となった空気を燃料の液体水素で冷却する機構を追加した『予冷ターボジェットエンジン(Precooled jet engine)』(冷却器によってコアエンジンが耐えられる約300℃に流入空気を冷却して燃焼するエンジン)の研究を行っている。 次世代SSTの実用化の報はない。
2019年08月02日
コメント(0)
Tu144は「世界初の超音速旅客機(SST、Super Sonic Transport))」。 世界初の「実用」超音速旅客機とされる。 当時米国とソ連は冷戦の真っただ中で、互いに激しい軍拡競争、航空宇宙の分野の競争を繰り広げていた。 ソ連を筆頭に東側社会主義諸国は「鉄のカーテン」と言われた。 公開される情報が国家により統制されているため、鉄のカーテンの向こう側を、西側資本主義諸国は推測するしかなかった。 航空機の性能は、核戦争の直接脅威となりうるものととらえられていた。 ソ連は超音速旅客機の技術レベルを西側の脅威になりうるもの、社会主義の先進性を示すものと考えた。 西側の超音速旅客機、英仏共同開発のコンコルドは、技術レベルの誇示であるとともに「優秀な製品=売物」と考えた。 ボーイングは超音速旅客機の商品性に限界を予測し、開発を断念。 ボーイングは亜音速で大量の旅客を輸送する747を開発製造。 結果はボーイングの大勝利。 資本主義、社会主義で事の正否が決まるとは限らない。 超音速旅客機の計画は英仏とソ連で、同時期にスタートしたとされる。 1968年12月31日、Tu144は初飛行。 コンコルドより2ヶ月早かった。 主翼はコンコルドそっくり、そしてTu144開発用のMiG-21Iと相似形のオージー翼。 後に装備される機首のカナードはなかった。 西側では登場当初から「ソ連のスパイ活動によるコピー説」が広く世間に流布しており、Tu144は「コンコルドスキー」と呼ばれていた。 機首の形、折れ曲がる構造から主翼の形状まで、よく似ているのは超音速巡航を考えると理の必然だとも考えられる。 コンコルドと異なりカナードを装備し、原型機から多数の改良点を盛り込んだ実用型ともいえるTu-144Sは、1971年7月1日に初飛行。 主翼は生産に手間取るオージー翼ではなく、オージー翼の曲線を2本の直線で置き換えたダブルデルタ翼。 翼幅、翼面積ともに拡大された。 格納式で離着陸時に展開し、大きく機首上げモーメントを生じさせるカナードを装備。 カナードにより主翼のエレボンをフラップとして用いることが出来るようになり、離着陸性能を大幅に向上させた。 低空飛行時の運動性が良く、離着陸性能はコンコルドより良い西側でも評価された。 Tu144は全長約65.7m、全幅28.8mで、コンコルド(61.66m、25.6m)より一回り大きい。 エンジンはターボファンの「クズネツォフNK-144」。 コンコルドのロールス・ロイス/スネクマ「オリンパス 593」はターボジェットエンジン。 両者ともに民生用機では類をみないアフターバーナー付き。 NK-144エンジンは初期の低バイパス比ターボファンエンジン。 アフターバーナーをつけても燃料効率は向上せず、ターボジェットに比べて回転が遅く低いため音速に達する時間がかかった。 Tu-144は、その後の性能向上型(エンジンは2度換装)を含めると、カタログ性能面でコンコルドをほぼ全ての面で凌駕してみえた。 旅客機で重要なキャビンの幅も広く、コンコルドは2-2の4列しか座席を設けられなかったが、Tu144は2-3の5列配置が可能だ。 先行機を含めてTu144Sは10機製造され、正式に就航する前には西側に公開された。 燃費は劣悪で航続距離が短かく、速くとも遠くに行けない商業機として致命的な短所を持っていた。 就役まえの1973年6月3日、西側諸国に売込みをはかるべく、「パリ航空ショー」に参加したTu144Sデモ飛行中空港外で墜落。 地上の家屋を巻き込んで乗員6名と地上の3名が死亡すると言う事故を起こした。 原因は、激しい機動により本来想定されていない強いGがかかり、可動式のカナ―ド翼が破損し失速したためだった。 西側諸国のTu144に対する評価も、地に堕ちた。 その速度性能にもかかわらず、Tu144は定期国際路線に就航したことはない。 西側諸国と同様、ソ連でも衝撃波が問題になったこともあり、国内で運用できる空港は限られ、定期路線は国営アエロフロートによるモスクワ~アルマトゥイ路線のみだった。 洋上で飛行距離を稼ぐことの出来ない超音速旅客機は、その高速性能を活かしきれなかった。 Tu144DはコレゾフRD-36-51を搭載した。 RD-36-51は推力18100 kgfで燃料消費が25700kg/時間で 最大航続距離は6500 km。 Tu144の燃費と航続距離は飛躍的に改善されたが最高速度、巡航速度はコンコルドに及ばなくなった。 ツポレフは燃費向上のためイギリスから有償で技術供与を受けるなどしたが解決できず、生産数は原型機から性能向上型までの合計で16機となった。 Tu144Dは、コンコルドとともにジンスハイム自動車・技術博物館(ドイツ)に野外展示され、機内見学ができる。 1986年、Tu144が復活。 ツポレフが開発をすすめる超音速爆撃機「Tu160ブラックジャック」に搭載する、新型エンジンのテストヘッドとして使うためで、機体の強化工事を行ったうえで複数回の飛行を実施した。 現在も飛行可能な状態で保管されており、プーチン大統領が指示した新しい超音速旅客機プロジェクトのテスト機として、年に数回飛行していると言う。 Tu144は1978年6月、コンコルドは2003年10月で商業飛行を停止した。 Tu144も、燃費ではそれに優っているコンコルドも、衝撃波(ソニックブーム)の問題もあり、商業的な成功はなかった。 超音速飛行はその運営に見合う収入を得られなかった、と言い換えても良い。 コンコルドとTu144 2012年1月11日 S.A.C.サイバーパンク親父.COM
2019年08月02日
コメント(0)
温室効果ガスの削減は、地球の環境を守るためにも急務となっている。 航空分野も例外ではなく、ICAO(国際民間航空機関)やIATA(国際航空運送協会)は、航空機からのCO2総排出量を2050年には2005年時点の50%にまで削減する目標を立てている。 一方、航空旅客需要は今後20年間で約2.4倍に増大すると予測されている。 ボーイング(米国)はさまざまなタイプの電動航空機の研究を進めている。 機体後部に電動ファンを設置する亜音速機のハイブリッド航空機はその一つ。 ベンチャー企業との電動航空機の研究開発も進めている。 電動航空機ベンチャーのズーナム社は、ボーイングから出資を受け、12人乗りのハイブリッド機ZA10を製造中。 2020年代初めに就航予定。 エアバス(フランス・欧州共同)はハイブリッド方式の実証機E-Fan Xの飛行試験を2020年に実施予定。 E-Fan Xは、エアバス社がジーメンス社、ロールスロイス社と共同で進めている。 4基のジェットエンジンのうち1基を電動ファンに置き換える方式。 ジーメンス(ドイツ)は、2018年4月、シリーズ・ハイブリッド式電動航空機の試験飛行を実施。 同年10月、ダイアモンド・エアクラフト社と共同開発した電動航空機の飛行試験を実施。 NASA(米国航空宇宙局)は様々なタイプの電動航空機の研究を進めている。 150人乗りクラスのパラレル・ハイブリッド方式のSUGAR Volt。 シリーズ・ハイブリッド方式のSTRAC-ABL。 全翼機のN3-Xなどを発表している。 オシコシで見た、未来はEVよりも電動飛行機? 航空の世界が大きく変わる可能性、日本も草の根から始めよう松浦 晋也(ノンフィクション作家)2018年9月21日 日経ビジネス
2019年08月01日
コメント(0)
注意深く製作されれば、リチウムイオンバッテリーは、そう簡単に爆発するものではない。 EVもハイブリッド車も多数走っているが、大爆発したなどの例は聞かない。 地上と空中は変わりないだろうか。 航空機は被雷することがよくあるという。 電気飛行機(電動航空機)は大丈夫なのだろうか。 ジェット燃料(ケロシン)やガソリン(アブガス)で飛ぶ、現行の航空機と同じ程度の危険性なのだろうか。 焦点:「電気飛行機」市場が静かに離陸、行く手を覆う厚い雲Laurence Frost and Alistair Smout …(略)… エコパルスはまだデザイン画の段階だが、滑らかなフォルムが自慢の「アリス」はル・ブルジェ空港の滑走路で見ることができた。 開発したイスラエルのエビエーションは、今年中に初飛行を行う予定で、米政府の型式証明を2022年までに取得することを目指している。 アリスは1回の充電で高度3000メートル、時速444キロで1046キロの距離を飛べる。 同社は航空ショーの会場で、マサチューセッツ州を拠点とする航空会社ケープエアーが10機以上の購入オプションを取得したと発表した。 1機当たりの価格は400万ドル(約4億3000万円)だ。 <空飛ぶバッテリー> シャープな横顔で、翼の両端にプロペラを搭載するアリスは、一から電気飛行機としてデザインしたと、エビエーションのオマー・バー・ヨヘイ最高経営責任者(CEO)は語る。 「端的に説明すると、巨大なバッテリーの側面に飛行機の絵を描いたということ」 …(略)… 巨大な爆発物の横に飛行機の絵を描いた、ということではないと思う。
2019年07月31日
コメント(0)
温暖化ガス排出量削減は、自動車だけでな航空機も同様。 航空産業のCO2排出量は2.5%だが、削減は非常に難しい。 難しいが避けて通れない道となっている。日本人が知らない航空機電動化という新潮流ノルウェーが2040年までに国内全線に導入へ野村 明弘 : 東洋経済 記者 2018/03/26 東洋経済ONKINE 走らなければ停まるだけの自動車と違い、飛行機は空中で停まると墜落する。 電気自動車と電気飛行機の普及速度は大きく異なる。焦点:「電気飛行機」市場が静かに離陸、行く手を覆う厚い雲Laurence Frost and Alistair Smout2019年6月22日 ロイター 動力が完全に電動化された近距離移動用の電気飛行機、欧州航空機大手エアバスのハイブリッド小型機が、今年のパリ国際航空ショーをにぎわせている。 2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量を半減させるという航空産業の目標には懐疑的な向きが多いが、彼らはそうした見方を払拭しようと必死だ。 イスラエルのスタートアップ企業、エビエーションは、年内の初飛行が予定されている9人乗りの電気飛行機「アリス」を披露した。 一方、エアバスとサプライヤーのサフランとダヘルは、燃料タンクと電池の両方を積む近距離小型機「エコパルス」の模型を展示している。 ―引用終了― アリスの航続距離は、高度3000m、444km/hで1,046km。 価格は約400万ドル。電動航空機の利点と欠点出典:Wikipedia利点 ・内燃機関に由来する音や振動が無いため、周囲への騒音や機内の振動が少ない。・燃料系統や油圧系統がないため軽量化されメンテナンスも簡素化される。・プロペラをエアブレーキとして利用し電力回生が可能となる。・電池式であれば飛行場まで燃料を運搬する必要なくなるためコストが抑えられる。 また可燃物を積載しないため火災のリスクが減る。欠点 ・推進方式はプロペラかダクテッドファンのみとなるため速度に制限がある。・大容量、高出力の電池が高価。・電池は消耗しても重量が変わらずデッドウェイトとなるため、現状では内燃機関よりも航続距離は短い。・電動機で油圧を確保するのは難しいため、操縦系統はケーブル式かフライ・バイ・ワイヤとなる。 利点に上がっているが、「可燃物を積載しないため火災のリスクが減る」とあるが、バッテリーは爆発の可能性さえある。 操縦系統は自動化の拡大適用含め、フライバイワイヤが適切であり、これを欠点と言い切ることはできない。 自動車に積む全固体電池の量産が2020年に予定されているので、蓄電池は近々に小型・大容量・高出力で現在より安価なものが実用化されるはず。 航続距離と蓄電池の重量の関係は改善されるはず。 いずれにしろ速度と航続距離は、ターボファン・エンジン搭載の機体を上回ることはない。 遠距離で適用できる、大容量無線充電技術が必要となる。 旅客輸送には超音速飛行はないので、プロペラの亜音速域まででも大きな問題はないと思われる。 プロペラ機最速は、ツポレフTu-95ベア(二重反転プロペラ、ターボプロップ)の925km/h。 「ソーラーカー」という言葉があるのと同様、電源に太陽電池を使用すものは「ソーラープレーン」と呼ばれる こちらは光をエネルギーに変換する効率の問題となる。
2019年07月18日
コメント(0)
2019年6月2日、FAA(米連邦航空局)は、「737MAX」の主翼前端のスラットトラック(高揚力装置)に欠陥部品が使われている恐れがあるとして、米ボーイングに点検と交換を指示する耐空性改善通報を出した。 ボーイング737、主翼部品に欠陥の可能性点検と交換を指示 2019.06.03 CNN.co.jp 米ボーイングは2日、2度の墜落事故を起こした新型機「737MAX」を含め、同社の737型機の一部で翼の部品に欠陥の可能性があることを明らかにした。 ボーイングは連邦航空局(FAA)と連携して737型機を運航する航空会社に連絡を取り、スラットトラックと呼ばれる翼の部品を点検するよう促している。 対象となるのは737MAXと、737-600~900を含む737NGシリーズ。 リーディングエッジスラットは翼の前面から張り出した空力制御用の部品。 ボーイングとFAAでは、一部が製造基準を満たしていないことが分かったとして、もしこの部品に欠陥が見つかった場合は、運航を再開する前に交換するよう指示した。 欠陥がある部品は不具合を起こしたりひびが入ったりする可能性がある。FAAによると、この部品で不具合が起きたとしても、墜落には至らないものの、飛行中の機体がダメージを受ける恐れがある。 FAAは航空各社に対し、スラットトラック部品の点検と修理を10日以内に行うよう求める予定。 今回の問題は5月31日、ボーイングと部品メーカーとの話し合いの中で発覚した。 一部の部品に熱処理が行われていないことにボーイング側が気付き、安全上の問題を引き起こす可能性があると判断したという。 …(略)… B737MAXシリーズは、大型機の成約がなくなった現在、ボーイングの主力販売機の一つ。 各エアラインも当然そうで、アメリカン航空では1日約115便が欠航。 アメリカン航空、1日約115便欠航へ737MAXの運航停止で 2019/04/15 AFPBB News 米航空大手アメリカン航空(American Airlines)は14日、墜落事故が相次いだ米航空機大手ボーイング(Boeing)「737MAX」の運航が8月19日まで停止されることを受けて、今後数か月間1日当たりおよそ115便を欠航させると発表した。 …(略)… ボーイング737は1967年4月、初飛行。 ベストセラー機であるとともに、ロングセラー機。 エアステア(機体内蔵タラップ)をオプションで装着できるなど、短距離路線での低コスト運航を実現するために、さまざまな技術、装備が導入された。 ボーイング製のジェット旅客機として2人乗務が可能となった初の機体。 ロングセラーであることをみて分かるように、様々な技術の現代化がはかられている。 737の第3世代、ボーイング737NG(ネクストジェネレーション)は、1990年代に入り、小型機市場において勢力を急速に伸ばしたエアバスA320シリーズに対抗するために、ベストセラーシリーズであるボーイング737シリーズを近代化して開発した機体。 1997年、生産開始、初飛行。 日本ではJAL、ANAの主力小型機材として導入された現役モデル。 737NGの後継モデル、第4世代の737MAX(2016年1月初飛行)シリーズは、日本の航空会社では導入されていない。 2019年1月、ANAはボーイング737MAX8型を30機発注したと発表。 導入時期は2021年度から2025年度。
2019年07月04日
コメント(0)
米ボーイングの第1・四半期決算(2019年3月31日まで)は、売上高とキャッシュフローが市場予想に届かなかった。 旅客機「737MAX」の運航停止による影響が続いている。 737MAXの出荷停止により、第1・四半期は10億ドルのコスト増があった。 MCAS(失速防止装置)の修正プログラムの開発にも資金を投じている。 2017年5月から納入を開始したボーイング737 MAXは、2019年2月末までの1年10カ月で376機納入。 2019年3月に起きた墜落事故の影響で、ボーイングは737MAXの製造を月間52機から同42機に削減。 製造はするが納入は一時停止。 3月、B737MAXの受注は0件。 月間の0件は7年ぶりだという。 4月、B737以外も含め、ボーイングの新規受注は0件。 昨年の4月は76機受注。 2015年9月、ボーイング社の737機の最終製造工程 の一部を中国で行うことが明らかになった。 トランプ大統領の猛威が始まる前は、ボーイングは航空市場が拡大する中国での機体生産を約束。 世界で最も大きな成長市場市場での販売について、未来は明るかった。 2018年末、米中貿易戦争の真っ只中、上海の南のボーイング舟山工場が操業開始。 2019年3月11日、エチオピア航空機墜落事故の翌日、中国民用航空局はいち早く737MAXの飛行停止を決定。 FAA(米連邦航空局)の決定(3月13日)に先んじることは極めて異例。 B737MAXの飛行停止措置の主な順番は、3月11日、CAAC(中国民用航空局)、3月12日、EASA(欧州航空安全局)。 3月13日FAA、3月14日、米国の忠実なる僕、日本国のJCAB(国土交通省航空局)が続いた。 そして、米中貿易戦争に加えて、B737の連続墜落事故も影響したであろう、737MAXと競合する狭胴(ナローボディ)旅客機を、エアバスが中国から大量受注。 ボーイングは中国への工場進出を決断したことで、エアバスは敵ではないと思っていたはず。 エアバス、中国から3.8兆円の大型受注-競合ボーイングに新たな打撃2019年3月26日 Benjamin Katz 中国は合計300機購入契約、737MAXと競合する狭胴機が中心 習近平国家主席のフランス公式訪問にあわせて契約締結 中国の習近平国家主席によるフランス公式訪問に際し、欧州の航空機メーカーのエアバスは中国から350億ドル(約3兆8400億円)の大型契約を取り付けた。 主力モデルの運航停止に苦しむ米ボーイングにとっては、いっそうの打撃になる。 フランス大統領府の発表によると、契約は狭胴機のA320シリーズ290機と、広胴機A350の10機からなる。 A320neoの最新モデルはカタログ価格で1億1060万ドル、A350-900は3億1740万ドルに設定されている。 …(略)… ボーイングの業績悪化要因はさらに、さらに続く。 2019年3月27日、中国民用航空局はボーイング737MAXの「耐空証明」申請の受付を停止。 受付停止の理由は、737MAXの安全性を判断するには改修案を審査する必要があること。 2019年5月24日までに、米航空機製造大手ボーイング「737MAX」を保有する中国の航空会社12社のうち11社が、ボーイングに対し運航停止で生じた損害を賠償するよう要求。 中国東方航空、中国国際航空、中国南方航空などが、737MAXの運航停止による損害と機体の引渡しの遅れによる損害賠償をを訴えた。
2019年07月03日
コメント(0)
2019年6月3日、ジェットスター・ジャパンはパイロット不足で6月8日から6月30日までに国内線と国際線で合計54便が欠航すると発表した。 6月1日から2日も16便が欠航済み。 6月は普段の倍近い取得申請があったこと。 新たな勤務体制の設定後、病欠者らが相次ぎ、乗務に必要な訓練の完了が遅れるパイロットも発生したという。 この欠航による影響搭乗者数は7,500人。 ジェットスターは他社便を含めた振り替え、払い戻しの対応を取るという。 計画的な有休取得ができなかったことが問題としているが、違う事情の噂が聞こえてきた。 ジェットスター「パイロット有給取得で欠航」の裏に大量移籍の噂ダイヤモンド編集部 柳澤里佳:記者2019.6.5 DIAMND online 「パイロット大量移籍のうわさ、本当かもれしれないな」 6月3日、LCC(格安航空)大手のジェットスター・ジャパンがパイロットの体調不良や有給休暇取得を理由に、国内・国際線合計27往復54便を減便すると発表した。 すでに欠航した分も合わせると約7500人に影響が出るもようだ。 この一報を耳にした航空業界関係者の頭に浮かんだのは、「日本航空(JAL)が新設するLCCのZIPAIR(ジップエア)に、ジェットスター・ジャパンのパイロットが15人程度移籍するらしい」という、LCC界隈で持ちきりのうわさだ。 ジップエアは9月末から乗員訓練を開始する見込み。 となると他社から移籍するパイロットは8月末には勤務先を退職することになる。 冒頭の業界関係者は「体調不良に加えて有給取得が重なったのは、退職前の有給消化ではないか」と推察したのである。 噂と大量欠航の関連性は否定 ジェットスター・ジャパンは、うわさの内容と計画減便の関連性を否定している。 …(略)… ネット社会となり意図的な情報提供を含めて、噂は噂。 この件に関しては「火のないところに噂は立たない」のではないか。 パイロットとて労働者。 安定的で労働条件の向上の可能性が高い職場(会社)があれば、そこを目指す。 LCCの隆盛は中小型機の増加であり、同じ旅客を運ぶのに必要なパイロットの需要は増大した。 パイロットも航空整備士も一朝一夕には増えない。 旅客機のパイロットは世界的に不足している。 自社パイロットの養成拡大は急務であるが、その間はパイロットの流動性はさらに拡大する可能性がある。 パイロット不足は2030年問題といわれていたが、既にあちこちで発生しており、「2020年問題に前倒し」との見方も強まっている。 日本の空を覆い始めたパイロット不足の難場今の養成スタイルでは需要を埋めきれない風間 秀樹 : 航空経営研究所 主席研究員 2017/11/10 東洋経済 ONLINE …(略)…少ないパイの取り合いが激化する 現役パイロットの大量退役という大きな問題も抱えている。 米国では2021年から向こう20年間にメジャーエアラインのパイロット約4万5000人が退役する。 米国のパイロットのキャリアパスは、日本と違っていきなりメジャーのパイロットにはなれない。 リージョナルやコミューターエアラインなどを経験して実績を積んだ後の民間人、もしくは軍出身者に限られる。 その供給先である民間人で、かつ、メジャーの穴を埋める対象のパイロットは約1万8000人しかいないのが現実である。 また、軍は現時点でも約1500人のパイロットが不足しており、トランプ大統領が、民間に移った元軍人の軍への復帰を大幅に認める法令に署名をしたという事実を見ると、この問題がいかに深刻であるかが推測できる。 これらのことから現時点ではメジャーエアラインのパイロット不足は顕在化しておらず、リージョナルやコミューターエアラインにその影響が顕著に現れているわけである。 したがって当然のことながら少ないパイの取り合いが正にカニバリズムの様相を呈してきている。 新人を獲得するために給与は倍額。 その他、多額のボーナスや各種インセンティブの提供により各社は生き残りをかけている。 …(略)… パイロットの自社養成のコストとリスクに航空整備士不足が追い討ちをかける。 自社養成パイロットと自社で整備となると、LCCのビジネスモデルは根底から変革を迫られる。 ジェットスター・ジャパン、副操縦士養成1期生が全員昇格 By Tadayuki YOSHIKAWA2018年7月27日 Aviation Wire ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)は7月27日、パイロット訓練生から自社の養成課程で副操縦士に昇格した第1期生4人を祝うセレモニーを、成田空港内の本社で開いた。 …(略)…
2019年07月01日
コメント(0)
国内航空会社初採用のエアバスA350-900は9月1日から羽田-福岡線に就航する。 JALグループとしてもエアバス社製の機体の導入は初。 JASを統合したときにA300-600Rを引き継いだことがあるだけ。 JAL初購入のエアバス機、羽田に到着植木会長がボーイング機選ばなかったワケ2019年6月14日 J-CASTニュース 日本航空(JAL)が仏エアバス社に発注していた大型旅客機、エアバスA350型機の初号機が2019年6月14日朝、羽田空港に到着した。 JALでは1996年から主力の大型旅客機としてボーイング777型機が活躍しており、A350はその後継にあたる。 現時点でJALグループが運航している飛行機は、小型機を除くとすべてボーイング社製で、旧日本エアシステム(JAS)が導入した機材を除けば、JALがエアバス機を購入するのは初めてだ。 …(略)… 「当然ある意味での初期投資は必要になると認識している。その経済性を加味してA350に確定した」 と説明していた。 当時のエアバス社の説明によると、A350の燃費はボーイング777型機と比べて25%、中型機の787と比べて6%優れているとされる。 燃費向上など、維持コストを軽減できるメリットが、整備や訓練が煩雑になるデメリットを上回ると判断したとみられる。 …(略)… ボーイングがB737NGの墜落事故で評判を著しく落としているこの時期に、初めてエアバスを導入するJALは慧眼をたたえられる。 エアバスA350 XWB は、A300・A330/A340の後継機としてエアバス社が開発した新世代中~大型ワイドボディ旅客機。 2013年6月14日初飛行。 2015年1月15日、カタール航空がローンチカンパニーとなり就航開始。 A350 XWB の開発のポイント・A300以来の真円の胴体断面を太いダブル・バブル断面に切替えた。 客室はエコノミークラスは9列配置が可能となった。 胴体下半分はLD3コンテナが二列積載できる最小限の断面に絞られた。・全複合材製の高効率な主翼。・ライバル787より多い座席数、大きな搭載量。 胴体の拡幅により、エコノミー座席の標準配列が9列となったことでより多くの乗客を収容できるとした。 主翼など機体の主要な構造部にカーボンファイバーを出来る限り取入れることで、軽量化と高い効率と信頼性の実現をはかった。 エアバスの旅客機は歴代、主翼に強いこだわりが感じられる。 主翼の設計と開発は、英国フィルトンにあるエアバスの事業場で行われている。 A350-1000の主翼は炭素繊維複合材で製造される単一部品で最大のもの。 ブリストル市の北郊のフィルトンでは、かつて超音速旅客機コンコルドが生産されていた。 エンジンも欧州製ロールスロイス・トレントXWB。 A350 XWBは持続可能な地球の未来の実現を支えるために自然界から学び、技術を取り入れています。 鳥から発想を得た革新的な主翼は、変形し、翼荷重を最適化し、空気抵抗を減らし、燃費を抑えることによって空力性能を最大化します。 あるいは、革新的技術を採用し、様々な節約を可能にします。 エアバス・ジャパン A350系列 より
2019年07月01日
コメント(0)
2019年6月5日、三菱重工はボンバルディア社との「(買収)交渉を進めているのは事実だ」とのコメントを出した。買収交渉の対象は「CRJ」と呼ばれる50~100席程度の小型ジェット機事業で、早ければ17日にパリで開幕する航空ショーまでに、交渉がまとまる可能性があると報じられた。 メインテナンス拠点の取得はMRJ事業の黒字化と相乗効果がある。 三菱重工はMRJ事業の黒字化のめどを明らかにしていない。 CRJ事業の買収で、MRJ事業の黒字化を加速させたいとみられている。 100席以下の小型機は利幅が薄いので、黒字化のキーとしては要注意。 三菱重、加ボンバルの小型ジェット機事業買収で交渉 MRJ強化2019年6月5日 ロイター 三菱重工業は5日、カナダの航空機・鉄道車両大手ボンバルティアの小型ジェット旅客機「CRJ」事業の買収に向けて交渉を進めていると明らかにした。 三菱重工は国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の開発を進めているが、当初計画より開発が大幅に遅れており、事業買収で巻き返しを急ぐ狙いだ。 ― 引用終了 ― 三菱航空機のMRJは当初、2013年に納入開始の計画だった。 設計見直し、FAAの型式認証取得などの影響で納期を5回延期した。 現在は2020年半ばの納入開始を予定している。 MRJの受注は仮契約も含めて407機で開発費を含めた採算ラインにのっていない。 事業買収によりボンバルディアから顧客対応のノウハウなどを取り入れ、納入後のサポート体制を強化する狙いがあるとみられる。 また開発をめぐって、元従業員を採用して機密情報を不正に入手したとして、ボンバルディアが三菱航空機などを提訴し両社は法廷闘争を続けている。 買収が成立すれば早期に解決に向かう可能性が考えられる。 LCC事業の活性化でリージョナルジェット(小型旅客機)市場は、活況を呈した。 それまで小型旅客機市場はカナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルの寡占状態が続いてきた。 日本・MRJ、中国・ARJ21、ロシア・スーパージェット100の参入もあり、市場の勢力図は変容を続けている。 だが、開発費負担増で経営不振に陥ったボンバルディアは2018年7月、100~150席程度のジェット機事業をエアバスに事実上売却した。 エンブラエルも小型旅客機部門を米ボーイングに売却する計画が明らかになっている。 航空産業は各国の威信がかかっている側面が強く、市場は予断を許さない状況が続いている。
2019年06月13日
コメント(0)
737MAXの連続墜落事故を受け、ボーイングは暫定対策を発表した。 墜落事故の原因の特定はなく、各航空会社が新規発注を控えるのは当然。 さらに、2017年のB737MAXの新型認証時にFAA(米連邦航空局幹部)が審査手続きに関与しなかったと5月14日、米・ウォールストリート・ジャーナル電子版が報道した。 米ボーイング、4月の受注件数はゼロ2019年5月16日 CNN.co.jp 米航空機製造大手のボーイング社は16日までに、航空会社などからの今年4月の受注件数はゼロだったとの業績報告書を公表した。 同社の経営環境は、今年3月10日にアフリカ・エチオピアで起きた旅客機「737MAX」墜落事故などを受け厳しさを増しているが、4月には同型機以外の旅客機の注文もなかったという。 昨年4月は計76機を受注していた。 今年4月の業績について、米格付け大手スタンダード&プアーズのアナリストは737MAXの問題を受け、顧客が他の機材発注を止めている可能性に言及。 墜落事故後の今年3月13日以降には同型機の運航停止が世界規模で広がった。 詳しい墜落原因はまだ解明されていない。 また、各航空会社はボーイングがMAX機の値段を下げるのかを注視し、注文を抑えているともみている。 複数の航空会社が同機の運航停止に伴う補償についてボーイング社との合意成立を期待している事情も絡む。 今年3月下旬には737MAX以外の機材の受注はあり、ドイツのルフトハンザ航空が同月15日、787を20機購入。 英ブリティッシュ・エアウェイズも同月22日、777の18機を調達していた。 今年4月に記録された受注は帳簿上の記載事項に関係したものだけだった。 過去に納入していた737MAX型機4機が新たに賃貸されたことに伴う手続きで、ボーイング社は新規の受注とは受けとめていない。 今年に入っての旅客機の新規注文の伸び悩みは競合相手の欧州エアバスも同じだ。 航空会社などは近年、大量発注を行い、航空機製造メーカーがまだ引き渡していない機数は数千機規模に達する背景要因もある。 ― 引用終 ― 2019年4月4日、ボーイングは自動制御システムの問題があったと認め謝罪。 再発防止のために失速防止システムMCASのソフトウエア更新プログラムを公開する予定。 737MAX機の操縦士を対象とする包括的な訓練や補助的な教育プログラムの実施も計画。 2019年4月20日、米紙ニューヨーク・タイムズは、米航空機大手ボーイングの サウスカロライナ工場について、元従業員らがずさんな生産体制などを指摘していると報道。
2019年05月22日
コメント(0)
ボーイング737MAXは半年間に2度の墜落事故を起こし、乗客乗員の計346人全員死亡の惨事を起こした。 2018年10月29日、ライオン・エアのB737MAX8が、ジャワ島沖合いに墜落。 乗員乗客189人の全員が死亡 2019年3月10日、エチオピア航空のB737MAX8は離陸から6分後に墜落。 乗客乗員157人全員が死亡。 ボーイングのデニス・ミュイレンバーグCEO(最高経営責任者)が4月4日、遂に機体側(MCAS:縦特性補助システム)の欠陥を認めた。 ボーイング、737減産へ2割、墜落事故の影響拡大2019年4月6日 共同通信 米航空機大手ボーイングは5日、最新鋭機ボーイング737MAX8の墜落事故が相次いだことを受け、737を約2割減産すると発表した。 事故原因と指摘される自動失速防止装置の修正に、経営資源を振り向ける。 納入中断に続き、影響が生産計画にも拡大した。 ボーイングは現在、月52機の737を生産している。 MAXシリーズが大部分を占めるとみられる。 今月中旬から、月42機に生産ペースを落とす。 事故前は年内に月57機まで引き上げる予定だったため、計画に大きな狂いが生じる。 ニューヨーク・タイムズは、早い時期にMCASの不具合がライオン・エアとエチオピア航空の事故原因の可能性があると指摘していた。 各国の航空管制当局、航空会社がB737MAXの飛行停止措置をとった後、米国FAA(連邦航空局)は、エチオピアでの事故の3日後3月13日に「二つの事故の類似性が見つかった」とB737MAXの運航と乗り入れを禁止した。 民間航空機事故の総本山のFAAの対応は珍しく遅かった。 これはボーイングの政治力によりなされた技との疑惑を招いている。 737MAXの問題点、パイロットは墜落事故の数カ月前に当局に指摘していたRosie PerperMar. 14, 2019, Tech Insider ボーイングの企業イメージとともに FAA の権威は損なわれた。 ボーイングの株価の低下はNYダウに影響を及ぼした。 対策発表後、ボーイングの株価は徐々に回復。 NYダウはそんな昔のことは気にしてられないとばかりに回復。 4月20日付のニューヨーク・タイムズはが、ボーイングのサウスカロライナ 工場について、ずさんな生産管理体制を報じた。 品質面の重大な問題を指摘すれば、その従業員が不利な待遇や嫌がらせを受けるとの訴えもあった。 サウスカロライナ工場はボーイング787。
2019年05月03日
コメント(0)
WOW air は29都市に就航するLCC。 2019年3月28日、全便運航停止を突然発表した。 搭乗予定の乗客は、安い運賃で飛行しようとして、旅の醍醐味を味わうことになった。 アイスランドのLCC「WOW air」が突然の経営破綻全便キャンセルで搭乗予定客が混乱2019年3月29日 おたくま経済新聞 アイスランドのレイキャビクに本拠を置く格安航空会社「WOW air(WOWエア)」が2019年3月28日(現地時間)、突然事業停止を発表しました。 この発表とともにすべての便がキャンセルとなり、搭乗を予定していた乗客は各地の空港で事態が把握できず、混乱しています。 アイスランドで通信関係の事業などで成功したスクリ・モゲンセン氏によって、2011年11月に設立されたWOW air。 翌2012年、レイキャビク~パリ線を皮切りに運航を始め、現在はヨーロッパ各地と、大西洋を挟んだアメリカ、カナダ各地、そしてイスラエルのテルアビブを結ぶ路線を開設していました。 2019年3月28日、WOW air公式サイトで発表された「WOW airの業務終了について」と題されたステートメントによると、冒頭に「WOW airは業務を停止しました。 すべてのWOW air便はキャンセルとなりました」という、WOW air便を利用して旅行中の人にとっては、突然の最後通告。 「予定していた目的地へ向かいたいお客様は、他社便があるかチェックすることをお勧めします。 いくつかの航空会社では『救済運賃』という特別料金で、お客様を予定していた目的地までの便を用意する可能性があります」という、とにかく自力で何とかしてくれという形になっています。 …(略)… 【WOW air の使用機材】 エアバスA320-232(2機) エアバスA321-200(7機) エアバスA330-300(3機)
2019年05月02日
コメント(0)
世界最大の旅客機エアバスA380。 A380は2007年の運行開始から10年を超えた。 巨大旅客機のベストセラー、ボーイングB747を多くの面で凌駕すべくA380は企画、開発された。 価格は約490億円以上。 総2階の客室に最大800人搭乗可能。 エアバスA380は華々しく運航を開始した。 だが10年以上たって、A380の評価は決定的となった。 ・多くの航空会社にとって、大き過ぎ、高価で、非効率。 ・航空会社(自社の路線)に必要ない。 多くの航空会社が興味を持たないA380の受注は次第に減少。 2019年2月14日、エアバスはA380型機の引き渡しを2021年で 終了すると発表。 A380に対向すべくボーイングが製造したB747の後継機、B747-8も製造終了が検討されている。 空の旅が一般化し空港が増え、超大型機の時代は終焉を迎えた。 超大型旅客機はエアバスA320がもたらしたLCCに撃ち落された。 ANAの空飛ぶウミガメ「A380」1号機が成田空港に到着2019/03/22 マイナビニュース 3月21日、全日本空輸(ANA)が5月24日からハワイ路線に投入する、世界最大の旅客機エアバスA380型機の1号機が成田空港に到着した。 …(略)… 日本の航空会社でA380は初採用。 ANAの機体は、ファーストクラス8席、ビジネスクラス56席、プレミアムエコノミー73席、エコノミークラス383席。 総席数520席。 機体の塗装はハワイの神聖な生き物、ウミガメをモチーフとした。 「FLYING HONU(フライング ホヌ)」空飛ぶウミガメ。 5月24日より成田=ホノルル線で週3往復で運航を開始 ANAは、2020年までに3機を導入する予定。 航空マニアならずとも、一度は乗りたい機体だ。 滅び行くものは美しい?A380就航記念ツアー特集ANA公式サイト
2019年04月04日
コメント(0)
A320によるLCCの隆盛は、超大型旅客機時代の終焉の始まりだった。 エアバスA380は2007年10月運用開始。 ボーイングB747の長期単独政権の時代が終わり、A380と両雄の時代を迎えたと思ったらそれは終わりの始まりだった。 エアバス、超大型機A380の生産打ち切り発表 …(略)… アラブ首長国連邦(UAE)のドバイを拠点とするエミレーツ航空(Emirates Airline)がA380の発注数を39機減らしたことを受け、同機の引き渡しを2021年に終了すると明らかにした。 声明によると、「エミレーツは運用見直しと航空機およびエンジン開発の点から、A380の発注数を162機から123機に削減した」といい、エアバスは「結果、他の航空会社の注文も少ないことから2021年にA380の引き渡しを終了する」ことになったという。 ボーイングの超大型旅客機、A380のライバルと目されるB747-8(747ダッシュ8)は、747-400 の後継機として開発、生産された。 2017年3月、日本貨物航空(NCA/KZ)は、発注済みだったボーイング747-8F貨物型2機をキャンセル。 確定発注に切り替えた6機すべてをキャンセルすることになった。 2017年7月現在の受注残は、大韓航空向けとカタール国王専用機向けの2機。 その後は受注があっても貨物機や軍用機のみと推測されている。 生産終了が正式決定となれば、B747の派生型はB747-8で終わる。 ボーイング社で生産される民間航空機で4発エンジン機は一切なくなる。 B747用に建設されたボーイングのエバレット工場は世界最大の容積を持つ建築物。 今は中型機のB787の生産に励んでいる。 747-8の製造中止の検討は、2016年7月、SEC(米国証券取引委員会)へ書類で提出済み。
2019年03月19日
コメント(0)
ANAは2021年度から2025年度にかけて、ボーイング737MAX8とエアバスA320neoの導入を発表。 ANAはMRJのローンチカストマー。 MRJ 90型機のデリバリーは2020年半ばとされている。 ANAボーイング737MAX8型機を日本初導入へ最大30機 2019年1月29日 ロイター ANAホールディングスは29日、小型機2機種・計48機を発注すると発表した。 米ボーイングの「737MAX8」30機とエアバスの「A320neo」18機を発注する。 両機材は2021年度ー25年度の納入を予定している。 日本の航空会社が737MAXシリーズを導入するのは初めて。 737MAX8型機は、確定発注が20機、オプションが10機で、カタログ価格は約3830億円。 現在、ANAが国内線で運航している「737-700」と「737-800」の後継機として導入する。 従来機に比べて機内の快適性が向上しているほか、約15%の燃費改善が見込まれるなど経済性の点でも優れているという。 737MAX8型機の導入理由について、峯口秀喜・グループ経営戦略室経営企画部長は同日、ロイターに対し、快適性や経済性に加え、部品が737-800型機と約85%共通しているため、整備がしやすく、パイロットの移行も容易である点もメリットと説明した。 今回の購入と日米貿易交渉との関係性については否定した。 A320neo型機は18機すべてが確定発注で、カタログ価格は約1660億円。 ANAグループのLCC(格安航空)事業を担うピーチ・アビエーションが追加で導入する。 A320neo型機はANAの国際線ですでに運航中で、優れた燃費効率や長い航続性能が特徴となっている。 …(引用終)…
2019年03月19日
コメント(0)
旅客機業界は大・中型機が、ボーイングとエアバス。 小型機(リージョナル・ジェット)は、大まかにエンブラエルとボンバルディアで市場を分け合っていた。 巨大機の需要減、中・小型機の需要伸長により、この構造が次第に転換。 ボーイングがエンブラエル(ブラジル)買収、エアバスがボンバルディア(カナダ)に出資して、2強体制になりつつある。 ブラジル高裁ボーイングの買収一時差し止めを解除2018/12/11 日本経済新聞 ブラジルの連邦高等裁判所(サンパウロ州)は10日、米ボーイングによるブラジルのエンブラエルの小型旅客機事業の買収について、連邦地方裁判所(サンパウロ州)が6日に出した一時差し止め命令を解除した。 今後、両社は買収プロセスを再開する。 地裁が6日、2019年1月に発足するボルソナロ次期政権の判断を待つべきだとして一時差し止め判決を出したばかりだった。 高裁は民間企業同士の取引への干渉が「司法の権限を越えており、受け入れられない」としてこれを解除した。 航空宇宙産業はどの国でも大事な産業、国防産業なので、ボーイングによるエンブラエルの買収に「待った」がかかったようだ。 差し止めの判定をする法律はブラジルになかったのだろう。 ボーイングとブラジル政府が懸念するエンブラエルの防衛部門に関する協議が不調なのだろうか。 MRJはメンテナンス等をボーイングに頼る計画だった。 こちらが揺らぐ可能性はある。 MRJ、360機発注キャンセルの可能性も…販売できぬまま撤退の最悪シナリオの恐れも2018.03.08 Business Journal
2019年01月27日
コメント(0)
リージョナルジェットの開発・製造・販売の予定が大きく崩れた三菱航空機は、米国FAAの型式認定が取得できるまで、大赤字が続く。 どこで出ても赤字は同じなので、親会社の三菱重工業は三菱航空機をもっと使うことにしたのだろう。 三菱重工業、航空機生産統合へMRJとボーイング向け2018年12月12日 共同通信 三菱重工業は12日、国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の試作機製造と、米航空機大手ボーイング向けの部品生産の事業統合を検討していると明らかにした。 MRJの本格的な事業化を見据え、費用を削減し、競争力を高めたい考えだ。 三菱重工の宮永俊一社長は共同通信などのインタビューに対し「ボーイングの下請けと、MRJの製造を別にしておくのは二元管理で、間接部門が無駄になる」と述べた。 MRJは試作機の製造を三菱重工の本体が手掛け、開発を子会社の三菱航空機(愛知県豊山町)が担っている。 二元管理のムダは、三菱航空機設立時から分かっていたこと。 分からなかったのは、FAAの型式認定を得ることの困難さ。
2019年01月03日
コメント(0)
世界での販売が順調に進む中、ホンダジェットが日本で初納入された。 2018年5月、航続距離を延長したホンダジェット エリート発表。 2018年6月に日本での受注開始で12月納入は早い。 2015年12月24日、米国でのホンダジェットの初引渡しから約3年たった。 ホンダジェット日本初納入ドローンファンド千葉氏・堀江氏ら共同購入2018年12月20日 ロイター ホンダが20日、小型ビジネスジェット機「ホンダジェット・エリート」の日本における初号機納入の式典を開いた。 日本での初号機は、エンジェル投資家の千葉功太郎氏、元ライブドア社長で実業家の堀江貴文氏、ベンチャーキャピタルの慶応イノベーション・イニシアティブ社長の山岸広太郎氏らが共同で購入した。 国内では今年6月の受注開始以来、すでに10機を超える注文が入っており、順次納入する。 …(略)… 山岸社長は、開発投資は「短期志向になりがちだが、長期で投資されてきたことがすごい」と評価。 利益を出さない小型ビジネス・ジェットの開発に、約30年の開発期間と開発資金を与えた経営者も凄い。 もちろん、ホンダエアクラフトカンパニーの藤野社長兼CEOも凄い。 「飛べないMRJ」から考える日本の航空産業史 日本がホンダジェットから学ぶべき教訓とは?オリンポス・四戸哲社長インタビュー(その5)松浦 晋也2018年4月26日 日経ビジネスONLINE
2018年12月31日
コメント(0)
三菱航空機がある中京地区は、日本の航空産業が集まっている。 「787ドリームライナー」初号機が生まれ故郷の一つである愛知県のセントレアに寄贈された。 787ドリームライナー初号機がセントレアにやってきた!?2018年6月23日 ボーイング・ジャパンB787ドリームライナー初号機(ZA001号機)を中部国際空港株式会社に寄贈ボーイングはこのほど、787ドリームライナー初号機(ZA001号機)を中部国際空港株式会社に寄贈することを決定しました。 同機はシアトルのボーイング・フィールドから最終フライトに出発し、2015年6月22日13時01分、ほぼ定刻通りに中部国際空港 セントレアに到着しました。 787ドリームライナーの機体の35%は中部地域に拠点を置く日本企業によって開発・製造されています。 またボーイングは、米国外では唯一のドリームリフター・オペレーションズ・センターをセントレア内に設置。 ここで日本のパートナー企業が製造した787型機の翼や胴体を大型貨物機ドリームリフターに載せ、シアトルの最終組立工場まで運んでいます。 中部国際空港、そして中部地域は、いわば787ドリームライナーの生まれ故郷なのです。 …(略)… B787をもらったセントレアは展示施設を建設。 2018年10月12日(金)、セントレア(中部国際空港)にボーイング787初号機(ZA001)の屋内展示をメインとした新複合商業施設「FLIGHT OF DREAMS(フライト オブ ドリームズ)」がオープンした。 キーコンセプトは 「世界にひとつ、セントレアにしかない、航空機をテーマとした体感型コンテンツ空間」。 「FLIGHT OF DREAMS」WEBサイト ボーイングの故郷、シアトル航空博物館ではB787の初号機は見られないことになる。 航空博物館 Museum of Flight
2018年12月26日
コメント(0)
世界で初めてボーイング737MAXを墜落させたインドネシアのライオン航空が、責任の所在で機体の製造者ボーイングと対立している。 インドネシア格安航空ボーイング発注中止も 墜落事故で対立2018年12月4日 ロイター インドネシアの格安航空会社(LCC)ライオン航空が、米ボーイングとの航空機購入契約について、キャンセルも含め見直しを進めていることが、関係者の話で分かった。 10月に起きた737型機の墜落事故の責任問題で、機体製造元のボーイングと対立しているためだ。 事故は10月末、ライオン航空機がジャカルタ北東の西ジャワ州カラワン県の沖合に墜落、乗員乗客189人が死亡した。 ボーイングは事故を起こした最新鋭機「737 MAX」を製造していた。 ライオン航空の共同創業者、ラスディ・キラナ氏は、ボーイングが墜落事故の責任をライオン航空に押し付けようとしたり、機体のデザイン変更の話題をそらそうとしたりしている点に激怒している。 このため事情に詳しいある関係者によると、キラナ氏は「次回納入分から」ボーイング機の発注取り消しが可能かどうか検討中だ。 別の関係者も、ライオン航空が取り消しを視野に入れていると明かした。 ライオン航空はボーイングからまだ納入されていない発注済みの旅客機を190機抱えている。 …(略)… 1985年8月12日に発生した、日本航空123便墜落事故でも、ボーイングは責任を取らなかった。 1978年6月2日、羽田発伊丹行き115便として本機(JA8119機)が伊丹空港に着陸しようとした際、機体尾部が滑走路と接触し中破する事故が発生した。 この事故によって生じた損傷の修理を製造元のボーイング社が行った際、後部圧力隔壁を修理する中で発生した作業ミスが墜落事故の主原因と結論付けられている。
2018年12月05日
コメント(0)
B737MAXは、ロングセラーのB737シリーズの737NG(next Generation)を後継機主として737NGをベースに開発した旅客機。 737NGのCFM56エンジンを、燃費効率の良いCFMインターナショナルのLEAP-1Bエンジンに換装し、機体も改修した。 B737-100の初飛行は1967年、運用開始は1968年でシリーズで50周年。 座席数は「7」の126席から「10」の最大230席まで。 「8」は162席~最大200席。 ライアンエアの提案は737 MAX 8の200席仕。 非常時脱出要件を満たすため従来の主翼上非常口のに胴体中央後方に非常用ドアを設置した。 燃費向上策として主翼は、複合型ウィングレット、ウィングティップ・フェンス、レイクド・ウィングレットの3種類を合わせたスプリット・シミタール・ウィングレットを採用。 エアバスA320neoよりも小型・軽量・低空気抵抗のLEAP-1Bエンジンを採用したが、737NGシリーズよりも直径が大きく、前輪の高さを8in(20.3cm)嵩上げ。 地上とエンジンとの間隔を保った。 2017年5月16日、ボーイングは737MAXの納入を開始。 マレーシアのマリンド・エアに、737MAX8納入した。
2018年11月23日
コメント(0)
10月29日、インドネシアの格安航空ライオン・エアJT610便、スカルノ・ハッタ国際空港発デパティ・アミール空港行きが離陸直後にジャワ海に墜落。 機体は米ボーイング「737MAX8」。 B737MAXは運航開始後、初の事故。 同機は高度4850フィート(約1478メートル)からわ21秒、速約350マイル(約563km/h)で落下したことが、同機から発せられたデータから判明。 乗客・乗員189人は全員死亡しているとみられ、民間航空機としてこの3年で最悪の事故。 737MAX8は昨年、航空各社への納入が開始されたばかりで、ライオン・エアでは飛行開始から2ヶ月。 ライオン・エアは、インドネシア30都市に就航しており、国内線のシェアはトップ。 10月31日、インドネシア政府は29日に発生ライオン航空機墜落事故を受け、国内全てのボーイング737MAX8型機を検査するよう命じた。
2018年11月23日
コメント(0)
航空機は耐空証明がなければ飛べない。 滞空証明は1機ごとに必要な認証のため、同じ飛行機が製造されたとしても、機体が作られる度に設計が正しいか、製造プロセスは適切かという検査を受けなければならない。 型式証明があれば、耐空証明の大部分が省略されるので、量産に着手できる。 同じ型式の飛行機であれば、同じな部分の検査を省略し、個別の部分だけが耐空証明の検査対象となる。 スホーイ・スーパージェット100 ロシアのスホーイを中心として航空機メーカーによって共同開発された60~95席クラスの地域ジェット旅客機。 2011年2月、ロシア航空当局から型式証明取得。 2012年2月、EASA(欧州航空安全局)から型式証明取得。 同年4月、メキシコ民間航空当局から型式証明取得。 同年11月、インドネシア航空当局から型式証明取得。 同年12月19日、ラオス航空当局から型式証明取得。 FAA(米連邦航空局)の型式証明取得の報は聞かない。 ロシアとヨーロッパへと飛べるだけでも、それなりに大きな市場を形成している。 COMAC ARJ21 中国商用飛機有限公司 (COMAC) が計画を担当する地域ジェット旅客機。 2016年6月28日、商業飛行開始。 2014年12月、中国民用航空局 (CAAC) から型式証明 取得。 FAA(米連邦航空局)の型式証明取得の報は聞かない。 だが中国の国内市場と周辺国だけでも十分な大きさを持つ市場。 MRJ 三菱航空機を筆頭に開発・製造が進められている小型旅客機。 米国の航空会社からの発注は多く、米国の空を飛べなければ開発費の回収は覚束ない。 三菱航空機にも、三菱重工にも、日本の航空当局にも、FAAの「型式証明」を取るコツを知る人間はいなかった。 設計基準を満たしていると信じて作ってしまった。 型式証明の取得に携わった経験のある米国人を多数採用。 設計基準の変化、解釈を誤りなどについて再設計したことだろう。 米国の空を飛べる旅客機作りの正解は、開発当初から型式証明のノウハウをよく知る人間とともに設計することだった。 後の祭り
2018年10月30日
コメント(0)
FAA(米連邦航空局)は、米国運輸省の下部機関で、航空輸送の安全維持を担当する部局。 米国内での航空機の開発、製造、修理、運航の全ては、同局の承認無しには行えない。 EUのFAAに相当する機関はEASA(欧州航空安全機関)。 国際的には型式証明(TC:Type Certificates) の基準として、FAAが定める基準と EASAが定める基準が広く通用している。 世界各国的はどちらかの基準に準拠したものが実施されることが大半。 MRJはFAAの型式証明が得られず頓挫状態が続いている。 世界最大航空機市場である米国の空を飛べなければ開発費の回収はままならない。 MRJ、20年の初納入「絶対守る」 社長が強調 2018/10/01 朝日新聞 DIGITAL 国産初のジェット旅客機MRJを開発する三菱航空機の水谷久和社長は1日、朝日新聞のインタビューに応じ、「2020年半ばの初納入を絶対に守る」と納期を厳守する考えを改めて強調した。 今年末にも機体の配線などの設計変更を終える方針だ。 MRJは納期が5度遅れ、開発費は当初想定していた1千億円台後半から6千億円規模に膨らんでいる。 親会社の三菱重工業は先月、納入までに2千億円を追加で投じる見込みを明らかにしている。 足元の状況について、水谷氏は「なんとか予定していたスケジュール通りで来ている」とした。 …(略)… FAAの型式認証を得る目処がったのか、具体的な対応策ができたのか不明。 90席クラスの認証取得前から約70席の派生機「MRJ70」に90席クラスにはない新技術を導入する考えを示唆したという。 当初2018年完成と発表されたが、どうなのだろう? 三菱重工 MRJ ミュージアム
2018年10月30日
コメント(0)
本格的な航空機電動化の流れが始まりつつある。 欧エアバス製(独シーメンス、英ロールス・ロイスとの共同開発)と、ボーイングが出資するスタートアップ企業ズナムエアロ製が取組んでいる。 両社は、12~19座席程度の短距離用ハイブリッド電気航空機の開発をすすめている。 200~300キロメートルなら純粋な電気駆動。 バッテリーにチャージすれば、1000キロメートル程度に航続距離を延ばせるという。 日本人が知らない航空機電動化という新潮流 ノルウェーが2040年までに国内全線に導入へ 野村 明弘 : 東洋経済 記者 2018/03/26 東洋経済 ONLINE NASAは、“ニュー・エビエーション・ホライゾンズ (New Aviation Horizons)”構想として航空機の電動化を含む諸案を検討中。 これらを一まとめにした ”実験機(X-plane)” 計画と呼んでいる。 この中に亜音速旅客機用の「電動ターボファン旅客機」 の計画案がある。 「電動ターボファン旅客機」は、両翼に取付ける低排気ガスの小型高バイパス比のファンエンジンと、尾部に取付ける電動ファンの開発に取組んでいる。「尾部電動ファン」は、胴体表面に生じる境界層を吸入すると共に推進力を発生する。 世界(米国)の流れを追いかける保守的な日本製造業も航空機電動化にJAXAの音頭取りのもと、及び腰で参加。 「航空機電動化(ECLAIR)コンソーシアム」の発足について 平成30年7月2日 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、株式会社IHI、川崎重工業株式会社、株式会社SUBARU、株式会社日立製作所、三菱重工航空エンジン株式会社、三菱電機株式会社、及び経済産業省との連携のもと、CO2排出などの環境負荷を抜本的に低減する航空機の電動化技術を開発するとともに、我が国の航空産業の飛躍的な拡大に向けて産業界のイニシアチブを醸成することを目的とした「航空機電動化(ECLAIR)コンソーシアム」(以下、本コンソーシアム)を7月1日に発足しました。 …以下略… 「航空機電動化オープンフォーラム(仮称)」の開催で幅広く技術を募り、実用化への道をつけたいらしい。 2018年7月12~13日に米国オハイオ州シンシナティで電動航空機に関する国際学会(EATS)が開催された。 この学会は、AIAA(アメリカ航空宇宙学会)とIEEE(米電気電子学会)が共催した。 世界EV化の次は航空機の電動化が控えていそうだ。
2018年10月18日
コメント(0)
2018年7月9日、ボーイング777X型機の最初のテスト機がエバレット工場(ワシントン州)の生産ラインに現れた。 ボーイング777Xの最初のテスト機がラインオフ 静的試験のみ 2018年9月12日 japanese.china.org.cn ボーイング777X型機の最初のテスト機がラインオフした。 同機は静的試験のみで、飛行試験は実施しない。 2013年11月17日、ボーイングはドバイ・エアショーで777Xプロジェクトの始動を発表し、259機の注文とオプションを取得した。 …(略)…ボーイング777X 翼幅は777の64.8 mから71.3 mに拡大された。 構造材として炭素繊維強化プラスチックを使用する。 777と同クラスのサイズに収めるため、翼端を折り畳み式を計画している。 エンジンはゼネラル・エレクトリック GE9X。 GEがこれまでに生産したエンジンの中で最大のファンを備える。 ボーイング787で導入されたキャビン設計が777Xにも取り入れられる。 従来の民間航空機よりも大きな窓、高いキャビン与圧、高い天井、高い機内湿度などを実現。 コックピットはタッチパネルを採用したグラスコックピット。
2018年10月16日
コメント(0)
ANAがローンチカスタマーとなったB787、MRJは、日延べを繰り返した(繰り返している)。 既に他社で就航して久しい、A380は順調に飛びそうだ。 2020年4-6月に受領の予定。 ANAのA380は、東京オリンピックに間に合うようだ。 B787は北京オリンピックに間に合わなかった。 ANAのA380、初飛行成功 ハンブルクで塗装へ By Tadayuki YOSHIKAWA 2018年9月18日 Aviation エアバスは現地時間9月17日、全日本wire'空輸(ANA/NH)向けA380型機の初号機が初飛行したことを明らかにした。 仏トゥールーズを飛び立ったA380は、塗装や内装作業を行う独ハンブルクへ向かった。 …(略)… 座席数は4クラス520席で、ANAのホノルル線では初のファーストクラスが8席、ビジネスクラスが56席、プレミアムエコノミーが73席、エコノミーが383席。 エンジンはロールス・ロイス製トレント900を採用した。 初号機と2号機は2019年度4-6月期(第1四半期)に、3号機は2020年度4-6月期に受領する見通し。 エアバスは、8月30日に初号機の最終組立が完了したことを発表。 ハンブルクでは、客室の装備品取り付けや塗装作業を行う。 塗装は12月中ごろまでには終える予定で、2019年3月までに引き渡される見込み。 …(略)… トラブル続きのエンジン、ロールスロイスのトレントシリーズもトラブルは出尽くす頃だろう。 三菱航空機、MRJの現状について会見。「ローンチカスタマーのANAへのデリバリーに集中している」とプログラム統括のベラミー氏 試験機の愛称は「Rising Star」「Pirates」 「Dragons」「Shinobi」 編集部:松本俊哉 2018年7月2日 トラベル Watch
2018年10月16日
コメント(0)
米FAAの型式認定はいまだ得られていないが、三菱リージョナルジェット(MRJ)を開発する三菱航空機(愛知県豊山町)は7月17日、英国で開かれた「ファンボロー国際航空ショー2018」に出展。 当然ながら新規受注はなかった。 MRJ、納入ゼロのまま撤退説も …直近1年で受注ゼロ、大量キャンセル発生 債務超過膨張 2018年8月4日 Business Journal …(略)… 2020年半ばの1号機納期まであと2年。リージョナルジェット(RJ)市場に参入するための離陸態勢に入る。 最終日となる18日、ようやく2回目のデモ飛行にこぎ着けたが、ファンボロー国際航空ショーの商談期間(16~20日)中、MRJの新規受注はゼロだった。 17年のパリ航空ショーに続いて、2年連続で新規受注はゼロに終わった。 そんなMRJを尻目に、世界の航空機市場では再編の動きが急速に進んでいる。 世界航空機2大メーカーの欧州エアバスと米ボーイングが相次いで小型旅客機事業に本格参入する方針を表明。 MRJの先行きに暗い影を落とした。 …(略)… ●債務超過1100億円、さらに膨れる見込み 三菱航空機はMRJの開発費用の増加によって、18年3月期末時点で1100億円の債務超過に陥った。 債務超過額は、17年3月期末に比べて2倍以上になった。 受注は1年以上なく、1月末には米イースタン航空が受注総数の1割にあたる40機をキャンセルした。 MRJは08年の開発開始から、これまで5度も納期を延期している。 三菱航空機の第11期(18年3月期)決算公告によると、売上高はゼロ。 営業損益は559億円の赤字、純損益は589億円の赤字、累積赤字は2100億円に上る。 その結果、1100億円の債務超過となった。 …(略)… 小型旅客機市場はエアバス - ボンバルディア、ボーイング - エンブラエルに集約されてしまった。 今後の受注の可能性は大きく減少した。 たとえ三菱航空機の債務超過が解消されても、現在の確定発注は213機だけでは全く収支が合わない。 親会社の三菱重工自体も体力を失いつつある。 MRJ事業を売却し三菱航空機を解散するのがよさそうだが、買い手がいるのか不明。 三菱重工業は航空機事業から撤退するのか? 三菱重工 トルコ原発事業費5兆円に 当初計画の2倍超 2018年8月2日 毎日新聞 三菱重工業は2日、トルコで進める新型原発建設計画を巡り、事業の実現性などを調べる事前調査の結果をトルコ政府に伝えたと明らかにした。 安全対策費を含む総事業費は当初計画の2倍を超える5兆円規模に達する見通しとなった。 費用高騰にトルコ政府は難色を示しており、今後の交渉は難航することが予想される。 …(略)…
2018年08月30日
コメント(0)
第二次世界大戦後、旅客機製造の覇者は長年、米ボーイングだった。 それに対抗して欧州航空機メーカー大同団結してエアバス・グループを設立。 中・大型旅客機市場でボーイングとエアバスが受注競争を繰り広げてきた。 小型旅客機(リージョナル・ジェット)は、カナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルが市場を分け合ってきた。 新興国のGDP増大とともに需要の拡大が見込まれる小型旅客機市場に三菱MRJ、ロシア、中国が参入を試みた。 ところが最近この環境が激変。 エアバス=ボンバルディア、ボーイング=エンブラエルと中・大型旅客機2強の系列に小型旅客機が組み込まれた。 三菱MRJは安息の地を失った。 米FAAの型式証明を取得できる保証も無い。 2011年運用を開始したロシアのスホーイ・スーパージェット100、中国のARJ21も2017年運用を開始した中国商用飛行機有限公司・ARJ21もFAAの型式証明取得の見込みはない。 スーパージェット100は欧州航空安全局 (EASA) 型式証明を取得、ARJ21は国内と途上国市場で事足りている。 MRJは行き場、活躍の場が、大きく狭まった。 MRJミュージアム
2018年06月04日
コメント(0)
従来、旅客機の客室後方席が比較的安全、と経験的に語られてきた。 実際の航空機事故の死亡リスクの調査から、安全な座席位置が判明した。 【決定版】 飛行機の「一番安全な席」がガチで判明! 墜落しても生き残る… GWの空の旅で死にたくなければココに座れ! 2018年4月28日 tocana …(略)…■過去データから“もっとも安全な座席”がガチ判明! 実は、過去に発生した航空機事故のデータから、機内のどの辺りの座席がもっとも安全か、逆にどの辺りの座席で死亡率が高いかという点が割り出されている。 恐らく多くの読者は、調査結果を見るまでもなく、感覚的に前方よりは後方の座席が安全だと考えているのではないだろうか。 その推測は概ね間違いではないが、実際はそれほど単純な話でもない。 2007年、米誌「ポピュラーメカニクス」と「タイム」は、国家運輸安全委員会(NTSB)のデータを基にして、1971年以降に発生した航空機事故を調査・分析し、座席位置による死亡リスクの変化を発見した。 結果はズバリ、航空機事故発生時の「生存率」は機体前部で49%、中部(主翼上および主翼の前部分)が56%、そして後部では69%という数値となった。 つまり、後部座席のほうが飛行機事故で“助かる可能性が高い”ということだ。 また、「タイム」は2015年にも独自調査を行い、1985年以降に起きた17件の飛行機事故における乗客死亡率を調べた。 すると後部座席で32%、主翼部分が39%、前方の座席は38%という結果が得られた。 やはり、後部座席の死亡率が一番低かったのだ。 そして、さらに明確な差が表れたのは、機体の前後に加え“横の位置”による変化だ。後部座席でも、窓側ではなく中央部分だと死亡率が28%と一番低い。 逆に死亡率が一番高かったのは、機体中部(主翼部分)の通路側で、実に44%という高い数値だった。 …(略)… ということで、客室後方、左右では中央エリアが死亡率が低いと判明。 だが、一般的な話であり、2階建て大型機、大型機、中型機、小型機でも生存率が違うだろうし、墜落と胴体着陸(陸上、水上)でも異なるだろう。 A380はどの席が死亡率が低いかは、極めて興味深いが、2件の事故は、ロールス・ロイスのトレント970エンジン爆発事故で乗員乗客は無事だった。 ロールス・ロイス、トレント・エンジンは要注意かもしれないが、エンジンで搭乗する飛行機を選ぶのは、相当な航空ファンだけだろう。
2018年06月03日
コメント(0)
JALが国内線のみならず、国際線のLCCを設立。 あまたあるLCCでJALの優位性はどこにあるか。 一番は安全性であると思う。 JAL本体が整備能力を増強して取組むのであれば、JAL本体に比べ低コストで同等の安全性が確保される可能性が高い。 航空会社が増えた現在、パイロットの確保も大事だが、整備士の確保も同じぐらい重要。 そして確実な整備を実施することが安全上肝要。 JAL社長「3年で黒字化」、 中長距離国際線の新LCC20年就航へ 2018年5月14日 ロイター 日本航空(JAL)は14日、格安航空会社(LCC)を設立すると発表した。 新会社は成田国際空港を拠点に欧米、アジアの中長距離線を中心とする国際線を展開し、JALの連結子会社となる予定。 成田空港の機能強化が予定される2020年の夏ダイヤでの就航を目指す。 新LCCには100億―200億円を投じる計画。 会見した赤坂祐二社長は、顧客の「旅行に対する価値観の多様化」に新LCCで対応するとし、「長年培った経験を活用し、安全で快適な新しいLCCモデルを提供したい」と語った。 また、運航サービス開始から「最低でも3年以内で黒字化しないといけない」と述べた。 既存のJAL国際線ではビジネス需要を囲い込み、より高級なサービスを追求し、新LCCでは価格志向の個人旅行客を取り込み、需要喚起を狙う。 …(略)… ただし、3年で黒字化することが長期的にみて正しいかは不明。
2018年06月02日
コメント(0)
まだまだ塁損一掃からは遠いホンダの航空機事業ではあるが、明るい見通しが次々と報じられている。 ビジネスジェットマーケット拡大に向けた 戦略的パートナーシップの締結 ~ビジネスジェットをもっと身近に!~ 2018年03月28日 HONDAニュースリリース 中国の小型航空機による一般航空(ジェネラル アビエーション)市場は、米国以上に将来性と成長性に満ちている。 ホンダジェットには恰好の市場。 ライバルはあるもののブルーオーシャンと見うけられる。 広大な市場に対してホンダジェットチャイナを充実拡大し市場拡大に努める。 中国のHondaJetディーラーによるオペレーション 拡大 およびチャーター事業会社設立 2018年04月17日 HONDAニュースリリース【HondaJet China運営会社の概要】 社名 : ホンサン・ジェネラル・アビエーション (Honsan General Aviation Co., Ltd.) 設立 : 2017年9月 出資形態 : Honsan Auto Investment Co., Ltd. 100%出資 代表者 : 会長 周 玉〓(ヂォウ ユーシー) 所在地 : 中国・広州市 藤野道格ホンダエアクラフトカンパニー社長兼CEOは下記のフェロー(学術団体の特別会員)。 米国航空宇宙学会AIAAフェロー 英国王立航空協会(RAeS)フェロー SAEフェロー 日本航空宇宙学会JSASSフェロー 米国工学アカデミーNAE会員 出典:Wikipedia 三菱航空機にはこのような航空業界の国際的な常識と良識を理解した取締役がいるのだろうか? MRJとともにこれから生み出すのだろうか? 日程を決めさえするればタスクが進むとは限らない。
2018年05月18日
コメント(0)
三菱重工の技術力を生かし、自社、ひいては日本の収益の柱になる事業を確立する──。 2008年、MRJの事業着手の大義名分は実に立派だった。 初号機納入の目標時期は当初から5度、7年後ろにずれ込んでいる。 だがその時期も「確実」ではない。 MRJは三菱重工の、ひいては日本の巨大なお荷物と化すかもしれない。 MRJは“安定飛行”に進めるか 激変中の世界の競争環境を読む 新井美江子(週刊ダイヤモンド編集部) 2018.4.3 DIAMOND online 三菱重工業が直面する、最大にして最難関の課題。 それが、すでに5000億円という巨額の開発費を投じるMRJの“安定飛行”だ。 連載最終回では、MRJ事業の収益化への道に横たわる難題について追う。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子) …(略)… 過去の実績への過信、グローバル戦うための交渉力不足、プロジェクトマネジメント能力の欠如。 「失敗の本質」は軍隊が支配した時代の大日本帝国と変わらない。 FAAの「型式証明」を得る手立てがなかったのは、技術があっても、事業化の視点がない、即ち経営能力がないことの証左。 スケジュールの遅れに横たわる、根本的な問題だ。 十分な調査もせず、日本人だけで達成できると自負した課題は、井の中の蛙には「何ともならなかった」。 事業開始から8年以上たって、外国人の認証取得のエキスパート大量に採用して取組をすすめた。 設計段階からFAAの認証取得が作りこまれていないので、新造機より困難な道とされる。 三菱重工は商船製造事業、火力発電事業、旅客機製造事業と大きな三つの課題を抱えている。 課題解決には伝統や歴史が役立たないことは、東芝をみるまでもなく明白。
2018年05月18日
コメント(0)
ボーイングのジェット旅客機7X7シリーズはB707が始まり。 ボーイング707は1957年初飛行。 ダグラスDC-8とともに大型ジェット旅客機での海外旅行の始まりを象徴する機体。 またB720、B727、B737は直径の同じ胴体を流用した「ファミリー」だった。 B717はダグラスが開発したDC-9の発展型でボーイングに吸収合併されたのちに実用化された機体。 747から胴体が完全新設計された。 日本の航空会社が採用しなかったB757。 日本にも多数導入されたB767 大型双発の新しい公式となったB777。 ANAが初めてローンチ・カンパニーとなった中大型機B787へと続く。 そして7X7シリーズの掉尾を飾るのがB797。 ボーイング幹部、”797″の市場規模4000機 「アジアが潜在需要No.1」 By Tadayuki YOSHIKAWA 2017年10月12日 Aviation Wire ボーイングの民間航空機部門マーケティング担当バイス・プレジデントのランディ・ティンゼス氏は10月12日、次世代小型機737 MAXと、中大型機787の間に位置する「MOM(ミドル・オブ・ザ・マーケット)」に投入を検討している機体「NMA(New Middlesize Airplane)」について、「4000機を若干上回る市場がある」との見方を都内で示した。 NMAは、北米の航空会社を中心に需要がある中型機757の後継機とされるもので、メディアの間では、787に続く「797」が割り当てられるのではないかとみられている機体。 6月のパリ航空ショーでローンチが発表された、ボーイング最大の単通路(ナローボディー)機737 MAX 10と、双通路(ワイドボディー)機の中では小型となる787-8の間に位置するサイズで、2クラス約200席の757-200や、同250席の757-300の置き換え需要が期待できる。 757は現在、米国の航空会社が米大陸横断路線や国内線に投入している事例が目に付く。 ティンゼス氏は、「約50社の顧客と話し合ってきた。 顧客の要望は、737 MAX 10より座席数が多く、(787のような)ワイドボディー機ほどのコストがかからないものだ」と述べ、「757よりも座席数が20%多く、航続距離は25%長い機体」(ティンゼス氏)を求めているという。 …(略)… B797の話題が日本で盛り上がらないのは、恐らく日本の航空会社が1機も導入しなかったB757の後継という要素も大きいだろう。 B757は短・中距離路線旅客機のベストセラーB727の後継機として開発された。 ボーイングが開発したナローボディ機の中で最も大きく米国の国内線でも多数採用された。 座席数は200から289席、航続距離は5,830~7,590km。 生産数は1,050機で中々のヒット作品。 時代が違うとはいえ、B707の1,010機に勝る生産数。 “トランプ・フォース・ワン”と称されるトランプ大統領のプライベートジェットもB757。 大統領就任前の2015年9月からB757-200をプライベートジェットとして利用している。 開発中のボーイング797機に デルタ航空が熱いエールを送った理由 2018.02.16 Discovery CHANNEL スペックが定まらないので、日本の航空会社では検討の俎上にも上っていないと思われる。 ボーイング797とエアバスA321LR 日本の航空会社が買う可能性は 2018-03-25
2018年05月05日
コメント(0)
速い、燃費がいい、静かなホンダジェットは約5.4億円。 安い!というわけにはいかない。 買えないが使いたい人向けに、新たな利用方法ができる。 ホンダジェットのチャーター便事業だ。 ANAと双日が HondaJetを活用しビジネスジェットを身近にする 新会社を設立! 2018年4月4日 TEXT: WEB CARTOP編集部 世界が注目するHondaJetの機内も公開! ANAホールディングス株式会社と、双日株式会社は、新会社「ANAビジネスジェット株式会社」を共同で立ち上げ、ビジネスジェットを活用したチャーター手配事業に参入すると発表した。 続いては日本から海外目的地への直行便チャーター。 そして、ビジネスジェットを利用した顧客に対し、実際の目的地にて、リムジンやレストラン、宿泊などの手配を行うコンシェルジュサービスである。 発表では一例として、日本から北米のロサンゼルスに到着し、その後、フェニックス、サンフランシスコとまわり、再びロサンゼルスに戻るという旅程での計算結果が提示された。 それによると、通常の定期便であれば4日かかるところがビジネスジェットであれば2日、つまり最大で50%の時間軽減が可能になるとのことだった。 このように空港での乗り継ぎをスムースにすること、そして時間の削減以外に機内での移動時間を会議などに充てたり、プライバシーを確保できるといった価値もあるという。 しかし欧米では比較的利用の多いビジネスジェットだが、日本においては一部の富裕層向けのサービスという認識がほとんどだ。 それに対して今回の新会社はもっと身近にビジネスジェットを利用してもらう、という狙いがある。 つまり、時間を有効に使うためのサービスという考え方でビジネスジェットのチャーターを広めていきたいということだ。 …(略)…
2018年05月04日
コメント(0)
COMAC C919は、中国の中国商用飛機有限責任公司 (Comac) で開発中の168-190席のナローボディ旅客機。 C919は、エアバスA320neoシリーズとボーイング737MAXと競う位置づけ。 2015年11月2日、ロールアウト。 2017年5月5日、上海浦東空港にて初飛行が成功。 2017年11月、上海市から西安市までの長距離飛行。 FAA(米航空局)の型式証明の取得は考慮されていない。 巨大な国内市場あればこそ、成立する姿勢。 2010年、中国民用航空局はC919の型式合格証の申請を受理、手続きに基づき耐空審査活動を開始。 欧州航空安全機関(EASA)の型式合格証を申請し、受理されている。 C919の中国国内外のユーザーは27社、受注総数は730機。 中国の国産ジェット機、実は国産じゃなかった? 設計者はどう答えたか―米華字メディア 2018年3月10日 Record China 2018年3月8日、米華字メディア・多維新聞によると、中国のジェット旅客機「C919」をめぐる「国産化問題」について、設計責任者の呉光輝(ウー・グアンフイ)氏がインタビューに答えた。 C919は「国産ジェット旅客機」とされているが、エンジンなどの部品は海外から輸入したものを使っている。 このため「中国での組み立てではないか」といった疑問の声が当初より寄せられていた。 報道によると、この件について問われた呉氏は「システム全体の統合、全体の設計、強度設計は全てわれわれが行った」と話し、「われわれが作る必要のあるものもあるが、そうではないものもある。 コストを抑えられ、信頼できるものであればそれを使えば良い」とコメント。 「全体のコア技術はわれわれが握っている」とも語った。(翻訳・編集/野谷) エンジンとアビオニクスは当初から国産が考慮されていない。 全部国産にこだわって寒冷な気候では飛べないヘリや、動かない戦車を作った韓国より、現実的で手堅い戦略。 エンジンが国産では中国人も乗りたがらないという笑い話もある。 国産にこだわりFAAの型式証明がとれないMRJはビジネス以前、以外であることは言うまでもない。 私は飛行機は主翼と飛行機だと思っているので、C919は「純国産」ではなく中国製と認識する。 コア技術を飛行制御のソースコードにおいたなら、「国産]とは呼べるかもしれない。 ややこしや・・・。
2018年04月03日
コメント(0)
LCCの増加、大量退職によりパイロットが不足することは、比較的多く語られている。 だが、整備士の不足はパイロットの不足ほどは語られていない。 航空機の整備不良による事故の報道に付けたし程度に語られている。 JALで「整備部門一筋」の新社長が抜擢された2つの理由 2018.2.7 週刊ダイヤモンド編集部 「全く“ノーマーク”の人物だった」。航空業界関係者がこう一様に驚くのが、日本航空(JAL)のトップ交代だ。 4月1日から社長に昇格するのは、赤坂祐二常務執行役員(56歳)。 入社以来、整備部門一筋で、現在は4000人の整備士が所属するグループ会社、JALエンジニアリングの社長も兼務する。 実はJALのトップ交代は昨年の同時期もうわさされていた。 破綻を機に国から大型投資を制限されていた期間が終わり、新しい経営計画を発表。再建の立役者である植木義晴社長が就任6年目を迎えることで、体制を一新する材料が出そろっていたからだ。 そうした中で次期社長候補に挙がっていたのは販売畑の藤田直志副社長や、路線統括の菊山英樹専務など。 赤坂氏は、次期社長レースにおいては、あまり目立たない存在だった。 そんな赤坂氏が抜てきされた理由は何か。 まず「現場出身」であることだ。植木社長は会見にて「経営の中枢に現場経験者が一人はいてほしい。 でないと航空会社の神髄が分からない」と述べ、一方の赤坂氏も「日々変わるオペレーションに全力で対処してきた。おかげで瞬発力や粘り強さは、かなり鍛え上げられたと思う」と現場で培った強みを自己分析した。 …(略)… 国鉄からJRに変わり、JR各社は保線や整備のベテランが不足しており、過去には起きたことがないような事故が起きるようになった。 化学プラントの老朽化による事故が頻発したのも同じ文脈。 日本の航空機もトラブルが増えているが、整備士不足が慢性化している。 パイロットと同様、航空整備士もライセンスを取得した機種しか整備に携わることができないし、手順通り整備した後は勘と経験も重要とされている。 AI やロボットを活用するには作業工程が様々過ぎる。 究極の汎用性を備える「ヒト」での対応が現実的。 パイロット不足だけじゃない! 実は航空整備士も不足してますねん! 2016.10.05 いろいろ整備士 誰かいないかな? どうも整備士です。 最近盛んに国内のパイロット不足が叫ばれているのですが・・・ 実は航空整備士も現状で不足しています。(特に小型機業界) 日本国内の人口は少子高齢化に伴い減っていく一方。 今以上に整備士不足が深刻化していくんじゃないかと。 どの会社も人不足で年中募集がかかっているところも・・・ 自分が業界に戻ろうと決意した時もちょっと検索しただけでどこの会社も募集がかかっていました。 そして業界の人に戻りたい旨を相談するとおいでよ!と誘っていただいたり、あの会社もあるよと教えていただいたりで正直どこにしようか悩むぐらいです。 …(略)… こんな折にJALが整備出身者を社長に起用する。 表に出てこない事情を詮索してしまう。
2018年04月01日
コメント(0)
技術が産業と結実する以上、技術の実用化には様々な制約や国境がある。 米国は技術レベルの高い航空宇宙産業を独占し、トップであり続けようとしている。 中島飛行機の伝統を受け継ぐ富士重工や三菱飛行機の伝統を受け継ぐ三菱重工も民間航空の完成機の独自開発、販売は断念した。 ボッチと思われているホンダは海外展開にあたり現地資本と合弁することに長けている。 ホンダジェットのエンジンはGEと組むことで成功した。 リコールを繰り返したフィットハイブリッドなどのDCTはZFと組んだ。 成功ばかりではなく、失敗もある。 ホンダ・ジェット世界一 2017年出荷台数5.7t以下 セスナ・サイテーション抜く 2018年2月27日 財経新聞 …(略)… だいぶ前から戦闘機用のエンジンでもターボファンが登場し、小型自家用機でも純ジェットが占有しようとしている。 そのエンジンも燃費改善が進み、「GE Honda エアロ エンジンズ(GEホンダ)」製の「HF120」を搭載している。 このエンジンは、「GE Honda」と名乗ってGEが入っているが、それは型式証明をとるための苦労であり、実際はホンダ製だ。 この話だけで長くなるので、別の機会にすることにする。 戦後、富士重工のFA200、三菱重工のMU-2など小型機開発が続いたが、その後絶えて久しい日本の翼が三菱・MRJ、ホンダ・ジェットと続いていることは、うれしい限りだ。 アメリカの戦後政策で航空機開発、ロケット開発など多くの制約を受けてきた過去を払拭してほしい。 知識集約型産業として、今後の日本経済の成り立ちにも大きな影響を与えるはずだ。 本田技研工業はホンダジェットを辛抱強く育てた。 類損を一掃する日が早くくることを望む。 第二次大戦後初の国産旅客機、YS-11を作った特殊法人日本航空機製造は、1982年9月7日に業務を全て三菱に引き継いで解散。 累積赤字は約360億円。 三菱は「良いものを作れば売れる」と考えていたのだろう。 MRJが世界の空を翔る日は遠い。
2018年03月20日
コメント(0)
2017年、ホンダジェットは43機販売された。 43機×約5億円(450万ドル)。 小型機といえどもビッグビジネス。 粘り強く新事業を育てたのは凄い。 藤野道格ホンダエアクラフトカンパニー社長も留任が決まった。 取締役委嘱人事及び執行役員委嘱人事 本田技研工業株式会社 未開のビジネスに参入して小型ジェット機部門トップの製品を産み出したのは、実にすばらしい。 ホンダジェットが初の世界首位 17年納入機数で競合のセスナ機抜く 2018年2月22日 ロイター ホンダの小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」の2017年の納入機数が、小型ジェット機部門(定員10人未満)で米セスナの競合機を抜き、初めて世界トップとなった。 一般航空機製造者協会(GAMA)の集計により21日(日本時間22日)明らかになった。 GAMAによると、昨年のホンダジェットの納入機数は前年比20機増の43機で、主力市場の北米をはじめ、欧州や中南米などで顧客に引き渡された。 一方、競合のセスナの主力機「サイテーションM2」は同1機増の39機で、ホンダジェットが初めて上回った。 06年10月に始まったホンダジェットの受注は100機を超えており、15年12月上旬に安全性のお墨付きとなる「型式証明」を米連邦航空局(FAA)から取得、同年末から納入を開始した。 16年は部品の品質が安定しないなど生産体制が整わず、納入機数は23機だった。 18年は50―55機の納入を予定する。 米国工場での生産を段階的に増やし、19年以降は年80機の生産体制を目指す。 …(略)… 現在までのところ、小型ジェットとしてトップレベルの性能を保っている。 今後、ホンダジェットは欧米中心のビジネスから、アジアに軸足をかけて販売拡大をはかる。 収益の柱となる日は近そうだ。 ホンダジェットは初の世界一 MRJはまたトラブル。 なぜこうも違う? 開発へのアプローチと体制が対照的 2017年08月24日 ニュースイッチ
2018年02月28日
コメント(0)
最高速度、燃費性能、広く静かな室内空間などが評価され 欧州エアタクシー(フランス)がホンダジェットを採用。 飛行機を作るだけでなく、最新の安全基準を達成し、世界の空で飛ぶことができるのがすばらしい。 ホンダジェットは北米、欧州、中南米、東南アジア、中国で販売。 即ちそれらの国々の空を飛ぶことができる。 整備体制も整えている。 ホンダジェット、欧州エアタクシー社と基本合意 ―2018年第1四半期より納入 2018年2月13日 マイナビニュース ホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)は、シンガポールのチャンギ・エキシビション・センターで2月6~11日まで開催されたシンガポール・エアショーにおいて、フランスのエアタクシーサービス(小型ビジネスジェット機による短距離輸送サービス)提供会社であるWijet S.A.に複数機のHondaJetを販売する基本合意書を締結したことを発表した。 Wijet社は現在、15機のビジネスジェットを保有し、欧州と北アフリカにある約1,200の空港へのエアタクシー運航を行っている。 今回、HACIと基本合意書を交わし、複数機の HondaJetを購入し、保有機体のアップグレードを図ることで、より高品質なサービス提供を目指す。 HondaJetは2018年第1四半期(1月~3月)を皮切りに、2019年まで順次Wijet社に納入される予定となっている。 Wijet社のパトリック・ハーセント社長は、「私たちは選び抜かれた航空機により、安全で快適な最高のエアタクシーサービスを、適正価格で提供しています。 HondaJetはそのすべてのニーズを満たす優れた航空機です」とコメントしている。 …(略)… もちろん、「良い製品を作れば売れる」とばかりに、純国産にこだわった、三菱航空機への激励。 FAA、連邦航空局 (Federal Aviation Administration)型式証明を得ることを想定しないで開発・製造を始めた責任は重大。 軽く考えていたのか。 アメリカの空を飛べない旅客機は、国際商品として成立しない。 ホンダ風情(!)ができること、考え付くことを、航空の大三菱ができなかった。 チャレンジを続けてこそ、企業は成長する。 三菱重工は大型客船製造でも失敗。 10式戦車は大丈夫なのだろうか。 「日の丸ジェット」MRJ、業界再編で増す不安 パワー部門も逆風下の三菱重工に新たな試練 風間 直樹 : 東洋経済 記者 2018年2月13日 東洋経済 ONLINE
2018年02月24日
コメント(0)
全252件 (252件中 101-150件目)