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夏ももうすぐ終わりですね。さてこの時期なんですが、「このところ急に目がかゆくなった」という患者様が割と多いんですね。 実は今は、キク科・ブタクサ属の1年草であるブタクサ による花粉症の時期なのです。スギ・イネ・そしてこのブタクサが「世界3大花粉症」の原因で、日本でも花粉症の原因の第3位なのです。 テレビ等のマスコミでは何故かほとんど話題にならないのですが、夏というのは花粉症の多い時期なのです。有名なスギに次いで原因2位のイネ科の雑草(カモガヤ・イネなど)による花粉症が猛威をふるい、ようやくその季節が終わりに近づくと、次は残念ながらこのブタクサ花粉症の季節の始まりです。まさに、 花粉は続くよ、どこまでも。 なんですね。 目薬・内服薬で速やかに改善しますので、症状のある方は我慢せず早めにお近くの眼科専門医を受診されてくださいね。
2011.08.23
しばらく前にブログのコメント欄で、さおさんに「目薬を点した後、どうして1分ほど目を閉じておかないといけないの? 何の意味があるの?」という質問を戴きました。今日は、その質問について考えてみます。 目薬の点眼後に目を閉じた方が良い理由ですが、目薬が目頭にある涙点(るいてん)から流れ出て行かない様にするためです。涙点から目薬が流れ出ると、 1. 全身に成分が移行するので、目薬の内容によっては副作用を起こす危険性がある。(特に緑内障のお薬) 2. 肝心な目の中(角膜からの浸透)での濃度が薄まってしまい、目薬が期待される十分な効果を発揮出来ない恐れがある。 という、2つの問題点があるのです。 我々の目と言うのは、高速カメラで撮影して調べてみると、まばたきをするときには 「目尻側から目頭側へチャックを閉めるように閉じて行く」 ことによって、目の中の水分を涙点へと押し流していくようになっています。 ↑ これは、チモプトールという長年ベストセラーを続けている緑内障の名薬で、点眼後に、未処置(普通に瞬きをする)、閉瞼(へいけん:静かに目を閉じる)、涙のう部圧迫(目を閉じ、更に目頭の涙穴の部分を圧迫する)の3つに分けて、点眼成分がどれだけ血漿(けっしょう:要は血の中)に移行したかを見たグラフです。 このグラフからは大切なことがいくつか読み取れます。それは、 1. 点眼後にまばたきをすると、成分がかなり血の中(要するに全身)へ移行してしまう。これでは全身性の副作用が心配だし、目薬の濃度も下がってしまうので効果も下がってしまう。 2. 点眼後には、目を閉じるだけで(閉瞼)、目頭を押さえる(涙のう部圧迫)まではしなくても全身への移行はかなり防げている。患者様が目薬を貰うと、良く調剤薬局で「点眼後は5分ほど目を閉じ、更に涙穴を押さえてください」という指導をされると思うが、実際問題としては「忙しい日常生活の中で、目薬のためだけにそんな時間と手間なんかかけられるか!」というのが患者様の実感だろうし、 「点眼後は最低1分目を閉じておく」 くらいでもかなり大きな効果があると考えられる。 ということです。 以上をまとめると、目薬の点眼後は、 少しでも目を閉じてじっとする。そしてまばたきをしない。 ことが大切ということです。皆様も是非覚えておいて下さいね。
2011.08.19
今日は、にしわき眼科クリニック の診療体制について2つのお知らせがあります。 1つ目は、お盆休みのお知らせです。 今年のお盆休みは8月13日(土)から8月16日(火)となります。なお、8月17日(水)からは、通常診療・通常手術となります。 2つ目は、コンタクトレンズ処方に関するお願いです。 コンタクトレンズ処方については、以前からですが「初めてコンタクトレンズを使われる方(我々の業界用語では初コン)」は、診療終了時間の1時間半前まで、「使われたことのある方」は、診療終了時間の30分前までの受付とさせて頂いております。 以上、よろしくお願い申し上げます。
2011.08.08
今や日本の国民病とも言われる、緑内障。この緑内障で現在唯一その効果がはっきりしている治療法は「眼圧を下げる」ことだけなのですが、その治療には様々な系統の目薬が使われます。 現在、効果が最強とされているのは、「プロスタグランジン関連薬」と呼ばれる目薬です。具体的には、 上記の左から順番に、 日本が世界に誇る点眼薬メーカー参天製薬の自社開発で、副作用が少なくて瞳に優しいタプロス 効果長持ちでバランスとキレの良い、日本アルコン社の名作点眼薬のトラバタンズ そして1999年の発売が世界の緑内障治療を変えたと言われる、ファイザー社の歴史的名薬キサラタン 効果も、そして副作用も最強の「最後の切り札」的存在の千寿製薬のルミガン などがあるのですが、どのプロスタグランジン関連薬にも共通する「副作用」があります。具体的には、充血する、動物園に出かけたわけでもないのに目の周りがパンダみたいに黒くなる(色素沈着)、目薬がこぼれるとそこに毛が生える(養毛剤作用)あたりです。 そして、この副作用がイヤで点眼をやめてしまう患者様が後を立たないのですが、最近興味深い論文を見つけました。 「眼圧下降は、結膜充血の程度と強く相関する」というものです。この論文によると、 点眼後に充血する人ほど眼圧が良く下がっている、ということでした。 これは我々眼科専門医の臨床的実感とも良く一致します。また上記のルミガン点眼液という、現在緑内障点眼薬の中で効果最強の目薬が強烈に充血するのも、「なるほど、やっぱり。」と思わせるものがあります。 なので、緑内障でプロスタグランジン関連薬を使用されている患者様で充血が気になっている方は、 充血してると言うことは、薬がそれだけ効いているということだ と考えてみてくださいね。
2011.07.28
さて早いもので学会も最終日となりました。この日は、 角膜疾患と白内障手術、眼科IT化における進歩という2つのセッションに参加しました。 ただ、学会の最終日と言うのはいつもそうですが、空気が穏やかと言うか、寝ている参加者もいるというか、ちょっとのんびりした雰囲気が漂っているんですね。(笑) みんな博多の夜の激闘で疲れているのかもしれませんが、昨日の昼の「対決!フェイコマシーン」のセミナーのような激アツさはかけらもありません。 さて、最終日のセッションで勉強になったことを下にまとめておきます。例によって眼科専門医向けの内容です。 1. 角膜混濁眼で、拡散光で前嚢(ぜんのう:水晶体の表面の膜)が確認できなければ、白内障単独OPはするべきではない。 2. 外来では問診を重視し、問診内容を前提として「今日は○○なんですね。」という質問を投げ掛けてあげるほうが、患者様は話しやすい。 3. イニシャルコスト(初期投資)の10倍を5年で回収できなければ、その投資は経営的には失敗である。眼科分野では機械が高額な上に、その投資が十分にペイしているか考えていない診療所・病院が多いので、強く注意しないといけない。
2011.07.23
先日のことですが、「農作業中に右目をぶつけて真っ赤になった。」との訴えである患者様が来院されました。早速拝見すると、右目は結膜下出血といって表面の血管が切れて少し血が出ているだけで特に問題の無い状態でした。 「ついでに反対の目も診せて下さいね。」と言って左目を拝見すると、顕微鏡の視界に一瞬「黒い影」がよぎって消えました。 「うん!?、今、確かに何か黒いものが見えたぞ!」と思って下のまぶたを引っ張って調べてみると、、、、、、、 これは?、太いまつげ?、、、、、、 ところがじっと見ていると、、、、、、 なんとその「まつげ」がもぞもぞと視界から逃げていきます! 動いている! 良く見ると、、、、、、、 なんと「ヒル」が結膜(白目)に喰いついて血を吸いながら逃げ回っていたのです。ピンセットで逃げるヒルを追い掛け回し、必死の思いでやっつけて剥がしました。私は眼科医をもう10年以上していますが初めての経験でびっくりしました。「これは大変珍しいです。私は初めて見ました。ヒルが入って目の血を吸ってましたよ。」とお伝えすると、「そんなに珍しいものが入っていたんですかー。いやあ、取れて良かった。」と、患者様は大変喜ばれていました。 後で患者様に伺ってみると、「そういえば数日前に田んぼで作業をしていて何か左目にゴミが入った。」とのことでした。ヒルは目の中で血を吸いながら数日間も過ごしていたんですね。このように暑い季節になると、目の中には様々な異物が入り込みます。皆様も目にゴミが入って症状が改善しないときには、是非お近くの眼科専門医を気軽に早めに受診されて下さいね。
2011.06.23
さて今日の日記は、5月26日の 緑内障の方はなぜ定期的に視野検査をしなければならないのか? の続きです。まだご覧になっていない方は先にそちらをお読み下さい。 さて、緑内障患者様に頑張って定期的な視野検査をして頂くと、 上記のように緑内障の「進行具合」を示すグラフが作成できます。これをMDslope(エムディースロープ)と言います。MD値というのは年齢別の正常者との平均感度の差を数値化したもので、正常値は-2~2dB(デシベル)とされています。 緑内障が進行してくると、このMD値は段々マイナス方向に進んでいきます。分かりやすく単純化して言うと-2~-10dBまでが初期、-10~-20dBまでが中期、-20~-30dBまでが後期となります。 そしてこのMD値が-15dBを超えると視野障害で生活に不便が出てくるとされています。 ここで先ほどのMDslopeの話に戻ります。視野検査を複数回するとMD値が1年にどのくらい悪化しているか(=MDslope)が分かってきます。すると、その患者様が「いつ頃生活が不便になり始めて、いつ頃失明してしまうか」を推測することが出来るのです。 ↑ この患者様は40歳で、現在のMD値は-4dBと初期の緑内障です。このレベルでは自覚症状は全くありませんが、MDslopeが-1dBとかなり進行の早い緑内障です。このままの状態で病気が進行すると仮定すると、51歳で日常生活が不便になり始め66歳で残念ながら失明してしまう、ということになります。 我々眼科専門医は、常にそれぞれの患者様の現在のMD値とMDslopeを認識しながら日々の診療に当たっています。「大丈夫ですよ」と言うのは、「今くらいの進行具合ならまず間違いなく一生元気に目を使って頂ける」と判断していると言うことですし、「うーん、目薬を変更・追加しましょう」とか、「申し訳ない、これは緑内障の手術を検討しましょう」と言ったら、「このままの進行具合だとちょっと困るので、更に眼圧を下げてMDslopeの悪化を食い止めよう」という意味なのです。 このように、定期的な視野検査をすることによってこそ、それぞれの患者様にぴったりのオーダーメード感覚の安心な治療方針を決める事が出来るのです。ですので、緑内障の患者様は是非視野検査に頑張って取り組んでくださいね。
2011.06.16
当院では、患者様により親切で適切な応対を出来るように、定期的にスタッフ全員で接遇研修を行っています。 今日は外部講師を招いて、 お年寄りの疑似体験を通じて、高齢の患者様がクリニックの中でどういった部分に不便を感じ、それをどのように改善していくべきか、という検証の研修を行いました。 まずは体におもりを付けたり、利き手・利き足を使いにくくしたり、目を見えにくい状態にして、ご高齢の方の体の状態を再現します。 その上で、クリニックの入り口から入って実際に受付をし、待合室で待って、各種検査を受けて、診察室に入るという流れをシュミレートしていきます。 もちろん院長の私も実際に体験しました。 その後で、高齢者の方がどのような場面で不便を感じるか、どういった手助けが役立つのか、具体的な改善策にはどのようなものがあるのか?、などについて、スタッフ全員で討論を行いました。 これからも定期的にこのような研修を行い、クリニック全体の患者様へのより良い応対につなげて行きたいと考えています。
2011.06.13
今朝起きて何気なくテレビを付けると、 人気芸能人のオリラジの藤森さんが「流行性結膜炎」(テレビのテロップには少し間違いがあり、本当の病名は「流行性角結膜炎」です。)で休養というニュースが出ていました。 この「流行性角結膜炎(我々の業界用語ではEKC)」は俗に言う「はやり目」で、アデノウイルスというウイルスによって引き起こされ、目の強い充血・めやになどの激烈な症状が出ます。 感染力が非常に強く簡単に周囲の人に移ってしまうので、発症後1週間ほどは自宅で休養する必要があります。また睡眠不足などで免疫力が低下している時にはより感染しやすいので、藤森さんはきっと多忙を極めていたでしょうからこれを機にゆっくり休養されたら良いと思います。 さてこの流行性角結膜炎、実は原因のウイルスに直接効く目薬はありません。そのため炎症を抑える目薬と弱った状態の目に他の感染を起こさないようにするための抗菌の目薬を点眼しながら自分の力で治るのを待つしかないのですが、感染力がなくなった後に黒目(角膜)に濁りが残って視力低下やまぶしさなどの症状が続くこともあります。だからこそ、流行性「結膜炎」ではなく「角結膜炎」という病名が付いているのです。 ↑ これが実際の患者様の目の写真ですが、黒目(角膜)のど真ん中に白っぽい濁りが残ってしまい、視力も低下してしまっています。こうなると濁りを取るためにステロイドという切れの良い炎症を取る目薬をしばらくの間使わなくてはならなくなります。 なので、この「流行性角結膜炎」というのは決して甘く見ることは出来ない病気なのです。皆様も「目が赤い、めやにがひどい、治らない。」場合には必ずお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2011.06.09
「花粉症の時期も終わったはずなのに何故か目がかゆい!。おかしいなあ。」と言いながら、受診される患者様が今年も6月に入って激増しています。 おかしいことはありません。実は今は「世界3大花粉症」の一つ、「カモガヤ花粉症」のピークの時期なのです。潜在患者様は膨大な数に上るのですが、2~3月の有名な「スギ花粉症」の時とは違ってマスコミでもほとんど取り上げられないため、花粉症と知らずにじっと我慢している方が多いのが実情です。 このカモガヤというのは別名「オーチャードグラス」と呼ばれ、明治の初期に牧草として日本に輸入されました。きっと日本の気候に合っていたのでしょう、最初は北海道に輸入されたのですが、いつの間にか全国に野生化して広がったイネ科の植物です。 今の時期に「目がかゆい、鼻がムズムズする」という症状が出る方は、繁茂度と花粉飛散量がダントツのこの「カモガヤ花粉症」の可能性が高いです。オオアワガエリ、ハルガヤなどのアレルギーの場合もありますが、いずれもカモガヤと同じイネ科の植物です。 抗アレルギーの目薬・内服薬で症状は速やかに軽快することがほとんどですので、思い当たる方は是非気軽にお近くの眼科専門医を受診して下さいね。
2011.06.06
さて、発売前のデータで細菌性結膜炎・細菌性角膜炎への有効率がなんと驚異の「100%」と、まさに異次元の好成績だった期待の新型抗菌点眼剤の「スーパークラビット」こと1.5%クラビット点眼液ですが、ようやく本物の製剤見本を戴けたので、院長の私及び半数以上のスタッフでその実際のさし心地を試してみることにしました。 ↑ 従来の0.5%に較べて3倍の1.5%と濃度が高いせいか、やや黄色っぽい色調です。 実際に点眼してみると、、、、、、 「全然しみない。大丈夫。」 「0.5%のクラビット点眼液とさし心地は変わらない。」 「色が黄色なので、なんだか良く効きそう。」 「新薬と思って緊張して点眼したら、間違って口に入って苦かった。」 あたりがスタッフ及び私の感想でした。問題なさそうですね。 さてこの期待の新薬、1.5%クラビット点眼液ですが、実際に患者様に処方できるのは品薄が解消される6月20日前後になりそうです。待ち遠しいですね。
2011.06.03
「目やにが出る」などの症状に代表されるありふれた病気、結膜炎ですが、治療は抗菌点眼剤で行います。 この抗菌点眼剤には多くの種類があるのですが、現在国内で人気・売上No1なのは日本が世界に誇る点眼薬メーカー、参天製薬のクラビット点眼液0.5%です。このお薬は2000年に発売されたのですが、発売以来ずっとベストセラーを続けています。安全性が高く切れ味のよいバランスの良い薬で、総合力でなかなかこのクラビット点眼液を超えるものが出てこなかったからですね。そうでなければなかなか10年以上もベストセラーは続けられません。 さてそんな名薬のクラビット点眼液なんですが、来たる6月2日に濃度を3倍に上げた通称「スーパークラビット」、クラビット点眼液1.5%が発売になります。 この1.5%クラビット、臨床成績が凄いんですね。 ↑ 発売前の細菌性結膜炎・細菌性角膜炎への有効率はなんと「100%!」、私は今までたくさんの目薬を見てきましたが、有効率が100%というのは見たことがありません。圧倒的な濃度で様々なバイ菌をやっつけてくれる、頼もしい新薬です。 ↑ また、その効き目の早さも驚異的です。 この異次元とも言える臨床成績は1.5%という高濃度から来ています。ただ普通の抗菌剤を目薬にする場合にはここまで濃度を上げられないんですね。その理由は「溶けない」、「しみてとても点眼できない」などですが、大体0.3%とか0.5%とかそんなものです。クラビットというお薬が持つ元々の素姓の良さ、薬を目薬に仕上げる「溶かす」技術では世界一と言われる、発売元の参天製薬の技術力、それらが結集して誕生したのがこのスーパークラビット、クラビット点眼液1.5%なんですね。 ↑ これがその実物の見本です。ただ、中身の入っていない容器だけのもので、実際に点眼してみることは私も出来ていません。 このクラビット1.5%点眼液、発売前から注文殺到で超品薄とのことで、患者様に実際に処方できるのは6月下旬になるのではないか?とも言われています。どのくらいの効果を発揮してくれるのか?、眼科専門医としてとても楽しみにしています。
2011.05.27
緑内障の患者様と言うのは高齢化社会の進展と共に増える一方であり、当院でも多くの患者様を診せて頂いています。緑内障の状態を評価するためには「視野検査」というものが必要不可欠なのですが、これは暗い部屋で集中しながらボタンをピコピコ押すという非常に疲れる検査であり、患者様に大変不評です。 そのため私が「前回の検査から時間が経ったので、そろそろまた視野検査をさせて頂きたいのですが、、、、」と説明すると、「えーっ、あれまたしないといけないんですか? しんどいし、部屋が暗くてなんだか怖いしもうイヤなんですけど。」と良く言われてしまいます。 私も患者様に嫌がられるような検査はなるべくしたくありません。でも、この視野検査はどうしても定期的にさせて頂かなくてはならないものなのです。今日はその理由をお話しましょう。 緑内障と言うのは目の視神経が減っていくことによって視野(見える範囲)が欠けてくる病気です。我々人間は生まれたときにはこの視神経が大体120万本あるのですが、生きているだけで年に5000本は自然減があると言われています。緑内障の方は視神経が弱いので、放置していると年に1万本とか2万本減ります。そしてこの視神経が大体60万本を切ると視野検査で異常が出てきます。更に、残り10万本を切ると日常生活が非常に困難なレベルになると言われています。 緑内障と言う病気は一般的にいって進行は極めて緩やかなのですが、先ほど書いたように視神経には「自然減」がありますので、どうしても「ゆっくり」ではありますが、「確実に」進行します。そしてその最後の終着駅が「失明」であることは厳然たる事実なのです。 そうは言っても大切な患者様にそんなに簡単に失明されては我々眼科専門医もたまりません。そのため、定期的な視野検査によってそれぞれの患者様の「現在の状態」と「病気の進行具合」をしっかりと把握させて頂くことが極めて大切なのです。 次回は具体的に「定期的に視野検査をしていくとどのようなことが分かるのか?」を説明したいと思います。 (続く)
2011.05.26
さて開院3周年を記念して、地元八幡浜市の某所に新デザインの看板を立てました。 ちょっと意外な、そして少し考えると「あー、なるほど!」という所に立っていますので皆様是非探してみてください。 看板はこれで3本目なのですが、1本目、 そして2本目 とはかなり異なるデザインを採用しました。もしも両方の看板を見つけた方がいらっしゃいましたら、是非どちらが良いか感想を教えて下さいね。
2011.05.19
2種類以上の目薬を処方させて頂いている患者様から、「どうして点眼間隔を5分あけないといけないの? そんなのめんどくさいから、連ちゃんでちゃっちゃかちゃっちゃか点してるけどなにか悪いことでもあるの?」という質問を良く戴きます。 この質問の前提として、まず私は眼科専門医として「できるだけ処方する目薬の種類を減らす」ことを心がけています。出来れば絶対に必要な1種類だけ、ダメなら2種類、それで無理なら1増1減でやっぱり2種類、それでもどうしても無理ならやむを得ず3種類、そのあたりが限界だと思っています。患者様は目薬を点眼するためだけに日々を生活しているわけではないですし、点眼の種類が増えるとどうしても確実にさせなくなるからです。 さて最初の質問の話に戻りますが、点眼間隔を5分空けなくてはならない理由は、「先にさした目薬が後からさした目薬で洗い流されてしまって効かなくなるから」です。 上の図を見ると分かるように、もしも1分間隔で目薬を点すと最初に点した方は60%くらいしか効かない、というデータがあります。 専門的に言うと、目薬の目の表面(結膜嚢:けつまくのう)からの消失時間は一般的に2分と言われています。なので点眼間隔は最低2分空ければまあ大丈夫なのですが、目薬同士の相互作用を防ぐために、念のために「5分」というお願いを我々眼科専門医はしているわけです。(一部の緑内障薬では10分以上の点眼間隔が必要なものもあります。) なので、2種類以上の目薬を同時に使用するときは「最低2分、できれば5分」と覚えて置いてくださいね。
2011.05.15
スギ花粉によるアレルギー性結膜炎はようやくピークを過ぎて下火になりましたが、「スギ花粉の時期はどうもなかったのに、最近になって目がめちゃくちゃかゆい」という患者様が結構な頻度で来院されています。 これがどうも、中国からの黄砂(こうさ)によるものなのではないか?と個人的に思っています。黄砂は中国大陸内陸部の砂漠の土壌や鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛んでくるものなのですが、この黄砂、石英や長石などの造岩鉱物や、雲母・カオリナイト・緑泥石などの粘土鉱物だけではなく、アンモニウムイオン、硫酸イオンなどの中国の大気汚染物質をたんまり含んでいると言われています。 この黄砂の飛来と一致してアレルギー性鼻炎の患者様の70%が自覚症状が悪化したという報告もあり、日本ではまだあまり「黄砂によるアレルギー性結膜炎」の報告例がないのですが、実際にはこの黄砂によるアレルギーが激増しているのではないか?と推測しています。 なので、黄砂が良く飛んでいる日に目がかゆくなったら、アレルギーが出ていないかどうか是非お近くの眼科専門医で相談してみて下さいね。
2011.05.10
当院は本日5月7日で開院3周年を迎えることができました。 開院以来、多くの患者様に御来院戴けたことに心から感謝しています。また開院時のオープニングスタッフは今でも変わらず同じメンバーで働いてくれていますし、この3年間学会出張以外では一日も休診せずに楽しく診療を続けることが出来たことも本当に嬉しく思っています。 さて今日は3周年ですので、今までのクリニックの歴史を写真と共に少し振り返ってみたいと思います。 ↑ これは2007年11月の写真です。まだ完全に更地ですね。 ↑ 地鎮祭をしています。 ↑ これは2008年5月の開院時の写真です。 ↑ 壁面緑化を目指して植えたツタもまだひよひよです。最初はこんなに赤茶けていたんですね。 ↑ これは2009年5月、開院1周年時の写真です。ツタがまだあまり伸びていないですね。 ↑ そしてこれが、2011年5月現在の写真です。かなり壁面緑化が進んできていますね。 これからも日々成長しているツタのように眼科専門医としての毎日の鍛錬を欠かさず、八幡浜地域の皆様に安全で快適な最新の眼科医療を提供できるように、精進して行きたいと気持ちを新たにしています。
2011.05.07
楽しいゴールデンウィークが近づいてきましたね。ただ、活動的になり目の怪我も増えてくる時期ですので皆様十分に御注意下さい。 さて、当院のゴールデンウィーク中の診療日ですが、 上記のようになっています。簡単に言うと「カレンダー通り」ということです。よろしくお願い致します。
2011.04.27
さて大変勉強になった第5回四国EYEランドセミナーですが、その中では正しいコンタクトレンズケアについての講演もありました。 1DAYタイプの使い捨て以外のソフトコンタクトレンズを使用されている方は毎日のレンズケアが必要です。 ケアでは上記の5つがポイントなのですが、その中でも一番大切なのは、 [コンタクトを目に入れる直前のすすぎである] という話が印象に残りました。これが感染予防の最後の防波堤になるわけで、言われて見れば当たり前なのですが、私自身これまで患者様に十分にお伝えできていませんでした。今後気を付けたいと思います。 ところで、コンタクトレンズケアには市販のMPS(マルチ パーパス ソリューション=洗浄から保存まで1本でできる消毒液)というものを使用するわけですが、 実は商品の説明書というのは各社バラバラなんですね。レンズの「こすり洗い」の必要性はどの商品にも書いてあるのですが、上記の装着直前のすすぎの必要性については書いていない会社もあるんですね。 ↑ 実際、あるMPSでは堂々と「レンズはすすがずにそのまま装用できます」と説明書に書いてありますが、これは間違いなんですね。各社のMPSの説明書は早急な改善が必要だと感じています。 さて以上で「第5回四国EYEランドセミナー」体験記は終了です。次回からはまた通常の日記に戻ります。
2011.04.25
さて第5回四国EYEランドセミナーで勉強になった話の個人的メモ書きを続けます。 セミナーでは花粉症に代表される「アレルギー性結膜炎」の治療の最近の話題があったのですが、これが大変勉強になりました。 治療では副作用が少ない「抗アレルギー点眼薬」が第一選択なのですが、その中にはたくさんの目薬があります。 現在治療の主流になっているのは、即効性があって効き目を実感しやすい「ヒスタミンH1拮抗薬」なのですが、この中にはザジデン、リボスチン、パタノールの3種類があります。この中でザジデンは最近はドラッグストアでも買える様になりましたが、この目薬はpHが酸性でかなりしみるという欠点があります。最新のパタノール点眼液はpHが中性で点眼しやすくまた効果も抜群です。改めて全ての目薬の利点・欠点を復習できて良かったです。 さて話は変わりますが、アレルギー性結膜炎の中には重症型の「春季カタル」という病気があります。 こういった重症の患者様には普通の抗アレルギー点眼薬では歯が立たず、切れ味は鋭いけれども眼圧上昇や感染症誘発の危険のあるステロイド点眼液を使用せざるを得なかったのですが、2010年8月に免疫抑制剤のタリムス点眼液が我々一般眼科医も処方出来るようになりました。(それまでは特別に許可のある施設でしか使えませんでした) このお薬は副作用もありますがとにかく効果が抜群です。当院でもすでに採用しています。新しい武器を得て、これからのアレルギー性結膜疾患治療はよりきめ細やか、かつ確実・安全になるだろうと感じています。
2011.04.19
さてここからは、第5回四国アイランドセミナーで印象に残った話を自分のメモ代わりにいくつか書いていきます。 毎日の診療をしていて頻繁に出会う病気に「ぶどう膜炎」という病気があります。 これは「目の中に炎症を起こす病気」の総称で、皆様にはあまり馴染みがない名前でしょうが、その患者様の総数は膨大です。 ところがこの「ぶどう膜炎」、実は我々眼科専門医の悩みの種なのです。というのは、「どんなに頑張っても病名の診断にたどり着けない」ことも多く、また一部に「予後不良の疾患がある」からなんですね。 ↑ これがぶどう膜炎の患者様の内訳です。サルコイドーシス、原田病、ベーチェット病というのが、我々の業界用語で言ういわゆる「3大ぶどう膜炎」なのですが、この3つを足しても全体の25%にしかならず、後は多くの無数の病気が隠れているのです。そして、どんなに様々な検査を繰り返しても半分の50%は「同定不能」で、病名の診断に至らないのが現状なのです。 そのためこの「ぶどう膜炎」の診断と治療は良く、「推理小説と同じ」とも例えられます。限られた証拠、刻々と移り変わる症状、お出しした薬に対する患者様の目の反応、それらの全てを総合しながら、我々眼科専門医は探偵の如くこのぶどう膜炎と戦っているのです。 さてこのぶどう膜炎ですが、「3大ぶどう膜炎」の一つの「ベーチェット病」において近年画期的な治療の進歩がありました。ベーチェット病は1937年にトルコの名門、イスタンブール大学のベーチェット博士が発見した病気です。 口の中の潰瘍、皮膚の炎症症状、外陰部の潰瘍、そして急性症状を繰り返しながら悪化していく目のぶどう膜炎症状の4つが主症状なのですが、予後不良なことが多く以前から恐れられてきました。 このベーチェット病、トルコと同じ緯度のシルクロード沿いに多く(別名シルクロード病)、そのため日本にも多くの患者様がいらっしゃいます。しばらく前には人気グループのEXILEのメンバーの方がこの病気であることを告白して大きな話題にもなりました。 特効薬のない病気であり我々眼科専門医は苦労しながら治療をしていたのですが、最近になってレミケード(抗TNF-αモノクローナル抗体)という新薬が開発され、これが劇的に効くことからベーチェット病の治療は驚異的な進歩を遂げました。 「ぶどう膜炎の診断・治療は相変わらず困難だけど、それでも着実に進歩しているんだな」、そう実感できた今回のセミナーでした。
2011.04.15
4月2日(土)の午後から3日(日)にかけて香川県高松市で行われた、眼科医トレーニング講座(日本を代表する眼科医12人による40分×12コマの集中講義)の「第5回四国EYEランドセミナー」に参加してきました。 このセミナー、私は3回連続で参加したのですが、 非常に勉強になるんですね。来年の第6回も開催が決定していますので、今年行かれなかった先生方には強力にお勧めしたいと考えています。 セミナー開始は午後の3時だったのですが、私が土曜日の外来を終了したのは0時15分、私のクリニックのある愛媛県八幡浜市から会場の香川県高松市の「ホテルクレメント高松」 までは230キロの道のりです。隣町の大洲市までは高速道路がないこともあり、どうしても物理的にセミナー開始には間に合わないんですね。今年も残念ながら少し遅刻してしまいました。 さて、このセミナーはとってもためになるのでたくさんの眼科医が来ていました。四国だけではなく遠くは京都から来た先生もいるそうです。次回からはセミナーで印象に残った話を少ししてみたいと思っています。(続く)
2011.04.14
昨年が猛暑だったせいでスギの花粉飛散量が多いこともあり、今年はまだまだ花粉症が猛威をふるっています。そのため「目のかゆみ」を訴えられて受診される患者様が本当に多いのですが、良く戴く質問に「目がかゆくてどうしようもなくて、かつ夜とか休日で眼科が開いていない時に、ドラッグストアでどの目薬を買ったらいいのか?」というものがあります。 ドラッグストアに行くと、「花粉症対策」の目薬というのはたくさん売っています。どれが効くのか?、値段の割りに効果が高いのはどれなのか?、商品の山を前に腕組みして悩まれる方も多いでしょう。 そこで今日は私がその答えをズバリとお教えしましょう。「目がかゆいとき」にドラッグストアで買うべき目薬、それは、、、、 ザジデン点眼薬 です。ちょっと高いですが市販薬の中では抜群に効きます。 その理由は簡単です。それは市販薬の中でこのザジデン点眼薬のみが、かゆみに即効性を持つ抗ヒスタミン作用のある、「ヒスタミンH1受容体拮抗薬」だからです。このザジデン以外の市販の目薬は「細胞膜安定化作用薬」といって、即効性が望めないお薬なのです。 このザジデン点眼薬は、我々眼科専門医が臨床の現場で現在でも使用しているお薬の一つでありその効果は抜群です。ただその販売にあたっては様々な注意が必要なことから「第1類医薬品」に分類されています。なので、実際の購入に当たっては薬剤師の先生と良く相談してくださいね。
2011.04.10
さて当院では現在、角膜形状測定装置の TMS4Advance (ティーエムエス4アドヴァンス)という機械を販売元のトーメー社の御好意でデモ中です。 このTMSと言う機械は角膜(黒目)の形を調べるもので、円錐角膜、角膜不正乱視の診断、また白内障術後の角膜乱視の評価等に役立つ非常に有用なものです。 TMS「4」というくらいなので昔は多分「1」からスタートしたのだろうと思います。私は以前勤務していた病院にTMS「2」があって使用していたのですが、この4は2に較べるとオートショットで簡単に確実にかつスピーディーに測定できるようになっていてちょっとびっくりしています。技術の進歩と言うのは本当に凄いですね。 ところでこの機械の製造・販売元のトーメーコーポレーションは名古屋の会社なのですが、機械に○○○Advance(アドヴァンス:進歩、上達くらいの意味)という名前を付けるのが大好きです。 そういえば私が先日購入した白内障術前の検査機械もOA-1000「Advance」という名前でした。私も名古屋出身なので良く分かるのですが、名古屋と言うのは「おまけ文化」があるんですね。喫茶店に行けば朝から大サービスでモーニングでお腹一杯食べられますし、サービス精神旺盛な土地柄なんですね。 これはつまり、「元々良い機械だったけど、更に良くなっとるんで(=advance)買ってくれる?」というトーメー社の無意識の現れでしょう。名古屋地盤の会社らしくて非常に好感が持てますね。もちろんその名に恥じないくらいこのTMS4Advance、素晴らしい機械と思います。これから実際に使用させて頂けるのが嬉しいですね。
2011.04.02
さて大変勉強になった「眼科診療アップデートセミナー2011 in 京都」ですが、最も印象に残ったのが緑内障の講義でした。 この日記でも緑内障の診断にOCT(3次元眼底撮像装置)と言う機械が抜群の威力を発揮することは何度も書いてきましたし、当院でも今年度、既に日本のトプコン社の 「3D OCT-2000」 という名機を導入済みですが、 今回もこのOCTについての講義がありました。 中でも非常に印象に残ったのが、「OCTの利用率を上げるのが大事」という話でした。これはなるべく多くの患者様に一度はOCT検査を受けて戴くことが大切ということです。 何故かと言うと、緑内障の方の視神経というのは極めてバラエティに富んでいるので、眼底(目の底)を我々眼科専門医が見ても「緑内障があるかないかはっきりしない。黒か白か良く分からない。」ということが正直頻繁にあるからです。そういった場合にOCTを撮ると、診断の助けになる多くの情報が得られるんですね。 ↑ 例えばこの患者様は、目の神経を見ただけでははっきりとした緑内障はありませんが、OCT検査では異常がバッチリと検出されています。 ↑ また、この患者様はまだ視野検査では異常は全くありませんが、OCTでは初期の異常が鋭敏に捉えられています。 更にOCTは、上記のような「紛らわしい症例」だけに役立つわけではありません。 ↑ これは全く正常の患者様ですが、OCTを撮ると、「あなたは視神経が完全に正常で、つやつや元気なので絶対に大丈夫です。」と確信を持って説明できます。これは凄いことなんですね。 ↑ また、これは中等度に進行した緑内障の患者様ですが、OCTを撮ると目の神経の下側が元気なので将来的には上側の視野は長く残るし、まだまだ目の神経に余力があることが分かります。つまり、 「予後の予測」が出来る んですね。 このようにいまやOCTというのは、緑内障の診断のためには必要不可欠な機械になっているのです。講師の先生は日本を代表する緑内障治療の大家でしたが、 「もう、私達緑内障専門医よりもOCTの方が正確な部分もあるんだよね。」とポツリとつぶやかれていたのがとても印象に残りました。 緑内障の診断が我々眼科専門医の経験と勘に頼っていた時代は終わりました。 いまやOCT無しには緑内障診断の暗い夜道を歩くことは出来ない、いやむしろ歩いてはいけない時代 になったのです。 私はこの時代の変化に即応するため、自らのOCT読解技術をより上げることに全力を注いでいます。そのため昨年の12月にも大阪で第一回OCTセミナーに参加し、また今月も東京での第二回OCTセミナーに参加を予定していましたが、それは残念ながら東日本大地震の影響で延期となりました。 これからも進化の早い眼科医療のスピードに負けないように、毎日しっかり勉強していこうと思っています。
2011.03.20
さて3月4日から5日にかけて行われた、「眼科診療アップデートセミナー2011 in 京都」体験記の続きです。 3月5日の土曜日は朝早起きして少し京都観光をしました。今まで行ったことがなかった「国宝三十三間堂」に立ち寄ったのですが、 歴史の重みと迫力を感じる、数百年の昔にタイムスリップしたような錯覚に囚われる、重厚な空間でした。 その後はいよいよ待望のセミナー開始です。会場は「ウェスティン都ホテル京都」でした。落ち着くいいホテルでしたね。 会場はホテルの大きな会議室の一つでした。 豪華な講師陣を誇るプレミアム感の溢れるセミナー(参加費も30000円と超高額!)なので、会場は多くの眼科医で大入りです。 私は会場の最前列に座り、極限の集中力を持ってセミナーに臨みます。 いよいよセミナーが始まります。 (続く)
2011.03.16
さて学会の楽しみの一つはランチョンセミナーです。これは「お弁当を食べながら講演で勉強できる」一石二鳥の楽しい時間なのですが、この日のランチョンは、 緑内障管理のセミナーを選択しました。 上品なお弁当でとっても美味しかったです。というか、学会場で食べる御飯と言うのは「飛行機の機内食」みたいな感じでちょっとわくわくして常に旨いんですね。 肝心のセミナー内容ですが、視野検査機械使用時の注意点(30-2という通常のプログラム以外にたまに10-2という中心視野を調べるモードも入れないと、初期の緑内障そのものや緑内障の進行を見逃すことがある)や、検査結果の細かい見方を教えてくれるもので、非常に役立ちました。 あと、講師の女性の先生がゆっくりとした口調で分かりやすく話されていたのが非常に印象的でした。私は外来中忙しくなってくるとつい早口になってしまう悪い癖があるので、これから気をつけなくてはいけないな、と感じました。
2011.02.03
今週号のフライデーを本屋さんで立ち読みしていると、 現役眼科医が告発する! 「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」の問題 使い捨てコンタクトに「シャンプー成分混入と異常形状」 なる記事が載っていました。 記事の内容は、「トゥルーアイが目にしみるという訴えが多いので、ある現役眼科医が化学分析をしてみたら、製造ライン改修後で問題が無いはずのレンズにシャンプー成分が入っていた!」というものでした。 この「ワンデーアキュビュー・トゥルーアイ」 は 世界初のシリコーンハイドロゲル素材の1日使い捨てコンタクトレンズで、従来型のコンタクトレンズに較べて驚異的に高い酸素透過性を誇る「究極のレンズ」です。私は患者様にもお勧めしていますし、自分自身でも毎日実際に使用してもいます。 競合他社は今のところこの「シリコーンハイドロゲル素材の1日使い捨てタイプ」ではまったく追随することが出来ず、製造元のJ&J社の技術力の高さをまざまざと見せつける形になっています。 ところが、この「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」、我々眼科専門医の高い期待を裏切るような商品の自主回収が続き(現在までに2回)、また製造ライン改修のため、今でも度数によっては生産中止の状態が続いています。 安定・安全供給さえされれば、この「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」に勝てるコンタクトレンズは現状存在しないと率直に言って思います。だからこそ、J&J社には更なる情報提供の徹底と安全性の向上を望みたいと考えています。
2011.01.29
さて昨年の12月13日の発売以来、今日までで当院でも2000本以上を処方させて頂いた「ドライアイ」の画期的な新薬ジクアス点眼液ですが、 たくさんの患者様からその使用感を教えて頂き、また処方後の目の状態を診せて頂くことによって「ジクアス点眼液の長所と短所」がかなり見えてきました。 まず第一に言えることは、ジクアス点眼液は従来型のヒアルロン酸の点眼薬(商品名で言うとヒアレインやティアバランス)よりも明らかに効果が強い、目の表面の傷を改善する力が高い、ということです。やはり15年振りの待望の新薬だっただけのことはあります。 そして次に言えることは、その高い臨床的効果を背景にして患者様の「自覚症状」が改善する場合が非常に多いと言うことです。それは具体的には、 ジクアス点眼を始めてから、明らかに目の調子が良くなった。 パソコンをするときに目がほとんど疲れなくなった。 本が読みやすくなった。 点眼してしばらくすると目が元気になる。 目が常に潤っている感じで視力が良くなった気がする。 などの患者様からの喜びの声で分かります。従来型のヒアルロン酸の目薬では、ここまではっきりした明白な評価を戴ける事はほとんどなかったので、やはり「ジクアスは凄いな」と思います。 その反面、「ジクアスが合わない」患者様も一定の率で存在することも分かってきました。合わない患者様は、 ジクアスさしたら涙が出っ放しになって仕事にならない。 常に泣いてるみたいで目がウルウルになってしまい、本も読めない、テレビも見れない。 涙が出るので気にして目を触っていたら周りが腫れた。 うまく言えないが良くない。前のヒアルロン酸の目薬の方がサラッとしていて良い。 などと仰います。10人処方させて頂くと1人くらいが合わない、という印象です。 ジクアスはその薬理作用上、目の細胞からの水分とムチンという物質の分泌を促進しますので、点眼して「涙が出る」というのはある意味当然なのですが、どうやら「効きすぎる」患者様がいるようなんですね。 そういった患者様に関しては、点眼回数を絞る、従来型の点眼に戻す、などの対処をしていますが、これからも更に勉強を重ねてより精度の高いドライアイ治療を目指して行きたいと考えています。
2011.01.24
目のかゆーい、花粉症。その代表例が2月上旬に飛び始めるスギ花粉によるものなのですが、 どうもわずかですが、そのスギ花粉がここ愛媛県八幡浜市でも飛び始めているようです。「急に目が痒くなった」という患者様がポツポツ来院されているんですね。 昨年が記録的な猛暑だったので、「夏が暑いと翌年の花粉が多い」の原則通り今年は半端ない量のスギ花粉が飛ぶと考えられます。治療開始が早い方が症状が軽くて済みますので、花粉症の方は早めの受診をお願い致します。 ちなみにこの花粉症、「それまで毎年なんとも無かったのに、ある日突然発症する。」ことがあります。私はこの現象をいつも、 「恋と花粉症はある日突然訪れる」 と患者様に説明しています。(笑) まあいずれにせよ今は良いお薬がたくさんありますので、よほどのことがない限りは来院戴ければ症状は改善します。ご心配なく。
2011.01.22
さて当院ではさまざまな病気の診断・治療に大きな威力を発揮する、OCT(Optical Coherence Tomography: 光干渉断層計)という新しい検査機械である、日本のトプコン社の「3D OCT-2000」というマシンを導入しているのですが、 この3D OCT-2000を今週バージョンアップして貰いました。 3D OCT-2000は、OCT画像と同時に通常の眼底写真も撮ってくれて、実際の眼底写真とOCT画像を同時に見て戴きながら分かりやすく病状を説明することが出来るので患者様に大好評であること・マシン本体がスタイリッシュで非常にコンパクトなこと・タッチパネルの操作性が抜群なこと・各撮影モードがしっかりと作りこまれていること、と多くの長所があるのですが、その反面、 1. 目の視神経の形状を調べる「サークル」モードでの視神経乳頭のオートでの検出率が非常に悪い。 2. 多機能すぎてマシンに内蔵されているコンピューターに負担がかかり過ぎるためか、ガンガン使っていると突然フリーズすることが良くある。 という欠点も抱えていました。 今回のバージョンアップでは上記の1の欠点が、「視神経を一度見つけるとロックして追いかけて撮影する」という「Disc Lock」機能が新規搭載されたことによりほぼ消失しました。 わざとずらして撮影しても視神経を正確に検出してくれるぐらいにレベルアップしており、これで撮影の成功率は100%にかなり近いところまで来ました。(従来のモードでは成功率はせいぜい70%くらいでした) 今回のバージョンアップは率直に言ってもの凄い進化だったと思います。トプコン開発陣のこの3D OCT-2000に賭ける情熱を感じました。私も機械の進歩に負けないようにOCT読解力を鍛えて行きたいと考えています。
2011.01.12
1月28日(金)~1月30日(日)に京都で開催される、第34回日本眼科手術学界総会 出席のため、1月28日(金)の午後、及び1月29日(土)は臨時休診とさせて頂きます。 私の専門は白内障手術なのですが、白内障手術機械のこの数年の進化には目覚しいものがあります。また細かな手術道具・手技なども技術革新により少しずつ進歩しています。手術学会でしっかり最先端の眼科手術レベルを学んでくるつもりですので、ご了承の程よろしくお願い申し上げます。
2011.01.11
新年明けましておめでとう御座います。今年2011年も進化の激しい眼科医療のスピードに負けないように毎日の勉強を欠かさず、全国レベルの眼科医療をここ八幡浜地域の皆様にお届けできるように頑張ります。 学会出張による臨時休診で皆様に御迷惑をかけることがあるかもしれませんが、常に最先端の臨床・研究を学び続けることは眼科専門医として非常に大切なことですので御了承下さい。 なお、新年は本日1月4日より通常診療を開始しております。(白内障手術は明日1月5日からです) それでは皆様、今年も にしわき眼科クリニック をよろしくお願い申し上げます。
2011.01.04
当院の年内の診療は、12月28日(火曜日)の午前中までとなります。 なお、12月28日午後から来年の1月3日までは休診とさせて頂き、新年は1月4日から通常診療致します。手術開始は1月5日です。 この1年間、たくさんの患者様に御来院戴けたことに感謝しています。来年もスタッフ一同笑顔を絶やさず、努力を怠らず頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。
2010.12.27
さて今日は先日のOCTアップデートセミナーのお話(12月19・20日の日記)の続きです。 緑内障と言うのは、視野(見える範囲)がだんだん欠けてきて最期には失明してしまうこともある大変怖い病気ですが、初期の頃は視野に異常が出ないのでなかなか早期で診断できません。 ↑ これは良く緑内障の教科書にでてくる有名な図なのですが、緑内障というのは視野に異常が出るかなり以前に、最初にGCC(網膜内層厚)というものが減ると言われています。 そして最新のOCTはこの「GCC」の減少を検出できるため緑内障診断に非常に有用なのです。特に当院で採用しているトプコン社の3D OCT-2000は、 このGCCの中でも特に初期の緑内障検出に有用とされる「GCL(神経節細胞層)+IPL(内網状層)」のみを抜き出して調べることが出来るので、早期の緑内障診断に抜群の力を発揮します。 ところがこのOCT、実際にはまだまだ発展途上の機械なので、検査データをどう読むか? これは本当に異常所見なのか? など、その読解にはなかなか難しい面があります。 セミナーでは、この「読み取りに悩んでいた部分」について専門の先生に直接質問して謎を解くことができて良かったです。 このOCT、開業医レベルで見れば全国的にはまだまだ普及していないのですが、最近ではデータの読み取り方が「眼科専門医認定試験」にも出題されるくらいで、 OCTに精通していることは眼科専門医としての必要条件になりつつあります。私はこれからも毎日勉強を重ね、常に全国レベルの眼科医療を八幡浜地域の皆様に提供して行きたいと考えています。
2010.12.24
さて12月13日に新発売となった、日本人の国民病「ドライアイ」をその根元から改善する画期的な新薬ジクアス点眼液ですが、 発売10日間でおよそ200名ほどの患者様に処方させて戴きました。その内2名は「ジクアスは充血する。従来型のヒアルロン酸の目薬の方が良かった」、「なんか点眼すると目の奥がカーッとなって良くなかった」とのことで元のお薬に変更しましたが、殆どの方には大好評でした。 臨床的には、ジクアス点眼液を使うと目の表面の傷がやはり少なくなるようです。患者様からの感想は、 従来型のヒアルロン酸の目薬は点眼すると「ギスギス」する感じがしたが、ジクアスは「柔らかい」感じがしてとっても良かった。 ジクアスを始めてから、明らかに目の調子が良くなった。 パソコンをするときに目が疲れなくなった。 点眼してしばらくすると目が元気になる。 今までの目薬は「あっ、そろそろささなきゃ」と思って義務感から使っていたが、ジクアスは自分からさしたくなる。 目が常に潤っている感じで視力が良くなった気がする。 いっぱい使いたいので今度は20本ほど欲しい!(→新薬なので処方制限がありそれは無理です)。 など、おおむね大好評でした。 このような力のあるドライアイ新薬を手に入れることが出来て、眼科専門医として本当に嬉しく思っています。参天製薬、やはり実力のあるメーカーですね。
2010.12.22
さて先日の日記の続きです。このセミナーは参加費がなんと3万円という超高額でした。そのためか参加者の方々も「絶対に元を取るぞ」と言う感じで会場には熱気があり、もちろん私も気合十分で臨みました。会場の最前列のど真ん中の席に座って集中して勉強し、疑問点は講師の先生に直接質問もしました。また、帰宅後はテキストを何度も読み返して大切なところは全て暗記しました。そのためセミナー参加前と較べると、OCT読解力が一段階上がったと自分では感じています。 今日は、「具体的にどんなことを学んできたのか」を少しお話してみます。 OCTというのは、最近Spectral domain(スペクトラル ドメイン)という方式になって、飛躍的な能力の進歩を遂げました。 ただこのOCTというのは「反射波のみが情報になる」という特性があるので、その読解には原理の理解が必要です。 セミナーでは、なかなか読みきりにくい目の網膜(もうまく)断層像の分かりやすい説明があり、非常に勉強になりました。 OCTは以前には、上記のように「網膜」の病変を調べる機械だったのですが、近年の進歩でそれ以上に「緑内障」診断にとって有用なツールへと変貌してきています。次回は、OCTがどのように緑内障診断に役立つのか?について書いてみたいと思っています。(続く)
2010.12.20
先週のお話になるのですが、大阪市で行われた「第1回OCTアップデートセミナー」という勉強会に参加してきました。OCTについてはこの日記でも何度か取り上げていますが、近年飛躍的な進歩を遂げた3次元眼底撮像装置であり、今や毎日の眼科診療に欠かせないものとなっています。そのため当院でもトプコン社の「3D OCT-2000」という機械を採用しています。 さて、このOCTアップデートセミナー、梅田ステラホールというところで行われました。会場の外は、 クリスマスイベントで華やいだ雰囲気でした。 肝心のセミナーの内容は、朝から夕方まで一流の講師陣の元OCTについてびっしり学ぶというもので、本当に勉強になりました。次回は、具体的に何を学んできたのか少しお話してみたいと思います。(続く)
2010.12.19
つい先日のニュースで、お笑いコンビ「ガレッジセール」の川田さんが流行性角結膜炎にかかり10日ほど休養してようやく復帰したことが話題になりましたが、実は私の地元愛媛県八幡浜市でもこの流行性角結膜炎、いわゆる「流行り目」の患者様が激増しています。 当院でも毎日数人は検査で陽性の患者様が出る感じで、「とにかく多い」という印象です。 この流行り目 アデノウイルスによって引き起こされるのですが、症状も感染力も非常に強いので、確定診断された場合は周りの人への感染を予防するために会社や学校は一週間程度はお休みして頂く必要があります。 上の写真を見て「あっ、私の目みたいだ!」と思った方は、すぐにお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2010.12.18
当院では待合室の一角にティーサーバーを設置しています。 上煎茶、玄米茶、ウーロン茶、グレープフルーツウォーターなど、4種類のドリンクがコールド、ホットで楽しめて患者様から大変ご好評を戴いています。 それ以外に、診察までの待ち時間のために各種のあめ玉も用意しているのですが、あめ玉はお子様には好評なものの、大人の患者様にはそれほど利用して戴けず、私は「何か、お茶に合うようないいアイテムはないかな?」とずっと考え続けてきました。 しばらく前に岡山県の高速道路でたまたまサービスエリアに寄ったのですが、その時に「まろやか干し梅」というものが売っていました。 愛媛県のスーパーでは見たことがなかったのですが、これが食べてびっくり!。 滅茶苦茶美味しくて、お茶にぴったり。 梅に味付けし、天日で干したものを種を抜いて仕上げた干し梅なんですが、種が無くて食べやすい上に、梅の旨みやしょっぱさ、自然な甘みが口の中で広がって抜群にうまいんですね。一つ食べたら絶対もう一つ食べたくなる抜群の味わいです。 そのため、患者様にもきっと喜んで戴けるだろうと思って、実験的にティーサーバーの横に置いてみました。 皆様も是非一度試してみて下さいね。
2010.12.10
さて、来週にはいよいよ世界初の画期的な効き目を持つドライアイの超大型新薬、ジクアス点眼液が参天製薬から発売になるわけですが、実はライバルの大塚製薬からもドライアイの新薬が出ます。ただこちらは発売はまだしばらく先になりそうですが。 大塚製薬は医薬品や食料品を製造販売し、「ポカリスエット」、「カロリーメイト」、「ソイジョイ」などで一般の知名度も高い会社で、もうすぐ株式を公開することでも最近話題ですが、ドライアイ治療剤「ムコスタ点眼液」(一般名レバミピド)の製造販売承認申請を行ったと、11月9日に自社HPニュースリリースにおいて 発表 しました。 涙には「油層・水層・ムチン層」という3つの層があります。その中の1つ「ムチン層」は、一番内側に存在する層であり、角結膜(黒目と白目)の表面を覆って涙液層を親水性にして、目を乾燥から守るバリアの役割をしています。 涙のムチン量が減少することでムチン層を覆う水層が不安定になってしまい、ドライアイ発症原因となります。『ムコスタ点眼液』は、角膜や結膜ムチンの産生を促すことによって涙の安定性を図り、ドライアイに治療効果をもたらす点眼液です。 このムコスタ点眼液、まだ発売前ですが、私はまず間違いなく名薬だろうと思っています。 というのは、『ムコスタ点眼液』の有効成分「レバミピド」は大塚製薬が自社開発したもので、内服薬としてはずいぶん以前から発売されています。そして、胃潰瘍や胃粘膜病変に抜群な効果を発揮するベストセラー薬として知られています。 内服で良い薬は、点眼薬になっても良い。 これはほぼ外れたことのない、目薬の法則なのです。ジクアス点眼液に続いて、ムコスタ点眼液が発売になれば、日本のドライアイ治療はより進歩することになるでしょう。楽しみですね。
2010.12.09
いよいよ12月ですね。当院ではスタッフが頑張ってくれて、今日から冬のイルミネーションを開始しました。 ご覧になったら、イルミネーションの感想も是非また聞かせてくださいね。
2010.12.06
しばらく前のことですが、「ちょっとの時間だからと思って保護メガネをせずに溶接の仕事をしていたら、目に激痛が走って涙が止まらなくなった」との訴えで患者様が来院されました。 早速眼を拝見すると、 黒目(角膜)の表面に細かい傷がたくさん入ってしまっています。これは電気性眼炎(でんきせいがんえん)といって、電機溶接の人工光源から出るUVC(波長が非常に短くて眼に有害な紫外線)によるものです。 紫外線にはUVA(長波長)、UVB(中波長)、UVC(短波長)の3種類があるのですが、このUVCは太陽の光には含まれていないものの一番有害なのです。 治療は混合感染予防のための抗菌薬や抗炎症薬の目薬で行い、元々自然軽快傾向があることもあってすぐに改善することがほとんどですが、治るまではかなり強い眼痛を伴います。なので、皆様も溶接の作業をする時には必ず保護メガネをするようにして下さいね。
2010.11.29
しばらく前のことですが、国際ニュースAFPBB Newsが、ドイツ発・網膜の下に埋め込む最新式「人工眼」を伝えています。 以下にその記事を引用します。 この「人工眼」はドイツ企業"レティナル・インプラント"と独テュービンゲン大学眼科研究所が開発したものです。 進行性疾患で中途失明した被験者3人は手術で「人工眼」を装着しました。術後には物の形状を認識でき、1人は部屋を歩き回る・時計を読む・7段階にわけられた15%の濃度差しかない灰色のグラデーションを見分けることができたそうです。 失明者20万人の目に希望を 従来の「人工眼」はカメラがとらえた光を電気信号に変え、網膜に埋め込まれた人工器官→視神経→脳へ、といった方法で映像を見せていましたが、今回の最新式「人口眼」はさらにすすんだ技術で作られているといいます。 1500個の光センサーからできたマイクロチップを、網膜の下に装着することで目の水晶体を自然に通ってきた光をとらえ、視神経を通じて脳は38×40ピクセルという極小の映像を受信するのです。 学術専門誌"英国王立協会紀要"にこの最新「人工眼」の発表論文を掲載した英国王立協会は、「電気視覚人工器官における画期的な前進。網膜色素変性によって視力を失った世界の20万人の生活に革命をもたらすだろう」といった賞賛コメントをよせています。 引用終わり。 この人工眼は言わばデジタルカメラのCMOSセンサーを網膜に埋め込むようなものであり、「見える仕組み」にとって非常に違和感のない方法です。これからマイクロチップが進化すれば、「失明してしまった人が再び視力を取り戻す」日が近い将来来ることになるでしょう。 ただ、この人工眼はすでに視神経が傷んでしまっている方には無効なので、網膜色素変性症や各種黄班(おうはん)疾患で失明してしまった患者様も決して諦めず、未来に備えて視神経を温存するための治療を今から受けておいた方がいいでしょうね。
2010.11.24
日本人の国民病、「ドライアイ」をその根元から改善する画期的な新薬、ジクアス点眼液ですが、 ついにその本物のサンプル品を戴けました。 画期的な作用を持って、日本で全世界で最初に発売されるわけですが、 薬は実際に使って見てナンボ、効かなければ何の意味もありません。今回は超大型新薬と言うことで、院長の私はもちろん当院スタッフもほぼ全員でチャレンジしてみました。 その結果は、、、、、、 点眼してしばらくすると目が涙のベールで覆われるようで気持ちいい。 さし心地が良く、入れてすぐに効果が実感できる。 不快感が無く、うまく言えないけどなんか目の調子が良くなった。 目がみずみずしく潤う感じで、超イイ!。 と絶賛の嵐でした。 もちろん私自身も、その効果をはっきりと自覚できました。 ジクアス点眼液、名薬の予感がプンプンします。 眼科専門医としての私の予想では、これは大ブレイク濃厚ですね。 発売は来月の初め頃と言われていますが、きっと患者様に大喜びして戴けるでしょうし本当に楽しみです。待ちきれないですね。
2010.11.22
眼科の世界というのは極めて進化が早く、手術方法にしても検査機械にしても常に少しずつ改良されどんどん良くなっていっていきます。 今日はそんな中、カールツァイス社というところの「IOLマスター500」という、白内障の手術前検査で使う新型の機械(眼の長さを計る機械)をデモで借りることができました。これからしばらくの間実際に使用させて頂きます。 実はこのIOLマスターに関しては1年ちょっと前にも旧型機をデモさせて戴いたことがあったのですが、 元々完成度の高かった以前の機種に較べても、更に測定方法が改善されており、より正確に測定できる感じです。また画面表示もより分かりやすく洗練されていて使いやすいです。 どの程度進化したのか、これから実際に楽しく体験していきたいと思っています。
2010.11.22
この1ヶ月間お借りしてデモさせて戴いていたトプコン社の次世代型レーザー装置、パスカルですが、 デモが終了し、トプコン社からのお迎えが来ました。 これからトラックに乗って東京に帰ります。 とっても良いマシンでした。いつの日か実際に購入できる日が来たらいいなあ、と思っています。
2010.11.18
私の地元八幡浜は、かんきつ王国愛媛の中でも最もみかん栽培の盛んな地域の一つです。今はみかん山の仕事が最も忙しい時期のため、「みかん山で作業をしていて目を突いてしまった」という訴えで来院される患者様がたくさんいらっしゃいます。 みかん山で目を突くとどのような症状が出るのか、具体的に少し見てみましょう。 ↑ みかんの枝で黒目を突いてしまった方。 ↑ みかん山で目に虫が入り、虫が足を目に刺して絶命していたために取れなくて痛みで苦しんでいる方。 色々なバリエーションがありますが、ほとんどの患者様は軽症で収まります。ただ、稀にみかん山外傷で黒目(角膜)に傷ができていったん治った後、また再発をくり返す「再発性角膜びらん」というやっかいな病気に進行してしまうこともありますので、皆様もみかん山での作業中には目の怪我をしないように十分に気をつけてくださいね。
2010.11.16
さて先日の日記の続きです。日本人の国民病、「ドライアイ」をその根元から改善する画期的な新薬ですが、いよいよ近日中に日本が世界に誇る点眼薬会社、参天製薬から発売となります。 ↑ これがその新薬、ジクアス点眼液です。その特徴は、 世界初のP2Y2受容体作動点眼剤であることです。 具体的には、目の表面の「水分」と「ムチン(粘膜を潤して損傷を防ぐことによって目の表面を守っている、例えて言えば納豆のようなネバネバ物質)」という2つの大切な物質の分泌を促進することによってドライアイを改善してくれます。 ↑ またこのジクアス点眼液は、従来型のドライアイの治療薬のヒアルロン酸ナトリウムに対して有意差を持って症状を改善する!という抜群のデータも出ています。専門的に言うと特にBUT(Breaking Up Time:涙液破壊時間)短縮型のドライアイに対して良く効くと言われています。 発売はおそらく来月かな? きっと患者様に喜んで戴けるでしょうし、実際に処方できる日が早く来て欲しいです。待ち遠しいですね。
2010.11.12
今や我々日本人の「国民病」とも言われるドライアイ。その症状は目が乾く、ゴロゴロする、まぶしい、疲れる、痛いなど多彩ですが、眼科を受診される患者様の17%がドライアイ確定例、疑い例まで入れると36%の方がドライアイであるというデータもあり、とにかく患者様の数は膨大です。 ↑ これがその実際のドライアイの患者様の目の写真ですが、黒目(角膜)の表面に細かい傷がたくさん入っておりこれが様々な不快な症状を引き起こしています。 ドライアイの治療は今までは主にヒアルロン酸ナトリウムの目薬を点眼して症状を改善するというものでしたが、これはドライアイという「結果」に対する治療で、その根本原因を解決するものではありませんでした。 このドライアイを根本から改善する目薬がずっと以前から開発されていたのですが、今年の夏に眼科の雑誌を見ていると、 「ジクアホソルナトリウム」という画期的な新薬が承認された!というニュースが載っており、私はドライアイ治療医としてその発売を今か今かと首を長くして楽しみにしていたのでした。 そして、いよいよ、、、、(続く)
2010.11.11
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