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さて第6回四国EYEランドセミナー参戦記の続きです。 目の底の網膜の静脈が詰まってそこから扇形に出血してしまう、 網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)という病気があります。原因は動脈硬化、高血圧、糖尿病などですが、40歳以上の100~200人に1人は起こる眼科では非常にありふれた病気です。 今回のセミナーでは、このBRVOの治療法のまとめが最新のデータと共に示されており、大変勉強になりました。以下にそのエッセンスを書いておきます。 まず大切なことは、このBRVOには約25~30%の確率で「自然回復」があるので、状態にもよりますが2~3ヶ月は様子を見ます。 様子を見ても良くならない場合には以前から様々な治療法が試されてきたのですが、どれも決定的なものではありませんでした。 ところが近年抗VEGF薬の硝子体投与という、目の玉に直接お薬を注射するという治療法が登場し、 これが圧倒的に成績が良いので、論争に決着がついた形となっています。 上のグラフを見れば一目瞭然、抜群の効果なんですね。 以上をまとめると、 BRVOはまず数ヶ月は様子を見て、回復しなければ抗VEGF薬を目の玉に注射をする。 というのが現時点でのゴールデンスタンダードということになります。頭がすっきりと整理されて大変勉強になるセミナーでした。(続く)
2012.06.14
さてここからはセミナーで印象に残った話、勉強になったことを自分のメモ代わりに書いていきます。 患者様の多くは「目には癌は出来ない」と思われているのですが、実は目にも癌は発生します。もちろんその頻度は高くはないのですが0ではないんですね。セミナーではその「眼腫瘍」の講義があったので、具体的にそのポイントを見ておきましょう。 一番良くあるのは、 この脂腺癌(しせんがん)です。まぶたにあるマイボーム腺の出口が詰まって慢性的な炎症が起き、その結果肉芽腫という塊ができる霰粒腫(さんりゅうしゅ)と非常に良く似ているので要注意なんですね。 私も実際数年前のことですが、「何度も何度もめいぼができて、色々な眼科で切ってもらったけど治らない。」という患者様が来院され、念のために外科的に切った後で病理検査に回した所やはりこの脂腺癌だったということがありました。高齢の方で何度もめいぼが再発する、と言う場合は常に悪性腫瘍の可能性を念頭に置かないといけないんですね。 それ以外でも、体のどこかに癌がありそれが目に転移してきた、眼底(がんてい)に茶褐色や薄い黄色の淡いさりげない病変が広がる「転移性脈絡膜(みゃくらくまく)悪性腫瘍」や 治りにくい結膜炎と区別が付きにくい、サーモンピンク色の鮮やかな腫瘤が広がる「結膜悪性リンパ腫」などもたまにあります。 これらの眼の悪性腫瘍はなかなか発見しにくいのですが、早期であれば局所の腫瘍摘出や放射線療法、化学療法で済む場合も多いので、眼科専門医として幅の広い豊富な知識を保ち、これらを決して見逃さないように努力していかなくてはならないと決意を新たにしました。(続く)
2012.06.10
外来で良く戴く質問の一つに、「目薬は説明書きを読むと、1回1~2滴点す様に書いてあるけど、本当は何滴さしたらいいの?」というものがあります。今日はこの質問にお答えしましょう。 最初に結論から言うと、 目薬は1回に1滴させば十分 です。 目薬の1滴は50マイクロリットル(1ミリリットルの20分の1)なのですが、私たちの結膜嚢(けつまくのう:眼の中の目薬を貯めるところ)の大きさは30マイクロリットルしかないのです。つまり目薬は1滴で十分効くように設計されているのです。 説明書きに「1回1~2滴」と書いてあるのは、ちゃんと入らなかった場合に備えての念のためのものです。 また、目薬が目の周りにこぼれると皮膚のかぶれの原因となったりすることもあるので注意が必要です。 目薬を1回にたくさんさすことのメリットはただ1つ 薬が早くなくなって製薬会社が喜ぶ ことだけですので、皆様十分気を付けてくださいね。(笑)
2012.05.28
「花粉症の時期も終わったはずなのに何故か目がかゆい!。変だなあ。おかしいなあ。」と言いながら受診される患者様が今年も最近になって激増しています。 おかしいことは一つもありません。実は今は「世界3大花粉症」の一つ、「カモガヤ花粉症」のピークの時期なのです。その潜在患者様は膨大な数に上るのですが、2~3月の有名な「スギ花粉症」の時とは違って何故かテレビや新聞などのマスコミでもほとんど取り上げられないため、花粉症と知らずにじっと我慢している方が多いのが実情です。 このカモガヤというのは別名「オーチャードグラス」と呼ばれ、明治の初期に牧草として日本(北海道)に輸入されました。そして日本の気候に合っていたため、いつの間にか全国に野生化して広がったイネ科の植物です。 今の時期に「目がかゆい、鼻がムズムズする」という症状が出る方は、繁茂度と花粉飛散量がダントツのこの「カモガヤ花粉症」の可能性が高いです。オオアワガエリ、ハルガヤなどのアレルギーの場合もありますが、いずれもカモガヤと同じイネ科の植物です。 抗アレルギーの目薬・内服薬で症状は速やかに軽快することがほとんどですので、思い当たる方は是非気軽にお近くの眼科専門医を受診して下さいね。
2012.05.25
待合室の一角に設置し、皆様から大変ご好評を戴いているティーサーバーですが、 現在、初夏らしい新ドリンクが登場しています。 期間限定となるかもしれませんので、皆様も御来院時にはぜひ飲んでみてくださいね。それからこのティーサーバーには、 「ボタンを押し続けると濃く出る」 という裏技もあります。良かったらこちらも試して見てくださいね。
2012.05.21
目の中に入った異物や汚れを洗い流すために使う、洗眼薬というジャンルの市販薬があります。小林製薬の「アイボン」がその代表的な商品です。 このアイボン、CMが多く流され大変メジャーな存在であり多くの方が使用されています。そのため患者様の中には「目薬と一緒にアイボンも処方して下さい」と言われる方がたまにいらっしゃるのですが、アイボンは一般用医薬品(第3類薬品)であり病院で処方する類のものではありません。 また、このアイボンは使いすぎるとムチン層という黒目の表面を守って涙の状態を安定させる大事な物質を洗い流してしまい、 逆に目を傷めて強いドライアイ症状が出てしまうこともあります。上の写真の患者様は毎日アイボンを何十回も使っていて、黒目が傷だらけになってしまいました。アイボンを使うと爽快感があるのでやめられなくて癖になってしまったんですね。こうなると 「アイボン中毒」(我々の業界用語では「ボン中」)とも言える危険な状態です。幸いなことにこの患者様はアイボン中止+点眼薬処方で目の状態はすぐに改善しました。 アイボンは目に異物が入った時などにたまに使うのは良いと思いますが、日常的に毎日使う必要は全く無いと思います。皆様も使いすぎには注意してくださいね。
2012.05.17
毎日の患者様の診察に使う、外来用の顕微鏡である細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)。 皆様も眼科を受診されると必ずこれにあごを乗せて診察を受けると思います。この細隙灯顕微鏡は1911年に発明されたのですが、それから100年変わらず眼科検査の王様であり続けてきました。それだけ完成度の高い検査方法であるということですね。 ちなみに、 この顕微鏡では目を5倍から30倍程度まで拡大して観察することが出来ます。私は通常は12.5倍で診察しています。 また、 観察範囲全体を柔らかな光で照らすことによって広い範囲の情報を得るための間接照明装置 ブルーフリーフィルター(BFF)と言う、結膜(白目)の上皮障害をしっかりと評価できるフィルター(これはドライアイ診療に抜群に役立ちます。というのは、ドライアイの患者様は角膜(黒目)の上皮障害よりも結膜の上皮障害が先行する事が多いからです) 手動の眼圧計 など、様々なデバイスが実はこの顕微鏡には満載されています。我々眼科専門医はこれらを自分の手足のように使いこなして毎日診察をしているわけです。 この大切な顕微鏡なのですが、どうも当院のものが診察時の患者様の目の立体感・奥行きの見え方が以前に較べて甘くなってきたような感じがしたので、念のためにメーカーに出してオーバーホールして貰いました。その結果はやはり光軸がわずかにずれていたとのことで、その修正と、更に全てのパーツをメンテナンスしてもらったので新品同様のコンディションに戻りました。これでまた毎日の患者様の診察を気持ちよく楽しくさせていただく事が出来ます。 これからもクリニックの隅々にまで気を配り、常に万全の状態で患者様をお迎えしたいと考えています。
2012.05.15
さて本日5月11日、大型緑内障新薬のアイファガン点眼液がいよいよ全国発売となります。「アイファンガン点眼液って何?」という方はまず こちら をご覧下さい。さてこのアイファガンがアメリカで発売されたのは1996年と実に16年前のことでした。そしてその後ずっとベストセラーを続けている名薬です。日本はとにかく新薬の認可が遅く、我々眼科専門医はこの名薬を長年使うことが出来ずに悔しい思いをしてきましたが、今日ようやくその夢が実現し嬉しい限りです。 さて今日はその実際のサンプル品をスタッフと共に試して見た時の体験を実際に見て頂きましょう。 一瞬、「緑内障の目薬なので、まさか悪ノリして液まで緑色なのかな?」とびっくりしましたが、緑なのは外側の包装だけで中身は透明で安心しました。(笑) さて今回は大型新薬ということもあり、5人で点眼にチャレンジして見ました。 まずは院長の私から。 眼圧は点眼前が12.3で点眼後が11.7です。うーん、イマイチですかね。ただ私は様々な目薬を試し過ぎているので、ちょっと目薬に耐性が出来ているせいがあるかもしれないですね。(笑) 次はスタッフで点眼チャレンジ初登場のゆみちゃんです。 眼圧は13.7→10.7です。良く下がっていますね。 次は点眼チャレンジ常連のきみちゃんです。 眼圧は13.7→11.0です。うん、良く効いていますね。 次はゴンちゃんです。 良く下がっています。ちなみにゴンちゃんは素直な目をしており、どの目薬も良く効く素敵な体質のようです。(笑) 最後は点眼チャレンジ初登場のともちゃんです。 眼圧は15.0から13.7に下降しています。まずまずですね。 以上をまとめると、アイファガン点眼液はどうやら期待通りの優れた眼圧下降効果を発揮しそうです。また点眼時の不快感もほとんどなく非常に点しやすい目薬であると言う点ではスタッフ全員の評価が一致しました。かなり総合戦闘力が高そうですし、実際どれほど患者様のお役に立ってくれるのかが本当に楽しみですね。
2012.05.11
当院は本日5月7日で開院4周年を迎えることができました。 開院以来、多くの患者様に御来院戴けたことに心から感謝しています。またこの4年間学会出張以外では1日も休診せずに、スタッフと力を合わせ仲良く楽しく診療を続けることが出来たことも本当に嬉しく思っています。 さて今日は4周年ですので、改めて今までのクリニックの歴史を写真と共に少し振り返ってみたいと思います。 ↑ これは開院前の2007年11月の写真です。元々この場所には八水蒲鉾(はっすいかまぼこ)というかまぼこ屋さんの工場がありました。その工場は出世して郊外に移転したのですが、その工場跡地は長い間そのままで、この先どうなるのかは我々八幡浜市民には全くの謎で良く飲み会の話題にも出ていました。私も「ここは本当に八幡浜の一等地だし、大きな電気屋さんとか美味しい御飯屋さんが出来たらいいなあ。何が出来るのか楽しみだなあ。」と思っていました。なので、自分にクリニック開業のお話を戴いた時には本当にびっくりしたと同時に「こんな良い場所なら自分の持っている力を極限まで存分に発揮できる。」という喜びで武者震いしたのを昨日の事のように思い出します。 ↑ その後、縁あってこの地で開業することになり、地鎮祭をしています。 ↑ これは2008年5月の開院時の写真です。ちなみに開院日は水曜日で午前中のみの診療だったのですが、午前7時40分に最初の患者様を診始めて、午前中の診療が終わったのは午後2時30分でした。私も新規導入した電子カルテの操作にてこずっていましたし、スタッフも実際の患者様にお会いするのが初めてで検査がうまく回りませんでした。例えば一番のルーティーン検査である目の血圧を測る眼圧検査でも、患者様にあご台に顔を載せて頂き位置を調整し、片手でまぶたを軽く持ち上げて、もう一方の手でジョイスティックを操作して眼圧を計測する、という一連の行動が必要なのですが、スタッフの中には「どうしても両手を同時に動かせない。緊張で体が石みたいに固くなってもうどうにもならない。」という者もおり、みんながドタバタして大騒ぎの1日でした。(笑) ↑ 壁面緑化を目指して植えたツタもまだひよひよです。最初はこんなに赤茶けていたんですね。 ↑ これは2009年5月、開院1周年時の写真です。ツタがまだあまり伸びていないですね。 ↑ そしてこれが、昨年2011年5月の写真です。かなり壁面緑化が進んできていますね。 ↑ これが最新、2012年5月現在の写真です。壁面緑化はほぼ完成に近づいていますね。 これからも日々成長していくツタのように、眼科専門医としての毎日の努力・勉強を欠かさず、八幡浜地域の皆様に常に安全で快適な最新の眼科医療を提供し続けていけるように、スタッフ一同精進して行きたいと気持ちを新たにしています。
2012.05.07
本日、「にしわき眼科クリニック 院長日記」 は20万アクセスを戴くことができました。眼科専門医としての日常や勉強内容を語るだけの非常にマニアックな内容ということもあり、日記を書き始めた頃は訪問して下さる方もほとんど無く1日平均5アクセスくらい(しかもその内の半分は自分)だったのですが(笑)、最近では多い時には1日500アクセスを超えることもあり、この日記のどこにそんな魅力があったのかは定かではありませんが、励みになりますし非常に嬉しく思っています。 ただ、このようにアクセスが増えてきたのは実はこの数ヶ月のことであり、昔の日記はほとんど御覧になっていない方も多くいらっしゃると思います。 そこで今日は20万アクセス突破記念で、過去の日記から皆様に御好評を戴いた物をいくつか紹介したいと思います。 1位 今、確かに黒い影がよぎった!! 毎日の診療では思いがけない患者様にお会いすることもあります。この日、私が偶然出会ったのは、、、、、、 2位 お寿司屋さんにて 四国有数の漁獲高を誇る港町である私の地元、愛媛県八幡浜市には、抜群に美味しいお寿司屋さんがあります。ある日、美味しく楽しくお寿司を食べていた私は、、、、、、 3位 うさぎの島 & うさぎの目は本当に赤いのか? 瀬戸内に浮かぶ秘密の小島、うさぎの島。眼科専門医として「うさぎの目は本当に赤いのか?」を調べるというミッションを持って島を探索し、私が得た結論とは、、、、、、 それでは皆様、これからも にしわき眼科クリニック 院長日記 を末永くよろしくお願いいたします。
2012.05.02
さて今日も前回の日記の続きです。現在の加齢黄班変性(AMD)に対する抗VEGF薬の硝子体注射療法は、効果抜群で治療成績を跳ね上げたまさに「夢のクスリ」なのですが、反面その効き目が長続きせず定期的に注射を受けないといけない場合があるという弱点もあります。 また、この抗VEGF薬は実は目の玉が飛び出るほど値段が高い薬なので、最初は張り切って頑張って下さっていた患者様でも、次第に「高いし、もうやめたい。」と思われてしまうこともたまにあります。 しばらく前に新聞を読んでいると、 あらゆる細胞に分化できるヒトiPS細胞から作成した網膜の細胞を使ってこの加齢黄班変性を治療しようという臨床研究が始まるというニュースが載っていました。 この治療法が軌道に乗ればAMDの治療は更に大きく進歩することになるでしょう。今後の進展が楽しみですね。 さて4回に分けてお送りしてきた「加齢黄班変性(AMD)について考える」シリーズですが、今回で最終回です。皆様、お付き合い戴き有難う御座いました。 加齢黄班変性(AMD)について考えるスペシャル 完
2012.04.29
さて今日も前回の日記の続きです。加齢黄班変性(AMD)の進行予防にサプリメントが大きな力を発揮することは前回述べた通りなのですが、残念ながら症状が進行してしまった場合には、現在では抗VEGF薬(ルセンティス、アバスチンなど)というお薬を目の玉に直接注射する治療法(硝子体注射)が一般的です。 この治療法は悪い新生血管を直接やっつけることが出来るので、症状を改善もしくは悪化を防ぐ効果は抜群であり、AMDの治療を劇的に進化させました。ただ1つだけ大きな欠点があり、薬の効果が1~数ヶ月しか持続しないので定期的に注射を受けないといけないんですね。(続く)
2012.04.23
さて今日は前回の日記の続きです。加齢黄班変性(AMD)の治療法の話になります。 病気は何でもそうですが、「未病」の状態で進行しないのが一番です。その意味でAMDは初期であれば進行予防の専用のサプリメントが一番お勧めです。もちろんある程度進行してしまっていてもサプリメントは非常にお勧めできます。というのは、 AMDに関しては「サプリメントが効く」ことが実証されている からです。今日はその実際を見て行きましょう。 2001年にアメリカで画期的な大規模なスタディ、AREDS1 が行われました。そして、 抗酸化ビタミン(ビタミンA+C+E)+亜鉛 を投与するとAMDの発生が約25%少なくなる ことが分かったのです。これによりAMDの患者様は専用のサプリメントを飲んだほうが良いと我々眼科専門医は自信を持ってお勧めできるようになりました。 そして現在ではそのサプリメントの内容を更に改善するべく、 AREDS2が進行中です。この結果は数年以内に発表されると思いますが、要は ルテインとEPAの効果を見よう というものです。 ルテインは、ほうれん草やブロッコリーなどの色の濃い緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドの一種で、目の「水晶体」と「黄斑部」に多く存在しています。ルテインの働きとして、まずは光そのものを遮る働きがあります。また、紫外線などの有害な光の一部が網膜に達してしまいそれにより酸化ダメージを受ける危険性が生じた場合でも、抗酸化作用によってそれを防止します。ところが体内のルテインは、加齢や、紫外線を浴びたり、煙草を吸ったりすることで少しずつ消費され、減少していきます。そしてルテインは体内で自力では生成できないため、日々の食事を通じて継続的に摂取することが大切なのです。 逆に言うと、最近の我々日本人は食生活の欧米化で慢性野菜不足に陥り、目にとって大切な成分であるルテインが足りなくなっているせいでAMDが激増している可能性があるわけです。ルテインは具体的には網膜にAMDを引き起こす新生血管(CNV)の発生を抑制してくれます。 ちなみにこのルテイン、まずいことで有名な青汁に大量に含まれています。私は眼科専門医として末永く八幡浜地域の皆様のお役に立てるよう、毎日2本ずつ宅配してもらってクリニックで飲んでいます。(笑) 次にEPAですが、ブリやマグロ、カツオ、サバなどの青魚や、ウナギ、アナゴに多く含まれる栄養素です。このEPAは血液をサラサラにして血行を良くして、血栓症や動脈硬化を防ぐ効果があります。また、炎症が起こりにくい体質になる効果があり、これがAMDの進行予防に大きな効果があると考えられています。 以上をまとめると、 ルテイン摂取で新生血管(CNV)を抑制し、EPA摂取で目の中に炎症を起こさない体を作ることで、怖い病気AMDの進行をより強力に抑えるサプリメントが出来るだろうと期待されている わけです。 当院では、院長の私が自ら上記のような観点から様々な製品を見比べて、現時点で「中身が一番バランスが良い」と評価しているものを置いています。もちろん先ほどの大規模スタディAREDS2の結果が出ればまた迅速に対応します。 このようにAMDは「進行を予防できる」病気です。皆様も少しでも心配を感じることがあれば是非お近くの眼科専門医で相談して下さいね。
2012.04.19
加齢により網膜の中心部である黄斑(おうはん)に障害が生じ、見ようとするところが見えにくくなる加齢黄斑変性(AMD)という病気があります。 欧米では以前から成人の失明原因の第1位で珍しくない病気ですが、以前は日本では比較的少ないと考えられていました。ところが社会の高齢化と食生活の欧米化(緑黄色野菜や魚類の摂取不足)により近年その患者様数が著しく増加しています。 当院でもこのところAMDの患者様の数が激増しており、様々な質問を戴くことが多くなってきました。そこで今日はこの病気について簡単にまとめておこうと思います。 まずは実際の患者様の眼底写真を見ていただきましょう。 目の中心部が痛んで、出血や腫れ、変性があるのが分かりますね。実際の患者様の見え方は下記のようになります。 次回は、このAMDの治療法の実際を見て行きましょう。(続く)
2012.04.16
2012年5月21日の午前7時半前後に、日本の一部の地域で「金環日食(きんかんにっしょく)」が見られます。これは太陽のほうが月より大きく見えるために月のまわりから太陽がはみ出して見える現象で、 日本で見られるのは1987年に沖縄県で見られてから25年振り、また今回は首都東京でも見られるのですが、東京で見ることが出来るのはなんと1839年以来173年振り 更にその次は2030年6月まで無い、と言う事で大きな盛り上がりとなることが予想されます。 ただ、太陽の光を直接見ることは大変危険です。というのは、網膜の中心の黄班(おうはん)部という、視力に直接関係する大切な部分を火傷して視力低下を来たしてしまうことがあるからです。これを「太陽性網膜症」と言います。 ↑ これが実際の「太陽性網膜症」の患者様の眼底写真ですが、写真真ん中の黄班部が発赤・腫脹しているのが分かります。太陽の光と言うのはこれほどに強力なものなんですね。 なので、5月21日に金環日食を観察しようとされている方は、 必ず専用の「日食観察プレート」や「日食グラス」を使い、絶対に直接じかに太陽を見ないようにして下さい。そうそう、普通のサングラス越しに見るのもダメですからね。そして、万一太陽を直接見てしまったら、すぐにお近くの眼科専門医に相談するようにして下さいね。
2012.04.12
さて今日の日記は前回の続きなのですが、OCTはその有用性の高さから全国の眼科クリニックでもどんどん購入率が上がり、今では5割以上の開業医で導入されていると言われています。 ただ、もちろんこれから買おうという先生方も多いと思うのですが、その候補にはトプコン社、カールツァイス社、ニデック社、オプトビュー社などがあり、その販売競争は熾烈を極めています。 私は様々な機種を実際にデモさせて頂いた上でトプコン社の3D OCT-2000を選択しました。 この3D OCT-2000には様々な大きなメリットがあり、眼科開業医にとっては総合力でナンバーワンであると確信しています。 今日は何故私がそう考えるのか、御紹介したいと思います。 1. 最大のポイントはこれ。3D OCT-2000は、OCT画像と同時に通常の眼底写真も撮ってくれること です。トプコン以外にはこの機能はありません。眼底写真と言うのは撮ってあると後で紹介状の作成が必要になった時などに非常に役立ちますし、患者様の症状の経過を追うにも最適 です。OCT画像だけだと各社で表示画面が異なるので普遍性がないですからね。 3D OCT-2000は楽しく使っているだけで自然に患者様の眼底写真がどんどん貯まっていくので、長い間患者様とお付き合いしていく眼科開業医には最適なマシン です。 言い方を変えると、時間の経過をそのままクリニックの武器・長所に転化出来るマシン なんですね。 2. トプコン開発陣のこの3D OCT-2000に賭ける情熱が凄くてバージョンアップが頻繁。 本当にどんどんマシンの洗練度が上がっている。「カイゼン、カイゼン」の日本製造業の優秀さを肌で感じることが出来る。つまり、 「購入後のマシンの伸びしろ」が大きい。 自分も機械の進歩に負けないようにOCT読解力を鍛えないといけない、という気持ちになり気合が入る効果もある。 ということで、これからOCT導入を検討されている全国の眼科開業医の先生方は是非このトプコン社の名機、3D OCT-2000 も一度デモしてみて下さい。 以上、3D OCT-2000ユーザーのポジショントークでした。(笑)
2012.04.09
さて当院ではさまざまな病気の診断・治療に大きな威力を発揮する、OCT(Optical Coherence Tomography: 光干渉断層計)という検査機器として日本のトプコン社の「3D OCT-2000」という名機を導入しているのですが、 このOCT、あまりにも有用過ぎるが故に使用頻度が激増し、最近では患者様の検査待ちの時間が長くなってしまういわゆる「OCT渋滞」を引き起こしていました。ま、このOCT渋滞は全国の大学病院などでも悩みの種になっているようで、それだけOCTが素晴らしい検査機器であるということなのですが。 当院で導入したこの 3D OCT-2000 は、マシン本体がスタイリッシュで非常にコンパクトであるという長所があったのですが、その反面内蔵されているコンピューターに負担がかかり過ぎるためか、検査して計算し最終画面を表示するまでに時間がかかったり、ガンガン使っていると処理能力を超えるためか突然フリーズするといったこともありました。 そのため今回、本体で撮影した検査データを転送して解析する専用の外部パソコン+ソフトを新規に導入しました。これにより、検査時間はおよそ2分の1程度に短縮されました。 この追加パソコン+ソフトの導入により、検査画面が大きく分かりやすくなって検査精度・速度が向上しただけでなく、 本体のみの時には搭載されていなかった、例えば眼底を12×9ミリという広い範囲で撮影し解析してくれる新ソフトも搭載されました。 この外部パソコンシステムを導入して1ヶ月ほど経つのですが、明らかに検査スピードとデータの信頼性が向上しています。導入には150万円ほどの追加資金が必要なのですが、全国の3D OCT-2000ユーザーの先生方でまだこの外部パソコンをつけていらっしゃらない場合には強力にお勧めできると考えています。 当院では今年度も新たな検査機器の購入や既存の機器の点検・バージョンアップを積極的に進めていく予定です。ここ八幡浜地域の皆様に全国レベルの眼科医療を提供し続けていけるように、これからもスタッフ一同頑張っていこうと思っています。
2012.04.05
さていよいよ近日中に、千寿製薬という眼科専業の製薬会社から「アイファガン点眼液」という緑内障の大型新薬が発売になります。 ↑ 写真は先行して発売されているアメリカでのものです。アメリカでは「アルファガンP」という名前であり、1996年の発売以来売上高世界上位のベストセラー薬であり続けています。 今の日本には存在しない系統の目薬なので、現在第一選択薬として使われているプロスタグランジン関連薬(キサラタン、タプロス、トラバタンズ、ルミガン)や第二選択薬のβ遮断薬(ミケラン、チモプトール)、炭酸脱水酵素阻害薬(エイゾプト、トルソプト)などと組み合わせて使うと大きな効果を発揮する可能性がありその発売が待ち遠しいです。 今日は先行して、このアイファガン点眼液(一般名ブリモニジン)の特徴を見ておきましょう。この目薬は「アドレナリンα2作動薬」といって、目の中を流れる房水(ぼうすい)の産生を抑制しつつ流出を促進するという、2つの作用機序を持つ非常に優れた薬剤です。 その効果は、1981年の日本発売以来ベストセラーの地位を保ち続けている名薬のチモプトール(一般名チモロール)とほぼ同等かやや劣る程度です。 若干結膜へのアレルギーが出やすく、効果が減退しやすいという欠点はあるものの、今日本で使えるどの緑内障点眼薬とも併用できて更なる眼圧下降が狙えること、また全身への副作用が少ないことから、実際に発売されれば全国の緑内障患者様にとって大きな福音となるでしょう。 私も緑内障治療医として、その発売日を首を長くして待っています。
2012.04.02
さて第5回東京眼科アカデミー2日目で一番勉強になったのは、「ドライアイを訴えたがドライアイではなかった症例」という講演でした。 ドライアイは今や日本人の国民病とも言われるありふれた疾患ですが、その患者様数が多くかつ症状が多彩であるために、「何でもかんでもドライアイ」と診断してしまいがちな側面があります。また、マスコミでもドライアイに関する情報が溢れかえっているので、患者様自身が最初から「自分はドライアイ」と思い込んで受診される、と言う部分もあります。 ただ実際には、調節異常による眼精疲労が原因だったり、瞬目不全(しゅんもくふぜん)といって、まばたきが弱くてちゃんと目を閉じていないために、 ドライアイのような症状が生じていることもあります。この場合は「強くまばたきをする」ことを心掛けるだけで症状が改善することもあります。 我々眼科専門医は「一見ドライアイ」の中に隠れている様々な疾患を見逃さないように、常にたくさんの鑑別診断を念頭において患者様の診察に当たらなくてはならないな、と気持ちを新たにしました。 これで「第5回東京眼科アカデミー参戦記」は終わりです。皆様、お付き合い戴き有難う御座いました。(完)
2012.03.31
さて2月4日(土)、初日に非常に勉強になったのは「強膜炎の薬物療法」、「強膜炎の外科的治療」という2つのプログラムでした。 強膜というのは、眼球そのものを形作っている丈夫で文字通り「強い膜」で、普段は白い色をしています。そして、この膜に炎症が起きている状態を強膜炎といいます。 症状としては、強い充血と痛みです。強膜炎の充血は比較的深いところで発生してるので、黒っぽい赤色に見えるのが特徴です。充血している部分は押すと痛みを感じます。この「痛い」というのが強膜炎の最大の特色であり、しかもその痛みは患者様によっては「鉛筆を目に刺されたよりも痛い」と言うほど激烈です。具体的に実際の患者様の状態を見て頂きましょう。 この強膜炎はリウマチなどの自分で自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患に合併することが多いですが、色々調べても結局原因が分からないことも良くあります。 そして、これだけ医学が進歩した現在でも治療に難渋することが多く、最悪の場合は強膜が溶けて(壊死して)穴が開いてしまうことさえあるのです。そのためこの強膜炎と言うのは、我々眼科専門医にとってはその知識量・経験・状況判断力・決断力を問われる非常に厳しい病気なのです。 今回のプログラムではこの強膜炎について様々な角度から勉強することが出来ました。 ↑ このように強膜炎の原因疾患というのは無数にあり、それがこの病気の治療を難しくしています。 ↑ そして、上のスライドにあるとおり、「とにかく痛い」こと、これが困るんですね。 ↑ そして、目薬だけであっさり治る症例から、内科的・外科的治療を総動員して何とか治った症例、どうしても治せない症例まで、その予後は本当に千差万別です。 ↑ 治療法は一応のフローチャートはありますが、これがまた一筋縄ではいかないのです。 ↑ これは重症例の写真ですが、激烈な炎症で強膜が溶けてしまい、その奥のぶどう膜という茶色い組織が出てきてしまっています。 ↑ こうなると、強膜パッチ術といって、他の方の献眼された目を持ってきて弱いところに貼るという外科的な治療をするというのが教科書に書いてある定説なのですが、 ↑ うかつにこのパッチ術に手を出すと、パッチをしても次から次へと溶けてしまってまた穴が開き、「合計したら数個分の目をパッチに使ってしまった!」というような凄まじい状況におちいることがあるので、「うかつに外科的治療に踏み切らないことが大切である」ことが解説されました。 重症例の治療法の実際を聞くことが出来て、本当に勉強になりました。(続く)
2012.03.23
毎年この時期は、NTTのタウンページへの広告出稿の最終調整の時期です。タウンページというのは知名度は抜群ですが、その分広告料も目が飛び出るほど高いと言うのが実情であり、私も開院以来その広告内容について様々な試行錯誤を繰り返してきました。 開院直後は頑張って2分の1ページ(モノクロ)の広告を出していましたが、 あまりにも高額なため、費用対効果が悪いと判断してタウンページへの広告は縮小し、その後は地元の八幡浜民報という地域新聞 野立て看板 消火栓広告 などへの広告を優先してきました。 ただ、今年は開院後5年目を迎えることもあり、再び頑張ってタウンページ広告の内容もボリュームアップすることにしました。昨年の6分の1ページ(フルカラー)から、4分の1ページ(フルカラー)に変更します。 その予定原稿は最終的に、 この2つのどちらかに絞りました。 最終的にどちらになるのか、うーん、悩みどころですね。
2012.03.13
私が軒を借りているこの楽天ブログはしばらく前にブックマーク機能が廃止されました。それまでは様々なリンク先を登録していたのですが全て消えてしまいました。 そこで今回、どうしても必要な重要なサイトをブログのトップページにリンクとして貼りました。その内容を簡単に解説しておきます。 にしわき眼科クリニック iタウンページ これは当院の所在地・電話番号・診療時間などの基本情報が載っているNTTのiタウンページです。 まるお眼科 香川県で今年の6月に開業予定のまるお眼科のホームページです。私の親友であり、その白内障手術戦略・知識は間違いなく全国トップレベルの知性派の先生です。きっと近隣の皆様に末永く愛され頼られる、力のあるクリニックになることでしょう。 坪井眼科ニュース 私が勝手に尊敬している大阪の坪井眼科のブログです。院長先生の切れ味鋭い眼科トークだけでなく、スタッフの方の日替わりでの様々な話題も楽しいです。 眼科手術開業医の戯言 手術メインで開業されている先生のホームページです。我々白内障手術専門医は、その結果が視力という形ですぐに明らかになるだけに毎日を高い緊張感の中で過ごしているわけですが、その努力や日々の喜び・苦悩が率直にかつ明瞭で読みやすい文章で綴られており、毎回非常に楽しみに拝読しています。 稲亀石の、田舎目医者日記 深い洞察力ときわめて高い文章力を併せ持つ、稲亀石先生の面白いブログです。眼科の話ばかりでなく世の中の様々な出来事を新鮮かつ的確な視点から分析されており、毎回勉強になります。 眼科医フォーチュンクッキー日記 テイスト的には私のこの日記に近い感じで個人的に親近感を感じています。 皆様も良かったら各リンク先を覗いてみて下さいね。
2012.03.10
さて1月28日(土)午前中2番目のセッションは、 「眼外傷のプライマリーケア」という教育セミナーに参加しました。 この中では1つ印象深い話がありました。それは、ある患者様が「作業中に間違ってガスバーナーでちょっとだけ目をあぶってしまった!」と言って受診されたときのお話でした。患者様は「最初は凄く目が痛かったけど、ここに来たら何だかもう治った。」ということで、診察しても目にほとんど傷もないし視力も1.0出ているしで、抗生剤の目薬を処方の上帰宅されたのでした。 ところがその数日後、患者様が「突然目が見えなくなった!」と言って来院され、目を見ると眼内炎といって目の中が全てバイキンだらけ膿だらけになってしまっていたのです。 後で会社の同僚の方などに確認すると、実は「ガスバーナーでは金属片をあぶっており、その破片が飛び散った。それで痛がって受診した。」と言うことだったのです。患者様自身は痛みからかその時の記憶が無くなってしまっており、それで眼科で受傷状況をきちんと説明できていなかったのです。 この患者様は実は角膜(黒目)の隅っこからスパッと鋭利な金属片が入り込んでおり、スピードが速かったため硝子体(しょうしたい:目の奥のこと)にまで達していたのです。だから最初の診察時には目の表面側はなんとも無かったものの、数日経って目の奥に入り込んでいた汚い金属片が悪さをして目が見えなくなっていたのです。 この話の教訓は、我々眼科専門医は、 常に眼内異物があるものとして、外傷眼の診察をすべきである。 ということです。産婦人科医が「女性を見たら妊婦と思え!」と言われているのと一緒ですね。今後、常に肝に銘じていこうと思いました。(続く)
2012.02.13
当院は患者様にいつでも気軽に受診して頂きたいとの思いから、外来では予約制は採用しておりません。当初はどの時間帯でもそれほどお待たせすることはなかったのですが、開院後4年近くが経ちクリニックの認知度が高まってきたせいか患者様の数が次第に増え、そのため「いつ来ても混んでいる。一体外来はいつ空いているんですか?」という質問を戴くことがあります。 外来が空いている時間帯というのは季節によってもかなり異なるのですが、寒い今の時期だと午前8時30分の外来開始から9時30分くらいまではまずまず空いています。検査までの待ち時間が30分を超えることはまずないだろうと思います。 ところが、クリニックへのバスが多く到着する時間帯でもある午前10時前後になると急激に激しく混み始める事が多く、その混雑は12時まで続くことも多いです。なので、この時間帯に来られると「いつ来ても混んでいる。」という印象を持たれやすいかと思います。 午後は15時30分外来開始なのですが、16時30分くらいまではかなり混雑します。ところが17時を超えるとほとんどガラガラとなります。日によっては待合室に患者様が誰もいないこともあります。(笑) ですので、待つのが嫌な方には是非17時以降の受診をお勧めします。なお外来終了は18時となります。 以上をまとめると、外来が空いている時間としては8時30分から9時30分、もしくは17時以降ということになります。この時間帯ならばそれほどお待たせすることなく快適に受診して頂けると思います。 受診時の参考にして頂ければ幸いです。
2012.02.01
年に1回くらい届く謎の振込用紙。 タウンページから切り抜いた当院の広告が「見本欄」に貼ってあります。 「株式会社 日本電話広告」からで、請求額はなんと262600円!という超高額です。 よく読むと、 『裏面に参考貼付(同封)しましたのは日本電信電話(株)本年発行の電話番号広告簿に掲載されている御社の広告ですが、今年度は当社発行の全国官公庁電話広告枠(地域版)にぜひお申し込みをお願いいたします。』 中略 『又、この郵便物は当社発行の全国官公庁電話広告枠(地域版)の広告申込案内ですので、日本電信電話(株)発行の職業別電話帳と混同なさらぬ様お願いします。 尚、印刷後はご解約に応じられませんのでご容赦ください。』 と書いてあります。 NTTのタウンページの広告とは何の関係も無いことが明示されていますが、それならこのような紛らわしい切抜きを貼り付ける必要は全く無いわけで、要は「錯誤」を利用したやや悪質で振り込み詐欺に近いビジネスのようです。皆様も十分に注意してくださいね。
2012.01.26
さて今日は昨年からの持ち越しとなっている、JSCRSウインターセミナー参戦記の続きです。第3部は「知っておくと役に立つ屈折矯正関連の話題」でした。この中で勉強になったのはオルソケラトロジーの話でした。 オルソケラトロジーとは、特殊な高酸素透過性のハードコンタクトレンズを夜寝るときに装用し、朝起きてはずすと、視力が一時的に回復し日中は裸眼で過ごせると言うものです。 このオルソ、最近「眼軸長の変化を抑えた」というデータがボチボチ出てきていると言うことでした。これは分かりやすく言うと「近視の進行予防が出来る」ということになります。我々眼科専門医のコンセンサスでは今まで「近視は予防できない」ものだったのですが、この常識が覆される日が近い将来やって来るのかも知れないですね。実際、お隣の韓国や中国ではこの近視進行予防の目的で学童対象に既にガンガンこのオルソが処方されています。 ただ同時にこのオルソケラトロジーは、そのレンズ形状の複雑さ に起因する洗浄不良(細かいところは綿棒でこすり洗いする必要がある)や寝ている間の目の中の酸素濃度の低下により、緑膿菌やアカントアメーバによる角膜感染症が起こりうることも指摘されていました。ただこのオルソによる角膜内皮(黒目の透明性を維持するために必要な大切な細胞)障害の報告は過去1例も無い!ということで、これはかなり意外でしたね。(続く)
2012.01.09
新年明けましておめでとう御座います。今年2012年も進化の激しい眼科学のスピードに負けないように、毎日の勉強・努力を欠かさず、全国レベルの眼科医療をここ八幡浜地域の皆様にお届けできるように頑張ります。 学会出張による臨時休診・代診などで皆様に御迷惑をかけることがあるかもしれませんが、常に最先端の臨床・研究を学び続けることは眼科専門医として非常に大切なことですので御了承下さい。 なお、新年は本日1月4日より通常診療を開始しております。それでは皆様、今年も にしわき眼科クリニック をよろしくお願い申し上げます。
2012.01.04
当院の年内の診療は、本日12月28日の午前中を持って終了致しました。 この1年間、たくさんの患者様に御来院戴けたことに感謝しています。来年もスタッフ一同笑顔を絶やさず、努力を怠らず頑張っていきます。 なお、新年は1月4日(水)診療開始となります。来年も にしわき眼科クリニック をよろしくお願いいたします。
2011.12.28
さて今日もJSCRSウインターセミナー2011参戦記の続きです。第2部は「白内障の基礎知識」でした。 この中で面白かった話は「白内障の面からみた抗酸化物質」という講演でした。 抗酸化物質は広い意味での老化防止に役立つと言われており、野菜(ほうれん草やかぼちゃなど)や果物(ブルーベリーが有名ですね)などに広く含まれています。講演の中では様々な抗酸化物質を使って白内障の進行予防効果がないかを実験した結果が示されていたのですが、テレビCMなどでも有名な「強力わかもと」が白内障進行予防に効果があるのではないか?ということがデータと共に示唆されていました。 強力わかもとは、ビール酵母・乳酸菌・消化酵素の3つの天然由来成分を含む歴史ある胃腸薬ですが、まさか白内障の進行予防にも効果がありそうとは、、、、、強力わかもと、あなどれないですね。(笑) それ以外では専門的な話になりますが、CCC(水晶体の袋の表面をめくる手技)ではコンプリートカバー(CC)がやはり大切で、ノンコンプリートカバー(NCC)だとその部位から後発白内障が出やすいことがデータと共に指摘されていました。(続く)
2011.12.26
さて張り切って到着したセミナー会場でしたが、 中は拍子抜けするほどのガラガラでした。あれー!?、せっかく四国の隅っこから張り切って来たのにな。。。。。。。 充実の講師陣・内容からはあり得ないくらいですね。いつも通り会場の最前列のど真ん中に座ります。 こんなに空いているのはおそらく、 1. セミナーの告知が第一回目ということもあり遅れたため認知度が低かった。 2. 日程的に他の大きな学会と重なって参加者が分散した。 3. 専門医の単位が貰えない勉強会なのでそれも影響した。 くらいかな?と推察しています。 さてセミナーは全部で5部構成でした。次回から1部毎に勉強になった内容をまとめて行きたいと思っています。(続く)
2011.12.19
ネットを巡回していて興味深い記事を見つけました。以下に引用します。 40代中堅専門医はプライド高く助言断るから誤診が多いの指摘- NEWSポストセブン(2011年11月25日16時00分) 医師が犯してはいけない最大の罪は誤診だ。しかし現実に医療の世界では、誤診が今も後を絶たない--。脳神経外科医で森山記念病院の堀智勝名誉院長は苦渋をにじませた。 「医師の思い込みが誤診を生みます。私の知っている例では、ある脳神経科医が、頭痛ばかりか首にも痛みを訴える急患を、筋緊張性頭痛だと決めつけてしまいました。ところが数日後、患者さんはくも膜下出血で死亡してしまいました」 千葉県がんセンター・前立腺センターの植田健泌尿器科部長は、誤診に繋がる別の面を指摘する。 「医師にはプライドが高い人が多い。そこに手術件数の豊富さや大病院での実績が加わると、最新の診断機器による結果が一部分からなくても、気軽に周囲の医師へ質問したり、助けを求めたりできない。あるいは地位の高さから助言をしてくれる仲間がいないという状況にも陥ってしまいがちです」 医師の多忙さが誤診を生む温床ともなっている。 「一人で診察しなければならなかったり、雑務も含めて忙しい医師は、学会に参加できる機会が限られ、医学雑誌や論文を読む時間もありません。これでは最新知識を得るチャンスが少なくなります。また、外来や病棟での多忙さから、患者の個別対応が遅くなることがあります。そのため、重篤な病気の兆候を見逃すことになりかねないのです」 こういうケースは、地方の小さな民間病院に勤め、一人で働く若手の医師に多いという。 ジャーナリストの富家孝医師は、40代の中堅どころの医者、とりわけ専門科医に誤診が起こりがちと警鐘を鳴らす。 「専門医の自信から、他の医師の意見を求めることなしに、自分の経験だけで診断を下してしまう。中高年の患者が手足の痺れや視野狭窄を訴えたら、彼らは脳卒中を疑います。ところが、若い患者だと発生症例の少なさを理由に、頭から脳卒中じゃないと決めてかかるのがその典型です」 ※週刊ポスト2011年12月2日号 (引用終わり) この中で私が「その通りだなあ」と痛感したのが、「 医師の多忙さが誤診を生む温床ともなっている。一人で診察しなければならなかったり、雑務も含めて忙しい医師は、学会に参加できる機会が限られ、医学雑誌や論文を読む時間もありません。これでは最新知識を得るチャンスが少なくなります。」という部分でした。 私も一人で診察をしている地方開業医であり、常に自覚を持って努力をしていないとあっという間に最新の医療レベルから取り残されかねない境遇にいます。そのため、「常に普通の眼科専門医の倍は勉強する」ことを自らに課しており、具体的には5年間で100ポイント、つまり1年間に20ポイント取れば良い眼科専門医更新に必要な単位(各種の学会や勉強会・雑誌への参加や発表などで得られる)を最低その倍の40ポイントは取る様にしています。また全ての勉強会では常に一番前の席に座り集中して勉強するようにしています。 ちなみにこの1年では、 50ポイントを獲得し、今年も目標を達成しました。来年は更に上積みして60ポイントを目指しています。 これからも八幡浜地域の皆様に安全で快適な眼科医療を提供し続けて行けるように、日々努力をしていこうと決意しています。
2011.12.06
電気溶接の仕事を眼を保護せずにすると、人工光源から出るUVC(波長が非常に短くて眼に有害な紫外線)による、電気性眼炎(でんきせいがんえん)という状態を引き起こしてしまうことがあります。 具体的には、上記の写真のように黒目(角膜)の表面に細かい傷が入ってしまいます。かなり強い眼痛を伴うので、多くの患者様が慌ててクリニックに駆け込んで来られます。 先日もこの電気性眼炎の患者様が来院されたのですが、眼を拝見すると黒目(角膜)のキズだけでなく、白目(結膜)も異常なくらい充血しています。 私が「これはよっぽど目を擦られたのですか?」と質問すると、患者様が、 「職場の上司が、 すぐに目に牛乳を入れると良い というので、そうしました。」 とのことでした。 電気性眼炎に牛乳、これは眼の表面が痛んで感染に弱くなっている状況に追い討ちをかけることになるので、治すどころかむしろ危険と思います。なので、皆様も溶接で目を焼いてしまった時には、牛乳を入れるのではなくすぐに眼科専門医を受診する、ようにして下さいね。
2011.11.30
もうすぐ12月ですね。当院ではスタッフが頑張ってくれて、昨日から冬のイルミネーションを開始しました。 昨年との違いですが、クリニック側面の奥にいたトナカイが、 この1年でツタが成長して埋もれて隠れてしまうので、国道沿いに移動しました。 皆様もご覧になったら、イルミネーションの感想を是非また聞かせてくださいね。
2011.11.25
さて、平成23年11月6日(日)は、地元愛媛県松山市で開催された愛媛県眼科学術講演会に参加してきました。この日記ではあまり地元での勉強会については言及してきませんでしたが、もちろん以前から時間の許す限り積極的に参加しています。 特にこの講演会は事前に郵送されてきたプログラムの内容を見た瞬間に素晴らしい内容であることを確信し、「その日、自分の葬式でない限りは絶対に参加しよう!」と楽しみにしていたのです。今日はその内容をレポートしてみたいと思います。 なお、一部に専門的な内容を含んでいますことを御了承下さい。 特別講演が3題あったのですが、どれも明日からの日常診療にすぐに役立つ実践的で素晴らしい内容でした。1題目は「緑内障性紙神経症の診断と経過観察 コツと落とし穴」でした。ここで抜群に勉強になったのは以下の内容でした。 1. OCT(光干渉断層計)がないと診断できない視神経障害というのは確実に存在する。ただし、「ノンコン高眼圧症」ならぬ「OCT緑内障」の診断を下してしまうリスクもはらんでいる。それを避けるためにはOCT検査結果の「左右非対称性(緑内障のほとんどは左右非対称)」、また視野検査結果との「相応性」を確認することが大切である。(自分もOCT緑内障を量産しないように肝に銘じなくてはと思いを新たにした。) 2. OCTは素晴らしい器械だが、緑内障の進行判定に使うのはまだ危険。進行判定にはやはり視野検査が頼りである。そしてその視野検査をどの程度の頻度で施行すべきかについては、2008年のBJOに掲載された論文等から考えて、初回検査から緑内障の進行具合を示すグラフである「MDスロープ」を引ける5、6回目までは4ヶ月に1回が推奨される。進行スピードを把握できたらその後は6ヶ月に1回で良い。(以前から視野検査の頻度に悩んでいた。今回クリアカットに教えて頂いて本当に助かった。) 2題目は「フルオレセイン染色による眼表面疾患の見かた」でした。ここで特に勉強になったのは以下の内容でした。 1. フルオレセイン染色検査では、水滴を良く切って眼瞼縁にソッとつけるようにして無駄に涙液量を増やさないように意識することが検査の正確性を保つために大切である。(基本事項だが忘れがちと感じた。) 2. Blue Free Filter(BFF)というフィルターを使うと、通常のコバルトフィルターでは見えないものまで観察できる。具体的には結膜の上皮障害が良く分かる。このBFFはほとんどのメーカーの細隙灯顕微鏡に装着できるので是非使ってみて欲しい。(後で講師の先生に聞くとフィルターは12万円くらいするとのことで、ちょっとぷちぼったくり気味かなと思ったが、早速自分のクリニックでも注文した。) 上記のBFFフィルターですが、早速当院でも注文して装着しました。 このBFFフィルターを通すと、今まで観察しにくかった結膜上のSPK(細かいキズ)がはっきりくっきり色鮮やかに見えて、ドライアイ患者様の診察にものすごく役立ちます。まだ装着されていない先生には強力にお勧めできるアイテムと思います。 勉強会の話に戻りますが、3題目は「外来でできる! 眼形成小手術のあれこれ」でした。ここで格別に勉強になったのは以下の内容でした。 1. 霰粒腫の切開では挟瞼器を使わないやり方もある。その方がトータルの出血量が少ないし、指で挟んで取り切れたかを確認しやすい。また鋭ヒをガーゼでくるんで取り残しがないかを確認すると良い。(自分も一度挟瞼器を使わずにチャレンジしてみようと思った。) 2. 涙小管炎は見逃されやすいが日常臨床で意外に多い。涙洗で通水は可能だが出血がある、涙点付近に炎症がある、そういった症例では綿棒2本で涙点を圧迫すると菌塊が出てくることがあるので、意識して診察すべきである。(自分もかなり見逃していると思った。明日から気をつけたい。) このように3題とも本当に勉強になり、明日からの毎日の診療ですぐに役立つエクセレントな内容でした。頑張って八幡浜から出かけて良かったです。
2011.11.23
先日のことですが「遠くも近くも見えないので眼鏡屋さんで何回もメガネを作り変えたんだけど、どうしても合わないので、ぴったりのメガネの処方箋を出して欲しい」との訴えで、高齢の女性が受診されました。 「とりあえず、今お持ちのメガネを見せていただきましょう。」と言うと、出るわ出るわ、メガネが4つも5つも出てきます。「これは遠近両用で作ったけど、頭がクラクラと痛くなるので使っていない」、「これはアーケードの中の人気のあるお店でしばらく前に作って一番マシだけど、でもやっぱり満足はしていない」、「これは近所に移動眼鏡屋さんが来てくれたので、行ってみたらメガネ作ってくれたんだけどあんまり合わない」、「これは大手チェーンの眼鏡屋さんで最近作って貰って、その時に合わないようなら眼科に行って処方箋を出して貰ったら無料でレンズを交換してあげると言われたやつなんだけど、キツイ感じのするメガネで使っていない」など、1つ1つチェックして見たのですが、どれも度数にそれほどの差があるわけではなく似たようなメガネです。 そこで目の方を診せて頂くと、白内障が高度に進行してしまっておりそれで目の力が落ちて、どのメガネをかけても見えない状態になっていたのでした。患者様は「見えないのはメガネが悪いせいだ」と思い込まれていたのですが、悪かったのはメガネではなく目の方だったんですね。こういう患者様は本当に良くいらっしゃいます。 眼鏡屋さんに行って「メガネが合わないんだけど」と言えば、眼鏡屋さんは喜んでいくらでもメガネを作ってくれます。なぜならそれが仕事だからです。 でもそれは、 床屋さんに行って「ねえ、髪の毛切ったほうがいいかな?」と質問するのと同じかもしれないのです。 床屋さんは髪を切るのが仕事ですから「切ったほうがいい」と答えるに決まっていますよね。(笑) つまり、メガネで目の全ての問題が解決するわけではないということです。何回もメガネを交換しても見え方が良くならない時には、ぜひ眼科専門医の受診も検討してくださいね。
2011.11.18
さて、いよいよその発売が迫ってきたドライアイの大型新薬、ムコスタ点眼液ですが、先日ようやくサンプルを戴けたので実際に試してみました。 ユニットドーズ製剤と言って、使いきりタイプの点眼剤です。早速開けてみましょう! おぉ、白色の濁り液です。うーん、これは溶けにくくてお薬の成分を目薬に仕上げるのに苦労したでしょうね。。。大塚製薬の開発者の方、お疲れ様でした。では早速点眼してみます。大型新薬ですので、院長の私はもちろんスタッフの皆も挑戦してくれました。その感想は、、、、 点眼した後、1分くらい目がかすんで見えない。 鼻から口にかけてかなりの苦味が来る。 あたりの、ネガティブな意見が最初に多く出ました。 添付文書にも苦味が多いということは書いてありましたし、ホリエモンではないですが、まあ「想定の範囲内」ですね。(笑) ただ、点眼後しばらく経つと、 なんだか目がスッキリした。 目がしっとりと潤ってきた。 目が暖かい感じで調子が良くなった。 など、やはりムコスタ点眼液のパワーを実感させるポジティブな感想が多く出ました。ムコスタ点眼液は、対照薬となった参天製薬の歴史的名薬の0.1%ヒアレイン点眼液に対して有意差を持ってドライアイ症状を改善するというデータが出ていますし、やはり力はありますね。 私の個人的な感想を言うと、「点眼直後のかすみや苦味は確かに弱点だが、それを上回る効果は間違いなくある! 少なくとも重症のドライアイに苦しむ患者様はトライする価値のある目薬である。」というものでした。 またこのムコスタ点眼液は、先行して発売されている同じ「ムチン産生促進薬」のジクアス点眼液とは作用の仕方が違うとの事なんですね。 添付文書には色々と難しいことが書いてあるのですが、ムコスタ点眼液が実際にどういう理屈で効くのかはまだ分かっていないとの事です。 ただ、ムコスタはジクアスの作用点であるP2Y2受容体には影響を及ぼさないことは分かっており、もしかすると、ジクアス点眼液とこのムコスタ点眼液を併用すると1+1=2のように、ドライアイにもっと効くのではないか?という期待も膨らんでしまいます。 いずれにしても、近い将来のムコスタ点眼液の登場が本当に待ち遠しいですね。
2011.11.09
しばらく前に朝のニュース番組をテレビで見ていると、「常識チェンジは何故起こる?」という興味深い特集をしていました。 この中では新しく常識になった例として、ハチに刺されたらおしっこをかけるのではなく冷やして病院へ行くこと、鎌倉幕府が開設されたのは1192年(イイクニ)ではなく1185年(イイハコ)に変わったこと、などが紹介されていました。 私も「へーえ」と思いながら見ていたのですが、その中で偶然眼科の話がありました。それは、「水泳後の目の洗浄はほどほどに」というものでした。その内容を具体的に見てみましょう。 番組ではあるスイミングスクールで、子供たちが水泳後に目を洗わないことが常識となっていることがまず報告され、それに出演者が驚いて「どうして?」と疑問を持つという流れでした。 そこで眼科学会の偉い先生が登場し、 プール後の目の洗いすぎが良くない理由を説明しました。 我々の眼の表面と言うのは、上から油層、水層、ムチン層(分かりやすく言うと納豆のネバネバのような層。眼の表面を守るのに重要な役割をしている)の3層があるのですが、目を洗いすぎるとこのムチン層が剥がれ落ちてしまい、 そこにバイキンが付きやすくなってしまうのです。 そのため大切なことは、水泳をする時には必ずゴーグルをつけて雑菌の多いプールの水が目に入らないように予防した上で、目の洗浄はほどほどにする、ということなんですね。 ただこの話で難しいのは、実は学校の教育現場では「水に慣れさせる」目的でゴーグルの使用を禁止し、付けずにプールの中で目を開かせる、という我々眼科専門医からすると卒倒しかねないような、危険で野蛮な行為が平気で現在でも行われているという事実があるからなんですね。ゴーグルを付けずにプールに入るのであれば、その後に軽く洗眼することは理にかなっている部分があります。 本当はゴーグルさえしていれば「水泳後の目の洗浄は不要」が正解なのですが、学校現場の実態を踏まえて「水泳後の目の洗浄はほどほどに」を正解としているのです。 ちなみに、私の日記ではすでに2009年の4月に、プール後の洗眼は悪影響 という題で、水泳をした後に目を洗うことは効果が無いばかりか逆に危ないということをお伝えしています。 以上をまとめると、 1. プールに入るときは必ずゴーグルをする。その場合は洗眼は不要。 2. 学校の先生が「ゴーグルしたらダメ!」と言うときは、仕方が無いのでプールを出た後に軽く目を洗う。 のが正解ということになります。皆様もこの「眼科の新常識」、是非覚えて置いてくださいね。
2011.11.07
さて第65回臨眼参戦記の続きです。10月10日(月)の続いてのインストラクションコースは、 「緑内障専門医養成講座 正常眼圧緑内障診断力のブラッシュアップ」でした。大変人気のある講座で立見の人もたくさんいましたね。 緑内障の診断には近年飛躍的に進歩したOCTという器械が絶大な力を発揮します。OCTの凄さについては 以前の日記 でも書いていますので、是非ご覧下さい。ちなみに当院では日本のトプコン社の名機3D OCT-2000を昨年導入済みです。 その早期診断力は抜群で、率直に言って我々眼科専門医の能力を既に超えています。そのため、緑内障診断で一番大切なことは「緑内障センサー」をアップさせて、少しでも怪しいと思ったらすぐにOCT検査をする、ということになっています。この1・2年で劇的に変化した部分ですね。 それ以外では、視野検査データを徹底的に読み込む技術 患者様が疲れたり寝てしまったりして(視野検査というのはしんどい上に単調で眠くなるんですね)きちんと正確に検査できなかった場合の視野結果のバリエーションの解説など、バラエティ豊かな内容でとっても勉強になりました。(続く)
2011.11.04
さて学会は10月10日(月)の最終日となりました。最初に参加したのは、 「レーシック術後集団感染の事例から倫理を考える」というインストラクションコースでした。 数年前に東京の某眼科で屈折矯正のレーシック手術の術後に多数の感染性角膜炎が発症したという事例があったのですが、それに関してどのような倫理上の問題があったのか?を分析するものでした。 手術に絶対はありませんし、不幸にも術後に感染症を発症する可能性というのはどうしても0%にすることは出来ませんが、上記の施設では感染症発生後も感染源の原因究明をせずに5ヶ月間に渡って手術を続けて被害を拡大させたこと、手術の利点・欠点を説明する「インフォームドコンセント」を全く行っていなかったことが問題だったとの指摘がありました。私も自ら手術をする立場ですし、これからも常に最善を尽くし細心の注意を払って行かなければならないと痛感しました。 さて、今日はそのレーシック手術の利点・欠点をまとめておこうと思います。 まず利点ですが、 1. 手術の痛みがほとんどなく、完成度の高い術式であること。 2. そのため術直後より良好な視力が出ることが多いこと。 3. メガネ・コンタクトレンズから開放されること。 4. 初期コストは高いが、長期的に見るとメガネやコンタクトに較べて割安になること。 5. 視力の長期予後も悪くないこと。 あたりかと思います。 次に欠点ですが、 1. 手術できる方には限界があること(近視が強すぎたり、円錐角膜といって黒目の形が特殊な方は危険が高くてできない)。 2. 術後にドライアイ症状が悪化することがあること(角膜知覚の低下による。ただし一般的には6~12ヶ月で回復する)。 3. 角膜拡張症(keratectasia)という、術後に黒目の一部が飛び出てくる重篤な合併症を起こすことが稀にあること。 4. 術後に感染症を起こす可能性が今回の事例のように0ではないこと。また角膜の一部を削り取ってしまう術式のため、術後には元の状態に戻せないこと。 5. 角膜が薄くなるので、術後に眼圧測定値が低く出る(平均2~5低下)ようになること。それにより将来的に緑内障を見逃されたり、緑内障の治療効果の判定が困難になる可能性があること。 などがあります。 いずれにせよ、レーシック手術と言うのは健康な状態の眼にメスを入れる、美容外科的な要素の強いものですので、しっかりした実績・十分な説明と同意・術後のしっかりしたメンテナンス体制のある施設で受けることが必要と思います。
2011.11.02
さて10月9日(日)午前中には、「近視予防の最前線」というシンポジウムに参加しました。 近視というのは世界的に見て我々日本人を含むアジア人に多いことが元々知られています。ところが例えばアメリカでも1999~2004年の近視の頻度は1971~1972年のなんと8倍!に増加しています。つまり、近視と言うのは世界的に増えているんですね。これはパソコンの急激な普及等で眼を酷使することが増えたのが原因の一つだろうと言われていますが、はっきりとした理由は分かっていません。 そして近視の中でも特に度の強い「強度近視」になると、網膜の萎縮・出血・はく離や緑内障などの眼の病気を起こす確率が跳ね上がることが以前から指摘されています。 そのため、いかにして近視の進行を予防するか、というのは大変重要なテーマとなってきています。このシンポジウムでは近視予防メガネやオルソケラトロジーによる近視進行予防効果の具体的なデータの発表があって大変勉強になりました。ただ、どの手法もまだ決定的!と言うほどの効果はないという印象も持ちました。 近視の進行のメカニズムはまだ完全には解明されていないのですが、現段階で注意できることもあります。それは、「度の強すぎるメガネは絶対にかけない、できれば少し弱め・ゆるめの度のメガネにする」ことかと思います。というのは、「度の強すぎるメガネの装用は近視を進行させるリスクファクターである」ということはどうも間違いなさそうなんですね。
2011.10.26
今日の日記は「第65回日本臨床眼科学会」参戦記の続きです。 さて本屋さんで思わぬ時間を取られた私はようやく器械展示場へたどり着きました。 臨眼の最大の楽しみの一つは実はこの広大な器械展示場かもしれません。1年で最も参加者の多い学会なので、それに対応して各検査・手術器械メーカー、製薬会社などが大量のブースを出店しているんですね。 会場にはこのように巨大な目薬のボトルが飾ってあったりして、歩いているだけでも楽しいです。ちなみにこの「ネバナック点眼液」というのは最近発売された白内障術後用の炎症を取る目薬なのですが、効果抜群の名薬です。ただし名前の通り、「点し心地がネバい」という弱点があり、患者様によっては点眼を継続できないこともあります。「いい薬にはそれなりに欠点もある」ことが多い、それが「目薬の法則」なんですね。 さて、器械展示場では日本の二デック社の「OPD-Scan III」という、角膜(黒目)の形や屈折力を調べる装置を見るのが目的でした。今年は新しい白内障手術器械を買ってしまったのでもう予算が厳しいのですが、来年以降で何らかの角膜形状解析装置のクリニックへの導入を目指しているんですね。 会場をウロウロしていると、私と同じようにランチョンセミナーの整理券を取れず失意に沈んでいる先生に偶然出会いました。お昼御飯は銀座の街に食べに行こうと約束して、ようやく本来の学会の目的であるシンポジウムに向かいます。(続く)
2011.10.24
当院では院長の私を含め全員が名札を付けています(当たり前ですが)。名札をつないでいるプラスチックの部分が切れてしまったので新しいものに交換しました。 名札にはスタッフが可愛くデコレーションをしてくれたのですが、 ↑ なんだかアザラシがたくさん貼ってあります。 私が「これはもしかして、私の体形がアザラシに似ているから?、、、、、」と質問すると、 「違います(笑)。今、アラちゃんとか、アザラシが流行っているからです。」とのことでした。あー、良かった。 ちなみに写真の上側の白いのが子供のアザラシで、下のゴマっぽいのが大人だそうです。しばらくはこの「アザラシ名札」で患者様とお会いすることになりそうです。
2011.10.21
さて明日10月7日(金)から10月10日(月)までの間、東京国際フォーラムで「第65回日本臨床眼科学会 通称:臨眼(りんがん)」が開催されます。 この臨眼、眼科では最大規模の学会であり、我々眼科専門医にとっては「1年で最大のイベント」です。現在日本には約13000人の眼科医がいるのですが、その半分は臨眼に参加するほどなのです。もちろん私も参加しますが、外来診療のほうは10月8日(土)まで通常通り行いますので御安心下さい。 ところでこの臨眼なんですが、先ほども書いたとおり全国の眼科医の約半数が学会に参加します。そのため、この期間中に目の大怪我や網膜剥離などの重い病気になってしまうと、緊急手術をしてくれる病院がなかなか見つかりません。実際私も数年前に臨眼開催中に緊急手術の必要な網膜剥離の患者様が来院され、搬送先が決まらず大変困ったことがありました。 ですので、「目がどうもおかしいんだよなあ」と感じている方がいらっしゃいましたら、是非早めに(明日ならまだかなりの眼科医は地元に残っていると思います)お近くの眼科専門医を受診されてくださいね。
2011.10.06
さて数年前から「出る出る!」と言われながら実際にはなかなか登場せず、一部では「出る出る詐欺だ!」とまで言われていた(笑)、ドライアイの大型新薬「ムコスタ点眼液」がついに近日中に登場します。 我々の涙には「油層・水層・ムチン層」という3つの層があります。その中の1つ「ムチン層」は、一番内側に存在する層であり、角結膜(黒目と白目)の表面を覆って涙液層を親水性にして、目を乾燥から守るバリアの役割をしています。 涙のムチン量が減少することでムチン層を覆う水層が不安定になってしまい、ドライアイ発症原因となります。この『ムコスタ点眼液』は、角膜や結膜ムチンの産生を促すことによって涙の安定性を図り、ドライアイに治療効果をもたらす点眼液です。 このムコスタ点眼液、まだ発売前ではありますが、私はまず間違いなく名薬だろうと思っています。 というのは、『ムコスタ点眼液』の有効成分「レバミピド」は大塚製薬が自社開発したもので、内服薬としてはずいぶん以前から発売されています。そして、胃潰瘍や胃粘膜病変に抜群な効果を発揮するベストセラー薬として知られています。 内服で良い薬は、目薬になっても良い。 これはほぼ外れたことのない、 目薬の法則 なのです。 先行して発売されている参天製薬のドライアイ新薬のジクアス点眼液 に続いてこのムコスタ点眼液が発売になれば、日本のドライアイ治療は更に進歩することになるでしょう。同じ「ムチン産生促進薬」であるジクアスとムコスタ、果たしてどちらがより効くのか? 非常に興味深いですし、発売後のガチバトルが楽しみですね。
2011.10.03
1000万人以上の使用者がいると言われる、コンタクトレンズ。その購入形態は様々で、眼科専門医で処方されている方もいれば、インターネットの通販で安く購入されている方もいます。ネットで購入されている方の中には、「そういえば、もう何年も眼科にはかかってないや。」という場合が意外に多くあるのですが、コンタクトレンズというのは目に直接入れる高度医療機器であり、常にばい菌が付く感染症のリスクが伴っています。 特に日本というのは年間の寒暖さが激しく四季のある国です。季節に応じて様々な感染症が我々の大切な目を襲います。 そのため、 コンタクトレンズを使っている方は、季節の移り変わりごと、具体的には3ヶ月に1回程度は眼科専門医を受診して頂いて、目に異常が出ていないかを確認することが大切です。 かけがえの無い目の健康を守るため、是非覚えて置いてくださいね。
2011.09.20
さて、現在最も目に安全な「究極のソフトコンタクトレンズ」、ジョンソン&ジョンソン社のワンデーアキュビュートゥルーアイですが、いよいよ本日より、-0.5D~-6.0Dという良く出る度数が出荷可能となります。今までは一般的な度数でも出荷停止中のものがあり患者様に大変申し訳なく思ってきたのですが、今回の改善で状況はかなり良くなります。 復習になりますが、この「ワンデーアキュビュー・トゥルーアイ」 は、 「世界初のシリコーンハイドロゲル素材の1日使い捨てコンタクトレンズ」であり、競合他社は今のところまったく追随することが出来ていないことから、「世界で最も安全なソフトコンタクトレンズ」の名声を欲しいままにしています。 今回の出荷改善を機に、是非より多くの患者様にワンデーアキュビュートゥルーアイの別次元の快適さ・安全性を実感して戴きたいと眼科専門医として考えています。
2011.09.13
私がクリニックを開業している四国・愛媛県八幡浜市にもいよいよノロノロ台風が近づいてきました。今、診察室から外の国道を眺めても凄い風が吹いているのが分かります。 こんな日は当然のことですが、患者様の来院は極端に少なくなります。眼科は命に関わる診療科ではないので、受診動向に天気の影響がとっても大きいんですね。(笑) 今日は今までの手術記録をまとめたりとのんびりと過ごしています。台風上陸は明日なので、明日の方が更に外来は空いているだろうと思います。
2011.09.02
私は名古屋出身で昔から中日ドラゴンズの大ファンなのですが、今日は心配なニュースが流れました。以下に引用します。 プロ野球の加藤良三コミッショナーは1日、中日の井端弘和内野手(36)に 「アンチ・ドーピング規則違反」があったため、けん責の処分を科したと発表した。 日本人選手の規則違反は2007年に検査が本格導入されて以来、初めて。 球団には制裁金300万円を科した。禁止物質を含む内服薬の申請を2009年に 一度はしたが、球団が申請期間失効後の反復申請を怠っていたため今回の処分となった。(引用終わり) 井端選手はその技術だけでなく人格も素晴らしい選手で、ドーピング違反などするはずはありません。ネットの情報を総合すると、井端選手は元々強度の近視でコンタクトレンズを装用して試合に出ていたのだが、イニング間に目薬を点しても試合終盤には間に合わなくなるほどの極度のドライアイでもあり、視力矯正のために2008年からレーシック手術を3回受けた。しかし視力は思ったように改善せず、逆に角膜を削りすぎてほとんど無くなってしまい、すぐに炎症を起こして視力が落ちるような状態になってしまった。そのため球団に申請の上で、炎症を強力に抑えるステロイドの目薬を使用していたが、球団が反復申請を怠っていたため、ドーピング違反になってしまった、ということのようです。 なので、今回の事件はドーピング違反などというような大げさなものではなく球団の単純ミスであり井端選手が責められる様なことではありませんが、眼科専門医としては、ネット上の情報が正しいと仮定すると井端選手がレーシック手術を受けられたことに対していくつかの疑問があります。それは、 1. レーシック手術後は、角膜の知覚神経の一部が切れてしまうためどうしてもドライアイ症状が出やすくなる。井端選手が「イニング間に目薬を点しても試合終盤には間に合わなくなるほどの極度のドライアイ」だったのだとすると、そもそもレーシックを受けられるような角膜の状態だったのかに謎がある。 2. レーシックは角膜の一部を削ることによって視力回復を目指す手術だが、削れる量には限界があるため(全体の20%程度まで)、あまりにも近視が強い場合には手術の適応が無い。井端選手は強度近視だったこと、更に普通は1回で済むはずの手術を3回も受けていることから、角膜を無理して削りすぎて角膜拡張症(エクタジア)という、レーシック治療後に角膜が突出してきてゆがみが出ることにより近視・乱視が進行してしまうやっかいな状態になってしまったのではないかとも考えられる。つまり、近視の度数・角膜の分厚さから考えて安全にレーシックを出来るような目の状態だったのかに謎がある。 ということです。皆様もレーシックを検討される場合には、是非信頼できる眼科専門医に御相談下さいね。
2011.09.01
コンタクトレンズ処方を希望される患者様からよく戴く質問の一つに、「結局、目に一番安全で良いソフトコンタクトレンズはどれなの?」というものがあります。 この質問に対する私の答えは毎回決まっています。それは「ソフトコンタクトレンズでは1日使い捨てタイプが感染症が少なくて最も安全です。その中でもシリコーンハイドロゲル素材といって酸素をたくさん通すタイプのものが一番良いのですが、現在のところジョンソン&ジョンソン社のワンデーアキュビュートゥルーアイというレンズのみがその条件を満たしています。私はこのトゥルーアイを「究極のレンズ」と考えており私自身も毎日使用しています。他のレンズに較べると高価ですが、予算が許せば自信を持ってお勧めしたいと考えています。」というものです。 この「ワンデーアキュビュー・トゥルーアイ」 は 、 「世界初のシリコーンハイドロゲル素材の1日使い捨てコンタクトレンズ」です。競合他社は今のところまったく追随することが出来ず、製造元のJ&J社の技術力・総合力の高さをまざまざと見せつける形になっています。1日使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズは他社からもそれこそ無数に発売されているのですが、その酸素透過性の差から、商品戦闘力はまさに「格が違う」状態です。具体的には、コンタクトを1日使うと夜に目の渇きを自覚することが多いと思うのですが、この渇きが非常に少ないのです。実際に使ってみるとほとんどの方にその差を実感して戴けると思います。 そのため1日使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズに関しては、 まず、ワンデーアキュビュートゥルーアイを考える。なんらかの理由で無理な場合に、他のレンズを検討する、ということで良いと思います。 次に、このトゥルーアイの欠点ですが、 1. 値段が高い。 2. 従来型の酸素透過度の低いハイドロゲル素材のコンタクトレンズに較べるとやや固いので、患者様によっては違和感が強くて合わないことがある。 3. 実はこれが一番の問題なのだが、我々眼科専門医の高い期待を裏切るような商品の自主回収が続き(現在までに2回)、また製造ライン改修のため、今でも度数によっては生産中止の状態が続いていて、全ての患者様に処方が出来ない。 となります。このうち3については、9月中旬には一般的な度数については供給が可能になるという未確認情報があり、私も皆様の目の健康を守る眼科専門医として、その日を首を長くして待っているところです。 以上をまとめると、 1日使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズに関しては、安定・安全供給さえされれば、この「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」に勝てるコンタクトレンズは現状存在しないため、「これで決まり!」 です。 ところが、現在最も処方数が多く最激戦地の2週間交換タイプのコンタクトレンズになるとその様相は全く異なります。有力で戦闘力が高く出来の良い各社のレンズが揃っているからです。もしも皆様からのリクエストがあるようであれば、このタイプのレンズについてもいつか考えてみたいと思っています。
2011.08.30
いまや日本人の国民病とも言われる緑内障、これは見える範囲(視野)が欠けてくる病気なのですが、その治療には眼圧(目の底の血圧)を下げる目薬を主に使用します。 ところがこの緑内障の目薬というのは、大体において「しみる、さしにくい、おまけに値段が高い」の3重苦が伴っており患者様に大変不評です。更に悪いことには目薬には「緑内障を治す・良くするまでの効果は無く、ただ進行を食い止めるだけ」なのです。 そのため、最初は目薬をさしていてくれた患者様でも段々と「頑張っても治らないならつまらない。元々自分では全く自覚症状もなくて健康だと思うし、もう治療はやめたい。通院も今日で最後にして欲しい。」と言われてしまうことがたまにあります。言わないまでも心の中でそう思っている患者様はきっと多いと思います。。。。 でも、この緑内障、どうしても絶対に治療を続けて頂かなくては困る のです。以前にも書いていることなのですが、とっても大切なことなのでその理由を今日も改めて説明しましょう。 まず繰り返しになりますが、緑内障とは「眼圧(眼底血圧)がその人にとって高いことで目の神経が壊され、その結果として視野の中に見えない部分や見えにくい部分が出来てくる病気」です。 この緑内障による見え方を表す図としてパンフレットなどには、 よくこのような説明図が載っています。「こんな風に見え方が欠けていたら誰でも自分で気付くはずだろう。私は全然そんなことないし、先生は緑内障っていうけどほんとなのかな?」と疑っている緑内障の患者様がたくさんいらっしゃいます。 でも、実は、緑内障での実際の見え方はこのようなものでは全く無い のです。。。 上の図では道路に飛び出してしまったボールを拾おうとして、車の陰から子供が2人猛ダッシュしてきています。正常な方なら上記のように見えるのですが、もしも緑内障があると、、、、、、 初期でも車と子供達が消えてしまっています! これではなぜ道路にボールがあるのか全然分かりませんし、もしこのような見え方の人が車を運転していたとすると、最悪の場合子供達を車で跳ね飛ばしてしまうかもしれないですね。 緑内障が進行すると見え方は更に次のように変化していきます。 ↑ このくらいの見え方でも自分では正常と思っている患者様はたくさんいらっしゃいます。 お解り戴けたでしょうか? 実は緑内障というのは、 よほどの末期にならない限りは自分ではなかなか気付けない病気なのです。だから恐ろしいのです。 どういうことか別の角度から説明しましょう。 我々の頭というのは物凄く良く出来ています。視野が欠けてしまっても、頭でそれを補正することが出来るのです。そのため、上の図では本来見えていないはずの花びらがなんとなく見えるように感じてしまうのです。 そしてこの緑内障、良くはならないが悪くはなる のです。なので、出来る限り初期から治療を始め、その進行を食い止めて生活に支障が出ないようにする、ことはとっても大切なことなのです。 今でも毎月のように、「急に目の異変に気付いて我々眼科専門医のところに大慌てで駆け込んできたけど、すでに失明寸前で手遅れ!」 という患者様が多くいらっしゃいます。 現在緑内障を発見されて治療中の患者様は、実は病気をコントロールできているわけなのでとってもラッキー ということも出来るのです。なので、イヤになって通院をやめたりせず、是非我々眼科専門医と一緒に頑張ってくださいね。
2011.08.25
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