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November 9, 2020
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カテゴリ: 教授の読書日記
ジェイムズ・F・フィックスの『奇跡のランニング』(原題: The Complete Book of Running, 1977)という本を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。

 この本、ランニングの本として「一里塚」的な位置にある名著ということになっておりまして。ま、そもそもジョギングが流行し始めるのは、ヒッピー・ムーヴメント/カウンター・カルチャーの後、すなわち1970年代なわけね。その頃から、競うためのスポーツではなく、自分自身の身体と対話するという意味での運動が流行し始める。ジョギングもそうだし、ヨガとかフリスビーとか、フラフープとか、そういう奴ね。痩身のためのワークアウトが流行し始めるのは1980年代だから、ランニングっていうのはきわめて1970年代的な話なわけ。

 で、フィックスはニューヨークの出版社に勤めていた人なんですが、元々スポーツ万能で運動には自信があった。ところが不規則な生活が当たり前の出版社勤務で次第に太り始め、好きなテニスにも支障が出始める。で、コネティカットに引っ越したのを機に、何となく走り始めたところ、最初は全然走れない。でも、それでもしばらく走り続けていたら、段々早く、長く走れるようになってきた。そしてそれと同時に体調もぐんぐん良くなってきた。で、そうなったらもうランニングの魅力に取りつかれてしまい、フルマラソンを走るようにもなってしまった。

 で、そんな自分自身の体験をもとに、ランニングの魅力を語り尽くしたのが、本書『奇跡のランニング』というわけ。

 だから、本書には走ることのメリットがこれでもかというほど書いてあるので、これ読むと「そんなにいいのなら、自分もちょっと走ってみるか」ってな気にもなる。

 で、そんな「これから走ってみよう・・・かな・・・」というような気弱な初心者のために、本書は色々とアドバイスをくれます。例えば派手なランニングウェアとか着て、恥ずかしいなと思うかもしれないけど、周りの人はあなた自身が思うほどあなたの格好に注目してないよ、とか。あと、着るものはなんでもいいけど、靴だけは金を惜しむな、とか。

 あと、1970年代だと、まだランニング自体が珍しいからか、走っていると色々なトラブルに巻き込まれる。そんなときの対処法も満載です。

 例えば犬に出会って吠えられたり追いかけられたりした場合どうするか、とか。

 石を拾って投げるフリをするとか、アンモニアを薄めた水をぶっかける(ただ、飼い主の見てない時に限る)とか、様々な方法を紹介した後、フィックスが勧めるのは、「いよいよ犬に噛みつかれそうになった瞬間に奇声をあげて大暴れをし、気が狂ったフリをする」というもの。



 フィックスが勧めるのは、信号で件のクルマが停止した時、トランクに飛び上がり、そのまま屋根、ボンネットと走り抜け、鉄板にしっかり足跡を残して思い知らせてやることだそうで。(マジか!)

 それからランニングを続けていると、いつかマラソンの大会に出てみたいという気になる時が来る。そういうレースへの備えも、本書にはバッチリ書いてある。

 例えば、レースの前日にステーキを食べるというのは間違いで、むしろパンケーキやパスタを詰め込んだ方がいい、とか。ランニングで消費するのはタンパク質ではなく炭水化物だ、ということが分かったのは、実はそんなに昔のことではなかったんですな。あと、ランニング中に水を飲んではいけないというのは間違いだ、なんてことが書いてあるのを見ると、この時代までまだ「水は我慢」のトレーニング法がまかり通っていたんだなということが分かる。

 大体、スポーツ医学なんてもの自体、当時はまだ発達してなくて、普通の医者だと、ランニングで何か不調が生じると、「じゃあ、走るのを止めなさい」というばかりで、頼りにならない。だから、結局、ランナー自身が自分の身体と相談しながら、それぞれにとっての最適解を探っていかなくちゃいかんのだ、ってなことも書いてあります。

 あと、ランニングに関しては、肉体的な面よりも心理的な面からの研究がこれからもっと必要になるということも書いてあって、ランニングを精神的なスポーツと規定しているところも、この本の斬新なところ。

 あと、数あるマラソン大会の中でもボストン・マラソンは楽しみの点で別格なんですってね。で、そういうこともあって、ボストン・マラソンを走る場合のコツなんかもしっかり伝授している。

 ってな感じで、この本はランニングを愛する人々にとっては、実にこう、ランナーの気持ちにぴったりくるような本なんでしょうな。

 その他、業務上知っておくべき知識としては・・・

〇1976-7年当時、アメリカのランニング人口は2500万人、そのうち25000人がマラソン完走可能者である。

〇当時、ランニングの害を主張する医者も居た。(56)

〇マラソンよりも長距離をゆっくり走る「LSD(Long Slow Distance)」トレーニング法は、ドイツで開発されたが、それをアメリカで広めたのは『ランナーズ・ワールド』誌の編集者、ジョー・ヘンダーソン。ヘンダーソンは、もちろん、ヒッピー世代。(98、256)




 ま、そんな感じかな。

 ところで本書の著者フィックスは、「ジョギングの教祖」とまで言われ、アメリカのジョギング・ブームの火付け役になったにもかかわらず、1984年に心筋梗塞のために52歳の若さで突然死をし、その結果、自ら火をつけたジョギング・ブームに水を差すというマッチ・ポンプ的な残念なことになってしまったという・・・。

 本書にも、心臓病の人こそランニングだ、みたいなことが書いてあっただけに、フィックス本人の心臓発作での死は衝撃だったでしょうね。

 ま、そういう残念なこともありますが、とにかくこの本、1970年代のジョギング・ブームの原点ですから、そういう意味で、一読の価値ありでございます。



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Last updated  November 9, 2020 01:20:05 PM
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yanvalou@ Re:『スペクテイター』44号、「ヒッピーの教科書」を読む(07/14) ヒッピーの語源ですが、「ヒップスター」…
釈迦楽@ Re[1]:東陽一、長谷川和彦、そして田山力哉(02/03) 津田正さんへ  ええ゛ーーーー。そうだ…
津田正@ Re:東陽一、長谷川和彦、そして田山力哉(02/03) 田山力哉さんですが、私もその時代に授業…
釈迦楽@ Re:明けましておめでとうございます。(01/01) ゆりんいたりあさんへ  やあ、先日は楽…
ゆりんいたりあ @ 明けましておめでとうございます。 釈迦楽さん、いつも楽しいブログ記事あり…

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