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October 11, 2023
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カテゴリ: 教授の読書日記
ナオミ・イシグロの『逃げ道』を読み進めているのだけど、最初予想していたよりも、面白くなってきたかも。まあ、爆発的に面白いというほどでもないけれども。

 で、まだ3分の2ほどしか読んでないので、結論までは至らないのだけど、つらつら読んできて、何となくポイントだけは分かって来た。

 要するにね、ナオミ・イシグロの小説ってのは、主人公がすれ違う話なのよ。全部。

 主人公・・・というか、主要登場人物は、孤独な人なの。で、その孤独な人が、他者との交流というか、接点というか、それを求めるのだけれど、最終的にその試みは失敗する。だから、孤独な人は孤独のまま、置き去りにされるのね。すれ違う、っていうのは、そういう意味。

 そういう話は、よくあるのであって、構造としては平凡よ。

 だけど、非凡なところが一つある。それはね、その孤独な人は、遠慮がちに他者を求めているのではないの。すごく強く求めるの。で、そういう行動もとるの。で、彼/彼女の近くにいて、主要登場人物が強く求める相手も、その人物に対して関心がないわけではないの。

 だから、一歩間違えば・・・っていうのは変な言い方だけど、一歩間違えば、両者は堅く結びつく可能性はあるのよ。だけど、何故か、そうならないっていう。

 それはちょうど、形の合わないジグソーパズルのパーツが、互いに強く惹かれ合うんだけど、なにしろ元々隣合わせにならないパーツ同士なんだから、惹かれ合ったところでピタリとはまりはしない。そういう状況ね。主要登場人物はかなりエクセントリックな人だし、その相手の人もエクセントリックなので、惹かれ合っても合わないんだなあ。

 で、結果、二人は強烈にすれ違っただけで、別れてしまうと。そういうタイプの悲劇。というか喜劇。



 で、さらに思ったんだけど、よく考えて見ると、ナオミ・イシグロのお父さんであるカズオ・イシグロの『日の名残り』も、アレもよく考えて見ると、すれ違う話なのよ。主人公がエクセントリック過ぎて。本当は相手を強く強く求めているんだけど、結局、最後までピッタリはまることがないまま、終わってしまう。しかも、なぜすれ違うのかについての自覚がないという。

 となると、これはもうお家芸だなと。イシグロ家の。

 とまあ、そこまで見立てが出来たので、書評も書けたようなもんですわ。

 というわけで、面白くなくはないと分かったので、この短篇集、教授のおすすめ、と言っておきましょうかね。


これこれ!
 ↓

逃げ道 [ ナオミ・イシグロ ]





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Last updated  October 11, 2023 07:10:16 PM
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りぃー子 @ Re:「new born 荒井良二」展を堪能!(04/26) こんにちは、迫力と湧き出る力強さ、美し…
釈迦楽@ Re[3]:クタクタの誕生日(04/09) がいとさんへ  いやいや、あの頃が僕に…
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