前回のDay44では「…ing形」を動名詞と表記しましたが、今回は目的語の後を「…ing形」と表記します。その理由は、皆さんも動詞の「…ing形」には「動名詞」と「現在分詞」があることはご存知ですよね。しかし、最近の現代英語文法の傾向として著名な文法書ではこの区別を従来の文法書のように区別しない傾向にあるのです。私がメインで使用しているCGEL(The Cambridge Grammar of the English Language)でも従来のように区別せず、この2つをgerund-participial(動名詞―分詞)と表記しているくらいです。つまり区別せず1つの「…ing形」とするという傾向なのでしょう。私もこの傾向には賛同しているので、「…ing形」と表記するように努めています。また今回の「want + 目的語」 の後にくる「…ing形」を「現在分詞」と捉える人もいれば、「動名詞」と捉える人もいます。このような混乱を避けるためにも「…ing形」と表記する方が適切かとも思います。もちろん学習者の方はここまで考える必要はないですよ。
2)は「 …ing形
」(worrying) だから進行動作(述語動詞 want と同時に行われている動作)または継続的に行われてきた習慣的動作になります。つまり、ジャックの甥(you) はすでに心配しているのです。つまり、この構文はすでに心配している人に対して、「もう心配するな (I want you to stop worrying…)」という意味で用いられているのです。
[否定文]
1) I don’t want herto bringher dog to my home. 2) I don’t want herbringingher dog to my home. (私の家に彼女の犬を連れてきてもらいたくない)
日本語訳は同じように聞こえますが、1)は不定詞 (to bring her dog) だから動作は未来指向ですね。つまり、これから犬を連れてくる彼女のことについて「連れてきてほしくない」と述べているのです。 2)「…ing形」(bringing her dog) だから進行動作 (述語動詞 want と同時に行われている動作) または継続的に行われてきた習慣的動作になります。この1文だけを見れば、2通りの解釈が可能でしょう。bringing her dog を進行動作と考えれば、「もうすでに我が家に犬を連れて向かってきている彼女」のことを誰かに伝えている場面が想定できます。もう一つの解釈は bringing her dog を継続的に行われてきた習慣的動作と考えた場合です。つまりこの彼女は習慣的(頻繁)に犬を連れて来るので、「犬を連れて来るという習慣をやめてほしい」という解釈も可能ですね。I want her to stop bringing her dog to my home. という考え方です。
[肯定文]
1) I want themto standwhen the Minister enters. (大臣が入ってくる時、彼らには立ってもらいたい) 2) I want themstandingwhen the Minister enters. (大臣が入ってくる時、彼らには立っていてもらいたい)
肯定文の例文だと日本語訳にも違いが出てよりわかりやすいのではないでしょうか。 1)の「不定詞」to stand は未来の動作、つまり大臣が入ってきた後で立ち上がる動作。 2)の「…ing形」standing は継続的に行われている動作、つまり大臣が入ってくる前から立ち続けている動作。