学校で教えて欲しかった、こんな英文法!

学校で教えて欲しかった、こんな英文法!

2008年02月14日
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カテゴリ: 準動詞
Day 45 :久しぶりにサミト君スマイルの英語の学習を覗いてみましょう。

問題:テレビドラマ「24」の主人公ジャック・バウアーがシーズン6のあるエピソードの中で、事件に巻き込まれた甥がいろいろ心配していることを察し、「心配するな」とジャックが甥に言葉をかけたシーンのセリフです。このシーンでジャックは次のセリフのどちらを言ったでしょうか?

セリフ1) Hey, I don’t want you to worry about it.
セリフ2) Hey, I don’t want you worrying about it.


サミト君は中学校の英語の時間にイディオムのように覚えた「want + 人 + to不定詞」という構文を思い出し、答えはセリフ1)だと考えましたが、皆さんの答えはどうなりましたか?

実は、1)の英文も正しい英文です。しかし、問題のシーンで主人公ジャックが言ったセリフは1)ではなく2)のセリフだったのです。

セリフ1)を選んだ人は、サミト君と同じように中学校の英語の時間にイディオムのように覚えた「want + 人 + to不定詞」という構文を思い出したのではないでしょうか?しかし、実際には「want + 目的語」の後には「 to不定詞 …ing形 」や「 …ed形 」がくることもあります。今回の問題は「want + 目的語 + …ing形」の問題でした。

学校で習った「want + 人 + to不定詞」をイディオムのように覚えるのではなく、「to不定詞」「…ing形」「…ed形」がそれぞれ持つ本質的な意味をきちんと理解すれば、今回のような文章を見ても悩まなくなりますよ。

前回のDay44の「不定詞・動名詞の意味」を理解できた人は今回の問題も比較的容易にわかったのではないでしょうか?根底に流れる原則的ルールは全く同じです。

前回のDay44では「…ing形」を動名詞と表記しましたが、今回は目的語の後を「…ing形」と表記します。その理由は、皆さんも動詞の「…ing形」には「動名詞」と「現在分詞」があることはご存知ですよね。しかし、最近の現代英語文法の傾向として著名な文法書ではこの区別を従来の文法書のように区別しない傾向にあるのです。私がメインで使用しているCGEL(The Cambridge Grammar of the English Language)でも従来のように区別せず、この2つをgerund-participial(動名詞―分詞)と表記しているくらいです。つまり区別せず1つの「…ing形」とするという傾向なのでしょう。私もこの傾向には賛同しているので、「…ing形」と表記するように努めています。また今回の「want + 目的語」 の後にくる「…ing形」を「現在分詞」と捉える人もいれば、「動名詞」と捉える人もいます。このような混乱を避けるためにも「…ing形」と表記する方が適切かとも思います。もちろん学習者の方はここまで考える必要はないですよ。

前置きが長くなりましたが、今回の本題に入ります。

今回は「want + 目的語 + to不定詞 」と「want + 目的語 + …ing形 」の違いを説明しますね。

1) Hey, I don’t want you to worry about it.
2) Hey, I don’t want you worrying about it.


両者はそんなに大した違いはありませんので、どちらも使っても問題ない場合が多いです。しかし、きちんと本質的な意味を知った上で使いこなすことが理想ですよね。

1)の to不定詞(to worry) は皆さんもよくご存知の構文ですよね。前回のDay44で取り上げた不定詞の持つ意味を覚えていますか?不定詞が表す行為・動作が起きるのは、述語動詞より後(未来)になります。つまり、 不定詞は時間的に未来を指向する行為・状態

それに対して、2)の「…ing形」はその進行形という形からもわかるように、 述語動詞と同時に行われている行為・動作、または既に行われたか継続的に行われてきた行為・動作 を意味します。

簡単に言えば、
「不定詞」 ⇒ 未来指向の動作 (a simple event in the future )
a habit or an action in progress )

このことを頭に入れてもう一度問題文を見てみましょう:

1) Hey, I don’t want you to worry about it.
2) Hey, I don’t want you worrying about it.


1)は「 不定詞 」(to worry) だから「心配する」という動作は「これからすること(動作)」(述語動詞wantより後の動作)を意味します。つまり、ジャックの甥(you)に対して、この先(未来)、そのことについて「心配するな」という意味の未来指向で用いられているのです。

2)は「 …ing形 」(worrying) だから進行動作(述語動詞 want と同時に行われている動作)または継続的に行われてきた習慣的動作になります。つまり、ジャックの甥(you) はすでに心配しているのです。つまり、この構文はすでに心配している人に対して、「もう心配するな (I want you to stop worrying…)」という意味で用いられているのです。

問題文は確か、「事件に巻き込まれた甥がいろいろ心配していることを察し、“心配するな” とジャックが甥に言葉をかけたシーンのセリフ」でしたよね。

どうでしょうか?このように「不定詞」と「…ing形」の本質的な意味を理解するとスッキリでしょ!ウィンクもう少し例文を見て違いに慣れましょう。以下の例文はCGELから引用文です。

[否定文]
1) I don’t want her to bring her dog to my home. 
2) I don’t want her bringing her dog to my home.

(私の家に彼女の犬を連れてきてもらいたくない)

日本語訳は同じように聞こえますが、1)は不定詞 (to bring her dog) だから動作は未来指向ですね。つまり、これから犬を連れてくる彼女のことについて「連れてきてほしくない」と述べているのです。
2)「…ing形」(bringing her dog) だから進行動作 (述語動詞 want と同時に行われている動作) または継続的に行われてきた習慣的動作になります。この1文だけを見れば、2通りの解釈が可能でしょう。bringing her dog を進行動作と考えれば、「もうすでに我が家に犬を連れて向かってきている彼女」のことを誰かに伝えている場面が想定できます。もう一つの解釈は bringing her dog を継続的に行われてきた習慣的動作と考えた場合です。つまりこの彼女は習慣的(頻繁)に犬を連れて来るので、「犬を連れて来るという習慣をやめてほしい」という解釈も可能ですね。I want her to stop bringing her dog to my home. という考え方です。

[肯定文]
1) I want them to stand when the Minister enters.
(大臣が入ってくる時、彼らには立ってもらいたい)
2) I want them standing when the Minister enters.
(大臣が入ってくる時、彼らには立っていてもらいたい)

肯定文の例文だと日本語訳にも違いが出てよりわかりやすいのではないでしょうか。
1)の「不定詞」to stand は未来の動作、つまり大臣が入ってきた後で立ち上がる動作。
2)の「…ing形」standing は継続的に行われている動作、つまり大臣が入ってくる前から立ち続けている動作。

しかし、wantという動詞は未来のニュアンスをすでに持ち合わせているので、ふつうは未来指向の不定詞構文が多くなるのも事実です。頻度から言えば不定詞構文の方が断然多いでしょう。だから学校英語では「want + 人 + to不定詞」のようにイディオムのように覚えさせるのではないでしょうか?でも今回のように「不定詞」「…ing形」の本質的な意味を理解すれば、学校で習わなかったような構文に出会っても解釈できるようになりますよねスマイル

後は「習うより慣れよ」、つまり、この本質的な相違を意識しながら、より多くの英文に触れることです。次回も「不定詞」「…ing形」に関する問題を紹介しますね。

ではまた、 See you next time.

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最終更新日  2018年07月18日 02時30分54秒
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Re:「24」ジャック・バウアーのセリフ(02/14)  
なるほど~~~!!

5,6年前にこの形を見たとき、wantを知覚動詞のようなものととらえて考えていました。でもSamitoさんの説明に納得です。

-ing形にすることで動詞の表している事柄が時間幅を持つというaspect的な考え方をすればいいのですね。勉強になりました~!
(2008年02月14日 21時55分32秒)

お久しぶりです!  
KEITA さん
samitoさんのおかげで今ではほとんどの名詞は頭の中で処理できるようにまでなりました!
しかし一つ疑問で、iceとfruit(←何度もスミマセン笑)の違いです。iceが不可算なのはすぐに分かりました。氷の意味では一定の形がないからですよね。しかし、iceを辞書で調べると、「氷菓」というようになっていて可算扱いになっていたのですが、氷菓と言われると色々なものの具体的な形が見えてきます。しかし、ならばとfruitにスポットライトを当てると、まてよ?ということになるのです。これも氷菓の考えでいくと色々具体的に思い浮かんでくるのです。逆に今まで通り、「果物」というものは漠然としていてイメージが描けないから不可算。という考えからすると今回の氷菓も「氷菓」と聞いただけでは漠然としていてイメージが描けない・・・という結果「あれ?」ということになってしまったのです。教えて下さい!!! (2008年02月14日 23時59分48秒)

り~やんさん  
samito07  さん
り~やんさん、こんにちは。いつも楽しくブログ拝見させてもらってます。私もよくジェネレーションギャップを感じるこの頃です。というより最近はもうほとんど若者カルチャーについていけていないと思います。

wantを知覚動詞のようなものと捉える発想もよく理解できます。wantを使役や知覚動詞と同じ分類にしている日本の文法書をよく見かけることがあります。もちろん字のごとくwantは使役でも知覚でもありませんよね。ただwant+目的語の後に続く動詞の形が、使役や知覚構文とよく似ているのですよね。だから説明しやすいからだと思います。

私はどのような捉え方をしてもいいと思います。要は「…ing形」は進行動作(述語動詞と同時に行われている動作)または継続的に行われてきた習慣的動作ということを覚えておけばどんな構文でもよりよく理解できると思いますよ。

I want them standing when the Minister enters.
(立っていてもらいたい)[継続動作]
I saw them standing when the Minister enters.
(立っているのを見た)[進行動作]








(2008年02月15日 15時22分26秒)

KEITAさん  
samito07  さん
KEITAさん、こんにちは。名詞を処理する英語脳が随分出来上がってきたようですね。いい感じですね!

今回の質問ですが、KEITAさんの捉え方とおり、iceは氷の意味では水と同じように形がイメージできないので「不可算」で、氷菓と捉えた場合は個々の種類になります。つまり、シャーベットやアイスクリームのことです。これは具体的な形をイメージできるので「可算」になるのですよね。fruitもよく似ていますよ。fruitは通例総称的な意味で「果物」、これは具体的なイメージが描けないので「不可算」ですよね。しかし、種類を指すときは具体的なイメージを描けるので「可算」になるのでしたよね。The banana is a fruit. このfruitは果物の種類バナナのことですよね。だから具体的なイメージを描けるので可算になります。iceも具体的な種類なら可算になります。I ate an ice. (アイスクリームを食べた) 話し手このiceを最初からアイスクリーム(種類)として述べているのです。つまり自分の食べたアイスクリームだから具体的なイメージを描けますよね。
「氷菓」をスパーのアイスクリームコーナーにあるものと考えてみてはどうでしょうか?具体的なイメージが湧きませんか?

(2008年02月15日 18時37分13秒)

ということは・・・  
KEITA さん
ということはiceも「氷菓」という漠然とした意味では、fruitの「果物」という漠然としたものが不可算になるのと同様に不可算となるのでしょうか?種類という意味では確かに両方ともイメージ可能なのですが、となると「I ate a fruit.」(話し手は昨日食べたバナナという果物の種類をイメージしたので)ということも可能ということになるのでしょうか?教えて下さい!
(2008年02月15日 22時01分58秒)

KEITAさん  
samito07  さん
どうやらKEITAさんの質問を私がきちんと理解していなかったようですね。
「氷菓」という日本語がちょっとややこしいと思います。an ice「氷菓」はアイスクリームのことです(これは主にイギリス、カナダ・アメリカでは言いません)。種類と言ってもアイスクリームのことだから漠然とした意味にはなりにくいです。アイスクリームの種類を考え出したらたくさん出てきますが、この場合はアイスクリームのことです。だから、I ate an ice.は単にアイスクリームを食べたという意味です。カップアイスだとか、コーンアイスというような種類を言っているのではありません。それに対して「果物」には色々な種類がありますよね。 I ate a fruit.と言うとどの果物なのか聞き手には分りませんよね。だから、I ate a banana.とは言えますが、I ate a fruit.とは言えないのです。しかし、The banana is a fruit.は聞き手にバナナとわかるので可能なのです。

「I ate a fruit.」(話し手は昨日食べたバナナという果物の種類をイメージしたので)ということも可能ということになるのでしょうか?教えて下さい!

聞き手がイメージできる話し手の判断と考えましょう。この文は話し手にはバナナとイメージできるでしょうが、聞き手にはどの果物なのかイメージできませんよね。

I had an ice. は聞き手にもアイスクリームとイメージできるのです。


(2008年02月16日 11時17分25秒)

なるほどです!  
KEITA さん
なるほど!そういうことなのですね!納得できました!
またお願いします!! (2008年02月17日 00時32分02秒)

動名詞と現在分詞  
masa さん
こんにちは。動名詞ー分詞なんてはじめて聞きました。でも、to-不定詞と動名詞のことはよく理解できました。 
 ところで、その動名詞と現在分詞の違いを何か良い例題を出して教えてもらえませんか?samitoさんを含めこれを見ている皆さんも解ってらして、上記のようなことが言えるかもしれないけど・・・・
良い機会なので簡単で善いですからお願いします。 (2009年06月12日 21時04分00秒)

masaさん  
samito07  さん
「動名詞と現在分詞の違い」 ですが、これは大変良い質問です。多くの人が疑問に思うことだと思いますので、このコメント上ではなくブログに書きますので、ちょっとお待ち下さい。 (2009年06月15日 09時40分49秒)

またお願いします。  
masa さん
今晩は。
Last Sunday I tried making some Italian food for the first time , and it was delicious.
このtryのことですが、try to (V)で十分その意味を表すことができると思うんですが、本文では結果が明確に書いてあるから、try(V)ingを使うとある本に書いてあるんですけど、「結果が明示されている場合は ing」とあるんですがいまいちスッキリしないので、解説願います。 (2009年06月25日 21時47分53秒)

masaさん Part 1  
samito07  さん
Part 1
>Last Sunday I tried making some Italian food for the first time , and it was delicious.
>このtryのことですが、try to (V)で十分その意味を表すことができると思うんですが、

to不定詞を用いてもコミュニケーションにはおそらく支障はないでしょうが、厳密に言うとこの文は~ing動名詞が続きます。

>「結果が明示されている場合は ing」とあるんですがいまいちスッキリしないので、解説願います。

もう一度簡単に不定詞と動名詞の違いを確認しておきましょう。不定詞は「これからすること」(未来指向)、動名詞は「すでにしたこと」(中立または過去指向)という基本原則です。

この原則から考えると、I tried making のmakingは「すでに作ったこと」になります。つまり、try + ~ingは何が起こるか確かめるためにあることをする=~して(結果を)みる という意味を作るのです。

「結果が明示されている」というのは最後の and it was delicious.のことです。美味しかった、つまり実際に作った結果、味が美味しかった、ということですね。このことからmakeが「すでに作ったこと」という過去指向であることがわかります。だから例文は動名詞を用いるのが自然なのです。

ちなみに訳文は「はじめてイタリア料理を作ってみました。そして味もよかった」となります。

これに対してtry + to 不定詞 は「これからすること」(未来指向)なので、今回の例文のように and it was delicious.のような結果が現れると、不自然になるのです。

(2009年06月27日 03時37分39秒)

masaさん Part 2  
samito07  さん
他の例文でtry + 不定詞 と try + ~ing の違いをもう少し解説しましょう。

I tried to write to her, but I could not because I was too busy.
(彼女に手紙を書こうとしたけど、忙しくて書くことができなかった)[but以下はto writeの結果にはなっていない]

この文は手紙を書こうとしただけで、実際には書いていない、と言う意味。「書こうとする」という未来指向⇒不定詞

I tried writing to her, but she didn't reply.
(彼女に手紙を書いてみたが、彼女からの返事はもらえなかった)
[but以下はwriting(書いたこと)の結果になっている]

この文は、実際に手紙を書いたことになります。書いた結果、彼女から返事はなかったという意味です。動名詞の持つ過去指向「すでにしたこと(手紙を書いてみた)」という基本原則にあてはまりますね。

しかし、どちらの意味にも解釈できるような文もあります。PEUスワンでは、次の2文の意味にそんなに大きな違いはないと述べています。

1) I tried to change the wheel, but my hands were too cold.
2) I tried changing the wheel, but my hands were too cold.

私の解釈ですが、この2文はどういうことかと言うと、

1)タイヤ交換をしようとしたけど、手が冷たくてできなかった
2)タイヤ交換をしたけど、手が冷たくて結局最後までできなかった

1)はタイヤ交換をする前に、手が冷たいのであきらめた。2)は実際にタイヤを交換し始めたけど、手が冷たすぎて、やはり全部を交換することができなかった、おそらく1本交換したけど、また元に戻したような感じがします。

しかし、どちらの文も結局はタイヤ交換に成功しなかったという同じ事実を伝えている文になるので、どちらでもよいという解釈になるのだと思います。
(2009年06月27日 04時23分18秒)

ingと could  
masa さん
おはようございます。
samitoさんありがとうございます。でも、ぼくはまだまだ英文をたくさん読む必要があるようです。例えば、英文の中に ingがある場合、進行形、分詞か動名詞か時間がかかります。でも、samitoさんのを読む限り今ではing は~ingとただ読めばいいのか、でもそれは、違いが理解できてそのあとの話ですよね。ただ闇雲にingはingと思ってもだめですよね?
あと最近有名予備校講師の本で「 could 」についてはじめての記述を目にしました。 

 それが、例えば、couldはcanの過去形だが、現在ではcanとは独立した1つの助動詞でcanの弱めとして~かもしれない などという意味で用いられて、 
それでcouldを過去の意味で使う例外的な場合というのがあって
1 過去の一定期間を示す副詞が必要
2 過去であることを示す副詞が必要
3 時制の一致
 とあってただ できた じゃないんですね。samitoさんのpart2の文もnotだからかと、couldが目に入ったものでちょっと書いてみました。

(2009年06月28日 11時27分30秒)

masaさん Part 1  
samito07  さん
couldのような法助動詞はいずれこのブログでも取り上げる予定です。このコメント上では簡単に説明します。まず、法助動詞には一部例外を除いて過去形がないのです。よく知っているshouldやmightで考えるとわかると思いますが、これらは過去の意味で使いませんよね。意味的には現在または未来のことについて述べますよね。法助動詞の過去形は法助動詞+完了不定詞(have+過去分詞)という形で過去を表わします。

基本的に過去形はないと前述しましたが、例外の1つが能力のcanの過去形couldです。

例えば、At last she could pass her driver's test.

これを「ついに彼女は運転免許試験に受かることができた」と訳すと間違いになります。

過去における能力を表わすcouldは、過去のいつでもできたという「一般的(習慣的)な能力」を表わす場合に使います。
例:
When I was young I could climb any tree in the forest.
(若いときは森のどの木にも登ることができた)

*couldの代わりにwas able toも可

これがmasaさんが目にした1 過去の一定期間を示す副詞が必要 という意味でしょう。過去の一定期間というのがポイントです。

続く (2009年07月07日 14時07分53秒)

masaさん Part 2  
samito07  さん
しかし、Part1のような「ついに彼女は運転免許試験に受かることができた」のようなある過去の場面で一回だけあることをすることができたことを表わす場合には、couldは使えないことを覚えておきましょう。このような過去のある場面で一回だけできたことを表わす場合は、was able to, managed to, succeeded in などを使います。

couldとwas able toとの間にこのような相違が生じる理由を簡単に言うと、couldの本質は過去のいつでも望むときにあることをすることができたという「潜在能力」、つまり、現実に能力を実現したかどうかには言及していません。これに対してwas able toは「実現能力」、つまり、現実に能力を実現したという意味を含んでいるのです。

したがって、At last she could pass her driver's test. は she was able to pass her driver's test. となるのです。

さらに厄介なのが、この原則は否定文には適用されない。また、肯定でも知覚、認識に関する動詞にも適用されないことです。

I couldn't write it because I was too busy. [否定文]これは私のPart2の文ですよね。否定文はなぜ自由に使えるかと言うと、現実に能力を実現できなかった、つまり、現実に能力を実現したかどうかには言及していないことになるからなのです。

I could see him through the window. [知覚動詞](窓越しに彼の姿を見ることができた) 知覚「見る」と言う動作は能力ではないのです。盲目でもない限り、誰でももっているものなのです。つまり、「潜在能力」なのですよね。

どうでしょうか、簡単に書いたつもりでも、やはり長い解説になってしまいましたが、理解してもらえたでしょうか?
(2009年07月07日 14時10分34秒)

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