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2011.01.11
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カテゴリ: 小説
アルジェリアのオラン市にペストが発生して市が閉鎖され、医師や市民が保健隊を作ってペストと戦う話。
三人称。医師リウーが友人タルーの手帳を参考にしつつ物語を書いたという体裁。誰がなぜ書いたかという動機がはっきりしていてナラトロジー上のリアリティがあるのはよい。リウーを中心にして物語が語られるものの、リウーは主人公的役割でありながら自らの心情を吐露せず、すでに終わったこととして人物を俯瞰するように淡々と客観的に書いていて場面に情緒が乏しく共感しづらい。プロットがある類の物語ではなく、自殺未遂をした犯罪者コタール、神父パヌルー、新聞記者ランベールなど異なる立場の各登場人物のペストとの向き合い方やそれによって変わった死生観や愛情の変化がこの小説の見所となっていて、後半になって保健隊のメンバーやその家族の死に直面する後半からようやく小説として面白くなってくる。しかし登場人物が多くて誰が誰だかわかりにくい。またリウーが詳細に記述したのはいずれも男性の意見で、女性の意見について書いていないのは不自然な印象。単にリウーたちの保健隊の中に女性がいなかったというだけかもしれないけれど、隔離や死別で引き裂かれた家族や恋人たちの愛情を書くのに男性側からしか書いてないのはもの足りない。

★★★★☆

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最終更新日  2011.01.11 05:50:10
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