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2012.12.20
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カテゴリ: 小説
キワモノの父親の後を継いで百貨店の社長になった西垣順造がフランスかぶれのバカ妹やアメリカかぶれのアホ甥のいざこざに巻き込まれる話。
主人公の順造の一人称。文章は下手ではないものの構成が下手で素人なみ。全体の7割位が回想なんじゃなかろうかというくらい回想が多いうえに、時系列もごちゃごちゃしている。物語内における「現在」がいつなのかがはっきりしないうちに序盤からいきなり過去の回想が断続的に展開するのは技術的失敗で、これでは読者が物語内の世界を理解するためのメンタルモデルを形成できない。書くべきところへの書き込みが足りない上に、会社に行くまでトラックの後について車を運転する様子を描写するとかプロットに関係なくて省いてもいいような無駄な描写が多く、『パンセ』からの引用も浮いている。
解説で西尾幹二が「このような一見して出鱈目に見える順序不同の叙述を重ねて、それでもなお、自在に、作品をある大きな流れを伴った全体として構成して行く作者の物語作家としての才能は確かである」と言っているが、このリップサービスを言い換えると、破綻しかけている物語をなんとかまとめられて偉いねと坊ちゃんが拗ねないようにあやしているようなものだろう。作者が自由自在に書くのは作者の勝手だが、読者は自由自在に読めるわけでもなく苦労して登場人物の関係や出来事の因果関係を組み立てなおさなければならず、回想を多用する手法が読者の物語の理解を深めることに繋がらず読者を混乱させるのなら、それは芸術表現として有効な技法ではなく、文章の未熟さに無自覚で読者を軽視した作者のひとりよがりにすぎない。
主人公で語り手でもある順造の苦悩や葛藤がよく表現されているわけでもなく、主人公としても語り手としても中途半端な立ち位置で、自分語りをしたいのか没落しつつある一族の物語を語りたいのか、プロットがはっきりしない。そのうえ回想形式にしてしまったことで本来なら緊迫感があるはずのエピソードも味がなくなってしまっている。月並みな構造でも時系列順に一つ一つの場面を丁寧に描写して物語を書いていたらそれなりに読める物語に仕上がっただろうに、乱雑に回想を繰り返す構成のせいで全体が台無しになっている。西部グループの堤清二が書いた小説という権威付けがなかったらボツになるような出来ばえで、小説家の小説というよりは一種のタレント小説。

★★☆☆☆

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最終更新日  2012.12.21 04:58:48
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