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2013.11.01
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カテゴリ: 教養書
小説の起源、翻訳や描写の問題、海外の短編小説の読み方、海外の長編小説の読み方、自作解説など、東京大学での10回分の特別講義を書き起こした本。
小説はどのような技巧で作られたのか、読者は小説のどこを楽しむのかを、具体例をあげながら説明するあたりはわかりやすくてよい。作者の小説観がしっかりしていて、博識によって裏づけられた主張なので説得力がある。作中でとりあげられる小説のあらすじは丁寧に解説されているし、短編はまるごと載っているので、それらを未読でも十分に内容は理解できる。ただし作者の小説の『枯葉の中の青い炎』と『抱擁』の解説については、先に読んでおかないとよくわからないだろうし、ネタバレになってしまう。
小説を読まないビジネスマンや理系の人なんかは小説は時間の無駄だとか、役に立たないとか、どこが面白いのかわからないとしばしば言うけれど、それに対する答えがこの本の中にある。要約すると、フィクションはまじめに受け取るべきセンセーショナルな真理を含んでいて、我々が感じている現実の世界における苦渋や妙味をフィクションという形で構築して、文学を通して現実を見るのではなく、現実を通して文学を見て、文学に患わされない眼が世間を眺めてこそ文学ができあがるのであり、読むという行為は小説の中を流れる時間と我々が生きている時間が読書の中で一体化することで、それがリアルということで、我々が長編小説を読むのは、主人公の死と燃え尽きる生によって我々自身を暖めたいからなのだ。つまりは良い小説には死とか真実とか現実世界でまじめに考えるべき真理が書いてあって、我々は読書によって主人公の人生をリアルに感じることでその真理を昇華するわけである。ただ残念ながら実際はゴミみたいな小説が氾濫していて、こういう有意義な理想の読書体験は本好きでさえなかなかできない。
言葉で語られた講義の書き起こしだけれども、文章化するにあたってうまく編集してあるようで、読みづらさもなくその場で講義を聞いているような自然な文章になっている。最後にちゃんと索引がついてあるのも学術書としてよい。講義の内容がいいだけでなく、編集者もいい仕事をしていて、いい本になっている。唯一残念な点は、14回の講義の予定だったのに時間の都合で4回分割愛されているところ。
文学の要点や楽しみ方がわかるので、文学部の学生には一読の価値あり。辻原登のファンならより楽しめるだろうし、小説家を目指す人にとってもパスティーシュの方法など参考になるだろう。819円で東大の講義が拝聴できると思えば安いもんである。

★★★★★



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最終更新日  2016.06.04 18:02:36
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