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昭和57-59年に書かれた17編の短編と掌編集。
「旦那さま留守」は旦那さまな留守な間に召使ロボットたちな旦那さまな物まねして遊ぶ話。
「日本古代SF考」は文壇バーで古代文壇用語を使えないSF作家たちがベサツされる話。
「通過儀礼」は成人の日の晴着魔の掌編。
「句点と読点」は。や、の句点と読点を考察する掌編。
「東京幻視」は東京に行きたかったのに発熱して行けなくなった松太郎が東京を幻視する話。
「言葉と<ずれ>」は各章の登場人物の口調がずれていて、サラリーマンがざます口調、女子高校生は会社員口調、やくざが女子高校生口調、中年女性がやくざ口調で会話する話。
「きつねのお浜」はきつねのお浜が人間に化けてお尋ね者を捕まえるのに協力する話。登場人物が作者の原稿稼ぎに文句を言ったりするメタフィクション。
「点景論」はおれが尾行者をまこうとして乗ったゴンドラが壊れる話。
「追い討ちされた日」は幕府兵が逃亡していくうちにタイムスリップする話。
「シナリオ・時をかける少女」は時をかける少女のシナリオ版パロディで、時をかける少女の演技中に暴力中学生が暴れる話。
「退場させられた男」は物語の主人公のおれが物語から退場させられてしまう話。
「春」は春から連想するようなものを延々と自動筆記で書いたような話。
「妻四態」は妻が冬眠したり飛んだり卵を産んだり脱皮したりする話。夫の言葉だけが改行なしで書かれる形式。
「風」は戸を叩く音を風だといいながら夫婦がいなくなった息子たちについて会話する話。会話文のみの形式。
「座右の駅」は筒井の仕事場の机の上の駅から団体客が見学に来る話。
「遥かなるサテライト群」は衛星都市タイタンの長距離貨客船クルーのおれと仲間の恋愛話。
「串刺し教授」は崖から落ちて塀に串刺しになった教授の写真が週刊誌に載った事件を記者が調べる話。
●感想文体実験やSFや純文学風の短編などがあっていろいろアイデアが出ているので短編集として飽きずに読めるものの、これといって印象に残るほど面白いものはない。尾行だとか逃亡だとか『脱走と追跡のサンバ』で見たようなネタがいろいろあるけれど、構造主義的に筒井の物語のパターンを見ているようである意味面白い。「時をかける少女」を自分でパロディにしてもう一回原稿料を稼ぐのはさすが筒井というか、他の作家ならそういうことはやらせてもらえないんじゃなかろうか。あるいはまだ出版業界が儲かっていた時代だからくだらない原稿稼ぎのような文体実験とかもやれたのかもしれない。
辻原登『家族写真』 2026.01.10
伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』 2025.12.09
辻原登『Yの木』 2025.11.05