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2021.01.01
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あけました。しかし私は新年になったからといって何がめでたいのかよくわからないので、あけましておめでとうございますとは言わない。というわけで新しさについて考えることにした。

・人間はあまり変化していない

自然淘汰で遺伝子的に病気に強い人が子孫を残す遺伝的な進化は現在も進行中のようだけれど、人間の脳の大きさは一万年前から変化していない。しかし言葉や文字という新しいコミュニケーション手段ができたり、宗教や哲学などの新しい思想が生まれたり、戦争で新しい国家ができたり、新しい道具が発明されたりして、社会は変化してきた。人間にとっては新しい思想や物で環境が変わることが生活に重大な変化をもたらしているといえるし、人間は環境適応能力が高いからこそ他の動物よりも繁栄して環境を作り変えながら高度な社会を作れたわけである。となると新しくて良い物の出現は人間にとって喜ばしいことなのでめでたいといえる。

・新しいものはなかなかできない

20世紀は急激に工業化が進んで、車、飛行機、電話、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、ラジカセ、テレビゲーム、パソコン、インターネットとかが次々に発明されて、何か新しい物が発明されるたびに生活が劇的に変わった。電子楽器が発明されてヒップホップやテクノなどの新しい音楽もできたし、ペンタブレットの発明でイラストがデジタル化して質が向上したし、安価なデジタルカメラやビデオカメラが発売されて様々な映像が撮れるようになってデジタル加工ソフトもできた。その様々な技術革新が未来がもっといい社会になるという期待になっていた。しかし21世紀は新しい発明があまりなくなって、ムーアの法則に限界が来てパソコンの進化はゆるやかになって、iPhoneが新しいモデルになっても若干スペックが良くなる程度で機能が劇的に変わるわけでもないし、たいていの商品はコモディティ化して新製品だからといって新しい物でもなくなっている。ドローンや掃除機ロボットやスマートスピーカーは新しい発明といえるけれど、なくても困らない程度のものである。コンテンツビジネスは飽和してすでに語られたことを何度も語りなおしている段階に入っていて、どこかで見たような話だらけである。映画やアニメはデジタル化して技術的進歩があったけれど、内容は新しいわけではない。ゲームは3DCGの技術が進歩しても内容は人気作のナンバリングや旧作のリメイクが多い。YouTubeはバラエティ番組でやっていたドッキリや食レポや街頭インタビューやクイズを素人がやるようになって、メディアは新しくなっても内容が新しいわけではない。

・人間は同じ刺激には飽きる

人間は新しい刺激に敏感に反応するのに対して、同じ刺激を受け続けると反応が鈍くなる。田舎を旅行すると水や空気や景色が綺麗で野生動物がいるのに感動するけれど、しばらくすると慣れてしまっていちいち驚かなくなるように、人間は環境適応能力が高い分、刺激に慣れて飽きるのも早い。これはコンテンツビジネスにはやっかいな問題で、テレビ番組はネタ切れして飽きられて、テレビの真似をしているYouTuberも飽きられつつあって、プロゲーマーは毎日同じゲームをやってとっくに飽きているのに仕事として仕方なくゲームをやっていたりする。人づきあいも一種の刺激なので、人間に飽きることもある。2000年代に匿名掲示板やSNSが流行ったのは毎日新しい話題が投稿されて毎回違うユーザーが違う意見を投稿して飽きにくいからだろうけれど、結局は短文のやりとりでしかなくて似たような人が似たような意見ばかり言って飽きられてしまった。人間の思想はいったんできあがるとなかなか変わらないので、同じことを言うのはしょうがない。私のブログも同じことばかり言っているので飽きて見なくなった人もいるだろうし、それでよい。世の中にはいろいろな人がいるし、SNSも一期一会である。

・現代人は人生に飽きてしまった

現代人は電化製品がなかった頃よりも衣食住が足りて苦労せずに生きられるようになった半面で、必要に迫られて自分で創意工夫して発明することもなくなって他人が作ったものを消費するだけの存在になって、生きるのに飽きた段階に入ったのかもしれない。
厚生労働省の​ 自殺対策に関する参考統計資料 ​を見ると、30歳以下の青少年の自殺は毎年3000人程度いて、1990年代からあまり変わらない。パソコンやスマホができて便利になったり、新しいゲームや漫画が出たからといってそれが人生の希望になるわけではない。生きるのに疲れて自殺する人がいる一方で、やりたいことがなくて生きるのに飽きて自殺する人もいる。
庶民が地道に仕事を頑張っても中流止まりで、VUCA時代にはいつでも下流におちる可能性がある。学問も専門的になりすぎてごく一部の天才以外は新しい真理の発見ができないし、一生懸命勉強して博士になっても逆に仕事がなくて生活に困窮する有様である。いくら頑張っても現状よりも劇的によくなるような未来の展望が見えないことが閉塞感になるし、子供がいれば老後が安泰になるという幻想もなくなって、若者は結婚しなくなって、子供は自殺するようになった。若い世代の死因トップが自殺なのはG7で日本だけだけれど、たぶん自分の努力で新しい未来を切り開ける展望がないので若いうちにあきらめてしまうのだろう。20世紀の終わりにオウム真理教やライフスペースや法の華の新興宗教ブームが起きたのは閉塞感から逃れて救いを見つけようとした悪あがきのようなものだろう。しかし新興宗教という新しいものがよいものでなかったことは周知のとおりである。

・うわべの新しさよりも洗練が大事になる

新しいものがなくて未来の展望がなくて変わらない現状に飽きた人間がこれから目指す方向性はどこなのかというと、うわべの新しさよりも洗練を目指すべきだろう。他人と競争して有限の物や金や利権を奪い合うのをやめて、競争して技術や思想を洗練させる方向に向かえばその進歩の恩恵を受けられる人が多くなる。1人が趣味に耽るのは酔狂だけれど、皆が趣味に耽るようになればそれは文化になる。古代ギリシアで演劇が発展したり、戦国時代に茶道が発展したり、中世ヨーロッパで音楽や絵画が発展したりしたように、ある程度社会が成熟すると余暇が趣味に費やされて洗練されて文化になる。新しい物がない代わりに、洗練されたもので人生を豊かにすることで人生に飽きにくくなる。暇になった貴族が芸事を嗜んだり宗教家が修身したりして知性や理性を洗練させてきたように、庶民も食欲や性欲といった本能的な欲だけを満たすことをやめて生活を洗練させるようにすれば、つまらない日常の繰り返しから抜け出せる。
何かの趣味を始めれば、達人レベルに技術を洗練させたりマニアレベルに知識を充実させたりするのに数年はかかるので、その間は退屈しない。何かの趣味に1年間に1万円出す人が10万人いれば10億円の市場になるので、プロとして生計を立てられる人が何人か出てきて競争原理で質が上がるようになる。質が上がってその分野に興味がない素人にもよさがわかるようになったら、観光や輸出で外貨を獲得できる産業になって国益にもなってよいことだらけである。例えば新日本プロレスワールドの会員数は約10万人で月額999円で、その売り上げの中からイケメンやヒールなどの多様なプロレスラーの給料が払えて、昔のぴちぴちタイツだらけのプロレスと違ってコスチュームも技もパフォーマンスも洗練されて、日本のプロレスは外国人にも人気があるコンテンツになった。
機械や家電は機能は従来と同じでも省エネで壊れにくい方向に洗練させればよい。安くて粗悪で壊れやすいものを何度も買い替えるよりも、頑丈で良いものを長く使うほうがゴミが出なくてエコだし、商品が洗練されれば社会が洗練される。商品が壊れにくくなれば買い替えが起きにくくなるけれど、それはメーカーが物をただ売るのでなくてIoTとかで付加価値をつけて携帯電話やウォーターサーバーみたいな月額サービスやリースに業態転換すれば売上を確保できるだろう。
食べ物はジャンクフードをたくさん食べるのをやめて、料理を洗練させて少量のものでも美味しくて栄養があって満足できるようにすればよい。最初から食べすぎや飲みすぎを避ければ後で糖質制限だのの極端なダイエットをする必要もなくなるし生活習慣病になるリスクも減る。「カンブリア宮殿」で湖池屋はカルビーに対抗しようとして変わった味の新作ポテチを作って失敗して、方針を見直したことでポテチ本来のおいしさを追及した湖池屋プライドポテトが成功したと特集していたように、本当はうわべの新しさでなくて既存の商品の洗練が必要だったのである。
コンテンツビジネスは粗製乱造をやめて、似たような作品を何作も出さずにその分の製作費を1作に集約して時間と労力をかけて質を上げるほうがよい。ゲーム業界はそのやり方で巨額の制作費をかけて世界中で売れるゲームを作って成功している。粗製乱造だと飽きられるのが早くなって長期的なクリエイターやサポーターの育成にもつながらないし、ケータイ小説はそのパターンで数年で飽きられて趣味として定着しなかった。コンテンツビジネスは消費者がクリエイターにもなれて、ものを作る面白さを直接体験できて現代人の暇つぶしにちょうどよいビジネスなので、趣味として定着するように技術を洗練させるほうがよい。






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最終更新日  2021.09.28 20:39:33
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