人生とサムマネー
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「こんなに上がるとは思ってもみなかったねえ。」 大方の予想を上回り今年の日本株は4割以上上昇しました。 どの投資家の顔もほころんでいて、バブル崩壊後の長いトンネルを抜けた人々の表情にもようやく明るさが戻ってきたようです。確かに今年は殆どの金融資産が右肩上がりで値を上げた一年であり、投資した人がこれほど万遍なく報われた年は近年珍しいでしょう。 日本株以外でも、為替(ドル円:103円->117円)が円安となり、その恩恵を受け外貨投資(外貨預金・外債・外株)も相応のリターンとなりました。 テーマを追って資源株や資源国に投資した人は2倍以上の儲けを出したかもしれません。 BRICsも中国(上海・シンセン)はダメでしたが、今年注目を浴びた中ではインドが5割上がり、ロシアに至っては2倍にまで達しました(円ベース)。上昇過程で目立った急落局面もなく調整は短期間に終わったことから投資家にとって極めて居心地の良い相場だったと思います。 買えば直ぐ上がる相場は気分のいいもので、デイトレーダーの中には10年分稼いだと自慢する人も多いようです。来年はどうなるか、経済関係誌が挙ってエコノミストの予想を乗せ始めました。 今年の年初と比べると楽観論が多数であり、悲観論はめっきり少なくなりました。但し、値上がりした土地や株価はバブルではないかとの意見があります。そんな警戒心の強い人を指して羹に懲りて膾を吹くと批判している人もいます。 どちらに軍配が上がるか、1年後の今日に再度見直してみたいと思います。予想は当欄の趣旨ではないのですが、投資を始めて間もない人や投資アドバイザーに向け老婆心ながら来年の注意点を一言書いて今年最後とします。投資を始めた方は値上がりを喜ぶ一方で、「もっと買っておけば良かった」、「あそこで思いっきり買っていれば今頃は・・・」などと考えていませんか。あるいは、「株の方が儲かったのに、毎月分配の外債ばかり買ってしまい失敗だったわね」 「一番上げたのは石油で潤うドバイ市場かな?来年はこういう所に投資しよう」と思っていないでしょうか。市場がどこもかしこも軒並み上げてくると人々が考えるのはリターンの大小ばかりとなり、大事なリスクを忘れてしまいます。急いで儲けようと焦り出し集中投資に走り分散投資を忘れてしまいます。 例えば、今年の40%超という日本株のリターンを見た私達は、来年仮に7%上昇と聞いても物足りないと感じてしまうのではないでしょうか。7%とは10年間続けば約2倍になる上昇率で、ゼロ金利に慣れた眼からは相当高いものです。しかし、今年の勢いを見てしまうともっと高いリターンが期待できるものはないか、自然と眼が他に向くことになります。 リターンが高いか低いだけで投資対象を選択する傾向となり、見通しが外れたときの備えが留守になりがちです。 膨れ上がった期待感で投資すればリスクの高いものに流れ、期待が裏切られればパニックに繋がりかねません。こういう時こそ自分の中の期待感(欲と云ってもいいでしょう)をコントロールすることが重要です。ついさっきまで、「ゆっくり時間をかけて着実に資産形成をするんだ」と云っていたのに、目の色変えて「次はどれが一番あがるのか」と探し始めたら危険信号です。 今年の成功が来年以降の失敗の原因とならないよう気をつけることが肝心です。必ずしも来年を弱気で見ているという意味ではありません。相場見通しではなく、投資の姿勢を問題にしているのです。バブルの教訓は、バブルであるかないかをそのとき判定することはできないということと、バブルに巻き込まれず、その崩壊の影響を和らげるには長期分散投資の考え方が有効であるということです。 長期分散投資とは株価の下げ局面だけのトークではなく、上げ局面でも自分に言い聞かせるべきルールなのです。それでは来年が良い年でありますように。
2005/12/31