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しばらく更新もせずですみません。このブログの長年の愛読者の方なら、「毎年の事」 って事情もわかって下さっていると思いますけども、毎年の事ながら、暑さでPC稼働率が激減状態なんです先日、ある患者さんのご家族からこんなメールが届きました。抗癌剤治療の止め時の相談です。日常のケアをお願いしている看護師さんから、こんなお話があったそうです。 「今は、穏やかでお元気で一番良い状態の時。 抗癌剤治療が上手くいっている時。 だけど、今後は変わっていくでしょう。 抗癌剤治療で苦しんだり、QOLを落として時間を過ごした患者さんを 何人も見てきたから言いますが、今から、 治療を止める頃合を考えてみてください」こんな内容だったようです。患者さんやご家族の考え方一つですが・・・という言葉もあったようです。この看護師さんのお気持ちや考え方は、実に最もです。治療が時間や自由を奪うようであれば、本末転倒というもの。そんな治療なら、放棄して余生を穏やかに過ごす・・・これが理想というもの。私自身が、共感するものがあります。私も沢山の患者さんをみてきましたからね。時に抗癌剤は過酷ですし、患者さんの自由を奪います。手術がQOLを低下させることもあれば、感染症や合併症といったリスクは実に侮れません。それを知っているから、敢えて薦めない事もあります。患者さんの中には、「何時かはホスピス」と治療が出来なくなった時を踏まえて、語った方もおられました。だけど、実際にそれを遂行した患者さんは皆無と言えます。ゼロではありません。実際に、理想の生き様を通した患者さんもおられました。でも、本当に少ないです。治療法がもうないと言われ、何年も通院していた大学病院を追われ、提携病院に半強制的に転院されたこの患者さん方は、皆さん、また大学病院に戻ることを切望していました。治療を望んだのです。あれほど辛いと嘆いた抗癌剤治療を受けたいと。「何時かはホスピス」 と言っていたのに、この時はもうそんな言葉など出てきませんでした。この時、私は知ったのです。人には、死ぬことより辛いことがあるのだと。それは、希望を失うこと。例え、その治療が命を奪う結果になっても、時間を縮める事になっても、それまで治療が成功していた患者さんにとって、癌治療は、希望そのものなんです。希望のない時間を過ごすくらいなら、治療で命を縮める方がマシ、何もしてくれないより良いと言った患者さんがいました。この患者さんにとって、希望を失う事は死よりも辛いことだったのです。この気持ちを愚かと言うなかれです。最期に救って欲しいのは、命より心・・・これが人間という生き物なのだから。こんな話を書けば、異議を唱える方もおられるでしょう。元気な時は、いくらでも理想は語れるものです。人の心は、その時になってみないとわかりません。人間というのは、手を尽くされて初めて、愛されていると思える事もあるんです。私にも理想はあります。これだけの症例を知っているからこその理想がね。ちょっとした医療関係者並です。だけど、これまでの誰よりもきっと私は醜くジタバタする気がします。そうやって、残す人に命の尊さを見せ付けるのかもしれません。そうそう、このメールに対しての私の答えですけども、例え、人から見て愚かであろうとも、本人の意思を尊重してあげて下さい・・です。ご本人の意思が明確であれば、結果はどうあっても、それが正解なんです。愚かと言うべからずです、人間なんて所詮、愚かな生き物なのだから。
2014年07月27日
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TS-1服用を止めてから、3ヶ月後に再発が認められたあのスキルス胃癌の患者さん(女性・40歳前後)の経過はざっとこうです。彼女、スキルス胃癌の手術を受け、その後8年の時を経て腹膜播種で再発しました。8年も経った事から、スキルス胃癌でも完治したとお墨付きを貰って直ぐの事でした。それから、米村先生のもとへ来られ、腹膜切除及び術中温熱化学療法を受けたのです。腹膜切除の手術から3年が経ち、その後服用を続けていた TS-1 卒業となったのですが、ご主人の言葉を借りれば、 「米村先生の許可を得て、TS-1の服用を止めました」とあったので、ご本人が米村先生に申し出て止めた事が伺えます。止めたくて仕方なかったのでしょう。無理もありません。残念ながら、TS-1 を止めて僅か3ヶ月での再発となってしまったのですが、この時、米村先生と私の中で、思い浮かんだ患者さんがいます。4~5年前に旅立ったスキルス胃癌の女性患者さんです。この彼女も、スキルス胃癌の術後3年で腹膜播種で再発。その後、米村先生のもとで腹膜切除及び、術中温熱療法を受けました。術後の抗癌剤治療はTS-1服用です。この彼女がTS-1の服用を開始したのは、未だ、TS-1 が新薬だった頃です。癌専門病院か、大学病院でなければ処方されなかった頃で、症例数は、治験の数くらいのものでした。だから、長期服用患者さんの症例など存在せず、服用期間は手探り状態でした。再発のスキルスだし、何れまた、再発してしまうであろう可能性が高く、敢えて、服用期間など設けずとも、再発するまで服用・・・これでいこうと米村先生は考えていたんです。それが。。。2年経っても、3年経っても再発しない。更に、4年が経ち、5年が経っても再発しない。こうなると、もう、米村先生ご自身も何時止めさせて良いのかわからない。そもそも、こんなに長く再発しないのは正直、想定外。こうなると、TS-1を飲んでも、飲まなくても同じなんじゃなかろうか・・・もしかして、完治ってヤツじゃなかろうか・・・何せ、前例がない。当時、TS-1を5年も服用した症例自体が存在しない。彼女は完治したと思いましたねぇ、米村先生も私も。この思いは確信となりました。私、この患者さんとは何度かお会いしていて、病院で偶然会った時は、 ひろりんさぁ~んって笑顔で手を振ってくれたものです。元気でしたよ、会う度、何時もね。彼女が腹膜切除の手術後、できなかった事と言えば太ることくらい。痩せてはいたけど、体力だって人並みにあったし、仕事だってしてました。5年TS-1を服用したこと、元気なこと、再発の兆候など全くないことから、彼女もようやく、TS-1 卒業となったんです。ところが。。。それから腸閉塞で再発となり。。。この時は、完治したと確信していただけに、米村先生も私も相当、打ちのめされました。でも、この時はTS-1の服用を止めたからだとは思わなかったんです。ですがこの春、TS-1 服用を止めて3ヶ月で再発したあの患者さんの事があってから、この彼女を筆頭に、次々と、過去の符合を思い出したんです。そう言えばあの人も、この人も、TS-1 の服用を止めて間もなくの再発だった。。。と。それに、手術前に抗癌剤を止める期間が大体、1ヶ月ありますが、この止めている期間に、進行が見られる患者さんも何例かあります。抗癌剤は癌幹細胞には無力です。いくら抗癌剤治療をやっても、癌は治らない。癌幹細胞を死滅させることはできません。ですが、活性化した癌細胞を切除した後、取りきれなかった癌幹細胞を眠らせておく事はできるのかもしれない。。。また新たな謎が生まれました。
2014年07月19日
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思えば・・・先日書いた、偽粘液腫の患者さん(40代・女性)の話ですけど、彼女から久しぶりに電話があったのは、GW の頃です。ご自分の体調不安からの電話ではなく、癌友の再発を知り、慌てて電話をかけてきたんです。 ○○さんから再発したって連絡があって。。。 もう、ビックリしちゃって、頭真っ白になってしまってぇ。。と癌友を心配して電話をかけてきたんです。この頃、○○さんのご主人からは、連日、電話やメールが届いていて、○○さんの状態の詳細は把握していました。ですが、それは伏せて話をしました。 「○○さんのご主人から、話は聞いてますよ。 今、地元の病院に入院中らしいんですけど、 ご主人、どうしても治療を積極的に受けさせたいようで、 米村先生のもとへ連れて行きたがっているんですが、 ○○さんが、病院を動くのがしんどいようで、 動きたがらないとか・・・」 えっ ○○さんが、行きたがらないんですか それは、相当、きついんですよ ○○さんが行きたがらないなんて、ありえませんもの 彼女、私なんかよりずっと強くて、凄い頑張り屋さんなんです 私だったら、そこまでできない・・って思うことでも やってしまう人なんですと言われます。そして、少し考えてから そんな状態でも、お見舞いを打診しても良いものでしょうかこういうタイミングでのお見舞いというのは、実に、デリケートです。デリケート故に、迷ってしまいます。自分だったら・・・と置き換えて考えてみたりします。でも、自分じゃないからわからない。会えるものなら会いたいという気持ちがあるから迷います。でも、会うことで大切な友を傷つけたくはありません。2005年だったか、こんな事がありました。スキルス胃癌(30代の女性)の患者さんがホスピスに転院した時、彼女の同僚達は、お見舞いをご主人に打診しました。ご主人から、「妻の気性から、会いたがらないと思うんですが・・」と私に相談がありました。ご本人に聞いてみては如何ですかと答えました。そしたらご主人の意に反して、彼女は 「是非、来て貰って」と答えたんです。よくわかっているつもりでも、人の心と言うのは親兄弟、夫婦でもわからない事もあるものです。だから、このGWの時も同じように答えました。ですが、この彼女場合はお見舞いの打診をやんわり辞退しました。その言葉は切ないようにも思えましたが、大切な癌友を思っての事だったのかもしれません。 「こんなになっちゃったから、お見舞いは遠慮する」今の自分を見せることは、癌友に不安を与えるだけだと思ったのかもしれませんし、元気な癌友の姿は、今の自分には辛すぎる、眩しすぎると思ったのかもしれません。ただ、ただ、体がしんどく、直ぐに疲れてしまって余裕がなかったのかもしれません。術後3年が経ったし、TS-1 を止めることは自分から望んだ事だったようです。やはり、嫌だったんでしょう、TS-1。皆さんそうです。副作用、辛いですもの。でも、止めて3ヶ月後に再発となれば、後悔の念が湧き出てしまいます。偶然なのか、必然なのか、わからないけど後悔があったことは確かなようでした。この頃、腹部に何となく感じる痛みに不安を覚えていた偽粘液腫の彼女も、TS-1 の服用を止めて3ヶ月だったんです。だから彼女の 「TS-1 は飲んでた方が良いよ」の言葉がずっしり重く私の心にも残ります。TS-1を止めて8~10年、今も何ともない患者さんも2人ほど知ってますけども。。。
2014年07月16日
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先日は、温かなコメントを頂きながら、お返事もせず誠にすみません。素直に嬉しいです。ありがとうございます元気ってヤツが出るもんですねぇ実は昨日、ある偽粘液腫の女性患者さんから、 ひろりんさぁん、やっぱり再発でしたって電話があったんです。先週からその疑いがあって、連日、電話やメールが届いていたんですけど、PET CT の結果が出たのが昨日でね。「先週からその疑い」 って言っても、現実に本人が異変を感じ始めたのは5月に入ったあたりから。CT や MRI を交互に毎月撮っていたんですが、これと言って問題も見当たらず、ただ、「ちょっと痛みが・・・」 ってご本人。もしや再発、ついに私も再発ってずっと不安になっていたんです。と言うのも、知り合う癌友は皆、再発していましてね。だから、今度は私ってずっと思っていたようです。特に。。。外来での長時間の待ち時間、いつも楽しくおしゃべりして過ごしていた癌友がいましてね。病気は違います。この彼女は、スキルス胃癌。でも、この彼女も再発してしまって、再手術は不能。一気に病状が深刻な状態に。その彼女、術後3年が経ち、本人の希望もあって、術後3年間服用したTS-1を卒業して数ヶ月後の再発だったんです。この癌友が彼女に残した言葉 「TS-1は飲んでいた方が良いよ」これがずっと頭から離れなかったのでしょう。ご自分も術後3年半経って、TS-1を卒業して4ヶ月目の異変でしたから。異変を感じて数ヶ月、でも、こちらの彼女は再手術の予定です。大丈夫、まだまだいけます過去にも似たような事はありました。私の本業(?)はスキルス胃癌ということもあって、スキルス胃癌の患者さんに限るデータですが、術後の抗癌剤治療、TS-1 の服用を止めて間もなく再発。。。こんな話は何度も聞いているんです。術後、補助化学療法と呼ばれる、再発予防のTS-1の服用に期間の決まりはありません。私の元には全国から相談メールが届きますが、この服用期間は医師の匙加減のようです。半年の方あり、1年の方あり、2年の方あり。。。私が知る限りでは、1年間服用が一般的であり、米村先生のように3年服用というケースは耳にしたことないです。腹膜播種というのは、再発率が恐ろしく高い。その再発率を下げる目的で、何かせないかんやろ。。。で始まった術後の補助化学療法。だけど、これが本当に再発を予防しているのかは不明確なまま。抗癌剤が体に与える影響や、経済的な問題もあり、できれば患者さんとしては、やりたくはないし早く卒業したい。これまでも、TS-1の服用を止めて半年以内に再発した・・・というスキルス胃癌の患者さんは何人か知っていましたが、「偶然」 だと思ってました。何せ、再発率が高い病気故、服用を続けても止めても「再発」は不思議ではない。だから、「たまたま」 だと思っていたんです。全体の数から見れば、決して大きな数字ではなく、もしかしたら、無視して良いほどの数字かもしれません。だって、こんな臨床試験はありませんし、ありえませんから比較検討しようなない。だけど、この「符合」が実に気になってきました。科学的な証明は、臨床試験がありえない以上、できないのだけど、せめて TS-1 の成分が、癌幹細胞を眠らせている・・・そんな証明ができれば、これは 「偶然」なのか、それとも 「必然」なのか・・・わかるのに。
2014年07月10日
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今年の春にメールが届いた、ある60代男性のスキルス胃癌の患者さんの話です。腹水が多量の状態でこの病気がわかりました。腹水が認められたということは、腹膜炎を起こしているという事で、腹膜播種であることは確実です。故に、手術不能で抗癌剤治療を開始。TS-1 + シスプラチン 療法です。治療が始まって少しした頃でしょうか、娘さんから相談メールが届きました。病状もさることながら、父親の性格や、自営業者であること、尚且つ、経済的な余裕がないこと、仮に、手術を受けられたとしても、仕事ができない体になるなら意味がないと本人が言っていること・・・そんなご事情が書かれていていました。こんな状況ながら、娘さんの立場としてはやはり、治って欲しいですし、やれるだけのことはしてあげたいから米村先生のセカンドオピニオンをと相談メールが届いたのです。どう考えても父の気性から、わざわざ遠い病院に転院など、父にとっては論外だと思うのですが・・・と、実現はできないであろう事を想定しつつ、娘として、駄目もとで話を聞きに行きたいご様子でした。自己満足に終わる可能性が高いと、この時、思っていたようです。私は、この時、娘さんの意を汲むことにしました。聞いていた、患者さんのご気性から恐らく、徒労に終わるであろうと思われました。だから、米村先生には、 「諸事情あって、話を聞くだけで終わりそうですが、お願いします」と言っておきました。それでも米村先生、 ええですよ~ と笑って快諾してくれました。それで、最初は娘さんが代理受診という形で米村先生の元へ話をききに大阪へ。その場で、米村先生が関東の自宅からより近い、静岡の病院の予約を入れ、ご本人が静岡の病院へ、話を聞きに来られました。静岡だって、この患者さんにとっては論外の場所だった筈です。それが、行く気になりました。と言うのも、抗癌剤治療を開始しても腹水が消えない。体調が全然良くならない。不安を体で感じたのでしょう。論外だった筈の病院に、話を聞きに行ったのです。そこで直接、米村先生の話を聞いたのですが、やはり気持ちは定まらず、娘さんから届いた報告では、この時は、今の病院のままで・・・という気持ちだったようです。ところが、数日して真逆の内容のメールが届きました。父が、温熱化学療法を受ける気になったと。それも、明るく前向きになったと。娘さんにとっては、それだけでも嬉しい出来事です。そして実際、治療が開始されました。一旦、腹水を抜いて、暖めた抗癌剤を還流させる手法です。抜いても直ぐに溜まるのが腹水です。1週間や10日程度で、また同じように溜まることが珍しくありません。それが、半月経っても溜まりません。多量の邪魔者がなくなっただけで、自由を得たかのように元気に連日、出かけるようになりました。まだ、治療は始まったばかりです。だから、先はまだわかりません。だけど、2ヶ月の間、あれほど苦しんでいた腹水からまだ、半月とは言え開放されたことは、喜び以外の何物でもないです。厳しい現実が消えた訳ではないです。腹水が溜まらなくなった体は、体重10Kg減です。どれだけ腹水に苦しんでいたのか、わかろう数字です。だけど、心も文字通り体も軽くなった今、患者さんの笑顔が増えたことは確かです当初は、娘さんも私も、患者さんの心が翻ることはないと思っていました。半ば、決め付けていました。だから、駄目もとで話は進みました。でも、当の患者さんの気持ちは違ったんです。どれだけ経験を積んでも、側にいるご家族でも、やはり、ご本人のお気持ちは、その時になってみないと、ご本人にさえわからないもんなんですねぇ。
2014年07月04日
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