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西浦和也選集 迎賓館【電子書籍】[ 西浦和也 ] 怪談話というか怪奇集というか、それはともかく、この本に盛られたことが本当の話だとすると、世の中には幽霊が存在することになる。 しかしながら、世の中の人は容易にその存在を信じない。 つまり自分の身の回りに起きなければ信じないのである。 本作に収録された話というのは、そちこちで聞いたことのある話だ。 子どもが住んでいないアパートで子供の声が聞こえるとか、同じアパートで落ち武者が歩く、ガシャン、ガシャンという音が聞こえる、あるいは、消したはずのテレビが映ったなどの話は今から20年ほど前に聞いた。 その話をまことしやかにしてくれた人は、今から8年前、定年退職したその年に、ステルス癌で亡くなった。 別のアパートの一室は、幽霊が住んでいるということで、今は誰も住んでいないよ、お札がいっぱい貼られている、という話は、今から6年前に聞いた。 そのレベルの話を本作は拾っている。 信じようが信じまいが読み手の勝手よ、ということだろう。 私は、信じる信じないよりも、先ほど来の話をしてくれた人が、親しい方々なので、そういうことがたしかにあったんだろうなと思う。 またそのエビデンスを求めたいなどという気持ちにはならない。 少なくともこれらの話をしてくれた人には悪意はない。 たしかな自分の経験を語ってくれたのだ。 ひとつわからないことがあるとすれば、なぜ見える人と見えない人がいるのかなということ。 見える人は、霊感が強い、などと言われるがね。 ちなみに後の話をしてくれた人は、まだ健在だ。(2/27記)
2024.05.28
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針の誘い【電子書籍】[ 土屋隆夫 ] 3つのつっこみ所。 その1。 そんなにうまく封筒が作れるか。 そもそも偽装すべき封筒の右の端っこにそんなにうまく宛名だけを書けるだろうか。 その2。 千草の鋭利な推理は、なんの証拠によるものか。 その3。 まあ、題名が題名だけに針という言葉がヒントではあるけれど、現金配達員が殺された時点で犯人が全部みろっとめろっとお見通し状態だった。 まあそれにしても時代背景を理解しないと、本作は読み切れないだろう。 ことほどさように世の中が変わってしまったのだ。 さて本人作においては、先述の通り千草の推理が中盤から独り歩きするのだが、この筋立てには、私は疑問を呈したい。 つまり本作における事件の解明は、はじめに仮説ありきで、証拠のない状態で、被疑者取調べにより、自供を得て、それに沿ってやろうとしていた。 これを梨割り捜査という。 二課でよく使っていた手だ。 それがもとで世紀の冤罪をこしらえたのがあの悪名高い志布志事件である。 あれから20年。 はじめに仮説ありきつまり筋立て捜査は違法と言っても間違いない常識になってきた。 だからまず捜査機関は証拠を得なければならないのだ。 本作の場合、優秀な千草検事の名推理が中盤以降披露されるが、読み物としては整然としているものの合理性にかけけると言わざるを得ない。 ここはまず読み手に証拠を呈示すべきでしたな。(3/29記)
2024.05.23
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怪談狩り 山の足音【電子書籍】[ 中山 市朗 ] さて本作には、Iさんという、多分稲川淳二と思料される人物も登場して、数々の怪談話を披露する。 だが、恐怖というものとは違う、なんかほのぼのとした話だ。 祟りも怪我で済んでいる。 だが、作者が大真面目で怪談話を狩っているということを考えると、実際この本に書いてあることは何らかの形で何らかの事案が発生していたことは間違いあるまい。 そう考えれば何らエビデンスはないけれど、霊は存在する、という意見を一概に否定するわけにいかない。 残念ながら私にはそういう経験がないので、面白い本を読んで、ああ、そんなこともあるのか、ということを考える他ない。 たしかにこの本を読んでいる最中は、怪談話は存在するのだと思ってしまうものな。 先ほどエビデンスという話を出したが、例えば幽体離脱に関しては、すでにその種明かしが報告されている。 また、種々の壁などに現れる幽霊話については、人間の認知能力がそうできているから、つまりほんの些細なシミも人間は顔として認知してしまう、のだそうで、それ故その家には幽霊がいついていますという話になるのだとか。 さて自分には怪談話がないなどということを書いたけれど、詳細に検討すれば、あるにはある。 心霊写真もあったし、金縛りも経験しているし、火の玉を見たこともあるし、神社に行けば、神の存在を感じるし…。 ということで実はこのシリーズは、怪談拾遺集と考えるべきもので、文学的にどうのこうのなどと考えるべきものではないということ、真贋はともかく、世の中に霊異はあるのだということ、を考えざるを得ないものだとなろうか。 救われるのは、怪我はしても死なないという一つの線がはっきりしていることかもしれない。(2/12記)
2024.05.14
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怪談狩り 黄泉からのメッセージ【電子書籍】[ 中山 市朗 ] 数多の怪談話を集めたもの。 それが本当のものかどうかはともかく、実をいうとこの怪談話で私はうっすらと涙が出てきたのだった。 本作は、死者の話だ。 だからなのだろうか、怖さよりも悲しさ、かわいそうさという方が先に出てしまったようだ。 不慮の事故により死亡した人の話は、何より悲しい。 戦争で死んだ方もある一種の不慮の事故により死亡した人だと思う。 何しろ私は、靖国神社に行っただけで涙が出てくるのだ。 そのメカニズムは詳しくはわからない。 そんなこんなで私は、神社を詣でる度、ここに神様がいらっしゃる、ここの神様は今外に出ていて社にはいらっしゃらない、などと感じる事が出来るようになったのだった。 その理由は実は死者のことを感じる事が出来るからなのではないかと思うようになってきた。 死者の話を聞く度あるいは読む度涙が出るのである。 本当は作者は、本書を読んでもらって恐怖を味わってほしかったんだろうが、私はただただ涙が出てくるのだった。 霊とか霊魂とかあるのないのという議論百出なのだが、なにしろ、エビデンスがないから、結局それらはないことになっている。 仏教でも、それらはないことで、話が進む。 なのに、なぜか怪談の主な舞台はお寺だけれども。 悔しい思いで亡くなれば、そこに怨念が残る。 それを私は感じているのかもしれない。 感じているだけで、何も見えないし聞こえもしないのだけれど。(2/9記)
2024.05.10
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学芸員・西紋寺唱真の呪術蒐集録2【電子書籍】[ 峰守 ひろかず ] 世の中には、 本編の後に、次作が続くシリーズものの場合、 例えば1の後の2、2の後の3とか、 続々編、 あるいは新などとつくそんな場合、 よく言われているのは、 第1作に如くべき作品はないというものである。 全てがそういうわけではないのだが、本作は確かに第1作 に比べて 見劣りするかな、 と思った。 ストーリー というのは、 男女があって初めて調和的になるのかな。 本作もその通り。 前作では、 指導員と単位をもらうべき大学生という間柄だったのが、 本作では、 雇人と雇われ人の関係になっていた。 徐々に徐々に縮まる2人の間は読み手をやきもき させる。 呪術に関する著者の蘊蓄は、 とどまるところを知らない。 しかしそれで果たして商業ベースに 乗るものなのだろうか。 私にはそうは思えない。 結局それは、 今の時代の特徴であるロングテールという話さ。 本作にはわけのわからぬ帰命宗などという 仏教系の 坊主も出てくるのだが、 こいつは最初から怪しかったね。 私自身最初から疑っていて、 こいつはきっと最後に何かあるぞと思っていたら案の定、やってくれたのでした。 しかし、 まるでシャーロック・ホームズのモリアティー教授のように彼は消息不明になるのだった。 結局、 相変わらず本作の流れは、 呪術の トリックを明らかにするというもの。 本作では結局霊的なものは出てこなかった。(2/5記)
2024.05.06
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警視庁アウトサイダー The second act 2【電子書籍】[ 加藤 実秋 ] ゴチャゴチャして何が何やらわからぬまま読了。しかしどうやらto be continuedのようだ。 ヒロインがなぜ普通のルートを経ずに研修刑事になったのかは次巻で明らかになるのだろう。 しかしそれにしてもその構想そのものがお粗末だな。 すべての物事はリアルの元に話が紡がれなければならない。 そもそも所轄の刑事がしている捜査は組織上にのせられ、共有されなければならない。 このそうあるべきことが全部無視されていることが本シリーズに大きな違和感を与えている。 もっとも私はこの作家にもこの作品にも何の期待も持っていなかったから、一言でいうとどうでもよろしい話なんだが、少なくともこの本を読了するために使った時間を私に返してほしい。 時間の賠償問題ですな。 ところで最近のミステリーの傾向だが、がぜん女刑事、女警察官が多くなったな。 流行なのだろうか。 それともジェンダーフリーからなのか。 話の中で活躍するのは男でも女でもどちらでもよろしい。 さて、本作、どうも作者は警視庁内部の権力闘争を軸に話を紡いでいるようだ。 そういうのもこの頃のミステリーの特徴だな。 やってみれば犯人は、刑事。 か。 まあそれにしてもずいぶんミステリーを読んでいるが、東野の後継が見当たらない。 その東野も紙の本論者だし。 kindle unlimitedが小出しにするミステリーより私の方が読むのが早いものだから、私の研究も停滞しているところだ。(2/5記)
2024.05.05
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なまなりさん【電子書籍】[ 中山 市朗 ]特に恐怖は感じなかった。 などと書くと自分に祟りが来るんじゃないかなどとおそれてしまう。 それはともかく本作は170ページほどの中編だ。 いじめにいじめられた女性が、今度は自殺して悪霊としていじめた双子姉妹を祟りぬく。 作者によれば、自殺した霊は、地上にさまよい、他の霊を吸収してパワーアップし、終いには手がつけられなくなるのだそうだ。 そんなことを読むと恐ろしいことこの上ない。 けれども、本作そのものは、特に怖い思いをしなければならないほどのことはない。 本作の主人公は、沖縄出身の魔退師。 悪魔の魔、退くの退、師匠の師で、魔退師だ。 彼が一生懸命悪霊を鎮めようとするのだが、なかなかうまくいかない。 作者によれば、 霊なんていうものは、あると思えばあるし、ないと思えばない。 ただ修行をすることで、普通の人が感じたり、見たりするものとはまた違う、何かを感知できるようになる、ということはあります。 そういう力がお役に立つなら、はばかりながらお力を貸しましょうというのが退魔師ですということなのだそうだ。 実はこのことは私に明確に現れている現象なのだ。 私は神社に行くと、この文章のような、何かを感じることがある。 靖国神社では、涙が止まらなくなってしまった経験がある。 他の神社でも、表現的には、この神社には、神様がいらっしゃる、いらっしゃらない、ということを感じる。 だがその姿を見たことはない。 ただこの文章のとおり、感じるのだ。 私のまわりには、父の義理の叔母が霊能者としておられた。 残念ながら、60そこそこにして亡くなられた。 霊能者はこのように短命の方が多いようだ。 あまりにも障りに触りすぎるからかもしれない。 本書のように、それは、見えるものではなく、感じるものだとすれば、私はにわかに霊というものの存在を信じてしまうのだった。(2月4日記)
2024.05.04
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ハーフ・ブラッドの沸点【電子書籍】[ 麻野涼 ] 泣きましたな。いや、泣かされたというべきか。 本作は長らく(と言っても昨年の作品なので、数ヶ月という単位か)Kindleunlimitedにあったもの。 この作家は、私は、ミステリー作家だと思っていたので、てっきりミステリーだと思って読み始めた。 なお、この作家のミステリーは特に面白いと感じたことはないので、忌避していた。 結局Kindleunlimitedで読むミステリーが枯渇してしまったのだ。 で、東野の作品は、紙の本だけだし…。 それはともかく、本作はハーフ・ブラッド、いま我が国ではハーフと言っている方たちの戦後から56年を経た復讐劇だった。 エリザベス・サンダース・ホームにおける、仲良しな七人組のうちの一人が当時のいじめっ子から殺された事件が軸になるのだけれど、それに、臓器移植の問題をからめ、彼らをいじめた殺人鬼は、日本国国会議員になっていて…という話。 差別という問題ですね、この愚を作家はついてきた。 それを件のいじめっ子に投影させ、国会議員をして語らせる。 ときはコロナ禍始まりのとき。 強毒新型コロナウイルスを横目に、真相を陽の目にさらすべく、記者やら弁護士やらが活躍する。 件の国会議員は、悪の手を次から次へと回し、延命を図ろうとする。 まあ、この延命策こそ彼が犯行を認めた証左ということになるんでしょうがね。 中国の臓器売買が世界を席巻するという筋立ても実に面白い視点だった。 ただ、私が納得いかないのは、件の国会議員が突然元気になったというところ、アル中で肝臓が完全にいかれていたはずなのに、いきなり元気になり、また酒を飲み始めた段では、私は絶対彼は臓器移植を何らかの形で受けたんだろうなと読んだけれど、結局作者は自然治癒的なことを書いていた。 彼、つまり麻野涼は、ミステリーでないほうがいい作家になりうるのかもしれない。 本人に言わせれば、ちゃんと56年前の殺人事件を出しておるから、本作は、立派なミステリーだっせ、ということなんでしょうけれど…。(2/4記)
2024.05.03
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学芸員・西紋寺唱真の呪術蒐集録【電子書籍】[ 峰守 ひろかず ] 世の中には色々な話があるものだ。 本シリーズは、 呪いというものに焦点を当てた作品である。 博物館の学芸員である西紋寺唱真のところに、 学芸員の単位を 取ろうとしている女子学生が来て、西紋寺から講義と、 実技 の指導を受ける 。 学芸員に関して著者はクソも味噌も一緒のような資格で 、 日本の博物館なり図書館なりの発展が阻害されているようなことを話す。 それはそれでいいけれども、 結局本作は、 この世に呪いはないということを重ねて正して行くわけだ 。 つまり西紋寺は、 研究者として、 実際自分が呪いの被害にあってみたいという願望を持っているのだ。 しかし西紋寺は、 その呪いのトリックを全部みろっとめろっとお見通し 状態、西紋寺的には全て物足りないと感じてしまうのだった。 ただ一人からどうやら西紋寺が 本当に呪いにかかり、顔色も悪くなり 歩くのもままならないような状態に陥る。 やはり世の中には呪いが存在するのだろうか… ? ここが本作では、 大きなポイントだろう。 全編、 呪いのトリックについて明らかにされて行く。 果たして読み手はそれで納得するのかしないのか。 ミステリー リーダーにとってはどうも物足りなさだけが残った。 まだ1作しか読んでいないので、 どうこう言うのは早いのかもしれないが、 全編パンチが足りない。 それが偽らざる感想である。 つまり ホラーでもないミステリーでもない、 いや、 作者 はこう言うだろうか、 その両方だとでも。 しかし本作はその どちらで読んでも、 物足りなさは拭いきれないそういう作品だった。(2/3記)
2024.05.02
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解剖探偵【電子書籍】[ 敷島 シキ ] あーあ、また不知の作家がやらかしたななんて冒頭思った。 けれど作者は、死体現象については実に詳しく勉強していた。 その点は大いに認める。 しかし、大きな欠点が数点ある。 その一つは、そもそも変死現場に刑事が臨場して簡単に自殺で片付けるほど日本警察の捜査方法は甘いわけがない。 むしろ本作のようなあまちゃん刑事の相田などとうの昔に首になっている。 変死現場では何より鑑識が一番。 現場鑑識が終わり、死体を搬送して司法検視をし、しかるべく解剖に回す等の手順なのだけれど、その点、この作家は全く理解できていない。 次、ミステリー作家としても問題点。 終盤どきりとする展開になった。 それはミステリーの掟破りをなそうとしていたからだ。 これはフェイクだったけれど、それでおわしたなら、本作は反則あるいは違反のそしりを免れない。 つまり、探偵が犯人というもの、この件は、ガストン・ルルーの黄色い部屋以外あってはならないトリックなのだ。 さすが作者、そこで思い返したか結局登場人物を消去法で余った人間を犯人に仕立て上げましたな。 この犯人性は、読み手から見てちょっと納得感がない。 それより先述の探偵犯人論のほうがまだ物語としては変に納得できできる話になった。 結局解剖医霧崎の出自というか幼い日の惨劇が終盤に用意されるわけなのだけれど、そのことについて、ほんとうはもっと早めに白日にさらしておけば犠牲者は増えなかったのではないのか。 刑事の目に殺された人の霊が見えるという逸話、これをこれからいかに活かすかが本編をシリーズ化するための大きな課題になりそうだ。(2/2記)
2024.05.01
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警視庁アウトサイダー The second act 1【電子書籍】[ 加藤 実秋 ] いやあ、これだけの最低の作品は読んだことがない。 とにかく、刑事法も知らないし、警察組織のことも知らない。 そもそも、警察組織を無視することが本作の肝だということならば、そのことをきちんと説明するべきだろう。 なぜ、警察学校を卒業したばかりの警察官が所轄の刑事課にすぐ入れるのか。 その辞令が警察学校の卒業式の折、警視総監から発せられるなどということがあるのか。 警察官の事務職とはこれいかに。 現場で命を張っている現職の警察官に対する侮辱ではないのか。 そもそも留置場を今は留置場などとは言わない。 留置施設だ。 そこに捜留分離の建前から、刑事は一歩たりとも入ってはいけない。 まして施設内での現金のやり取りなど厳禁だ。 これだけで、本作でいうヒトイチの対象行為になる。 即懲戒免職だ。 この作家の法律オンチが如実になるのは、逮捕して3日すれば勾留という身分に被疑者が変わるということなどと書いているところだ。 しかも本作のずるいところは、続編があることから、続編を読ませるべく、私が冒頭ありえない話について書いたところがなんだか大きな問題になるような書きっぷりをしているところ。 ヒロインの祖父が警察キャリアで、その天下り先が大規模開発に関し何やら悪だくみをしているようだということ。 そのために彼女がいきなりの変人事にさらされたということらしい。 しかしこの作家、こんな風な作風の作家でしたっけかね。シェアハウスだったっけかなんだっけかは忘れたがあの作品では面白おかしく事件を解明していったな。 そういやあ、本作で、万引きは生安の仕事だ、などと言い放つところも本当に気に食わない。(1/31記)
2024.04.29
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マインドエラー【電子書籍】[ 永山千紗 ] 一体何の話なんだ、だらだらだらだらと話が進み、殺人事件が発生するのは、ほぼ本の真ん中。 本件の伏線を作るため、本の半分も割いたっていうのか。 そして、殺人事件が起きたからって、果たして本作をミステリーと呼んでいいのだろうか。 だって、動機も機会も方法も確かに書いてはあるけれど、そのことの一つでも我々読み手に考えさせるものであればいいのだが、そんなこともなくただただ話がまただらだらと進んでいくのだ。 刑事も出てくるが、刑事法にしろ警察の組織にしろ、ほぼほぼ関係のない話だったから、なんともならん。 しいて言えば本件は少年事件だから、そのへんの詰めがちょっと甘かったかな。 結局、残ったのは、ストーリー性だけ。 前読の文書モノよりは話がぶっ飛んでいて面白かったとは思うのだが、冒頭から私が書いているとおり、本作のだらだら感は最後まで消しきれなかった。 私は、読書というのは決して時間つぶし暇つぶしの道具ではないと思う。 読書で何らかの思いを持つことができるのであればそれでいいのだと思う。 その意味で本当は、しっかりと自分の記憶に染み付いてくれればいいのだがと思うんだけれど、多分この記事を読む頃には、本作の筋などもう忘れてしまっていることだろう。 この読書の難しさよ。でも私はまだまだ読みまっせ。(1/27記)
2024.04.26
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灰の轍 警視庁文書捜査官【電子書籍】[ 麻見 和史 ] 黙々とミステリーを読み勧めているものだからあっという間にkindleunlimitedが枯渇する。 この文書捜査官も、シリーズ2巻で、あとはは有料だ。 マアそれはともかく、この作家のモタモタ感はなんともならん。 口説いといこと、書きっぷりが。 つまり文章力がない。 作家にとって文章力がないということは致命的だ。 この作家は強引な筋立てをしてしまう。 そこが西京的でもある。 西京症候群とでも言うのだろうか。 ただし、西京が刑事法を知らず、警察組織も知らないところ、この作家は、少なくとも警視庁の事務分掌を知っているらしいし、刑事法を知っているのか知らないのか、無駄な手続きを作品上に出さない。 それはとても賢明だ。 さてここまで2作を読んでみて、冒頭に出る、言葉、たしかに文書捜査官だからその意味をきちんと解釈しなければならないから、最初の導入ではとても大切なものなのだろうが、前作のダイイングメッセージといい、今回の犯行計画や、ゆにぞんころすげきやくしたい、という言葉、これ、最終盤で解釈するのなら、無駄だな。 そもそも我々ミステリーリーダーには、ころすしたい、などという言葉がきっと別の意味に違いないと考えるではないか。 そしてぼうっとではあるが、最終盤の解釈は全部みろっとめろっとお見通し状態だったのだ。 あと、筋読み論。 これは今や警察捜査ではやってはならないこと。 奇しくも理沙の多分今後もライバルであろう女性管理官の言に代表されるように、筋読みこそ、冤罪の原因、というのは正論だ。 それに理沙が、だから筋読みをして一つ一つ裏を取ることが必要だという反論は、それは違うんじゃないのか。 私は、このシリーズでは筋読み、ということも課題にして読んでみたい。 kindleunlimitedに早く入れてほしい、次作以降も。(1/27記)
2024.04.25
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永久囚人 警視庁文書捜査官【電子書籍】[ 麻見 和史 ] 副題が警視庁文書捜査官だから、そのとおり、残された文書とか、ミステリーではいわゆるダイイングメッセージなどの謎を解明することにより、事件の真相解明に資するものだ。 けれども、これまた読みづらい文章で、そのうえ飛んで行くのだ。 どうもこう言う書きっぷりは、私は苦手だね。 そもそもの謎は、ダイイングメッセージからなのだが、つまらん謎解きで、A BOYだって、ふん、なんともならんわな。 真犯人は、被害者がやられたとおりに、ワイヤーで体を締め付け、水攻めにする等々、そのとおりに連続殺人で仕掛けてゆくのだ。 そもそも、全99巻の小説なんて、そんなものを想像しただけで読むモチベーションがだだ下がり。 全巻最後の19章だけが変えてあり、エピローグでまたもとに戻るから、ものめずらしい本で、人が欲しがるんだと。 しかも自作本、つまり、印刷まで自分持ちだってさ。 そんな事読んだだけでもううんざりだ。 登場するのは副題の係。 警部補と巡査が女性。 警部補のほうが本ばかり読んでいる、このシリーズのヒロイン。 巡査は188センチ弱の大柄な女。 その間にいる男性巡査部長の矢代がこの二人の間に入ってまとめる。 相棒の薫くんのような役割を担う。 全編話が固くてつまらない。 ああ、また私は、もう一冊このシリーズの続きをライブラリに入れてしまった。 読むモチベーションがもうない。(1/25記)
2024.04.23
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ソウルハザード【電子書籍】[ 永山千紗 ] 話の端緒は、一家4人殺人事件。 そんな事件がなぜ起きたのか。 そして一家の中の長女の恋人が、真相に挑みつつ復讐を図っていく。 そもそもの原因は、あおり運転をした車に対する注意・指導に対する逆切れがあって、その際、注意した男が女の胸元を見たの見ないのの話だったわけだ。 逆切れ男は、それで収まらない。 結局冒頭の4人殺しを決行し、死刑になる。 登場人物は、いずれも家庭的に恵まれない人たち(殺された四人家族だけがまともだったか)。 その復讐がね、実に緻密で面白い。 この物語の良さは下手に警察が出てこと来ないところだね。 とにかく、全編ヴァイオレンスだ。 主人公村主は復讐を果たし、犯人夫婦の子供にも近づく。 この子は、犯人妻の妹奈々が育てている。 急速に接近し、一体何をする気だったのかな。 終盤、また新たな登場人物が出てきて、これと村主はタイにとび立ち、新生活を始める。 終盤の新登場人物、これ本当に必要あったんだろうか。 私はいらないと思うね。 むしろ村主の奈々(犯人妻の妹)と空(犯人夫婦の嫡子)に対する最終的な意思表示が欲しかったなと。… 永山千紗という人の作品は、もう一冊ライブラリに落としているのでまた読むことになる。 さあ、次も頑張って読んで、カテゴライズするかどうか考えよう。 私は、この一冊だけでも十分カテゴライズしてもいいのかなと思う。(1/23記)
2024.04.21
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遺留捜査 2【電子書籍】[ 市川哲史 ] 2は舞台を月島中央署に移して、そこの刑事課の面々の活躍が描き出される。 相変わらず糸村聡はKYなのだが、、糸村を大っ嫌いな佐久間も最後は彼に惹かれてしまう。 そもそも遺留品からその事件の背景を割り出そうというのだから、簡単なことではない。 本作によれば、糸村の立ち位置は、捜査と鑑識の間ということらしい。 更に作者の言葉を借りれば理系を文系の言葉でオブラートすることとのこと。 確かに科学捜査と言うと理系の頭がないと七面倒なことが多くて、理解に苦しむ。 だからこそ文系の柔な頭が必要なのだとするポリシーなのだろう。 しかし、事は事件の証拠品の検索と推理だ。 そんなに七面倒なことなど科捜研に任せりゃいい。 そう、村木がいるじゃないか。 その村木いわく、本作では、糸村がなんと刑事っぽく見えたことかと、参観日の保護者目線で見ている。 ノべライズというのは、難しいと私は思う。 そもそもすでに映像として出来上がっている作品をもう一度編み直す作業だからだ。 残念ながら本作の映像ほど文章に切れ味がないので、ミステリー作品としては失敗作だ。 やはり、原作あっての映像というべきなのかもしれない。 先に完成した映像が出たら、もう、ノベライズは負け! 既成事実からは抜け出せやしないのだ。(1/18記)
2024.04.16
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遺留捜査 1【電子書籍】[ 市川哲史 ] 原作と映画の課題には観てから読むか、読んでから観るかというものがある。 今まで原作に勝った作品は野村芳太郎監督の砂の器だけだと私は思う。 この課題の根本は、原作ありきということ。 本作のように映画(ドラマ)が出来てから本になる、いわゆるノベライズというものは含まない。 しかし今回、遺留捜査のノベライズ版がKindleunlimitedに入ったということで、さっそくライブラリに入れた。 しかし本当に読みづらいのなんのって。 つまり、文章力のなさだね。 いかに小説家の文章力が高いかがわかる。 それはともかく、遺留捜査は今まで何度も観たドラマであり、有名な最後のセリフ、糸村の、僕に三分間時間をください、というセリフですな、この後のその物語の深さには、涙、涙、涙の状態になってしまう。 糸村は、本小説によれば、いわゆるKY。 そのことが何度も何度も強調される。 ドラマではよくわからなかったけれど、本作を読むと、つまり糸村は、鑑識なんだね。 それが科学捜査官という名目で捜査一課に潜り込んでいたという設定らしい。 物語性も遺留物件の語る物語も実に面白い。 願わくは、どうか文章力に優れた方にノベライズしてもらいたい。 ドラマを最初から観れば、糸村の自転車の話とか糸村のポジションなんかがはっきりするんだろうがね。 残念ながらそんなに丁寧にドラマを観ていないものだから、そのことはノべライズ版で理解するよりほかない。(1/17記)
2024.04.14
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正体は明かせない 道塚瞬 KindleUnlimided版。 本当にKindleunlimitedは清濁併せ呑むね。 本作は50ページの短編で、作者はこれを足掛かりにメジャー挑戦ということを考えているのだろうが、いかんせん、われわれミステリーリーダーにとってはつまらなさだけが残って、何ともしがたい。 結局、叙述のそしりを抜ける事が出来まいな。 なぜなら、精神病院が舞台だからだ。 個々の患者ならどうにでもできるものね。 というより、私は、精神病棟のことなど詳細に知らないから、ここに書いていることが本当だとしか考えられないわけなのだが、しかしながら、潜入?なんてことが果たしてできるのかどうか、それから、精神的な病があるとしたら、それは、刑事責任能力も議論されなければならない部分ではないのかなど、考えれば考えるほど、本作は、ミステリーとしては駄作だといわざるを得ない。 今まで何度も書いてきた通り、ミステリーは、動機、機会、方法+刑事法、警察組織、ストーリー性が問議されなければならない。 確かに素人がミステリーを論じれば、本作のような精神病棟を舞台にした世界を考えてしまうんだろうな。 それじゃあ単なる偶然狙いだし、結局刃物に入院患者の指紋がついていたから警察が逮捕したなどという新聞記事が載るしで、何とか対面を繕ったのだが、これじゃあメジャーで売れるはずもない。(1/9記)
2024.04.01
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廃遊園地の殺人【電子書籍】[ 斜線堂有紀 ] なんともしょうがない独り善がり本。 そもそも300ページ超えのミステリーで事件が起きるのが100ページ目では遅すぎる。 ミステリーの3大原則は、動機、機会、方法で、私は、それに、刑事法の知識、警察組織の知悉、ストーリー性を入れている。 全編これ後出しと叙述トリックだらけでは、なんともならん。 顔を洗って出直してこいと言いたい。 現実でもき机上でもそうなのだが、あまりにも今の若い人はリアルから乖離している。 たとえば、本作には女性警察官が一人登場するのだが、そもそも殺人事件が発生した段階で警察を呼ばなければ、彼女、間違いなく懲戒免職じゃないか。 警察の早期臨場、現場鑑識により、事案の真相はことごとく明らかになったはずだ。 わかりにくかったのは、着ぐるみのトリック。 着ぐるみに詰め込むためにわざわざバラバラ死体にしたってか。 そもそもこういう荒唐無稽な現実離れは、ミステリーにはそぐわない。 結局作者は、幼い頃の曖昧な記憶を元にすれば本作のような錯誤錯誤の話ができるんだと踏んだのだろうな。 でもね、ミステリーリーダーはそんなに甘くありませんぜ。 こんなつまらんミステリー等読まなければよかったとつくづく思う。(1/6記)
2024.03.27
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死に金【電子書籍】[ 福澤徹三 ] 奥書の解説では、本作をハードボイルドなどと分類していたけれど、要するに本作はヤクザ小説だ。 結局読了してしまったけれど、私はヤクザモノが嫌いだ。 さて本作の矢坂という男は、やくざの世界で金融業を生業とし金を儲けるだけ儲ける輩だが、組織に身を投じたことはない。 膵臓癌で余命いくばくもない中、この男が隠した巨額の金を巡ってヤクザどもが暗躍する。 最後にこの金の行方を知る事が出来るのはいったい誰なのか。 という中看護女子学生が出てきて、彼女がどうやら大きなカギをにぎることになるなと思っていたら、まさにその通り。 この子が最終盤まで駆け抜けていく。 本作はミステリーでも何でもない。 小説のストーリーとしてはもの足りない。 いったいなぜ私はここまで本作をまじめに読んだのか。 しかも途中で投げ出しもせずに。 ただただ時間が過ぎ去る。 そして極めつけの感想。 なんだか読んで損した、みたいな…。 そしてKindleunlimited、ここにきて内藤了の大量放出ときたもんだ。 一生懸命ダウンロードしていたら、20冊をこえてはだめですみたいな表示が出てきて、とにかく本作を読んで、返却後、新たな内藤了作品を入れなければと思って必死に読了したのだった。(1/4記)
2024.03.25
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東京近江寮食堂【電子書籍】[ 渡辺淳子 ] いわゆる小説ですな。 滋賀県人の集まる寮における様々なエピソードを繋いで、ヒロインの失踪した夫の行方を読み手は、ヒロインとともに心配しながら読み進んでいく仕掛けだ。 本作はミステリーでないから、叙述トリックありということか。 でもそのことは、つまり忍という名のパートナーのことは、ミステリーリーダーになると、全部みろっとめろっとお見通し状態、結局、やっぱりなあ、という話になったのだった。 ヨシ子という婆さんが、92歳にもかかわらず、アタシャあ、109歳だなんてうそぶいてその理由に、これから100年後世界は大きく変わると言われたことをその理由にしたというおもしろ話も入る。 そのとおり、百年と言わないまでも世の中の基準は大きく変わり、忍というパートナーのようなことは誰もなんとも思わないような世界に変わりつつある。 結局、食なんですよね、人を幸せにするのは。 美味しいものは胃と腸も喜ぶのだとか。 つまり食だけでかなり健康になれるということなのだ。 まあでも、私は、ミステリーリーダーだから、この平板な小説になにか面白みが入らないと、不完全燃焼になっちまうよね。 先のLGBTQがらみの話が叙述トリックなのはあまりにも簡単すぎる設定で、何もびっくりしないしさ。 結局、面白い話というのは何気ない日常にこそ存するのかもな。 だから、人と話をしていると結構面白い話が聞けますよね。 本作もどうやらシリーズモノのようだ。 ま、次を読むか否かはkindleunlimited次第だな。(1/3記)
2024.03.24
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先輩と僕 総務部社内公安課【電子書籍】[ 愁堂 れな ] 前読があまりにもひどかったものだから、本作はするりするりとあっという間に読了できた。 本作は、ミステリーではない。 けれども副題に、公安課などという文言があって、なんとなくミステリーっぽい感じを漂わせている。 まあ、でも大方が思うように、本作は社内の悪行三昧を糺す部署の話だった。 会社の経理のことなどよくわからないけれど、おそらく本作のような不正がまかりとおっているんだろうな。 その不正を糺すのがこの会社藤菱産業の三課という部署なのだ。 新入社員の義人は、閑職のような会社の地下三階にある部署に回される。 何も教えられていない彼は、痛く落ち込む。 そこから会社に対する不正やら、セクハラやらを課長以下4人で精査していくというんだから、まあなんたる正義感、なんたるバイタリティーだと感激する。 それはともかく、話が今風なのは、セクハラが男が女に対するものだけじゃないという話を本作で表現している点だ。 まさにジャニーズ問題を意識したセクハラ問題だったな。 会社の不正を明らかにするため、隠密に作業をするということの難しさを本作を読んでふつふつと感じる事が出来た。 しかしそれにしても、世の中には話のタネが無数にあるもんだねと、話を紡ぐ人の能力の高さに感心する。 しかし種をいかに表現するかについては能力の違いが見て取れる。 読み手が理解できるかということだ。 その方法の一つとして文章力がある。 文章力が伴わない話は結局理解不能なのである。 その点本作は優れていたと私は思う。(12/25記)
2024.03.15
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雨宮兄弟の骨董事件簿【電子書籍】[ 高里 椎奈 ] 私には理解不能。 この作家、一体何を訴えたかったんだろうな。 だが、続編続々編もあるらしいから、結構売れてはいるんだろうね。 ま、とにかく何が謎で何がミミステリーで何がトリックで何がストーリーか全くわからなくて、読了だけはしたけれど、もう一度読んで理解しようなどという気持ちも起きない。 そりゃあ、人それぞれの評価はありましょうぞ。 でも理解不能であるということは、何ともなりませんものね。 おそらく作者は骨董に深い造詣があるのだろう。 百年経たんもんは、アンティークとは言わん、というその話は分かった。 けれどもその先の話が続かんのじゃ。 体の弱い弟が、一目見て本物を見破るってか。 その単純さは面白い。 けれども後に続くにしたがって、話がもうろうとしてくるのだ。 このシーンはいったい何なんだと問うているうち、終わった。 こういうのがあるから、立花隆は小説を読まん宣言をしたんだろうね。 本当にこんなのばかりだったら、ミステリーリーダーもお手上げ。 助けてくれ、と叫びたい気持ちだ。(12/25記)
2024.03.14
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世界一くだらない謎を解く探偵のまったり事件簿【電子書籍】[ 木犀あこ/TCB ] ようするにこの作家、ミステリーから逃げているわけですね。 題名のとおりくだらない。 それに付き合わされる身にもなってみろ。 これだったら、叙述でも何でもいいからしっかりしたストーリーと、ミステリーの三つの要素と、警察組織に対する知識と刑事法の知識を持ち合わせて、それなりの話を作ってもらった方が百倍よかった。 だが私は、読了主義者だから、いくらつまらなくてくだらなくても最後まで読んでしまうのだ。 そして読了後後悔に精神が蝕まれる。 私は、ここで、一体私は何者?、という私の終活の課題を思わず、ニュアンス違いなのにつぶやいてしまうのだった。 この作家、自己顕示欲が強いんだろうね。 まず世界一なんて冠つけて、とにかくくだらない話だから読まんでもいいよというようなことを言いたいのだろうし、ミステリーならば、おどろおどろしい殺人事件が主流なところ、東京から徳島に来るのになぜ遠回りをしたかの謎を解くなどというつまらん話を書き始めている。 雨が降っているのに足元を見たら晴れ晴れとしただって、それが屋上の話、これから飛び降りようとしている日だったなんて、そういう謎というか小ネタを使うんだったらまともなミステリー書けってえの。 ということで私は私の大事な時間をこのくだらない小説一品のせいで不覚にももぎ取られてしまったのだった。 なんと悔しいことよ。 本作を一言でいうと、消化不良感満載。 胃の中に食べたものがいっぱい入っていて吐こうにも吐けず、大便しようにもできず、ああなんて一日だと独り言ちるような…。 願わくば私にこれ以下の最低作品会わせないようにしてください、キンドルアンリミテッド様。(12/22記)
2024.03.11
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アルキメデスの捜査線 学者警部・葵野数則【電子書籍】[ 中西 鼎 ] 最低評価。 これだけつまらない話をよく書いたもんだ。 それが角川から出されているというのだから、どういう経緯だったのだ。 もっといい作家がいるだろうに。 警察内部を小説化したいという気持ちはよくわかるし、今の組織にない架空の組織を動かしたいという気持ちもよくわかる。 しかし、警察は厳然たる階級社会だ。 警部補が警部をお前呼ばわり以下するのは許されざる行為といわざるを得ない。 今さ、取調室で被疑者の前に4人もの警察官が前にいたらこれは明らかに取調べ監督行為だろうが。 こういうこまい点をなぜ角川の編集者は指摘しないのか。 おそらくガリレオを意識した作品なんだろうな。 それでもそれを超えられないのは、この作家の文章力の低さゆえだ。 表現力がないから、読み手の脳内をスパークさせる事が出来ないのだ。 結局、早くこの本を読み終えたいという衝動に読み手は駆られる。 あのさ、葵野だっけ、こいつの恋人が殺されたくだり、こんなので、人が復讐心を燃やすだろうか、いや燃やさない。 このポイントが、本シリーズ(?なのかどうかはわからんが、もし続くのであれば、恋人が無残にも殺されたことが大きなターニングポイントだった…はずだ)の本質だろうに、あまりにもつまらん書きっぷりで読み手が自分ごとにできないのだ。 ということで、後当分の間この作家の作品を読むことはあるまい。(12/20記)
2024.03.09
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邪宗館の惨劇【電子書籍】[ 阿泉 来堂 ] ここ数冊つまらん本を読まされていて(Kindleunlimitedにたいするリスペクトが足らんな)今回もまたか、なんて暗い思いになりながら読んでいた。 何しろ冒頭数回(数える気力もなかった)同じ話が続くのだ。 おいおいまたか、独りよがりかとがっかりしつつ、それは私の特性である読了の論理によって、とにかく読み続けたわけだ。 そうしたら、だんだんだん明かりが見えてきたわけだ。 なぜループするのかとか、なぜ微妙に登場人物が変わるのかとか。 それに道警の刑事とか、怪異蒐集家などがでてきて、まるでミステリーのような趣になってくる。 本作の特徴は、怪異を補助にすることなく、怪異は怪異で、実際の事件は実際のミステリーで、表現したところにあり、本作は立派なミステリーだった。 そして、続編を思わせるような最終盤の大どんでん返し。 これは大きなネタバレなのでそれ以上は書きません。 私は、前々読あたりで書いたように思うが、ミステリーには、探偵役と祭文語りが必要だということ、今回はそれを思い知らされましたな。 作家那々木悠志朗と道警の裏木の話。 当然名探偵は那々木。 このコンビが見事なハーモニーを醸し出し、最後の大どんでん返しに向かう仕掛けは大したものだ。 さらに作者の仏教に関する知識も半端ない。 ということで、Kindleunlimitedはこれだからやめられないんだよな。 思わぬ掘り出しものにぶち当たることがあるのだ。 ほんの少しヒントを出せば、表題の、邪宗館、これが最後の大どんでん返しにつながるのだ。 もう続きが読みたくなったよ。(11/28記)
2024.02.18
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闇の虹水晶【電子書籍】[ 乾石智子 ] 全く理解不能。 しかしながら読了。 しかも前前読作品のように記憶に残らないということもない。 まるでドラゴンクエストのようなロールプレイングゲームのような話だったね。 だから、せやからでやちゅうねん、という話。 どうしても読み手の性、読了しないではいられない。 とにかく読了してもなんの感動もない。 まあ、どっかの、ヨーロッパ的な国のお話で、戦火、自らの国と血縁を失った創石師の話、何だよね。 それが淡々と語られていくのだけれど、結局作者はこの物語で一体何を主張したんだろうね。 はっきりいって、Kindle Unlimitedを読まされる立場にある私にとって、当たり外れについて何も言うことないものね。 読書ということについて私は小学生の頃だろうか、シートン動物記を買ってもらったことがあるのだが、それを結局読了できなかった過去がある。 私はその頃本屋に行くと、読む本を決めることができないのだった。 そして結局シートン動物記を買ってもらい、この本だけは、読まずにほったらかしにしちまった。 そんな過去があるものだから、私は手にした本をとにかく読了しないと気がすまないのだ。 昔話をしたが、その類とはまた本作は違う。 前々読のように無理して読んだものでもない。 だが、もうすこし、主張があってもいいんだろうがね。 何の話なんだか、全く。(11/27記)
2024.02.17
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魔女の幻想と密室 古雅鶴夢工房 とにかく読みづらかったな。 これも独り善がりかとがっかりしながら読んでいた。 ポイントは密室と消えた死体。 これが本作の関門。 物語も何もこのトリックだけは解明したいとミステリーリーダーは思った。 本作の登場人物が多すぎる。 したがって話がくどくなった。 しかも連続殺人のはじまりはじまり~。 とにかく本格的な密室ミステリーとなり、これは本当に面白くなってきたぞとだんだん私は本作に乗せられてきた。 そして、そういやあ本件の探偵役は一体誰なんだという謎を呼びましたな。 こういうのってのっけからはっきりさせてもらわんと、読み手が混乱する。 冒頭に書いた、本作における登場人物の多さは、ミステリー作品に数多くみられる巻頭に人物の説明があることである程度緩和された。 こういうのってミステリーでは必要なことだね。 作者は、かなりのミステリー好きと見た。 密室に関してかなり研究している。 しかしながら、梯子ねえ…。 おっと、これは書いちゃあいかんぜよ。 どうしても密室モノは饒舌になっちまうね。(11/27記)
2024.02.16
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領怪神犯【電子書籍】[ 木古 おうみ ] とにかく読みづらい。 独り善がり。 読み手のことを考えていない。 私は小説というものは書き手と読み手のシンフォニーだと思う。 それが独り善がりにただただ書かれては読み手がついていけない。 まあ、それならば、何も途中で投げ捨てればいいのにということになるのだろうが、それはそれで、読み手として挑戦した以上は、読了しないと納得できない。 マラソンで完走しないと納得できない心理に似ていると思う。 そして読後数日たった今、この話って一体何だったろうかと、もう一度ページを捲ったりしているのだ。 けれども鮮明に私の心に残らなかったせいだろう、思い出せん。 まあそれにしてもオドロオドロした話のオンパレードだな。 今そういうのが売れているのだろうか。 怪異にミステリーをくっつけるのが流行っている。 で、私はこの小説もそんなたぐいかと思って読み始めたのだった。 ところが違いましたな。 その結果、全く記憶に残らない本になってしまったのだった。 まあ、速読の訓練にはなったけれどね。(11/27記)
2024.02.15
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どうか、彼女が死にますように【電子書籍】[ 喜友名トト ] OKですな。 前日上げた訳の分からぬ独り善がり本とは全く違いものの2時間で読了。 小説たるものこうあるべきでしょう。 読み手あってのものだね。 どうなんですかね、本作もネーミングの原則に汚染されているかね。 なぜ彼女が死ななくてはならなかったのか、それを文面通り額面通りに取ると、ミステリーになるが、本作はミステリーではない。 最終盤ほんの少しほろりとさせられる純然たる恋愛小説だ。 さて本作のヒーロー夏希は、魔法使いだ。 そして、 魔法使いが、誰かを心から幸せにできた時、この世界には新しい魔法が生まれるのだ。 本作の結論は、 あの頃の彼女は、もういない。 どうか彼女が死にますように。 あの夜、流星に願ったことは、叶った。 笑うことのできなかった彼女は、夏希の魔法で死んだ。 ということだ。 最終盤朝ドラ理論に乗って、めでたしめでたし。 夏希は殺人鬼ではなく、魔法使いだったのだ。 文学とは、自分のひねくれた心情を紡ぐものであってはならない。 読み手にさらして評価を受けるべきものである。 その評価は、賛成もあれば反対もあろう。 しかし独り善がりであってはならないものだと私は思う。 少なくとも世に出すものであるならば。(11/14記)
2024.02.01
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束縛 南口綾瀬 何がミステリーだ。 ミステリーリーダーをバカにするな。 というくらいひどい作品だった。 映画も小説も絵画も観手がいて、読み手がいて初めて始まるもの。 そのことについてはすでに正史も森村も述べていることだし、私もそう思う。 しかるに本作はいったい何者なのか。 そして私はなぜ読了してしまったのか。 本作を読了するのに3日も経ってしまったのだ。 まあとにかく読了してそしてブログアップをした。 楽天に本作が所収されていると思ったらなくて、結局アマゾンだけの作品だった。 奥書にここまで読んでくれてありがとうなどということが書いてあったが、何を言いたいんでしょうかねえ。 文通相手が誰だったか見破れってか。 じゃあ、父親を殺したミステリーは? 単なる自殺教唆? まあ、無理して本作をミステリー化する必要はないでしょう。 たぶん、ネーミングの法則に基づきアマゾンが仕掛けた話なのだと思う。 まあでも、本人はただただ独り善がりだったんだろうねえ。 作品は読まれてなんぼ、読み手があってのものだねだということを作家は努努わすれるべからず。 ま、がっかりする作品も世の中にはあるだろう。 その時に放り出すくらいの度胸が私にあればいいのだが…。(11/14記)
2024.01.31
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時計屋探偵の冒険 アリバイ崩し承ります2【電子書籍】[ 大山誠一郎 ] 物語性がないので損だ。 つまり本シリーズを読んで思うことは、ミステリーにはストーリー性も伴う、ということだ。 それからトリックのオリジナリティについても考えさせられた。 例えば本作の中の、違う場所において汲んできた水により溺死させるトリックは、すでに大森村によって発表されたトリックだ(今日、何読んだ? 221003 凶水系)。 しかもそれは昭和50年代の話で、そのトリックを実際に山形県で使った犯罪者が逮捕されている。 このような場合、私達書評家も(ついに私は書評家になっちまった)引用を示して書いているわけだから、このトリックを使う場合は、何らかの形で引用を明らかにしてほしかった。 つまりミステリーとはこれだけ奥が深い文学だということなのだ。 私以外の読み手も多分感じたことだろう、それは、解があまりにも早いということ。 現場も見ずしてなぜ推理できるのか。 まあそれにしても本シリーズは本シリーズなりにそれなりの、警察捜査の問題などを盛ってはいるな。 例えば、二律背反のアリバイ崩しにみられた、警視庁と長野県警の問題。 法律上は警察庁が調整に入るのだろうが、この事件でどちらかの犯罪をもみ消すなどということは小説上の話だ。 そういう話を書いてしまうだけこの作家にはフェア感がないのかもしれない。 捜査の公正性が疑われる。 そしてこういう一つ一つの不正が警察の捜査力を失わせ、警察から捜査権限を取ってしまう議論になるのだということをわすれてはならない。 そういう意味で実に示唆に富んだシリーズであった。 この2作目でやめようかと思ったが、Kindle Unlimitedにあるのなら、もう1作くらい読んでもいいのかなとも思った。 だが今のところここまでだ。(11/4記)
2024.01.23
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弥勒の月 長編時代小説 (光文社文庫) [ あさのあつこ ] 小説も映画も先入観念を持たないのが私のポリシーだ。 そもそも本作が時代モノなどということはわからず、読み始めた。 しかしガッチリした小説だった。 私の本職である、ミステリーリーダーの気持ちにも少しガソリンを垂らす。 一体なぜ女は死んだのか、とか、遠野屋は一体何者なのかなどの謎が謎を呼ぶ。 更には連続斬り捨て事件が発生。 犯人はかなりの腕が立つもの。 いやあ、読了するのに実に苦労しましたぜ。 つまり私が時代劇になれていないからなんだな。 それでも今までの自分の知識をフル動員させてこの小説を味わった。 作者は大した筆力を持っていると見た。 まるで作中の殺気を感じさせる遠野屋のようだった。 小説という分野であれば当然前読のわけのわからんアリバイ崩し話よりずっと面白い。 また、ミステリーという分野で見ても遜色なし。 小説とはこうあるべきという見本のような作品だった。 けれどもシリーズで時代劇を連続して読むだけの読体力は私にはない。 本作を読んで実に疲れたのだ。 読書疲労。 月曜日につきルネサンス休み、したがってコメダに入り本作を読んだのだが、読書休憩どころか、読書疲労に苛まれる結果となった。(10/30記)
2024.01.19
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アリバイ崩し承ります【電子書籍】[ 大山誠一郎 ] 細かい話を沢山連ねたけれど、果たしてこれでいいのかね。 たしかにトリックトリックしてトリックとしてミステリーで使うのは勝手だが、そのどれもがリアルに欠けている、つまり読み手が突っ込みしやすいので、果たしてこの突っ込みに耐える事が出来るのか、という問題が出ますな。 例えば山荘での殺人。 アリバイがないのは14歳未満の少年だけ。 ここのところの詰めが甘すぎて、心に響かない。 お祖父さんのアリバイトリック問題。 そもそも30度傾けることで2時20分を3時25分に見せかける事が出来るのか、っちゅうの。 やってみればよろしい。 つまり使えんのですよ。 それから死者が共犯者なのが数件あったな。 そういう話はミステリーとしてつまらない。 警部が係長なのは警視庁だけ。 本件の場合は県警だから、警部は本部の課長補佐か所轄の課長。 そういうところが嘘くさいとミステリーとして機能しないのだ。 それから、人の話を聞いて、アリバイやら事件の真相を推理しきれる名探偵は古今東西存在はしませんでしたぞ。 なんか本当につまらないミステリーなのに、なぜつい最近なんたらかんたら賞を受賞できたんでしょうねえ、不思議だ。 まあしかし、トリックなしのミステリーも出版しているのだから、まだまだ本作はまともといえるのか。 もう一作Kindleunlimitedでこのシリーズを取ってあるので、我慢して読むか。(10/30記)
2024.01.18
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屋上の名探偵【電子書籍】[ 市川哲也 ] 中葉悠介、たぶん彼がのちに名探偵蜜柑花子の警察内部の協力者になるのだと推察される。 前作名探偵の証明では、名探偵の陰に必ず警察内部の協力者がいるはずだ論が展開され、蜜柑花子にもいるはずだとのコメントがあった。 その裏付けとなる本作である。 エピソードは4つ。 悠介の最愛の姉詩織里の水着が盗まれた事件。 校内で喫煙して教師から追われた生徒が忽然と消えた事件。 卒業間際の制作品が壊された事件。 ダイイングメッセージ。 である。 たしかに作者はトリックの破綻を許さない主義者で、本作においてもどこから突っ込まれても大丈夫に仕上げようとしている。 だがミステリーリーダーからすれば、そんなことはありませんぜ、旦那。 まず本作も例外に漏れず、LGBTQ、そうです、女性の水着を女性が盗んでいけないわけがない。 チアリーダーの人間ピラミッドではたして瞬時に屋上まで駆け上がれるのか。 製作品の壊し方が違っていたらそれは意味がありますな。 Iだか1だか何だかわからんダイイングメッセージなんて、しかも被害者は命に別条なし、では、トリックにもならん。 などなど、決してミステリーリーダーが読んでいて楽しい読み物ではなかった。 ただ、蜜柑花子とか、中葉詩織里は断然魅力的だ。 悠介のシスコンは異常だし…。 そういうトリック以外の部分が本作の魅力である。(10/26記)
2024.01.14
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名探偵の証明【電子書籍】[ 市川哲也 ] 本作は、(今日、何読んだ? 200829)ということで読んでいたのだが、残念ながら全く記憶がなくなっていた。 ただこの記事に書いてあった、Who done it?については、今回も当てることはできた。 というよりもそういうパターンのミステリーが多いのかもしれない。 結構しっかりしてはっきりした物言いの作品だったのに、なぜその筋が記憶に残らないのだろう。 読んだのは、3年前ですからね。 それはともかく、たしかに探偵に手を貸す警察官がいるなんて信じられないし、老いさらばえてもなお謎解きに生きたいなどという人間は見たことがない。 愛妻と愛娘に囲まれて幸せな主夫業を生きることのどこがおかしいのか。 老兵は死なず、ただ消えゆくのみ、の哲学のどこがおかしいのか。 小説だからそうはいかんぜよという作者のメッセージであったか。 じゃあ、世代交代の蜜柑花子の存在というのは何だったのか。 そして理屈こねまくりトリック論はいかがなものか。 密室トリックの難しさというのは、ミステリー界の一大難題ではないのか。 第一発見者が素早く刃物を刺してその凶器を隠すなどという言う早業をいかにして遂行するのか。 それを理屈で隠すこういうトリックをなんと言えばいいのか。 叙トリでないことはたしかだ。 まあ、ネーミングが名探偵の証明だから、名探偵を二人集めて挑戦した形になったんだろうが、名探偵以外の成員が名探偵を騙すつもりだったというシチュエーションにおいて、名探偵殿がその事に気づかないことがあるのだろうか。 まあそれにしても私の記憶の甘さが気にかかる。(10/24記)
2024.01.13
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ぼっちママ探偵 南口綾瀬 これはいったい何なのか。 最後の最後に大どんでん返しというのは何なのか。 それはともかく題名に探偵が入っている以上ミステリーリーダーとして敏感にならざるを得ない。 それにしてもネーミングの法則、そしてこれがベストセラー? 楽天コボに入っておりませんぞ。 もう本当にここで略称作っちゃうぞ! 叙トリというのはどうだ。 叙トリつまり叙述トリック。 私はミステリーにおいて叙トリを認めない。 そもそも本作はミステリーではない。 補聴器つけてちゃんと聞こえるわけだから、何の問題もないんじゃないか。 普通に会話をしているし、在宅ワークもしているし、娘は素直に育っているし。 キラキラネームってのは、本作に出てくる立派な名前ではなくて、例えば悪魔くんとかそういうので、それが社会問題になったっていうことでしょう。 ぼっちママというのは、ママ友の集団に入らないこと。 それは重要なことじゃないか。 ただママ友集団のいいところも否定しきれない。 つまり集団護送船団式の安心感というところでしょうな。 出版社、編集者の側も簡単に叙トリを認めてほしくないね。 ミステリーという以上それなりの体裁が欲しかった。(10/23記)
2024.01.12
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正しいストーカー殺人 誉田哲也 超短編作品だった。 被疑者は自分が被ストーカーで、追われた拍子にベランダから突き落とした旨の供述をする。 けれどもどうもこの被ストーカーは、お世辞にもストーカーしたくなるような女性ではなかったことから、姫川玲子が真相解明のため走り回る。 超短編だが、理に適っている。 順々に真相が明らかになる。 そのパズルのピースを合わせれば、事件の真相が出来上がり。 白い菓子缶の中に現金500万円があった!はずだ、ということまで判明して、結局被疑者はそのことで脅されていたのだった。 まあそれにしてもおそらく自分史上最低のシリーズ作品を読んだばかりなものだから、本作のなんと輝いて見えることよ。 ミステリーかくあるべしとおもわず手をたたく始末だ。 ミステリーも含めて最近自分的に不本意な作品に会い続けている。 kindleunlimitedだからしかたない。 映画はぽすれんで、私のポリシーとしては先入観念なしで観たいので外れが入っても仕方ない、のだけれど、しかしそれにしてもこのごろそういう外れ作品があまりにも多くて、自分的にカリカリしているところなのだ。 それはともかく、面白かろうが面白くなかろうが大事なのはリアルだ。 嘘八百の、リアルからぶっ飛んだ話はすかない。 つまりリアルの中でどうフィクションを紡ぐかというのが小説家とか映画人の腕の見せ所なんだよね。 作品は、読み手あるいは観手がいて始めた成り立つものだ。 だから独り善がりを作品にして見せつけるような作家は嫌いだ。 常に読み手あるいは観手を意識することが作る側に求められる。 それが読み手あるいは観手と一緒に紡ぐという行為につながるのだと私は思う。(10/20記)
2024.01.09
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警視庁監察官Q ストレイドッグ【電子書籍】[ 鈴峯紅也 ] なんとか3冊読了。 本シリーズは不快そのものだった。 まずリアルさに欠けること。 捜査機関にとって最も重要な証拠品保管管理にかかる小説的いい加減さがもうどうにもこうにも我慢ならないのだ。 そして何故本作はヒロインなんだろう。 小田垣観月…か。 彼女は無敵のヒロインだ。 なんか鼻持ちならぬ女だ。 たしかにリアルな監察官の話になったら、つまらぬ話でいっぱいになるだろうよ。 だから証拠品保管倉庫を作ってそこの管理者を警務部監察官に任せたという話なのだけれど、駄目だよ警務部の警察官が捜査に携わっては。 しかしさあ、こんな話喜んで読む人がいるんだろうねえ。 著者は一端の警察小説家を自認しているものね。 あたしゃあ、とてもつまらぬ思いで、まるで珠玉の時間を無駄に使ってしまって全くもったいないことしてしまったなと反省しきりなのだ。 まあね、kindleunlimitedだから、思いどおりの作品に出会うことなど至難の技なのはわかるけれど、それにしてもひどい作品に出会ってしまうと心が折れてしまうのだ。 これも修行ですかね。 まあとにかく予告通り読了はしたよ。(10/20記)
2024.01.08
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警視庁監察官Q メモリーズ【電子書籍】[ 鈴峯紅也 ] 全くつまらん作品ですな。 Kindle Unlimitedで入手した同シリーズがもう一作ある。 なんかもう投げても良さそうな気もする。 何よりこの作家の文章力の拙さから話が脳内でスパークしないのだ。 数多のミステリーあるいは警察小説を読んできた。 それらの作家は第一線というものをきちんと理解している。 だからキャリア官僚が現場に出て自らの手を汚すなどということをしたりはしないのだ。 警察の警務部が捜査に関与したら捜査の公正性が疑われる。 それほど小田島観月というお菓子好きの女性官僚を動かしたいのなら彼女を第一線に下ろせばいいのだよ。 それはともかく第一話のエピソードをまだ引きずっているから、話が要領を得ない。 ブルーボックスの問題は前作で終わりで本作からは新エピソードで来ると思ったけれどな。 忌みじくも作中証拠品とは現場の珠玉的なことを語っている。 そのとおり、証拠品の扱いのミスでこれまでどれだけ多くの警察官が処分を受けたことか。 その事を考えたらブルーボックスというようなところに証拠品を一括して保管できるかということだ。 小説的にはそれでいいのだろう。 リアリズムを追及すればこんな夢物語は面白くもなんともない。 甘味を食べて糖尿病で死んじまえ!というところだ。 手にした以上第三作も読むことにはなろう。 しかしこれは走り読みするしかなかろう。 もう金輪際この作家の作品は読みたくない。(10/19記)
2024.01.07
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警視庁監察官Q【電子書籍】[ 鈴峯紅也 ] 奥書によれば作者は警察小説家だという。 つまり警察内部に多くの協力者がいるということだろう。 まあそれにしてもキャリアノンキャリアのくくりがこの作家の見立てほど警視庁内部にあるものなのだろうか。 それはともかくQと呼ばれるキャリアの女性管理官は、推定40歳、それで警視では遅いのではないのか。 本作における縦糸はブルーボックスと呼ばれる証拠品保管倉庫。 そもそもこのデリケートな証拠品をこんな大雑把な管理でOKならば、この先どんどん冤罪が増え続けることだろうな。 ただあくまでもフィクションの部分であり、監察という警察内部の警察を一等前に持ってきたのだから、本作のような話の流れになるのは当然だろう。 ただね、説明がないものだから、警察内部を知っていない人には実に読みにくい作品になったのではなかろうか。 と同時に警察とはこんな組織なんだとも思われそうな、そんな気もする。 これまで数多くの警察小説と思われる小説を読んできた。 その数多い話の裏には数多い警察内部の協力者がいるということになろうな。 それほど警察内部の人は警察のことを外に話たがっているということになろうか。 おそらく本書における警察組織論は間違いのないことだろう。 監察だから、懲戒処分等の処分に関しても理解しているとは思われるが、作中処分対象者足りうる刑事が、俺は依願退職だな、なんていうセリフを吐いていたのは解せない。 監察の話なのだからここはリアルに話をすべきだった(それともこの刑事は地方公務員法を知らないのか?)。 本件は明らかに懲戒免職事案である。 どれだけの協力者が警察内部にいるかはわからないが、刑事訴訟法が、留置場にいる金田、くらいの表現しかなかったので、司法に詳しい警察官とのかかわりあいは、この作者はないのかもしれない。 あーあ、これからもう2冊シリーズモノを読まなければならないと思うと気分が暗くなる。(10/18記)
2024.01.05
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シルエット【電子書籍】[ 島本 理生 ] 年の納がこの本では物足りないが、物の流れなので仕方ない。 レベルが高校の文芸部レベルでは読み手も困ってしまう。 まあ、そうは言え、コメダ珈琲という、またもう一つの外部書斎兼仕事場を見つける事が出来たという副産物があったので、良し、とするか。 結局さあ、この作家の考え通りに小説(話)が進むのが筋だなどと考えたら、登場人物の想定をできるだけ変わったものにするということになるよねえ。 その中に起伏をつければ、小説ができあがる?のか…。 母親が父親のDVでおかしくなり、その看病をしながら高校に通う冠とそれに恋した女の話、でもこの女は複数の大学生と関係を持つ。 そういう倫理観は、そりゃあ持つのは自由だろうが、小説にするにはもう少しひねりが必要だったのではなかろうか。 そしてまとまりがないまま終わってしまう。 なんかねこういう話を読むと時間がもったいないという思いに駆られる。 だから、立花隆が小説は読まない、というのだ。 私は、ミステリーリーダーだから、これからもミステリーは仕事として読むよ。 けれども本作のような作品は御免だね。 Kindleunlimitedも垂れ流さないでもう少し説明をだしてほしいね。 ということで本年もあとわずか。 来年のことなど何もわからないけれど、ひたすらミステリーを読む仕事だけは続けたい。(10/13の金曜日記)
2023.12.31
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生きてさえいれば【電子書籍】[ 小坂流加 ] この作家が生きていれば今45歳。 本作は死後発見された、遺稿である。 先に刊行された、余命10年、素晴らしい作品だったが、本作もまた彼女らしいいい作品だった。 本作のヒロイン桜花は心臓病という設定だ。 ラストまで死なないで終わった。 それはそれでいいけれどその病は、心臓移植をしないと治らないものなのだった。 本作には、作者の哲学が色濃く仕込まれている。 それが題名になっている。 生きているからこそ逆境に耐えられそこからまた進歩がある風な哲学である。 これは、下手な宗教家よりも実に分かりやすい死生観だ。 そもそも小説を読んでその筋がきちんと私の記憶にしまわれるということはまずない。 だから、先の余命10年を読んでいながら、小坂流加が何者かということも奥書に至るまで何も感じず読んだのだった。 そして、なぜこうも男か女かわからない名前を平気でつけるのか、ましてや小説ではなおさらじゃないか、おいおい、読み手がここにいるんだぞ!という突っ込みまで入れていた。 けれども、読了すれば、なんといい話だったんだとしばらくその余韻に浸かったのだった。 本作はミステリーでないから、私の領分ではない。 けれども小説という分野で読めば、話がこの先どう転ぶのか、というところに興味が向かう。 秋葉という主人公も、冒頭では生死が定かでない。 私はミステリーリーダーだから、この人も実は死んでいるのだなんて予測をしていた。 けれども、きちんとした好ましい終わり方でほっとした。(10/12記)
2023.12.29
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今夜、世界からこの恋が消えても【電子書籍】[ 一条 岬 ] とにかく原作は大ヒットして、特に韓国で大売れだったそうな。 映画興行収入も15.3億で大ヒット。 私は、先に映画を観た(夕顔絵夢二郎の江戸ハブ日記 231022)。 そしてこの度原作を読んだ。 映画を忠実に原作がなぞっている、いや、逆か。 それほど映画は忠実だったなと私は思う。 本作は、原作も映画も泣け作だ。 とにかく涙腺が緩んでしまう。 本作の病名は、前向性健忘。 この病名をテーマにした映画は結構ある。 たしかに映画あるいは小説になりやすいテーマだ。 そのテーマをいかに上手に料理するかが腕の見せ所となる。 そして本作は今様も今様、とにかくデータを改ざんしてヒロインから彼氏くんの気配を消しちまえってんだから、ここのところのドタバタは、もう少し何とかならんかったかねと思う。 思い起こせばもう20年くらい前になるのか、セカチュー、あの映画は長澤まさみ主演で大ヒットしたけれど、私にはあの映画と本作がダブってしまうのだ。 考えてみればもう20年もの年月が経っているんだな。 あの時の喧騒が私は欲しい。 でももう昔には戻れない。 セカチューですらもう、懐かしの、なんて枕詞が入ってしまう時代になった。 あー、なんという時代だ。(10/11記)
2023.12.27
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鸚鵡楼の惨劇【電子書籍】[ 真梨幸子 ] 小説の読み方は人それぞれ感じ方も人それぞれだから、読み手には読み手の自由があり、書き手には書き手の自由がある。 しかし小説というものはあるいは文学というものは、すべからく書き手と読み手が存在して成立するもので、そのどちらか一方が立つことはない。 従って読み手から見て不快と感じられるものはその読み手にとって不快以外の何物でもなく、読みづらいと思うものは読みづらい以外の何物でもなく、理解できないというものは理解できないということ以外の何物でもない。 つまりだ、小説は書き手と読み手のハーモニーの芸術なのだ。 そうでない書き物はもはや小説ではない。 そして読み手にとって不快であるとか理解不能というものはつまり、書き手の独りよがりに過ぎないということになろう。 本作はまさに独りよがりモノでしたな。 巻末に黒木瞳がなにか小文を出していたが、それほど評価できる作品であったか。 第一本作はミステリーと呼べる代物だったか。 そうであれば触法少年時代の犯罪を法の解釈も加えずに書くことの愚かさをどう考えるべきなのか。 この法の無知が日本国民を法的総白痴にしているのではないのか。 ミステリーを少しかじって自分のテリトリーで勝手に解釈してそれを世に出すなんてなんとハレンチな行為なのだ…。 少なくとも彼女の作品は私のこのブログではカテゴライズされない。 特に推奨もしたくない。 それを推奨した黒木瞳も好きになれない。(9/17記)
2023.11.25
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取り扱い注意【電子書籍】[ 佐藤 正午 ] 平成13年初出というから22年前のお話ですか。 特に古臭いということもない。 でも時代が高速化していることは事実で、ケイタイなどという言葉も死語化し、マジェスタなどという車は世界の廃車化してしまった。 つまりその時代を生きた人には何でもないことでも今の人には何のことかわからない話なんだろうな。 読んでもちんぷんかんぷんというやつだ。 本作のような話をなんと表現すべきなのかな。 とにかく人間関係が単純なようで複雑なのだ。 そのうえ、太平洋クラブライオンズなんて、懐かしいプロ野球チームも出てくる。 あのチームやら日拓ホームフライヤーズの着ていたユニホームは、実に彩り鮮やかで、当時の人には理解してもらえなかったのだが、今のプロ野球はそれが当たり前のことになってしまった。 そもそもホーム球団は白が基調のはずなのに今は普通に色がついているユニホームを着ている。 かと思えば、夏の甲子園はたまたま慶応カラーのチームが決勝に残って、どっちがどっち?状態になっていた。 高校野球もユニホームに関してルールが必要なんじゃないかね。 なんてあらぬ方向に論点を向けてしまったが、そもそも本作が楽天ブログでは受け付けてもらえぬ内容ばかりで、そんなことを書いたらいきなり、ブー、だもの、当たり障りのないことを書くほかないのだ。 それはともかく強奪した金が結局犯人が捕まらぬまま犯人の思うがままの状態では、これはいかんですよ。 ロリコンという点も楽天コードに引っかかるでしょう。 だが読んでいて実に楽しい小説であったことは間違いない。 それは主人公の悪びれぬ性格から来ているんだろうね。 深刻にならず遊び心でやりまっしょい!という作者からのメッセージだね。(8/29記)
2023.11.11
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聖母の深き淵【電子書籍】[ 柴田 よしき ] 不快以外なにものでもないまま読了。 500ページ弱では拷問ですな。 まあしかし読了するのは作者への礼儀だろうから、ひたすら読んだ。 電子本には電子本ならではの読み方がある。 まず字の大きさを変えることができる。 一面4行から最後どれくらい小さくなるかまでマジに考えたことがないけれど多分30行までの字の大きさを変えての読み方ができるということは、紙の本ではできないこと。 そして読み上げ機能。 聞き流しているうち眠くなって寝ることもある。 そんなふうにして本作と格闘して、なんとか読了した。 たしかにこの本が書かれた平成10年ころは警察では生安も刑事もシャブを追っていたことは間違いない。 生安から刑事にシャブが移管されたのは平成16年のことだ。 しかし防犯が生安に変わったのは平成5年頃の話だ。 それから本作のようなひどい警察官がいたとしたらどいつもこいつもクビになる。 それほど警察内部の引き締めは厳しい。 本作は今をときめくLGBTQの問題が大きな嵩を締めている。 全くどいつもこいつも…。 まあ、これだけ泥に塗れた警察官を好きな人もいるだろうからなんとも言えないけれど、正義の味方たる警察官がこれだけ違法であったなら日本の治安が伝統的に守られては来なかっただろうな。 そして大山鳴動ネズミ一匹。 誘拐事件が嘘っぱちなんてのっけからみろっとめろっとお見通し状態だった。(8/26記)
2023.11.10
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月の満ち欠け【電子書籍】[ 佐藤正午 ] 本作は直木賞受賞作品である。 先に映画(夕顔絵夢二郎の江戸ハブ日記 230911)を観た。 理解できなかった。 きっと原作はこんな話じゃないと確信した。 まあにその通りだった。 流石に直木賞だ。 本当によくできている。 映画のように理解できない内容ではなかった。 前世、生まれ変わりの話だ。 そしてこの小説は、まさに瑠璃なのである。 こんなにキラキラ輝いている小説を読んだことがないと思えるほどの傑作だ。 もう映画の話などしたくない。 そしてたしかに大正史も大森村もさらに大東野も映画化を良しとしているのだけれど、原作とかけ離れた映画など観たくもない。 本作の話が作者の文章力により、スーッと脳内に入りあまつさえその映像もまた明らかに脳内で再現される。 そこには申し訳ないが大泉洋も柴咲コウも田中圭もいないのだ。 これほど原作と映画が乖離した作品も珍しんじゃないのか。 そんなことを思いつつ読了した。 さて実際本作のような経験をした方がおられるのだろうか。 興味のあることである。(8/19記)
2023.11.02
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その手をにぎりたい【電子書籍】[ 柚木麻子 ] その手とは寿司職人の手である。 舞台は銀座の高級寿司店。 ここの一ノ関という寿司職人が青子というヒロインに次から次へと本物の寿司を食べさせる。 その結果この青子は一流の寿司の見分け人になる。 年代は昭和末期から平成初頭。 書かれた時期は2014年というから今から9年前。 青子の勤める不動産業やらバブルのハジケやら何やらかにやら当時の世相を背景に寿司職人とそれを食べる立場人の話が続く。 読み手は寿司の蘊蓄にどっぷり浸かる。 そういう仕掛けの小説であった。 何よりコラム的に話の端々に寿司職人のまかない飯としてチャーハンやらなにやらが登場してきてこれも面白い。 何より一ノ関以上の男が出てこないのもいい。 この作家尋常ではありませんな。 素晴らしい作家さんだ。 こういう語り口の良質な小説を読むことができればまだまだ日本文学界大丈夫だなどとも言いたくなる。 けれどもどうなんでしょうねえ本当のところは。 何しろ私はミステリーリーダーなので日本文学界云々についてはあまり関心がないのだ。 けれどもたまに良質な小説に出会うとそれが活力になるということは感じる。 そう文学は活力足り得るのだ。(8/15記)
2023.10.26
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警視庁心理捜査官上【電子書籍】[ 黒崎視音 ]警視庁心理捜査官下【電子書籍】[ 黒崎視音 ] とっても気に入らない警察小説だった。 ただ下巻の奥書前に参考文献が羅列してありこれらの警察資料を元に本作を紡いだことはよく分かったが,結局おそらく取材先は警視庁当たりの公安警察官なのかどうかわからないけれど, はっきり言ってリアルに乏しい警察小説になった。 作者は性別さえ明らかにしていない。 そうなんだけれども書きっぷりからどうやら男性じゃないのかなと思えた。 それはともかく結局文献からだけでは警察の真相は分からなくて例えば無線のやり取り,警視庁より各局などとは絶対言わない 。 多分警視庁本部,から,〇〇(署)になると思うし,よりはからであるから警察署の名前を呼ぶわけであって結局この作者は警察小説を書きたいがばかりに警察の文献をあさったものの本当の警察のことがわからなかったのではないのかなと思った。 つまり取材力不足だ。 上巻は能書きだらけなんだけれども, 結局その能書きがあまりにもうざくてもう本当に3度はこの本を読むのやめようと思ったほどだ。 実況検分の検分は見分, 主席管理官の主席は首席,後で任意提出をお渡ししますので などということはなく,警察官が技官なわけもない。 この辺は本当に最悪の警察ドラマ京都府警の榊マリコが主人公の科捜研の女以下。 ひどいもんだ。 本作における心理特別捜査官は,警察官であってはならない。 なぜなら警察官は捜査官なのだから。 捜査のの一方が強くなることは許されない。 第1次捜査機関である警察は証拠収集し事案の真相を明らかにすることが使命なのであって,そのことを例えばプロファイリングするような心理捜査官と呼べるようなものが警察官であってはならないのだ。 公平に欠ける。 逮捕術, 射撃などの教練?これは術科と言うもんです。 爽子の同期生たちには交通機動隊の白バイ婦人小隊や通称 カラーガードと呼ばれる鼓笛隊専任を志望するものなど様々だったが爽子は留置係を希望していた。 そして偶然警視庁で数少ない女性留置場を持つ第三方面碑文谷署か爽子の配置を希望した。 爽子は希望通り警務課女性留置係に入って配属されたなどという記載はありえない。 が読んだ文献にしっかり書いてあったはずだ。 次,ありがとうと女性は呟いた,そして3日目から立会いを爽子にすることを条件に聴取に応じその結果国選弁護人の助言に対し自分が薬物の影響がない状態だ, 犯行に及んだこと,また撮影があったことさえ自供したというのはダメ。 捜留分離に違反している。 刑事課保安係などというものはない 。 昔から生安の保安係であり,刑事課で保安係で売春,拳銃の摘発取締り, 薬物捜査など様々なジャンルを扱うことはなく平成16年に拳銃と薬物は 刑事部に移った。 とにかく警察官が司法警察員としての職務権限を剥奪されるなどということは考えられない。 減給処分されたものが,経歴に傷がつかないようにご配慮くださいなどとばかくさい話もない。 そして極めつきは逮捕状は司法警察員なら誰でも請求できる,通常は幹部である警部が請求するではなくて ,これは指定司法警察員たる警部が通常逮捕状を請求するものである。 そして被疑者が任意同行のうち自供すれば逮捕状は必要なくなるなどということをなぜ書いているのか。 こうなるとこの作者はただただ文献からのみの取材によったんだなと考えざるを得ず,その結果数多の推理小説評論家をしてリアルを感じ刺さることができず,その結果賞受賞がなかったと考える。 それからニューナンブM 64 ,シリンダーと呼ばれる回転弾倉にに初弾が装填されていないことなどと言ってもありえん話でニューナンブは5発しか入らないのですよ。 そして人権上の配慮から夜明けから日没までしか認められていないなどというバカな話があるわけがないじゃないか。 それじゃあ悪人が跋扈するだけじゃないか。 ということで 本当にもう私はこの作者の本はもう読む気がしない。 何よりこの作者の作品が何の賞も受けていないということがその証左である。 こんなばかばかしい小説をよく最後まで読んだものだと自分で自分を褒めてあげたい。(6/11記)
2023.08.22
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