未完成のブログ

未完成のブログ

Jul 8, 2013
XML
カテゴリ: オリジナル
白峰霞




神月沙夜

神月沙夜:エビフライはソースで食べる。



VAMPIREEYE 第十九話 「白峰 霞2」

全力疾走で家に向かう霞。ショートカットで塀を飛び越え公園の金網を乗り越え神社の中

を通り抜けていく。細い路地を抜けて左に曲がれば白峰の屋敷が見える。

「うりゃあああああっ!」

路地を出る寸前で霞は目の前に人影を見た。

「うわわわわっ!」

咄嗟にジャンプして現れた人影を飛び越える。勢いがつきすぎて霞は地面に転がった。



顔を上げると目の前には金髪の髪を後ろで縛った紫のワンピースを着た女性が立っていた。

「おやおや、大丈夫です?えらい急いではったみたいやけど…?」

ゆっくりと落ち着いた口調で金髪女性は喋った。

「あ、大丈夫です!ってその喋り方珍しっ!昔の言葉じゃん」

「最近はみんな一緒の話し方ですなぁ…さみしいことやと思いません?」

「は、はぁ…」

立ち上がって砂を払った霞は改めて金髪女性を見つめる。金髪に緑色の瞳。長い手足に色

の白い肌。この辺りでは見かけない人物だった。

「うちの名前は緋川燿子といいます。どうぞよろしゅう」

ゆっくりとおじぎする緋川燿子。霞もつられておじぎをする。続けて緋川燿子は霞に質問

した。



「え?お稲荷さん?この路地をまっすぐ行くと神社が見えます、そこがお稲荷さんです」

伏見稲荷に行かないのかな?と霞は思いつつ答えた。緋川燿子はまたゆっくりとお辞儀を

した。

「どうもおおきに」

「じゃ、あたし急ぎますんで!失礼しまーす!」



「あれが白峰の子ですか…流石雪名はんの子ですなぁ」


「ただいまー!」

家に着いた霞は靴下を脱いで廊下を走りながら制服のシャツを脱ぎ、洗濯場に着くと同時

にカゴに投げ込む。そのまま自分の部屋に飛び込みスカートを脱いで吊ったあとタンスの

中をひっくり返し始めた。あれでもないこれでもないと次々と取り出しあっという間に部

屋は服でいっぱいになった。

「あれー?洗濯に出したんだっけあのワンピース…お気に入りの白いワンピース…」

霞は部屋を飛び出して吉良を探しにいく。台所に吉良は居た。

「ねぇ吉良、あたしの白いワンピースどこいったか知らない?」

「おかえりなさいませ霞お嬢様…その格好でうろつかれるのはどうかと」

下着姿の霞を見て吉良は小さなため息をついて言った。

「ちょっと今急いでるからね。白いワンピースは知らないの?」

「先々週に裾が破れたからと言われましたから、仕立て屋に持っていきました。霞お嬢様

はそのついでに袖と襟の改修を頼まれました。まだ仕上がりの確認はしていません」

「えええええ!?そうだった?…そうだったね~じゃあ別の着てくよ…」

「お出かけになるのですか?」

「うん、沙夜ちんとセンジョーに行ってくる。19時までには帰るよ」

「霞お嬢様の門限は18時ですが」

時計に視線をやる吉良。

「いいじゃんちょっとだけ!だって今から準備してセンジョーに入るのは16時半くらいで

しょ?そこから二時間は歌いたいじゃん?そしたら19時くらいになるわけよ」

小さなため息をつき首を振る吉良。右手でメガネのズレを直す。

「駄目なものは駄目です。霄お嬢様も吹雪お嬢様も中学生の頃は守っておられましたよ。

霞お嬢様だけ特別扱いはできません」

「いいじゃんケチー!」

頬を膨らます霞。その表情を見てやれやれといった表情で肩をすくめる。

「どうしてもと言うのなら須原を迎えにやらせます。沙夜様も送らせていただきますよ」

「じゃあ二時間歌っていいの?やったー!」

「まぁセンジョーなら中は安全ですしね。では18時半にセンジョーの前に車で須原を迎え

にやらせます」

「ありがとう吉良!」

霞は飛ぶように自分の部屋に戻って再び服を選び出した。


―16時すぎ駅前噴水広場

Tシャツにジーンズ姿の神月沙夜は一人で待っていた。携帯電話を見て時間を確認する。1

6時8分だった。

「おおーい!沙夜ちーん!」

遠くから声がした。手を振りながら霞が走ってくる。白いポロシャツにネイビーのショー

トパンツ姿であった。

「遅いよかすみん!もうすぐ電車来ちゃうよ!」

「ごめんごめん!」

霞と沙夜は電車に乗り込む。通勤ラッシュ前でまだ混んではおらず、買い物帰りの主婦と

高齢者がちらほら乗っているだけだった。二人は扉の横に立ち携帯電話を取り出した。

「沙夜ちん、『教頭物語』の主題歌OPもEDも覚えてきたよ。だからあたしが歌うね」

霞はドラマの主題歌を歌っているアーティストの曲をDLしていた。

『教頭物語』とは美形俳優が演じる学園ドラマ。無理難題を押し付けてくる校長と問題

ばかり起こす教員の間でドタバタしながらも痛快な解決方法で視聴後の気持ちよさから人気

を呼んでいる番組である。金曜日の20時から放送されている。主題歌は美形俳優の同級

生である『ブルーアルコール』が担当している。

「取られたか!じゃあ私は『チョコチョコガールズ』のダンス覚えたから披露しちゃおっ

かな~」

『チョコチョコガールズ』とは小学生から高校生までの女性で構成されたダンスユニット

で小中高生に人気がある。バラエティやクイズ番組には出ず、音楽番組や教育番組、ライ

ブ、CMなどが活動の中心である。

「マジで!?沙夜ちんすごいね~」

お互い携帯電話にDLしたデータを見せ合い話してるうちに目的の駅に着いた。

ここからセンジョーまでは遠くない。通りを歩いてトンネルを抜けたらすぐに見えてくる。

京都最大の娯楽施設でありセキュリティも最高レベルのセンジョー。霞と沙夜はセンジョ

ーの入口でカードを取り出しゲートを通過する。チャージしておいたポイントがあるので

そのままカラオケの受付を済ませる。エレベーターの前で待ってると後ろで声がした。

「あはははっ!なぁに今の?あんな踊り方する子初めて見たわ。タコみたい」

「タ、タコ!?そんなフニャフニャじゃないってば!」

「じゃあゴリラ?あなた無駄に大きいから」

「ひ、ヒドイ!ネズミなのに…」

二人が振り返るとスレンダーな長髪の女性と大柄な茶髪の女性がダンスゲームの前に居た。

「高校生かな?あたしのお姉ちゃんと同じくらいかな?」

「すっごい仲良さそうだね~」

エレベーターに乗り7階に向かう。受付で渡されたカードの番号は701号。二人は扉をゆ

っくりと開ける。

「わぁ~この部屋は初めてだ~」

「キレーイ!」

正面に一段高くしたステージ、ホログラムで作られた景色。二人はカバンを置いてステー

ジ立ってみる。

「あ、すごい!こっちから見たら違うホログラムで何万人ものお客さんが見える!」

「うわぁ~本物のステージに上がったみたいだね!」

「これは気分が盛り上げるね!」

「だね!」

二人は早速目当ての曲を入れ熱唱。新曲披露のあとは得意の曲を歌い最後は定番の盛り上

がる曲で締めた。時間は18時30分になっていた。

「あっという間だったね沙夜ちん!」

「やっぱりかすみんとカラオケ行くとスッキリする!めっちゃ楽しい!!」

エレベーターを降りカードを機械に入れゲートを通り抜ける。店を出たところにピカピカ

に磨き上げた黒い車が止まっていた。

「あ、須原もう来てる」

「あ、どうも須原さん!」

「霞お嬢サマ、沙夜サマどうぞお乗りくだサイ」

窓が降りて須原の顔が見えた。黒い車にスキンヘッドの大柄な男性が乗っている姿は目立

っていた。

「なんであたしんちの車ってこんなのしかないのかな…」

霞と沙夜は素早く乗り込む。

「この車は特別仕様で防弾防炎坊魔仕様、ありとあらゆる事態に備えて装備が充実してイ

マス」

須原は車を発進させ淡々と答える。

「そういうことじゃなくてー…可愛くないなーって」

「乗り心地は最高だよね、かすみんちの車。うちはトラックだからなー…」

「そういや沙夜ちんのところのトラックて教頭物語の車に似てるよね」

「同じらしいよ?色は違うけどね~」

「いいなぁ、あたしんちの車って悪者が乗ってそうなんだもの…」

「そんなことないよ。大統領とかも乗ってるって!うちのトラック教頭物語といっしょだ

けどお父さんあのドラマの教頭みたいに若くないしイケメンでもないもの」

「けど須原があのトラック乗ってたら余計怪しいよね。まるで未来から来た殺人ロボット

が主人公を追いかけてるみたいじゃない?」

「ぶっ!」

「あはははははっ」

笑いをこらえる沙夜、霞は大笑いしている。

「私は殺人ロボットではありませんガ…」

「知ってるって、ごめんごめん。顔が怖いから須原は」

「怖いですカ…」

「迫力がある!かっこいいよ、欠点じゃないよ」

「そうですカ」

車は法定速度で走り18時45分に沙夜の家に到着した。

「じゃあまた明日ねかすみん!」

「また明日ね沙夜ちん!」

沙夜が家に入るのを確認して車はゆっくりとUターン。白峰家に向かって走り出す。

日は沈みかけていた。しばらく黙っていた霞が信号待ちで口を開いた。

「ねぇ須原、霄ちゃんの様子どう?」

「どうとは?いつもどおりデスガ?」

「疲れてるんじゃないかって。霄ちゃん長女だからあたしや吹雪おねえちゃんの見本にな

らなきゃっていっつも頑張ってるじゃない。繊細で傷つきやすいのに無理してないかな…」

霞の言葉を聞いて少し考えた後、須原は話しだした。

「…最近少し伸び悩んでおられます。吹雪お嬢様が教会に入った事もショックだったよう

で稽古の時も乱れがあります」

「そっか~…おねえちゃんもおねえちゃんで上手く自分の気持伝えれないから霄ちゃんと

ギクシャクしてるしね。は~あ~昔はみんな仲良くしてたのに~」

「………」

白峰家に到着したのは19時丁度であった。霞は手を洗ってキッチンに向かう。既に霄と吹

雪の姿はなく吉良がいるだけであった。

「お帰りなさいませ霞お嬢様。すぐに食事の用意をします」

「ただいまー!金目鯛美味しそう!」

霞は夕食を食べたあと霄の部屋に向かった。

「霄ちゃん入っていい?」

「霞か、用はなんだ?課題をやってるのだが」

扉を開けて中に入る霞、霄は机に向かっていた。

「今日一緒に寝ていい?」

「なんだいきなり。子供じゃあるまいし…」

少し笑って霄は言った。

「いいじゃん昔は良く一緒に寝たでしょ?」

「昔はな。吹雪とは寝ないのか?」

「それは明日、今日は霄ちゃんと寝たいの」

「そうか、では23時頃に寝るからそのくらいに来い」

「うん!」

23時過ぎ、霄と霞はベッドに入っていた。

「何か恥ずかしいな、久しぶりだと」

「そう?でも確かに久しぶりだね~」

しばらくすると霄は寝息を立てだした。

「(霄ちゃん、辛い事があったら言ってね。頼りない妹かもしれないけど)」

「うう~ん…」

「(霄ちゃん大好き。吹雪おねえちゃんも大好き。おやすみなさい)」





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Jul 9, 2013 07:57:04 AM
コメントを書く
[オリジナル] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Free Space

Profile

長月(ながつき)

長月(ながつき)

Calendar

Archives

Oct , 2026
Sep , 2026
Aug , 2026
Jul , 2026
Jun , 2026
May , 2026
Apr , 2026
Mar , 2026
Feb , 2026
Jan , 2026

Comments

長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
長月(ながつき) @ Re[1]:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年も…
久 遠@ Re:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年…
長月(ながつき) @ Re[1]:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) こちらもFO4までに終わらせるつもりです!…
くおん@ Re:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) やあ( ´ ▽ ` )ノ EDーEとの意思疎通方法、…

Favorite Blog

まだ登録されていません

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: