未完成のブログ

未完成のブログ

May 15, 2016
XML
カテゴリ: オリジナル
木城二郎2




前回

VAMPIREEYE70話最善最悪

―翌日
警察署に向かう二郎と霞。二郎は早速携帯電話を操作し、奥寺舞子から譲り受けた洗脳メールのコードを表示させる。そして入口に立っている警察官に見せる。

「これを見てください」

「なんだね君たちは?携帯電話がどうした?」

「……あなたは誰ですか?」

「上田直太……京都府警の巡査……28歳」

二郎の携帯電話を見つめながらつぶやく。



「分かった、斎藤警部に会わせよう。付いてきなさい」

二郎と霞は顔を見合わせて頷く。上田巡査に付いていく。受付の女性警官は上田巡査の変化には全く気づかず斎藤勇雷を呼び出す。

「2階のB室でお待ちになってください、すぐに来られます」

「(すごい効果だな……)」

2階B室に案内した上田巡査は持ち場に帰っていく。残された二郎と霞はソファには座らず窓の外や時計を眺めて斎藤勇雷を待つ。緊張で二郎の手の平は汗が滲んでいた。

「……待たせたね、気配で少年だと分かったよ。これは驚いた、主に似た気配がすると思っていたら霞嬢が来られるとは」

斎藤勇雷はスーツ姿で一人で現れた。

「まさかこのような形で再び会うことになるとはな。どういうつもりか聞かせてもらおうか?」
斎藤勇雷の髪がわずかに逆立ち静電気が発生したかのような音が全身から発せられる。

「争いに来たんじゃないんだ……俺は華月さんと話がしたいだけなんだ」

「そのような要求受け入れるとでも?」



斎藤勇雷の目をまっすぐにみつめる二郎。

「交渉とは相手の利になる条件を出さねば成立しない。お前のはただの願いだ、何故聞かねばならぬ?」

「吸血鬼サイドの目的が分からないんだ。何故皆を襲ってるんだ?華月さんは何をしようとしてるのか」

「知る必要は無い、と言いたいところだが俺も少年の力に興味がある。霞嬢をこちらに引き入れたくもある。そこでだ……勝負をして勝った者の要求を受け入れるというのはどうだ?俺が勝てば二人は俺の配下になってもらう。少年が勝てば我が主、華月様に会わせてやろう」

斎藤勇雷は眉を上げ自信に満ちあふれた表情で二郎を睨みつける。



「霞ちゃん……えっと」

言いかけたが霞の緑銀に変わった髪と真紅の瞳を見て言葉を詰まらせた。

「斎藤警部、あなたは吹雪おねえちゃんと二郎くんと速水くん三人を相手に勝ったんですよね?じゃああたしが二郎くんに加勢しても良いのでは?それとも勝つ自信ないですか?」

「確かに少年一人では俺の相手は少し荷が重い。……霞嬢、あなたの力も見ておきたい。加勢許可しましょう。一本勝負で決定的一撃を入れた者の勝ちで良いですかな?」

「それでいいよ。言っとくけどこれは勝負だし殺し合いじゃないからね?」

「そのくらいはわきまえている。ではこちらへ」

地下へ移動する三人。二郎に勝算は無かった。ただ華月にあって話をしたいそれだけを考えていた。地下の扉を開けるとそこは格技場だった。ここで日頃警察官たちは体を鍛えている。

「この時間この格技場に人は来ない念の為に人払いの結界を張っておく」

「そっか……で、勝負の方法は?」

「通常の戦闘と同じで良い。時間無制限で何を使おうが自由、決定的一撃を入れた者が勝ちだ」

竹刀型特殊警棒を正眼に構える斎藤勇雷。対する二郎はバックル刀、霞は格技場のダンベルを手に取った。

「俺に完敗しなお挑んでくる度胸は認めてやろう。だがすぐに挑んだことを後悔するだろう」

全身から青白い光を放つ斎藤勇雷。両者の距離は10m程度。二郎、霞には間合いの外であっても斎藤勇雷には間合いの中。二郎の額から汗が吹き出る。

「(この距離を一瞬で詰めてくる、そこから超高速の一撃……俺に勝ち目は……勝つには)」

右手の義手を見つめる二郎。

「(……正体不明のこの義手の力を使えば斎藤勇雷に対抗出来るかもしれない。だけど……また俺が俺では無くなってしまうかもしれない)」

応えるかのように義手から黒いモヤが現れる。

「その力だ少年、それを見せてみろ」

竹刀型特殊警棒から電撃を飛ばす斎藤勇雷、しかしそれは二郎の目の前で逸れ、霞のはねた髪に命中した。

「大丈夫だよ二郎くん、あたしがああいうの全部防いであげるから」

「ほう……これはこれは……イヤァー!!」

一瞬で霞に肉迫する斎藤勇雷、竹刀型特殊警棒を振り下ろし霞の頭部を狙う。霞はダンベルで受け止めるも衝撃で吹き飛ばされ格技場の床を滑っていく。

「かすみちゃん!」

「大丈夫だよ」

「なるほど……白峰家最年少のあなたの事を見くびっていたようだ。魔力と電気を混合させた魔力電磁フィールドをこの格技場に展開させ、どんなものの僅かな動きも察知出来るようにしているとは」

斎藤勇雷は瞬間移動的に後方に下がり再び正眼に構える。

「たった一回のやりとりでそこまでわかっちゃうんだ……」

「ふふ……俺は同志の中で近接戦闘最強を自負している、この程度造作もないこと」

「やっばー……そうなんだ、これは全力でいかなきゃ」

霞の髪が逆立つ。青緑の稲光が発生、霞の体は宙に浮き、両手両足は光のゆらぎに包まれる。

「行くよ警部」

右手を突き出す霞。次の瞬間、斎藤勇雷の体は格技場の壁に叩きつけられた。正眼に構えた竹刀型特殊警棒に真っ赤に焼けたダンベルが食い込んでいた。

「ぬうう……自分で張った電磁フィールドで反応していなければ今ので終わっていた」

二郎は二人の攻防を見つめている。

『何をしている』

二郎の右側から声が聞こえた。そこには全身漆黒の赤い隻眼の男が立っていた。

「お前は誰なんだ。いつも俺のそばに現れて……はっきりと言わない、何なんだ」

『未来は多く枝分かれをしている。迂闊な事を言えばそれ自体が無かったことになりかねない。慎重に言葉を選びお前に考えさせ行動させなければならない』

「……それが白峰家を守れってことなのか」

『それだけを考えろ。他の事に惑わされるな。白峰家を守ることが最終的に白峰吹雪や、親しい者を救うことになる……』

「今現れたって事はかすみちゃんを巻き込むなって言いたいのか」

『敵を間違えるな』

漆黒の男はそう言い残し消えていった。

「(敵を間違えるな……?だから俺は華月さんと争わない為にこうして……)」

二郎の横では斎藤勇雷、霞の電撃攻防が続いている。

「考え事か少年?随分と余裕を見せてくれる」

「二郎くんどうしたの!?」

「(敵を間違えるな……敵は華月さんじゃないって事なんだよな?でも多くの人、闇の住人を巻き込んでる……他には……妖怪連合。奥寺たちが敵っていうのか?闇の住人が敵??……それはおかしい存在自体が敵というのなら人間だって良い人も悪い人もいる)」

二郎の右腕のモヤが全身に広がっていく。

「(そうだ……吸血鬼にも善人悪人がいる。じゃあ誰が悪人だ?華月さんを無理やり蘇らせた黒谷か?……そもそもどうして華月さんは死ななきゃならなかったんだ?)」

黒いモヤは二郎の全身を包み込み外骨格と化す。

「斎藤勇雷、あんたが華月さんについている理由はなんだ?」

「俺は俺が正しいと思った道を進んでいる。受験の時も慈善活動に参加した時も警察に入った時も吸血鬼になった時もだ。俺の主は華月様、同志は黒谷」

「吸血鬼のせいで沢山の人が死んだ。それでもその考えは変わらないのか!?」

バックル刀で撃ち込む二郎。斎藤勇雷は軽く受け止める。

「お前は学生のくせに歴史を知らないのか?歴史に名を残した数々の偉人は皆犠牲を出さなかったとでも?」

斎藤勇雷は二郎を押し電撃を浴びせる。横から霞が斎藤勇雷に衝撃波を打ち込んで引き離す。

「助かったよかすみちゃん」

「電気は任せてね」

構える斎藤勇雷、二郎、霞。三者の目の前に突如広い渦が現れ中からドレスを着た銀髪の少女が現れた。ドレスから見える関節部は人工物を思わせる構造であった。

「勇雷、こちらへ。お父様がお呼びです」

「冬華か、分かったすぐに向かうと黒谷氏に伝えてくれ」

「戦闘を中止して今すぐにとの事です」

少女は淡々とした口調で言い放った。

「……仕方がない。少年、霞嬢、ここは引き分けということで」
「待て……俺は華月さんに会わなければならないんだ!」

「二郎くん、ここは引こう。引いてお願い……」

霞は冬華と呼ばれた少女を見つめ二郎にそう言った。二郎は右腕の反応に気がつかない。

「かすみちゃん?」

「あの子やばいよ……」

黒い渦に入る斎藤勇雷、冬華は二郎と霞を見つめている。

「またお会いしましょう、それではごきげんよう」

黒い渦の中に冬華は消えていく。格技場には二郎と霞だけが残された。

「あの子サイバネだったね。かすみちゃんや吹雪さんみたいな魔力だった」

「冬華って子が来なければ相性的にも斎藤警部に多分勝ててた。あの子が参加してたら危なかったよ。霄ちゃんや吹雪おねえちゃん以上の魔力を感じたね、吸血鬼だよ」

霞は元の状態に戻り大きく息を吐いた。

「黒谷って名前、それにお父様って聞こえた。黒谷の娘かな?」

「そうかも……これはお母さんに報告しないとね」

続く





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  May 15, 2016 10:58:47 AM
コメントを書く
[オリジナル] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Free Space

Profile

長月(ながつき)

長月(ながつき)

Calendar

Archives

Oct , 2026
Sep , 2026
Aug , 2026
Jul , 2026
Jun , 2026
May , 2026
Apr , 2026
Mar , 2026
Feb , 2026
Jan , 2026

Comments

長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
長月(ながつき) @ Re[1]:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年も…
久 遠@ Re:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年…
長月(ながつき) @ Re[1]:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) こちらもFO4までに終わらせるつもりです!…
くおん@ Re:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) やあ( ´ ▽ ` )ノ EDーEとの意思疎通方法、…

Favorite Blog

まだ登録されていません

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: