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May 4, 2024
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カテゴリ: DHHU
DHHUその11

 紅の提示したセンジョーのB案とは。

・会員制の地下闘技場イベントの出場
・勝てば賞金は得られる
・イベントでの負傷の治療は開催側が行うが生死までは保証しない
・どのような武器、術、能力も認められるが闘技場を著しく破壊した場合その場で失格となり損害賠償を請求する。(舞台の破壊はやむを得ないものとする)

「ケン様達勇者御一行はゲスト参加者となりチームでの参戦となります」

 闘技場の資料とこれまでの試合のダイジェストを流す紅。

「このように多少の傷を負った所でほぼ完治させることができます。治療できないほどの怪我や死亡する場合もございますのでその点はご理解下さい」



 ラーニーは拳を掌に叩き込んで言った。

「オレはあんま乗り気じゃねえっすわ……財団はケチらずに金とアーティファクト差し出せばOKっしょリスクデカすぎ」

 アンディは大きなため息をついて言い放った。

「なんでもOKな闘技場か……男だけじゃないんだろ? ならお楽しみイベントでもある訳だ~俺はどっちでもいいぜ~?」

 ネスターは下卑た笑みを浮かべながら言った。

「どうなのだ勇者ケン」

 机に肘をついた月が言った。

「俺は……任務達成できればいい。なるべく全員が納得する形でそして早急に終えたい」
 ちらりと一瞬だけ月と目を合わせて言うケン。

「ならば闘技場に参加しろ。我はそちらのB案を推す。貴様らが参加するなら我も組を作って参加する、異空間結界に入れないのであればそのくらいの事がなければ意欲が湧かん」

「俺たちは【凶】の真邪王復活を絶対に阻止したい。他の事をして任務に差し支えるような真似はしたくないんだ」



「少年、ここは華月様……いえ月様の推す闘技場参加を選んでおいた方が良いぞ」

 ジークベルトは少し笑みを浮かべながらケンを見る。

「財団の事情でダンジョンに参加できない月様のモチベを上げるには闘技場しか無い。財団と我々の派閥との関係を良好で保ちたければ解るね? 紅さんはどう思いますか?」

 話を振られた紅は落ち着いた様子で答える。

「センジョーとしては常連客やスポンサーを楽しませるためにも闘技場の特別ゲストチーム参加は大歓迎です。現金とアーティファクトも嬉しいですが、センジョーと協力関係にある白峰家華月派閥にはあまりよい報酬とは言えないのでやはり闘技場を推します」



 ケンは月の機嫌を取るために自らとパーティーを危険にさらすか、それとも安全策で金とアーティファクトを渡すか迷う。

「迷う気持ちは解るが決めてもらおうか勇者」

 見つめてくる月。ケンは一瞬だけ目を合わせすぐに資料に視線を移す。

「(クソ! なんなんだアイツ……なんだこの気持ち……パーティーを危険に晒したくないけどアイツの機嫌を損ねたくない。いや、これは失望されたくない……?)」

「少年、正直に自分の気持ちを月様に伝えるんだ。どちらの選択をするにせよ嘘偽りない気持ちを伝えることが大事だ」

 静かに諭すように言うジークベルト。

「……」

「心配すんなって勇者様! 自分はそんなに柔じゃないから!!」「ま、自信あるかないかっていうとあるよな」「へっへっへ……仕事が無い時は世界各地で同じようなイベントに参加したもんよ」

 ラーニー、アンディ、ネスターが言った。

「仲間たちもああ言ってるぞ。我も闘技場が楽しみだ、さぁ答えを出せ勇者」

 椅子から立ち上がり身を乗り出す月。

「闘技場に参加する前に確認したいことがある……優勝するかどうかは関係あるのか?」

 紅に向かってケンが言った。

「関係ありません、途中で棄権するも自由です、闘技場で戦闘した時点で契約完了となります」

「解った、では俺たち勇者パーティーはセンジョーの闘技場イベントに参加する」

「そう来なくてはな!」

 満面の笑みを浮かべる月、その横でジークベルトは無言で何度も頷く。

「不安な顔をするな勇者、我の従者は優秀な者達ばかりだパーティーが崩壊しようとも何とかしてくれる」

「え……」

「闘技場イベントは今夜開催される、時間と集合場所は紅から知らされるであろう」

 そう言って席を離れる月、横のジークベルトは懐からチラシを取り出した。

「解散する前にこれを勇者パーティーの皆さんに」

 ジークベルトが配り出したのは月がおさげの髪型をして異常なまでに漆黒のランドセルを背負った姿の写真が張り付けられたチラシであった。

「超美麗ランドセル【極漆黒・闇の翼】宜しくお願いしたします。月様の画像を携帯のカメラで見れば立体動画が流れます」

「はぁ……」

 ジークベルトの行動に呆気にとられるケンと勇者。

「華月様はセンジョーのタレント黒谷月としてこのようなお仕事もこなされているのです。私がデザインした華月様をイメージしたブランドもありますよ」

 と、追加でパンフレットを差し出した。そこにはドレスやバッグ、靴や小物に香水などの写真が様々な服を着た月と共に載っていた。

「素晴らしいでしょう? このパンフレットは写真集に匹敵するものでしょう?」

「あ、はい……」

 ジークベルトの圧に押されるケン。パンフレットを受け取る。

「では我々はこの辺りで退散致します、勇者パーティーはそのままこの店で食事していただいても構いませんよ、紅さんに言えばOKです」

 ジークベルトが黒い渦を掌から出現させる。扉の前に立っていた月がその中に飛び込み続いてジークベルト本人が入ると黒い渦は消え二人の姿は消えていた。

「……超高等魔法の時空間ゲートかぁ。あのジークベルトってのグランドマスターレベルの黒魔術師だよ」

 ネスターが言った。

「安定した出力で詠唱も無しにマジックアイテムも無しにあのレベルの魔法を行使するとはな……必要な時に必要なだけ魔力を使い一切の無駄は無く常時発動可能としている。こんなのは表面張力まで注いだニトロのグラスを複数持ったまま歩くようなもの。魔力の暴走で自爆しかねない狂気じみた真似だ」

 アンディが言った。

「あー疲れた……あの白峰華月いや黒谷月ってのはとんだ戦闘狂だよほんの一瞬も気を抜け無い。殺気なんて向けようものなら瞬時に仕掛けてくる。そして状況を楽しんでいる……ワクワクしながら自分らを見定めて『どうだ仕掛けるのか来るならいつでもやるぞ』とね。戦うために存在しているのかアレは……あの見た目でなんという奴だ」

 ラーニーは目の前に出されていた瓶のミネラルウォーターを一気に飲み干して言った。

「……父さんこれで良かったのかな?」

 携帯端末に向かって言うケン。

『やはり今の月……華月は落ち着きがないな。しかしよくやったぞケン、華月は機嫌を損ねなかった。後はパーティー全員無事で今夜のセンジョーのイベントを乗り切るんだ』

「闘技場とか初めてだよ……」

『散々やったシミュレーターの模擬戦を思い出せケン。お前は冷静な判断で的確にターゲットを仕留めカードの熟練度もあげていったじゃないか。自信を持て、お前は勇者だ』

「は、はい!」

『戦士ラーニー、僧侶アンディ、魔術師ネスター。皆超一流の経験豊富な財団のメンバーだバランスも良いきっと乗り越えられる! 優勝を目指すわけじゃない生き残ればいいんだ決して不可能ではない!!』

「はい!」

『話は変わるがユウは今ダンジョンに向かっている、ケンがセンジョーのイベントを終えた頃にはあちらも攻略しているだろう。報告会議を楽しみにしているぞ』

「任せてください!ユウにも俺の活躍を聞かせてやりますよ!!」

***

――京都地下都市碁盤の目町

 24の結界に守られた地下都市の中心に建てられた和洋瀬中の館。そこが白峰華月の住みかであった。

「芸能人・黒谷月の姿で居るのは思いの他精神的緊張を強いられるな」

 華月はメイクを落とし髪、眉、まつ毛を黒から輝く銀色へと戻す。丁寧に仕上げられたネイルにペディキュアも一瞬にして崩壊させ素の状態に。

「あああああああん! やっぱりかづたん様は素の姿こそ至高にて究極ですなあっ!」

 技術者であり従者の河童・勝田波留夫が華月を目の前にして叫んだ。

「おやおや勝田さん、華月様の『黒谷月』メイクは毎日丹精込めて芸術の域にまで仕上げてると思っているのですがね?」

 小さなため息をついてジークベルトが言った。

「確かに素晴らしいメイクですよ。しかしかづたん様の可愛さ美しさとは別物。『黒谷月』ちゅわんはあくまで変装姿です。かづたん様以上はありえないって事です」

「それはまぁ確かに……黒谷月のメイクは私の自己満足によるところが大きいかもですね。違った一面の華月様を見たいという欲求が形になったものです」

「化粧の話はもういい、我は今夜行われる闘技場の催しについて話がしたいぞ」

 裸足になった華月は毛足の長い絨毯を踏みしめ応接間に移動する。

「しましょうしましょう!」

 勝田は満面の笑みで華月の顔を見ながら言った。

 応接間に集められたのはジークベルト、勝田波留夫、斎藤勇雷、佐久間瓢介、木戸剛照。モニターには沖田実満、河上起央、谷川克政、白峰冬華。

「今夜のイベントに出れそうなのは……私、斎藤さん、木戸さん、佐久間さんですかね。勝田さんはここで待機して貰いたいですし、沖田さんは学校の関係者との会合。河上さんは取材の予定、谷川さんと冬華は東京で任務中ですからね」

 ジークベルトが言った。

『勇者パーティーとか私気になります、参加したかったのに。経験値積むチャンスが……』

 冬華がモニター越しに言った。

「私と華月様の体験を勝田さんに伝えてシミュレーションを作ってあげますよ冬華」

 ジークベルトはモニターの冬華に微笑みながら語りかけた。

『お願いしたしますお父様お母様』

「華月様、メンバーはどういたしますか?」

 豪華な装飾が施された柔らかいクッションの椅子に座り足を組んでいる華月に向かってジークベルトが言った。

「ふむ……斎藤と佐久間だな。我とジークベルトを合わせて四人、これで良いだろう」

「千載一遇のチャンス! この斎藤勇雷、必ずや役に立って見せましょう!」

 声を張り上げて立ち上がる斎藤。

「感謝いたします華月様。グレイビーストの一件から鍛え直しましたので成果をお見せいたします」

 ゆっくりと立ち上がり一礼をする佐久間。

「期待しておるぞ。あの闘技場、我は一度経験あるのだが中々良い経験になったぞ楽しみにしておけ」

「は!」「はい!」

「では準備にかかるか。ジークベルト、いつもの黒谷月よりも戦闘的な化粧と衣装で頼む。斎藤、佐久間、晴れ舞台だ、とっておきの一張羅を身に着けると良い。心配は無用だ損壊することになろうとも我が記憶しておいてやる。復元は可能だ」

「華月様にそのような気を使わせる訳にはいきません。どうかお気になさらずに」

「報酬を頂ければ満足ですのでどうかご一考下さい」

「佐久間!」

 斎藤が叫んだ。

「良いではないですか。千載一遇のチャンスと言われたのは貴方。斎藤さんも華月様から報酬を頂く方がよろしいのでは?」

 佐久間は華月の顔色を伺う。

「そうだな……働き次第で報酬は出そう。何を望むか考えておけ」

 華月は笑みを浮かべて斎藤と佐久間を見た。

 華月の報酬とは成果に対し自身の要求を通すもの。成果と報酬を天秤にかけ釣り合っていなければ貰えない、要求が高すぎても低すぎても不可となる。

 黒谷ジークベルトは華月を復活させ報酬に夫婦関係の構築を得た。

 勝田波留夫は華月とジークベルトの血液を使用したロボットから冬華を誕生させ『かづたん』呼び&冬華の義理の父の地位を得た。

 沖田実満はグレイビースト事件の功績を買われ学園の一室に華月と過ごす専用の隠し部屋の設置を得た。

 木戸剛照もグレイビースト事件の功績を買われ『黒谷月』の文房具作成の権利を得た。

「俺が華月様に望むもの……か。こうして仕えられてる現状で十分充実しているのだが」

「更に充実させるには、でしょう?」

「……成程、そうか」

「自分はカッコいい所華月様に見せたいんでね、報酬はもっとカッコいいところ見てもらいたいようになる報酬を考えてるんですわ」

「佐久間はそうか『ええかっこしい』だったな」

「ですよ」

 斎藤と佐久間が盛り上がってるのを他所に華月はこれから向かう闘技場の事で頭が一杯になっていた。
 どのような相手、どのような戦術で立ち向かうか。チーム戦なのでどう動くか等を考えている。

「心躍るな、楽しみだぞ」

***

 ユウ達は紅に案内されセンジョービルの地下駐車場の隠し扉から地下闘技場へと向かう。

「なんだここは……地下にドーム球場並みの施設が!」

 ユウはまるで別世界に着た感覚を受けていた。

「さぁこちらへどうぞ、参加者用の控室に案内します」

 紅の案内で分厚い二重扉の通路を進みロビーに出る。扉は8つありそれぞれの控室になっていた。KAMINA製のパワースーツ警備がプラズマアサルトガンを持って各扉の前に待機している。

「こちらへどうぞ。控室の中から闘技場へ行くことができますので他の出場者と鉢合わせする事はありません」

 本日限り使用できるというセンジョーのVIPカードをユウ達に配る。

「控室の中にある販売端末で使用いただけます、使用した金額は賞金から引かせていただきます。初戦で負けた場合は財団に請求させていただきます」

「あの、闘技場のルールとかは?」

「控室のモニターで確認できます。それではご検討を」

 紅は一礼して踵を返し去っていった。

「ま、とりあえず控室にいこう」

 アンディが言った。

 控室は半分がロッカーとベンチ。もう半分が畳の小上がりになっていた。

「さてさて……さっそく今回の闘技場のルール確認しとく?」

「ああ」「オッケ~」「そうだな」

 アンディはモニターのリモコンを操作して【本日のイベント!】の項目を選択する。

 第一回戦:デンジャラスゾンビサバイバル
 ・闘技場に放たれる大量のゾンビ相手に戦え!全滅させるまでのタイムを競う。
 ・途中棄権する場合は配布するロザリオを発動してください。ゾンビが停止します
 ・途中棄権した場合は倒したゾンビの量で点数が付く。
 第二回戦:ジャイアントキリング
・闘技場に放たれる大型モンスターを狩れ!
・時間経過で次々と放たれる大型モンスター(最大数4)
同士討ちを狙うか連続撃破ボーナスを狙うか確実に1体ずつ狙うかパーティーの判断にゆだねられる。
第三回戦:クラウン争奪バトル
・闘技場中央に置かれたクラウンを最後にかぶっていた者がいるパーティーが勝ち。
・2位3位4位はクラウンを被っていた時間で決まる。
・クラウンを被る役はパーティーに1人。妨害は自由、殺しはNGだが不慮の事故はやむを得ないとする。ペナルティあり。

続く





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Last updated  May 4, 2024 11:09:52 AM
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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
長月(ながつき) @ Re[1]:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年も…
久 遠@ Re:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年…
長月(ながつき) @ Re[1]:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) こちらもFO4までに終わらせるつもりです!…
くおん@ Re:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) やあ( ´ ▽ ` )ノ EDーEとの意思疎通方法、…

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