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2008年03月08日
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カテゴリ: オペラ
 東京文化会館  15:00~
 4階右側

 ロッシーニ:歌劇「泥棒かささぎ」

 ニネッタ:高橋薫子
 ジャンネット:五郎部俊朗
 代官ゴッタルド:久保田真澄
 フェルナンド:田島達也
 ルチーア:山崎知子
 ピッポ:但馬由香

 東京フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:アルベルト・ゼッダ
 演出:ダヴィデ・リヴァーモア

 久々の藤原の公演は、最近藤原が定番にしているロッシーニ。但し、「泥棒かささぎ」は、実は日本での舞台公演は初めてなのだとか。言われてみれば、このオペラ、序曲は結構聞きますが、全曲録音は少ないし、自分も生で聞くのは初めてです。

 うわっ、重たっ!というのが正直な第一印象。だってロッシーニで、一応喜劇じゃないの?でも重いんですよね。こちらの先入観のせいではあるのだけど、この違和感はちょっと後を引きました。

 気になったのは、しかし、やはり単に重たいことにとどまらず、そのせいか、何処かちぐはぐな印象を拭えなかったこと。特に舞台の上とピットの中との間。
 指揮のアルベルト・ゼッダはロッシーニの専門家と言うべき存在だし、過去の「チェネレントラ」や「ランスへの旅」では決して違和感などは感じなかった。それだけに、今日のこの演奏は不思議な感じなのです。
 今日の東フィルの編成はコントラバス4本、チェロが6本。真剣にチェックしてないけど、見た感じからも全体は12-10-8-6-4といったところでしょう。これは、今時のロッシーニ演奏からすると厚めの方でしょうが、東京文化会館であることを考えれば、それほどおかしくはない。
 ただ、今日の東フィルは、音が厚かった。管がスベるとかいうことは、まぁ起きるものとして織り込み済み(?)。弦が厚いのです。いわゆる大音量、ということではなく、密度が濃い。それは一般的にはいい演奏ということで、悪くない話です。ただ、今日の編成でロッシーニで、となると、もうちょっと軽い音楽をイメージして来てしまった私のようなうっかり者には違和感があったのです。ロッシーニに詳しい知人に言わせると、「いや、泥棒かささぎって実は重いんだ」ということだそうなのですが。
 そうすると、今度は舞台上とのバランスが問題で、つまり密度の高いオケの音に圧される箇所があったのですが、これは歌唱陣の課題となってしまうのかな?

 歌唱陣は、出来具合から言うと、やはり本日のお目当て、高橋薫子。今では日本でのベル・カント・オペラのソプラノの第一人者と言っていいかな?という存在ですが、今日もいい歌聞かせて頂きました。ええまぁ、率直に言って、私15年来のファンですし、点が甘いですが、それを差し引いても十分いい歌唱でした。流石に最近はややビブラート気味になってはきたものの、日本では珍しい、可憐さがあるのに中声域に実質があり、割合に素直に伸びる声はやはり得難い。但し、今日はオケがフルパワーで演奏すると掻き消されてしまっていたのは、まぁ止むを得ないとは思うんですが....

 ただ、全体に、アンサンブルがあまり宜しくなかった。残りの個々の歌手は、もう一つ安定感がなくて、外れたり、聞こえなかったり。それ以上に、重唱が良くないのです。特に1幕フィナーレの6重唱はどうも。明らかにずれてるのです。音程も何処か合わないのだけど、どうもタイミングが合ってないらしい。誰が、というのは咄嗟に判断付かないのですが、歌手の中でもだけど、歌手とオーケストラもどうも合ってない。確かに歌手の問題はあるのだけど、ここまで来るとやはり指揮者にも責任あり、ですね。実際、皆独唱ではそんなに極端なことはないのだし。
 もっとも、これが特に目立ったのは主に前半。後半はかなりこなれてきて、第二幕冒頭の牢獄でのニネッタとジャンネットの二重唱は結構良かったし、その後のニネッタとピッポの二重唱はかなり良かった。特に後者は若手の但馬由香がよく頑張ってました。今回結構いい役を貰って張り切ったのかしら。

 とはいえ、結局オーケストラが全奏で強奏を掛けると、さっぱり聞こえなくなってしまう箇所もあり、なのです。でも、この歌唱陣、ロッシーニとしてはまぁ悪くないキャスティングだろうし、やはりこの辺はちゃんと指揮者が調整してあげてよ、という気はするのです。
 それと、確かにこういう密度の高い演奏はいいのだけど、その分堅さも感じられたので、決してこの演奏がベストとは思えないのですね。或いはもう一方のキャスト - フォルテとシラグーザ他 - だったら上手く行くというのかな?まぁ、明日も行く予定なので、そっちを聞いてみましょうか。

 演出は、どうだったんでしょう。

 ただ、細かい所でどうもピンと来ない部分が多かった。例えば前述の第2幕冒頭でのニネッタとジャンネットの二重唱、2人が牢獄で不運を嘆いている所に葉っぱが落ちて来る。これが、どうにも気になって...... というのは、この落ち葉、結構でかいのです。それが、数分ある二重唱の間中、間断なく結構な数ひらひらひらひら落ちて来る。これが結構目に入って、しかもそれなりに威勢良く落ちて来るので、落ち着かないのです。意味が分からなくは無いけれど......
 そう、なんとなく全体に落ち着きがない部分が多かった。舞台上はかなりシンプルで、メインの舞台装置は、舞台の三方に入り口を切った壁を立てていて、この壁を倒したりすることで場面を変える一助にしているのだけれど、これを結構細かく動かすものだから、意味があるのか無いのか段々分からなくなって来る。
 一方で、この壁がなまじあるものだから、人の動かし方、特に合唱の動かし方に制約が出てしまう。そのトレードオフが成立しているかと言うと疑問だし、そもそもその制約下にしても、人の動かし方が正直下手。
 オペラを観るというのは結構しんどい作業で、実は演出の細かい所は、よほどよくストーリーを分かっていなければ受け取られない可能性が高いし、だからこそ分かり易く、というのはこの場合受け取り易く、という意味も含むのだけど、そういう風に作るべきだと思います。でないと作る側の独りよがりで終わってしまう。

 ちょっとキレ味のよろしくない感じでしたなぁ.......薫子ちゃん良かったからいいけど(笑)






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最終更新日  2008年03月09日 00時23分46秒
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