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中国産「変」水晶に続いて、本家ロシアのへんてこ水晶。この形状でなんと「量り売り」だったので、軽くて、安くて、お買い得! でした。お店で聞いた産地はロシアの「プリモーリエ」。これは沿海州という意味。へんてこ水晶の産地として名高いダルネゴルスクも沿海州にあるのでたぶんこれもダルネゴルスク産だろうなあ……と思いながら、「プリモーリエと言うところまでしかわからない」と言っていたお店の方の言葉にしたがってプリモーリエ産ということに。わずかにグレイがかっているようにも見える白くて細い結晶がつくつくつんと放射状にのびています。それぞれの結晶もさらに細い水晶が束になったような感じで、前回の中国産水晶と似た感じ。いや、私にとってはこちらの水晶の方がへんてこ水晶として「おなじみ」の産地に思えるので、中国産の方がこちらに似ていると言いたいです。産地で言えば、「ブラジル」も「ネパール」も、個性豊かな水晶を産出しますが、どちらも「一国」の範囲で、個性豊かといっても「水晶」とすぐにわかる範囲内。「変」な水晶が出るとしても、それよりずっとたくさんスタンダードな水晶が出ます。ところが、ダルネゴルスクは狭い範囲で個性派水晶がざくざく。その割合たるや、ときどきスタンダードな水晶を見かけると、「そちらの方が変。ダルネっぽくない」と思ってしまうほど。私の中では、「変な形……え、ダルネゴルスク? 納得」と、ダルネゴルスク産であることは、変な水晶であることの立派な理由と化しております。どうしてこうなるか、という点はさっぱりわからないけれど、ダルネゴルスク産で変な水晶であることは、ちっとも変ではないのです。
2008/08/10
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久しぶりにロシア水晶です。「ヒマラヤ・ロシア産水晶が好き……」と書いているブログなのに、このごろちょっと「看板に偽りあるかも」状態でした。最近のミネラルショーではロシアブースの元気がいまいちなので、そのあおりで我が家のロシア石の勢いも停滞気味。ただでさえ見かける機会が少ないし、ネットで見かけるロシア石は高い!さて、写真の石は何年か前に買ったもの。それがどうして今頃登場かというと、3.5センチほどの小ささでありながら写真の腕を厳しく問う、見かけによらず手強い石なのです。見かけは結構かわいいのです。ちょっと黄色みが買った乳白色……というより半透明象牙色の水晶の上に、きらきら乗っかる淡いピンクはアポフィライト。アポフィライトといえばインド産が有名ですが、インドでは見かけないピンクのアポフィライトが、ロシアで出ます。この一見かわいい組み合わせがくせ者。どちらも淡い色だけに、ちょっと間違うと色がくすんで暗く写ってしまい、アポフィライトをきらきらさせすぎればピンク色が出ない。半透明象牙色の水晶は、おもしろい形をしているのに立体感が出にくい。私は、どのように光を当てるかが、石を美人に撮る大きなポイントだと思っています。ホイと机の上に石を置き、ぱちっと撮っただけでは石を一番きれいに写すことはできません。光をきれいに当てるため、石の角度を調整する工夫をし、カメラを覗きながら微調整を繰り返します。しかし、このような人為的な調整だけでもだめなのです。私は、太陽光で写真を撮っていますが、ずっときれいに撮れなかった石が、ある時突然きれいに写せるのは、日々刻々角度と色を変える太陽光の働きもあると思っています。太陽光の助けを借りて撮れたのが今回の写真。水晶の立体感がいまいちですが、それは今後の精進と言うことで……。
2008/07/28
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ロード……クロサイトではなくて、ロードナイトです。菱マンガン鉱ではなくて薔薇輝石。輝石ではないのに輝石の名前が付いている、ややこしい石でもあります。パワーストーンのブレスレットの分野では、相変わらずのロードクロサイト人気のようす。かわいい色ですから、好きな人が多いのも頷けます。しかし、個人的にはロードクロサイトならビーズよりも結晶。結晶でなければ、ロードクロサイトより、ロードナイト好きです。ロードナイトの中でも、写真のように赤みの強い、文字通りのバラ色で、若干光に透けるこのタイプが好き。以前に紹介したのは、ブラジル産でペンダントヘッドでしたが、今回はロシア産でルース。どちらも赤みの強いバラ色で、透明感のあるところが共通点です。ロードナイトといえば、ピンク色でも不透明というイメージですが、こういうタイプもあるのです。ピンクで、名前が薔薇ですから、パワーストーン的意味を調べてみると、やはり恋愛系の説明がたくさん出てきます。でも……。このタイプを、石としてはロードナイトであると言うだけで普通のタイプと同じ意味に押し込めるのもどうかと思いますし、「ロードナイト一般」としてではなく、「この石」に限って見れば、「血湧き肉躍る熱い石」。インパクトのあるこの色合いは、恋愛という嬉し恥ずかしの甘い感情には収まらないと思います。私も、石の入り口はパワーストーン(同時に化石もありましたが)。石の意味や伝説を見ているのは楽しいです。鉱物的側面からあれこれつついてみると同時に、石をイメージ的に見ることもします。しかし、「この石はこの意味」「パワーストーンはかくあるべし」とあらかじめ型を決めてしまって、その型にそって石を見るのは、どうも私のやり方ではないようです。私の場合はまず石。目の前の「この石」。「この石」はこんな感じ。また別の石は別の感じ。それを積み重ねて、ちょっと全体を見てみると、たとえばネパールのガネーシュ・ヒマール産は漠然と共通項があるかも。ヒマラヤ水晶と一口に言っても、ネパール産とインド産では違うかも。そんな大きな枠を見ることもありますが、基本はやはり「目の前のこの石」。……ということで、今現在目の前にあるこの石は、私にとって「気合い石」のイメージ。癒しやリラクゼーションではなくて、「やる気」や「気合い」。写真のように光に透かした色合いと来たらもう。新宿ショーを間近に控えた今の気分にぴったりかも?
2008/06/02
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ブログの説明が「ヒマラヤ水晶・ロシア水晶が好き……」なのに、最近ロシア水晶登場率が低いです。もちろん、ブラジル産や中国産と違って、大量に市場に出回ってないので、手元にやって来るのも少ないのですが、最近「おおッ!」と目を見張るロシア産水晶がすくない気がするんですよねえ……。探し方が悪いのか、それともロシアが他の資源になる鉱物探しに熱を入れていて、水晶なんか掘ってくれないのか。その分、アフガニスタン・パキスタン産水晶に熱を入れていたんですけどね。さて、お久しぶりロシア水晶です。個人的には多分ダルネゴルスクだろうと思っていますが、お店の人がいっていた産地は、もひとつ大きなくくりのプリモーリエ(沿海州)。(ダルネゴルスクは沿海州にあります)ものは、さしわたしが5センチくらいの小さなクラスター。ちょっと茶色がかった半透明気味のそろばん型水晶と、柱面の短い、いわゆるハーキマー・タイプと言われる形の水晶がごちゃっと固まっています。普通に見かける、柱面がちゃんとある結晶が生えそろったクラスターとはちょっと感じが違うので、地味な色合いながら、よく見るといろいろおもしろい。そして、おもしろいを通り越して不可解なポイントが。画面中央の結晶に注目!まっすぐな、芯、入ってます。実は、芯入り水晶は、初めてではありません。以前にもひとつ登場しています。こちらのクラスターは、いわゆるセプターの変形、つまり、先細り型の結晶が元にあって、本来ならその先端に被さるように別の結晶が結晶していくところを、やや下加減で成長してしまい、「被さる」ではなくて「芯にして太る」感じに結晶してしまったのだと思います。(しかも、芯の結晶の先端が外側に見えています)。これはこれで十分変なのですが、今回の石はその上を行く「変」。なんと言っても「芯」の部分がまっすぐです。先細りではなくて上から下まで同じ太さ。しかも、結晶はDT(両錐)。DTの結晶でも、ファントムはあり得ます。実際手元にあるものでは、内部に全体の結晶の縮小版のような、つまり縦横が均等に小さくなったような形のファントムが見えています。しかるにこいつは、「芯」。これがファントム、つまりはかつての結晶の形だというのなら、なぜ縦方向にも大きくならなかったか。もしかして、中のは水晶ではなかったりするのだろうか。それにしてもこんなにきれいに「芯」になるとは思えません。すごく「変」。ひとつだけ関係ありそうだと思っているのが、温度です。一般的に「そろばん型水晶」は、高温型水晶と説明され、その形は普通の水晶よりも高温の環境下(摂氏870度~573度の間)で成長したためだとされています。ところが、そろばん型水晶の代表格のようにも思えるダルネゴルスクのそろばん型水晶は、実は高温型水晶ではなく、普通の水晶と同じ温度……その中でも低い温度で結晶したものだそうです。このクラスターは、沿海州、おそらくダルネゴルスク産。このへんてこ結晶の周りにくっついている結晶がほぼそろばん型であることを考えると、結晶した温度が低かったのではないかと想像されます。たまたま最初に細長いDTの結晶ができたものの、周りの温度が低いため、縦横均等に成長できなかった……でのはないかと。……いや、でも、水晶が一番成長しやすいのは、錐面のはずだし……。案外、こいつが「自分が水晶だということを忘れていた」というのが真相だったりして。
2008/03/04
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きれいなエメラルドグリーンのつぶつぶつぶ。……ガーネットなんです、これ!名前はウバロバイト。クロムとカルシウムを主成分とするガーネットで、和名はそのまま「灰クロム柘榴石」。こんなにきれいなのに、こんなに美しい緑なのに、一番の悩みは小さいこと。写真に写っているつぶつぶひとつは1ミリくらい。これでも実際見た中では目立って大きいんです。他のものは緑の皮膜状。岩に何か粉っぽいみどりのものを「塗りました」という感じで、「これがガーネット? どこが!?」と言いたい感じのものしかありませんでした。中にはセンチ単位のものがあるそうですが、まだお目にかかったことはありません。特に希産だという説明は見ないように思いますが、あまり見かけることがないのは、一にも二にも結晶が小さすぎるからでしょう。ルーペでじっくり見ると、ガーネットらしい形をしています。これでもっと大きい結晶だったら、さぞかし美しいことでしょう……。さて、この「ウバロバイト」で一つご注意を。Uviteというトルマリンがあります。和名は灰電気石。カルシウムを含むトルマリンです。(マグネシウムも多い)赤や褐色もありますが、緑のものをよく見かけます。Uviteはユーバイトとも読みますが、ウバイトの読み方が一般的(たぶん)。ウバロバイトとウバイト。そしてどちらも緑。そのせいか、ちょくちょく間違えられてます。「ウバロバイト付き水晶」えっ珍しい!……と思って見るとウバイト付き。そんなことが何度かありました。ご注意を。
2008/02/27
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ロシアはダルネゴルスク産のフローライトですずどーんと大きく写っていますが、長いところで3.5センチほどのミニサイズ。色はこう見えても透明です。透明なので母岩の部分が透けて見えています。よく見ると、母岩の上に何か別の鉱物が丸く結晶して、その上に透明フローライトが成長しているようなのですが、中のものがなんなのか、いまいちよく見えません。透明なのによく見えない原因のひとつは、結晶の形。八面体と6面体の中間のような、ちょっと丸っこい形に結晶しているので、面の数が多くて、中がよく見えません。しかも、表面にはパイライトか何かが細かい粉状になって付着しているので、砂状のパイライトが内包されたイリノイ産のフローライトほどではないものの、全体がほんのりラメラメ、キラキラ。フローライトらしいつやつやでみずみずしい感じではありませんが、大きめの結晶を中心に左右に小さな結晶が並ぶ、整った形状で、小さくてもスタイル良しです。ダルネゴルスクのフローライトは、いざ探そうとすると見つからないのが困りもの。フローライトに限らず、かもしれませんが……。店に行って探せばいつでも何か並んでいるというものではないので、出会ったときが悩みどき。ミネラルショーでもここのところちょっと不作なのが残念です。
2008/02/06
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ロシア産水晶です。産地はダルネゴルスクではなくて、ウラル。近年、ロシアの水晶として見かけるようになったウラル北部のプイバやドドではなくて、南ウラルの水晶です。ラベルは、チェリャビンスク州アスターフィエフ産となっています。実は、この産地はロシアンレムリアンの産地、あるいは、ロシアンレムリアンの鉱山ととても近い場所であるという噂があり、数年前にこの石を買ったときは、「アスターフィエフ? もしかしてロシレム!?」……と考えたことを白状しますが、今となってはそれもどうでも良くなってしまいました。なかなか「これ」という全体像が撮れないことに頭をひねり、いろいろな角度から眺め回していると、ロシアン・レムリアンであるか否かよりも、この石がこの石であること、この石ならではの表情の方が遙かに魅力的で、おもしろく感じられるのです。表面がややこすれた感じなので、見た目は透明度が低く見えますが、たぶん内部は透明、色味はほぼなし。全体的にころんとした形状で、二つの結晶が微妙な角度でくっついているため、二つの結晶をともにきれいに写そうとすると、うまくいきません。先端部分がよく見える方の結晶には、写真に写っているように、さらにくっついていた結晶がはずれた痕ではないかと思われる、欠けではないけれど、大きなへこみがあります。整った結晶を良しとする観点からは、完全に「傷」ですが、私はこのへこみが見所の一つだと思っています。このへこみは、石の採取の際にはずした痕ではないようで、へこみの部分にも「△」(成長丘)のようなものが見えて、やや古さを感じさせます。この「古傷」をイメージ的に写してみたのがこちら。さらに、この水晶の一つの面には、かなり大きな「△」があります。ふつう、レコードキーパーとも呼ばれるこの凸状「△」は、大きさにして数ミリ、肉眼で確認できればいい方で、写真では「△」が写れば御の字という感じです。ところが、この石の「△」は、その大きさもあって、はっきりと凸状の立体感が写せます。これがまたカッコイイ。身長に角度を調整して写してみたら、周りの「△」までが写り込んで、不思議なレリーフのようになりました。よく見ると、大きな「△」のなかに、さらに「△」があるように見えて、う~ん、芸が細かい。
2007/11/11
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IMAGE2007戦利品。ロシアの水晶が、まさか量り売り!? と騒いで買ったうちの一つ。ミネラルショーともなれば、ところによっては、値段は重さで付けられていることがあり、だからこそ、質の割にお手頃な値段で手に入れることができるわけですが、それでもロシアの水晶が値札もなく「グラムいくら」の表示で売られているのは初めて見ました、私。この見かけならばダルネゴルスクさんだろうな、と思いながら「産地は?」と聞いてみると、「沿海州というところまでしかわかりません」とのお返事。ダルネゴルスクは、ロシア沿海州にあるのでたぶん間違いありませんが、せっかく教えていただいたので、沿海州(Primorye)と表示します。さて、写真の水晶は、おおざっぱに言えばDT(両錐)の水晶が数本、縦横無尽にくっついたもの。もっと詳しく見ると、それぞれの結晶の両端は、まるでそろばん型水晶をくっつけたようになっています。ベータクォーツと言った方がわかるかもしれませんが、ダルネゴルスクのそろばん型水晶は本来の高温型水晶(ベータクォーツ)ではないそうなので、ここでは単に「そろばん型水晶」とします。柱面はでこぼこ、ざらざらしていますが、これもよく見ると全体がそろばん型水晶の集まりであるからのように思われます。そろばん型水晶があつまって棒状の結晶を造り、それがさらに縦横無尽にくっつくとは。さすが、ロシア水晶! へんてこです!(注:褒めてます)実物は、ちょっとくすんだ半透明の白い水晶ですが、光に透かせばこの通り、繊細な陰影で形を浮かび上がらせてくれました。実を言うと、ミネラルショーの会場というのは、特別に照明を持ち込んで飾り付けに気合いを入れるのでなければ、照明はおおざっぱで、「石をきれいに見せて売る」という場所ではありません。きれいにライトアップしているところは、ヒーリング系であったり、一つ一つセレクトした石を並べるお店なので、値段もそれなり。それよりも私は隅っこを「掘る」店を探します。つまり、ミネラルショーの会場では、大きな石も意外に小さく見えるし、(そのために買って帰ると意外に大きくてびっくりする)その場の見栄えの悪さに見過ごす可能性も多いのです。しかし、「店の隅っこ万歳」派の私としては、ロシア水晶で、しかも破格の量り売りを見つけて、見過ごすはずがありません。会場ではくすんで地味に見えていても、「こいつはバケる」……と、すでに頭は撮影モード(笑)。これならきれいに透けてくれるはず。こちらから光を当てたら、きっとすてきな表情を見せてくれるはず。時には「写真に撮りにくそう……」とわかっていて買う場合もありますが、多くはカメラを向けたときに石が見せてくれるであろう、すてきな表情を、ついつい想像してしまいます。石はきれい。石は不思議。そしてどうやら私の目には、石撮りカメラのレンズも内蔵されているようです。
2007/10/23
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3年目の記念石は、ロシア産で。ロシア水晶と言えばウラルかダルネゴルスクが多いです。この、虹色に輝く水晶はといえば、へんてこ水晶のメッカ、ダルネゴルスク。このように、おそらく長石であろうと思われる母岩の上に、ほぼ錐面だけの水晶が、仲良く二つ。この水晶は、表面が不透明な黄色い層に覆われ、それだけでも十分かわいいのですが、さらに天然コーティングによって、母岩を含めて虹色に輝きます。全体で10センチに満たない大きさなので、小さくてきらきらで、むちゃくちゃかわいい!見た人は、「夕日に照らされた砂漠のピラミッド」みたいだとおっしゃるのですが、私の第一印象は「ムーミン谷」。整った形の水晶が、ムーミンの家のとんがり屋根に見えるんです。どっちに見えます?
2007/06/22
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お久しぶりのロシア石。チャロアイトです。シベリアのチャロ川流域で発見された、比較的新しい石です。最近では、ビーズでもかなり見かけるようになってきましたが、ここでちょっとご注意を。チャロアイトは、チャロアイトではなく、いろいろな石とまざって産出します。黒っぽい部分はエジリン、オレンジ~茶色のチナクサイト、やや透明感のあるクリーム色~灰色の部分が長石です。チャロアイトビーズとして売っていても、紫色のチャロアイトが、かなり少ないものもあったり、長石部分(たぶん)が多くて、透けて見えるものもあります。色の濃い薄いや長石が多い少ないは、石の表情として好み次第ですが、チャロアイトビーズといいながら、チャロアイトが少ないのはちょっと悲しいかも。さて、このチャロアイト、誰が言い出したのかはわかりませんが、「三大ヒーリングストーン」と呼ばれております。「三大○○」というのは、なかなかいい加減なものが多くて、説によっては三つのラインナップがいろいろなものがあるのですが、「三大ヒーリングストーン」については、「ラリマー、スギライト、チャロアイト」のラインナップは不動です。ならばなおのこと、誰が言い出したのかわかっても言いと思うのですが……。さて、写真の石は、チャロアイトがビーズとして出回る前に買ったもの。今思うと、ちょっと高く買っちゃったかなあ……という値段でしたが、色合いと、チャロアイト特有の絹糸のようなマーブル模様はっきりしています。パステルトーンの優しいチャロアイトもかわいいけれど、チャロアイトと言ったら、このマーブル・薄巻き模様でしょう!……という具合なので、私には、どうもチャロアイトがヒーリングストーン:癒しの石に思えません。少なくともこの写真のチャロアイトは、「癒し」という優しい雰囲気ではありません。マーブル・渦巻き模様は、荒々しいほど。きっとどの石も、水晶だから、チャロアイトだからというような種類ではくくれない個性と、そこから生まれる個性的なパワーを持っている。そのように思えてなりません。
2007/06/19
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サンストーンと呼ばれる石があります。ムーンストーンと呼ばれる石もあります。ここでちょっとはっきりさせておきたいのですが、サンストーン、ムーンストーンという鉱物があるのではなくて、長石に、ヘマタイトや銅の薄片が内包されてきらきら輝くものをサンストーン、アルカリ長石の中で、独特の層状構造により、ふわっとした月光のような光が浮かぶものをムーンストーンと呼ばれています。つまり、条件を備えていればサンストーン、ムーンストーンですが、同じ成分、結晶の仕方でも、極端に言えば、同じ結晶であったとしても、別々にカットされたときにきらきらや月光のようなシラーという要素を満たさなければ、サンストーン、ムーンストーンと呼ばれないということです。……というように、見た目で命名されているわけですが、そのために両方を兼ね備えた石、というのも存在します。つまり、ムーンストーンの条件である月光のようなシラーを持つ長石にヘマタイトのきらきらが内包されれば、それはサンストーンであり、ムーンストーンでもあると言うこと。そういう石が実はあります。それが、今回の写真の石。小さいルースの上、シラーとヘマタイトを同時に写すのが大変!それでも、なんとかヘマタイトの薄片が内包されているのと、石の左側、光が写り込んでいるあたりがうっすら青白く光っているのがおわかりいただけるでしょうか。これは、ロシアの石。ムーンストーンとして思い浮かべる、透明や白い地の石ではなく、部分的に白かったり黒かったりする石ですが、青白い光とラメのようなきらきらが浮かぶ様子は、なかなかおもしろいです。惜しむらくは、なかんか見かけないこと。見つけようと思ったらミネラルショー……ですが、意外に高い。小さいルースでやっとゲットしたもの。でも、太陽と月を同時に兼ね備えた贅沢な石。探す手間は、惜しめません。あとは写真でがんばらねば。
2007/06/17
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ロシアのシホテアリン隕石です。全体像ももちろん撮影したんですが、表面の溶けた様子がワイルド……(ホレボレ)と、アップで写してみたら、予想以上にかっこよかったので、こちらを採用。シホテアリン隕石は近年最大の隕石の落下として知られています。時は1974年2月12日午前10時38分。ロシアのタイガ地帯6キロにわたって、106個以上の小さな隕石孔をつくって落下したそうです。落ちた隕石の総重量は約23,000kg。もっともこの重さのものがまとめて落ちたのではなくて、100個以上の隕石孔を作っていることからもわかるように、大小さまざまの破片となって落ちてきたのです。それでも、最大のものは1745kgあったそうです。このシホテアリン隕石は、ミネラルショーなどでよく見かけます。黒くすすけたような小さな塊が、山積みになっていたり。こんな金属の破片を振りまきながら、隕石が落ちてきたのだと思うと、そのときの光景はいかなるものかと想像をたくましくしてしまいます。(隕石落下の様子は、切手になっているそうです)さて、隕石は大きく3つに分けられます。一つは石隕石。最近ビーズでも見かける「サハラ」隕石は石隕石です。もうひとつは鉄隕石。ギベオン、カンポ・デル・シエロ、そしてこのシホテアリンも鉄隕石です。最後は石鉄隕石。鉄隕石に石がまじっているもので、鉄の中にペリドットがはめ込んだように混ざり込んでいるパラサイト隕石やブラピン隕石がこれにあたります。以前はガラス質隕石としてモルダバイトやテクタイトも隕石の仲間に入れられていましたが、最近は隕石衝突の衝撃で溶けて飛び散った地球の岩石などだと考えられているようです。石隕石や鉄隕石などは、成分や構造によってさらに細分化されますが、ややこしいし、ボロが出そうなのでやめておきます(笑)。鉄隕石はその名の通り鉄が主成分ですが、詳しくは鉄とニッケルの合金です。今回しみじみとカメラを向けた、この表面の表情は、隕石が大気圏を毎秒1km~14kmの速度で落下する時の摩擦によってできたものなのだそうです。空を切り裂き、吠え叫び、炎をまとってやってきた宇宙のかけら。今回の写真では、まるで年を経た竜のように見えてきました。鋼の体の内部に炎を宿し、空を翔る、猛々しい竜の最期の姿……。そう考えると、隕石と竜とは、どこか似ているようでもあります。全体像はこんな感じ。
2007/06/11
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お久しぶりですのロシア石。ロシアはウラル山脈、プイバ産のカルサイト付きスモーキークォーツです。ロシア産の石は、おおざっぱに分けるとウラル産、バイカル湖周辺産、そして日本にも近い極東ダルネゴルスク産があります。中でもウラルで水晶というと、ロシアン・レムリアンが有名(?)ですが、その産地ははっきりしておらず、(ウラル南部といわれていますが、詳しい場所は不明)すでに閉山しているとも言われています。それに対して、プイバはウラル山脈の比較的北の方。ウラル山脈最高峰のナロードナヤ山の近く。最高峰といっても標高は1895メートルと意外に低いです。「ウラル山脈の2000メートル級の場所から……」という説明を見かけたことがあるのですが、ウラルの最高峰は2000メートルより低いのでご注意を。プイバ産の水晶は、美しいスモーキーが多いようです。透明度が高く、表面に細かな雲母か何かが付着して、きらきらラメラメしていたりします。そんな中でカルサイト付きの水晶は初めて。ややふっくら「はんぺん」っぽいカルサイトに、透明感の高いスモーキーがくっついています。白く半透明なカルサイトとスモーキーの取り合わせも美しく、もちろんスモーキーの色合いも抜群です。さらにはロシア産カルサイトも初めてです。見つけたのは、2006年10月に新宿で行われたIMAGE2006。「おー、いろいろこれは初めて!」と手に取った私は、もう一つの特徴に気がついて、目を丸くしました。「こ、これは!」石の向きを変えてみましょう。おわかりいただけるでしょうか。カルサイトに浮き出たあのマーク。もうちょっとアップにしてみましょう。これって……まるで、放射線マーク!ロシレムについて調べていて、各施設の事故に行き当たりましたが、ウラル山脈で、放射線マークというのは、ちょっとしゃれになりません。何でまたこんなマークが浮かび出るんだか。自然は不思議がいっぱいです。
2007/04/17
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久~しぶりに、ロシアの石。ロシアはウラルのモリオン(希望コミ)です。噂に聞くところでは、ロシアはただいま資源採掘に忙しくて、石なんか掘っていられない~……んだそうで。そういえば、ロシア石に巡り会う機会が少なくなったような。それとも、単に私が気合いを入れていないだけでしょうか。この石を手に入れたのはたしか、2004年12月の池袋ショー。まだまだミネラルショー初心者で、ドキドキしながら買ったものです。大きさは3.5センチほど。モリオンと言いながら、ペンライトのような強烈な光を直接押し当てると、小さいせいもあってさすがに透けちゃいますが、太陽光程度では不透明黒。根本の方に、おそらく長石ではないかと思われるピンクっぽい石がちょこっとくっついています。そして、最大の魅力は、その色と、表面。ひび割れ……とも違う、強いて言えば細かく細かく何かに切り刻まれたような傷が、錐面、柱面を問わず全体を覆い尽くしています。一時期は蝕像を疑ったのですが、ブラジルの溶け水晶に比べて、結晶のエッジも、「傷」のエッジも共にシャープなので、溶けたのではなさそうです。小さいくせに、全身を傷で飾った古豪の雰囲気。渋いけれど好きな石です。
2007/02/27
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実に久しぶりにロシア産水晶です。「ヒマラヤ水晶が好き、ロシア水晶が好き……」なんですが、やはりと言うべきか、ロシア産水晶と巡り会うのは大変です。写真の石は、こちらと同じプイバ産。プイバは、ウラル山脈の最高峰ナロードナヤ山(1894m)の近く、ポーラーウラル、またはサブ・ポーラーウラル(Nether Polar Urals)と呼ばれる、ウラル山脈北部の水晶です。私が見たことのあるプイバ水晶は、ほとんどがスモーキー。しかし、プイバと近いDodoからは、ほぼクリアな水晶も出ています。さらに、南ウラルの産であると思われるロシレムはほとんどがクリアですが、中にはスモーキーのものもあるので、ウラル山脈の北部にスモーキーが多いというわけではないようです。そのプイバの特徴のひとつであると思っているのが、表面のキラキラ。アルプス・スモーキーを彷彿とさせる透明度の高さに、この煌めきが華を添え、神秘的な北の黄昏といいたいような雰囲気です。雲母化した(……という説明あり)緑泥と思われる、微細なキラキラが表面を薄く覆っています。聞いたところによれば、十キロ(数十キロ)しか離れていないDodo鉱山の水晶では、緑泥は付いていてもこのようにキラキラしていないのようなので、これはプイバ・スモーキーの特徴と言ってもよいのではないでしょうか。残念ながら、透明度が高いスモーキーはカメラの難敵。バックを黒くすれば、透明度があだとなって黒が透け、バックを明るくすれば、石そのものが暗く沈んでしまいます。きれいなのに~、スモーキーでもこんなに明るいのに~、とカメラを構えるたびに試行錯誤。そのかいあって、透明度と表面のキラキラを写すことができましたが、面の反射で付着した緑泥が変な風に分離して写ってしまいました。
2006/09/23
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へんてこ水晶のメッカといえば、ロシアのダルネゴルスク。変わった水晶というよりも、「これって、ほんとに水晶?」と疑いたくなるほどへんてこな水晶を産出します。マダガスカルもへんてこ水晶を産出しますが、マダガスカル産水晶が「水晶のままで自由に伸びやかに形を作っていった」石ならば、ダルネゴルスク産水晶は「水晶であることをやめて、新しい形を求めていった」石、という感じ。へんてこ水晶好きの私には、たまらない産地です。 そこで不思議に思うのが、「このへんてこ水晶って、どんな風に生えて(母岩にくっついて)いるんだろう?」ということ。普通の水晶ならば、クラスターやジオードを見れば、どのように生えていたかが分かります。 しかし、「これって、水晶?」なダルネ水晶はどうでしょう?どうみても普通の水晶のように、母岩にくっついていたようには思えない……。そう思っていたところ、2005年6月の新宿ショーで、ダルネゴルスクの地表をそのままひっぺがしたようなクラスターを発見!長さ20センチくらいのクラスターというか、母岩に、 「筆状」とか「つくし状」とか言われるあの不思議な形の水晶が、母岩にくっついたままになっています。やっぱり、水晶には見えないかも……。洞窟の中の不思議な植物といわれたら、信じてしまいそうです。このクラスターには、水晶だけでなく、鱗状のカルサイトもくっついています。おまけに左端の水晶は、「逆向きに刺さって」います。おそらく、この部分で母岩がオーバーハングしていて、水晶が逆向きに生えていたのでしょうか。クラスターはどうしても大型になってしまうので、石は手のひらサイズ以下希望の私には、手が伸びづらいのですが、これは、即決。お値段は……、大きさから考える値段より、一桁少ないです。頭にもう一個「1」が付いていてもおかしくないはず。さすが、ミネラルショー!
2006/04/08
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セラフィナイトの磨きです。直径は4センチ~5センチあるので、カボションというには大きいし、大きさに比べて厚さは薄め。以前にセラフィナイトの大きめタンブルを紹介しましたが、あの石以来、セラフィナイトを選ぶなら「羽毛っぽい」が条件のひとつになっています。セラフィナイト=熾天使ですが、私にとっては「天使」であることにはあまり意味がなく、どちらかというと「羽毛の石」。羽ばたき、空を駆けるための翼でもなくて、ふんわり包み込む「羽毛」のイメージです。これが、ヒマラヤ水晶の中に内包されている緑泥石の仲間だというのですから、意外で不思議です。セラフィナイトの特徴は、深緑を背景に、放射状に広がる銀色の筋。それが「熾天使の翼を思わせる」のだそうですが、放射状であるだけではあまり羽根っぽく見えません。ところが写真の石は、銀色の模様がかなり羽毛っぽくて好みです。羽毛っぽくもあり、命あるかのようにさわさわと動いているようでもあり。やわらかく感じられそうな緑の羽毛をかき分けたら、その奥に何が隠れているのだろうかと、探してみたくなります。そのせいでしょうか。この石には、何かを羽毛で隠した神秘性と、やすらぐというより、好奇心をくすぐり、やがて行動に駆り立てるようなイメージがあります。あとは……ブロッコリーのように結晶した原石か、きれいに光に透ける薄板が欲しいかも……。
2006/03/12
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ロシア産のグロッシュラー・ガーネットです。和名は灰礬柘榴石。灰(カルシウム)と礬(アルミニウム)を含むガーネットです。グロッシュラー・ガーネットには、ヘソナイトやツァボライトと名前が付いたげーネットが含まれます。グロッシュラーは、「西洋スグリ(Grossularia)」にちなみます。というのも、シベリア産の灰礬柘榴石が淡緑色をしていて、「西洋スグリ(Grossularia)」に似ていたからだそうです。写真の石は、まさにシベリア産。しかも緑色です。西洋スグリやグーズベリーで検索してみたら、ちょっと黄色っぽい緑色が似ています。ところで、このガーネット、肉眼で見ていると緑なのですが、写真に撮ると、茶色……というか、ちょっと赤っぽく写るのです。以前は赤いカメラを使っていたので、てっきりカメラの色が写り込んだと思っていたのですが、今回、新しい黒いカメラで撮ってみても、やはり赤っぽい。もしかして、中心部の方が赤い(赤っぽい)のかも……?
2006/03/08
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ちょこっと前の「ロシレムの隅つつき編」で、ロシレムの産地割り出しに一役買ってくれた、「Ushniy」産の水晶です。「ロシア水晶」として買ったので、「ロシア水晶」として載せましょう。私のファースト・ロシア水晶はダルネゴルスク産でしたので、「ロシアの石は変な石♪」という意識がどうしても抜けないのですが、ロシアはロシアでも、ウラルの水晶は、形としてはスタンダード、しかし、やはり、北の大地の水晶と言うべきか、静かな中にもどこか堂々とした……あるいは、静かな迫力を感じさせる石が多いようです。写真の水晶は、長さは6センチほど、ご覧の通り、太さよりも長さが目立つほっそりタイプの結晶ではあるものの、アップにすればその古びた風情が一種独特の迫力です。柱面には成長線がびっしりですが、内部の透明感は抜群。根本までミスト(霧状のインクルージョン)が全くありません。古びて見えてもエッジはなかなか鋭く、本来なら石の美観を損ねるはずの剥離痕(くっついていた結晶をはずした跡)がみごとなアクセントになっています。角度を変えるとこんな感じ。普通見かけるロシレムは、ブラジルのレムリアンシードと似ても似つかない外見だと思っていますが、この石に関しては、外見がかなり似ています。並べてみました。ブラジル産の方が、優しい感じでピンク色ですが、形も、成長線の付き方もかなりそっくり。ついでに、「天使の輪」も出ます(笑)。
2006/03/06
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昨年末の池袋ショーの最終戦利品です。初日から目をつけ、会場を一周するたびに眺めていたロシアン・ラピス。最終日のショー終了間際に、500円お安くゲットしました♪ロシアン・ラピスは以前に一つ登場していますが、これは2つめ。ひとつめのエッグに比べて大きく、ちょうどニワトリの卵大です。色合いは、一つ目に比べて白いドロマイト(もしかしたらカルサイトかも)が多いです。宝石としてのラピスラズリは、色が濃く、白い部分が少ないものほど質が高いと言われています。その基準でいれば、決して質が高いラピスラズリというわけではないのですが、ラピスの青が白いドロマイトに映え、しかも白の中に散らばるラピスは、とても濃い青なのです。白の中の瑠璃色の、何という鮮やかさ!このエッグを見た人は、たいてい「磁器みたい」とおっしゃいます。なるほど、青い絵付けが施された磁器のような感じですね。もしも、濃い瑠璃色の部分だけであれば、色が濃すぎて、むしろ黒く見えてしまったことでしょう。そこにさわやかに白い色合いが混じり、しかもその白がかなり多めであることで、この石は神秘的な青に輝きを加えることができたのだと思います。実は、ラピスラズリという石は、私にとってはさほど心惹かれない、いささか縁遠い石でした。青い色は好きだし、その歴史には興味をそそられます。ところが、いわゆるパワーストーンなどとして見かけるものは、色がいまいち。逆に、質の高いものは、その質の高さ、つまり色が濃く均一な色合いのために、水晶などに比べて表情が乏しく思えてしまうのです。しかし、ロシアのラピスは、産地がロシアと言うだけでなく、青と白のコントラストも鮮やかで、青にもの濃淡があって表情豊か。宝石としての質は少ないのかもしれませんが、石好きとしては、なんとも魅力的。おまけにロシアのエッグは形が良いのも魅力です。今度は磨いていない原石も欲しいかも。
2006/01/21
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ロシアはプイバの水晶です。長さは4センチほどなのですが、ちょっと複雑なセプターです。軸になっているのは、濃いスモーキー。普段目にするのは軸がクリア(白)、上にスモーキーが結晶したのが多いですから、この時点ですでに変わった水晶といえます。しかも、この軸のスモーキー、先端部分がうっすらアメシスト。その上……というか、先端部分からわずかにずれて、柱面の一部に流れるように、あたたかみのある白い水晶が結晶しています。この結晶の部分も、エレスチャルのようにも、小さなDTがいくつもくっつきあったようにも見える複雑な形。小ぶりなくせに、一通り説明するとなると、ちょっと気合いを入れなければならない水晶です。これは、根本が折れている分離結晶ですが、こんな水晶のクラスターがあるなら、ぜひとも見てみたい!なんとまあ、環境が激動する中で育った水晶なのでしょう。さて、プイバは鉱山の名前だそうです。南北に延びるウラル山脈のかなり北にあります。ウラル山脈は、4つにエリア分けされていて、南から、サウス・ウラル、ミッド・ウラル、ノース・ウラル、ポーラー・ウラルとなっているそうです。プイバはポーラー・ウラルのエリアにあり最近時々耳にするドド(Dodo)鉱山とは山稜をはさんで10キロほどしか離れていないのだとか。ポーラーという名前が示すように、北極圏に近い、寒い土地の水晶なのです。ちなみに、ロシアン・レムリアンが採掘されるブルーエンジェル鉱山はサウス・ウラルに属します。ヒマラヤに続いて、ウラルの地図も作ってみたいのですが、よい資料がなかなかありません。やっぱり、地図帳を買わなきゃならないかなあ……。追記:地図作りました!
2006/01/13
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えー、ちょっと久しぶりに口にします、我が家の石ルール。石は手のひらサイズ以下(希望)(希望)とついているのは、あやうくオーバーしそうな石がいくつかあるからですが、あくまでも基本は手のひらサイズ。しかも、いわゆる「掌」。軽く指を曲げて、ふんわり包み込めるくらいの大きさがベストです。まあ、掌+指でむりやり「手のひらサイズ!」と言っている石もあるんですけれど。なぜ、このサイズがベストかと言いますと、●コンパクトに収納できる(これはけっこう重要)●写真を撮るときに角度が調節しやすいそして何より●手のひらに載せて眺めるのにちょうどいい●グレードが高くても値段がお手頃なのがある……からです。写真も、たいていはかなりのアップ、時には根性マクロで大アップで撮るので、私にとっては、小ささはさほど障害にはなりません。……が。この石は、大きさが魅力でした……。我が家で底面積が最大のクラスターです。大きさとディティールはこんな感じ。掌+指の「むりやり手のひらサイズ」!重さは一回り小さい黄鉄鉱付尾太産クラスターに譲りますが、底面積は最大です。これ以上大きいクラスターはさすがにやばい。光の加減で色づいて写っていますが、実物はほぼ白。キャンドルクォーツというか、松ぼっくりというか、最近ルーマニア産でちょくちょく見かけるタイプの水晶です。ただし、産地はロシア。鉱山名しかわからないのですが、調べたところではおそらくダルネゴルスク。何十年か前の標本だそうです。ほとんどダメージがなく、この大きさの標本は、今ではちょっと無理なのでしょうか。まるで雪の大地からわき上がって群れ咲く氷の花のようなクラスターです。この「松ぼっくり」タイプの結晶に弱いのに、それがクラスターに!こればかりは、そのまま小さくなってしまっては魅力的なディティールを楽しむことができません。少々収納場所に困ろうが、財布が涼しくなろうが(それでも頭にもう一桁付いていてもおかしくない値段でしたが)、この石はこの大きさで正解です。石の輝きと、大きさと、重さ、そして目の前の存在感。「石は手のひらサイズ以下!」……といいながら、この石を見るときはしばしルールを忘れることにしています。でも、なるべく小さいのを探します。
2005/12/12
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書いたはずなのに……手違いで消してしまったのでしょうか。もう一度再挑戦です。ちょっとゴツいギリシャの緑水晶……ではなくてロシアはパブロフスクの緑水晶です。(ダルネゴルスクと思っていたのは勘違いでした)ラベルによると、この緑色の原因は、ヘデンベルグ輝石(ヘデンベルガイト)だそうです。やや寸胴気味ではあるものの、先端の様子も、先端と根本が絞れた「筆状」の結晶の形も、色も、ギリシャ、セリフォス島の緑水晶と似ています。何も言われずに目の前に転がされたら、「ごついセリフォスですねえ……」と、言っていることでしょう。こうなると、緑色の原因がヘデンベルガイトなのかアクチノライトなのかわからなくなってきます。しかも、画像左下の、柱面にくっついている小さな結晶の先端が光に透けて、なんとなーく、針状結晶さえ見えています。水晶の発色原因については、わかっていないことが多く、ローズクォーツの発色原因も初期の頃はピンク色ということからマンガンによるものと考えられていたことがあります。チタン(ルチル)と燐による発色とわかってきたのは比較的最近のことなのです。ですから、アクチノライトと言われてきたのは、その緑色ゆえのことであって、調べてみたらヘデンベルガイトだった……ということかもしれません。アクチノライトは細く繊維状になるとビソライトと言われます。このビソライトが内包された水晶は、アルプス山脈で産出します。それと比べてみると……似ていません。こうなると、わからない~わからない~と頭をひねるのも楽しくなってきます。
2005/11/08
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個人的に注目している水晶の産地はたくさんあります。何が出てきても驚かないブラジル、中国。へんてこ水晶の有力株、マダガスカル。ひたひたと数を増しつつある南アフリカ、メキシコ、カザフスタン。そしておなじみ、ネパールとロシア。ロシアといえば、へんてこ水晶のメッカ・ダルネゴルスク……ですが、かの広大な国土を持つロシアのこと、シベリアだとか、カスピ海沿岸だとか、いろいろ面白い石が出る場所があります。そして、今頃ハタと気がついたのがウラル。私たち日本人にとっては、地図の上の一山脈ですが、「ヨーロッパ」の範囲は、ウラル山脈より西側、グルジアなどのカフカス山脈より北側の地域を指すそうです。そればかりではありません。ウラル山脈が誕生したのは、約3億2千万年~2億2千万年前。当時はばらばらだったアジアとヨーロッパがひとつになった衝撃で生まれました。つまり、ウラル山脈はその誕生からしてもヨーロッパの東の端にあたるのです。また、約3億年前と言えば、恐竜どころかやっと魚類が誕生したくらいですから、ウラル山脈はとても古い山脈でもあります。「ロシアン・レムリアン」として有名な、ブルー・エンジェル鉱山の水晶もウラルですし、緑がかった色合いのシトリンも出ます。また、かつては「伝説」と言われたくらい、豊かな色合いでカラーチェンジするアメシストも出たそうです。もちろん、スモーキーも出ます。ウラルの北の方のPolar Uralと呼ばれる地方からは、雲母のような緑泥がラメのように輝くスモーキーや、アルプス産のものが有名なグィンデル(板状の平行連晶で、ねじれているもの)が出ます。DoDo・クォーツ(ドードー産水晶)と呼ばれる淡いスモーキーも、最近見かけるようになりました。形のおもしろさ、へんてこりんさではダルネゴルスクにかないませんが、堂々たる風格の水晶を産出する地……というのが個人的印象です。さて、今日のネタはウラルの石。スモーキー・クォーツとして売られていましたが、先端をのぞいて不透明黒であること、表面がつや消しであることからして、モリオンと呼びたい水晶です。表面に何か別の鉱物が付着しているわけでもなく、こすれたりして荒れているわけでもなく、なめらかにつや消しな肌合いのこの石は、炉辺の灯りが似合う、静かな夜のイメージ。包み込むようでありながら、奥が見えない神秘性も兼ね備えていると思います。角がこすれていたり、ダメージがあったりと古びた印象がある、ロシアン・レムリアンもそうですが、今もなお成長を続けるヒマラヤの石とは違う、遙かな時の長さを感じさせる石なのかもしれません。この石は、白っぽい長石質の母岩がついているのですが、なんとその中には無数の結晶が埋もれています(右下)。この母岩の部分をきれいに磨くと、グラフィック・グラナイトのように、水晶の部分が紋様のように現れるのかもしれません。
2005/09/05
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2005年新宿ショーの戦利品です。わたしには珍しいトルマリン。水晶のインクルージョンではない、トルマリンそのものとして買ったものとしては、たぶん4つ目。我が家のトルマリンの数はもうちょっとありますが、半分近くが頂き物です。(ありがとうございました)ピンク色なので、ルベライトということになるのだと思います。ルベライトは、色が濃く、赤~濃い薔薇色の石がよいとされるようですが、この石は、まさに花びらのようなピンク。いくつかの結晶が固まった中に、ひとつきれいな結晶がくっついています。わずか2センチたらずの小さな結晶ですが、クラックも少なく透明感があり、原石派石好きにはうれしいことに、きちんとトップ(結晶の先端)があります。実は、同じブースでアメシスト(ウラルのアメシスト♪)を買ったときに見つけてはいたものの、「水晶ではない」という理由で一度は見送っていた石でした。その後、最終日になって、一緒にいた石好き仲間から、「この色と、透明感でトップがあって、このお値段ならお得!」……と太鼓判を押されて、思わずゲット。その後、トルマリンを見ていても、確かに値段の割にかなりのグレードであることがわかって、ちょっとホクホクです。「localty!」とかなんとか、あやしい英単語(英会話と呼べるレベルではない)で、聞いたところによると、このトルマリンはバイカル湖の周辺でとれたものだということでした。(お店のおじさんは、地図を指し示しながら、親切に説明して下さいました)個人的には、トルマリンという石は、結晶の形にバリエーションが少ない(バリエーションはあるのですが、手の届く範囲にない)ので、さほどコレクション欲をそそられない石だったりするのですが、このピンクには心が動きました。
2005/08/08
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ヒマラヤ水晶が続いたので(これからも続きそうですが)、今日はロシア水晶を。買ってしばらくは「ロシア産」としかわかりませんでしたが、途中でダルネゴルスク産であることが判明しました。さすが、ダルネゴルスク。ただし、この水晶は変わってはいますが、「変」というより「きれい」に属する石かもしれません。なにぶん色が不透明白なので、なかなかきれいに写らないのですが、どうなっているかを説明すると、おそらく、先端に大きな錐面があるキャンドル・クォーツのような結晶のキャンドル部分(溶けた蝋のような部分)を、微細な結晶が覆ってドゥルージーのようになっている……という感じです。表面を覆う微細な結晶はとても小さいものの、よく見ると結晶の形が整っていて、キラキラと輝きます。ベースの形はキャンドル・クォーツなのですが、この小さな結晶のおかげで、カクタス・クォーツのようにも見えてきます。さて、この水晶、よく似たものが「ハイドロサーマル・クォーツ」という名前でWebショップに出ていたのを見たことがありますが、残念なことに「ハイドロサーマル」が何であるかがイマイチわかりません。「ハイドロサーマル」を検索してみて、この言葉を日本語にすると「熱水反応」……となることはわかりました。確かに水晶は熱水の中で成長すると考えられています。要するに水晶は温度差や環境の差はあるにせよ、どの水晶も熱水育ちである……ということになります。では、わざわざ「熱水反応」水晶というからには、なにかわけがあるのでしょうか。上で述べたように、表面の様子は複雑ですが、腐蝕のあとは見られません。別のサイトで「高圧水晶」と紹介されているものも見ましたが、これとも違います。いったい水晶における「ハイドロサーマル」とは何なのでしょう?……ともあれ、キャンドル・クォーツとカクタス・クォーツの中間のような特徴を示し、どことなく生き物のようにも感じられるこの水晶には、もうひとつ別のイメージがあります。……指輪物語に登場する白い都、ミナス・ティリス。いかがでしょうか。
2005/08/07
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昨日のヒマラヤ水晶と似ているぞ……と思っている石があります。それはこちら。産地はぐっと離れてロシアのウラル。ご覧の通りの淡いようでいてしっかり色の付いたスモーキーです。ちょっと金色がかっているようでもあります。こちらは形も素直な六角柱状だし、スモーキーだし、いったいどこが似ているのかというと、中にインクルージョンされている緑泥です。どちらの写真もわかりにくくて申し訳ないのですが、緑泥が筋状に入っています。筋状といってもファントムではありません。何と言いましょうか……そう、海藻っぽい、と言えばぴったり来ます。海の中にたなびく昆布かワカメのような……いや、どちらかというと乾燥わかめのような緑泥が内包されているのです。ふつう、緑泥といえば、ガーデンを形作るような苔っぽいものとか、(ぎっしり入っているのもありますが)ファントムになっているものを見かけますが、こんな風に海藻っぽくたなびいているものは、案外少ないようです。そして同じ緑泥でありながら、昨日のヒマラヤ水晶と今日の石ではかなり違うところがあります。昨日のヒマラヤ水晶の緑泥は「深緑」ですが、こちらの方は、ちょっと茶色っぽい……というか、金色の雲母が混じっているようにも見えます。表面にも細かく付着しているので、光に反射させるとキラキラの極小ラメ状態。ちょっとゴージャスです。結晶の根元に付いている緑泥も、ネパールのものに比べると結晶が小さく、やはり金色ラメ混じりに見えます。このラメラメ加減をご覧いただきたくて最初の写真をチョイスしましたが、おわかりいただけるでしょうか。さて、このサイトではよく出てくる緑泥石(クローライト)には、なんと10種類ほどの鉱物が属します。きれいな羽毛模様が魅力的なセラフィナイトも和名では「斜緑泥石」。クローライトの仲間です。薄片状であったり、鱗状であったり、緻密な雲母のようにもなるという多様な形態で見つかるということなので、ネパールとウラルでは、同じ緑泥石にもかなり違いがあるのでしょう。セラフィナイトも緑泥石ならば、セラフィナイト入り水晶なんてのがあればおもしろいかも。もっとも、磨かれていない原石のままのセラフィナイトだったら、見分けが付かないかもしれませんが。うちには、4つほどウラルのスモーキーがありますが、どれもわずかに金色味を帯びていて、「煙」というよりは、「たそがれ色」。夕暮れの、人の見分けがつきにくくなる薄暗さを「誰そ、彼」、つまり「たそがれ」と言うのだという、語源にぴったりの色合いです。(明け方の薄暗さは「彼は、誰」から転じて「かわたれ」と言うのだそうです)しかし、この石は少々お茶目な姿で我が家にやってきました。ショーでこの石を売っていたブースの男の人が、「サンキュー」と言いながら、こんな風に包んでくれたのです。まるで、キャンディー。(笑)手書きのラベルもいただきましたが、「Quartz」ではなく、「Rock crystal」となっているのは、実は初めてです。「m.Pviva」は、「Pviva mime」と言う意味なんでしょうか。ちょっと心配です。※shanteさん よりPvivaではなくPuivaではないかという貴重な情報をいただきました。ちょっとしらべてみたところ、たしかに「Puiva]の方が正解です!よって写真を差し替えました。
2005/07/20
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今日の石は、ちょっと変わった石です。灰色のしましま模様で、一見地味でおとなしく見えますが、このしましまがミソ。これは「年輪」です。そうです。この石は、かつて大地に根を張り、生きていた「木」でした。要するに木の化石。特に木の細胞の中に、地下水に含まれる珪酸が染み込み化石化したものをペトリファイド・ウッド(珪化木)といいます。もうちょっと細かく分けるとオパール化したものをオパライズ・ウッド(オパライズド・ウッド)、瑪瑙化したものをアガタイズ・ウッド(アガタイズド・ウッド)といいます。オパライズ・ウッドには、オパールらしく遊色が出るものもあります。また、オパール化した部分と瑪瑙化した部分が入り交じった石もあります。さわると冷たく硬くて石であることがわかるけれど、見た目は色も年輪も木そっくりなものもあれば、内部が赤や灰色など鮮やかな色に発色して、外側(樹皮の部分)を見なければ元は木だったとわからないものもあります。以前ご紹介したオパライズウッドなどは、とうてい木とは思えないような色をしています。その点、写真のペトリファイド・ウッドは年輪もきれいに残り、木の化石らしい石です。年輪のようすから推測すると全体写真の下側が木の内側(中心)方向だったようで、かなり太い木であったことがうかがえます。しかも、パイライトかなにかが混じっているのか、年輪の色の濃い部分がちらちらと金色に輝く、ちょっと技あり。ペトリファイド・ウッドの産地として知られるアメリカ産ではなく、ロシア産です。ところで、木が瑪瑙化したとさらりと言ってきましたが、実はさまざまな条件が合わさって初めて生まれる石であると言ってもよいのではないかと思います。まず、木が折れたか枯れたか、その長い一生を終えたあと、そのまま地面に倒れていたのでは、腐って土にかえることになります。ですから、まず、水につかるか土に埋もれるかして空気から遮断されなくてはなりません。そして最終的に土に埋もれ、しかもそこに珪酸を含む地下水がやってこなければならないのです。おそらくそのほかにもさまざまな条件があってやっとペトリファイド・ウッドとなるのでしょう。かつては大地に根を張り、葉を風にそよがせていた木が、さまざまな条件の符号によって石となり、遙かロシアから私の元にやってきた……。ちょっと感慨深いです。
2005/07/16
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私は「変な」石が好き。ヒマラヤ水晶が好き。ロシアの水晶が好き。ヒマラヤ水晶は、その雰囲気と輝きに惹かれているので、こと「変」となると軍配はロシアに上がると思われます。ロシアでダルネゴルスクときたら、私にとっては「イコール変」。かの産地でまともな水晶を見ると、「そっちの方が変」と思ってしまいます。このほどさように「変」な水晶のメッカと勝手に決めているダルネゴルスクでも、栄枯盛衰といいますか、以前は割と見かけていたのに、このごろ少なくなってきた……という水晶があります。石好きでしかも変な石が好きなのに、ロシア石歴は思ったほど古くないので、「以前はこんな石があったのに」と聞いて悔しがっている一人です。ネット上で拝見するコレクションを見るたびに「こんな石が欲しい~!」と(こっそり)叫んでいるわけですが、そんななかで、運良く手に入れられた石があります。ダルネゴルスクの「赤水晶」です。赤といってもやや色が淡いため、「オレンジ水晶」とか「ニンジン水晶」「カニ水晶」なんて呼ばれることもあるようです。以前はちょくちょく見かけたそうなのですが、私がロシア石の虜になってからは、はっきりと「珍しい石」と化していました。希に見かけても半分色があせたように薄くなっていたり、カルサイトが被さっていたり。しかも高い……(涙)。対するにこの石はダメージのあるポイントが多いものの、手の平(指含む)サイズで先端まで赤く、その色合いもきれいです。そしてこういう石にしてはお手ごろ価格。即決でした。もちろん。石を入手できるかどうかは「出会い」にかかっています。まずは、「そういう石」があるのだと言うことを知らなければなりません。店頭で見かけて「おおっ」と言うのももちろんありですが、たとえば「ダルネゴルスク産で『ニンジン水晶』なんて呼ばれているきれいな赤い水晶がある」ということを知っていれば、そういう石がありそうなお店を探すとか、仕入れられないか頼んでみるとか、可能性は広がります。しかし、見つかったとしても「げ」というようなお値段では、決断に勇気が要ります。そこで問題になるのは「適正価格か否か」。正しくは「適正な価格と自分で判断できるか否か」問題は値段を付けるお店側ではなくて、判断する自分の方にありというわけです。この石の決め手は、形か、色か。あるいはインクルージョンなのか。大きさの割に高いけれど、珍しさ、今後出会う機会があるかどうか。ダメージのあるなしも、石のグレードを左右しますが、「変」な石ともなるとどこをダメージとして見るか、も問題です。そのためには、やはり、いろんなお店でリサーチが必要ではないでしょうか。身近に実店舗がなくてネットで買う場合でも、いくつかのお店を見ておいた方がいいと思います。ネットで石を探す場合には、パソコンに縒って色合いが違ったり、そもそも写真で石の全体像を見極めるのが大変だというハードルがありますが、石の写真を撮って、こうやってネットにアップしている立場からちょっとコツ(と思われるもの)を。●定規は必須。 写真で大きさを測るのは難しいです。 必ず定規で実際の大きさをチェック! できれば、手持ちの石とはかり比べて、実態としての大きさを意識するとベストです。 ※お店の方へ 何か対象物を入れたカットを掲載していただけるとうれしいのですが……●色合いを自己補正 パソコンのモニターによる色合いの差もありますが、 写真を撮る際の光源の違いも大きいです。 手が写っていればその肌の色、 黒や白のバックであればそれをじっくり見て下さい。 妙に緑がかって見えたりしていませんか? 意識してみないと、少々緑がかっていても「黒は黒」に見えてしまうので注意です。 肌の色や白、黒などのように実際に対象物がある場合は、それと比べて「これは実物よりも緑っぽさが少ない」などのように自分で色合いを割り引いて考えて見ましょう。 逆に、写真を撮る立場では、肌やバックの白、黒を基準に色の補正をかけると実物に近くなります。●輝きマジックに注意 デジカメを通してみると、石は一段と輝いて見えることが多いようです。 人の目ではちょっと光を反射しているように見える部分でも、 デジカメでは白くハレーションを起こします。 するとどうなるかというと、石は実物よりもピカピカ輝いて見えます。 あるいは、透明感のある石では、色がきれいに見えます。 残念なことですが、きれいで雰囲気が良く見る人の心に訴える写真よりも、 ちょっと素っ気なくてなんだかな……という写真の方が、目で見た感じに近い可能性が大です。 なので、「写真よりも透明感が無くて色もやや鈍いかも」という可能性を考えておかなくてはなりません。 逆に写真を撮る場合には、光の反射や透過をうまく使うと、石が生き生きときれいに撮れるというわけです。石を「感じる」にも「選ぶ」にも、意外に想像力が必要なのかもしれません。
2005/06/29
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今日の石は新宿ショーの戦利品というより「捕獲品」。珍しく作成したリストに挙げていた探索予定品です。ラピスラズリは以前に登場していますが、最初のラピスがアフガニスタン産だったのに対し、今度はロシア産です。私の身の回りでは、通称「シベリアン・ラピス」と呼ばれているようですが、お店のおじさんは「Ural」。鉱山名からしてダルネゴルスクであることが確実な石が、「East Siberia」と書かれていたので、大きく見ればウラルもシベリアなんでしょうか。アフガン・ラピスが、ほぼ均一な色味の深い青だったのに対し、ロシアン・ラピスはやや明るい色味。よく見ると、ドロマイトの白い部分に近い方が濃く、青い部分の真ん中にいくにしたがって明るくなる色合いのおかげで、不透明な石であるにもかかわらず、写真に撮ると中から輝いているように写るのです。ラピスは白い部分が少なく、色が濃く、均一な色味のものが高品質であると言われていますが、私は、ロシアン・ラピスの色味もきれいだと思います。この内から輝くような青い色からは、なぜか星を……雪原の上にまたたく青い星を連想してしまいます。地中深くで生まれる石も、地表の環境や風景を反映していることがあるように思えるのは、気のせいでしょうか。
2005/06/24
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記念すべき1周年にどんな石を登場させようか……。ちょっと考えた結果、新宿ショーの戦利品の白眉のひとつでもある、この石を選びました。特別企画の後編でちょっとお目見えした石です。へんてこりん水晶のメッカ、ダルネゴルスク産のソロバン型水晶付きクラスターです。ソロバン型水晶のクラスターが欲しいなあ……と、探していたところ、予想を超えるこんなクラスターをゲットすることができました。もう、満足、満足!思い描いていたのはソロバン型水晶がくっつき合ったクラスターでしたが、これはわずかに透明感のある緑色の鉱物が放射状に結晶した上にソロバン型水晶がちりばめられています。大きさもばっちり手のひらすっぽりのKUROサイズ。光の具合を微調整し、ベストショットを選んでみると、なにやら別世界の光景のように見えてきます。こんな石が採れた晶洞を見てみたい……!この緑の鉱物については、お店の人にうかがったところ、ダルネゴルスクの緑水晶の色の原因であるヘデンベルガイト(ヘデンバーガイト/灰鉄輝石)ではないかと思う、とのことでした。ネットでも調べてみましたが、同じような結晶は見つかりませんでした。ところで、このヘデンベルガイト、意外な石と親戚でした。ダイオプサイト(透輝石)です。シルバーアクセサリーなどで時々見かける黒いカボションに「×」のスターが浮き出る、「ブラックスター」などと呼ばれている石も、ダイオプサイトのひとつだそうです。このダイオプサイトのマグネシウムが鉄に変わるとヘデンベルガイトになるそうです。私のところの石は、「手のひらサイズ希望」の自己ルールのため、クラスターが少なめ(……もないか?)なのですが、こと大型クラスターについては、ロシア度が高いかもしれません。「どうやってこんな石を見つけてくるの」とよく言われるのですが、それはもう、お店の隅を徹底探索。そして、知り合いの石好きさんや顔見知りのお店の方に「こんな石が好き(欲しい)」とアピールしておくことでしょうか。「KUROさん好みの石を見つけたよ」「こっちの方が面白い(珍しい)んじゃない?」……と教えていただけることがあるのです。何を隠そう、この石を買ったお店(ブース)でもショーのたびに「ロシアものが好き」「変わった水晶が好き」「珍しいものに弱い」とアピールしていました。そして今回のショーでソロバン型水晶のクラスターを手にとって眺めていたら、「こっちの方が面白いわよ」と進めて下さったのです。大感謝!
2005/06/22
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本日のナイスなタイトルは、石の師匠とも仰ぐ、いつもお世話になっている方からいただきました。最初は「極北の~」だったのですけれど、産地がダルネゴルスクなので、「極東」とさせていただきます。今日の石は、ロシアはダルネゴルスクの緑水晶です。今回の新宿ショーの戦利品のひとつです。初日、真っ先に駆けつけたおなじみのブースで一度はチョイスしたのですけれど、その後、ちょっと大ぶりな石に目移りして、一度は棚に戻したのですが、「これ、いいんじゃない?」という他の石好きさんのお言葉に「そぉ?」と、ころりと乗せられ、追加で買ってしまった、まさに私が懲りない石好き、特にロシア石好きであることを証明するような石であります。いかがでしょう?大きく写っていますが、実際の大きさは長さ5.5センチ、太さはちょうど1センチほど。深緑と言うよりは、若干褐色がかったカーキ色。表面はややマットです。ダルネゴルスク産の水晶といえば、「これ……水晶?」と疑いたくなるほどの個性的な形が特徴ですが、この石は素直にまっすぐ六角柱。ポイント部分は6つの面がきれいに1点に集まるジェネレーター型。もう片方も不完全ながらポイントになっていて、ほぼDT。ですが、やはりロシア産。しかもダルネゴルスク。ちゃぁんとひねりが入っております。写真にも写っておりますように、ショール(黒いトルマリン)とおぼしき結晶がざくざく刺さってます。一部は結晶表面にくっついていますが、大部分は結晶の中。あちこちいろんなところから先端が顔を出し、そのさまは、まるでごま付き芋けんぴ。しかも光に透かすとなんとか半透明に透けて、ランダムに刺さったショールのようすを見ることができます。シックな色合い。端正に整った形。ちょうど小指ほどの小さな石なのに、存在感抜群!しかも内部ではショールのアクロバット。もろ好みです♪
2005/06/09
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※2006年5月26日、写真整理のため再アップ昨日は(私としては)大きい石でしたが、今日は一転、小さい石が多い我が家でも目立っておちびな部類に入る石です。ただし、小さくても産地はロシア。形はちょっと技ありです。ダルネゴルスク産のヘデンベルガイト入り水晶です。写真の石は乳白色で緑水晶には見えませんが、肉眼ではわずかに緑がかって見え、ヘデンベルガイトが入っていることがわかります。この手の水晶は、ちょうど普通の水晶の先端部分だけを二つくっつけたような形をしているので、ソロバン型水晶とも呼ばれます。そのほか、高温型水晶とかベータ(β)水晶とも呼ばれることもありますが、この水晶は低温の条件下で成長していながら高温型の形をしている、ちょっと変な水晶です。さて、高温だの低温だのという話が出てきましたが、ご存じ、水晶の組成はSiO2。ところが同じSiO2でも、温度によって結晶の形が異なります。普通見かける水晶は、「低温型水晶」「α型水晶」と呼ばれ、537度以下で結晶したものです。一方、高温型は537度~870度の間で結晶したものを指します。(それ以上高温ではトリジマイトやクリストバライトという鉱物になります)。低温型は母岩にくっついて成長することが多いので、おなじみのあの形ですが、高温型はマグマの中に浮かんだ状態で成長することが多いのでソロバン玉のような形になると考えられています。ただし、結晶の形は温度によって高温型か低温型に決まりますが、その後温度が下がったことによって、結晶構造が変わり、高温型の水晶も低温型水晶の構造になっています。(逆に低温型の水晶を573度以上に熱すると、形はそのままで構造が高温型になるそうです)このように「高温型水晶」として売られていても結晶の構造は低温型と同じなのですが、写真の水晶は、成長した環境も低温型と同じなのだとか。では、何故高温型みたいな形になったのかというと、これが謎なのです。内包されたヘデンベルガイトが関係しているのかと思ったら、同じ産地で透明なソロバン型水晶の写真を見せていただいたことがあるので、これも違うようです。さすが、ロシア産。こんなところまでへんてこりんを貫いていますねえ……(とお茶を濁してみたり)さて、タイトルの「星を秘めた」ですが、このソロバン型水晶(なるべく透明感のあるもの)を、とがった方向から見ると、六芒星が見えます。とても淡い見え方なので、写しにくく、粘土(ミネラルタック)にくっつけたりするとその影で見えなくなってしまうので、なかなか写真に収められません。半分欠けた別の石で撮ってみたのがこれ。六芒星が半分見えるでしょうか。わかりやすく線を入れてみました。
2005/05/13
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好きな石は、持っていてもさらに欲しくなる……。こんな状況に覚えのある石好きさんも多いはず。私の場合、(心の中の)「欲しい石リスト」に載っていた石が、運良く手に入ったとしても、「欲しい石リスト」に居残り続けることが多いです。曰く、「もうちょっと形がきれいだったら……」「もうちょっと色が……」(以下略)まったく懲りてません(笑)。今日の石は、まさしくその状況の王道をいく石。欲しくても高くて買えないと思っていたものが、運良く手に入った!でも、もうちょっと大きかったらなあ……。……なんて、懲りないことを考えているせいでしょうか。以来、目にすることはあったのに、いざそのときになると、それ以上に欲しい石に出会ってしまい、縁がない石になってしまっています。その石は、こんな石……ロシアはウラル産のシトリンです。ただし、この石にはラベルがなくお店の人に聞いただけということと、最近カザフスタン産でも見かけるように思うので、ウラル産には一応「たぶん」と付け加えておきましょう。この石の最大の特徴は、緑がかっていること。写真では緑と言うよりも茶色……に見えるかもしれませんが、実物はもう少し緑のニュアンスがあります。ちょっと時間をおいてしまい、淹れたての色が変わってしまった煎茶、渋くて鈍い色だけれども「緑」……そんな感じの色と思っていただければ近いと思います。ただし……シトリンにはつきものですが、加熱処理である可能性はぬぐい切れません。天然のシトリンは大変数が少なく、アメシストやスモーキーを加熱してつくられる場合が多いです。その色合いはさまざまで、中でもブラジル,バイア州のMontezma鉱山のアメシストは、650度で加熱処理することで緑がかったシトリンに変化することで知られており、この緑がかったシトリンはプラシオライトという商標名で呼ばれることがあるそうです。そのほかにもアメジストやアフリカやウラル山脈のアメシストも緑がかったシトリンに変色するのだとか……。また、私がミネラルショーで聞いたところでは、中国産にも緑がかったシトリンがありますが、、これも加熱処理の可能性ありです。ウラル産のシトリンすべてがみどりがかっているかというと、そうではないようです。また、「ブラジルかロシアか中国産で、これは加熱」とはっきりおっしゃっていたお店の石は、ウルグアイ産のアメシストのような短柱状ではなく、ちゃんと柱面がある水晶でしたが、根本は白っぽくなっていました。ただ、放射線処理の「黒水晶」や、短柱状のアメシストを加熱処理したもののように、不自然な白さではありません。そしてこの写真の石は途中で斜めに切れていて、残っている部分には白いところはほとんど見あたらないのです。買ったお店では「天然の色」と言っていましたが、なんとも判断は微妙なところです。しかし、この色は美しい……!たら、大きさが3センチほどのミニサイズなので、やはり、もうちょっと大きめの石が欲しいです。ショーで見かけたら、今度こそ。ついでに天然の色かどうかの確認もしっかりとります!
2005/04/24
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今日も昨日に続いてインターフェレンス・クォーツです。インターフェレンス・クォーツを初めて見たのはロシア産でした。もちろん、それがインターフェレンスクォーツと言うのだということも知らず、知ったあともロシア以外の産地でそういう石があることも知りませんでした。つまりわたしにとってインターフェレンス・クォーツ=ロシア産でした。ネットショップでも時々見かけるロシア産インターフェレンス・クォーツは、たいていシングルポイントで、透明感も低いものが多いように思います。カルサイトによって成長が阻害されたという成長の痕跡をとどめたユニークな水晶ですが、「きれい」とは言いがたいものが多いのです。しかし、この石は違いました! 何本ものポイントが集まったクラスター状であるのも珍しいですが、それぞれの透明度がかなり高いのです。しかもみごとな切り刻まれ方!同じインターフェレンス・クォーツでも、昨日の「男の水晶」とは逆に、女性的で繊細な印象です。まさに刻まれたと言うにふさわしいその痕跡は、華麗な装飾を施された神殿の柱を彷彿とさせます。「カルサイトが結晶しているところにあとから水晶が結晶したため、カルサイトに成長を阻まれた」と説明されますが、果たして本当にカルサイトなのか、カルサイトの方が先だったのか、ちょっと疑問に思うこともあります。特に先端部分などは、成長を阻まれて文字通りの「頭打ち」となってぷっつりとぎれているのではなく、阻まれてなお先端を形作ろうとしたように特異な形状になっています。そんな部分を見ていると、カルサイトと水晶がせめぎ合いながら同時に結晶したのではないか、とか水晶があとだとしたら、水晶はカルサイトの中に水からをねじ込むように結晶したのではないかと想像はふくらみます。
2005/03/04
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今日の石はこんな石。池袋ショーのロシアブースで見つけてしまいました。「この石は何?」と身振り手振りで聞いてみたのですが、ちょうどくわしい人がいなくて、わからずじまい。あとで、いつもお世話になっている方に「グラフィック・グラナイト」というのだと教えていただきました。グラナイト?初めて聞く名前です。……そうしたら、することはひとつ。さっそく調べてみました。その結果は……ちょっと意外。花崗岩のことでした。御影石と聞けば、ぐっと身近に感じますね。そう、御影石も花崗岩です。「岩か……」岩というと、結晶を作る鉱物よりもありふれて価値が低いような気がして思わずつぶやいてしまったことを告白しておきます。しかし、私の目を惹きつけたこの石は、ありふれているどころではありませんでした。説明するならば、ムーンストーンの結晶の隙間にヘマタイトの赤が染み込み、なにやら茶色の鉱物がウズラの羽模様っぽく混じっています。「美しい!」と即答するのはためらいますが、個性的な美しさです。それもそのはず。グラフィック・グラナイトとは、日本語に訳せば「文象花崗岩」(もんしょう/ぶんしょうかこうがん)ということになります。そして、茶色の部分は石英。つまり、石英と長石が混じり合ったもの。もっとおなじみの言葉で言えば、スモーキー+ムーンストーンです。(結晶の形をしていないので、水晶というのも変ですが)
2005/02/10
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グウィンデル……と呼ばれる水晶があります。綴りはGwindel。もとをたどればドイツ語で「ねじれている(gwinde)」という意味らしいので、直訳すれば「ねじれ水晶」ですが、この名前で呼ばれる別の水晶があるので、この名称は使えません。特にアルプス水晶で見られるもので、DT(両錐)の水晶が柱面を接しながら板状に積み重なり、しかもまっすぐに積み上がるのではなくて、わずかにずれて積み重なり、全体的にはねじれて見えます。「ツイスト水晶」という名称も聞いたことがあります。アルプス水晶で見られると書きましたが、グウィンデルといえばスイス……と言いたくなるくらい、不思議と他の産地では見かけないので、スイス産の、このような形をした水晶をグウィンデルというのだ……と思いこんでいたら、思いがけず写真の石に出会いました。産地はロシアのウラル。形も、ねじれっぷりもみごとにグウィンデルです。色としてはスモーキーですが、ちょっと黄色みがかっていて、冬の黄色っぽい太陽光では、シトリンと言えそうな色合いに見えます。もとよりロシアの石に弱い私は、その色、輝き、城壁のようにも見えるテクスチャーに惚れ込んでしまったのですが、同時に「コイツは写真に撮りにくい」と直感した石でもありました。表面に浅い彫り模様がある厚い板をきれいに写真に撮るにはどうするか、と考えていただくとおわかりいただけるかもしれません。模様と板の形をきれいに撮るならば真正面です。しかし、真正面からでは彫り模様がきれいに見えません。ならば、と斜めにして模様を陰影で浮かび上がらせるようにすると、斜めであるために遠近感で形がゆがみます。……と、これによく似た理由で撮影に手こずっていました。平べったいカテドラルとでも形容したいような表面の凹凸は十分魅力的で、しかも片面はツヤあり、もう片面はツヤなしです。内部には虹が浮かび、連なる山脈のようなファセットの輝きは絶品!なのに撮れない! 苦労しました……。この魅力的でありながらカメラ泣かせなこの石の形は、どのようにして生まれたのでしょう。ひとつの手がかりはグウィンデル水晶の中にはファーデンラインを持つものがあるということです。私は、フランス産のファーデンを持っていますが、その石はグウィンデルかどうかは微妙ですが、全体の感じはよく似ています。以前どこかでファーデン水晶が板状であるのは、熱水に流れがあったからだという説を読んだことがあるのですが、もしかしてグウィンデル水晶が結晶した場所も熱水に流れがあり、しかも緩やかな渦を巻いていたりしたのでしょうか。
2005/02/04
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私の雑記を読んでいただくと、加熱シトリンや放射線照射モリオンをだめだと思っているな……と感じる方がいらっしゃるかもしれません。あるいは、そういう石を手元においていて、残念に思ったり不快に感じた方もいらっしゃるかもしれません。もし、そういうことがありましたら、言葉足らずで申し訳ありませんでした。そんなご意見をいただいたとかいうわけではないのですが、自分の雑記を読み返していて、ふと思ったので、今日はそれをとりあげてみたいと思います。私は、自然が作り出す色や形に感心してしまうので、大地のメカニズムが感じられる(と思う)天然・原石ものを偏重してしまうのですが、価値を見いだすポイントが違えば、人が手を加えた石の評価も違って当たり前です。天然・原石派の私も、色に重きを置くならば加熱シトリンには美しい石が多いと思いますし、もし、いただけるのであれば(笑)、加熱処理されているとしても美しいルビーや、アクアマリンの方がいいです。気に入ったのなら天然も人工も関係ない!……という例として、池袋ショーで買った丸玉をご紹介したいと思います。会場をぐるぐるめぐっていた私は、あるロシア人のお店の前で足を止めました。上品な「天然シトリン色」の丸玉を見つけたからです。お値段がシトリンではあり得ない値段だったので、天然シトリンであるとは思いませんでしたが、お店の人の言葉でがぜん興味がわきました。「Glass」 とお店の人。「えっ、ガラス?」 と私。お店の人は、別の種類の丸玉を取り上げて、「Quartz」くだんの丸玉を取り上げて「Glass」。じゃあ、まちがいなくガラスなんだ!と納得したところで買うことを決めました。ついでに身振り手振りでお願いして、ラベルまで書いてもらいました。こうして、私は「Glass」と明記されたラベル付きのビー玉を手に入れたのです(笑)。 直径が4センチほどあるので、ビー玉というには大きいですが、ガラス玉というよりもかわいい感じがするので「ロシアン・ビー玉」ということで。産地はモスクワらしいです。何と言っても決め手は写真にも写っているインクルージョンです。水晶のインクルージョンとそっくりに、大小のばらつきがあって列をなしています。ガラスのインクルージョンというと、小さな気泡が思い浮かびますが、これは気泡ではなく、なにかのちりでもなく、綿毛状の結晶っぽい……例えるならばホランド鉱入り水晶のホランド鉱が白く小さくなったものが行列したという感じ。「へえ……ガラスでも、こんなインクルージョンが入ったりするんだ……」と感心してしまいました。一般に丸玉などに加工された水晶とガラスを区別するポイントとしてクラックやインクルージョンが挙げられますが、このインクルージョンだけを見れば、水晶と間違ってしまいそうです。念のため、ぐるぐる回して見てみましたが、どの角度から見ても細い線が二重に見えることはありませんでした。間違いなくガラスです。(※水晶では、角度によって細い線が二重にダブって見えます。一センチ以上の大きさのあるものであれば、確認できるそうです)でも、この色! このインクルージョン!きれいです!左上が、肉眼で見たのとほぼ同じ感じですが、なんとも上品なシトリン色。右側の写真では、インクルージョンの様子がおわかりいただけるかと思います。(インクルージョンのアップを撮りたいのですが、焦点距離が合わなくて撮れません)そして!光の具合によっては、中に星空が入っているようです。考え方を変えるならば、ガラスもかつては高価なものであり、その美しさは神仏に捧げられるに足る神秘的なものだったはずです。ガラスはあまりにも一般的になりすぎて、その神秘性が薄れてしまったのかもしれませんが、はじめてガラスを手に下人々の思いはいかほどのものだったのでしょう。輝き、光に透ける美しいものを手にしたい。それを自らの手で作りたい。宝石の合成技術のどこかには、それが高価なものだからというだけでなく、美しく輝くものを作りだした大地のメカニズムを知りたいという情熱もきっとあるはずだと思うのです。
2005/01/16
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祝! スタート200日!当雑記が2004年6月22日にスタートして以来、200日目となりました。(朝見たときは199日だったんだけど……時間までカウントしてるのかしらん)ちょくちょくさぼっているせいで、記入率は100%ではありませんが、うざうざな私にしては快挙!もしかしてこれこそ石のパワーだったりして(笑)。さて、記念すべき200日目に登場させる石は何にしようかと考えて、昨年12月の池袋ショーで入手したこの石にしました。今回のショーで一番最初に惹きつけられ、そのくせ他の石に目移りしていったんは買わずに帰ってしまったのですが、不思議なことにその後も売れずに残っていて、「やはり初志貫徹!」とばかりに買ってしまいました。毎度おなじみ、変な水晶と言えばここを疑え、のダルネゴルスクです。ラベルは「Quartz」だけなので、ヘデンベルグ輝石によるものかどうかは断言できませんが、淡い緑色をしていて、写真に写っていない半面が緑泥のようなものにコーティングされています。形がご覧の通りの細長い紡錘形。ついでにDTだったりします。枝のように飛び出ている部分以外、本体にダメージはありません。第一印象は魚。全体の形といい、ドゥルージーとはちょっと違うのですが、表面の小さな結晶面がきらきらウロコのように輝くところといい、いかにも魚。何故かウロコ状のテクスチャーに弱い私は、「この微妙な色は、撮るの難しいんだよなー」と自分で自分にツッコミを入れながら、それでもあきらめきれずに買ってしまったのでした。で、恒例の撮影です。予想通り難航しました。真横から撮ったのでは、どうにも感じが出ないのです。ウロコ状のキラキラも写らなくて、なんだか緑っぽくて細長いモノにしかなりません。あーでもない、こーでもないと角度を変え、石を傾ける台を変え、珍しく石を横からではなく上から撮影してみました。その結果が今回の写真です。ウロコ状のキラキラも出ました。微妙な結晶の具合もなんとか。……で、印象は……やはり、魚。それも深海魚。光の届かない深海に下りた潜水艇が照らしたライトに一瞬浮かび上がり、音もなく再び闇に消えていく巨大な深海魚……。そんな感じ、しませんか。最初は「深海」までのイメージはなかったのですが、なんだか迫力が出てしまいました。自分自身が知らない心の深海に光をあてると、こんな石の魚が泳いでいたりするのかもしれません……。
2005/01/07
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ビルダーと格闘しているうちに、さぼり癖がついちゃったかも……根がぐーたらなんだから、好きなことくらいはマメにやろうよの石雑記です。別サイトの方にも以前こちらに載せていたネタのいくつかを移動させました。今回は同じ写真ですが、移動に際して撮り直していたり、こちらには載せていない写真が加わっていたりするので、お暇なときにでも探してみて下さい。さて、ここのところ10月中旬くらいの暖かさ(@東京)だそうですが、ふとあたりを見回すと木々の葉は色づきはじめ、夏とは景色の色合いが変わっています。石も、肉眼で見ている限りは気にならないのに写真に撮るとはっきり黄色みがかって見えます。まだまだ暖かいと思っていても景色が変わって見えるのは、光線の色のせいでしょうか。季節の気配は心地よいものですが、贅沢を言えば、写真を撮るにはあまりありがたくありません。先述したように画面全体が黄色みがかってしまうので、色を補正するのですが、どうしても自然な色合いには補正しきれないのです。今日の写真はまだ夏のころに撮ったものですが、この石を今撮ると、色の補正がかなり難しくなるでしょう。 ロシアのヘデンベルグ輝石入りの水晶の仲間です。しかし、以前に紹介した「アスパラガス」や「女神の緑」とは、だいぶ色合いがちがいます。前者がパステルグリーンならば、こちらはどっちかというと緑泥グリーン。深みのある緑色です。ダルネゴルスクでは、「アスパラ」緑水晶に似た形で、このような深い緑の石も出ていますが、この形は初めて見ました。先端部分が透明なので、とてもみずみずしい感じがします。高さは5~6センチほどですが、全体の形と色が相まって、さながら森のよう。ちょっと格好をつけていうならば、朝靄にけむる森、あるいは「指輪物語」のロスロリアン。ところで、手のひらの中の石に森を見る感覚は、「盆栽」に似ていなくもないような……。さらにいうならこの石、ちょっと門松っぽくも見えるのです。
2004/11/10
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タイトルのわりに、宗教的にはなりえない石雑記です。今日の石は、エンジェルブレッシング・クォーツの次に出そうと思っていたのですが、ころりと忘れていました。そう、天使つながりの石です。天使にゆかり(?)の石と言えば、セレスタイト(天使の石・天国の石)エンジェライト(天使の石、天使を呼ぶ石)エレスチャル(天使の贈り物)エンジェルブレッシング・クォーツ(天使の祝福)……というところでしょうか。これらの石よりもネーミングにひねりが利いているのが、今日の石、セラフィナイトです。森を思わせるような深い緑に放射状に広がる銀の筋が天使の翼を思わせることからセラフィナイトと名付けられた……と説明されていることが多いですが、そのままずばり「エンジェル・ウィング」じゃないのには、なにか理由があるのでしょうか?ご存じセラフィナイトの語源は熾天使(セラフィム/ Seraphim )です。天使には7つの階級があるとされ、上から、熾天使(セラフィム Seraphim )智天使(ケルビム Cherubim )座天使(スローンズ Thrones) 主天使(ドミニオンズ Dominions) 力天使(ヴァーチュズ Virtues) 能天使(パワーズ Powers) 権天使(プリンシパリティーズ Principalities) 大天使(アークエンジェルス Archangels) 天使(エンジェルス Angels) となっています。※諸説あるそうで、これは一例ですご覧いただけばわかるように、熾天使は天使の中でトップの位。神に最も近い天使ということですから、ちょっと地味めの外見とは裏腹に、とても立派な名前だったわけですね。正直に言いますと、最初、セラフィナイトについては、ロシアの石というところには惹かれていたのですが、いまいちピンとこなかったのです。「銀の筋が羽根のように見え……」といわれていても、これが羽根? と、納得できず、セラフィムを名前につけるなら、赤い石の方がいいんじゃないの?……なんて思っていました。※セラフィムの語源は、ヘブライ語で「燃える」「蛇」。でも、1個くらい欲しいかなあ……なんて、まったく不純な動機でたまたま店頭にあったセラフィナイトを物色していて、その中からやってきたのがこの石です。形はタンブル。店頭にはスライスや丸玉、そしてこれよりも小さなタンブルがありました。1個くらい、というのなら、安くて小さいタンブルで十分だったのです。なのに、この石を選んでしまった理由は、銀色に輝く部分ではなく、深緑に沈んで見える部分でした。右側の写真を見て下さい。羽毛が幾重にも重なっているように見えないでしょうか?不透明でツヤ黒な石なので、写真が撮りにくく、未だに満足に写せないのですが、肉眼でははっきり、森の緑の羽毛がふんわりと幾重にも重なり、中に何かを包み込んでいるように見えるのです。本当に羽根だよ!とびっくりし、セラフィナイトのネーミングも頷けると一人で納得してしまいました。石のはずなのに軽く柔らかい羽毛の姿を持ち、指を弾く硬さなのに(でもモース硬度は2~3と柔らかい)、中に何かがあるように見える不思議。この石のおかげで、セラフィナイトは一気に気になる石へとランクアップしました。……ところが。セラフィナイトがすべて羽毛っぽく見えるのかというと、そうではないようなのです。スライスでは無理なのは当然ですが、丸玉やタンブルでも、同じように見える石にはお目にかかっていません。羽毛っぽく見えたのは、この石がたまたまそう見えただけだったのでしょうか?ところで、セラフィナイトというのは、宝石としての名前で、鉱物としては「クリノクロア」といいます。和名は斜緑泥石。そう、緑泥石なのです。やっぱ、私って……(以下略)。★追記このままではタイトルが意味不明かも……ということで追記です。タイトルの「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな」は、セラフィムが歌う、三聖頌(トラスアギオン/Trisagion)と呼ばれる神を讃える歌なのだそうです。
2004/10/04
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今日の東京は、天気は悪かったですが過ごしやすかったですねえ!なんてったって最高気温が25度。昨日天気予報で見たとき、「最低気温」の間違いじゃないかと思いました。明日の午後になると、蒸し暑い空気が入ってくると言うことですが……。さて、今日はなぜか遅くなってしまった石雑記、今日のお題はロシアの石は変な石♪……誤解のないよう言っておきますと、「変な石」というのは私個人的にはほめ言葉です。ええ、ほめてるんです、本当に。ロシア石の第一弾は、かの「アスパラガス」。この石のおかげで「ロシアの石は変な石」というのが強烈に刷り込まれてしまったわけですが、その後私の手元にやってきたロシア石たちも期待を裏切らないへんてこりんぶりで、私の目を楽しませてくれています。もっとも、私はどの国のでも変な石を探しているので、変な石ばかりが手もとにやってくるのですが、ロシアの石は、そのへんてこりんぶりが堂に入っていて格別私好みなのです。変だ変だと言ってばかりいないで、写真を見ていただきましょう。 全体を見るとどこといって変わった所はないようですが、拡大写真をごらんください。真ん中あたりの結晶を特に見ていただくと、「変」な理由がわかります。このクラスター、どうやらもとは中国産に見られるような細いポイントのクラスターだったらしいのです。それが長さはそのままに太くなって、今のような形になったようです。それぞれのポイントの中に、まるでえんぴつの芯のように元の細いポイントが見えているのがおわかりでしょうか。これを叫ぶのも何度目かなのですが、いったいこれはファントムなのか?セプターなのか?今回は貫入……ではなさそうですが。……とまあ、変わってはいるけれど、成長の課程は比較的想像しやすい水晶だと思うのですが、謎はたっぷり持っております。ここでファントム水晶を思い浮かべていただきたいのですが、ファントム水晶では、水晶が一度成長を止めた際、結晶面に不純物が付着し、沙汰旅結晶が成長をはじめたときに、不純物の着いた面がファントムとしてとどめられた……という説明が成されています。今日紹介した水晶も、「一度成長を止めた水晶が再び成長を始めた」のだと思いますが、ファントム水晶のように「伸びる」ことなく「太って」います。ファントム水晶では、このように「太った」痕跡を残しているものを見たことがありません。いったいどういうことなんでしょう。もしかしたら、ロシア水晶のファントムには、通常の用に縦方向ではなく、横方向に成長した痕跡を残すファントム水晶もあったりするのでしょうか!もしも実在するなら見てみたい!ちょっと補足しますと、先ほど水晶は「太った」痕跡を残したものがないと書きましたが、水晶が「太らない」わけではありません。先日「パンダ」水晶の所でも書いたように、水晶の成長初期の結晶は、断面が三角形に見える形をしています。それが成長するにつれ、おなじみの六角形になります。これはまあ、「太っている」と言えるかと思いますが、今日の石では「芯」の部分も六角形ですから、この例には当てはまりません。また、この石、実物は淡いスモーキーですが、色の感じが、ちょっと汚れた感じに見えて見かけはいまいちです。ところが、写真に撮るとご覧のようになかなかいい感じに写るんですよねえ……。石にも写真写りの善し悪しってあるのでしょうか。☆ちょっとぼやきこの石、ロシア産としかわかりません。お店の人に聞いても不明。スピリチュアル系のお店ではよくあることですが、ロシアのどこだか知りたいです。
2004/08/23
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「青い夢のかけら」のところでも話題にしましたが、石好きさんなら誰しも「欲しい石」があるはず。私も、列挙すれば、アフガニスタンの濃いローズクォーツ、ブルートパーズの大きめ結晶、ウラルの黄緑シトリン、シトリンカテドラル、ベラクルスかナミビアのアメシスト、スペインのアエリナイト入りブルークォーツ、ダルネゴルスクのレッドファントム、ガウリシャンカール産のヒマラヤ・スモーキー、カンチェンジュンガ産のヒマラヤ水晶、パパゴアイト入り水晶、アホーアイト入り水晶、イタリアの黒水晶、フランスかスペイン、アメリカのブルー・フローライト、etc.……きりがないのでここらへんでやめておきますが、いつまで経ってもこのリストは長くなることはあれど、短くなる気配がありません(笑)では、このリスト新たに加わるには、どんなきっかけがあるかというと、●パターン1知人が持っている石を見せてもらってものすごく気に入った。●パターン2店で見たのだが、高くて買えない。↑この2つは、要するに「実物を見たことがある」ものです。パターン2などは、実に頻繁に起こりえます(笑)●パターン3インターネットで見た。↑ネットショップや石関係の掲示板で見たもの。これもよくあります。それらしく説明されていたり、ネットで人気の石などは、気になります。ロシレムなどがそのいい例。ロシアだし、レコードキーパーもいっぱいあるし……と、機会があるたびに手に取るのですが、なぜか買えません。●パターン4調べているうちに欲しくなった。↑ヒマラヤ水晶のガウリシャンカールや、最近入手したアルプス水晶などがこのパターン。好きが高じてヒマラヤ山脈を調べてみたら、ほかの産地や、造山帯つながりのアルプス水晶が欲しくなり……と言う感じ。●パターン5仲間の石が欲しい↑要するに、青い水晶が手に入ったので、他の発色原因の青が欲しい。(黒水晶も産地別にそろえたい)これだけパターンがあれば、欲しい石はイヤでも増えちゃいますね。ところが、ひとつだけパターンにあてはまらない石があります。いつのまにか「欲しいリスト」に加わっていた石。運良く手に入れられたので、一応リストからははずれたのですが、「もっと良いものがあれば」という但し書き付きで、リストの予備欄に残っている石。それがダルネゴルスクの緑水晶です。 ロシアの極東、沿海州のダルネゴルスクで産出する、緑水晶と呼ばれる水晶は、いくつもあります。「青い夢のかけら」で写したソロバン型水晶も(写真では色が変わっていますが)緑水晶の名前で売られていることがありますし、「君(石)の名は その2」のアスパラガス水晶も緑水晶に分類されます。また、まだ写真には載せていませんが緑泥のような濃い色をした水晶も産出します。色は、白っぽい半透明から濃い緑まで、形はころころしたソロバン型から、超ユニークなものまで、実にさまざまです。では、なぜそれを全部ひっくるめて「緑水晶」にしてしまえるかというと、これらの石には、ヘデンベルグ輝石(Hedenbergite/灰鉄輝石)が含まれるという共通点があるからです。ヘデンベルグ輝石はダイオプサイド(Diopside/透輝石)の一種で、ダイオプサイドより鉄分が多くなるとヘデンベルグ輝石になるのだそうです。この石は濃い緑色をしていて、その混入によって水晶が緑色がかって見えているわけです。私が買ったヘデンベルグ輝石入り水晶は、ほんのわずか灰色味を帯びた半透明のパステルグリーン。石なのに、ゼリーのようにみずみずしく、手の上でぷるるん、とふるえるのではないかと思うほどです。この石を一番はじめにどこで見たのか、私は思い出すことができません。ダルネゴルスクの緑水晶という名前を知ったのは、ソロバン型水晶を知った時でした。しかし、ファセットのみのクラスターのような、表面に逆三角形の浮かぶ、この色の石を、いつのまにか、私は探していました。ネットショップ……とは思いません。なぜなら、この手の石は、なかなかショップには出ないからです。石関係の掲示板……あり得ますが、私が、掲示板でその石を見たと覚えているそのときには、すでにその石を探していました。店頭で……実は、この石を置いている店を知っています。もっとクラスターらしい、すばらしい石があり、値段もすばらしくて、行くたびに涙を呑んでいるのですが、その店に初めて行って、実物に初めて触れたときのことを、はっきりと覚えています。「うわあ……」と惹きつけられ、驚くと同時に、『この石だ』と感じたのです。そのときすでに、自分がなぜこの石を知っているか忘れていたのですが、確かに、すでに知っているがゆえの「この石」でした。ちょっと不思議なことはまだあります。同じ種類の石を買った(同じガマから出たものらしい!)人が、この石を(個人的に)「女神の緑水晶」と呼んでいるとおっしゃっていたのですが、(石の表面が蜥蜴の肌に似ていて、緑色のとかげは、ウラル民話では山の女神の化身とされているとか)それを聞いたときに、「なるほど」と言うより「そうだよね」と、まるで前からそのように感じていたかのような感覚を覚えました。いつの間に私の心の中に住み着いたのかわからない、不思議な石……。私はこれを、新宿ショーの初日に、もう一つの石と一緒に買うからと粘って、2000円おまけしてもらってゲットしました♪
2004/07/28
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更新記録……というより疑問。またもや新たなヒマラヤ水晶の産地を見つけた。「カトマンズの西ブータンとの国境近くのサンコサワー」と言うところだそうだ。でも、ネパールはブータンと国境を接していないんですけど……?※以下日記です。(※2006年5月22日修正)「二人羽織水晶」に続く第2のあだ名水晶をご紹介します。。この石は、ロシアの沿岸州ダルネゴルスク産のヘデンベルグ輝石を含む緑水晶で、私をロシア水晶にハマらせるきっかけとなったと言っても過言ではありません。写真は、そのへんてこりんぶりを見ていただくために石の各部分を写してみました。この石、パッと見からして「水晶?」と念を押したくなるような姿をしています。水晶の基本スタイルである六角形なんてどこにもありません。「セプター」とか「カクタス」とか「キャンドル」とか、へんてこりんな形の水晶のための用語はたくさんあるのに、どれひとつとしてこの石には当てはまらないようです。同じダルネゴルスク産で、もっと緑色の濃い不透明な水晶がありますが、表面の結晶具合はまるで違います。この石は、アップ写真でもわかるように、「超立体レコードキーパー」とでも言いたいような三角形の面に覆われているのです。しかも……ご注目いただきたいのは本体から枝分かれした部分の先端と根本。特に根本をご覧下さい。本来ならば、この石はこの部分で母岩に接し、つくしか何かみたいに「生えて」いたはずなのです。ところが……。ここにも立派なポイントが! しかもじっくり見ると、折れたあとにポイントが形成されたと言うよりも、もともとポイントがあって、どちらかというと表面のギザギザ状の結晶が後からそれを覆ったようにも見えます。枝分かれした細い結晶部分も尖っているので、ここで母岩に接していたわけでもないのです。いったいこの石、どんな風に成長したのでしょう!?実は、根本部分のポイントに気づいたのは、買ってしばらくしてからで、買ったお店にそのことを聞いたら、店の人も頭を抱えていました。この石のおかげで「ロシアの石は変」というイメージが強烈に焼き付いてしまったのです。(ただし、こと石に関しては「変」は私にとってのほめ言葉です。念のため)以来、ヒマラヤ水晶に続いて増殖中のロシア水晶も、期待に背かず変な石ばっかり。変な石であるが故に、形も個性的で、持ち歩きには不向き……というのがちょっと悲しいですが……。長さは約7.5cmのお手頃サイズ。独特のテクスチャは、マクロ魂をくすぐり、デリケートな灰緑色は、写し取るのが難しく、チャレンジ精神をそそってやみません。「うきーっ! 写せないーっ」と叫びながらも、写さずにはいられない。今度こそ写してやるぞという気持ちで目が離せない……この石は、そんな「パワー」に満ちた石、私にとってのパワーストーンなのです。そんな石に謹んでささげたあだ名はコレ。「アスパラガス」……そんな風に見えませんか?
2004/07/09
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