2004.05.17
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GWの興奮冷めやらぬ5月上旬、先月までの残務を処理すべく客先に赴き作業を始めること小一時間の後、1本の電話を受けたキュートな銀行員がオレの隣にやってきて、「井上さん、この表見て、おかしいところわかります?」といった。

キュートな銀行員が出した表の、「不備」という項目の該当件数は「0」だった。不備が0というとこが「優秀」だということは、日本語を理解できれば容易に判断できる。ところがこの店の「不備が0件」の偏差値は、42とかそれぐらいを示していた。
偏差値は分布の中心が50だから、42といえばは平均よりも下回っているということで、しかし不備が0なのにそれはありえない。
システムの障害だ。
致命的なミスだが、何十ものチェックを経てすでにこの表は営業店に配布されている。「不備が0なのに偏差値が低い」ということに、営業店が気づき連絡が届いたからタチが悪く、障害報告が上げられ、いくつかの業務がストップし、我々には早急な対策と、責任問題と、再発防止への対策と反省などが課せられる。

最低でも2週間は検証に必要な作業量だが、障害であるため即日対応を求められているというジレンマの中の妥協点として、3日でやれ、という命令が下され、当然オレ1人では無理なので2人増員し、さらにキュートな銀行員も通常の業務を停止させてこの検証につきっきりになった。
4,5人がかりで終電間際まで作業し、ようやく検証が終わろうとしていたそのとき、想定していた回答と、帳票の結果がどうしても一致しないという問題に直面した。その調査や原因把握にも時間は奪われた。
また一つ、障害が見つかった。

客からの信用も失われてゆく。具体的には、我々の作業内容や手順に誤りがないかどうかということを、客は逐一知りたがった。その報告のための資料や検討会のための時間も必要だった。
そうして奪われてゆく限りある時間で、徹夜での作業が禁止されていて、タクシーチケットも使えない制約などが課せられた中で、これ以上信用を失わないために期限厳守であることと、完璧なシステムを提示するためにどうしたかというと、「集中」した。

この障害を連発するシステムの構築には、オレや他の作業員はほとんど関わっていない。そのため設計段階から調査を始めなければならなかった。非常に非効率だ。しかしこのシステムの担当者たちはすでにチームを離れ、次の仕事に取りかかりはじめている。緊急時だとして呼び出してもまたすぐに抜けてしまうから役にたたないし、そもそも金が出ない。それに残された我々もノウハウを蓄積してゆかなればならないから、その妨げにもなる。
担当した仕事ではない障害の復旧をやらされているという「被害者意識」は、ここ数日のストレスの一因ではあったし、「彼ら」の投入を拒む体制を呪ったりもしたが、それらマイナス側へ向けられた感情が、オレに極度の緊張や集中をもたらしたし、その連続に耐えるための麻薬としても作用したといっていい。

まだいくつかの残務は残っているものの、トラブルを吸収した上で5月の仕事の帳尻は合った。経営側から見た予算配分は赤字かもしれないが、オレの知るところではない。ただいえることは、わずかな利益より重要であろう「信頼」や「評価」を獲得した、ということだ。
つまりここ数週間、忙しいながらも充実していた。





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最終更新日  2004.05.30 15:26:07
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Re:不備件数ゼロ(05/17)  
お疲れ様です。

「時間内で上げる」「信頼性」の大事さというのがようやくわかり始めました。
こちらの業界もそろそろ2年目です。 (2004.05.31 12:28:20)

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