偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2011.05.22
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カテゴリ: 銀輪万葉

 20、21日と魚津から富山へ蜃気楼ロードを銀輪散歩して参りました。いくつかの万葉歌碑を訪ねつつ海辺を銀輪散歩しようというものであります。JR魚津駅下車。駅前でトレンクルを組み立て出発。

JR魚津駅B.JPG
​(魚津駅)​

 駅前から雪を戴いた立山連峰が見える。

魚津駅前.JPG
​(魚津駅前)​

 地下通路で駅の北(海)側に出て、先ず「懐かしの灯台塚公園」にあるという大伴家持の歌碑を目指す。海に出ると望遠レンズを構えた人がいる。「蜃気楼ですか?」と声を掛けると、「今日は駄目だ。」と仰る。

懐かしの灯台塚公園.JPG
​(懐かしの灯台塚公園)​

 「懐かしの灯台塚公園」は草むしりのボランティアの人達で一杯。作業のお邪魔にならないように、写真を撮る。「蜃気楼を見に来たのか。」と仰るのに「いいえ。」と答えると悪い気がして、「ハイ。」と言うと、「今日は駄目だ。昨日ならB級の蜃気楼が見えたのに。」とのこと。「そうですか。それは残念なことです。」と失望して見せるヤカモチでありました(笑)。

懐かしの灯台塚公園 (2).JPG

 そう言いつつ、傍らの大伴家持の万葉歌碑をしっかりと写真に。

懐かしの灯台塚万葉歌碑.JPG
​(大伴家持万葉歌碑)​

越の海の 信濃の濱を 行き暮らし
          長き春日も 忘れておもへや (大伴家持 巻17-4020)

 この歌は天平20年春正月29日に家持が作った歌4首のうちの1首。歌碑の方は何故か「長き春日も」が「長き春日を」と間違って刻まれている。左の白文の方は「奈我伎波流比毛」と「乎(を)」ではなく「毛(も)」になっているのだが。

蜃気楼ロードから海を眺める.JPG
​(蜃気楼ロードから海を望む。)​

 突堤には双眼鏡を構える人、望遠レンズでカメラを覗く人。蜃気楼目当ての人が何人も居られるが、今日は「大蛤さん」もご機嫌うるわしくないようですな。いづれにせよヤカモチの弱い視力では蜃気楼なんぞ見える筈もないのであります。突堤を富山方向へと走る。

蜃気楼ロード脇の突堤の道.JPG
​(突堤の道)​

 天気も好し。風が心地よい。海の駅蜃気楼、魚津埋没林博物館を過ぎ、魚津港に。浮玉と漁船のかもす景色も旅人の目には新鮮である。

魚津港.JPG
​(魚津港)​

魚津港 (2).JPG
​(同上)​

 漁港の先で道を右に取り、海沿いを行くと諏訪神社があった。突堤には車を停めて双眼鏡を持って海を見ている人がここにも何人かがいる。この道を走る人は皆、当たり前のように双眼鏡を車に備え置いているようですな。海を指して、沖合いに塔のようなものが見えるという。あんな処に塔がある筈もないから蜃気楼に違いないと言う。しかしヤカモチの目にはそれらしきものは何も見えない。カメラを構えて写してみるが勿論何も写らない。ただ茫洋とした海があるばかり。

諏訪神社(蜃気楼ロード脇).JPG ​(諏訪神社)​

 更に行くと小さな川に出る。角川である。突堤の「道」はここで行き止まり。昔はこの角川の河口が魚津港であったそうな。川に沿って左に入ると万燈台があった。慶応4年(1868年)に建設された魚津港最初の灯台であるそうな。


​(万燈台)​

万燈台 (2).JPG

 米騒動の発祥となったという米倉と魚津城跡へは、少し来過ぎていたようなので、一つ内側の道を引き返す。

米騒動発祥の米倉.JPG
​(旧十二銀行倉庫・米騒動の発端となった米倉)​

​(米騒動発祥の地の碑)​

​<参考> 1918年米騒動  ​

 何故か撮った写真がモノクロ写真のようになっている。コンデジカメラもタイムスリップしたようだ(笑)。米倉建物の前の三叉路を上がって行くと大町小学校の通用門に突き当る。ここが魚津城のあった場所とのこと。同小学校の正門横には魚津城跡の石碑が設置されている。通用門脇の校庭には上杉謙信の歌碑もある。
​<参考> 魚津城の戦い 魚津城  ​

魚津城跡 (2).JPG
​(魚津城跡碑)​


​(上杉謙信歌碑)​

もののふの 鎧のそでを かたしきて
            まくらに近き はつかりの声

上杉謙信歌碑 (3).JPG

もののふの 鎧の影も かき消えて
           われに返れば わらべらの声 (偐家持)

 魚津城は上杉・織田戦争で織田軍に包囲され落城する悲劇の城であるが、今はその一角を校庭とする大町小学校の児童たちの明るい声が響き渡っている。

 城を出て、いや、小学校を出て南西に向かうと先程の角川に出る。角川書店の名はこの角川に由来するとは、今回初めて知りました。なかなか風情のある川である。遠く立山連峰も見える。
​<参考> 角川  ​


​(角川)​

 この後、海沿いを更に南西へ、早月川を目指すのでありますが、本日はここまでとします。

​<続篇>魚津から富山へ銀輪万葉
(その2) (その3) (その4)

写真5枚(縦長の「万燈台」「米騒動発祥の地の碑」「上杉謙信歌碑」<2枚>「角川」) が横倒しの歪んだ画像になっていたので、2020年11月4日これらを復元修正しました。
過去記事の写真が歪んでいたりすること ​  2020.10.12.





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最終更新日  2020.11.04 00:12:30
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Re:魚津から富山へ銀輪万葉(その1)(05/22)  
オガクニマン さん
魚津駅 何も無い駅、懐かしいです。
YKKの工場に何度か訪問しました。

残念ながら工場、ホテルで会合、JR。でしたよ。
蜃気楼も見る事がなかったです。 (2011.05.22 23:40:20)

オガクニマンさんへ  
けん家持  さん
 魚津駅 何も無い駅ですかね。何があれば何もない駅でなくなるのでしょうか(笑)。山側が改札出口なので、写真のように、山側に出ましたが、海側へはどう行けばいいのかと駅の案内看板を見ていたら、サラリーマン風の男性が地下通路を教えて下さいました。タクシー待ちかと思いきや迎えの乗用車がやって来て、男性はそれに乗って行かれました。ひょっとするとYKKの社員でいらっしゃったかも、ですね。海側に回ると本当に何もない駅前(いや、駅裏ですかな)でありました。
 小生は魚津駅下車は今回が2度目。以前下車したのは、駅前を右に入った処にあった喫茶店だか食堂だかで、珈琲タイムを取っていた時に、羽田孜氏のことが店内の客と女主人との間で盛んに話題になっていましたから、彼が総理大臣になった日かその翌日のことであったのだろうと思います。その後の魚津での行動がよく思い出せないのは、ひょっとすると富山で下車する予定を一つ乗り越してしまったのかも知れません。
 さすが、蜃気楼ロードと言うだけあって、車から降りて双眼鏡を覗く人の姿が突堤にチラホラとありました。
(2011.05.23 09:02:54)

Re:魚津から富山へ銀輪万葉(その1)(05/22)  
木の花桜  さん
越しの国の万葉歌碑、楽しみに毎日拝見しています。
日本海側に旅行した経験が少ないもので魚津も富山にも興味津津でした。

大伴家持さんは、この地に赴任され若い日を過されたのでしたね。

最初に訪れられた歌碑の

越しの海の 信濃の濱を 行き暮らし 長き春日も 忘れておもへや

「春日も」が「春日を」と誤記されますと困りますね。
「も」に込められた言外のものを想像することが出来なくて・・・歌碑を作る時は気を付けて欲しいものです。

魚津の蜃気楼は出たり出なかったり気象次第なのですね。
残念でした。私が(笑)

偐家持さんのお歌、

もののふの 鎧の影も かき消えて われに返れば わらべらの声

越しの国に訪れた長い平和な時代を謙信公も羨ましがっておられるかもなどと思いました。 (2011.05.25 16:06:15)

木の花桜さんへ  
けん家持  さん
 毎日ご覧戴き有難うございます。半日の銀輪行を4部に分割、3日間も引っ張ってしまいました。一日当り写真掲載量制限と一記事当り文字数制限という二つの制限によって、こうならざるを得ないのでありますが、まあ、お陰で1回旅に出れば数日はその記事で日記を埋められるという訳で、そう悪くはないことかも知れません。
 大伴家持は、746年6月21日(旧暦)に越中守になり、8月7日に越中での宴会で最初の歌を作って居り、751年7月17日に少納言となり、同8月5日に京へと旅立っていますから、29~34歳の5年間をこの地で過ごしていることになりますかな。途中、中のぼり、と言って、報告のため上京するのが習わしですから実際はもっと短い滞在期間となりますが。
 家持のような夢想家で不器用で繊細な人間にとっては権謀術数渦巻く京は不本意なことの多い場所であったに違いなく、この越中時代が彼の一番充実していた幸せな時期であったように思われますな。
 歌碑の「も」と「を」の誤記、今更訂正の仕様もなきことでずっと残りますな。校正を担当された方はどんな思いで居られるかと思うと同情を禁じ得ません(笑)。
 たしかに「も」と「を」では歌の印象がかなり違ってしまいますからね。まあ、偐万葉集ならそんなことはお構いなしなのですが。
 大町小学校では体育の授業中の子供たちが元気な声を出していました。鎧の袖を枕に朝方か夕方かは知らぬが飛んで行く初雁の声を聞いている謙信さんには想像もつかぬ景色であるでしょうな(笑)。
 越万葉歌碑銀輪散歩も明日26日で完結予定です。日付が26日に変らないと残りの写真何枚かが掲載できない状況にあります。
(2011.05.25 17:52:15)

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