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2008.01.15
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テーマ: いい言葉(574)
カテゴリ: 文学・芸術
▼恋人と薔薇3



The Rose Of The World

Who dreamed that beauty passes like a dream?
For these red lips, with all their mournful pride,
Mournful that no new wonder may betide,
Troy passed away in one high funeral gleam,
And Usna's children died.

美は夢のように通り過ぎると夢想したのは誰か?
赤い唇のために、彼らは悲しみに沈む誇りをもって、

トロイは気高い弔いの微光の中に滅び、
ウシュナの息子たちも亡くなった。

We and the labouring world are passing by:
Amid men's souls, that waver and give place
Like the pale waters in their wintry race,
Under the passing stars, foam of the sky,
Lives on this lonely face.

私たちと、この苦しみの世は、はかなく通り過ぎる。
空の泡、流れ星の下で、
冬の早瀬を流れる青白い水のように、
よろめき、消え去る人間の魂の中にあって、


Bow down, archangels, in your dim abode:
Before you were, or any hearts to beat,
Weary and kind one lingered by His seat;
He made the world to be a grassy road
Before her wandering feet.


あなたの前に、生きとし生けるものが生まれる前に、
疲れた、優しい魂が、神の玉座の傍らにたたずんでいた。
神は、彼女がさまよう芝生の道になるようにと、
この世界をつくったのだ。

これも、モード・ゴーンの美を賛美した詩です。美ははかないと言ったものは誰か、と呼び掛けた後、人間ははかないが、寂しげな顔をもつゴーンの美は不滅だと謳っていますね。

トロイ戦争でトロイが滅びたのは、王子パリスが恋した一人の王妃のせいでした。アイルランド神話に出てくるウシュナの息子たちも、美女ディアドラをめぐってコノール王と争い、殺されました。争いの原因には「赤い唇」があったわけです。

しかし、はかなく滅びていく人間の中にあって、ゴーンの美は生き続けます。イェイツは、その永遠の美の前では大天使でさえ、ひれ伏すべきであると主張しているんですね。ゴーンの不滅の美は世界が誕生する前から神の座のそばにあり、世界は彼女が歩くために作られたというのですから、すごい賛辞ではあります。

アイルランド独立運動の女性闘士ゴーンはまた、アイルランドの象徴です。トロイとギリシャの戦争はアイルランドとイギリスの戦いとダブってきます。美のために戦わざるをえなかったトロイと、理想を手に入れるために戦い続けるアイルランド。闘士たちの命は尽きても、理想は残ると言いたかったのかもしれませんね。

一方、ゴーンとイェイツの関係ですが、ヘレンがトロイに戦乱をもたらしたように、ゴーンはイェイツに混乱をもたらします。最後の行のher wandering feet(彼女の歩き回る足)には、ゴーンに振り回されるイェイツの姿が浮かびます。同時に「エイ、天界の衣を願う」の最後で語った「私の夢の上を歩くのですから、優しく歩いてください」という願望のイメージも蘇ってきます。ゴーンはイェイツにとって、見果てぬ夢だったのでしょうね。

薔薇
(続く)





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最終更新日  2008.01.15 10:59:24
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「世界の薔薇」  
furafuran  さん
こんにちは。

イェイツがゴーンによせる想いが、たくさんの詩を生んだということがよくわかります。「エイ、天界の衣を願う」で「私の夢の上を歩くのですから、優しく歩いてください」という部分が、どうしてあるのかもわかり、ようやくつながりました。

多大なる犠牲を払ってでも、正義や理想のために、理不尽な力による支配と戦わざるをえないときもあると、どこかでわかっていながら、力に屈しない戦いには、どこか自分は傍観者となってしまっていることをイェイツ自身も感じていたのでしょうね。繊細で複雑な詩人の心で、詩の中はいっぱいなのですね。 (2008.01.15 15:01:21)

見果てぬ夢  
女性闘士ゴーンについて、より知るための参考書などあれば、ぜひ教えていただきたいです。 (2008.01.15 18:21:02)

Re:「世界の薔薇」(01/15)  
白山菊理姫  さん
furafuranさん
こんばんは。

>イェイツがゴーンによせる想いが、たくさんの詩を生んだということがよくわかります。「エイ、天界の衣を願う」で「私の夢の上を歩くのですから、優しく歩いてください」という部分が、どうしてあるのかもわかり、ようやくつながりました。

モード・ゴーンの存在を知っていると、イェイツが詩を書いたときの心情がよくわかります。きっとイェイツの夢の上を優しく歩いてくれなかったんですね。切ない恋心が詩を書く原動力になったのですから、ふられてよかったと、第三者的には思います。

>多大なる犠牲を払ってでも、正義や理想のために、理不尽な力による支配と戦わざるをえないときもあると、どこかでわかっていながら、力に屈しない戦いには、どこか自分は傍観者となってしまっていることをイェイツ自身も感じていたのでしょうね。繊細で複雑な詩人の心で、詩の中はいっぱいなのですね。

ゴーンが他の男、しかもアイルランド独立運動の男性闘士と結婚すると知って、イェイツはショックだったでしょうね。傍観者的な自分を呪ったかもしれません。でもイェイツはイェイツなりに、文学の方面からアイルランドの伝統と文化を守るという役割を果たしたのではないかと思っています。古代ケルト文化を文学的に再認識させた功績は大きいですよね。ただ、いかんせん、ゴーンを口説き落とすことはできませんでした。 (2008.01.15 20:05:46)

Re:見果てぬ夢(01/15)  
白山菊理姫  さん
ヤンチャリカ☆358さん
こんばんは。

>女性闘士ゴーンについて、より知るための参考書などあれば、ぜひ教えていただきたいです。

ゴーンは『女王のしもべ』という自伝を書いています。女王と言ってもイギリスの女王ではなく、古代アイルランドの女王のことだそうです。残念ながら日本語訳はありませんが、英語はアマゾンで入手できます(http://www.amazon.co.jp/Autobiography-Maud-Gonne-Servant-Queen/dp/0226302520/ref=sr_1_3?ie=UTF8&s=english-books&qid=1200392468&sr=1-3)

そのほか、イェイツとゴーンの間の書簡も本になっています。これも英語だけです(http://www.amazon.co.jp/Gonne-Yeats-Letters-William-Butler-Yeats/dp/0393332667/ref=sr_1_5?ie=UTF8&s=english-books&qid=1200392468&sr=1-5)。

日本語では、『迷宮の女たち』野島秀勝著(ティビーエス・ブリタニカ、1981.7の中に、「炎と石の女-モード・ゴン 」という章があるようです。これもアマゾンで入手可能みたいです(http://www.amazon.co.jp/%E8%BF%B7%E5%AE%AE%E3%81%AE%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1-%E9%87%8E%E5%B3%B6-%E7%A7%80%E5%8B%9D/dp/4309473083/ref=sr_1_4?ie=UTF8&s=books&qid=1200392259&sr=8-4)。

ちなみに私はどれも読んでおりませんので、あしからず。『迷宮の女たち』は、シェイクスピア・ソネットのダーク・レディも取り上げており、私も図書館で借りて読んでみます。 (2008.01.15 20:28:06)

Re[1]:見果てぬ夢(01/15)  
こんにちは♪

たくさんご紹介いただきまして、ありがとうございます! こんど、図書館でチェックしてみます。 (2008.01.17 10:30:11)

Re[2]:見果てぬ夢(01/15)  
白山菊理姫  さん
ヤンチャリカ☆358さん
こんにちは。

>たくさんご紹介いただきまして、ありがとうございます! こんど、図書館でチェックしてみます。

いいえ、どういたしまして。私も今度、図書館で借りようと思っています。 (2008.01.17 12:54:41)

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