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2013.08.15
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カテゴリ: 歴史散歩
ケアンホーリー1の一通りの撮影と観察が終わって、私がその男性に感想と観察結果を話す番になりました。

私はまず、間違いなくここは天体観測施設であり、カレンダーの役目をしていると告げました。その理由として、8柱の立石の真ん中の2本が、ある方角を示す直線を意識して建造されていることを挙げました。ただし、私は今、正確な地図を持っていないので、それが夏至の日の出を指すのか、春分、秋分の日の出を指すラインなのかはわからないと言いました。私はまた、この8本すべてに天体観測上の意味があるのではないかとの感想を述べました。さらに私はここから持論を展開し、こうした巨石遺構は必ず、農耕などの時期を知るためのカレンダーとしての役割のほかに、日時計としての役割、ほかに他の巨石群を示す道標としての役割があること、そのカレンダーに基づく祭祀場としても使われ、同時に農耕の実験場に使われたのだと、滔々と述べたのでした。

すると、男性は驚いた顔をして、「今まで5年間、いろいろな人に感想を聞いてきたが、お前の説明が一番面白くて勉強になった」と言うんですね。彼の話を聞くと、どうやら彼はニューヨーク出身らしく、イギリスにやって来て、このケアンホーリーの遺跡に出会ったそうです。最初はただの古代人の遺物程度にしか思わなかったらしいのですが、何度も通ううちにこの遺跡の素晴らしさに魅了され、以来ほとんど毎日、この遺跡に来ては、太陽がどこから昇り、どこへ沈むのかなど天体観測するようになったとのことでした。

そして私の観察結果通り、8本の立石の真ん中の2本の隙間から春分と秋分の日の出が観察できること、つまり日の光がその時、2本の石柱の間から石室を照らし出すこと、そして、夏至と冬至の朝には、この遺跡から日の出を見ると、ちょうど山の際にそって美しい曲線を描きながら日が昇っていくことなどを教えてくれました。

さらに彼の観察の優れたところは、この8本の立石の形の意味に気づいたことです。
まず、昨日紹介した写真を見てください。

DSC_0117-1.jpg

私も気になっていたのですが、左右対称のようでいて非対称になっています。
8本のうち左の4本は左に向かって小さくなっているのに対して、右の4本は弧を描いているように見えます。

ところが8本の立石の根元の部分に着目すると、今度は左側の4本は弧を描き(左に行くほど手前にカーブしている)、右側の4本は直線になっているんですね。



男性の説明はまだ続きます。左の4本の立石の高さが下向きの直線になっているのは、実は左側は左下がりの斜面になっておりそのまま海にでるのですが、その地形を模したものであると同時に、下、すなわち地下の世界、黄泉の世界を指しているのではないかというんですね。一方、右の曲線は、右側は山や谷が続いているのですが、その地形を模しているのと同時に、右上がりのカーブを描くことにより、上、つまり山の上の天空の世界を指しているというのです。確かに天は丸く、天空を横切る太陽も月も弧を描きます。これに対して、海や大地はどこまでも平らな直線のイメージがあるように思います。

その男性の説によると、この巨石遺構は間違いなく、曲線と直線、天と地(海)が交わる場所であるとともに、生と死、動と静など異質なものが交わる神聖な場所だったのではないかとしています。素晴らしい観察眼です。古代人の哲学や芸術をここまで理解した人は少ないのではないでしょうか。

その男性はそうした観察結果を近々、本にして出版するつもりのようでした。出版される日が楽しみですね。

別れ際、と言っても、別れてからしばらくしてその男性が戻ってきて、私にもう一つだけ言い残したことがあると言います。何かと思ったら、「実は8本の立石のうち尖った一本は、確かにお前の言うとおり、日時計として使われていたのは間違いない」と言います。「それを言い当てたのは、5年間でお前だけだ」と。

私としては当たり前のことを指摘しただけなのですが、まあ感激してもらえたならそれはそれでよかったです。
それにしても、当初行く予定だった遺跡に行かれなかったために、当初来る予定のなかった遺跡で、こうした出会いがあるのですから、世の中よくできたものです。偶然は神の計らいであることがよくわかりました。

ただしその男性と1時間以上にわたって話し込んでしまったために、他の遺跡を見る時間がなくなりました。
私たちは、その日の宿泊場所である湖水地方へと急ぎました。
(続く)





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最終更新日  2013.08.15 13:02:20
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