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マレーシア航空17便の撃墜現場へオランダとオーストラリアの調査チームがたどり着いたようだ。現場から半径40kmの地域で戦闘を停止するとピョートル・ポロシェンコ大統領は語っていたが、激しい戦闘が続き、調査団は現場へ近づけないでいた。 その現場は反ネオ・ナチ軍が支配しているので、ポロシェンコ大統領の発言が守られていれば、そうした事態にはなっていない。つまり、キエフ軍が現場を制圧しようとして激しく攻撃しているようだ。短距離弾道ミサイルを撃ち込み始めたの理由もその辺にあるかもしれない。 そうした状況だが、すでに現場の写真が報道され、不可解な点が指摘されている。ひとつは前にも指摘したように、AFPが配信した写真とロイターが配信した写真の違い。AFPの写真を見るとマレーシア国旗の左下にあるはずの窓がなく、ロイターの写真にはある。 撃墜されたとされているMH17(9M-MRD)には窓があるので、AFPの写真は別の航空機ではないかと誰でも思うだろう。それに気づいた誰かが窓が描き込んだのか、あるいは実際に穴を開けたのではないかという疑いがある。そこで、撃墜されたのはクアラルンプールを飛び立った直後に行方がわからなくなったMH370(9M-MRO)ではないかと推測する人が出てきた。 ここにきて注目されているのは、弾痕と思えるいくつもの穴が開いているという指摘。しかも、入射穴と出射穴があるというのだ。つまり、榴散弾の可能性は低く、左右から銃撃され、銃弾は貫通しているということだ。そうなると、左右から戦闘機に撃たれたことになり、ブーク防空システムで撃墜されたという前提が揺らいでしまう。 ロシア政府はMH17と同じコース、同じ高度、3から5キロメートルの距離で近接航空支援機のSu-25が飛行していたと映像を交えて説明しているが、現地の住民も戦闘機が近くを飛んでいて、旅客機を撃墜したと語り(英訳)、BBCロシアの取材チームが撮影した映像でもそうした証言が記録されている。この報道をBBCは慌てて削除してしまったものの、コピーされた映像がインターネット上を流れている。 その前には、キエフにあるボリスピリ国際空港の管制官がスペイン語で行っていたとされるツイッターで、撃墜の2、3分前まで2機のウクライナ空軍機がエスコートしていたとする情報が伝えられていた。 このツイッターは偽物だとする話もあり、現段階では真偽不明だが、ほかの情報と矛盾はない。そのツイッターによると、この戦闘機が何をしていたかを知っていたのは国防相でなく内務相で、キエフ軍が撃墜したことを軍もわかっているが、誰が命令したのかは知らないともしていた。反ネオ・ナチ軍が回収したブラックボックスはイギリスの手に渡ってしまったが、それ以外の証拠はキエフ軍が旅客機を撃墜したことを疑わせる。 また、MH17とほぼ同じルートを40分弱の差でウラジミール・プーチン露大統領を乗せた航空機が飛行していたとする情報もある。実際はこの航空機を撃墜しようとしていたのではないかと考える人もいるが、そうなると撃墜された飛行機の窓、あるいはコースの逸脱が問題になる。「民間機撃墜」の手はずを整えているように見えるからだ。プーチン側が撃墜計画を察知してコースを変更、キエフ軍は「プランB」を実行したという可能性もあるが、この話を進めると妄想の世界に入ってしまうので止めておく。
2014.07.31
キエフ軍がウクライナ東部で数発の短距離弾道ミサイルを発射したとする話がCNNの番組で飛び出した。「西側」でも一部の暴走を懸念し始めたのかもしれない。そのミサイルはOTR-21(SS-21)だと見られているが、これは精度が低く、住民に犠牲者が出ることを前提にしない限り、使えない。つまり、住民の殺害を狙っている。 これまでキエフ政権は東部や南部で住宅街を破壊し、住民を虐殺、いわば「民族浄化」作戦を展開してきたわけで、このミサイルを使っても不思議ではないのだが、「西側」の政府やメディアはこうした事実を認めてこなかった。マレーシア航空17便の撃墜でも、現場周辺をキエフ軍が攻撃して調査を妨害しているのだが、あたかも反ネオ・ナチ軍が邪魔しているかのように伝えてきた。 5月2日にオデッサで多くの住民が虐殺されたが、これは決して偶発的に起こったわけではない。その10日前、ジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問した日に開かれた会議で襲撃計画が練られている。 出席者はアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行、アルセン・アバコフ内相代行、バレンティン・ナリバイチェンコSBU長官代行、アンドレイ・パルビー国家安全保障国防会議議長代行、そしてドニエプロペトロフスクのイゴール・コロモイスキー知事もオブザーバーとして参加した。民族浄化作戦の黒幕はコロモイスキーだと言われている。 コロモイスキーは今年4月にアゾフという約200名の武装集団を編成しているが、それ以外にもアイダル、ドンバス、そして2000名規模だというドニエプルを創設、こうした集団がオデッサの虐殺で主力だったともいう。 作戦の詳細は割愛するが、住民を労働組合会館へ追い込んで殺している。地上階で50名弱の死体が確認されたが、多くの人が地下室で惨殺され、犠牲者の合計は120から130名だと地元では言われている。火炎瓶を投げ込むなどして建物を燃やし、一部は焼き殺されている。この虐殺について個人的に調べている人はいるが、国際機関による調査は行われず、「西側」のメディアも例によって知らん振りを決め込んでいる。 オデッサ以外でも、ネオ・ナチを拒否、連邦制を要求した東部や南部の住民を戦車や航空機を投入して殺してきたのがアメリカ/NATOを後ろ盾とするキエフ政権。EUや日本もアメリカ/NATOに同調している。ロシア政府はEUや日本に自立を期待してきたのだが、これを揶揄する人もいる。ロシア政府がEUや日本に自立を期待するのは、戦争の拡大を防ぎたいからだ。 アメリカ/NATOはロシアに対して自分たちの属国になれ、さもなければ核戦争だ脅しているのだが、EUや日本が戦争回避に動けば、人類の死滅も避けられるということだ。ロシアを罵倒、アメリカ/NATOの手下を支援するということは、戦争を後押しすることにほかならない。 アメリカ/NATOはユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、リビアを攻撃してきたが、その後もシリア、イラン、ウクライナなどで体制転覆プロジェクトを進めている。彼らが手下として使っているのはアル・カイダ(スンニ派の傭兵組織)やネオ・ナチ。いずれもアメリカの情報機関や軍が訓練、支援してきた。 最近、イラクやシリアの油田地帯を制圧しているISIL(ISISやIEILとも表記)も基本的な構図は同じ。アメリカ/NATOから武器を提供され、軍事訓練を受け、サウジアラビアから報酬を得ている。雇用関係が維持されている限り、この構図は崩れない。 こうした武装集団によって体制が倒された国々はアナーキーな状態になり、破壊と殺戮が激化している。そうなることは皆、わかっていただろう。だからこそ、統合参謀本部の少なからぬ将軍たちもイラクへの先制攻撃に反対していたのだが、不安定化こそが支配の基本だと考える人びとは破壊と殺戮で国を破壊してカオスを広げようとする。1970年代から警告されていたこと。 そこで注目されているのが「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」。1992年にポール・ウォルフォウィッツ国防次官はアメリカを「唯一の超大国」と位置づけ、旧ソ連圏など潜在的なライバルを力で押さえ込み、アメリカが支配する世界秩序を築こうと考える。先制攻撃を容認、石油支配を重要視している。DPG(国防計画指針)の草案だが、これを「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ぶ。 このドクトリンは支配層の内部でも問題になったようで、メディアへリークされて書き直されたが、2000年になってネオコン系シンクタンクのPNACが「米国防の再構築」として再登場させる。執筆者のひとり、ロバート・ケーガンが結婚した相手がウクライナで体制転覆プロジェクトを指揮しているビクトリア・ヌランド国務次官補にほかならない。
2014.07.30

ウクライナ駐在のジェオフリー・パイアット米大使がツイッターで広めた衛星写真は偽造されたものだとロシア国防省は反論した。まず解像度の悪さを指摘、証拠の偽造はキエフの治安機関ビルに駐在しているUSEUCOM(アメリカ欧州軍)のランディー・キー空軍少将を中心とする顧問団が指揮していると断定している。ランディー・キー少将 4月にニューヨーク・タイムズ紙がロシア軍の特殊部隊が活動している証拠だとして紙面に載せた写真も解像度が意図的に悪くされていた。鮮明な写真を見ると、その主張は成り立ちそうもなく、ミスでなく確信犯だと言うことがわかる。 前回も書いたが、ポール・クレイグ・ロバーツ元米財務次官補は「証拠」の出し方が不自然だと指摘している。ロシア軍が自国領からウクライナへ向かって砲撃していることを示す写真は重要な証拠であり、それなりの立場の人物が記者会見を開き、ミサイルの発射地点など詳細を説明するはず。それを電子メールで公表するということは考えにくいということだ。 正規の手順を踏めなかったのは国務省の一部が暴走したからだという可能性もあるが、そうだとするならば、パイアット大使とビクトリア・ヌランド国務次官補のライン、つまりネオコン人脈だということが推測できる。 ロシアを「悪魔化」する宣伝にマレーシア航空17便の撃墜事件が利用されているが、この事件に関しても情報が噴出し始めた。この旅客機は北へ大きくコースを逸脱、ロシア側の主張だけでなく現地住民の証言から旅客機の周辺をキエフ軍の戦闘機が飛んでいた可能性は高く、この事実はBBCロシアの取材チームも確認している。この報道をBBCは慌てて削除したようだが、コピーされた映像がインターネット上を流れている。 問題の空域ではキエフ軍の軍用機が撃墜されていて、14日には高度6000メートルで飛行していた輸送機のアントノフ26も撃ち落とされた。アントノフ26の撃墜を受け、キエフ政権は15日にウクライナ東部での飛行を停止させている。ウクライナの上空は危険だとキエフ政権は認識していたわけだが、16日の午後になってドネツクやルガンスク上空での飛行を再開させ、17日の撃墜につながった。 それでもMH17は1万メートルのあたりを飛行しているので、反キエフ軍側のミサイルでは届かない。そこでブーク防空システムが問題になるのだが、キエフ政権のビタリー・ヤレマ検事総長は、軍からの情報として、反キエフ軍がこうしたミサイルを奪取したことはないと発表する。そこで、アメリカ政府やキエフ政権はロシア側から持ち込まれたという主張をするようになる。 ロシアから持ち込まれたという主張をロシア側は否定していたが、BBCロシアも現地取材でロシア政府の反論を裏付けてしまった。この報道を「西側」の戦意高揚機関、BBCが削除したのは必然だ。 こうした議論の前提はMH17が地対空ミサイルで撃墜されたということなのだが、別の可能性もある。戦闘機による撃墜だ。BBCロシアの取材でも、MH17の近くを戦闘機が飛んでいたと地元の住民が異口同音に語っている。「西側」がこの問題に触れない理由は言うまでもないだろう。反キエフ軍側の中から、戦闘機に撃ち落とされたという話が聞こえてくる。 MH17の近くを7000から1万メートルの高度で飛行していた戦闘機のパイロットの交信とされる音声が現在、インターネット上を流れているが、このパイロットはポーランドの傭兵ではないかと言われている。早い段階から傭兵が軍用機を操縦していると言われていたので、十分にありえる話だ。 もし戦闘機が撃墜したなら、ロシアもアメリカも知っているはず。ロシアはこの切り札を出すタイミングを見ているだろうし、アメリカは出させない算段をしているだろう。そのためにも、アメリカはメディアを使って攻め続けなければならない。「西側」のメディアとしてもここで引き下がるわけにはいかない。すでに彼らは悪魔に魂を売ってしまったのであり、負ければ全てを失って地獄行きだ。 ここにきて、もうひとつ注目されている指摘がある。撃墜されたのはMH17(9M-MRD)ではなく、行方不明になっているMH370(9M-MRO)ではないかいうのだ。恐らく、今回の撃墜を聞いてMH370を連想した人は少なくないだろうが、根拠を示す人が現れたのだ。 ひとつの根拠はAFPが配信した写真とロイターが配信した写真の違い。撃墜現場に壊れた機体の一部が写っているのだが、AFPの写真を見るとマレーシア国旗の左下にあるはずの窓がない。ところが、ロイターの写真にはある。機体の汚れ方も違う。実は9M-MROの機体にはマレーシア国旗の左下に窓がないのだ。ロイターの写真は窓が描き込まれたのか、あるいは実際に穴を開けたのではないかと疑われている。 乗客についても疑問が出ている。腐敗が進んでいて、撃墜される数日前には死んでいたのではないかというのだ。あれだけの事故だったにもかかわらず、無傷のパスポートが見つかっていることにも疑問を持つ人がいる。
2014.07.29
ウクライナ東部、キエフ軍と反キエフ軍が戦うドネツクの上空でマレーシア航空17便(ボーイング777)が7月17日に撃墜されたことを切っ掛けにして、IMF(国際通貨基金)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事が注目されている。クーデターで実権を握ったアメリカの傀儡体制に対してIMFが東部や南部の制圧を命令しているということが理由ではない。 今年1月15日、ラガルドはワシントンDCにあるナショナル・プレス・クラブで講演しているのだが、その際に「数秘術」の話をした。まず「7」に注目させ、今年は2014年、つまり2+1+4=7だと説明する。今年はブレトン・ウッズ協定の締結から70年、つまり7+0=7。ベルリンの壁が壊されて25年、つまり2+5=7。金融危機から7年。今年は画期的な年になるという御託宣だ。その7番目の月にウクライナではMH17が撃墜され、ガザではイスラエルの攻撃で建造物が破壊され、多くの人が殺されている。 いずれも人為的な出来事であり、「予言」ではなく「予告」することができる。前にも書いたことだが、18年前の7月17日にニューヨークの沖でTWA800が墜落しているのも「奇妙な偶然」。 アメリカ/NATOはMH17撃墜の件でメディアを利用してロシアを「悪魔化」し、同時に住宅街を破壊し、住民を虐殺してロシアを挑発している。もしロシア軍が出てくれば戦争ということ。アメリカとロシアが戦争になれば、核戦争になる可能性が高いのだが、アメリカのネオコン/好戦派は圧勝できると信じているようだ。1963年当時と似た雰囲気だと言える。そのときはジョン・F・ケネディ大統領が先制核攻撃を阻止したが、バラク・オバマにそうしたことは期待できそうもない。 ところで、オカルトを馬鹿にしてはならない。ナチスはカルト集団だったのである。
2014.07.28
ロシア領からウクライナ領に向けて砲撃している様子だとする衛星写真はDNI(国家情報長官室)が準備して国務省が電子メールで配布したもので、ウクライナ駐在のジェオフリー・パイアット米大使がツイッターで広めたようだ。タイム誌もそれを載せたということになるが、これを不自然だと指摘するのはポール・クレイグ・ロバーツ元財務次官補。 ロシア軍が自国領からウクライナへ向かって砲撃していることを示す写真は重要な証拠であり、それを電子メールとツイッターで公表するということは考えにくいというのだが、その通りだろう。告発やリークということならわかるが、今回はそうでない。それなりの立場の人物が記者会見を開き、ミサイルの発射地点など詳細を説明するのが自然だ。 ミサイルを発射しているように見せる方法は難しくない。シリアでは避難民の背景を別の場所と入れ替えることもしていたが、今回もフォトショップあたりのソフトを使えば捏造も難しくないのだが、発覚したときのダメージはある。アメリカの支配層はそうしたことを気にしていないのか、あるいは世界の庶民を見くびっているのか・・・。 自分たちの言いなりになっているメディアを使えば、庶民を操ることはたやすいと考えている可能性はある。最近話題になっているのはBBCのレポート。7月23日にBBCロシアがマレーシア航空17便撃墜について取材、SBUが主張するブーク防空システムの発射現場から実際にミサイルが発射されてはいないことを確認、現地の住民が異口同音に旅客機の近くを戦闘機が飛んでいたという証言やキエフ軍の航空機は民間機の影に隠れながら爆撃しているという主張を記録していた。そうした映像をBBCは削除、放送しなかったのだという。 ユーゴスラビアでもそうだったが、その後のアフガニスタン、イラク、リビア、シリア、イランなどでも自分たちにとって都合が悪い事実は伝えず、場合によっては偽情報を流してきた。ウクライナでも同じことをしている。考えてみれば、イラクを先制攻撃する際もアメリカ政府は公然と嘘をついていた。タイム誌の報道を少しでも信頼したのは愚かだったかもしれない。
2014.07.28
アメリカのタイム誌がロシア領からウクライナ領に向けて砲撃している様子だとする衛星写真を載せている。ロシアの反応を見ないと何とも言えないが、いつかの時点でロシア側から砲撃があったように見える。ウクライナ側からキエフ軍が繰り返しロシア領を砲撃し、住民ひとりが殺されている状況から考えれば、撃ち返したとしても不思議ではない。 この写真公表でアメリカ政府に対する疑惑が深まったことも確かである。ロシア軍がウクライナ領へ侵攻したり、国境近くに集結したりしている写真、あるいはマレーシア航空17便の撃墜に関する写真などをアメリカはなぜ公表できないのか、ということだ。 アメリカ政府や「西側」メディアはロシアがウクライナを軍事侵攻していると叫んでいるが、実際はアメリカが侵略していることは明白。ペトロ・ポロシェンコ大統領は一応、選挙で選ばれているが、その選挙は東部や南部をキエフのクーデター政権が攻撃する中で実施されたもの。しかも、東部地域の住民はそのクーデター政権を拒否、自主独立の道を歩む姿勢を明確にしていた。 クーデターの黒幕はアメリカ。その傀儡であるオリガルヒとネオ・ナチが今年2月に実行、合法的に選ばれたビクトル・ヤヌコビッチ大統領から実権を奪ったのだ。その3カ月前、アメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補はウクライナの体制をアメリカ支配層にとって都合良く作り替えるため、1991年から50億ドルを投入してきたと米国ウクライナ基金の大会で演説している。 言うまでもなく1991年とはソ連が消滅した年であり、2004年から05年にかけて「オレンジ革命」が実行され、ビクトル・ユシチェンコが実権を握った。そして新自由主義に基づく政策が導入され、ごく一部の人びとが不公正な手段で巨万の富を築く一方、庶民の貧困化が進んだ。そうした政策への反発が2010年にヤヌコビッチを大統領にした一因である。 オレンジ革命に同時にアメリカ/NATOはネオ・ナチをバルト3国にあるNATOの訓練施設で軍事訓練を開始、さらに昨年9月、ポーランド外務省はクーデター派の86人を大学の交換学生を装って招待、ワルシャワ郊外にある警察の訓練センターで4週間にわたって暴動の訓練を実施したという。この時点でクーデターは規定の方針だったということだ。 今年2月4日、ビクトリア・ヌランド米国務次官補とジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使との電話会談を盗聴した音声がYouTubeへアップロードされた。その中でふたりは「次期政権」の閣僚人事について話し合い、アルセニー・ヤツェニュクを高く評価、つまりアメリカへ忠誠を誓う傀儡として優秀だとしている。 YouTubeに音声が流れる以前からヌランドは暴力的に政権を転覆させるつもりで、話し合いで解決しようとするEUに不満を持っていた。そこで「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」という表現が彼女の口から出てくるわけだ。単に「下品」というだけの話ではない。 ヌランドの意向通り、2月18日頃から抗議活動が激しくなる。石だけでなく火焔瓶が投げられ、銃やライフルが持ち出される。21日にはヤヌコビッチ大統領と反ヤヌコビッチ派が平和協定に調印するのだが、翌22日には屋上からの狙撃で多くの死者が出始め、協定は実現しなかった。この日、議会は憲法の規定を無視してトゥルチノフを大統領代行に任命した。 こうした状況の中、エストニアのウルマス・パエト外相が2月25日にキエフ入りして調査、その内容を26日にEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者/イギリス人)へ電話で報告している: 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」「新連合はもはや信用できない。」 警官と市民を狙撃していたのは「西側」が支援するクーデター派だということだが、アシュトンは「議会を機能させなければならない」と応じている。「国境なき巨大資本」のプランを実現するため、事実を隠蔽して嘘をつき通し、議会を守るべきだと言っているわけだ。ネオ・ナチの「ウクライナ社会ナショナル党」を創設したひとり、アンドレイ・パルビーが狙撃を指揮していた可能性が高い。この人物、現在は国家安全保障国防会議(国防省や軍を統括する)の議長を務め、5月2日のオデッサにおける虐殺でも中心的な役割を果たしたひとりである。 キエフのクーデターを東部や南部の住民は拒否、自主独立への道を歩み始めるが、そうした東部や南部への攻撃が本格化するのは4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問してから。14日にはアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が制圧作戦を承認、22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問した。オデッサでの作戦が話し合われたのはこの頃。デレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りした6月2日にウクライナ東部にあるルガンスクの住宅街をキエフ軍は空爆、住民が殺されている。キエフ軍による攻撃や虐殺はアメリカ政府の動きと連動している。 アメリカの傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の傭兵約400名のほか、ポーランドの軍事会社ASBSオタゴの戦闘員も東部の制圧作戦に参加していると言われている。アカデミの戦闘員は「元特殊部隊員」が多く、事実上、アメリカ軍の特殊部隊が「民間」の衣を着て戦闘に参加しているということ。それ以外にアメリカ政府はCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、さらに国防総省は戦略と政策の専門家チーム、つまり軍事顧問団をキエフへ派遣するのだという。事実上、アメリカ/NATOはウクライナに軍事介入している。
2014.07.28
アメリカ/NATOがロシアに対する電撃作戦を準備しているとフィリップ・ブリードラブNATO欧州連合軍最高司令官/在欧米空軍司令官は認め、アメリカ統合参謀本部のマーチン・デンプシー議長もロシアとの開戦が選択肢のひとつだと語ったと報道されている。 ジョージ・W・政権がイラクを先制攻撃する前、ネオコン(親イスラエル派)が軍事侵攻計画に制服組の幹部が無謀だと反対していたが、最近は制服組も好戦的なようだ。ブッシュ・ジュニア政権で統合参謀本部のメンバーを好戦派と入れ替えているが、その影響が残っているのかもしれない。 イラク攻撃の前年、2002年7月にワシントン・ポスト紙は背広組(ネオコン)と制服組が対立していると伝えている。それを受け、ドナルド・ラムズフェルド国防長官はペンタゴン幹部宛てのメモで、リークを止めるように命令したが、その内容までが報道されてしまった。 2002年10月に統合参謀本部のグレグ・ニューボルド作戦部長はラムズフェルド長官に抗議して辞任、翌年の2月にはエリック・シンセキ陸軍参謀総長が議会で長官の戦略を批判している。2006年4月にニューボルド中将はタイム誌に「イラクが間違いだった理由」という記事を寄稿してブッシュ政権を批判する。 ニューボルト中将の記事が出る直前、アンソニー・ジニー元中央軍司令官もテレビのインタビューで国防長官を批判、さらにポール・イートン少将、ジョン・バチステ少将、チャールズ・スワンナック少将、ジョン・リッグス少将も続いた。 過去を振り返ってみると、第2次世界大戦後、アメリカは侵略戦争を繰り返してきた。おそらく他国からの攻撃に反撃したケースはない。 例えば、ベトナム戦争では「トンキン湾事件」をでっち上げて本格的に軍事介入、ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、リビアは偽情報を叫びながら始めた先制攻撃、ウクライナでもクーデターを仕掛けたのはアメリカ側。シリアやイランもイスラエルやサウジアラビアと手を組み、2000年代の半ばから工作を始めて軍事介入のチャンスを狙っていた。 朝鮮戦争の場合、日本では戦争を仕掛けたのは朝鮮(北)だと「右」も「左」も断定しているが、アメリカがそう主張しているだけの話だ。遅くとも1950年の春から朝鮮半島ではアメリカの秘密工作が始まり、「戦争勃発」の直前には38度線のあたりでは1日に何度も軍事衝突が起こっていた。開戦の2日前から韓国空軍は北側を空爆、地上軍は海州を占領している。 そして6月25日。その当時、ダグラス・マッカーサーに同行して日本にいたジョン・ガンサーによると、半島からマッカーサーに入った最初の電話連絡は「韓国軍が北を攻撃した」というものだった。 28日にはソウルが朝鮮軍に占領され、韓国軍は馬山、大邱、浦項を結ぶ三角地帯に押し込められてしまう。そこでアメリカはソ連が欠席している国連の安全保障理事会で「国連軍」の派遣を決めて反撃を開始した。実態は、アメリカ軍が勝手に国連軍を名乗っただけのことだ。 ところが、アメリカ軍は山岳地帯での戦闘に不慣れで、釜山の近くまで追い詰められてしまう。そこで旧日本軍の参謀がアドバイスを始め、仁川上陸作戦などで反撃に転じたと旧日本軍の関係者は語っていた。 すでに本ブログでは何度か書いたことだが、朝鮮戦争と並行してCIAの破壊工作/テロ部門は国民党軍を引き連れて中国への軍事侵攻を試み、失敗している。当然、中国は朝鮮戦争を自分たちの戦争だと認識していたはずだ。その後、CIAと国民党軍は東南アジアへ移動する。 「開戦」の3日前、来日中のジョン・フォスター・ダレスは吉田茂と会談しているが、同じ日にニューズウィーク誌の東京支局長だったコンプトン・パケナムの家で開かれた夕食会に出席している。日本側の参加者は大蔵省の渡辺武(元子爵)、宮内省の松平康昌(元侯爵)、国家地方警察企画課長の海原治(自衛隊の創設に関与)、外務省の沢田廉三(岩崎弥太郎の義理の孫)だ。 日本からの出席者には「元貴族」が多く、パケナムはイギリスの名門貴族出身で、日本の宮中とも太いパイプを持っている人物。当時の状況を考えると、昭和天皇の意向が反映されている可能性が高い。 この夕食会から4日後、天皇はダレスに対して「多くの見識ある日本人」に会うことを勧め、「そのような日本人による何らかの形態の諮問会議が設置されるべき」だとする口頭のメッセージを伝えたという。 ジョン・フォスター・ダレスは弟のアレンと同じようにウォール街の弁護士だが、祖父(ジョン・フォスター)や義理の叔父(ロバート・ランシング)が国務長官を務めるなど外交の世界と深く結びついている。 第1次世界大戦後、アメリカの外交部門にはふたつの派閥が存在した。ひとつはソ連とも友好的な関係を結ぼうとした「ニューディール派」であり、もうひとつは親ファシスト/反コミュニストの「リガ派」だ。 「リガ派」と呼ばれた理由は、ラトビアのリガ、ドイツのベルリン、そしてポーランドのワルシャワの領事館へ赴任して人たちの中にメンバーが多かったからで、ジョージ・ケナンやジョセフ・グルーが含まれていた。ジャパン・ロビーの人脈と重なる。その背後にはジョン・フォスター・ダレス、ジェームズ・フォレスタル、ポール・ニッツェたちがいた。 1932年の大統領選挙でニューディール派のフランクリン・ルーズベルトが当選すると、翌年にはルーズベルトを排除するクーデター計画がウォール街の大物たちによって練られ始めている。これを明るみに出したのが海兵隊の伝説的な軍人、スメドリー・バトラー少将。この辺の話は何度か書いているので、今回は割愛する。 こうした事情があるため、1945年4月にルーズベルト大統領が執務中、急死したのは親ファシスト派にとって「有り得ないほどの好運」だった。翌月にドイツが降伏、日本の敗北も時間の問題で、戦争が終われば自分たちとナチスとの関係が追求される可能性があった。間もなくして始まった「赤狩り」で反ファシスト派は壊滅、その一方でナチスの幹部たちをアメリカは逃亡させ、保護、そして雇い入れている。 ドイツが降伏した直後、アメリカと緊密な関係にあるイギリスのウィンストン・チャーチル首相がソ連に対する奇襲攻撃を考え、「アンシンカブル作戦」を作成させた。その後もアメリカの好戦派はソ連に対する先制核攻撃を目論み、ここにきて再びロシアを核攻撃したいという欲望が高まっているようだ。武力を前面に出して脅せばロシアも怖じ気づいて屈服するとEUの支配層は望んでいるのだろうが、そうなる可能性は大きくない。そうした状況だからこそ、アメリカは日本に対して集団的自衛権を強く求めている。
2014.07.27
国連人権理事会の非難決議をあざ笑うかのようにイスラエルはガザでの住民虐殺に拍車をかけている。25日までに830名以上が殺されたと伝えられていたが、その翌日には960名以上だという。イスラエルは「ユダヤ人」を隠れ蓑に使い、「ナチス」と同じことをしている。 建国前からシオニストはアラブ系住民を殺害していたが、世界の人びとを気にせずに虐殺を始めるようになったのは1980年代になってからだろう。シオニストの中でも戦闘的な「修正主義シオニスト世界連合」を結成したウラジミール・ジャボチンスキーにつながる人びとが1970年代にアメリカのキリスト教系カルト(原理主義者、聖書根本主義派、あるいは福音派と呼ばれる)と手を組み、リクードを創設してからだ。 1981年6月30日にイスラエルでは選挙が予定されていたが、春の段階では労働党がリクードを引き離していた。形勢を逆転させたのは6月7日に実行されたイラクのオシラク原子炉爆撃。これでリクードの支持率は一気に上昇、選挙で勝利している。 7月に入るとベイルートにあったPLOのビルを空爆、この時は国連のブライアン・アークハート事務次長の説得で停戦するが、戦争を継続するだけの準備ができていなかったことが大きい。 翌年の1月にアリエル・シャロン国防相はベイルートを極秘訪問し、キリスト教勢力と会ってレバノンにイスラエルが軍事侵攻した際の段取りを決める。その2週間後にはペルシャ湾岸産油国の国防相が秘密裏に会合を開き、イスラエルがレバノンへ軍事侵攻してもアラブ諸国は軍事行動をとらず、石油などでアメリカに敵対的なことを行わないと言う内容のメッセージをアメリカへ送った。 6月に駐英イスラエル大使をアブ・ニダル派が暗殺を試みている。このグループはPLOを率いるヤセル・アラファトと対立、しかも内部はイスラエル人エージェントの巣窟。暗殺計画もそうしたエージェントが提案したと言われている。この暗殺未遂を口実にしてイスラエルはレバノンへ軍事侵攻、1万数千人が殺されたと言われている。 アメリカ政府の仲裁で停戦が実現、8月21日にイスラエル軍が撤退、21日にはPLOも撤退を始めて9月1日には完了、12日には国際監視軍も引き揚げるのだが、14日にイスラエルと手を組んでいるマロン派キリスト教徒の中核的存在、ファランジスト党のバシール・ジェマイエル党首が爆殺される。 その報復だとしてファランジスト党のメンバーがイスラエル軍の支援を受けながら無防備のサブラとシャティーラ、両キャンプを制圧、その際に数百人、あるいは3000人以上の難民が殺されたという。 それまで親イスラエルだったイギリスの労働党もこの虐殺でイスラエルを批判しはじめるのだが、そこで登場するのがトニー・ブレア。1994年1月にブレアは妻と一緒にイスラエルを訪問、その2カ月後にロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介される。それ以降、レビーはブレアのスポンサーだ。 その2カ月後、労働党のジョン・スミス党首が心臓発作で急死、新たな党首としてブレアが選ばれ、党の政策を大きく変更する。イスラエルを後ろ盾にしている強みから労働組合との関係を弱め、「ニュー・レーバー」と呼ばれるようになった。 2001年にアメリカではジョージ・W・ブッシュが大統領に就任するが、この人物を担いでいたのはネオコン、つまり新イスラエル派。イラクへの先制攻撃などでブレアがアメリカを支援する理由は言うまでもないだろう。現在、ブレアはエジプト政府の顧問になっている。 2008年12月から09年1月にかけてもイスラエル軍はガザに軍事侵攻、その際に化学兵器の白リン弾やGBU39(スマート爆弾)も使用している。こうした兵器を使った攻撃で住民が殺され、住宅が破壊されただけでなく、学校、救急車、病院、そしてUNRWA(国連難民救済事業機関)の施設も攻撃された。この軍事侵攻で1300名以上が殺されたと言われている。 イスラエルが周囲に軍事侵攻する理由のひとつは「大イスラエル構想」、つまり南はナイル川から北はユーフラテス川まで、西は地中海から東はヨルダン川までをイスラエルの領土にするというプランだが、2000年代に入ると別の意味が強まる。地中海の東側に湾岸なみの天然ガスや石油が存在していることが明らかになったのだ。 2001年にイスラエルの沖で調査が始まり、2009年に天然ガスが発見された。その発見に関係した会社のひとつ、ノーブル社のロビイストとして仕事をしているひとりがビル・クリントン元大統領だ。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。 イスラエルの好戦度が大きく高まった理由のひとつは、ボリス・エリツィン時代のロシアで不公正な手段で巨万の富を築いたオリガルヒがウラジミール・プーチン時代に入ってから国外へ逃亡、イギリスとイスラエルへ逃げ込んでいる。イスラエルにはロシアの巨大石油企業だったユーコスの幹部も亡命している。 こうしたロシアからの亡命者は財産をロシアの外へ隠していたので、資金力がある。彼らも地中海東岸の天然ガスに興味を持っているだろうが、それだけでなく、ロシアを再占領しようと考えているはずだ。 2000年代の半ばからイスラエルはアメリカやサウジアラビアと手を組み、イラン、シリア、レバノンを乗っ取る秘密作戦を開始した。サウジアラビアが雇っている武装集団のISIL(またはISIS、IEIL)が油田地帯を占領しているのも偶然ではないだろう。ロシアではキエフ政権の攻撃で多くの住民が避難したドネツクやルガンスクの地下にも天然ガスが存在、アメリカの石油企業が狙っている。IMFが融資の条件に東部や南部の制圧を提示した理由も同じだ。 ウクライナ最大の天然ガス製造会社で、ジョー・バイデン米副大統領の息子が重役として名を連ねるブリスマも東部の天然ガス地帯に利権を持っている。キエフ軍の攻撃で住民が非難してくれれば、彼らを排除する手間が省ける。ロシアとの戦争を望んでいる勢力とエネルギー利権に目が眩んでいる勢力がアメリカを動かしているわけだ。
2014.07.26
イスラエル軍はガザ攻撃を激化させ、7月25日の段階で殺されたガザ市民は830名を超えたと伝えられている。アメリカをはじめとする「西側」の有力メディアはイスラエルの虐殺を正当化しようと苦労しているが、国連人権理事会では23日に開かれた緊急会合で攻撃を非難し、国際調査団の派遣を求める決議案を採択した。賛成29カ国、反対1カ国、棄権17カ国。その内訳は次のようになっている。賛成アルジェリア、アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コンゴ、コスタリカ、コートジボアール、キューバ、エチオピア、インド、インドネシア、カザフスタン、ケニヤ、クウェート、モルジブ、メキシコ、モロッコ、ナミビア、パキスタン、ペルー、フィリピン、ロシア、サウジアラビア、シエラレオネ、南アフリカ、アラブ首長国連邦、ベネズエラ、ベトナム棄権オーストリア、ベニン、ボツワナ、ブルキナファソ、チェコ、エストニア、フランス、ガボン、ドイツ、アイルランド、イタリア、日本、モンテネグロ、韓国、ルーマニア、マケドニア、イギリス反対アメリカ 日本は虐殺を非難しなかった国のひとつだが、とりあえず決議案に反対はしなかった。反対したのはアメリカだけ。これが現在、アメリカが世界でどのように見られているかを明確に示している。アメリカは孤立している。カネと暴力で何とか支配者としての立場を維持しているだけだ。 相手が国ならば経済力(最近は衰退が著しい)と軍事力、個人ならば賄賂と脅迫。ドルが基軸通貨だという特権とさまざまな脅しで各国を黙らせているだけだ。 アメリカは昔から暗殺を支配の道具として使ってきた。例えば、1960年からCIAのテロ部門(計画局/1973年から作戦局、2005年からNCS)が要人暗殺を目的として「ZRライフル」と名づけられたプロジェクトをはじめている。キューバのフィデル・カストロは合計638回、命を狙われたという。そのカストロからアメリカによる暗殺工作を警告されていたベネズエラのウーゴ・チャベスは58歳の若さで死亡している。 イスラエルがガザを激しく攻撃している最中、7月17日にウクライナ東部でマレーシア航空17便が撃墜された。約1万メートルの高度を飛行中、地対空ミサイルで撃ち落とされたと見られているが、それだけの高さまで届くミサイルはブーク防空システム(SA-11)か地対空ミサイルのS-300(SA-10)しか考えられず、MH-17の場合はブークだと言われている。このシステムを持っているのはアメリカ/NATOが支援するキエフ軍だ。 これに対し、アメリカ政府はロシアからブークが持ち込まれたとしているが、証拠は示せないでいる。怪しげな噂話を垂れ流すのは論外として、その主張を裏付けるとされた映像も「西側」の説明とは違い、キエフ軍側がブークを移動させている光景だった。 ウクライナ側からキエフ軍がロシア領を砲撃、住民ひとりが殺されていることが問題になった後、アメリカ政府はロシア軍がロシア領からウクライナ軍に向かって砲撃していると主張しはじめたが、証拠はない。アメリカ政府の言うことは正しく、ロシア政府の言うことは嘘なので、アメリカを信じろと言うばかりだ。 東部や南部を制圧しろというIMFの命令もあり、そのキエフ軍はドネツク州とルガンスク州を攻撃、ロシア語を話す住民をターゲットにした民族浄化作戦を展開中だ。ただ、正規軍をキエフ政権が掌握し切れていないようで、ネオ・ナチを中心に編成した親衛隊や外国人傭兵を使っている。 外国からウクライナへ入った戦闘員の中心はアメリカの傭兵会社アカデミ(旧社名はブラックウォーター)から派遣された戦闘員だと見られているが、それ以外にポーランドの現内務大臣が創設した軍事会社ASBSオタゴの戦闘員も制圧作戦に参加している。 2月に狙撃で混乱するキエフでネオ・ナチの部隊がクーデターを実行、4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問、14日にアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が東部や南部の制圧作戦を承認、22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問し、IMFの融資が決まった。 バイデンのキエフ入りに合わせてキエフではオデッサ攻撃の作戦が話し合われている。会議の参加者はアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行、アルセン・アバコフ内務大臣代行、バレンティン・ナリバイチェンコSBU長官代行、そしてアンドレイ・パルビー国家安全保障国防会議議長代行。そのほか、「オブザーバー」としてドニエプロペトロフスクのイゴール・コロモイスキー知事も加わり、意見を求められたという。 そして5月2日、オデッサで反ネオ・ナチ派の住民が労働者会館で虐殺されている。50名弱が殺されたと伝えられているが、それは上の階で確認された死体の数にすぎず、地下室で惨殺された住民を加えると死者数は120名から130名だと言われている。 ソ連がナチスに勝ったことを記念する戦勝記念日、5月9日にキエフ軍はドネツク州マリウポリ市に突入、住民を殺し始める。戦勝記念日を祝うために街頭へ出ていた人びとを攻撃したのである。 6月2日にはデレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りするが、その日にルガンスクの住宅街が空爆され、住民が殺された。インターネット上にアップロードされた映像を見れば、空爆が行われた可能性は高い。欧州安保協力機構(OSCE)も空爆があったことを認めている。 アメリカ政府はガザでイスラエル軍によるパレスチナ人虐殺を擁護し、ウクライナではネオ・ナチを使ってロシア語を話す住民を殺し、追い出している。そうしたキエフ政権の民族浄化の後ろ盾になっているアメリカ/NATOはロシアとの戦争を辞さない姿勢を見せている。 ポーランドの基地にNATOは兵站を集積しているようだが、フィリップ・ブリードラブNATO欧州連合軍最高司令官/在欧米空軍司令官はそうした兵站基地を作り、電撃作戦に役立てるつもりのようだ。勿論、目標はロシア。 冷戦時に立てた作戦の復活とも見えるが、その前、ナチス時代のドイツが1941年6月に始めた「バルバロッサ作戦」を思い出させる。7月にレニングラード(現在は帝政時代のサンクト・ペテルブルグに戻った)を包囲するが、スターリングラードでソ連は踏みとどまり、反撃に出て1943年にはドイツ軍の侵攻部隊を壊滅させた。 作戦進行中、ポーランドではユダヤ人がドイツ人とポーランド人に虐殺されている。ウクライナ、クロアチア、スロバキア、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニアなどでも似たことが行われた。その当時、ウクライナでユダヤ人を虐殺した中心的な存在がOUNであり、その末裔が現在のネオ・ナチ。アメリカ/NATOが支援している勢力だ。 ドイツのソ連攻撃を眺めていたウィンストン・チャーチル英首相はドイツがソ連に敗北し、1945年5月に降伏したのを受け、今度は自分たちがソ連を奇襲攻撃しようと考える。その命令に基づいて作成されたのが「アンシンカブル作戦」で、ドイツ降伏の2週間後には首相の手元へ提出されている。7月1日に米英軍数十師団とドイツの10師団がソ連を奇襲攻撃するという内容だったが、参謀本部の反対で実現していない。 その後、アメリカの好戦派がソ連に対する先制核攻撃を目論んでいたことは本ブログで何度も書いたこと。ブリードラブの発言にはそうした歴史的な重みがある。あくまでも外交的に問題を解決しようとしているロシア政府をアメリカ/NATOは怖じ気づいていると判断、つけあがり、口が軽くなっているようだ。そのアメリカ/NATOを支持、都合の悪い話は知らない振りをする人間が集団的自衛権に本気で反対しているとは思えない。集団的自衛権の先にはロシアや中国との戦争、あるいは人類の死滅が見える。
2014.07.25
キエフ政権は空中分解し、本格的なナチス体制へ移行するかもしれない。議会でネオ・ナチとコミュニストが連日の乱闘劇(22日、23日)を演じ、アレクサンドル・トゥルチノフ議長は「コミュニスト党」を解散させ、その一方でアルセニー・ヤツェニュク首相が辞任を表明したのだ。コミュニズム思想を禁止する動きも見せている。ちなみに、乱闘の切っ掛けはネオ・ナチの「スボボダ」が「コミュニスト党」のリーダを排除するように求めたことから始まったという。ナチスと同じことを始めている。 辞任を表明したヤツェニュクは2月にクーデターが山場を迎える前、ビクトリア・ヌランド国務次官補から高く評価されていた。ジェオフリー・パイアット駐ウクライナ大使と「次期政権」の閣僚人事を電話で話し合っている中でそうした発言をしている。実際、クーデター政権で首相代行になり、ペトロ・ポロシェンコが大統領になってからも首相を務めてきた。 ヤツェニュクはトゥルチノフと同じように「祖国」のメンバー。この政党はオリガルヒ(一種の政商)のひとりで2007年から10年まで首相だったユリア・ティモシェンコが創設した。ティモシェンコが首相だった当時の大統領は「オレンジ革命」で実権を握ったビクトル・ユシチェンコ。 この革命では学生が前面に出たが、その学生を背後から支援していたのがアメリカ国務省、CIAと関係が深いUSAID、欧米支配層の利害調整機関と言われているビルダーバーグ・グループ、投機家として有名なジョージ・ソロスのオープン・ソサエティなど。ユシチェンコのスポンサーとして、ボリス・エリツィン時代のロシアで不公正な手段を使って巨万の富を築いた「オリガルヒ」のボリス・ベレゾフスキーの名前も挙がっている。つまり、ヤツェニュク、トゥルチノフ、ティモシェンコは「西側」の巨大資本につながる人脈だ。 それに対し、マレーシア航空17便の撃墜は内務省が実行したとも言われている。アルセン・アバコフ内相とドニエプロペトロフスクのイゴール・コロモイスキー知事の人脈、つまり5月2日にオデッサで反ネオ・ナチ派の住民120名から130名を労働会館で虐殺した黒幕と考えられているグループだ。 虐殺の10日前、つまりジョー・バイデン米副大統領がキエフ入りした日にオデッサでの作戦を話し合ったとされている会議の出席者の中にアバコフは含まれ、オブザーバーとしてコロモイスキーも参加していたという。そのほかの出席者はアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行、バレンティン・ナリバイチェンコSBU長官代行、そしてアンドレイ・パルビー国家安全保障国防会議議長代行。パルビーは2月のクーデターを広場で指揮、狙撃の責任者でもある。 パルビーが率いるネオ・ナチの勢力は2004年からバルト3国に設置されたNATOの訓練施設で軍事訓練を受け、13年9月にはポーランド外務省がクーデター派の86人を大学の交換学生を装って招待、ワルシャワ郊外にある警察の訓練センターで4週間にわたり、暴動の訓練をしたという。パルビーはクーデターの際、アメリカの特殊部隊と接触していたとする情報もある。 クーデターからウクライナの東部や南部での「民族浄化」作戦を実行させている黒幕はコロモイスキーだと言われている。イスラエル系のオリガルヒ(一種の政商)で、私兵集団4部隊を組織している。 アゾフという約200名の武装集団は早い段階から名前が出ていたが、それ以外にアイダル、ドンバス、そして2000名規模だというドニエプルという部隊が存在しているようで、しかもこうした私兵集団は問題のブーク防空システムを保有しているとする情報も流れている。この集団がオデッサの虐殺で主力だったともいう。 コロモイスキーが知事として赴任する際、アメリカの傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員を連れて行ったと報道されている。護衛だけでなく、その会社の戦闘員約400名がウクライナ東部の制圧作戦に参加しているともいう。傭兵会社には「元特殊部隊員」が戦闘員として雇われている。形式上は民間企業が派遣したことになるが、実際はアメリカが特殊部隊を送り込んだに等しい。 それ以外に、アメリカ政府はCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込んだと報道されているが、ここにきてアメリカの国防総省は戦略と政策の専門家チームをキエフへ数週間以内に派遣すると発表した。それだけキエフ軍が苦戦しているということ。最初から正規軍の内部にはネオ・ナチを拒否する動きがあり、治安機関も崩壊状態だ。それを補うため、ネオ・ナチを中心に6万人規模の「親衛隊」を創設、傭兵を雇っているが、それでは追いつかないということだろう。アメリカ/NATOの直接的な軍事介入も視野に入れている可能性は高く、そのためにはMH-17の撃墜は「西側」の好戦派にとって「願ってもないこと」だ。オランダ最大の新聞、テレグラーフ紙は公然とNATOの軍事介入を求めている。 そのオランダへMH-17の「ブラックボックス」が渡されたという。内容を分析するというのだが、EUの中でもロシアとの戦争に最も前向きな国のひとつが選ばれたわけだ。中身の改竄が問題になるのはこれからである。反ネオ・ナチ軍が改竄すると疑う人がいたとするならば、相当の「アメリカ信奉者」。アメリカの「お告げ」は全て信じるタイプだ。
2014.07.24
ロシア政府もアメリカ政府もマレーシア航空MH17に何が起こったのかを知っているはずだ。両国には強力な情報機関が存在し、通信を傍受しているだけでなく、衛星を使って宇宙から下の様子を監視している。その情報の一部をロシア国防省は7月20日に記者会見で明らかにしたが、それ以上のデータをEUへ22日に手渡したという。シリアの場合と似た手法だ。 アメリカ/NATOはリビアのムアンマル・アル・カダフィ政権を倒したのに続き、シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒そうとした。リビアで使ったアル・カイダ(イスラム教スンニ派の傭兵集団)の部隊をシリアへ移動させ、軍事支援を強化しているが、それだけでは足りず、自らが軍事介入しようとする。特殊部隊を潜入させてはいたが、リビアのように空爆しなければ目的を達成できないからだ。 すでに「住民弾圧」というプロパガンダは崩れていたので、昨年3月から「化学兵器の使用」を軍事介入の口実に使おうとしている。イラクの「大量破壊兵器」と同じように嘘だということは早い段階から指摘されている。 素早くアサド政府がアル・カイダの化学兵器使用を指摘、ロシアも懸念を表明しているが、それだけでなく、イスラエルのハーレツ紙は攻撃目標が政府軍の検問所であり、死亡したのはシリア軍の兵士だということ、また症状から見て使われたのは塩素ガスの可能性が高く、反シリア軍も簡単に手に入るということを指摘、政府軍が化学兵器を使ったという「西側」の宣伝に疑問を表明した。さらに、国連独立調査委員会のメンバー、カーラ・デル・ポンテも反政府軍が化学兵器を使った疑い濃厚だと発言、政府軍が使用したとする証拠は見つかっていないと語る。 こうした展開になったため、3月の「化学兵器キャンペーン」は失敗に終わるのだが、8月に再びキャンペーンを始める。ダマスカス近郊のグータが化学兵器で攻撃され、その責任がシリア政府にあることは確かだとアメリカ政府は叫び始めるのだが、このときも証拠は示していない。ただ、「西側」の政府やマスコミがアメリカ政府の「お告げ」に従ってシリア政府批判を叫んだだけである。 このキャンペーンを挫折させたのはロシア政府の情報提供だったと見られている。ビタリー・チュルキン国連大使が文書と衛星写真を国連メンバー国に示し、反シリア政府軍が支配しているドーマから2発のミサイルが発射され、毒ガス攻撃を受けたとされるゴータで着弾していると説明したというのだ。 その後もアメリカの政府やメディアは政府軍がサリンを使ったと断続的に叫ぶのだが、それに対し、サウジアラビアがヨルダン経由で送り込んだ秘密工作チームだという情報が「ロシア外交筋」から流れてくる。この作戦はサウジアラビア系のイスラム武装勢力、リワ・アル・イスラムが支援したという。 サウジアラビアが化学兵器使用の黒幕だとする情報は、8月29日にミントプレスが伝えていた。記者に圧力がかかって執筆を否定する談話を発表するが、編集長が反論、記者との遣り取りは記録されているとしている。記者からの再反論はなかった。 シリア政府が化学兵器を使ったというキャンペーンをアメリカが続けると、アメリカとイスラエルとともに「三国同盟」を形成しているサウジアラビアが厳しい状況に追い詰められる展開になったわけだ。 それでも「西側」はシリアをミサイルや航空機で攻撃すると強気な姿勢を見せる中、地中海からシリアへ向かってミサイルを発射される。ところが、そのミサイルは海中へ落下してシリアへ届かなかった。イスラエルの「発射実験」だという発表があったが、ロシアかシリアのジャミングで落とされたのではないかとも言われている。 この間、7月31日にサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官はロシアを訪問し、シリアから手を引く代償として150億ドルのロシア製兵器を購入するが、アサド体制の打倒を妨害するならソチでのオリンピックに武装集団(アル・カイダ)を送り込むと脅したと言われている。(オリンピックを利用してウクライナのクーデターが始められた。) その後、スルタンがアル・カイダを動かしていることが知られるようになる。一旦、スルタンは総合情報庁長官を退き、アブドゥル・ラーマン・アル・ファイサルがアル・カイダ系のISIS(ISIL、IEILとも表記)を使い、シリアからイラクにかけての油田地帯を制圧しようとしている。ほとぼりが冷めたと判断したのか、現在、スルタンは国王の顧問として復活しているとする情報も流れている。 アメリカ政府がシリアに対する直接的な軍事介入を諦めた後、ロシア政府と話し合いで問題を解決する姿勢を見せた。ところが、ウクライナでネオコン/好戦派がネオ・ナチを使ってクーデターを実行した後、バラク・オバマ政権はネオコン/好戦派に引きずられてロシアとの戦争へ向かった進み始める。そしてMH17の撃墜に至るのだが、ここでロシアはシリアの時と同じように裏で情報を各国政府へ示し、外交的に問題を解決しようと試みている。それに対してアメリカやEUがどのように反応するかで人類の運命が決まるかもしれない。
2014.07.23

7月17日にウクライナの東部、ドネツクの近くにおけるマレーシア航空17便撃墜でアメリカ政府はロシア政府を激しく批判してきたのだが、ロシア国防省の記者会見後、一気にトーンダウンした。ロシアが撃墜に関与した証拠はなく、「親ロシア派」、つまり反ファシスト派が「間違って」ミサイルを発射したという情報を流し始めたのだ。 アメリカ国務省の記者会見ではAPの記者から主張の根拠となっている証拠を示すように求められ、アメリカ政府が持っている証拠を開示する権限がないと逃げる一方、「ソーシャル・メディア」と口にした。しかも、偽造が明確になった音声も根拠として挙げている。 さらに、2002年から03年の初めにかけて、つまりイラクを先制攻撃する前にアメリカはプロパガンダと人を欺く情報を発信していたと指摘されると、「歴史的な推論」と広報担当官は茶化す。そこでAPの記者はキューバを舞台とした1962年のミサイル危機を引き合いに出し、アドレイ・スティーブンソン国連大使はU2偵察機が撮影した画像を国連で示したと指摘、情報の開示を即したが、出てくるのは写真に「お絵描き」した代物。 全人類の通話を盗聴しようとしている監視国家のアメリカ。言うまでもなく、少なからぬスパイ衛星も飛ばして、情報収集能力は1962年当時とは比較にならないほど強化されている。MH17が撃墜されたとき、アメリカのスパイ衛星がウクライナ東部の上空にいたともロシア国防省は指摘している。 1980年代、APの記者だった当時、CIAの支援を受けたニカラグアの反政府ゲリラ「コントラ」の麻薬取引を明るみに出したジャーナリスト、ロバート・パリーはCIA内部からの情報として、CIAが持っている写真には、ウクライナ軍の制服を着た兵士がブーク防空システムのミサイルを発射、MH17を撃墜する様子が写っているとしている。 おそらく、CIAの内部にはロシアとの核戦争を厭わない好戦派に危機感を持つ人もいる少なくないはずで、パリーの記事を頭から否定すると強い反発もありえる。それでなのか、ここにきてアメリカ政府は「ウクライナ軍からの離脱者」がバーク防空システムを操作したという話を流し始めたようだ。 1991年にアメリカ軍がイラクへ軍事侵攻した際、ソ連軍は動かなかった。2003年にイラクを先制攻撃した際、ロシア軍は動かなかった。アメリカ軍の前に怖じ気づいたとネオコン/好戦派は考えたようで、今回も脅せばロシアはひるんで動けないと判断したようだが、目算は外れた。また、旅客機を撃墜してもロシアは大韓航空007便のときのように軍事情報は公開したいと踏んでいたのかもしれないが、衛星写真も公開した。 アメリカが「唯一の超大国」として世界を制圧するという「予定説」に取り憑かれているらしいネオコン。彼らは「偏差値秀才」が多いようで、過去のことは覚えているのだろうが、先を読む力はない。しかも映画やゲームと現実の区別がついていないようだ。この点はロナルド・レーガンと似ている。人類は非常に危険な状況の中にいるということだ。
2014.07.23
アメリカ政府もロシア政府も過去の失敗から学んでいる。 アメリカはイラクを侵略する際、「大量破壊兵器」とは無関係な写真や偽造文書を流して偽情報を信じさせようとしたが、後に嘘を暴かれる一因になってしまった。そこで、シリアの「化学兵器」でもウクライナでも自分たちは「証拠」を出そうとしない。 ロシアは大韓航空007便事件の際、軍事情報を隠してアメリカが展開したプロパガンダに反撃できなかった。そこでシリアでもウクライナでも情報を開示しようとし、国際的で公正な調査を要求している。 これでは情報戦でアメリカが負けてしまいそうだが、「西側」の支配層は強力な武器を持っている。言うまでもなくメディアだ。「西側」のメディアはアメリカ大統領の「お告げ」を最大限の音量で伝えるが、ロシア側が示す証拠、主張は無視、あるいは軽視する。それだけでなく、「お告げ」に徹するアメリカ政府に替わって怪しげな情報を流してもいる。日本のマスコミはロシアや反ファシスト軍が撃墜に関する調査を妨害しているかのように伝えている。「かのように」。そう言えば、そんな小説があった。 シリアではダニー・デイエムなるイギリス人が偽情報を発信、外国勢力の介入を求める発言を続けていたが、それをアメリカのCNNやイギリスのBBCといった有力メディアは垂れ流していた。自分たちで取材したとして報道すれば自分たちの責任になるが、証言という形をとることで責任を回避しようとしたように見える。政府は無関係を装える。ところが、2012年3月に「シリア軍の攻撃」をダニーや仲間が演出する様子を移した映像が流出、CNNやBBCの報道内容は嘘だということが明らかになってしまう。 このほかにも「西側」のメディアは偽情報を流し続けていたため、現地を調査した東方カトリックの修道院長は「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている。」と語っている。 ウクライナでも「西側」のメディアは戦意高揚のためにプロパガンダを続けている。アメリカ/NATOを後ろ盾とし、クーデターを経て登場したキエフ政権の主張を一方的に流してきたが、最近ではイギリスのデイリー・メール紙がブーク防空システムをロシアへ運ぶところだという写真を掲載している。 信頼度が不明の「ドライバー」が撮影したというものだが、すぐに場所が新聞の説明と違うという話が出てきた。風景、看板などで場所からドネツク州のクラスノアルメイスクであり、キエフ軍が支配している地域だと指摘されたのだ。 7月4日にAPはキエフ軍がドネツク州のスラビヤンスクからブーク防空システムを移動させている様子を撮影した写真を配信、この地域に問題のミサイルが存在していたことは間違いない。撃墜の当日、3から4基のブーク防空システムをルガンスクから8キロメートルの地点にキエフ軍は配備していたとロシア国防省は写真付きで主張している。 反ファシスト軍の交信と称する録音(英語版、ロシア語版)の場合、いくつかの無関係な会話をつなげたものだということする解析結果が明らかにされている。会話の中に出てくる地名は撃墜現場から100キロメートルほど離れた場所であり、作成されたのは事故の前日だという指摘もある。 ところで、ブークが運び出されたスラビャンスクには十数万人が生活していた。その住民はキエフ軍の攻撃を避けて約4分の3が避難、その多くがロシアで難民生活を送り、残った住民はキエフ軍に監視されながら生活している。そのキエフ軍に案内されたのであろう、日本の新聞記者は街の様子を見て「復興進み、活気取り戻す」と表現している。 そうした日本のマスコミだが、彼らも過去から学んでいる。「権威」の「お告げ」を民衆へ伝達することで安穏な生活を確保していた戦前戦中の記者たち。敗戦で「権威」が崩壊しても責任は問われず、すぐに「権威」は復活し、それまでと同じように「お告げ」を伝え続けてきた。「原子力神話」を広めた責任も問われずにすんだ。権力を批判しても碌なことにはならない、長い物には巻かれた方が得・・・と彼らは学習したのだろう。
2014.07.22

ロシア国防省は7月21日に記者会見を開き、マレーシア航空17便の撃墜について情報を開示した。キエフのボリスピリ国際空港の管制官がスペイン語で行っていたツイッターとされているもの、あるいは現地住民の証言で旅客機のそばを戦闘機が飛行していたと言われていたが、ロシア政府もこの事実を確認した。MH17と同じコースを同じ高度で近接航空支援機のSu-25が飛行していたと映像を交えて説明している。この戦闘機と旅客機との距離は3から5キロメートルだったという。 撃墜に使われたと言われているブーク防空システムをロシアから運び込み、撃墜後に戻したとキエフの治安当局は主張している。同じ政権のビタリー・ヤレマ検事総長は軍からの情報として反キエフ軍がこうしたミサイルを奪取したことはないと発表しているので、そう言わざるをえないのだが、それを裏付ける証拠をキエフ政権もアメリカ政府も提示していない。 それに対し、7月4日にAPはキエフ軍がスラビヤンスクからブークを移動させている様子を撮影した写真を配信している。キエフ軍が制圧作戦にブーク防空システムを持ち込んでいることは間違いない。撃墜の当日、3から4基のブーク防空システムをルガンスクから8キロメートルの地点にキエフ軍は配備していたとロシア国防省は写真付きで主張している。(AP /Dmitry Lovetsky) 前回も書いたように、MH17が撃墜されるまでの10日間、NATO軍は黒海で軍事演習「ブリーズ2014」を実施、アメリカ海軍のイージス艦「ベラ・ガルフ」、AWACS(早期警戒管制機)の「E-3」、電子戦機の「EA-18G」がMH17の動きもモニター、航路を逸脱してミサイルに撃墜される様子を見ていたはず。見えていなければ、別の意味で大問題だ。 この撃墜が1983年の大韓航空007便の事件を似ているとしたうえで、ロシアを攻撃している「西側メディア」もあるようだ。1983年当時も「西側メディア」は事実関係が明確でない段階で大々的な「反ソ連キャンペーン」を展開、ソ連にダメージを与えたが、その後の調査でアメリカ政府が示した情報が正しくないことが判明、アメリカ軍の中枢が関係した計画的な領空侵犯だった可能性が高くなっている。この事件を持ち出すこと自体、好戦派は追い詰められていることを示している。過去の「成功体験」にすがったのだ。 実は、KAL007の前にも胡散臭い出来事が続いていた。例えば1982年10月にスウェーデン領海へ国籍不明の潜水艦が侵入、結局逃げられて正体は不明だったのだが、ソ連の潜水艦だというキャンペーンが展開された。その侵入事件はアメリカに批判的だったオルオフ・パルメが首相に就任する1週間前だったが、スウェーデンの対ソ連感情は劇的に悪化し、パルメの手足を縛ることになる。なお、パルメは1986年2月、射殺されている。 潜水艦騒動の直後、日本では1982年11月に中曽根康弘が首相に就任、翌年の1月にアメリカを訪問、ワシントン・ポスト紙のインタビューで日本を「巨大空母」と表現、さらに4海峡を封鎖してソ連の艦船を封じ込めると語り、ソ連を挑発した。 その発言から3カ月後、アメリカ海軍は千島列島エトロフ島の沖で大艦隊演習「フリーテックス83」を実施、3空母を中心とする機動部隊群が集結、艦載機がエトロフ島に仮想攻撃をしかけ、志発島の上空に侵入して対地攻撃訓練を繰り返したと言われている。この危険な出来事を日本のマスコミは無視、香港の英字週刊誌から嘲笑されている。 そして1983年11月、NATOは核攻撃のシミュレーションを含む軍事演習「エイブル・アーチャー83」を予定していた。ソ連は実際にNATOが全面核戦争を仕掛けてくるのではないかと疑い、応戦体制に入っている。 メディアには「優秀な人材」が揃っているようなので、KAL007を持ち出す意味もよく理解しているだろう。
2014.07.21
7月7日から17日にかけて、つまりマレーシア航空17便がウクライナ東部の交戦地帯上空で撃墜された日までNATOは黒海で軍事演習「ブリーズ2014」を実施、この「偶然」が注目されている。 演習にはアメリカ海軍のイージス艦「ベラ・ガルフ」、AWACS(早期警戒管制機)の「E-3」、電子戦機の「EA-18G」も参加、民間機も監視していたはず。当然、MH17の動きもモニター、MH17が航路を逸脱してミサイルに撃墜される様子を黙って見ていたことになる。 現在、アメリカやイギリスでは政府やメディアが撃墜の責任をロシアへ押しつけようと大キャンペーンを張っているが、証拠らしい証拠は提示されていない。反ファシスト軍の交信と称する録音(英語版、ロシア語版)はいくつかの無関係な会話をつなげたものだということする解析結果が明らかにされている。会話の中に出てくる地名は撃墜現場から100キロメートルほど離れた場所であり、作成されたのは事故の前日だという指摘もある。 イージス艦、AWACS、電子戦機だけでなく、アメリカにはスパイ衛星があり、ウクライナを宇宙から監視しつづけているはず。今年春、アメリカ政府はロシア軍がウクライナとの国境近くに4万名程度の部隊を集結させている証拠だとする写真を公表し、ロシア側から昨年8月に行われた軍事演習のときに撮られたものだと反論されると言うことがあった。 今回、アメリカの有力メディアはロシアとの戦争を煽るキャンペーンを続けているが、自国政府に対し、衛星写真など証拠を示せとは求めていない。イラクの「大量破壊兵器」やシリアの「化学兵器」と同じように、戦争を始めるための嘘だと自覚、政府を困らせたくないのだろう。 今回の撃墜はウクライナ内務省が実行したのではないかと疑う人が少なくない。その人脈の中で最も注目されているのがドニエプロペトロフスクのイゴール・コロモイスキー知事だ。イスラエル系のオリガルヒ(一種の政商)で、私兵集団を組織している。 アゾフという約200名の武装集団は早い段階から名前が出ていたが、それ以外にアイダル、ドンバス、そして2000名規模だというドニエプルという部隊が存在しているようで、しかもこうした私兵集団は問題のブーク防空システムを保有しているとする情報も流れている。この集団がオデッサの虐殺で主力だったともいう。 こうした部隊のメンバーは右派セクターから移動していると言われているが、外国の傭兵もいるようだ。今年2月のクーデターでは「元イスラエル兵」の存在が注目されたが、そうした人びと、さらにグルジア、ルーマニア、スウェーデン、ドイツなどからも戦闘員としてウクライナ入りしているという。グルジア出身者はブーク防空システムを操作する訓練を受けているとも言われている。 それ以外に、アメリカ政府はCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、アメリカの傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名がウクライナ東部の制圧作戦に参加しているとも伝えられている。 先日、たまたま「米大統領が明言」という大きな見出しを見た。ウクライナ情勢に関する記事だったようだが、ユーゴスラビアにしろ、アフガニスタンにしろ、イラクにしろ、リビアにしろ、シリアにしろ、ウクライナにしろ、アメリカ大統領が嘘八百を並べて戦争を目論んできたことを編集部は忘れたのか、アメリカ大統領の「お告げ」を伝える役割に徹しているのか・・・。 MH17の撃墜に関し、ロシア政府は国際機関による公正な調査を求めてきた。調査を嫌がっているのはキエフ政権側。現地に調査団が到着するのとタイミングを合わせるかのようにキエフ軍はドネツクへの攻撃を激化させている。 1980年代にニカラグアの反革命ゲリラ「コントラ」の麻薬取引を暴き、有力メディアの世界から追い出されたジャーナリストのロバート・パリーによると、アメリカの情報機関はMH17を撃墜したミサイルが発射される映像を保有、そこにはウクライナ軍の制服を着た兵士が写っているという。現在、「西側」ではブークをロシアから運び、それを持ち帰ったということにされているが、これは大きなシステムで、これを隠して移動することは不可能。
2014.07.21

3名のイスラエル人少年をハマスが殺害したとしてイスラエルはガザに対する本格的な攻撃を開始、占領を目指すとしている。この殺害をハマスは否定、アメリカ/NATOがシリアで軍事支援しているISIS(ISILやIEILとも表記)に忠誠を誓っているグループが「犯行声明」を出した。7月20日までの13日間で殺されたガザの住民は400名に達したと言われているが、「自由と民主主義」を標榜する「西側」のメディアは大して問題にしていない。 ウクライナ東部の戦闘地帯の上空でマレーシア航空17便が撃墜され、乗員乗客298名が死亡したことも大きな出来事だが、扱いは大きく違う。しかも、MH17のケースでは事実を無視、単にロシアや反ファシスト派を攻撃する材料に使っているだけだ。 以前にも書いたように、地中海の東岸には膨大な量の天然ガスが存在している可能性が高く、「アラブの春」を引き金にして始まったリビアからトルコにかけて戦乱の一因だと言われている。ガザの沖にも天然ガスが存在、それをイスラエルは自分の物にしたいというだけでなく、このままだとパレスチナ人に経済力がついてしまうとも恐れているのだろう。 勿論、ガザへの攻撃も「西側」のメディアは一応、報道している。CNNのダイアナ・マグネイもその様子を現地から伝え、その中でイスラエル人がガザ攻撃に喝采している様子を明らかにし、その事実をツイートした際、喝采していたイスラエル人を「くず」だと表現している。 パレスチナ人が同じことをすれば「国際世論」、つまりアメリカのメディアは袋叩きにするが、今回はマグネイが批判された。「くず」という表現が問題にされ、モスクワへ配置換えになったという。 2010年にもイスラエルを批判してメディアの世界から追放された記者がいる。1961年からホワイトハウスを担当していた名物記者のヘレン・トーマスだ。イスラエル人はパレスチナから出て、ドイツ、ポーランド、あるいはアメリカへ行くようにと語ったことが原因だった。 イスラエルはシオニストが暴力的に先住のアラブ系住民を追い出し、つまり「民族浄化」して作られた国。その後も「ユダヤ」を隠れ蓑に使い、パレスチナ人を弾圧、殺戮を繰り返してきた。そこで、家族がナチスのホロコーストを経験したユダヤ人の中には、イスラエルを批判する人がいる。 そうしたひとりがデポール大学で教鞭を執っていたノーマン・フィンケルスタイン。母親はマイダネク強制収容所、父親はアウシュビッツ強制収容所を生き抜いた経歴の持ち主である。本人はイスラエル政府のパレスチナ人弾圧を批判、イスラエルと緊密な関係にある学者や団体と対立してきた。 そのフィンケルスタインをハーバード大学のアラン・ダーショウィッツ教授は激しく攻撃し、彼の著作が世に出ることを阻止するためにカリフォルニア大学出版やカリフォルニア州のアーノルド・シュワルツネッガー知事に働きかけ、大学が終身在職権を与えようとした際には反フィンケルスタインのキャンペーンを数カ月に渡って展開、大学に圧力をかけて彼との雇用契約を打ち切らせてしまった。 ちなみに、イラク、リビア、シリア、イラン、そしてウクライナで体制転覆プロジェクトを推進し、多くの人びとを破壊と殺戮の中に放り込んだネオコンはアメリカの親イスラエル派。ウクライナでもオリガルヒ(一種の政商)の多くはイスラエル系で、最も好戦的でネオ・ナチとも手を組んでいるイゴール・コロモイスキーもイスラエル系だ。
2014.07.20
アメリカの好戦派が関係する大きな出来事には「奇妙な偶然」がしばしば伴う。そのひとつが月日の一致だ。マレーシア航空17便の撃墜でそうした偶然を思い出した人が少なくないようだ。 例えば2001年9月11日、アメリカのウォール街にそびえていた高層ビルへ航空機が突入し、同時にバージニア州にある国防総省の本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されているのだが、その28年前の9月11日にはCIAの支援を受けたオーグスト・ピノチェトが合法的に選ばれたサルバドール・アジェンデ政権を軍事クーデターで倒している。 航空機が突入したのは世界貿易センターのサウス・タワーとノース・タワー。ぶつかったのは軽量化された航空機でダメージは小さく、燃料もすぐに燃え尽きて温度が鉄骨を溶かすほど上昇しなかったはずだが、「爆破解体」されたように崩れ落ちている。しかも、その5、6時間後に7号館も「爆破解体」されたように崩壊した。 ピノチェトのクーデターは新自由主義が世界に広がる切っ掛けになっている。アジェンデ政権を崩壊させ、巨大資本に批判的な人びとを抹殺してから乗り込んだのが、シカゴ大学のミルトン・フリードマン教授やアーノルド・ハーバーガー教授といった経済学者の弟子たちだ。 そして今回、7月17日にマレーシア航空のMH17、ボーイング777がウクライナ東部、ドネツクの近くで撃墜された。この旅客機の初飛行は1997年7月17日だという。その初飛行の前年、そしてオクラホマ州の連邦政府ビルが爆破されて日本の地下鉄でサリンがまかれた翌年、つまり1996年の7月17日にニューヨークの沖でTWA800が墜落している。 放電が原因で燃料タンクが爆発したことになっているが、ミサイルで撃墜されたと推測している人は少なくない。複数の目撃者がミサイルで撃ち落とされたことをうかがわせる証言をしているのだ。ピエール・サリンジャー元上院議員などは演習中のアメリカ軍の艦船が誤ってミサイルを発射したと主張、ロングアイランド沖で演習していた3隻の潜水艦が誤ってミサイルを発射して旅客機を撃ち落としたとする情報も流れているが、その一方、アメリカ軍内部ではイスラム武装勢力が実行したとする説が唱えられている。(アル・カイダは傭兵集団で、CIAが訓練、サウジアラビアが雇ってきた歴史がある。) ちなみに、ある種の人びとにとって「7」は神聖な数字らしい。
2014.07.20
マレーシア航空MH17の撃墜に関し、アメリカ政府やその傀儡人脈は必死に反ファシスト勢力とロシアを批判しているが、根拠は薄弱。AN-26輸送機を撃墜した話をMH17について語っているかの如く伝えるなど、偽情報を流している。出てくる情報は撃墜の実行者はキエフのファシスト勢力とアメリカだということを強く示唆している。この容疑者たちが発信している情報を垂れ流しているマスコミがあるとするならば、無能なのか悪辣なのかはともかく、救いがたいことは間違いない。 航路を逸脱して戦闘地域の上空をなぜ飛行したのかという問題、数分前までキエフ側の戦闘機がエスコートしていた疑いが濃厚で、何をしていたのかといった問題もあるが、それよりも重要なことは、3万3000フィート(約1万メートル)という高度まで届くミサイルを誰が持っているのかということだ。蛇足ながら付け加えると、「ロシア製」ということは何の意味もない。ウクライナ軍は基本的にロシア/ソ連製の武器を使っている。 ロシア製のミサイルでMH17を撃墜できるのは、事実上、ブーク防空システムか地対空ミサイルのS-300(NATOはSA-10と呼んでいる)しかない。キエフ政権のビタリー・ヤレマ検事総長は軍からの情報として、反キエフ軍がこうしたミサイルを奪取したことはないと発表、この事実はペトロ・ポロシェンコ大統領に報告済みだと伝えられている。 ウクライナの東部や南部での民族浄化作戦の黒幕と言われているドニエプロペトロフスクのイゴール・コロモイスキー知事はポロシェンコ大統領と対立関係にあるようだが、今回はコロモイスキーの人脈に疑いの目が向けられている。 そこにはオデッサの虐殺を計画したアレクサンドル・トゥルチノフ、アルセン・アバコフ、バレンティン・ナリバイチェンコ、アンドレイ・パルビーも含まれている。このメンバーはジョー・バイデン米副大統領のキエフ訪問にタイミングを合わせ、5月22日頃に会議を開いて虐殺の手順を決めた。 今回の撃墜は内務省が主導したとする情報もあるが、それが正しいなら責任者はアバコフ内相ということになる。ネオ・ナチを動かしているのもこの人脈で、その背後にはアメリカ/NATOの好戦派が存在、軍事訓練も実施してきた。 すでに「ドル離れ」も始めているBRICSは先日、ブラジルで首脳会議を開催、IMFに替わる「開発銀行」を設立する動きを明確にした。日本ではこうした決定を揶揄する報道をしていたようだが、実際のところ、アメリカ支配層にとっては深刻な事態。あらゆる手段を講じて潰しに来ることが予想されていた。「アメリカ帝国」は崩壊の瀬戸際にある。 アメリカ(ネオコン)、イスラエル、サウジアラビアの「三国同盟」はシリアの体制転覆に失敗、ネオコン主導で進められているウクライナでのプロジェクトも思惑通りに進んでいない。軍事力を前面に出せばロシアは恐れをなして手を出さず、クリミアを含むウクライナ全域を簡単に制圧できると思っていたのだろうが、住民の強い反発もあってうまくいかなかった。ロシアを挑発して軍隊を誘い込み、メディアを動員して孤立させ、NATOで軍事的に粉砕しようとしたらしいが、これはロシアが挑発に乗らず失敗した。アメリカの好戦派はロシアの軍事力を見誤っており、最悪の場合は全面核戦争で人類は死滅する。そのことにEUの一部も気づいてきた。 今回の撃墜劇は過去に行われた作戦の焼き直しにしか見えない。基本は1960年代の前半にライマン・レムニッツァー統合参謀本部議長やカーティス・ルメイ空軍参謀長のような強硬派が計画した「ノースウッズ作戦」だろう。1983年に大韓航空007便が大幅に航路を逸脱、最終的にサハリンで撃墜されたと言われている(不可解な点があり、断定はできない)が、この時の手法を今回、アメリカ政府は真似しているように見える。思惑が外れて行き詰まり、苦し紛れに過去の作戦を使った疑いがある。 こうしたアメリカに従属、自衛隊をアメリカ軍の下請けにしようというのが集団的自衛権。「自衛」という名目でアメリカの侵略戦争へ荷担させられることになると本ブログでは何度も書いている。これまで日本をアメリカの戦争システムへ組み込む動きに反対するどころか同調していたにもかかわらず、最終局面であたかも集団的自衛権に反対しているかのようなポーズをとっているマスコミも存在するが、実際にアメリカが侵略を始めれば自らが先頭に立って国民を煽ることを今回の事件は明らかにした。
2014.07.19

マレーシア航空MH17がドネツクの近くで撃墜される2、3分前まで2機のウクライナ空軍に所属する戦闘機がエスコートしていたとする情報がある。キエフのボリスピリ国際空港の管制官がスペイン語で行っていたツイッター(すでに削除されている)とされる会話の中でそう語られているほか、ドネツクの住民も同じように主張している。この戦闘機が何をしていたかを知っていたのは国防相でなく内務相で、キエフ軍が撃墜したことを軍もわかっているが、誰が命令したのかは知らないともいう。 撃墜された旅客機が航路を大きく逸脱していたことも注目されている。戦闘機に強制されたのか、事前の打ち合わせがあったのかは不明だが、通常のコースを飛んでいなかったことは確かなようだ。 本ブログでは何度か書いていることだが、ウクライナ軍の内部にはネオ・ナチのクーデターを受け入れられない将兵も少なくないようで、キエフ政権は信頼し切れていない。そこで6万人規模の国家警備軍(親衛隊)を編成することにし、議会も承認した。そのメンバーはネオ・ナチが主体。この軍事組織にアメリカの傭兵会社から派遣された戦闘員が加わり、「内務省の軍隊」として機能している可能性がある。 5月2日にはオデッサで反ファシスト派の住民が虐殺されているが、その10日前にキエフで会議が開かれ、オデッサでの作戦計画が練られている。出席者は、アレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行、アルセン・アバコフ内相代行、バレンティン・ナリバイチェンコSBU長官代行、アンドレイ・パルビー国家安全保障国防会議議長代行。オブザーバーとしてドニエプロペトロフスクのイゴール・コロモイスキー知事も参加して意見を述べている。 トゥルチノフはユリア・ティモシェンコ元首相の政党「祖国」に所属、つまり「西側」の巨大資本に従属、ビクトリア・ヌランド国務次官補の指揮下にある。アバコフはオリガルヒのひとりで、不正な手段で土地を手に入れたとしてビクトル・ヤヌコビッチ政権時代にはイタリアへ逃げていた。内務大臣に就任するとネオ・ナチと衝突したベルクト(警官隊)を解散させている。 ナリバイチェンコはSBUの第1副長官時代からCIAの命令に従って動いて入る人物。パルビーは1991年にネオ・ナチの「ウクライナ社会ナショナル党(後のスボボダ)」を創設したひとり。キエフのクーデターを指揮、警官や市民に対する狙撃も命令し、アメリカの特殊部隊と接触していたとも言われている。 オブザーバーとして参加していたコロモイスキーはイスラエル系のオリガルヒで、赴任先へアメリカの傭兵を引き連れて乗り込んだ。ウクライナにおける民族浄化の黒幕だと見なされている。 コロモイスキーは今年4月、私兵集団としてアゾフを設立した。メンバーは200名ほどで、右派セクターの中から流れてきたという。その約半数は犯罪歴があり、6月14日にキエフのロシア大使館を襲撃したグループの中心はアゾフだったとされている。東部での制圧作戦にもこの団体は参加、非武装の住民殺害にも加わっている。 管制官のツイッターが事実ならこのグループが旅客機撃墜の黒幕で、アメリカのネオコン、CIA、特殊部隊が関係していると見なければならない。ペトロ・ポロシェンコ大統領と無関係に動いている可能性もある。
2014.07.18
ウクライナ東部、ドネツクの近くでマレーシア航空のMH 17が撃墜されたようだが、なぜウクライナの上空を飛行していたのかという疑問を投げかけている人もいる。言うまでもなくウクライナでは戦闘が続いているわけで、危険な場所。アメリカのFAA(連邦航空局)は同国の飛行関係者に対し、この空域での飛行禁止を通告しているようだ。 マレーシア航空機もそうした事情を知っていただろうが、ひとつの可能性として、飛行高度が3万3000フィート(約1万メートル)と高いため、大丈夫だと判断していたということが考えられる。キエフ側と戦っている住民側の戦闘集団が保有している携帯用の防空システムは5000フィートから1万フィート(1500から3000メートル)が限界だからだ。そこでブーク防空システムが使われたという説が出てくるのだが、そうなると16日にドネツクの周辺へこれを配備したキエフ側が怪しいと言うことになる。 ちなみに、9K37ブークは高度1万5000から2万2000メートル以内の航空機を追跡できる。9K33オサーは有効射高が最大で5000メートルのようで、今回のケースでは排除してよさそうだ。 1988年7月に米海軍のイージス艦「ビンセンス」がイラン航空655便をミサイルで撃墜した事件を思い出した人もいるようだ。この時、655便は通常の航路を飛行していた。この撃墜はアメリカ側のミスだったのだろうが、そうしたミスで民間機を撃墜することはありえるということでもある。この撃墜で日本を含む「西側」のメディアはアメリカに対してきわめて寛容だった。 ただ、今回のケースは故意だった可能性も小さくない。前回も書いたように、MH 17とほぼ同じルートを40分弱の差でウラジミール・プーチン露大統領を乗せた航空機が飛行していたようで、民間機は飛行していないという思い込んでいた人たちがモスクワへ戻る途中のプーチンを乗せた航空機と間違えて撃墜したのではないか、ということだ。
2014.07.18
またマレーシア航空機が消えた。今回は7月17日にウクライナの東部で乗客280名、乗員15名を乗せたMH 17がドネツクの近くで撃墜されたと伝えられている。キエフ側の制圧軍も住民側の自衛軍も相手が撃ち落としたとしているようだが、詳細は不明。Buk防空システムで撃ち落とされたする情報が正しければ、住民側はこのシステムを持っていないと言われ、16日にドネツクの周辺へこれを配備したキエフ側が怪しいということになる。 MH 17とほぼ同じルートを40分弱の差でウラジミール・プーチン露大統領を乗せた航空機が飛行していたとする話が流れている。ブラジルでの会議を終え、モスクワへ戻る途中だった。プーチンを乗せた航空機と間違えて撃墜したのだとすると、事態は深刻である。ロシアを戦争へ引きずり込むため、最終手段を講じた可能性があるということだ。 かつて、大韓航空の航空機も航路を大幅に逸脱してソ連領へ侵入、重要な軍事基地の上空を飛行して米ソの緊張を高めたことがある。1978年4月に重要な軍港があるムルマンスクへKAL 902が侵入、ソ連側の警告を無視して飛行したこともあり、攻撃されて強制着陸させられている。また1983年8月31日から9月1日にかけてKAL 007がやはり航路を大幅に逸脱、アメリカが設定した緩衝空域と飛行禁止空域を横断、カムチャツカの上空を飛行した後、サハリンで撃墜されたと言われている。この時もソ連の重要な軍事施設の上空を飛行した。 KAL 007の場合、緩衝空域と飛行禁止空域を飛行しているので、NORAD(北米大陸防空総軍司令部)の規定によると、すぐに航空機と接触を試み、FAA(連邦航空局)へ連絡しなければならないのだが、そうしたことは行われていない。NORADの担当官が怠慢だったのか、事前に飛行許可を受けていたということになる。担当官が処罰されたという話を聞かないので、後者だった可能性が高いだろう。 カムチャツカに近づいた時点でKAL 007はソ連防空軍の早期警戒管制レーダーに捕捉されているが、そのときにアメリカ軍の戦略偵察機RC135が近くを飛行していた。領空侵犯の4分後から9分の間、ソ連軍がKAL 007を見失っていることも判明している。 KAL 007がサハリンに接近すると、ソ連軍が複数の迎撃機を発進させた。記録によると、そのときにコックピットでは次のような会話があった: 18時4分:税関を通過するのは、かなり複雑なことになりそうだ。 18時5分:まだ向かい風を受けている。 (18時11分にソ連防空軍の司令部は迎撃機に対し、ロックオン・モードにセットするよう命令。) 18時11分:ドルから韓国の通貨にするのは大丈夫。 (当時、韓国ではウォンをドルに替える際には制限があり、韓国人のクルーならドルのまま持っているのが自然。また、007便の到着予定時刻に金浦空港で通貨の交換はできない。) 18時13分に迎撃機は司令部に対し、ターゲットが呼びかけに応じないと報告、15分には司令部はターゲットと迎撃機がスクリーンから消えたと発言した。そして17分に撃墜命令が出るのだが、19分には強制着陸させるように命令、迎撃機はロックオンを解除して警告のために銃撃する。 21分にミサイルの発射が命令されるが、22分に再びスクリーン上から航空機が消えてしまう。23分に司令部は銃撃での破壊を命令、迎撃機からミサイルを発射すると伝え、26分にターゲットを破壊した報告。その後、ターゲットは右へ螺旋を描きながら降下していると迎撃機のパイロットは報告しているが、レーダーの記録では左へ旋回している。 ソ連軍戦闘機のパイロットが「即座に撃墜せよ」との命令に背いて威嚇銃撃をしていたとしている人もいるようだが、これは公表された記録に反している。 また、1987年11月にはバグダッドからソウルへ向かっていたKAL 858がインド洋の上空で消えている。朝鮮の工作員が爆破したことになっているのだが、「朝鮮ならやりかねない」ということで納得した人が多く、真相が明らかになったとは言い難い。 このケースと近い場所でマレーシア航空機(MH 370)が3月8日から行方不明になっている。インド洋で墜落したということになっているが、その痕跡はなく、ディエゴ・ガルシアへ降りたのではないかと推測する人は少なくない。ディエゴ・ガルシアはインド洋に浮かぶ島で、イギリスが所有しているが、実態はアメリカの重要な軍事基地だ。 航空機の絡んだ事件で忘れてならないのはアメリカの好戦派が1960年代の前半に作成した「ノースウッズ作戦」。キューバへアメリカ軍を侵攻させるため、アメリカの諸都市などで「偽装テロ」を実行、最終的には無線操縦の旅客機をキューバ近くで自爆させ、キューバ軍に撃墜されたように見せかけて「反撃」という形で軍事侵攻しようという「偽旗作戦」だ。この作戦はジョン・F・ケネディ大統領によって阻止されている。
2014.07.17
九州電力の川内原発1、2号機の安全対策は「新規制基準」を満たしているとする「審査書案」を原子力規制委員会はまとめ、それを受けて安倍晋三政権は再稼働させるのだという。東京電力の福島第一原発が事故で原子炉が破壊され、収束の見込みは立たず、大量の放射性物質を出し続けている中での判断だ。 規制委員会も政府も再稼働が無謀だと考えているようで、委員会は「稼働させるかどうかには関与しない」と逃げ、政府は「稼働させる政治判断はしない」という立場。再稼働の判断は電力会社と立地自治体に委ねるということだろうが、福島第一原発で政府は電力会社の責任を問わず、尻ぬぐいを国民に押しつけている。政府や規制委員会は自分たち責任をとろうとせず、電力会社の責任は問わず、問わせないという仕組みだ。 原発利権の甘い汁をたっぷり吸ってきたマスコミはこの責任回避の仕組みを擁護、国民も強くは反対しなかった。その経験から「エリート」たちは学び、無責任な原発再稼働を決断したのだろう。東電が責任をとらされていたなら、このシステムは機能しない。 もっとも、日本の「エリート」だけが無責任なわけではない。日本で原発の危険性を認めたなら、「エリート」は利権を失い、責任を問われることになるが、それだけでなく、その影響はアメリカへも及ぶ。少なくとも日本と同じ型の原子炉を止めろという話になる可能性は高く、そうなると巨大資本は大きなダメージを受ける。事故が起ころうと、人類の死滅が予想されようと、アメリカの「エリート」も原発を止めるわけにはいかない。 日米の「エリート」が無責任なのは原発に関してだけではない。アメリカでは投機市場における不公正な取り引きが横行し、巨額の損が出ると庶民のカネをつぎ込んで巨大金融機関やその機関に寄生している「エリート」を救済し、不正が発覚しても不問に付されている。「大きすぎて潰せない」「大きすぎて罰せない」といういうことらしい。そのくせ住宅ローンで破綻した庶民には冷酷だ。 その傲慢さが軍事力と結びつき、破壊と殺戮が繰り返されている。旧ソ連圏を乗っ取るためにユーゴスラビアを破壊、今ではウクライナを乗っ取ろうとしている。中東/北アフリカでもイラク、リビア、シリア、さらにイランを狙っている。破壊と殺戮を実行させるため、旧ソ連圏ではナチスの末裔、中東/北アフリカでは1970年代終盤から1980年代にアメリカが組織したイスラム武装集団を傭兵として使っている。 実態を少しでも知っている人からアメリカやイギリスの政府は「戦争犯罪者」だと批判されているが、今のところ実際に裁かれそうにはない。 日本では「勝てば官軍」と言われる。何をしても勝てば責任を問われないということだろうが、「負ければ賊軍」ということになると厳しい運命が待っている。負けるわけにはいかない。つまり、何が何でも、あらゆる手段を使って勝たなければならず、最後は核戦争で勝つか人類が死滅するかということになる。庶民は彼らを甘やかしすぎた。
2014.07.17
ウクライナの東部ではアメリカ/NATOを後ろ盾とするキエフ政権の武装集団(ネオ・ナチを中心とする親衛隊やアメリカの傭兵会社の戦闘員が中心)が住宅街を攻撃、非武装の住民が虐殺され、すでに50万人近くがロシア領へ避難して難民生活を送っている。7月10日にはキエフの内務省は東部で大規模な攻勢を開始したと発表、そして15日の早朝にドネツク州のスネジヌイが空爆され、4階建ての集合住宅が破壊されて11名以上が死亡している。航空機から4発のミサイルが発射され、そのうち3発がその集合住宅へ命中したという。 この地域はロシア語を話す住民が多く、キエフ政権に対する抵抗を続けてきた。地元の人びとは今回もキエフ政権側が空爆したと主張しているが、そのキエフ政権はロシアによる攻撃だというストーリーを示唆、日本のマスコミはその話を垂れ流している。アメリカの支配層が操っている勢力の肩を持つ方が得だという計算はいつもの通り。 言うまでもなく、アメリカ支配層のウクライナ乗っ取りは「オレンジ革命」から始まっている。2004年から05年にかけて選挙結果を翻すために行われた一種の蜂起で、街頭における活動の中心は学生だったが、その背後には支援のネットワークが存在した。 そのネットワークにはアメリカ国務省、CIAと関係が深いUSAID、欧米支配層の利害調整機関と言われているビルダーバーグ・グループ、投機家として有名なジョージ・ソロスのオープン・ソサエティが含まれ、この「革命」で実権を握ったビクトル・ユシチェンコのスポンサーとして、ボリス・エリツィン時代のロシアで不公正な手段を使って巨万の富を築いた「オリガルヒ」のボリス・ベレゾフスキーの名前が挙がっている。 ユシチェンコ政権は「西側」の巨大資本にとって都合の良い、つまり新自由主義に基づく政策を推進し、「オリガルヒ」が登場した一方、貧困化が進んで「革命」は失速してしまう。そして今年2月のクーデターだ。今回はナチスの末裔たちを使って前政権を倒している。 革命の2カ月前、2013年12月の中旬にネオコン(親イスラエル派)のジョン・マケインとジョー・リーバーマン、ふたりのアメリカ上院の議員がキエフへ乗り込んで体制転覆を煽る演説をした。同じ頃、やはりネオコンのビクトリア・ヌランド国務次官補は米国ウクライナ基金の大会で演壇に登場、1991年からウクライナを支援するため、50億ドルを投資したと発言している。その際、彼女の背後には巨大石油企業シェブロンのマークが飾られていた。 1991年と言えば、ネオコンのポール・ウォルフォウィッツ国防次官がシリア、イラン、イラクを殲滅すると語っていた年。その翌年には国防総省のネオコンがアメリカの潜在的ライバルを潰すとするDPG(国防計画指針)の草案を作成している。この段階でネオコンは自分たちが「唯一の超大国」だと認識、その後に世界情勢が大きく変化したことを受け入れず、軍事力で脅せば思い通りになると信じ続けている。 キエフでネオ・ナチがクーデターを始める直前、2月4日にヌランド米国務次官補とジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使との電話会談を盗聴した音声がYouTubeにアップロードされ、「次期政権」の閣僚人事について話し合っている。その中でヌランドが高く評価していたのが銀行出身のアルセニー・ヤツェニュク。クーデター後、首相として活動している。 そのヤツェニュクを中心とする政権を樹立するためにはビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒す必要があるのだが、EUは非暴力を望んでいた。それが気に入らなかったらしいヌランドの口から「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」という表現が出てくる。 実際、体制転覆はネオ・ナチを使った暴力的なもの。その引き金になった警官隊や市民に対する狙撃がヌランドたちの傀儡勢力だったことはEUも認識している。現地を調査したエストニアのウルマス・パエト外相がEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)へ次のように報告しているのだ: 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」「新連合はもはや信用できない。」 パエト大使は「新連合の誰か」が狙撃の黒幕だとしているが、クーデターの前までウクライナの治安機関SBUの長官だったアレクサンドル・ヤキメンコはアンドレイ・パルビーという名前を出した。バルビーはキエフ政権で軍と治安機関を統轄している。 この報告を聞いたアシュトンは「議会を機能させなければならない」と応じる。「もし議会が機能しないと、完全なカオスになる。」と続けている。オリガルヒとネオ・ナチで成立している暫定政権を潰せば、ネオコンの世界制覇プランや巨大資本の利権が崩れてしまうというわけだろう。 その後、巨大資本の代弁者でもあるIMFは融資の条件として、東部や南部を制圧するように命じている。ウクライナに限らず、IMFやIBRD(世界銀行)は巨大資本の略奪を支援してきた。 その略奪システムに反旗を翻したのがBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)。ブラジルで首脳会議が開かれているが、IMFに替わる「開発銀行」を設立する動きを見せているのだ。すでに「ドル離れ」も始めているわけで、アメリカにとっては深刻な事態。あらゆる手段を講じて潰しに来るだろうが、そうした傲慢な強硬手段がBRICSなどの結束を強めている。アメリカが最後に頼るのは核兵器かもしれない。
2014.07.16
アメリカが「自由と民主主義の国」だという妄想を捨て去らない限り、地獄への道から抜け出すことはできない。秘密工作で体制を転覆させるだけでなく軍事侵攻を繰り返し、破壊と殺戮で人びとを苦しめてきた。集団的自衛権とは、自衛隊をそうした国の下請け武装集団にし、日本を侵略の手先に使う仕組みにほかならない。 リビア、シリア、アフガニスタン、ユーゴスラビア、ウクライナではNATOという姿でアメリカは軍事力を行使、あるいは行使しようとしてきた。そのNATOが創設された目的のひとつは、アメリカがヨーロッパを支配するということ。これは本ブログで何度か指摘した。 そして今、ウクライナではナチスの末裔、中東/北アフリカでは「アル・カイダ」がアメリカの手駒として動いている。こうした構図はリビアの体制転覆プロジェクトで明確になった。ロビン・クック元英外相も主張していたように、アル・カイダとはCIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル、つまり傭兵の登録リストにすぎず、現在はサウジアラビアが主な雇用主になっている。ウクライナのネオ・ナチや中東のアル・カイダに引きずられてアメリカが戦争へ突入した場合、集団的自衛権が存在すると、日本も参戦することになる。 ネオ・ナチやアル・カイダは非武装の住民を攻撃、住居を破壊し、故意に残虐な殺し方をしている。ウクライナではロシア語を話す住民を虐殺してロシアを挑発しているが、ロシアが出てくればNATOが応戦するというシナリオになっていると見られている。 アメリカ支配層が出している定期刊行物とも言えそうなフォーリン・アフェアーズ誌の2006年の3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文には、ロシアの武器は急激に衰え、中国は核兵器の近代化に手間取り、相対的にバランスが大きく変化し、アメリカはロシアと中国の長距離核兵器を第1撃で破壊できるとしている。 ソ連消滅後、ボリス・エリツィン時代にロシアは政治的にも経済的にも破壊され、軍事力も大きく低下したようで、この論文が間違っているとは言えないのだが、その後、ウラジミール・プーチンの時代になって状況は大きく変化した。 ところが、ネオコン/好戦派は古い感覚が消えず(要するに希望的観測)、核戦争も辞さないという姿勢を明確にしている。核戦争で圧勝できるという思い込みがあるため、核攻撃しかねないと相手に思わせる「狂人理論」で押し切れると信じているようだ。その手先になっているのがオリガルヒ(イスラエル系が多い)やネオ・ナチである。 もしロシアとNATOが軍事衝突したなら、当然、アメリカも攻撃される。ロシアとの関係を強めている中国も巻き込まれる可能性が高い。集団的自衛権で日本も参戦するということになると、日本は中国やロシアとの戦争に引きずり込まれ、戦争を拡大させる要因になる。戦争が拡大すれば、日本にあるアメリカ軍や自衛隊の基地は攻撃されるので、日米安保自体が危険因子。原発という「原子力地雷」、あるいは「人類死滅兵器」が海岸線に並んでいる状態では核兵器を撃ち込まれる前に放射能まみれだ。 現状を考えると、戦争を最も望んでいるのはアメリカのネオコン/好戦派。戦争を避けたいなら、そのネオコン/好戦派を抑える必要があるのだが、日本は逆に同調(服従)している。イラクを攻撃した際にはマスコミがアメリカの嘘を承知で戦争を煽り、平和を望む人びとを攻撃していた。リビア、シリア、ウクライナでは「リベラル派」や「革新勢力」もアメリカの嘘を受け入れ、その傀儡勢力による破壊と虐殺に沈黙している。 中東/北アフリカに目をやると、イラクから地中海の東岸(レバント、つまりトルコ、シリア、レバノンなど)を統一するとしてシリアやイラクでISIL(ISISまたはIEIL)なる戦闘集団が支配地を広げ、ファルージャに続いてモスルを制圧、首都のバグダッドを伺う動きを見せている。 そうした状況の中、クルドの独立が現実味を帯び、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はクルド人国家を支持すると語っている。以前からイスラエルがクルド人勢力を支援していると言われているので、こうした発言が飛び出しても不思議ではない。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュがニューヨーカー誌の2006年11月27日号に書いた記事によると、イランに対する工作にイスラエルはクルド人グループを使っている。「装備と訓練」を提供するのと引き替えに、イラン国内の目標リストをクルド側はアメリカへ提供しているのだという。また、イスラエル政府は2000年代に入ってからネゲブ砂漠の基地などでイランを空爆する訓練を続けているともハーシュは主張していた。 イランを空爆する計画の推進者はネタニヤフ首相やエフード・バラク国防相で、2010年に両者はガビ・アシュケナジ参謀総長へすぐにイランを攻撃できるように準備しろと命令したという。これは一部の閣僚が集まって決めたことにすぎず、好戦派の暴走だった。会議から間もなく、アシュケナジのほか、モサド(イスラエルの情報機関)のメイル・ダヤン長官やシン・ベト(イスラエルの治安機関)の長官だったユバル・ディスキンも職を辞している。 ベンヤミン・ネタニヤフの父、ベンシオン・ネタニヤフは「修正主義シオニスト世界連合」の創設社として知られるウラジミール・ジャボチンスキーの秘書だった人物で、ふたつの世界大戦でジャボチンスキーの人脈はイギリスと緊密な関係にあった。彼の団体は好戦的なことで知られ、その流れの中からリクードは生まれている。 イスラエルで好戦的なグループが主導権を握るのは1970年代。同じ時期、アメリカでも好戦的な勢力が台頭、ジェラルド・フォード政権のときにデタント(緊張緩和)派が粛清されている。そのときに中心的な役割を果たしたのがドナルド・ラムズフェルド大統領首席補佐官(後の国防長官)とリチャード・チェイニー大統領副補佐官(後の副大統領)で、ポール・ウォルフォウィッツなどのネオコン(親イスラエル派)も台頭してくる。 1970年代の終盤、アメリカはアフガニスタンで秘密工作を開始、ソ連軍を引きずり込むことに成功するが、その頃からアメリカ、イスラエル、サウジアラビアは同盟関係に入る。この三国同盟がシリア、イラン、レバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を始めたとハーシュが書いたのはニューヨーカー誌の2007年3月5日号だった。 こうした秘密工作で中心的な役割を果たしたのがチェイニー副大統領、ネオコンのエリオット・エイブラムズ国家安全保障問題担当次席補佐官、サウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン国家安全保障問題担当顧問(元アメリカ駐在大使、後に総合情報庁長官)だとされている。スルタンが創設し、アブドゥル・ラーマン・アル・ファイサルが指揮、巨大石油会社のARAMCOが資金援助していると言われている武装集団がISIL。 2009年7月から今年9月まで駐米イスラエル大使を務め、ベンヤミン・ネタニヤフ首相に近いと言われるマイケル・オーレンはエルサレム・ポスト紙のインタビューで、イスラエルにとって最大の脅威はイラン、シリア、レバノンで、要石のシリアからバシャール・アル・アサドを排除しなければならないと主張、イランよりアル・カイダの方がましだと語り、アメリカがアル・カイダに武器を供給することも容認している。 イスラエル人の子どもが殺された報復と称し、イスラエル軍はガザを爆撃、また破壊と殺戮を始めているが、問題の子どもたちを殺害したのは自分たちだとISILに忠誠を誓っているというグループは主張、ハマスは関与を否定している。事実はどうであれ、イスラエル政府はISILでなく、ガザを攻撃することにしか興味は持っていない。そのイスラエルを守っているのもアメリカだ。
2014.07.15
アメリカにはロシアや中国との戦争を望んでいる人たちがいる。こうした勢力は世界制覇を狙うネオコン、戦乱をビジネス・チャンスだと考える戦争ビジネス、そうした企業に投資している金融機関やヘッジファンド、そして宗教的な理由から戦争を望んでいるカルト集団などだ。同床異夢なのだろうが、いずれも正気ではない。 そうした人びとを「理論」的に支えているのが国防総省の「ONA」で室長を務めてきたアンドリュー・マーシャル。2006年にはキール・リーバーとダリル・プレスがフォーリン・アフェアーズ誌で核戦争に圧勝できるという趣旨の主張を展開している。アメリカはロシアと中国の長距離核兵器を第1撃で破壊できるというのだ。残った反撃能力は「ミサイル防衛」で対応するという計算らしい。 本ブログでは何度も書いたことだが、ネオコン/好戦派の世界制覇プランはソ連が消滅した直後、1992年には出来上がっている。ソ連の消滅で軍事予算が削られることを恐れていた戦争ビジネスとしても戦乱は願ってもないこと。軍事侵略で資源を奪うというシナリオなら「国境なき巨大資本」も賛成だろう。 戦争を実現する環境を整備するため、1990年代から暗躍しているのがPR会社。庶民に戦争を買わせるための宣伝を商売にしはじめたのだ。例えば、1990年10月、アメリカ下院の人権会議でイラク軍の残虐性をひとりの少女「ナイラ」が涙ながらに訴えているが、この少女は駐米クウェート大使の娘で、話は嘘だった。この「証言」を演出したのがPR会社のヒル・アンド・ノールトン。 また、コリン・パウエル国務長官が次官に据えたシャルロット・ビアーズは広告業界の大物。彼女の手法は「単純化」と「浅薄化」。単純で中身のない表現は大衆に受けるらしい。これを日本でも使っている。ユーゴスラビアを解体するプロジェクトで雇われたのはルダー・フィン・グローバル・コミュニケーション。セルビア人を悪役に仕立てることに成功している。 このころから傭兵会社も注目されている。その代表格が1997年に創設されたブラックウォーター(後にXe、さらにアカデミへ名称変更)。創業者のエリック・プリンスとアル・クラークは米海軍の特殊部隊SEAL出身で、プリンスを含む少なからぬ幹部がキリスト教カルトの信者だという。幹部の中には「マルタ騎士団」のメンバーであることを吹聴している人物もいる。また、プリンスの姉、ベツィー・デボスの夫は「アムウェイ」の創設者だ。 アメリカの特殊部隊にはカルトの信者が少なくない。そのひとりがジョージ・W・ブッシュ政権で国防副次官になったウィリアム・ボイキン。陸軍の特殊部隊デルタ・フォースの出身で、副次官に就任する直前、少将から中将へ昇進している。この人物を引っ張ってきたのがネオコンのステファン・カムボーン国防次官だ。 副次官になった2003年6月、ボイキンは教会でソマリアでの体験を話している。1993年10月に首都のモガディシオで行われた戦闘だ。そのときにアメリカ軍は2機の戦闘用ヘリが撃墜され、18名のアメリカ兵が戦死している。ちなみに、このときにソマリア側は戦闘員と市民を会わせて1000名から1500名が殺されている。その戦闘にボイキンも参加、写真を撮っている。その1枚を説教壇の上で見せながら、現像した後に奇妙な暗黒の印に気づいたと彼は語る。 「みなさん、これがあなた方の敵の正体です。あの町にある邪悪な存在、暗黒の遣いルシフェルこそが倒すべき敵なのだと神は私に啓示されました。」としたうえで、敵はサタンと名づけられた連中だと発言している。「ハルマゲドン」の世界へ入っている。 ボイキンは「イスラム過激派」をサタンだとしているが、この「イスラム過激派」を作り出したのはアメリカの軍と情報機関にほかならない。その象徴的な存在になっているアル・カイダは、ロビン・クック元英外相も指摘していたように、CIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル、つまり傭兵の登録リストにすぎない。 ウクライナの場合はナチスの末裔をアメリカ/NATOは使っているのだが、このナチスもカルトに染まった組織だった。北アフリカ/中東でも武装集団とカルトが合体している。CIAを背景にして武装集団を編成、戦闘員を雇っているサウジアラビアやカタール自体がカルト的だ。 最近話題のISIS(ISILまたはIEIL)もカルト色が濃い。この武装集団を動かしているのはサウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子だと言われているのだが、創設者はバンダル・ビン・スルタン。4月15日に「健康上の理由」で総合情報庁長官の職を辞したとされていたが、最近になって国王の顧問として復活したとする情報も流れている。 アメリカの軍事戦略によって中東/北アフリカでは経済活動が破壊されて仕事がない状態。そうした中で稼ぐために戦闘員を選ぶ若者は少なくないようだ。実際、リビアやシリアへの攻撃を本格化させた際、サウジアラビアは戦闘員を募集していた。ISISにしろ、別の武装組織にしろ、ひとつの思想や目的で団結した集団だと考えるべきではないということだ。その内部に何らかのセクトが入り込んでいるとしても、それは別の話。現在、欧米では契約を終えて戻ってくる「元戦闘員」をどうするかが議論されているが、雇い主が契約を打ち切り、戦闘員が解雇されたときには大きな混乱が訪れるだろう。ジョージ・W・ブッシュ政権は地獄への扉を開けてしまった。 日本でもアメリカ支配層の意向が反映され、戦争に憧れる勢力が力を持っている。徳川幕府を倒した後、長州藩や薩摩藩を中心とする勢力は「天皇カルト」を作り上げ、国民を洗脳していったが、最近は影響力が弱まっている。ただ、妄想の中で生きているという人たちは多く、この点はカルト的。現実を無視して暴走する危険性はある。 政府が推進している政策は「強者総取り」の新自由主義(これもカルトの一種)で、貧困化が進むことは必至。仕事がない中、稼ぐために軍隊へ入る若者が増えても不思議ではない。アメリカで起こっていることでもある。徴兵制は富裕層の子どもも軍隊へ入る義務を課すもので、徴兵制があった時代のアメリカと同じように富裕層向けの戦争へは行かない部隊をつくるなど、面倒な仕組みが必要になる。支配層としては避けたいだろう。そうした意味でも貧困化の推進は彼らの利益になる。貧困層の女性は売春婦、男性は兵士、という時代がこないとは限らない。
2014.07.13
ウクライナの合法政権をナチスの末裔を使って倒したアメリカ/NATOは現在、東部で住宅街を攻撃、非武装の市民を殺し、臓器の密売人も暗躍しているとする証言も伝えられている。恐怖から50万人近いウクライナ人がロシアへ避難しているようだが、当然のことだろう。この民族浄化を前に、国連も動こうとはしていない。 アメリカ/NATOは軍事力を前面に出し、ロシアとの戦争も辞さないという姿勢を見せている。ウクライナの新しい国防相、ワレリー・ヘレテイはクリミアを軍隊で奪還すると語ったようだ。ウクライナを乗っ取ればクリミアにあるロシア軍の基地を潰すことができるとアメリカ/NATOは考えたのだろうが、この目論見は住民がウクライナからの分離を宣言したために失敗してしまった。そこで強引に当初の予定を実現しようとしている。 1991年にソ連が消滅して以来、ネオコン(親イスラエル派)や好戦派はアメリカを唯一の超大国と位置づけ、潜在的なライバルを潰すという方針を打ち出しているのだが、経済的に衰退しているため、軍事力を使わざるをえない。 その宣言とも言うべき文書が1992年に書かれたDPG(国防計画指針)の草案。西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアがライバルに成長しないように全力を挙げ、アメリカ主導の新秩序を築き上げるというビジョンが描かれている。この段階でイラク、シリア、イランは最優先ターゲットになっている。 このDPG草案はメディアにリークされ、書き直されたようだが、ネオコン系シンクタンクのPNACが2000年に「米国防の再構築」という報告書にまとめ、発表している。この年に行われた大統領選挙でジョージ・W・ブッシュは裁判所の力で当選、PNACの報告書に基づく政策を実行、アフガニスタンに続いてイラクを先制攻撃している。 ブッシュ・ジュニア政権がイラクを先制攻撃した2003年、グルジアで「バラ革命」が起こり、「西側」の「国境なき巨大資本」の傀儡、ミヘイル・サーカシビリの政権が誕生する。この「革命」で黒幕的な役割を果たしたのはグルジア駐在のリチャード・マイルズ米大使だ。ベルグラード駐在大使としてユーゴスラビアのスロボダン・ミロシェビッチを倒した後、グルジアへ移動している。ちなみに、ウクライナの「オレンジ革命」は2004年から05年にかけてのことで、構図は基本的にグルジアと同じだった。 このサーカシビリは2008年8月、南オセチアの分離独立派に対して対話を訴え、その約8時間後に奇襲攻撃を始めている。この奇襲攻撃はロシア軍の反撃で失敗に終わるが、この攻撃はネオコン/好戦派による対ロシア戦争の一環だったとみるべきで、現在のウクライナ情勢と密接に結びついている。 グルジアは2001年からイスラエルの「民会企業」から武器を入手、軍事訓練も受けている。予備役の将校2名の下、数百名の元イスラエル軍兵士が教官としてグルジアに入っていた。2008年1月から4月にかけてはアメリカの戦争会社MPRIとアメリカン・システムズが元特殊部隊員を派遣し、「アフガニスタンに派遣される部隊」を訓練している。 ウクライナの現政権が攻撃的な理由は、何度も書いていることだが、アメリカ/NATOが命令しているから。フィリップ・ブリードラブNATO欧州連合軍最高司令官/在欧米空軍司令官は、ロシア軍に対抗するため、バルト三国、ポーランド、ルーマニアのアメリカ軍を増強すると語り、ウクライナを鼓舞している。 アメリカやイギリスには第2次世界大戦の前から親ファシスト/反コミュニストの勢力が存在、1945年5月にドイツが降伏した2週間後にはウィンストン・チャーチル首相の命令でソ連を奇襲攻撃する作戦「アンシンカブル」が作成されている。数十万人の米英軍が再武装したドイツ軍約10万人と連合して奇襲攻撃するという内容だったが、これは参謀本に拒否されて実現していない。 アメリカでは戦後、ソ連を先制核攻撃する計画が練られ、1963年の末にはソ連を攻撃するというプランができていた。その頃になれば、先制攻撃に必要なICBMを準備でき、ソ連に完勝できると考えたようだ。 この計画を阻止したのがジョン・F・ケネディ大統領。1963年11月にテキサス州ダラスで暗殺されている。暗殺の黒幕はソ連やキューバだという偽情報をCIAは流し、「報復」という形で核攻撃しようとしたが、実現していない。FBIが偽情報だということをリンドン・ジョンソン大統領に伝えたためだとも言われている。 そして2006年、キール・リーバーとダリル・プレスの好戦派を刺激する論文がフォーリン・アフェアーズ誌に掲載された。アメリカが核兵器のシステムを向上させているのに対し、ロシアの武器は急激に衰え、中国は核兵器の近代化に手間取り、相対的にバランスが大きく変化、アメリカはロシアと中国の長距離核兵器を第1撃で破壊できるとしているのだ。この優位はアメリカが政策を変更したり、ロシアや中国が軍事力を増強しない限り変わらないとしている。 この「御託宣」を受け、ネオコン/好戦派は核戦争も辞さないという姿勢を明確にしている。核戦争で圧勝できるという思い込みがあるため、核攻撃しかねないと相手に思わせる「狂人理論」で押し切れると信じているようだ。 しかし、すでにロシアの軍事力は増強され、中国もアメリカに対抗する準備を進めている。戦闘機の開発状況を見ても、アメリカがF-35のような欠陥戦闘機しか開発できていないのに対し、ロシアは高性能機を登場させている。 そもそも、核戦争になれば、相手国に撃ち込んだ核兵器がまき散らす放射性物質は自分たちにも襲いかかり、地球規模で気候変動(核の冬など)を引き起こすと予想されている。すでにアメリカは映画「博士の異常な愛情」が描いたような狂気の世界に入っている。自分たちだけは巨大な地下施設へ逃げ込むつもりかもしれないが、生き残ることは難しいだろう。ロシアや中国、あるいはEUの一部は核戦争を避けようとしているが、アメリカで主導権を握っている勢力は正気を失っている。
2014.07.12
アメリカ/NATOが支援するキエフのペトロ・ポロシェンコ政権もウクライナの東部や南部で住民を攻撃、50万人近くがロシアへ避難、難民化している。住宅地への空や地上からの攻撃から逃れるためだが、キエフ軍(主力はネオ・ナチの親衛隊や外国の傭兵だと見られている)、あるいはその周辺にいるグループの残虐さに恐怖したことも逃げ出した理由のようだ。 こうした手法は、かつてシオニストが「イスラエル建国」の前、先住のアラブ系住民を追い出すために実行している。1948年4月4日に始まった「ダーレット作戦」だ。 6日未明にシオニストの軍事組織ハガナの幹部が「テロ組織」と見なされていたイルグンとスターン・ギャングの代表に会い、ハガナのカステル攻撃にイルグンとスターン・ギャングが協力することで合意した。この両「テロ組織」に襲われたのがデイル・ヤシン村。仕事の関係で男が家にいない早朝に襲撃、254名が惨殺されている。 この虐殺を見て多くのアラブ系住民が避難、約140万人いたパレスチナ人のうち、5月だけで42万3000人がガザ地区やトランスヨルダン(現在のヨルダン)に移住、イスラエルとされた地域にとどまったパレスチナ人は11万2000人にすぎないという。これに匹敵するような事態がウクライナの東部で引き起こされている。 軍事侵略のプロパガンダ機関に堕している「西側」のメディアのひとつ、BBCは6月24日に難民の証言を伝えている。それによると、ポーランド人狙撃手が市民を銃撃し、避難しようとする人びとが殺され、子どもたちは誘拐されてアメリカへ連れ去られ、そこで臓器が摘出されているという。 BBCはそうした証言を確認しようとせず、したがって事実だとも嘘だとも言わず、真偽不明ということで紹介している。勿論、確認したくてもできないことはあるが、ロシアのメディアは現地で取材している。それに対し、難民の証言だけでなく、制圧作戦の実態をBBCをはじめ「西側」のメディアはほとんど報道していない。 臓器の話はBBCより2週間近く前にプラウダが報道している。それによると、スラビヤンスクの自衛軍(住民の部隊)がキエフの親衛隊の墓を発見、数百の死体は腹が切り裂かれ、臓器が持ち去られていたという話が流れている。その地域の病院周辺では装備の完備された救急車、現金輸送車、そのほかの特殊車両が目撃され、臓器を運ぶための冷蔵装置を搭載した多くの小型飛行機があると国際空港の従業員は語っている。 アメリカ/NATOの軍事侵攻に興味のある人なら、こうした取り引きに驚くことはないだろう。同じような話がコソボでも流れていたが、こうした話を単なる「都市伝説」として処理することはできない。 例えば、国連のICTY(旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷)で主任検察官を務めたスイス人弁護士のカーラ・デルポンテがニューヨーク・タイムズ紙のチャック・スデティック記者と共著で2008年に出した本『追跡(La Caccia)』によると、「西側」が支援していたコソボ解放軍(KLA、あるいはUCK)の指導者たちがセルビア人捕虜の臓器を売買していた。 この本によると、1999年頃にKLAは囚人をアルバニアの収容所に移送し、そこで臓器を摘出、その臓器はアルバニアの首都ティラナの空港から海外の民間医院に輸送され、売られた。腎臓などを摘出された捕虜は、再び収容所などに戻されて殺害され、別の臓器も摘出されたという。臓器摘出の犠牲者は約300人に達したと推定されている。
2014.07.11
ドイツでアメリカのスパイが摘発されている。7月3日に情報機関BND(連邦情報局)で働くエージェントが逮捕されたのに続き、ドイツ軍の防諜部門に所属する兵士がCIAへ情報を流していた疑いで取り調べを受けているという。こうした事態を受け、ドイツ政府はCIAのベルリン支局長を国外へ追放したようだ。 アメリカの情報機関が「友好国」の要人を監視していることは公然の秘密で、ドイツ側はわかってたはず。以前にも書いたように、今から40年以上前の1972年にランパート誌が掲載した記事の中で、NSAは全ての政府を監視していると元NSA分析官が語っている。ドイツ政府がいくら愚鈍でも知っているだろう。アンゲラ・メルケル独首相の携帯電話がアメリカの情報機関によって盗聴されていることも想定していなければおかしい。 BNDがアメリカの情報機関と緊密な関係にあることも知られている。この情報機関を創設したラインハルト・ゲーレンは第2次世界大戦中、ドイツ陸軍参謀本部第12課の課長として東方(ソ連関係)の情報を担当していた情報将校だ。 アメリカの情報機関が通信を傍受したりコンピュータ・システムにトラップ・ドアを仕込むなどして各国政府、国際機関、銀行などの情報を盗んでいることは以前から有名で、暗号ソフトが使われているのだが、そうしたソフトを売っている会社のひとつ、スイスのクリプトAGがソフトに「秘密の鍵」を組み込み、NSAが容易に解読できるようにしていたことが1992年に発覚した。クリプトAGはシーメンスと関係が深く、その背後には西ドイツ政府が存在し、NSAやBNDの指示で動いていたとも言われている。 ところで、スターリングラード(現ボルゴグラード)の戦いでソ連軍に敗れたドイツ軍は1943年から敗走を始めるのだが、44年にゲーレンはOSS(戦略情報局/アメリカの戦時情報機関)のアレン・ダレスと接触した。ドイツの降伏とその後の展開をすでに考えている。ちなみに、アメリカ軍がノルマンディーに上陸したのは1944年のこと。ソ連軍の進撃に慌てて強行した作戦だ。 ドイツ軍が崩壊し始めた1944年に米英の情報機関はゲリラ戦部隊のジェドバラを編成、この組織が核になって戦後、1948年に「特殊計画局」が設置された。すぐにOPC(政策調整局)へ名称が変更になり、1950年にCIAの内部へ吸収されて計画局の核になる。破壊(テロ)活動の実態が外部へ漏れると作戦局へ名称を変更、今はNCS(国家秘密局)として活動している。 ダレスはウォール街の大物弁護士。そのウォール街が1933年にフランクリン・ルーズベルト大統領を中心とするニューディール派が主導権を握る政権を倒してファシズム体制を樹立するためにクーデターを計画していたことは、アメリカ海兵隊の伝説的な軍人、スミドリー・バトラー少将らの議会証言で明らかにされた。 その計画の前、1920年代からアメリカ国務省の内部に反コミュニスト派が存在していたことも知られている。ラトビアのリガ、ドイツのベルリン、ポーランドのワルシャワへ赴任していた外交官が中心メンバーで、「リガ派」とも呼ばれている。ファシストを敵視するニューディール派と対立していた。 ソ連を敵と考えていたダレスは親ファシストでもあり、1945年の初頭にナチ親衛隊の高官に隠れ家を提供、北イタリアにおけるドイツ将兵の降伏について話し合われている。1945年4月、フランクリン・ルーズベルト米大統領が執務中に急死、5月にドイツは降伏、ゲーレンは米陸軍対敵諜報部隊(CIC)に投降した。 CICはゲーレンのグループを保護するが、その後ろ盾になっていたのがアメリカ第12軍の情報担当部長だったエドウィン・サイバード准将やヨーロッパの連合国軍総司令部で参謀長を務めていたウォルター・ベデル・スミス中将。スミス中将は1950年から53年にかけてCIA長官を務めている。 1946年になるとゲーレンとサイバートはドイツに新しい情報組織を創設することで合意、そして設立された組織が『ゲーレン機関』。形式上は民間の機関で、資金は巨大企業から出ていたようだ。この機関が基礎となり、1956年にBNDが作られ、初代長官としてゲーレンが就任した。こうした創設の経緯を考えても、BNDとCIAは緊密な関係にある。1949年にはイタリアでもアメリカ主導で情報機関SIFARが創設された。 1949年にはNATO(北大西洋条約機構)が組織されたが、その前から存在していた破壊工作部隊が「NATOの秘密部隊」として新組織へ入り込む。秘密部隊の中で最も有名な組織がイタリアのグラディオだ。この組織が存在したことは1990年にイタリア政府が正式に認めている。 NATOへ加盟する際に署名が求められる「秘密の反共議定書」によって、「右翼過激派を守る」ことが義務づけられている。ウクライナでアメリカ/NATOがネオ・ナチを使ったのは必然だったということだ。 この秘密部隊はソ連軍が西ヨーロッパを占領した際にレジスタンスを展開するということになっているのだが、実際は各国の左翼を潰し、アメリカの巨大資本にとって都合の悪い体制が出現しないように活動してきた。イタリアでは1960年代後半から1980年頃まで「極左」を装ってグラディオが爆弾攻撃を繰り返している。社会不安を煽ってファシズム体制を強化しようという「緊張戦略」だ。1978年にはアルド・モロ元首相が拉致された上、殺害されているが、状況証拠はアメリカ政府を容疑者として指し示している。 アメリカと対立していたフランスのシャルル・ド・ゴールも命を狙われている。1962年にOAS(NATOの秘密部隊につながっていると言われている)のジャン=マリー・バスチャン=チリー大佐に率いられたグループがド・ゴール仏大統領の暗殺を試みて失敗しているのだ。その4年後、フランス軍はNATOの軍事機構から離脱、さらにSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出している。(2009年にニコラ・サルコジが復活させた。) ドイツ政府はアメリカの行為に怒っているかのように振る舞っているが、どこまで本気かは不明。本当にアメリカから自立したいのならば、まずNATOから離脱する必要がある。実際、そう考えた政治家もいたようで、1991年にフランソワ・ミッテラン仏大統領とヘルムート・コール独首相は「ヨーロッパ軍」を創設しようとしたが、実現しなかった。今ではカネと暴力でEUのリーダーはアメリカに支配されていると見られている。
2014.07.11
捜査や公判のあり方を議論してきた法制審議会の特別部会は7月9日、答申案を「全会一致」で承認されたという。最大の焦点だった取り調べの録音/録画、いわゆる可視化は対象が全刑事裁判の2、3%に止められ、その一方で当局のスパイや協力者を利用して政治/思想的な弾圧にも利用できる司法取引が導入され、通信傍受(盗聴)の対象が拡大されるという内容。容疑者を警察の管理下に置き続けることを可能にする代用監獄は外国からも批判されているが、この仕組みも廃止されないようだ。 日本の制度が民主的でないことは世界的に知られるようになってきた。昨年5月にジュネーブで開かれた国連拷問禁止委員会の「第2回日本政府報告書審査」でも日本側は批判され、モーリシャスの委員から日本の刑事司法について「弁護人に取調べの立会がない。そのような制度だと真実でないことを真実にして、公的記録に残るのではないか。」と指摘されている。「自白に頼りすぎではないか。これは中世のものだ。中世の名残りだ。」とも言われたという。 国連の委員会でここまで言われるのは、「目に余る」と思われているからにほかならない。そうした国際的な評価も法制審議会では意識されて当然なのだが、今回の答申案は警察や検察の意向のみを尊重するかのような代物だった。2、3%を可視化して日本の制度は民主的になったと主張するつもりなのだとしたら、相当の愚か者だ。 モーリシャスの委員から批判された際、外務省の上田秀明人権人道大使は「日本は、この分野では、最も先進的な国の一つだ」と発言、会場で笑い声が起こった。すると、今度は「笑うな。なぜ笑っているんだ。黙れ!黙れ!」と叫んでいる。今回の答申案もこの程度の知性しかない官僚が作文したのであり、これが「大きな改革」につながるとは思えない。 日本の「エリート」が従属するアメリカの支配層は現在、ファシズム体制を強化しようと必死だ。経済が破綻しているアメリカとしては、軍事力で他国を侵略して富を略奪し、富の集中など社会的な矛盾の拡大で不満が高まることを念頭に、監視システムを強化し、警察の重武装化を進めている。つまりファシズム体制の強化。今のところ基軸通貨であるドルを刷る権利で支配体制を維持しているが、いつ破綻しても不思議ではない。 日本もアメリカと同じようにファシズム化を進めている。そうした中で出されたのが今回の答申案であり、ファシズム勢力にとっては大きな前進だった。アメリカの巨大資本は昔からファシズム勢力と親和性が強い。 例えば、1920年代の後半から1940年頃までアメリカの金融資本はドイツへ多額の投資をしている。ナチスの台頭は意に介していない。そうした資金の窓口になったのがディロン・リードやブラウン・ブラザーズ・ハリマンなど。 アメリカの巨大金融機関は1933年、自分たちにとって都合の悪いフランクリン・ルーズベルトが大統領に就任するとファシズム体制の樹立を目指すクーデターを計画している。この事実はスメドリー・バトラー海兵隊少将とジャーナリストのポール・フレンチが議会で証言し、当然、記録に残っている。 ドイツが降伏する前の月にルーズベルト大統領は執務中に急死、戦後のアメリカ政府はナチス残党の逃走を助け、保護、そして雇っている。同じ頃、日本でも「右旋回」が起こり、戦前の治安人脈が復活している。ウクライナでネオ・ナチを使ってクーデターを実行したのは必然だった。
2014.07.10
このところ、日本では「脱法ドラッグ」が問題になっている。酩酊や幻覚などの感覚を引き起こす薬物のうち所持、摂取、売買が禁止されていないものを指しているらしい。この種の薬物を摂取したことが原因での事故が相次いだため、政府は規制強化に乗り出したという。飲酒が原因での事故も後を絶たないようなので、禁酒法も議論されているのだろうか。 日本の場合、違法薬物の中で最も有名なものは覚醒剤だろう。戦争中、日本軍が使っていたもので、戦後、しばらくの間は合法だったようだ。世界的に見るとヘロインやコカインがメジャーだが、日本以外でも覚醒剤は使用されている。例えば、今年5月11日、ウクライナのキエフに着いた航空機には、NATOの軍服などと一緒にアンフェタミン(覚醒剤の一種)も積まれていたと報道されている。この荷物を管理していたのはCIAのエージェントで、検査を受けることなく空港から運び出されたという。 その1カ月ほど前にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問、4月14日にアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が東部や南部の制圧(民族浄化)作戦を承認した。22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問、その直後から軍事力の行使へ急速に傾斜していった。 バイデンのキエフ入りとタイミングを合わせる形でトゥルチノフ大統領代行らはオデッサ攻撃について話し合い、5月2日に120名から130名にのぼる住民を惨殺している。5月9日には戦車がドネツク州マリウポリ市に突入、そこでも住民が殺された。6月2日にはデレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りし、ルガンスクの住宅街が空爆されて住民に犠牲が出ている。 こうした攻撃ではネオ・ナチを中心に編成された「親衛隊」が重要な役割を演じているようだが、アメリカの傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名が戦闘に参加しているとも伝えられている。現場で指揮している可能性が高い。またキエフにはアメリカ政府が送り込んだCIAやFBIの専門家数十名が顧問として駐在している。 元特攻隊員の話によると、出撃の直前に飲む「水杯」の中には覚醒剤が入っていたのだという。兵士から恐怖感をなくし、「自爆攻撃」させるためには必要なことだったのかもしれない。ちなみに、その元特攻隊員は「水杯」を口に当てたが、「水」は飲んだ振りをしただけだったという。途中、機体が故障したものの、冷静に不時着することができたらしい。ウクライナでも「命知らず」の凶暴な兵士を作るためにアンフェタミンを使っている可能性がある。 アメリカ国内で問題になっているのはヘロインやコカイン。これらも戦争と密接な関係がある。ベトナム戦争ではCIAが東南アジアでヘロインを生産、アフガニスタンでもヘロインを使ったが、産地はアフガニスタンやパキスタンへ移動した。ニカラグアの革命政権を倒すために行った秘密工作ではコカインの密輸で資金を調達している。(この問題を追究しようとするジャーナリストはメディアの世界から追放される。) 麻薬を売りさばくために手を組んだ相手がマフィアなどの犯罪組織で、マネーロンダリングするために「CIAの銀行」が作られている。キューバ工作ではキャッスル銀行が創設されたが、ベトナム戦争ではナガン・ハンド銀行やディーク社(ロッキード事件でも名前が登場した)、アフガン戦争ではBCCIの名前が挙がった。 UNODC(国連薬物犯罪事務所)によると、2010年の前に麻薬取引の利益は年間6000億ドルに達し、金融機関でロンダリングされている資金の総額は1兆5000億ドルに達するという。(UNODC, “Annual Report 2010”)麻薬の年間売上高は8000億ドル以上という推計もある。すでに麻薬資金は世界の金融システムで重要な位置を占めるまでになっていて、世界の金融機関にとって麻薬業者は大事な顧客。本気で世界の支配層が取り締まるとは思えない状況だ。 その一方、アメリカでは「麻薬との戦争」を国内で開始、重武装化した警官隊が一般の家に押し入るということも起こっている。「テロとの戦争」を口実にした侵略戦争が繰り返されているように、「麻薬との戦争」という名目で支配体制にとって好ましくないと判断された人びとが襲撃される時代に入っているように見える。日本も同じ道を歩むことになるだろう。
2014.07.09
アメリカ支配層の命令に従い、安倍晋三政権は「集団的自衛権」を閣議決定したが、その直前、6月29日にJR新宿駅南口で男性が焼身自殺を図り、1〜2カ月の重傷を負ったという。拡声器を使って「集団的自衛権」に反対すると主張していたようだ。 この出来事自体もインターネットでは注目されているが、日本の「有力メディア」が事件を軽視、あるいは無視していることも話題になっている。NHKニュースなどは全くこの出来事に触れなかったらしい。(テレビの受像器がないので確認はしていない。) そのNHKの記者から取材を受けたというテンプル大学日本校のジェフ・キングストン教授によると、記者は事件に興味を示さなかったというが、これは昨日今日に始まった話ではない。(日本語訳)筆者自身、似たような経験を何度もしている。野村証券をテーマにした『ハウス・オブ・ノムラ』(「日本語版」が新潮社から出ているが、後半は原書と内容が全く違うので「翻訳」とは言えない)を書いたアルバート・アレッツハウザーも、日本の有力メディア(テレビ、新聞、雑誌)の記者が大企業や官僚にべったりなことに驚いていた。 残念ながら日本以外にもそうした記者は増え、有力メディアは「権力に汚名をかぶせるかもしれない具合いの悪い真実は無視すること」にしている。ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、シリア、イラン、ウクライナ・・・アメリカが敵視、攻撃している国々で行われている出来事の中でアメリカにとって都合の悪い事実は隠されている。それだけでなく、偽情報を流して人びとを戦争へと誘導、嘘がばれても知らん振りしている。 日本のマスコミが信頼できないことは言うまでもないが、欧米、特にアメリカの有力メディアも無惨なもの。アメリカには「言論の自由」があると妄想、その国のメディアを権威として崇めていては、彼らの情報操作に乗ってしまうだけだ。 ワシントン・ポスト紙の記者としてウォーターゲート事件を暴いた記者のひとり、カール・バーンスタインは退社後、1977年にローリング・ストーン誌で「CIAとメディア」という記事を書いている。それによると、400名以上のジャーナリストがCIAに雇われているとしている。その後、CIAのメディア対策は強化され、少しでも気骨のある記者は排除されているので、状況は遥かに悪くなっているだろう。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) 1988年、ワシントン・ポスト紙のオーナーだったキャサリン・グラハムはCIAの新人に対して次のように語っている: 「我々は汚く危険な世界に生きている。一般大衆の知る必要がなく、知ってはならない情報がある。政府が合法的に秘密を維持することができ、新聞が知っている事実のうち何を報道するかを決めることができるとき、民主主義が花開くと私は信じている。」 こうしたアメリカの有力メディアを有り難がるということは、映画「マトリックス」に出てくる「青い錠剤」を飲むようなものだ。
2014.07.08
すでにウクライナでは「西側」に支援されたキエフ政権が報道管制を布いているが、ここにきて議員の発言を制限しようとしている。東部や南部の住民に理解を示した場合、議員としての資格を剥奪し、逮捕できると脅しはじめたのだ。 先日、ウクライナ議会で議員から、子どもが東部でウクライナ軍に殺されているというヤジが飛び、ペトロ・ポロシェンコ大統領が気色ばむという場面があった。自分たちが非武装の住民を虐殺していることを思い出させた発言に怒ったのだろう。 勿論、アメリカ政府も自分たちが支援しているキエフ政権がナチスの末裔を使い、ウクライナの東部や南部の住民を虐殺していることを知っている。何しろ、自分たちの命令でキエフ政権は動いている。4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問して14日にはアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が制圧作戦を承認、22日にジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問した直後から軍事力の行使へ急速に傾斜していく。 5月2日にはオデッサで住民が虐殺された。キエフの「暫定政権」が送り込んだグループが実行、メディアは50名弱が殺されたと伝えているが、現地では120名から130名が殺されたと言われている。メディアは上の階で確認された死体の数を伝えているのだが、地下でも多くの住民が惨殺され、死体は運び去られたという。 この虐殺作戦は事件の10日前、つまりバイデンがキエフ入りした頃にキエフで開かれた会議で討議されている。出席者はアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行、アルセン・アバコフ内相代行、バレンティン・ナリバイチェンコSBU長官代行、アンドレイ・パルビー国家安全保障国防会議議長代行で、オブザーバーとしてオリガルヒでドニエプロペトロフスクのイゴール・コロモイスキー知事も意見を求められたとされている。 コロモイスキーはビジネスでも政治でも暴力的な手法を好む人物で、今年4月には200名ほどの武装集団アゾフを組織している。6月14日にキエフのロシア大使館を襲撃したグループの中心だったという。東部での制圧作戦にもこの団体は参加、非武装の住民を殺害している。この人物はウクライナとイスラエルの市民権を持っているのだが、ロシア国籍を持つ人びとを拒否するキエフ政権はイスラエル国籍を問題にしていない。 6月2日にはデレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りし、作戦の調整作業を行ったとも言われている。ルガンスクへの空爆が始まったのはこの日である。東部や南部の掃討作戦ではネオ・ナチを主体に編成された「親衛隊」やアメリカの傭兵会社が派遣した戦闘員が参加、CIAやFBIの要員もキエフ政権にアドバイスしている。 こうした空爆や地上軍の攻撃により、ウクライナの東部や南部ではロシア語を話す住民が殺され、多くの人びとが難民化している。こうした殺戮を「西側」のメディアは無視しているが、ロシアのメディアだけでなく、インターネット上に情報があふれ出して世界の人びとが知り始めている。 アメリカ政府も否定できない状況で、国務省の報道官は国の統一を維持するために住民を攻撃する権利がキエフ政権にはあると発言している。コソボの独立を阻止するためにユーゴスラビアは市民を攻撃する権利があったということになるが、そのユーゴスラビアをアメリカをはじめとする「西側」は激しく非難、空爆で国を破壊している。 キエフ政権は今年2月にクーデターで実権を握った「暫定政権」を引き継いだわけで、その正当性はなく、東部や南部の人びとから見れば、「西側」の傀儡勢力がウクライナを乗っ取ったのである。そのクーデターを実行したのがアメリカ/NATOの支援を受けたナチスの末裔たちだった。 現在、イラクではISIS(ISIL、IEIL)が勢力を拡大しているようだが、この戦闘集団に資金や武器を提供、軍事訓練したのはアメリカ/NATOやサウジアラビアなどペルシャ湾岸の産油国。そして、ウクライナではナチスの末裔を使って破壊と殺戮を繰り返しているのがアメリカ/NATOであり、EUの幹部はそうした行為を黙認し、「西側」の「有力メディア」は知らぬ振りをするだけでなく、レジスタンスを攻撃している。
2014.07.08
今から77年前の7月7日、中国の北京(南京を首都と定めた国民政府は北平に改名)郊外の盧溝橋で日本軍と国民革命軍(国民政府の軍隊)と軍事衝突、全面戦争に突入した。この事件を記念する式典が中国で開かれ、習近平国家主席が出席して演説、中国への侵略行為を批判したという。 盧溝橋事件は中国側の銃撃が引き金になったとされているが、銃弾は上空へ向けて発射されているので攻撃でないことは明らかだった。銃弾の発射には迷子になった日本兵が関係しているとする証言もあるが、そうした事情よりも重要なことは、日本軍が中国に駐留し、軍事的な緊張が高まっていたことにある。 この事件を考えるには、少なくとも「琉球処分」までさかのぼる必要がある。言うまでもなく、琉球王国を潰して「沖縄県」を設置した「処分」だ。 徳川体制を倒した薩摩藩や長州藩を中心とする勢力は新政府を樹立、強い自治権を持っていた「藩」を廃止、中央政府が派遣する知事によって支配される「県」を置くことにする。これが1871年7月に行われた「廃藩置県」だが、その翌年に「琉球藩」を設置している。 廃藩置県の3カ月後に宮古島の漁民が難破して台湾に漂着、何人かが殺されるのだが、この事件を利用して台湾を軍事制圧しようと考えた人物が明治政府の中にいたようで、宮古島を日本領だという形を作ろうとする。そして琉球王国を潰して琉球藩を設置したということだ。 こうした事情があるため、第2次世界大戦後、ダグラス・マッカーサーは記者団に対して「沖縄人は日本人ではない」と発言し、昭和天皇もアメリカによる沖縄の軍事占領が「25年から50年、あるいはそれ以上にわたる長期の貸与(リース)というフィクション」のもとでおこなわれることを求めるという内容のメッセージを出しているのだろう。 第2次世界大戦の終盤、一般民衆約50万人を巻き込む激しい地上戦が戦われた沖縄は、日本が「独立」した後もアメリカ軍に支配され、軍事訓練、兵站基地、出撃拠点などのために利用されてきた。 そうした体制を整えるため、アメリカ軍は「沖縄占領と同時に、住民を収容所に入れている段階で、白地図に線を引くようにして広大な軍用地を接収し、これを無償で使用し」、武装米兵を動員した暴力的な土地接収も行われている。(中野好夫、新崎盛暉著『沖縄戦後史』岩波書店、1976年) その間、「移民政策」も進められ、1952年にはフーバー研究所のジェームズ・ティグナーは移住先としてボリビアの東部地域を強く推薦し、最初の移民400名を移民させるための予算として16万ドルを要求している。 土壌の豊かな50ヘクタールの土地が無償で提供されると約束されて移民した家族が送り込まれた場所は鬱蒼としたジャングルで、そこから鉄道までの道もなかった。大きな川に橋も架かっていないうえ、水を得るためには何キロメートルも歩かねばならず、その水には塩分が含まれていたという。 1954年には人民党中央委員の林義己や畠義基に退島命令が出され、同党の瀬長亀次郎書記長らは逮捕されているが、その直後、55年から57年にかけて琉球民政長官を務めたのが後の統合参謀本部議長、ライマン・レムニッツァー。議長時代、キューバ政府を装って爆弾攻撃を実行、旅客機の撃墜を演出してキューバへアメリカ軍を軍事侵攻させるという「ノースウッズ作戦」(ジョン・F・ケネディ大統領が阻止した)で中心的な役割を果たしている。ソ連への先制核攻撃を妄想していたカーティス・ルメイの同志だ。レムニッツァーが琉球民政長官だった1956年に比嘉秀平琉球主席が55歳の若さで急死している。 それはともかく、1874年に日本は台湾へ軍隊を派遣、その翌年には軍艦を李氏朝鮮の首都「漢城(現在のソウル)」近くにある要衝、江華島へ接近させて挑発、軍事衝突に発展し、「日朝修好条規」を結ばせることに成功した。1894年に朝鮮半島南部で甲午農民戦争(東学党の乱)が起こると「邦人保護」を名目にして軍を派遣、朝鮮政府の依頼で出兵した清国の軍隊と軍事衝突、日清戦争、そして日露戦争へとつながる。 さらに、1927年に日本軍は「日本人居留民の保護」を口実として山東に派兵、その翌年に張作霖を爆殺し、31年には柳条湖で南満州鉄道を爆破して中国東北部を制圧することになる。そして「盧溝橋事件」につながった。日本人の発想なのか英米人の考えなのかはともかく、琉球処分から盧溝橋事件まで、そして今も東アジアを支配するという一貫した戦略に基づいて日本は動いているようにしか見えない。その背後では米英が蠢いている。
2014.07.07
ウクライナ東部にあるドネツクの中心都市、スラビャンスクをキエフ政権が派遣した1万5000名以上の部隊は都市の周囲を包囲、戦闘機や軍用ヘリで住宅街を含む地域を攻撃してきた。住宅が破壊されるだけでなく、子どもや女性を含む非戦闘員が犠牲になっている。このスラビャンスクから住民側で編成した自衛軍が脱出、クラマトルスクへ移動したという。 ウクライナで合法政権が倒された背景やクーデター派による破壊と虐殺をアメリカや日本などの「有力メディア」は知らぬ振りをしてきたが、ここにきて「西側」でも取り上げるようになってきた。例えばイギリスのデイリー・メール。キエフのペトロ・ポロシェンコ政権が東部地域で行っている攻撃をナチスの焦土戦術に準えている。 第2次世界大戦中、アメリカ空軍のカーチス・ルメイも焦土作戦を展開した。広島や長崎に原爆を投下、東京など都市に大量の焼夷弾を落として住民を焼き殺している。「中小企業が集中している」という弁明もあるが、東京の場合、攻撃はターゲット地域の周囲に焼夷弾を落とすことから始まった虐殺目的の作戦。 まず火の壁をつくって逃げ道をなくし、そのうえで人々の頭上へ焼夷弾を投下したのである。その結果、10万人、あるいはそれ以上とも言われる住民を焼き殺した。その一方で重要な工場や交通手段は破壊されず、朝鮮戦争を「後方支援」することになる。その朝鮮戦争でもルメイは大規模な空爆を実施、朝鮮の78都市と数千の村が破壊されている。ルメイ自身の話では、3年間に人口の20%にあたる人を殺したという。 ルメイはそれだけでは飽き足らず、ソ連への先制核攻撃を夢想していた。当初、核攻撃は爆撃機を使うしかなく、SAC(戦略空軍総司令部)が実行することになるが、1948年から57年までSACの司令官だったのがルメイ。後に空軍参謀長になるが、この時期に起こったのがキューバ危機。このとき、ルメイはジョン・F・ケネディ大統領に対し、すぐにソ連を核攻撃するべきだと詰め寄っている。 ソ連との平和共存を訴えたケネディ大統領は1963年11月に暗殺され、副大統領から昇格したリンドン・ジョンソンはベトナムへの本格的な軍事介入を始める。ベトナム戦争で反米色が濃いと判断された地域の住民を虐殺する「フェニックス・プログラム」をCIAと特殊部隊が展開、またラテン・アメリカでは軍事傀儡政権が「死の部隊」で住民を虐殺するのを支援している。現在も北アフリカや中東で住民を殺し続け、ウクライナでも同じことを繰り返しているわけだ。 ところで、ドネツクの地下にはシェイル・ガスが眠っているようで、昨年1月にはシェルがウクライナ政府(ビクトル・ヤヌコビッチ政権)と天然ガス掘削に関する契約を結んでいる。ただ、シェイル・ガスの開発は環境破壊をともない、住民との摩擦は避けられないので、住民は少ない方が会社にとって良い。 キエフ軍による住民への攻撃によって、十数万人いたスラビャンスクの住民のうち約4分の3は避難、その多くがロシアで難民生活を送っているようだ。少なくとも結果として制圧作戦はシェルなどエネルギー資本にとっては歓迎すべき出来事だった。 アメリカがウクライナの体制を転覆させようとした理由にはネオコンの世界制覇プランのほか、ドル防衛やエネルギー利権がある。昨年12月13日にビクトリア・ヌランド国務次官補は米国ウクライナ基金の大会で演説、1991年からウクライナを支援するために50億ドルを投資したと発言している。その際、彼女の背後にはシェブロンのマークが飾られていた。 そのシェブロンは昨年11月5日、ウクライナ西部で石油と天然ガスを50年にわたって開発することでウクライナ政府と合意している。同社の総投資額は100億ドルになるとウクライナ政府は語っていた。 クーデター後、IMFは融資の条件に東部や南部の制圧を挙げていたが、そうした要求をする背景にはエネルギー資本の利権が存在しているわけだ。当然、エネルギー資本が儲かれば金融機関の利益にもつながる。
2014.07.06
アメリカの支配層にとって日本との関係が世界戦略の一部にすぎないことは言うまでもない。安倍晋三政権が憲法を自分に都合良く再解釈し、集団的自衛権を行使できるようにしたがっている理由もその戦略にある。 前にも書いたように、アメリカの戦略は1991年にソ連が消滅した後に変化した。自らを「唯一の超大国」と認識し、「世界の覇者」として地位を確かなものにしようと考え、西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアを潜在的なライバルと認識、真のライバルへ成長することを阻止することにしたのだ。 そして1992年に作成されたのがDPG(国防計画指針)の草稿。この草稿は国防総省の内部でも問題視する人がいたようで、メディアにリークされて書き直されることになったが、考え方はネオコン(親イスラエル派)の内部で生き残る。 草稿が書かれた当時の国防長官はリチャード・チェイニーで、執筆を担当したのはポール・ウォルフォウィッツ国防次官。I・ルイス・リビーやザルメイ・ハリルザドといった人物も深く関わっているが、実際に草案を書き上げたのは、国防総省のONA(ネット評価室)で室長を務めていたアンドリュー・マーシャル。 アフガニスタンのザヘル・シャー元国王の顧問を務めた人物を父親に持つハリルザドはウォルフォウィッツと同じようにシカゴ大学で博士号を取得、ジミー・カーター政権ではズビグネフ・ブレジンスキー大統領補佐官の下で働き、ジョージ・W・ブッシュ政権では国連大使に就任している。 マーシャルはシカゴ大学で経済学を学んだ後、米軍系のRANDに入って核戦争について研究、リチャード・ニクソンが大統領だった1973年にONAが創設されると室長に就任している。 ジェラルド・フォード政権ではジョージ・H・W・ブッシュがCIA長官になる。その前にポール・ニッツェたちはソ連脅威論を発信するために「チームB」を設置していたのだが、ウィリアム・コルビー長官時代は休眠状態だった。そのチームBをブッシュ長官は始動させる。このチームを率いていたのがハーバード大学のリチャード・パイプス教授。メンバーとしてニッツェやウォルフォウィッツも雇われた。 ニッツェはアルバート・ウールステッターと同じように、リチャード・ニクソン政権のデタント(緊張緩和)政策に強く反発していた人物。ウールステッターはシカゴ大学で教鞭を執っていたことがあり、その教え子の中にウォルフォウィッツも含まれていた。 マーシャルが影響を受けたバーナード・ルイスはイギリス出身の歴史学者で、イスラエルやサウジアラビアに肩を持っていることでも知られ、イギリスの情報機関で働いた過去もある。 このルイスから影響を受けているひとり、ヘンリー・ジャクソン上院議員の事務所はネオコンの揺りかご的な側面があり、ウォルフォウィッツやリチャード・パールも若い頃に働いていた。 こうした好戦派/ネオコンが作成したDPGと同じ戦略に基づき、ジョセフ・ナイ国防次官補によって作成されたのが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」。1995年に公表され、1997年の「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」や99年の「周辺事態法」につながった。 2000年になるとリチャード・アーミテージとナイが中心になって「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて(通称、アーミテージ報告)」が作成され、05年になると「日米同盟:未来のための変革と再編」という文書が公表された。その延長線上に集団的自衛権はある。その間、アメリカが推進してきたNATOの拡大戦略と深く結びついていることは当然だ。 ソ連が消滅した1991年、イラクへ軍事侵攻していたアメリカ軍がサダム・フセインを排除しないまま停戦した直後、ウォルフォウィッツ国防次官はシリア、イラン、イラクを殲滅すると語っている。 旧ソ連圏でもアメリカは切り崩しを開始、偽情報で「悪役」に仕立てた上でユーゴスラビアをNATO軍を使い、1995年と99年に空爆して国を解体、その後、アフガニスタン、イラク、リビア、シリアなどを先制攻撃している。その間、偽情報を広め、手先の武装勢力を育成している。その流れの中でウクライナでもネオ・ナチを使ってクーデターを実行したわけだ。(この辺の事情は本ブログで何度も書いているのことなので、今回は割愛する。) こうした侵略行為の過程で事実に反する報道を繰り返し、好戦的な雰囲気を作っていたメディアのひとつがニューヨーク・タイムズ紙。その新聞が安倍首相の「解釈改憲」を批判する論説を掲載したのはなぜだろうか? 今回の「解釈改憲」はアメリカの好戦派が遅くとも1995年から強要していたことであり、アメリカの事情に基づいている。したがって、本当に集団的自衛権を問題だと考えているなら、アメリカの好戦派/ネオコンを批判しなければならない。そこが抜け落ちているのは、本質に触れることを避けているということだ。 アメリカ政府にとって集団的自衛権は自分たちが命令していたことであり、歓迎すべきこと。ただ、ロシアが健在な段階で中国を刺激して手を組ませたくはないはずで、まして韓国を敵に回すような言動をアメリカ政府は許さないだろう。 日本を拡大版NATOへ組み込む上で重要な働きをしてきたマイケル・グリーンは「ロシアと中国が接近するのは、お互いに都合が良いからにすぎない」と語っているが、これは当然のこと。どの国でも言える。中国は「プーチンの味方をすることで米国と対立するつもりはない」うえ、ロシアは「極東地域で中国の圧倒的に多い人口を恐れている」とも主張しているが、すでに両国の関係はこの「分析」を否定している。 もし、ニューヨーク・タイムズ紙が本当に平和を望んでいるなら、グリーンのような好戦派を批判し、アメリカの侵略戦争に荷担してきたことを反省しなければならない。この新聞を含む「西側」のメディアが支援している戦争はイスラム系カルトやナチスの末裔を使った軍事侵略にすぎない。ウクライナの東部や南部で行われている民族浄化も彼らは容認している。集団的自衛権とは、日本をこうした殺戮と破壊に荷担させ、核戦争にも利用するための仕組みだ。
2014.07.05
今年2月のクーデター以降、キエフの政権、つまりアルセニー・ヤツェニュク首相代行を中心とする「暫定政権」やペトロ・ポロシェンコを大統領とする現政権はアメリカ支配層の命令に従ってきた。いずれも傀儡政権ということだが、また新しい事実が指摘されている。東部や南部での制圧作戦は米軍系のシンクタンク、RANDコーポレーションが作成したプランに従って進められているのではないかというのだ。 それによると、まず対象地域に住む人びとを「テロリスト」、あるいはその「シンパサイザー」だと考えて地域を軍隊で包囲して兵糧攻めにし、放送、電話、通信手段を断つことから始める。 ドネツク州のスラビャンスクをクーデター政権は5月2日から攻撃を開始しているが、ロシアの撮影した衛星写真にはスラビャンスクの周囲を1万5000名以上のキエフ軍が包囲している。 ついで、地上軍と航空機を組み合わせて戦略的に重要な施設を攻撃する「掃討作戦」が予定され、最後に電力や通信を復活させる手順。避難した住民が帰還する際、分離独立に賛成しているかどうかをチック、またこの間、外国のメディアを排除し、作戦の実態を知られないようにするともしている。 実際の流れを見ると、4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問、14日にはアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が東部や南部の制圧作戦を承認、22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問し、その直後から軍事力の行使へ急速に傾斜していった。 ドイツでの報道によると、キエフにはアメリカ政府が送り込んだCIAやFBIの専門家数十名が顧問として駐在しているほか、アメリカの傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名がウクライナ東部の制圧作戦に参加しているとも伝えられている。 バイデンがキエフ入りした時にキエフで開かれた会議でオデッサ攻撃について話し合われている。議長はアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が務め、アルセン・アバコフ内相代行、バレンティン・ナリバイチェンコSBU長官代行、そしてアンドレイ・パルビー国家安全保障国防会議議長代行が参加した。そのほか、オブザーバーとしてドニエプロペトロフスクのイゴール・コロモイスキー知事も加わり、意見を求められたという。このコロモイスキーは住民虐殺の黒幕とも言われているオリガルヒだ。 そして5月2日、オデッサではネオ・ナチによって成立したクーデター政権を拒否する住民が虐殺されている。メディアは50名弱が殺されたと伝えられているが、これは地上階で確認された死体の数で、地下室で惨殺された人を加えると120名から130名になると現地では言われている。5月9日には戦車がドネツク州マリウポリ市に突入、住民が殺された。9日はソ連がナチスに勝ったことを記念する戦勝記念日で、少なからぬ住民が街頭へ出て祝っていた。そうした人びとを攻撃したわけである。 6月2日にはデレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りしているが、その日にルガンスクの住宅街を空爆、住民を殺した。インターネット上にアップロードされた映像を見れば、空爆が行われた可能性は高い。欧州安保協力機構(OSCE)も空爆があったことを認めている。この当時、トゥルチノフ大統領代行は戒厳令を宣告したがっていた。 この一方、ポロシェンコ政権軍はジャーナリストへの締め付けを厳しくしている。当初は入国の拒否、ついで拘束、拷問、最近では殺害されるようになった。犠牲者の大半はロシア人だが、イタリア人ジャーナリストも殺されている。 IMFが東部や南部を制圧するように求めているため、ポロシェンコ政権としても妥協は「民族浄化」せざるをえない状況。その前段階として一時的な停戦を宣告した。分離独立派に対し、武装解除と国外追放に応じることを求めるもので、降伏しろという最後通牒にすぎない。 それを逆手にとって話し合いへ持ち込もうとしているのがロシア政府。ロシア、フランス、ドイツ、ウクライナの外相が会談、新たな停戦の実現を目指している。アメリカ政府やウクライナのネオ・ナチは軍事的な制圧に執着、新しく国防相に就任したワレリー・ヘレテイはクリミアを軍隊で奪還すると語っているが、ポロシェンコ大統領は揺れている。 1960年代前半、カーティス・ルメイのようなアメリカの軍人はソ連を先制核攻撃すれば完勝できると信じていたようだが、1970年代に登場したネオコンなど新しい好戦派も核戦争に勝てると信じているようで、だからこそ核攻撃に前向き。集団的自衛権とはその好戦派と手を組むことであり、日本も核戦争の片棒を担がされるということだ。リビア、シリア、ウクライナなどの状況についてアメリカ政府の主張をそのまま流しているメディア、「リベラル派」、「革新勢力」が本気で集団的自衛権について考えているとは思えない。
2014.07.04
歴史の潮目が大きく変わった可能性がある。 ニコラ・サルコジが2007年の大統領選挙における不正行為の容疑で7月1日、朝の9時前から夜の11時40分まで警察で取り調べを受けた。サルコジの家族はアメリカの情報機関と緊密な関係にあり、サルコジが大統領に就任した段階で英米派がフランスで主導権を握ったとみられていた。そして、フランスはNATO軍事部門へ復帰することになったわけである。今回の一件はフランスとアメリカとの関係に変化があったことを暗示している。 ところで、フランスがNATOの軍事機構から離脱したのは1966年のこと。その4年前、シャルル・ド・ゴール大統領をOASと呼ばれる秘密組織のメンバーが暗殺を試みて失敗している。このOASはアメリカの破壊工作(テロ)組織につながっていた。 このテロ組織とは、第2次世界大戦中に米英の情報機関が創設したゲリラ戦部隊のジェドバラを源流とし、戦後にOPCとして復活、後にCIAの内部へ吸収されて計画局になり、作戦局へ名称変更、そして今はNCS(国家秘密局)と呼ばれているもの。 OPCの局長だった人物がフランク・ウィズナー。その息子、フランク・ウィズナー・ジュニアの結婚した相手がサルコジの義理の母、クリスティーヌだ。この女性は貴族階級の出身だが、コルシカを拠点とする麻薬組織を仕切っていたアシール・ペレッティの秘書だったことがある。 一方、サルコジは1982年にペレッティの姪と結婚、弁護士として「コルシカの友人」のために働くことになった。義理の母になるクリスティーヌとも親しい関係を維持、その新しい夫の下でアメリカの手先になる。 サルコジが大統領になる前、フランスはアメリカと一線を画していた。そのひとつの結果として、フランス政府は2003年のイラク攻撃に反対している。当時の大統領はジャック・シラク。そのシラクの姿勢に怒ったウィズナー・ジュニアたちはド・ゴール派を乗っ取り、さらにリベラル派を潰す作戦を展開した。後にシラクは刑事訴追され、2011年に執行猶予付きながら、禁固2年が言い渡されている。 つまり、サルコジはアメリカのフランス支配を象徴する人物。その象徴が刑事訴追される可能性が出てきたわけだ。 フランスの支配層がアメリカに怒った理由のひとつとして指摘されているのは、アメリカが言いがかりをつけて国立パリ銀行に対して89億7000万ドル支払えと要求したこと。 そうしたことがなくても、ウクライナの問題ではEUを破滅へ導く方向へアメリカは突き進んでいて、懐柔されたEU幹部だけでは怒りを抑えきれなくなっている。そうした流れの中、フランス、ドイツ、ロシア、そしてウクライナの外相が会談、新たな停戦の実現を目指している。 こうした動きに対し、あくまでも軍事力で東部や南部を制圧しようとしているのがネオコンに動かされているアメリカ政府、あるいはその手先であるウクライナのネオ・ナチ。フィリップ・ブリードラブNATO欧州連合軍最高司令官/在欧米空軍司令官は、ロシア軍に対抗するとして、バルト三国、ポーランド、ルーマニアのアメリカ軍を増強すると主張している。この人物、ロシアが攻めてくるからアメリカ軍にカネをよこせと叫んでいた。 こうした発言と呼応するように、ウクライナの新しい国防相、ワレリー・ヘレテイはクリミアを軍隊で奪還すると語ったようだが、つまり軍事侵攻するという宣言。すでに「西側」のメディアもキエフの親米政権が東部で行っている攻撃をナチスの焦土戦術に準えるようになっている、つまり住宅地が攻撃されて住民が殺されている実態が伝えられ始めたわけで、実際にクリミアへ軍事侵攻したなら駐留しているロシア軍と衝突する可能性があるだけでなく、アメリカの孤立度は一気に高まるだろう。 ウクライナだけでなく、イラクでの戦闘もアメリカとISIS/ISIL/IEILとの関係が知られるようになり、イラク政府とアメリカ政府との関係は悪くなっている。すでにシリア軍による空爆をめぐり、アメリカ政府が批判したのに対し、イラクのヌーリ・アル・マリキ首相は歓迎すると発言、アメリカ政府がF-16戦闘機の供与を遅らせている中、ロシアが5機の近接航空支援機Su-25を提供、さらにイランからもSU-25が飛来している。 安倍晋三政権による集団的自衛権の行使に関する閣議決定は、1940年の「日独伊三国同盟」と似た意味をもってくるかもしれない。
2014.07.03
ウクライナの東部でキエフ政権による制圧作戦が再開された。「停戦」を利用して部隊を増強、戦闘態勢を整えたと言われ、本格的な民族浄化が始まると懸念する人も少なくない。経済破綻していることもあり、制圧部隊は兵站を「現地調達」、食糧だけでなく給料の代わりに略奪が許されているとも言われ、旧日本軍と似た状況のようだ。 この制圧作戦ではネオ・ナチを主体とする「親衛隊」やアメリカの傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」から送り込まれた戦闘員(民間特殊部隊員)が中心的な役割を果たしているとされている。1970年代の前半、議会で情報機関による秘密工作(テロ活動)が問題になったこともあり、80年代から情報機関や軍の「民営化」が進んだが、その流れの中で特殊部隊を民営化されたと言えるだろう。議会の目を逃れることがひとつの目的だ。 ウクライナの東部、ドニエプロペトロフスクの知事に任命されたイスラエル系オリガルヒ(一種の政商)のイホール・コロモイスキーは赴任先へ傭兵を引き連れて乗り込んでいるが、ドイツでの報道によると、「アカデミ」が派遣した戦闘員約400名がウクライナ東部の制圧作戦に参加している。 ブラックウォーターは1997年、アメリカ海軍の特殊部隊SEALの隊員だったエリック・プリンスとアル・クラークによって創設された傭兵会社。プリンスはキリスト教原理主義の信者で、姉が結婚した相手は「アムウェイ」の創設者。ブラックウォーターの幹部にはキリスト教原理主義の信者が多く、何人かは「マルタ騎士団」のメンバーだと吹聴している。 アメリカがイラクへ軍事侵攻すると、ブラックウォータも乗り込む。そして2004年、4名の隊員がファルージャで殺され、それを口実にしてアメリカ軍はファルージャを総攻撃して街を破壊、住民を虐殺した。劣化ウラン弾も使われ、放射線の障害も問題になっている。イラク人は4人がCIAのために働いていたと主張している。 そして2007年、ブラックウォーターの隊員はバグダッドで非武装の住民に向かっていきなり銃撃、17名を殺害、20名を負傷させている。2008年に銃撃した8名は起訴されているのだが、事件の数週間前、アメリカ国務省の調査官が傭兵の行動を調べていた。 それだけ傭兵の行動に問題があったということなのだろうが、ブラックウォーターの現地トップは主任調査官に対して殺すこともできると脅し、イラクで何をしても手出しできる人間はいないと言ったという。しかも、イラクのアメリカ大使館はブラックウォーター側につき、調査官は予定を切り上げて帰国することになった。ブラックウォーターは法律を超越した存在なのだという。 情報機関や軍の「民営化」が進む前、ベトナム戦争の際にはMACV(ベトナム軍事支援司令部)とCIAは共同で反米色の濃い地域の住民を皆殺しにする「フェニックス・プログラム」を展開、命令はCIAから出ていた。解放戦線を支援すると殺されるという恐怖心をベトナムの農民に植えつけ、村落共同体を破壊してアメリカの価値観を植えつける環境を整備しようと考えていたようだ。 このプログラムには殺人を担当するチームが存在、その中心にいたのはSEALなどの特殊部隊員。実働部隊としてPRU(地域偵察部隊)が組織され、そのメンバーとして殺人などの罪で投獄されていた囚人が集められた。1968年に「ミ・ライ(ソンミ村)事件」が起こる。 アメリカ軍部隊が農民を虐殺した事件で、アメリカ軍によるとミ・ライ地区だけで347名、ベトナム側の主張ではミ・ライ地区とミ・ケ地区を合わせて504名が殺された。犠牲者の大半は高齢者、女性、子どもだったというが、この事件もフェニックス・プログラムの一環だった。 1970年代に行われたウイリアム・コルビーCIA長官の議会証言によると、1968年8月から1971年5月までの間に2万0587名のベトナム市民が犠牲になったというが、別の推計では4万1000名近くが殺害されたとされている。 現在、イラクではISIS/ISIL/IEILが勢力を拡大、その過程で残虐な行為を自らが宣伝している。この武装勢力を操っているにはサウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子だと言われているが、2012年にはヨルダン北部に設置された秘密基地でアメリカのCIAや特殊部隊が主要メンバーを訓練していたという。ベトナムでの虐殺作戦をイラクでは「外部委託」しているのだろう。ウクライナではネオ・ナチを使っている。作戦/手口に大きな変化はない。
2014.07.02
安倍晋三内閣が集団的自衛権の行使を認めるために「解釈改憲」したとマスコミが騒いでいるようだが、全く白々しい。こうした流れを作る上で彼らは重要な役割を果たしてきたのであり、今騒いでいるのは単なる「アリバイ工作」だ。好戦派を支援するために国民を「洗脳」し、反対勢力を潰してきたのは彼ら自身。その責任は決して消えない。 日本の好戦派はアメリカの好戦派に従属しているわけだが、その日米好戦派に小沢一郎や鳩山由紀夫も潰された。直接、ふたりを攻撃したのはマスコミと東京地検特捜部だが、その背後にはそうした好戦派のネットワークが存在している。 両議員、特に小沢に問題があることは確かだが、現在のアメリカ支配層にとってふたりが邪魔で危険な存在だったことは否定できない。もしマスコミが自立した存在なら、小沢や鳩山に対する以上の攻撃を安倍に向けていなければならなかった。 もっとも、安倍の主導する「解釈改憲」が安倍個人の意思だけで実行されたわけではない。こうした国作りの黒幕はアメリカの好戦派であり、その中心にはネオコン(親イスラエル派)が存在する。日本国内では人びとを監視する体制を強化、教育やメディアを使って戦争するために国民を洗脳、憲法が定める基本的人権を有名無実にし、「強者総取り」の新自由主義的な政策を推進、TPPで主権を「国境なき巨大資本」へ贈呈、対外的には自衛隊を拡大版NATOに組み込む準備を進めてきた。 その拡大版NATOが目指しているのは、本ブログで何度も書いたが、ロシア、中国、イランなどアメリカに屈服していない国々を包囲して締め上げ、場合によっては核攻撃で破壊することにある。核戦争の結果を彼らは気にしていない。「我が国は50年も原発を運転していて、運転中の原発による放射能事故で死んだ人など一人もいない」と信じている田母神俊雄元航空幕僚長のような人間の集まりだ。この人物、現役時代に裁判所の判決を愚弄する発言をしている。 第2次世界大戦後、アメリカ支配層には核戦争を夢想する勢力が存在してきた。前にも書いたように、最初の山場は1963年。そのとき、ソ連への先制核攻撃を強硬に主張したグループの中心にはカーティス・ルメイもいた。日本に原爆を投下し、焼夷弾で都市の住民を焼き殺した作戦の責任者だ。この人物は日本政府から1964年に勲一等旭日大綬章を授与されている。 次の山場は1983年。1月に中曽根康弘首相が訪米、日本を「不沈空母」(正確には「大きな航空母艦」だったが、意味は基本的に同じ)になぞらえたり、「四海峡封鎖」といったソ連を挑発する発言を行い、4月にはアメリカ海軍が3空母を中心とする機動部隊群を千島列島エトロフ島の沖に終結させ、大規模な艦隊演習を展開し、艦載機がエトロフ島に仮想攻撃をしかけて一触即発の状態だった。この出来事を日本のマスコミは無視していた。(この件について当時、さる「高名な軍事評論家」に質問したところ、「そうした政治的発言には答えられない」という意味不明の答えが返ってきた。) その年の8月31日から9月1日にかけて、アンカレッジを飛び立った大韓航空007便が航路を大幅に逸脱、緩衝空域と飛行禁止空域を横断、アメリカの偵察機RC135と並んで飛行した後にカムチャツカ上空を飛行、さらにサハリンを横断、ソ連の戦闘機に撃墜されたとされている。その間、NORADは警告を出していない。NORADの担当官が規定を無視したのか、航空機が事前に許可を受けていたのか、どちらかだ。 それから間もない11月、NATOは核攻撃のシミュレーションを含む軍事演習「エイブル・アーチャー83」を計画、ソ連の情報機関KGBは全面核戦争を仕掛けてくるのではないかと警戒、応戦体制に入っている。 その1年前、ヨーロッパではNATO軍が立て続けに軍事演習を実施している。9月にデンマークやノルウェーへの上陸を想定した「ノーザン・ウェディング」、バルト海で行われた「USバルトップス」、そして月末には対潜水艦戦の「ノットバーブ」だ。そして10月、スウェーデンでオルオフ・パルメが首相へ返り咲く1週間前にスウェーデンの領海へ国籍不明の潜水艦が侵入した。スウェーデンではソ連軍の潜水艦だと宣伝されたが、ノルウェー軍の情報将校は西側の潜水艦だ断言、アメリカやスウェーデンの当局者と真っ向から対立している。 1982年にはロナルド・レーガン米大統領が秘密裏に戒厳令プロジェクトCOGをスタートさせている。当初は核戦争を前提にしていたが、1988年にあらゆる「国家安全保障上の緊急事態」に変更され、2001年9月11日に始動することになる。「愛国者法」は付け焼き刃の法律ではなく、20年近くの間、練られていたものだ。 アメリカの軍事戦略は1991年、ソ連の消滅で大きく変化する。ライバルが消えたことで自らを「唯一の超大国」と認識し、支配力を強めると同時にそうした状態を維持するため、西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアがライバルに成長しないよう、軍事的に押さえ込むという戦略を立てた。そして1992年に国防総省はDPG(国防計画指針)を作成する。当然、日本にも影響はおよんだ。 1995年、アメリカのジョセフ・ナイ国防次官補は「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を公表する。10万人規模の駐留アメリカ軍を維持し、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限を緩和/撤廃、そして日米両国の安全保障協力は地球規模になる。このレポートは1997年の「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」、そして99年の「周辺事態法」につながった。 その間、1998年にアメリカ軍は「OPLAN5027」を見直し、金正日体制を倒して国家として朝鮮を消滅させ、韓国が主導して新たな国を建設することが目的になった。朝鮮との戦争が勃発した場合、日本の基地が使われることも明確にされている。 その年の8月に朝鮮はテポドンを太平洋に向けて発射したが、2週間以上前に情報を入手していたアメリカは沈黙、翌年には海上自衛隊が能登半島の沖で「不審船」に対し、規定に違反して「海上警備行動」を実行した。その間、1998年9月にはKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)の枠組み維持や軽水炉本格工事の再開などが決まり、日本も建設費を分担することになった。 2000年にはリチャード・アーミテージとナイが中心になって「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて(通称、アーミテージ報告)」が作成されている。その中で集団的自衛権を日本は行使できるようにするべきだと要求(命令)している。この報告書の作成には、アーミテージやナイのほか、カート・キャンベル、マイケル・グリーン、ポール・ウォルフォウイッツが含まれていた。 2001年9月11日を経て05年に「日米同盟:未来のための変革と再編」という文書が登場する。これによって「日米同盟」の対象が極東から世界へ拡大され、安保条約で言及されていた「国際連合憲章の目的及び原則に対する信念」が放棄された。その間、キャンプ座間にアメリカ陸軍の第1軍団司令部が移転、陸上自衛隊の中央即応集団司令部と併置されることになり、横田基地には在日米空軍司令部と航空自衛隊総隊司令部が併置させことになった。こうした流れの中、自衛隊はアメリカのアフガニスタン/イラク侵略に荷担した(している)わけだ。 集団的自衛権は安倍が唐突に持ち出したわけではない。マスコミがその危険性を認識しているなら、遅くとも1995年にはキャンペーンを始めなければならなかった。言うまでもなく、その間、マスコミは日本をアメリカの戦争マシーン(拡大版NATO)に組み込む手助けをしてきたのである。
2014.07.02
安倍晋三政権は7月1日、臨時閣議を開いて集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を決定したようだ。安倍首相は感情が高ぶり、チンピラのように歩いている。 安倍首相のような日本の「エリート」はアメリカの支配層(ネオコン=親イスラエル派)に従属している。そのアメリカの支配層は崩れ始めた自分たちの帝国を支えようと必死だ。アメリカが日本に対して集団的自衛権の行使を認めるように命令している理由もそこにある。「海外で戦争できる国」にするという漠然とした目的ではなく、中国との戦争が想定されているだろう。アメリカは韓国も使うつもりのはずで、だからこそ安倍晋三政権の韓国を刺激する言動が許せないように思える。 アメリカは金融/博奕にのめり込んでいるうちに自国の製造業は崩壊、社会システムも崩れ始めている。逆に台頭しているのがBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)やSCO(上海合作組織)。SCOは1996年に「上海ファイブ」として創設され、2001年に改名された。そのメンバーは中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンの6カ国で、オブザーバー国としてインド、モンゴル、パキスタン、イランも参加している。 本ブログでも何度か書いたが、アメリカは破綻した自国経済を維持するために電子情報機関を使って投機市場での相場を操縦、他国から預かっていた金塊を盗んだ疑いがある。例えば、ニューヨーク連銀やケンタッキー州フォート・ノックスにある財務省管理の保管所に預けられていたはずの金塊1500トンをドイツが引き揚げようとしたところ連邦準備銀行は拒否、交渉の結果、そのうち300トンを2020年までにドイツへ引き揚げることにしたのだが、2013年にアメリカから返還されたのは5トンにすぎなかったという。 現在のアメリカを支えている大きな柱は基軸通貨のドルを発行する権利も持っていることにある。これがアメリカを生きながらえさせている「生命維持装置」。正確に言うとアメリカという国ではなく、巨大金融資本が持っている権利なのだが、それを失う可能性が出てきている。貿易の決済をドル以外の方法で行おうという動きが出てきたのだ。 イラクのサダム・フセイン政権は2000年に石油取引をドルからユーロに変更する姿勢を見せ、その2年後にはマレーシアの首相だったマハティール・ビン・モハマドが「金貨ディナール」を提唱、その金貨ディナールをリビアのムアンマル・アル・カダフィは石油取引の決済に使おうとした。ドイツが金塊を引き揚げようとした背景にもドル不審があるのだろう。 5月21日にロシアと中国は天然ガスの供給契約を結び、今後30年間にロシアが中国へ毎年380億立方メートルを供給することになった。総額約4000億ドルという大きな取り引きだが、それをロシア通貨のルーブルと中国の元で決済する準備を進めているとも伝えられている。ロシアとの天然ガス取り引きでドル離れが広がれば、アメリカは「生命維持装置」を外された状態になり、崩壊する可能性がある。 こうした苦境から脱するため、アメリカは軍事力に頼ろうとしている。武力で他国を侵略し、略奪しようというわけだ。例えば、アフリカを自立させようとしていたリビアのカダフィ政権を潰し、1991年にはネオコンが描いていた世界制覇プランに従ってフセイン体制を倒し、シリアのバシャール・アル・アサド体制を転覆させようと計画、ウクライナの東部や南部では民族浄化を推進している。国内のファシズム化、国外での侵略が彼らの「処方箋」であり、こうした「治療」を実行する引き金が2001年9月11日の出来事だった。 アメリカで主導権を握っている好戦派はロシアに対しても武力で脅し上げ、屈服させようとしたのだろうが、これは通用しなかった。その結果、(核)戦争の危険性が高まっている。ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領はキエフのファシスト勢力と対立していたが、分離独立を目指す東部/南部の住民に対する攻撃を再開すると宣言した。これはネオ・ナチの圧力に屈したということ。そのネオ・ナチの背後にアメリカ/NATOやIMFが存在していることは、本ブログで繰り返し書いてきたとおり。 当初の計画では中国を懐柔、ロシアを孤立させて潰す予定だったのだろうが、この両国の関係はかつてないほど緊密。ウクライナの民族浄化作戦はネオ・ナチや外国の傭兵が中心になるだろうが、この武装集団は暴走する可能性が高い。すでにロシア領へ入り込んで挑発しているようだが、ロシアとの戦争に発展する可能性は否定できない。ネオ・ナチはそうした展開を望んでいる。 そうなるとロシアとアメリカ/NATOが軍事衝突しても不思議ではなく、中国も巻き込まれてしまう。集団的自衛権を主張する安倍政権も日本を戦争へ引きずり込むことになりかねない。中国との戦争だ。日本の政策決定グループ内に「今なら中国に勝てる」という妄想を抱いている人物がいたなら、ブレーキはきかなくなる。 アメリカ支配層にも「今ならロシアに勝てる」と思い込んでいるグループが存在する。シリアやウクライナでロシアの出方を見誤った連中だ。ロシアや中国との戦争になったあとに「間違った」と気づいても手遅れである。
2014.07.01
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