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これはケーキか、それともチョコか?フランス人シェフおそるべし。何の予備知識もなくこのクリスマスケーキを目の前にしたら、普通の人はまず凍りついてしまいますね。薔薇の香りのする木をビュッシュに仕立てたアンリ・ルルー氏の優雅なケーキとはまさに対極。箱を開けた瞬間に絶句すること間違いなしの、チョコレート界の巨匠ジャン=ポール・エヴァン氏のビュッシュ・ド・ノエル。さて、そこでものすごい画像を…。なんじゃこりゃ?でしょう。どうやって切っていいのか迷いますよね。筒の部分がどのくらい厚みがあるのか、硬いか柔らかいかも不明ですし…。結局、説明書きにあったように「温めたナイフでチョコレートをゆっくり溶かすように切りわけて」いただきます。ザッハトルテなどと同様に、上のチョコレートが硬く張っている場合、そのまま切るとバリバリッと割れてしまいます。その場合、温めたナイフをチョコの部分に当てて溶かし、ナイフ自体の重みで自然に下までおりていくようにゆっくりと溶かし切ります。この円筒の厚みは5mmほどで、しっかり硬いチョコでした。銀色がピストレで吹き付けてあります。12. ジャン=ポール・エヴァン デジール・デザイン 長さ15cm ¥6,300ケーキの全貌は↑。箱にはこの状態で入っています。銀色の円筒の下には、タブレット(板チョコ)が敷いてあります。 désir=希望、願望 そして面白いことに、このケーキには赤ピーマンソースが添えられています。フタをあけて、少し匂いをかいでみると…うわっ。本当に赤ピーマン。野菜の匂いです。ピューレには、隠し味に少量の唐辛子が加えられています。さて、中はどうなっているでしょう~。あれっ?…中からとろーんとガナッシュが流れ出てくるか、あるいはナッツなどがぎっしり詰まっているか…という想像を大きくはずして、中味は「ショコラムース」です。説明書には、筒をナイフで溶かし切るか、または「筒の中のショコラムースを取り出して、筒のショコラを砕いてダイナミックにお召し上がりいただくのもジャン=ポール・エヴァンお勧めのお召し上がり方です」とあります。ムース…という泡泡感はなく、少しホロホロ。中にクーリか何かが入っているわけではなく、単一のお味。もろもろっとした口当たり。うーむ。赤ピーマンソースをつけていただくと、確かに「新しい味の出会い」ではあるけれど、どうしてもこれが必要か、と言われると難しいかも。解読が難解な謎かけをされているような気分です。下に敷いてあるタブレットは、タブレット。ケーキを食べているという感じはあまりせず“チョコレートを食べている気分”。これだけでは、ケーキという満足感を得るのは難しい…。最初からチョコだと思って食べていれば、美味しい♪となったと思いますが、クリスマスアントルメをいただく!という期待感とはちょっと違ったかも~。実はこのケーキにはストーリーがあるのです。エヴァン氏は、クリスマスのために「昨日、今日、明日」というテーマで3つのビュッシュを制作。カタログの写真によりますと、「昨日」のビュッシュ・ド・ノエル『ジュ ム スヴィアン』はクラシックな茶色い薪(細長い切り株)のデザイン。木目もあります。家の形の飾りと雪だるまつき。ビターなショコラノワールのガナッシュを詰めたマカロン生地。長さ17cm \5,775「今日」の『グリーン・ビュッシュ』は自然保護をテーマに、木・鳥・水・雲・山の文字と絵が描かれたチョコプレートがトユ型に成型された抹茶ムースに突き刺さっています。中には和素材の柚子クリームや3枚のチョコレート生地が。長さ17cm \5,775そして、今回いただいた「明日」。小さくても三本セットになっていればわかりやすかったかな、と思いました。ジャン=ポール・エヴァン Jean-Paul Hévin 新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿店大代表 03-3352-1111営業時間 10:00~20:00定休日 伊勢丹新宿店に準じる東京メトロ丸の内線 新宿3丁目駅<13> ピエール・エルメのケーキへ続きます難解なケーキ~!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじ《お菓子作りの道具と材料》 (楽天)Homeへ
2008.01.15
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エレガント、と言う言葉はまさにこのケーキのためにあるのでしょう。箱を開けた瞬間に、辺りが薔薇の香りに包まれるような錯覚をおこさせるほど、このケーキは控えめな姿ながら、目から香りが直接脳に飛び込んでくるような、強烈なインパクトがあります。11. アンリ・ルルー ボワ・ド・ローズ 長さ15cm ¥6,300パリセヴェイユのビュッシュ・ド・ノエルのページで、冬の薪に添えられた花に対する違和感について書きましたが、ルルー氏は逆転の発想。クリスマスケーキとしての華やかさを出すために薔薇を使いたいと考え、樫の木の薪に薔薇の花がついてはおかしい→それなら薪自体を“薔薇の香りがする”と言われるボワ・ド・ローズ(ローズウッド)にしてしまえ!…ということでしょうか。この薪はローズウッドだよ☆だから薔薇を飾ってもおかしくないんだよ♪と説明するルルー氏のお茶目な表情が浮かんでくるような気がします。すごい遊び心~。では、ボワ・ド・ローズとはどんな木でしょう? bois de rose=紫檀(したん)、ローズウッド bois=木、材木、林、森 紫檀 ローズウッド製ギター 紅紫檀どうやらこのローズウッドという木材は、ヴァイオリンやマリンバ、お仏壇、スピーカー、英国アンティーク家具、座敷机などに加工される、お値段の桁数を思わず数えてしまうほどの高級木材のようです。ルルー氏、そんな高価な木を薪にしてしまうとは、さすがです 上からお味はとても複雑。薔薇の中でも最も華やかな香りを持つダマスクローズとフランボワーズから作ったコンフィチュールが、ルルー氏の名前を一躍有名にしたキャラメルのムースとショコラのムースに包まれています。 断面いただくと、薔薇の香りがはっきりわかります。そして、シャリシャリジャリッとした食感のヘーゼルナッツ味のロイヤルティーヌが。もちろんキャラメルの味もしっかりと。色々な味と香りが楽しめる贅沢なケーキです。2006年のルルー氏のクリスマスケーキ『ジャカランダ』アンリ・ルルー Henri Le Roux 新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿店大代表 03-3352-1111営業時間 10:00~20:00定休日 伊勢丹新宿店に準じる東京メトロ丸の内線 新宿3丁目駅<12> ジャン=ポール・エヴァンのケーキへ続きますなんと上品なケーキ!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじ《ガレットのお菓子日記~お菓子作りの道具と材料》 (楽天)Homeへ
2008.01.14
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色の美しさと、ころんとした球体が目をひくのは、チョコレート界での頂点を極めるTOPパティシエのお一人、調布のサロン・ド・テ・スリジェ 和泉光一シェフの作り出す独創的なケーキ。「美しく香るしるし」で美香栞mi-kan(みかん)とは、凝りに凝ったお名前ですね☆10. サロン・ド・テ・スリジェ 美香栞mi-kan φ15cm ¥4,200ホワイトチョコレートの球体の中には、生の苺が隠れています。和泉シェフは、WPTC 2006年・日本チーム総合2位、ショコラピエス部門で優勝、2008年も代表であるショコラのスペシャリスト。ここで注目したいのは、今回ホワイトチョコレート(ショコラ・ブラン)をお使いになっている点。“ショコラブランはカカオが含まれないのでフランスではショコラとして認めないシェフが多い”ってご存知ですか? カカオ豆を乾燥させ、砕き、皮を取り除いて細かくしたカカオニブ[黒] を炒ってすりつぶしてカカオマス[黒] を作ります。それを漉してカカオバター[白] とカカオ(ココア)パウダー[茶色] に分けます。 グリュエ・ド・カカオ(カカオニブ) カカオマス カカオバター ココアパウダー 脱脂粉乳カカオマス+砂糖+カカオバター=スイート(ダーク)チョコレート(ショコラ・ノワール)。そこに粉乳が加わるとミルクチョコレート(ショコラ・オ・レ)。ホワイトチョコレートは、カカオバター+砂糖+粉乳。カカオマス自体が入っていないため、チョコレート独特のほろ苦さはなく、色も白いわけです。というわけで、カカオにこだわるフランス人は、これをショコラとは別物と考えます。そこで、和泉シェフのケーキ。日本ではショコラとして扱われるホワイトチョコレートを、オレンジの香りと色を生かすために使い、日本らしいチョコレートケーキを創造。チョコを知り尽くした和泉シェフが、あえてホワイトチョコレートを素材として選んだところに面白さを感じます。カカオのほろ苦さがないところを、逆にうまく利用されていますね。ホワイトチョコレートの可能性を感じます。 真上からNoël のピックに黄色をピストレし、ケーキに文字が浮かび上がっています。きれいですね。 そして、このケーキが、13種類ものケーキを食べ比べたクリスマスアントルメの会 2007の中で、非常に美味しく感じ、印象に残るケーキとなったのがまた素晴らしい☆この味はホワイトチョコレートがあればこそ、と思わせるところがなんとも心憎いです。 断面食感はふわっと軽く、口当たりが優しい♪オレンジピールが入っているのでしょうか、口の中がオレンジの香りで一杯に。中に隠れているフレーズデボワ(苺の味が濃い野いちご。直訳すると森の苺)が、アクセントに。 フレーズ デ ボワサロン・ド・テ・スリジェ CERISIER 調布市小島町1-35-8042-487-0675営業時間 ケーキショップ 10:00~21:00ティールーム・レストランは移転のため一時閉店中定休日 水曜京王線 調布駅北口徒歩3分<11> アンリ・ル・ルーのケーキへ続きますX'masに黄色を使うのは斬新!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじガレットのお菓子日記Homeへ
2008.01.13
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13種類ものケーキが次々と登場したクリスマスアントルメの会 2007でしたが、箱を開けた瞬間の歓声が一番大きかったのは、なんといっても、たまプラーザで快進撃をとげている デフェール 安食雄二シェフのデフェールベアーが現われた瞬間でしょう。9. デフェール ベアーがサンタクロース 顔φ12cm 耳φ6cm ¥5,800サンタさんなので、ピンク色のサンタ帽をかぶっていますほとんどのお店がお菓子の名前をフランス語(カタカナ)にする中で、この『ベアーがサンタクロース』という名前には、思わず笑顔が出ますね。形はお子さま仕様かもしれませんが、味は大人がにっこりできるものなので、これこそ「お父さんが予約してお土産に持って帰って喜ばれるNO.1クリスマスケーキ」と自信を持って言えます☆ クリスマスケーキでここまで可愛かったら、中味も日本人好みの苺のショートケーキかな、という想像を、いい意味で裏切ってくれました。空気感たっぷりのレアチーズケーキです 断面底はサクッとしたサブレ生地で、ビスキュイ・ジョコンド(だと思うのですが)を重ね、あっさりサッパリとした口当たりのチーズクリームは、安食シェフの定番レアチーズケーキ『フロマージュ・クリュ』や冬にりんごと組み合わせた『イヴェール』に通じるものがあります。二つの耳は、味が違うマカロンです。(何故耳にオノが~っ!…痛そう)フランスでは着色料をかなり使用した派手な色のマカロンが人気ですが、安食シェフの講習でマカロンを習った時におっしゃっていたのは、“色素を使うと味の幅が狭くなる”ので、“マカロン自体に味をつけ、中のガナッシュの味との組み合わせでバリエーションをもたせる”という考え方。単純に、カラフルだと可愛らしいのでマカロンに色素は使ってもいい、と思いこんでいた私には衝撃でした。言われてみると、安食シェフのお作りになるマカロンは、少しくすんでいるような自然の色。素材の色そのままです。パティスリー デフェール Pâtisserie Dèffert横浜市青葉区美しが丘1-5-3045-901-3911営業時間 10:00~20:00定休日 水曜日東急田園都市線 たまプラーザ駅 徒歩1分<10> サロン・ド・テ・スリジェのケーキへ続きますデフェール・ベアー、ものすごーく可愛い!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじ《お菓子作りの道具と材料》 (楽天)Homeへ
2008.01.11
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昨年、東急池上線 久が原駅にオープンしたばかりのラ・スプランドゥールは、藤川浩史シェフのお店。 splendeurの意味は、輝き、栄光。独立前にお勤めされていたオテル・ドゥ・ミクニの更に前には、今はなき代官山の名店ピエールドオルで及川太平シェフ(現 アン・プチ・パケオーナー)の下で修行されたという経歴。もしかして及川シェフに似て、藤川シェフもかなり個性的なお菓子をお作りになる?8. パティスリー ラ・スプランドゥール マダガスカル 長さ13cm ¥3,570サイズは小さめながら、他と比べ、ちょっとほっとするお値段。でも、見た目はかなりかなり個性的なビュッシュスタイル。サイドについているアーモンドは量も多く存在感抜群で、ガリボリガリッボリッと、かなりの歯ごたえ。カットするまで少し冷蔵庫から出して時間がたっていたからか、この写真ではアーモンドが若干ずり落ち気味ですね。ケーキのスソを隠すためにスライス又はみじん切りアーモンドを空焼きして張り付ける手法は昔からありますが、ケーキの半分ほどまで覆っているのは、デザイン的にちょっと珍しい。見るからにどっしりと重く、濃厚そうなチョコレートケーキ。 真上からところが、藤川ワールドは、そうそうわかりやすくはありません。重そうに見えていましたが、一口いただくとそうではなく、爽やかな味わいが口に広がります。むむむ。想像以上に美味しい♪ 断面赤い実あり 赤い実なし(端) これで二人分切るそばから崩れていく柔らかさ。カットしたものをお皿に移すお手伝いをしましたが、かなり苦戦。カットして下さった方は、食べる部分によってアクセントの赤い果実が入っていない偏りが出てしまうため、一皿に2パターン置くように指示。これを二人で半分ずつ分けて試食です。しか~し!うっかりそれを、取り分ける相手に伝えそびれてしまったため、気づいた時には私の目の前にはこの断面図の右のケーキだけが残されていました。ああ、赤い実はどんなお味だったの~?最後に皆さんが一言ずつ感想を言われましたが、このラ・スプランドゥールのケーキが美味しかった という方が何人もいらっしゃいました。…美味しいには美味しかったのですが、もう少しちゃんと食べないとわからない~っ!アクセントに、と説明があったシャンパーニュの香りも、わかったような、わからないような。はっきり印象に残ったのは、使用されているチョコレートの味が非常によくいかされているチョコレートムース(というかクリームというか)のお味。シェフは、マダガスカル産でフルーティーな香りと共に爽やかな酸味が特徴のヴァローナ社のマンジャリを使用。チョコレート自体がフルーティーという個性的なお味です。マダガスカル語で「美味しい」という意味を持つ、このマンジャリというチョコレートは意外に曲者。以前私がまだチョコの使い分けがよくわからなかった頃、普通に使っていたチョコを切らしてしまい、たまたま別の物に使おうと思って買っていたこのマンジャリで全て置き換えて作ったところ、とんでもなく酸っぱい不気味なチョコレートケーキになってしまって大失敗したことがあります。使い方を誤るとたいへんなことになってしまう、実に個性的なチョコですので、お気をつけて☆いいですか~、酸っぱいチョコですよ 使い方は慎重に。 ヴァローナ マンジャリ64% 1kgということで、このお店には必ず行かなくちゃ、とチェックして2008年の課題に。もともと、このケーキは、昨年夏の「花火アントルメ」企画の時に、幸せのケーキ共和国の平岩さんがオーダーした藤川シェフの花火アントルメが原型となったもの。その頃からこのお店のことは気になっていましたので、やはり行かねば。こちらは、テイクアウトのみのようです。パティスリー ラ・スプランドゥール Pâtisserie La Splendeur大田区南久が原2-1-2003-3752-5119営業時間 10:00~19:00定休日 水曜日東急池上線 久が原駅<9> デフェールのケーキへ続きますラ・スプランドゥールに行って!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじ《ガレットのお菓子日記~お菓子作りの道具と材料》(楽天)Homeへ
2008.01.10
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今まで、パティスリー・タダシヤナギの柳正司シェフのお菓子をいただいて、「うわっ、これは強烈すぎてちょっと苦手かも~」と思ったことがない私。先日から何度か、勝手な分類で「素直にわかりやすい美味しさで大勢に好まれるお菓子を作るシェフ」と「超・個性的お菓子で固定ファンの心を鷲掴みにするが、苦手な人には難解なお菓子を作るシェフ」の2タイプがあるのでは(一人で両方のお菓子を作るパターンをいれれば3タイプ)、と語ってきました。私の中では、「超・個性的」のお一人はイデミスギノの杉野英実シェフ、そして「素直に美味しい」のお一人が今日ご紹介する柳正司シェフです。(第三のタイプには、アン・プチ・パケの及川太平シェフが…。)そんな柳シェフが、カカオ分が70%と高めのチョコレートを使って、どんなケーキを作るのか、すごく楽しみでした。7. パティスリー・タダシヤナギ アカリグア・ア・ラ・バニーユ φ15cm ¥6,300(パッション&マンゴー味のマカロン・エキゾティックのせ)製法にこだわり、少量生産を続けているフランスのヴェイス社のクーベルチュールチョコレート「アカリグア」は、“苦味が優しくカカオの香りと余韻が残る味”などと評される個性的なチョコレート。 「アカリグア」以前ケーキを作るために買い、使い残した分が、たまたま家の冷蔵庫に眠ったままになっていたのを思い出し、改めてお味見してみました。チョコによってはカカオ分が70%もあると「苦すぎてもう結構」という感じになるところ、このアカリグアはそのまま食べても大丈夫。まず「苦い」ではなく「甘くない」と感じ、酸味がないので受け入れやすいな~と思っていると、じわっとチョコの香りと旨みが広がり、最後に少し苦味がやってきました。おっと、その苦味はわりと長く口の中に残り、なかなか消えません。さて、そういうチョコレートが、柳シェフの手にかかりますと…切る途中さえも美しいですね~☆クリスマスアントルメの会でいただいたのは、カカオ分70%チョコ=「苦い」、という先入観を大きく打ち破るものでした。バニラビーンズの粒々が入った濃厚なバニラクリームとあわせることにより、ぱくっと一口いただいた時の印象は「優しいお味」に。もしかして、目隠しをして食べ、このケーキを作ったシェフを当てるクイズだったとしても、「柳シェフ!」って、言い当てることができたかも、と一瞬思ったほどです。優しいお味になるポイントは、チョコの部分とバニラの部分のバランス。↓の断面図をご覧いただいても、バニラクリームの分量がかなり多くなっているのがわかります。このバランスが絶妙~。チョコレートの強さに対し、これだけ多くのバニラクリームを使って微妙なバランスを保ちます。ヴェイス社では、チョコレートを作る時に、バニラから抽出した(又は化学合成した)芳香成分バニリンではなく本物のマダガスカル産バニラビーンズを使用していますので、さらにバニラの味は優しく強く。全体的に濃厚でなく、非常に食べやすいお味となっています。途中で顔を覗かせるラズベリー味もアクセントに。2006年のパティスリー・タダシヤナギのクリスマスケーキ『ル・ショコラ・グランクリュ』と、色合いは似た感じもしますが、中味は全く違うチョコレートケーキでした。メリー・クリスマスをフランス語で書くとJeyeux Noël。チョコレートの玉の赤い部分にうっすらと書かれています。パティスリー・タダシヤナギ Patisserie Tadashi YANAGI ・マルイファミリー海老名店海老名市中央1-6-1 マルイファミリー海老名店1F046-232-0101(代)営業時間 10:00~20:00定休日 不定休(マルイファミリー海老名に準じる)小田急線海老名駅・八雲店目黒区八雲2-8-1103-5731-9477営業時間 10:00~19:00定休日 水曜日(祭日と重なる場合は営業)東急東横線都立大学駅から徒歩8分<8> ラ・スプランドゥールのケーキへ続きます柳シェフのケーキは、なんと繊細な!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじ《お菓子作りの道具と材料》 (楽天)Homeへ
2008.01.09
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記事を書いた時からずーっと気にかかっていた小さな事が、ふとした時に、そうだと ひらめき、解決する瞬間があります。年を越して季節はずれになってしまいましたが、お菓子の世界に興味をお持ちの方は、どうぞおつきあい下さいね。皆さんも気になりませんでしたか?それは、クリスマスアントルメの会 2007に登場した、パリセヴェイユ・金子美明シェフのビュッシュ・ド・ノエル『ラー ファイエット 』。 ※ケーキのお味など、詳しい説明は、こちらのページにビュッシュ(ブッシュ)・ド・ノエルとは、フランス伝統のクリスマスに作られるケーキで、直訳すれば「クリスマスの薪」。昔、暖炉で樫の木の薪を燃やし、一家が長く続いていくように灰を絶やさないようにする習慣がありました。当時は薬品を使わず、灰を使って畑の害虫を防いでいたので、灰はとても大切にされ、そこから転じて厄除けになると信じられていました。他にも諸説ありますが、お菓子として作られるようになってからは、その灰のもととなる薪の形に、春を待つ生命力を表すツタ、何もないところから生まれる(と、菌の存在が知られていない時には信じられていた)不思議な命の力強さを持つキノコなどが飾られます。後に、サンタクロースやトナカイ、雪だるま、ひいらぎ、木こりの持つ斧などもビュッシュ・ド・ノエルを彩るようになります。これが伝統のビュッシュ・ド・ノエルなのですが、冬の薪からイメージされる中に、春の花はありませんよね???どうして金子シェフは白いお花を飾ったのかしら?と、ず~っと心の隅にひっかかっていました。雪の結晶をお花に例えたのかな、と自分を納得させていたのですが。年末にテレビで ターシャ・テューダーのクリスマス の、ヴィクトリア朝さながらの手作りの冬支度の様子を見た時も、彼女の「冬に薔薇はいらない。夏に雪が必要ないのと同じように。」という言葉が耳に残りました。厳しい寒さの冬でも、工夫次第で一つ一つクリスマス飾りを手作りすることによって、たとえお花がなくても楽しく豊かに過ごせる、という意味合いだと思うのですが、この時も白いお花のことがふと心をよぎりました。そして、私は、突然思い出したのです。 クリスマスローズ だわ! この可憐な5弁の花びらを持つクリスマスローズは、色々と面白いお花です。まず「花びら」「お花」と書きましたが、実はこの部分は「がく片」。本物の花びらは退化して小さくなり、蜜が出る部分になっています。更に、ローズと言いながら薔薇ではありません。キンポウゲ科。薔薇に似ているのでその名がついたようです。更に更に、毒をもっているのですよ、この可憐な花は~!食べてはいけません。 八重咲きもあります。最近は品種改良がすすみ、様々な色のものもでてきました。 「キリスト教の逸話として、貧しい羊飼いの少女がイエス・キリスト誕生を祝福しようと訪れたものの捧げる贈り物もなく途方にくれていたところ、天使が舞い降りて雪の中から美しい白い花を出し、その花(クリスマスローズ)を贈り物に捧げるよう告げたという話があります。」 「」内 All About Japanより引用 と、このように伝えられる理由は、クリスマスローズが極寒にも負けず、日陰にも耐え、花の少ないクリスマスの頃から2~3月にかけ、たおやかで清楚な凛とした美しさの花を咲かせるからでしょう。(厳密にいえば、クリスマス頃に咲くものと2~3月に咲くのは別種ですが、日本ではまとめてクリスマスローズと呼ばれています)厳冬に咲くクリスマスローズがビュッシュ・ド・ノエルの上に添えられているなら、納得ですね。あ~、スッキリしました。金子シェフ、さすがです。パリセヴェイユ Paris Séveille 金子美明シェフ目黒区自由が丘2-14-5 館山ビル1F 03-5731-3230営業時間 10:00~20:00定休日 無休東急東横線・大井町線 自由が丘駅徒歩5分2006年のパリセヴェイユのクリスマスケーキ『ジュピター』パリセヴェイユのお店紹介『ロアジス』『季節のフルーツのタルト』 『パリ←→東京時差ゼロの菓子』 金子美明・著次は<7> パティスリー・タダシヤナギのケーキに続きますクリスマスローズについて知りませんでした~という方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじ《ガレットのお菓子日記》 (楽天)Homeへ
2008.01.07
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パリ・セヴェイユの金子美明シェフといえば「しっかり濃厚なチョコレート系ケーキ」と「色鮮やかな果物を散りばめた華麗なケーキ」、という2つのイメージがすぐ浮かびます。今回クリスマスアントルメの会でいただいたのは、そのどちらにもあてはまらないタイプ。繊細な美しさで大人っぽく可憐な新スタイルのケーキです。La Fayett.JPG posted by (C)galette6. パリ・セヴェイユ ラー ファイエット 長さ約22cm ¥6,300なんと上品な!シュガーで作った白いお花は、顔を近づけると甘い香りを放ち、幻想的な美しさ。フランス伝統のX’masケーキ、ビュッシュ・ド・ノエルがとても新しく感じます。生命力を表すツタの葉を絞るには、トレーシングペーパーでコルネを作り、先端にハサミで切り込みを二つ入れます。(これは家庭でも意外と上手にできます♪)何故、店名のエチケットが一番先頭の下の方についているのでしょう?まん丸●なのでそこだけを見ると、なにやらコアラの顔のようにも思えてきます。(モスラ…?いえいえ気のせいです)ミルクチョコレート色のピストレは珍しいですね。ミルクチョコレートとカカオバターを溶かし、スプレーガンに入れて吹き付けます。ブブブブブブ…という大音響と共に周りに飛び散るので、必ず覆いが必要です。製菓用スプレーガンは非常に高価なため、東急ハンズ等で「塗装用」で似た機能の物を探すと良いと、講習会で習いました。でも勇気がなく、まだ購入していません~。ピストレをすると表面が非常に美しい質感になるため、数年前から大流行。(一時期、ピストレ仕上げばかりになっていましたね。)La Fayett cut.JPG posted by (C)galetteさて、お味は。断面を見ただけで、既に美味しそう~ 空気感たっぷりですね。お酒が香るココア生地を2枚使用。ざっくり食べると、ふわふわの食感。外側のミルクチョコレートムースはとても優しいお味で、ベルガモットオレンジ(ミカン科)を着香した紅茶アールグレイの香りが。 シソ科ハーブのベルガモットこのハーブのベルガモット(モナルダ)は、同名でも全くの別物です中央にもう一層やや濃い茶色のムースがあり、黄色い部分はマーマレード入りのオレンジクリーム。オレンジとチョコの相性のよさは抜群。濃厚なチョコ味のケーキが多い中、このオレンジの爽やかな香りはとても新鮮。ケーキの名前の『ラー ファイエット』は、多分La Fayettだと思いますが、アメリカ独立運動の際に活躍して英雄となり、後にフランス人権宣言を起草したラファイエット将軍のイメージ?現在パリの中心地には、ギャラリー・ラファイエットという大きなデパートもあります。どういう経緯でこのお菓子の名前がついたのか、気になります~☆ トレーシングペーパー A4 カカオバターパリ・セヴェイユ Paris Séveille 目黒区自由が丘2-14-5 館山ビル1F 03-5731-3230営業時間 10:00~20:00定休日 無休東急東横線・大井町線 自由が丘駅徒歩5分2006年のパリセヴェイユのクリスマスケーキ『ジュピター』パリセヴェイユのお店紹介『ロアジス』『季節のフルーツのタルト』 パリ←→東京時差ゼロの菓子 金子美明・著<7> パティスリー・タダシヤナギのケーキへその前に、金子シェフのケーキの上の白い花が気になる方はこちらを金子シェフのケーキは、なんと上品な!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 《ガレットのお菓子日記~お菓子作りの道具と材料》 (楽天)Homeへ
2007.12.30
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スタイリッシュなケーキが揃ったクリスマスアントルメ食べ比べ会の中でも、ひときわ目をひく異質な外観のクリスマスケーキをご紹介します。Tendance posted by (C)galette5. テンダンス 長さ約20cm×幅10cm×高さ5cm ¥6,300アテスウェイ(吉祥寺・川村英樹シェフ)ラ・ヴィエイユ・フランスのクラシックな ビュッシュ・ド・ノエルが、ほっと一安心するクリスマスケーキだとすると、アテスウェイの提案するケーキは、微妙なバランスとメタリックな色合いで緊張感をもたらす近未来的なケーキ。 tendance は 風潮、趨勢という意味未来のケーキのデザインの傾向でしょうか?テンダンス横.JPG posted by (C)galette横から見ると、金や銀のいくつもの大きさの円が重なり合い、オーバルの土台の上にのっているのがわかります。滑り落ちそうな不安定さが特徴ですね~。ただ、外見に関しては、昨年 2006年のアテスウェイのクリスマスアントルメが、「コンテストですか?!」と、思わず尋ねたくなるほどの、びっくりするような華やかさでしたので、どうしてもそれと比べてしまい、トーンダウンしているような気が。(うーむ。去年が派手すぎたのか…。でも、アテスウェイでは、店頭でぐるぐるチョコがたくさんのった、ものすごいデコレーションのケーキを普段から普通に販売していらっしゃいますが…)テンダンス上.JPG posted by (C)galette真上から見ると、また面白い♪お父さんがケーキを買って帰って、子どもが「わー、クリスマスケーキだ~」と喜び、パッと箱を開けると…かなり笑えます。ロボット好きの子どもだったら、目を丸くした後で大喜びかもしれませんが。いえいえ、子ども向きではありませんね。このサイズなら彼と彼女のロマンティックな二人のクリスマスにちょうどよいかも。テンダンスcut.JPG posted by (C)galette外見のことばかり言っていてはいけません。肝心のお味ですが…。 実は、今回のアントルメの会の中で、このテンダンスは、1、2を争うほどの私のお気に入りとなりましたもともとブルターニュで修行された川村シェフの塩キャラメル使いは大好きですが、この組み合わせには参りました☆上の方から、ビターチョコレートを使ったムースショコラキャラメル、そして3枚の生地をはさんで塩キャラメル味のクレームブリュレ。滑らかなケーキの底にはザクザクの食感のキャラメルが。あ~。美味しい、美味しい、美味しい~ 滑らかさの中に目がさめるようなアクセントの塩味、キャラメルの香ばしさ。異なる食感の妙…。ああ、また食べたいです。 アテスウェイ à tes souhaits!武蔵野市吉祥寺東町3-8-8 カサ吉祥寺20422-29-0888営業時間 11:00~19:30定休日 月曜(月曜祝日の場合は火曜休み) JR・井の頭線 吉祥寺駅北口から徒歩15分または関東バス3のりば「西10 西荻窪駅」行き〔女子大前〕下車、徒歩1分 JR 西荻窪駅北口から徒歩10分または関東バス1のりば「西10 吉祥寺駅北口」行き〔女子大前〕下車、徒歩1分地図 『ブルターニュに学んだ菓子』 『おいしいショコラは美しい』次は<6> パリ・セヴェイユのケーキに続きます塩使いの達人・川村シェフのケーキを食べてみたい!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじ《お菓子作りの道具と材料》 (楽天)Homeへ
2007.12.29
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日本中の百貨店の中で、クリスマスの時期に最もスタイリッシュなケーキが揃う、伊勢丹新宿本店。今回のクリスマスアントルメ食べ比べ会では、その伊勢丹のケーキを多く集めましたが、独創的な最先端のケーキが続く中、ほっと一息つける安心感があったのが、ラ・ヴィエイユ・フランスのクラシックな ビュッシュ・ド・ノエル。4. ビュッシュ・オ・ショコラ・プラリネ 長さ13cm ¥3,150ラ・ヴィエイユ・フランス(千歳烏山・木村成克シェフ)店名の意味する“古き(よき時代の)フランス”を表現するかのように、この伝統的なビュッシュ・ド・ノエルは木村シェフがパリの老舗で修行した頃から作り続けている品です。 vieille は vieux (= 英語のold 古い、昔の) の女性形薪の形のケーキの上に、切り株と、メレンゲで作ったキノコ。流れ星の型で抜いたホワイトチョコレート。Joyeux Noël (フランス語のメリー・クリスマス)と書かれたチョコの板。ああ、ここでようやくクリスマス らしいデザインのケーキが。なんだかほっとします。クラシックなデザインといっても、外側は、昔の主流だったバタークリーム仕上げではなく、細く焼いたメレンゲを何本も周りに貼り付けていく凝った作り方ですね。 そして、なんと美しい断面!いただいてみると、まず周りの細いメレンゲは、最初がサクサク、そしてネッチリモッチリ。不思議な感覚です。歯にくっついてくるような感じでもあり、面白い食感☆食べた時に、あれっ?これはチョコレート味?コーヒー味?どっちかしら、と迷いました。チョコレート菓子を作る時に隠し味としてコーヒーを入れることもありますので、両方入っているのかな、と想像します。濃厚なしっかりとした味わいです。その時は↑こう思ったのですが、後に、この会の主催者の平岩さんのブログを拝見し、「上にのったロール部分がコーヒー味、土台がチョコレート味」と知り、納得!ラ・ヴィエイユ・フランス La VIEILLE FRANCE世田谷区粕谷4-15-6 グランデュール千歳烏山1F03-5314-3530営業時間 10:00~19:30定休日 不定休 京王線千歳烏山駅から徒歩約7分2007年10月にオープンしたばかりです。お台場 ホテル グランパシフィック メリディアンのヴェル エ クール内には、これも2007年9月にオープンしたグラス(アイスクリーム)・コンフィチュール・焼き菓子の支店があります次は<5> アテスウェイのX'masケーキに続きます 流れ星の型木村シェフのビュッシュを食べてみたい!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじ《お菓子作りの道具と材料》 (楽天)Homeへ
2007.12.28
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パティシエの作るお菓子には、大きく分けて2つのタイプが。私の勝手な分類ですが、一つは“わかりやすい優しいお味”。手土産に持っていきやすく、食べた人が100%…(は難しいとしても)大多数の人が素直に「美味しいね」ってにっこり笑顔で幸せな気持ちになるお菓子 3. アメジスト 長さ約18.5cm×幅9.5cm 高さ5cm ¥7,000イデミスギノ(京橋・杉野英実シェフ)もう一つは、“この味が好きという人だけが気に入ってくれればいい”…と、(シェフが宣言するわけではありませんが)非常に個性的なお味を創造し、お客さんがツボにはまればそのシェフの大ファンになり、そうでない場合は、ここのケーキはちょっと苦手、と思われてしまうこともあるタイプ。お酒やスパイス等をしっかり使い「斬新」と評されるのはこちらのシェフですね。お読みになっている皆さんの中ではそれぞれに、ああ、あのお店はこっち、あちらのお店はこのタイプ、と思い当たる人も多いかと。さて、そこで問題です。この写真のケーキはどちらでしょう?もちろん全てのケーキが同じタイプとは言えませんが、私のイメージではイデミスギノの杉野シェフは疑いもなく個性派。今までにいただいたケーキの中で、これはかなり“食べる人を選ぶケーキ”かも、と思ったものもあります。商品の説明には「すみれ色の宝石を宝石箱にちりばめたようなイメージ。ミストグリーンの爽やかな青りんごと甘酸っぱいカシスのバタークリームのハーモニー」とあります。今回のこのアメジストをいただいた私の印象は、「とても難しいケーキ」。見た目通りのとても軽やかなムースを口にすると、ミントのような香りがふわっ。この緑色はミント?お酒がしっかりきいています。こういうお菓子は当然バラバラにして食べるようなことはせず、上から下までを一気にいただきます。すると、ん?…中央が 冷たい。これは、もしかして…。以前、イデミスギノのお店でフランボワジエをいただいた時、まるで分離しているのでは?と思うような見た目のフランボワーズのバタークリームが、口にすると驚くほど軽く、バタークリームの概念をひっくり返すような衝撃の美味しさだったことを思い出し…。その時と比べ、カシスのバタークリームの食感が全く違う ひょっとして、今の状態は解凍が足りず、杉野シェフが望む最も美味しい食べ頃の状態になっていないのでは???イデミスギノに詳しい方のお話では、いつ頃冷蔵庫から出し、何時間してから食べて下さいというような説明がついていたとか。それにしても、持ち歩く時間、パーティーで食べたい時間などを考え合わせると、お客さんが自分で最も美味しい状態に調節しなければならないケーキって、かなり難しいお菓子では… とはいえ、イデミスギノのクリスマスケーキは、予約開始後すぐに完売し、行列していたのに手に入れることができなかった熱い ファンも多いというので、買えた人たちは最高に美味しい状態でケーキを食べることができる濃いマニアックな面々ばかりかもしれませんね。 うーむ。一つのケーキで、一瞬のうちにここまで考えさせられるとは。イデミスギノ、さすがです。杉野シェフがお考えになる、完璧に美味しい状態でいただいてみたいです~。天然石アメシストは、紫色の石。ギリシャ語で“酒に酔わない”という意味が。 そうそう、イデミスギノのアメジストは、なんと今回いただいたケーキの中で、飛びぬけて可愛らしいサンタの箱に入っていました~♪ 2006年のイデミスギノのクリスマスケーキ 苺とオレンジと白ワインの フレゼット チョコレートとコーヒーの サンバ 2006年春のお菓子ツアー イデミスギノからスタートイデミスギノ Pâtissier HIDEMI SUGINO中央区京橋3-6-17 京橋大栄ビル1F 03-3538-6780営業時間 10:00~19:00定休日 月曜(祝日の場合は翌日休み)東京メトロ銀座線京橋駅から徒歩約3分 『杉野英実のデザートブック』 『素材より素材らしく』次は<4> ラ・ヴィエイユ・フランスのビュッシュ・ド・ノエルに続きます杉野シェフのケーキをベストの状態で食べたい!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじ《ガレットのお菓子日記~お菓子作りの道具と材料》 (楽天)Homeへ
2007.12.27
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濃厚で非常に美しい赤ワインとチョコレートのケーキに続いては、今回の 〔平岩理緒さん セレクション〕 の中で唯一、同じお店から二点目の、リンゴと紅茶風味のビュッシュ(Bûche = 薪)仕立て。 2. ポム・アールグレイ 長さ24cm ¥5,250エーグルドゥース(目白・寺井則彦シェフ)赤ワインの方は新宿伊勢丹、リンゴの方は日本橋三越での受け取りです。各店のケーキのサイズが直径15cmや長さ13~15cmと、どんどん小型化していく中で、このケーキは迫力ある長さで目をひきます。両端にはりんごの形のホワイトチョコレートの板が貼られています。周りはアールグレイ風味のホワイトチョコレートムース。(このムースが抜群に美味しい♪)上には、部分的に落ち着いた赤褐色をピストレ(機械で吹き付け)し、その上品な色合いは、これも“大人”を意識しているように思われます。ところで、表面のこの模様はどうやってつけたのでしょう?業務用で、シリコンフレックス「プラリネ」のような木目模様がついたシリコンの大きな型があるのでは?と想像しています。↓こんな感じの模様付きの型?お値段がお徳なのは→ Matfer シリコンフレックス プラリネ 20取淡い色合いの見た目は、とても優しい印象です。 断面中にはジューシーなりんごのコンポートが。底の生地に入っているナッツのガリガリッとした歯ごたえとりんご、紅茶の香りとホワイトチョコレートが想像以上にマッチして、非常に美味しい。りんごと紅茶、とってもよくあいます。(そういえばアップルティーなど、茶葉にりんごの香りを着香することもありますものね。)私のメモでは「おいしい」とハート印をつけていました。エーグルドゥース Aigre-Douce新宿区下落合3-22-1303-5988-0330営業時間 10:00~19:00定休日 水曜(祝日と重なる場合は変動あり)JR山手線目白駅から徒歩約8分店名エーグルドゥースの意味は、フランス語で“甘酸っぱい”(aigre = 酸っぱい、doux = 甘い<女性形はdouce>)<3> イデミスギノのX'masケーキに続きます寺井シェフのX'masケーキは大人っぽい美しさ!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじ《ガレットのお菓子日記~お菓子作りの道具と材料》 (楽天)Homeへ
2007.12.26
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「クリスマス アントルメの会 2007」は、13種類のX'masケーキを次々と食べ続ける夢のような企画。とはいえ、優雅なティータイムは別の機会に譲るとして、食べ比べ会はサバイバル。私の場合、クリスタルガイザーのペットボトルを片手に、一つとして見逃さないように、気合を入れて五感を働かせます。※ 今回ご紹介するのは順不同。食べた順番ではありません1. ビッシュ ショコラ オー バニュルス 長さ約26cm ¥6,501エーグルドゥース(目白・寺井則彦シェフ)色々なデザインのアントルメがある中で、最も印象に残る美しさだったのがこれ。細長いアーモンド型。光沢のある上品なチョコレート色のスソを飾るエレガントに絞り出されたメレンゲ。こういうケーキをプレゼントされたら、相手の株がぐぐっと上がるでしょうね。まさに大人の魅力あふれるクリスマスケーキ。まずは見た目で高得点。濃いこげ茶色の箱もまた素敵です。 断面 難点は、同じ大きさに切り分けにくいことと、切った瞬間に崩れ始めるので、大勢で美しく分けるには、カットと盛り付けにちょっとしたワザが必要なところ。(一歩間違えると、お皿にのせた時にはこの美しさは影も形もなく、ぐちゃぐちゃに。それだけ柔らかく口当たりがいい、ということですが。)ホテルの宴会などでパティシエが切り分けて盛り付けていただけるようなシチュエーション向きかもしれません。一口食べた感想は“深みのある味”~!滑らかですが濃厚。たいへん口当たりのよいチョコレートムースの中に、意外に大きな存在感の、天然甘口赤ワインのバニュルスを使ったジュレ。ガナッシュと、アクセントのフレーズ・デ・ボア(森いちご)とあわせていただくと、もう、それはそれは素晴らしい組み合わせ。ただ、私はお酒に弱いので、後で忘れた頃になってかすかに顔が赤くなってきたかも?と感じたのは、この赤ワインのせいではないかと。けっこうお酒がきいています。デコレーションはシンプルに。お客さんが自分で飾るように、赤い実のピックとホワイトチョコレートのプラークが別に添えられています。以前寺井シェフの講習をうけた時に、「味に関わらない無駄なものは飾らない。飾るとしたら、それ自体の味がケーキを美味しくするために必要なものを飾る」というようなことをおっしゃっていました。最近の洋菓子業界の、くるくるチョコレートや飴細工を、“華やかに見せる”目的のためだけに上に飾る傾向には同調しない真摯な姿勢が感じられましたが、クリスマスケーキでもそのシンプルさは変わらないですね。寺井シェフのお店は、建具もオーニング(ひさし)もこげ茶色で、なんとなく板チョコを連想させる外観。初めてお店に伺った時の第一印象は「チョコレートがお好きなシェフかも。」エーグルドゥース Aigre-Douce新宿区下落合3-22-1303-5988-0330営業時間 10:00~19:00定休日 水曜(祝日と重なる場合は変動あり)JR山手線目白駅から徒歩約8分<2> リンゴと紅茶風味のホワイトチョコレートのビュッシュ に続きます寺井シェフのX'masケーキは美しい!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじ《ガレットのお菓子日記~お菓子作りの道具と材料》(楽天)Homeへ
2007.12.26
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幸せのケーキ共和国 の平岩理緒さんが主催する、「クリスマス アントルメの会 2007」は、昨年に続き2回目。イブの前日、日本とフランスの人気パティシエのX'masケーキを13種類、食べ比べをするという魅力的な企画です。しっかりいただいてきました~(あいうえお順に)日本からはアテスウェイ、 イデミスギノ、 エーグル・ドゥース(2種類)、サロン・ド・テ・スリジェ、 デフェール、 パティスリータダシヤナギ、パリセヴェイユ、 ラ・ヴィエイユ・フランス、 ラ・スプランドゥール フランス陣はアンリ・ルルー、 ジャン=ポール・エヴァン、 ピエール・エルメ・パリ今回は、いくつかのお店を除き、百貨店で予約をして受け取るという形式。私は、渋谷の東急百貨店東横店に立ち寄り、2つのケーキを受け取り、会場まで運びます。崩すことなく無事に運ばなければ、と毎回ケーキを届けるまではちょっとドキドキ。誰かがぶつかってきたりしたらたいへんですので、電車の乗り降りや、階段などでは神経を使います。年末の忙しい時期にどこからともなく集まってくるスイーツ好きの男女。地方からいらしている方も何人もいて、どんなケーキと巡り合えるのか、期待は大きく膨らみます。今年の百貨店のクリスマスケーキ全体の印象は…。一つ一つのケーキを見ると素晴らしいのですが、全体を通して、残念なことに、原油高からくる材料費の高騰の影響がお菓子業界に波及しているのが、微妙に見え隠れしています。夢のない話で、ごめんなさい~。今年のケーキは、昨年ほどの迫力、大きな驚き、興奮が少なかったような。何故でしょう?なんといっても痛切に感じるのは、ボリューム。家族の人数がだんだん少なくなり、ケーキが小型化してくる傾向はありますが、それにしても、全体的に本当に小さい。サイズが小さいというだけでなく、“かさ”が足りない気がします。とても上品です。お値段はだいたい長さ13~15cmで約3,500円~6,300円くらい。丸のケーキはφ15cmで4,200円くらいが多いでしょうか。味・見た目に満足感があれば、そのお値段に納得です。全体の印象はそんな感じですが、その厳しい状況の中でも、各お店が工夫して、細かなところに気を配り、デザイン、素材の組み合わせにより、新しい世界を創り出しているのは素晴らしい~!今回、もう一つ感じたのは、日本人シェフの活躍ぶり。もちろんフランス人の感性にはまだまだ刺激をうけるところは多いのですが、日本人パティシエは、全く見劣りすることなく、本当に世界トップレベルと堂々と肩を並べられる水準にある!と自信を持っていい気がしました アトランダムに切り取った6枚の写真、全体像がどんな形なのか、ご想像下さいね。少しずつご紹介していきますので、お楽しみに~。<1> 赤ワインとチョコレートのX'masケーキ に続きますX'masケーキは『小さく上品に』が主流!と思う方は↓を押してこの記事を応援して下さいね☆ いつもクリック、ありがとうございます! 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 クリスマスアントルメの会 2007 もくじ《お菓子作りの道具と材料》 (楽天)Homeへ
2007.12.23
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