うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

2008.01.02
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カテゴリ: 近代短歌の沃野


二十九 にじふく

歌集「紫」(明治34年)

(30代を目前にした)29歳になったこの元旦、
俺はこれまで、いったい何をモノにしたと言えるだろうか。
ウチの門松の、何とも寂しいことだ。


普通、当たり障りのない表現に終始する新春詠に、主観と実感を詠みこんだ、当時衝撃的だった一首。
また、門松という縁起物に、およそ似つかわしくない「さびし」という形容詞を組み合わせて、象徴的表現を試みている。

糸井重里のコピーの代表作「おいしい生活」より数段スゴイ!?

合理的・数学的な「満年齢」が普及したのは、つい最近のこととも言える。
僕の子供の頃は、こちとら田舎の年配の人々の間では、まだ「数え年」が普通だった。

数え年は、生まれた時点で1歳、正月元旦ごとに1歳を加えたので、1月~2月生まれの人など、満年齢と比べると最大2歳近い誤差があった。
大雑把というか、ある種の宗教的なニュアンスも感じられる。

明治時代の男の29歳は、今なら39歳という感じだろうか。
そう考えると、すごくよく分かって身に迫る名歌だと思う。

僕も、40を前にした39歳ごろは、「あ、やべっ!人生半ばを越えてしまった!!俺はいったい、何をやってるんだ!?!」と焦りまくった記憶がある。
短歌には若い頃から興味はあったが、本格的に詠みだしたのもその頃、そうした焦燥感の中だったと思う。

それにしても、与謝野鉄幹って人は偉い。
破天荒な天才歌人であった妻・晶子の暴走を時にそそのかし、時になだめすかしつ、インテリ正岡子規の近代的リアリズムの主張に対抗し、「明星」という砦に拠ってロマンティシズムの灯をともし続けた。

日本男児の、国を憂い民の心を思い恋に身を焦がす赤裸々な魂を、激しく美しく表現し得た、希少なる歌人であり、傑物であった。

・・・誤解を恐れずに言えば、「明治のサザン桑田佳祐」ってな感じかな~?!?

ちなみに、与謝野馨・前官房長官は、この夫婦の孫である。





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最終更新日  2008.01.05 12:04:48
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