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〈イヤミス〉の女王・真梨幸子の長編を読んだ。○ストーリー〈私〉は交際相手の男性の殺人と詐欺に関連していると疑われいる女優・野崎有利子と知り合いになった。やがて〈私〉は彼女の弁護士となり,彼女の過去について誰よりも知るようになるが,徐々に彼女に惹かれ,これまで歩んてきた道を踏み外してしまう。その衝撃の流れとは?------------偶然,岡崎京子の「へルタースケルター」を読んだばかりだ。だから野崎有利子に〈りりこ〉を,辰子に〈多田〉を,重ねて読んでいた。ミステリアスに始まった「深く深く、砂に埋めて」は,意外と地に足が付いた展開を見せる。謎の美女と思われた有利子の出身も辰子によって細かく語られ,巨額の詐欺事件と思われた斉藤の犯罪もありがちな業界紙ゆすりと変わらず,語り手として登場した弁護士・篠原も「へルター」の〈麻田〉とは異なりあっさりと有利子にのめり込んで行く。なんと言うか,「へルター」にはあった主人公と登場人物たちの正気と狂気のせめぎ合いや,欲望に溺れる人々と冷静な人との対比など,ストーリーテリングとしての深みが無い。篠原が調べを進めると,野崎有利子は,ありがちな不幸な生い立ちの少女となり,事件は小さな詐欺事件となる。終盤にどんどんと矮小化される有利子の周辺に,読んでいてかなり呆れてしまった。まるで国家を揺るがすような大事件のように煽っておいて,2時間ミステリードラマのようなありきたりな事件でした,って展開・・・どうしろって言うのよ?大風呂敷を広げておいて拍子抜け。読み終えても,かなりもやっとした気分が残った。------------不満が残る要因は,稀代の悪女として登場し,やがてワガママな美女,そして自分の欲望に正直に生きた女,として肯定されていく野崎有利子のキャラクターが最後までハッキリしないことだろう。養父の小悪党・金田,一流企業にいた斉藤,語り手の弁護士・篠原,さらに多くの人と,男たちは次々に彼女に惚れ込み,言いなりとなり,歓心を得るために犯罪に手を染める。男たちをそこまで狂わせる女性として,この作品で描かれている有利子では,どうしても説得力が無い。「へルター」の〈りりこ〉と比べると,あまりのも存在感が無いのだ。それがこの作品のもう1つの弱さだと思う。------------最後の最後で,ミステリーらしく叙述トリックが投入される。これがしかも「女ともだち」とのリンク。これが一番の驚きかな?
2014.09.30
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8月末と同じ仕事上の大きな節目の2回目が今週ある。今日,本社のエンジニアたちが到着していて,明日の朝から3日間,缶詰状態で社内外の人と打合せが続く。割り切ってしまえば日中の打合せだけをすればいいのだけど,10年来の友人たちなので,朝ホテルに迎えに行き,夜は夜で食事に付き合う。まあ寝る時間だけが残るワケだ。が,金曜日の夜の無駄なハードさがたたっていて,体調がすごーく悪い。顔がはれぼったくて,ボケッとする。もうすっかり中年なので,ムリはダメだ。同僚と明日からのセットアップをして,少し安心した。今日は,アルコールを摂取せずに,早目に寝ることにする。とほほ。(『宇宙兄弟 Complete Box』を聞きながら書いている。楽しい。)
2014.09.29
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『ラン・ローラ・ラン』で主演をしたフランカ・ポテンテが主演をしたホラー映画を観た。-----------○ストーリーロンドンの地下鉄・チャーリング・クロス駅で最終電車を逃してしまったケイトは,さらに駅の構内に閉じ込められていることに気付く。そこへ来ないはずの電車が到着し,思わず乗り込んだケイトは,何者かに追われる。生きて地上に出る,それだけを目指して,ケイトの長い夜が始まる。-----------ふとうたた寝をしてしまって,気付くと電気はこうこうと点いているのに,周りに誰もいない。エスカレーター,エレベーターは止まり,出口はシャッターで閉ざされ,非常用インターフォンは役に立たない。・・・なるほど,これは怖い状況だ。チャーリング・クロス駅は,ロンドンでも街中にあり,ピカデリー・サーカス,レスター・スクウェアなども付近にある。真夜中まで人がいる華やかなエリアだ。そうした駅に閉じ込められたら,不気味な存在が追ってきた,という非日常性のギャップが怖いのだと思う。-----------ただ残念ながら,日本人にはその背景事情は伝わらない。そうすると素直にホラー映画として観てしまう。前半は,街中の地下鉄駅にいたはずなのに,謎の存在に追われるというミステリアスな展開なので面白い。どうして誰もいないのか?誰が追ってきているのか?駅構内に住んでいる人々とは誰なのか?・・・いろいろ想像しながら観ることが出来る。が,中盤以降,謎の存在が姿を現すと,一気にテンションは下がってしまう。こんなヤツに一方的にやられちゃうの?そりゃあ,アメリカじゃないから銃火器はフトコロに忍ばせていないだろうけど,それにしても弱いな,イギリス人。しかも全体的に中途半端なアクションで,イライラする。主人公をはじめ登場人物たちは何度もバケモノを仕留めるチャンスがあったのに,それをしないものだから結局は1人また1人と倒れていく。なんなんだよ?さらに,いつの間にか地下鉄から下水道,そして廃病院へと舞台が移っている。地下鉄駅の構内だから想像力が働いたのに,そこから移動してしまっては,ただ1つの良いところを消してしまっている。-----------主人公のケイトは,冒頭に書いたようにフランカ・ポテンテが演じている。赤い髪から金髪へと染め直して,派手なドレスにハイヒールで登場し,男性の目を惹く美女,という設定で登場する。けれども中身は〈ローラ〉と同じだ。表情も仕草もとげとげしいし,どうしても美人には見えない。中盤,ケイトは靴をハーフブーツに履き替える。〈ローラ〉のワークブーツじゃないけど,やはりこちらの方がしっくりくる。-----------不思議と印象深い邦題は『0:34 レイジ34フン』,一方で原題は『Creep』で,こちらの方がはるかにB級の内容を表していた。B級なら,それなりの吹っ切れた魅力があってもいいのに,それもない。観る価値無しだった。がっかり。
2014.09.28
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土曜日はほぼ1日無線LANがつながらなかった。寝不足だったけど、書きかけだった平日分の日記を仕上げて、PCのメモに保存。何回試してもダメなので、その日は持ち越し。日曜日も朝からつながらない状態が続いたけど、ある時からはスッと環境が戻った。すかさず日記を続けてアップ。が、昼過ぎに短い停電があり、当然何から何まで切れた。姉が電気代払ってないからだと思ったけど、1、2分で復旧。どうやら地震のらしい。そうしたらそれから無線LANはダメ。何回電源入れ直してもつながらない。うー、不愉快。近所の無線LANに負けてるのかな?とにかくダメ…
2014.09.27
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親しかった同僚が転職している。1ヶ月ぶりほどになるけど,誘い合って飲みに行った。行ったのは銀座のスペイン酒場〈ボデガ〉。僕らは奥まったカウンターで並んで飲んでいたが,他は9割が女性だった。新しい店だけど,かなり人気のようだ。定番のバーニャカウダ,本場っぽい白魚のフリットやパテ,アイディア料理のジャンボマッシュルームなど,楽しい料理が多い。最初は生ビールだってけれど,すぐにワインに切り替えて飲み続ける。ボトルを頼むべきだったなあ。-------------もう1軒,行きつけのバーに行ったら,なんと終電を逃してしまった。仕方なく2人でタクシーで帰る。で,帰宅したらカバンを変えていたので鍵が無くて入れない。家電,姉,甥に電話したけど,誰も出て来てくれない。仕方ないので,車の中で夜明かしとなった。あまり寒くなかったのが唯一の救い。久々にやっちまった感のある夜だった。(涙)
2014.09.26
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三浦しをんのちょっと変わったテーマの短編集を読んだ。○ストーリー工芸家の悦也は,建物の鉄製の装飾を製作している。彼に仕事をあっせんしているのは幼馴染の悠助だ。悦也は悠助の制止を振り切って,忌まわしい記憶が残る故郷の街へと帰ろうとする。悦也を気遣う悠助と,それを煩わしく思う悦也。2人の若者の関係はどうなってしまうのか?------------三浦しをんの作品には様々なタイプがあり,悩みながら作風を模索してきたという印象を受ける。耽美な空気のある作品,ファンタジックな作品,コミカルな人間劇場,ハードボイルド,そして最近はちょっと変わった趣味や仕事に打ち込む人々を描く作品,と変遷を見せている。この短編集は,2010年に刊行されたが,純文学風な初期の作風に近いように思えた。なにしろ短編集のテーマが〈心中〉だ。コミカルな要素はほとんどなく,じっくりと人と人のつながりが描かれている。鋭い人間観察,そして随所に光る的確な描写。相変わらずの三浦しをんだ。けれども,やはりいつも持ち味の明るさがないと,どこか物足りない気がした。------------各編について簡単に感想を述べる。「森の奥」:細かいつまづきが重なったため,富士の樹海に入り込み自殺を図った富山。気付くと青木と名乗る若い男に助けられていた。富山と青木は,そのまま樹海の中を歩き続けるのだが,ついにある夜・・・主人公の自殺シーンで始まる,というのは無いことは無いけれども,その後の不思議な緊張感での2人の旅の面白さはやはり三浦しをんならでは。青木と富山の関係は?青木はどうなった?余韻を残して短編は終わる。「遺言」:地方都市で出会い一緒に東京の大学へと進んだ〈私〉と〈きみ〉。卒業し,出版社に勤めた〈私〉は,やがて作家となる。危機を乗り越え,長い時を共に過ごした〈私〉は,〈きみ〉に向けた長い手紙を書く。・・・高校生の〈きみ〉にほれ込み,共に年令を重ねる〈私〉の姿がけなげだ。定期的に心中を持ちかける〈きみ〉も演技がかっていて,どうせそれは実行されないと予測される。ぎこちない2人の愛の姿が描かれる。「初盆の客」:祖母の初盆に実家に帰っていた〈私〉は,祖母の最初の夫の孫だと名乗る男〈石塚〉と出会う。彼が語った祖母の数奇な人生は,祖母の死についてある事実を明らかにした。・・・不必要に凝った構成となっている気がする。優しかった祖母の,意外な一面を発見するというストーリー。「君は夜」:理紗は幼い頃から同じ夢を見る。夢の中では彼女は江戸時代の娘〈お吉〉となり,〈小平〉と一緒につましい暮らしをするのだった。大人となった理沙は,〈お吉〉の人生をなぞるように不幸のどん底へと落ちる。・・・ひたすら落ちていく理紗を描くことで,逆に読者にとって何が大事なのかが見えてくる。夜の夢に一生を支配された彼女は,実は幸せだったのではないだろうか?「炎」:憧れの立木先輩はなぜ夏休み最後の日に焼身自殺をしたのか?〈私〉は先輩と付き合っていた初音と一緒に,その謎を解こうとする。・・・「星くずドライブ」:香那は死んだが,幽霊となって〈僕〉と暮らしている。2人の生活はいつまで続くのか?・・・この短編集では珍しくコミカルな味わいがある。生きていた時のままに痴話ゲンカを続ける2人。この生活をすんなり受け入れられる〈僕〉の柔軟性を見習いたいものだ。「SINK」:一家心中で生き残ってしまい,心を閉ざす悦也。彼を気にして面倒を見たがる悠助,そしてそれを煩わしく思う悦也。あの日,生き残ってしまったのは罪なのか?救いなのか?・・・家族の過去のことを描きつつ,実は男性2人の複雑な感情を描いている。初期の三浦しをんの作風によく似ている。
2014.09.25
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沢尻エリカ主演で映画化もされた岡崎京子の伝説的なコミックを読んだ。○ストーリートップファッションモデルのりりこは,歌手,映画俳優としても活躍を始めていた。だが恋人の資産家息子の裏切られ,瑞々しい美しさを持つ後輩・こずえが現れ,りりこは精神的に不安定となり,仕事で失敗を重ねてしまう。実はりりこは,全身に美容整形を施しており,定期的にメンテナンスをしないと,体内のバランスが崩れ副作用が表面化するという疾患を抱えていた。ますます突飛な行動に出るりりこは,世間を騒がせ,ついに記者会見の場で・・・-------------姉がずっと前からコミックスを持っていて,僕も読もうとは思っていたけれども,ダークな内容を知っているのでなかなかページを開くことが出来なかった。けれども連休もあり,また最近〈イヤミス〉を読み始めて,女性主人公のドロドロな行動に馴れてきた,ということもあり,すんなりと読むことが出来た。-------------驚くのは岡崎京子のファッショナブルでセクシーな絵柄,そして見事なストーリーテリングだ。過去が一切謎となっているファッションモデル・りりこを巡り,マネージャーの女性・羽田,不法な医療行為を追っていた検事・麻田の2人の視点をメインにして,衝撃的な事件の全貌を語ってみせる。りりこに振り回されつつも,りりこに惹かれ,一緒に堕ちて行ってしまう羽田。彼女はりりこを崇拝し,憎んでいる。りりこに命じられるままに犯罪にも手を染めるダメな人間だが,キワモノばかり登場するこの物語で一番普通の人間でもある。中盤から登場し,誰よりも冷徹にりりこを観察するのが検事・麻田だ。彼が想像する〈タイガー・リリィ〉は,まさにりりこの本質を捉えている。現代のジャングルを誰よりも激しく生きるりりこは,まさに〈リリィ〉だ。こうした彩りのあるサブキャラクターのお陰で,田舎の子が都会で成功したけれども転落していく,というこれまでもあったストーリーを多層的な物語へと変換することに成功している。-------------この執筆直後に岡崎京子が交通事故に遭って瀕死の重傷を負うという,呪われた作品なのだが,毒に満ちつつも,恐ろしいばかりの魅力にあふれていることも事実だ。ようやくこの作品を読むことが出来て,満足できた。
2014.09.24
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三菱一号館美術館で開催されている〈ヴァロットン展〉に行った。月曜日は運転免許の更新があったので有給休暇をとった。だから秋分の日と合わせて,個人的には4連休となった。こうした時,取る行動は,ちょっとお出かけだ。日比谷駅からお濠端を歩いて三菱一号館まで行った。最終日だから混むだろうと思って,開館の30分ほど前に行ったけれど,僕の前には1組しか待っている人がいなかった。国立博物館とは違うので拍子抜けだ。いつ来ても気持ち良い中庭で,本を読みながら待っていると,すぐ中へと案内された。-------------○開催内容1章 線の純粋さと理想主義まずは,若い頃のヴァロットンの作品が紹介されていた。写実的な描写力で,残してあるラインに迷いが無く美しい。確かに写真の時代の画家だと思うが,何か違うと思っていたら浮世絵に感化されて版画も描いていた人だった。「エミール・ゾラの装飾的肖像」に才能が光っている。「20歳の自画像」の額縁に「17歳の自画像」と刻印してあるのはどうして???2章 平坦な空間表現この展覧会の白眉と言える傑作「ボール」,そして同じように都会の豊かな生活を描いた作品が並ぶ。しっかりとした表現力の一方で,不思議とのっぺりとした面の塗り方。セザンヌともマチスとも違う表現が新鮮だ。アルプスの山々を描いた版画は浮世絵的。3章 抑圧と嘘家庭生活,家族,親族を描いた作品が多いのが,このパート。だが明るさや華やかさがちっとも感じられない。普通の屋内の静かな場面なのに,変に不安感だらけになる。本当に不思議な画風だ。4章 版画三菱一号館が所蔵している世界的にも例の無いヴァロットンの版画がふんだんに展示してある。浮世絵の影響が見られる大胆な〈楽器シリーズ〉は素晴らしい。一方で,街の人々を風刺を交えてコミカルに描いた作品もあり驚く。ヴァロットンの作品でユーモアが感じられるのは版画だけだ。5章 冷たいエロティシズム6章 マティエールの豊かさ晩年のヴァロットンの作品は,サイズが大きくなり,やや現代的な画風となっている。色のコントラストのセンスは見事だし,相変わらず不思議な静けさはある。けれどもあの吸い込まれるような奥行きは無い。7章 神話と戦争第1次大戦に参加出来なかった画家は,画家として大戦を描いている。けれども抽象的な表現,みょうに歪んだ神話モチーフの絵画など,間接的に作品に仕上げている。どんどんと才能が枯渇していく様が見られて哀しい。-------------最近再評価されている画家なので,実物は初めて見るものばかりだった。三菱一号館の雰囲気も合わせて,ヨーロッパの小さな美術館を訪ねているような気になった。今日で終わりなのに,いまさらの紹介でごめんなさい。
2014.09.23
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ニュータウンを舞台にした少女の閉塞感を描いた作品を読んだ。○ストーリー開発が進むニュータウンに移り住んだ結佳。小学校4年の彼女は近くに住む若葉と信子と遊び,同じ習字教室に通う少年・伊吹雄太をおもちゃにする。そして工事の音が絶えない自分の街を憎むことで,自分を特別な存在だと思うようにする。だが中学校2年になった時,クラスの中で若葉は1番上の派手グループ,結佳は下から2番目の地味グループ,そして信子は一番下のいじめられグループに分かれていた。残酷な学校生活の中で,結佳は習字教室の際にだけ伊吹と親しくすることで,心のバランスを保っていた。------------朝井リョウの「桐島、部活やめるってよ」が高校生活でのクラスカーストを描き,人々の共感を得た。村田沙耶香のこの作品は,中学校の女子生徒を主人公にして,クラスカーストを再び語っている。小学校時代は少し違和感を感じつつも,親しくしていた3人の少女が,中学校に上がると3人ともすっかり別のカーストグループに属しているというのが,キツイ。この変遷を描くことで「桐島」よりも,ぐっと生々しく突き刺さってくる。それにしても,この作品では登場人物たちは見た目と社交性で残酷にグループ分けがされている。昔のことをかろうじて思い出すと,もうちょっと学力とか部活とか趣味とか,複数の価値基準でグループが分かれていたように思うのだが・・・?------------この作品で,主人公・結佳にとって特別な存在となっているのが,無邪気なサッカー少年・伊吹雄太だ。いいように結佳のおもちゃとなり,キスまでさせられていた小学校時代の伊吹は,中学校になるとクラスの人気者となっていた!それでも伊吹はいいヤツのままで,しかも結佳の言うとおり学校では他人のふりをして,習字教室の際にだけ結佳と口をきくという,賢い行動をとってくれる。中学生の男子なんて,自意識過剰なのによくこんないいヤツに育ったもんだ。------------こうした流れの一方で,結佳のやるせない気持ち,身体の成長のことなどが,それこそ赤裸々に語られる。ちょっと中学2年生の姪には,まだ読んでもらいたくない。それだけ真に迫った心の動きが描かれているということだろう。
2014.09.22
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『亡国のイージス』『終戦のローレライ』などの骨太の映画を発表している作家・福井晴敏の最新作品を観た。-----------○ストーリー詐欺師の真舟は,〈M資金〉をネタにした仕事を行っている。だが彼の前に〈財団〉の代表であるという青年・笹倉が現れる。笹倉が真舟に持ちかけたのは,本来は戦後の日本を開放するために運用されるはずだった〈M資金〉を,人々の手に取り戻すことだった。ロシア,東南アジアの小国・カペラ,そしてアメリカを舞台にして,〈財団〉と世界の命運が争われる。-----------日本映画なのに,こんな抽象的なテーマでアクション映画を製作するなんて,よく頑張りました。と言う以上でも以下でも無い,というのがこの映画の感想だ。東北大震災,金融大暴落を踏まえて,社会的なテーマを持たせた映画なんて,日本の映画としてはかつてないほどタイムリーで大スケールだ。ヲイヲイと思いつつも,そうした大風呂敷もたまには良いよなと思わせられる。〈M資金〉を扱う団体が,いつの間にか〈財団〉から,世界の資本経済を牛耳るあのユダヤ系財団になってしまったのは謎だし,ただの詐欺師がいつのまにか正義の味方になってしまったのも謎だ。けれども,そうしたことを度外視して,どんどんと物語は進む。-----------冒頭に紹介したとおり,原作と脚本の福井晴敏という作家は,妙に恵まれていて,日本のクリエイターとは思えないほどいろいろな制約を離れて作品を映像化することが出来る人物だ。作家として一定の評価を得ているということ,映像化作品がヒットをしてきたことなどがその理由だと思う。それは日本の映画界にとっては新しい風が吹くということで,良いことではある。一方で,それほどしないと少しも新しい風が入ってこないということでもあるけど。とにかくそのおかげで,最初から大風呂敷を広げ,世界4大都市ロケみたいな予算付けが行われたようだ。その効果は・・・うーん,確かにあるんだけど,現地で雇ったと思われる外人俳優たちがどうしようもなく素人臭いというのは,お金のかけどころのミスだと思う。もっとも日本映画の俳優たちも,いつも通り伝統芸能を展開しているばかりで,佐藤浩市の髪型,森山未来の英語,観月ありさのアクション,と,リアルではあり得ないディテールを,映画で堂々とさらしてしまうこの感覚は直さないといけないと思う。細部のリアリティからフィクションはアプローチすべきだと思うな。-----------国連の会議場に乗り込んで,一発逆転を行ったまでは良いんだけれど,その次になんかヒネリがあると思ったんだよね。それだけのお金を投じて,それが見えて,それで?それが何?それが新しい世界なのか?ハッとさせられるような展開じゃないってことは,やはり新しさが足りないんだと思う。ちっともヒットしなかったことからも分かるように,壮大な失敗作,そんな気がする。ひょっとしたら,スティーブ・ジョブスが観たら喜んだかも知れないけどね。
2014.09.21
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『機動警察パトレイバー』の続編と言う設定の実写版映画を観た。-----------○ストーリーかつて東京湾の大再開発事業を支えた特殊車両・レイバーは,景気の低迷から存在価値を失いつつあった。レイバー犯罪に対応するための警察組織,特殊二課は,栄光の時代の遺産を食い潰す3代目と言われつつも存続をしていた。3代目の隊員たちの疲労がピークに達する中,久々の出動要請があった。現場に急行した特殊二課は・・・-----------この作品は1989年に〈少年サンデー〉でマンガ連載が始まり,すぐにアニメビデオが製作され,その後映画版,テレビ版が放映された。5年ほどで,当時は珍しかったメディアミックスのはしりとして,ひじょうに話題となり,今でもファンの多い伝説的な作品となった。1998年を舞台にし,工業用機械レイバーというものを前提にしたリアルな設定,それと平行した独特の間合いのゆるいユーモア,これがこのシリーズの魅力だった。一方で,映像作品はどんどんとシリアスでハードな方向へと進み,映画版の第2作,第3作は難解,楽しめない,という評判が影響したのか,2002年を最後に新作が作られることがなくなってしまった。その後は小説での展開やハリウッドでの映画化の噂など,かなり終わったコンテンツとしての扱いばかりだった。-----------そこに来て2013年の去年から始まったのが,実写映画化という企画だった。なるほど,リブートか?と思いきや,これまでの作品をベースにした続編というのが一番の驚きだった。確かにこの10年間でCGの技術は進み,さらにハリウッド以外でもそれが扱えるようになり,TVの特撮番組でも,驚くようなCGシーンが出てくるようになった。時代の流れとしては,かつてのアニメや特撮作品の実写版が製作されてもおかしくない。ただ問題は,そうした系列の作品が,いざ映画化されてみると,どれも元の作品の魅力を伝えていない,というのはずっと続いている問題だ。今回の『パトレイバー』の実写化は,かつて映像化,映画化を行っていた監督本人が,そのまま行うという企画だ。果たしてその結果は?-----------ダメでした,というのは簡単だけど,全7章まであるので,その評価は保留にしたい。これまでの様々な映像化版を観ていたファンとしては,なるほど懐かしいと思う部分はあるのだけれど,マンガやアニメのお約束を,そのまま実写版に持ってこられても,恥ずかしいというか,痛いというか,そういう感覚が前面に出てしまってとても困ってしまう。僕らは15年間年をとったのに,オリジナルのテイストで実写版を製作されても,だいぶ気持ちが引いてしまう。そのことを分かってないと思う。
2014.09.20
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今週はこれまでにも増して朝夕に涼しさを感じる。これまで通りポロシャツメインでお気楽な格好で出社しているけど,さすがに少し肌寒く感じる。夜寝る時も,Tシャツ短パンからトレーナーの上下に切り替えた。ただ,たまに暑いと思う夜があって,Tシャツで寝てしまうことがある・・・でもそうするとてきめんに翌朝身体が冷えている。火曜日の朝もそんな日で,午前中だるくなって困る。暑い気候好きとして,夏スタイルのポロシャツを貫くべきか,寒いのキライタイプとして,早々に秋スタイルに切り替えて軽いジャケットを着こむべきか,悩む。温暖化はどこ行ったんだよ~? 涙
2014.09.19
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しばらく前から話題になっていたスコットランドのUK(イギリス,ユナイテド・キングダム)からの独立判断の投票が始まる。--------------これもニュースで議論されいたけれど,今のUKの国旗は,イングランド,アイルランド,スコットランドのそれを重ね合わせたものだ。ここでスコットランドが抜けてしまうと,地の色となっている青がすっかり消えてしまう。赤と白の2色しかなくなってしまうし,だいぶ間抜けな印象となってしまう。ニュージーランドなど,UKの国旗を小さくあしらっている国はどうするんだろう?心配だ。それにしてもウェールズの国旗って,無視ですか?・・・涙--------------もう1つ気になるのは,UKにとってのスコットランドって,どれくらのウェイトなのか?ということ。これを日本に例えると,どれくらいの範囲が独立して消えてしまうことになるんだろう?同僚と話し合って,「北海道?」「いやいやもっとだよ」「じゃあ,東北も?」「当然!あともうちょっとかも?」「茨城に栃木も付けちゃう?千葉はどうする?」「千葉は残して」ということで,まあ北海道と東北ぐらい,ということになった。--------------たまたま会社にイギリス人の人がいる。彼いわく,「スコットランドさよなら,好きにすれば」だそうだ。
2014.09.18
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〈イヤミス〉の旗手,湊かなえの第6作目を読んだ。○ストーリー高校教師の大場敦史は,入院中の恩師に頼まれて,彼女のかつての教え子たちに会いに行く。彼らは竹沢先生と一緒に20年前にある事件に巻き込まれていた。その経験を経て,それぞれが選択していたこととは?これまで見えていなかったことが,大場の目の前で展開される。------------〈イヤミス〉なんて誰がわざわざ読むのかよ?・・・と言っていた僕も,いつの間にか湊かなえの作品を順調に読み進んでいる。さすがに話題になるベストセラー作家だけあって,文章は読みやすく,物語の流れはスムーズで,着目点も面白い作品は「告白」からの伝統どおり,ある人物の一方的な語りが繰り返され,徐々に真相が炙り出される,という手法だ。今回は”往復書簡”という形態を取っているので,長語りが避けられ,ぽんぽんとラリーが続く。会話と独白の中間というバランスで,どこか舞台劇に似ていると思った。例によって強引な展開はあちこちで見受けられる。で,売りの〈イヤミス〉展開は・・・なぜかひじょうに薄かった。むしろ泣かせの方向だっただけれど,最後まで騙されまい,と身構えてながら読んでいたので,作品に乗り切れなかった。ある意味,王道の展開となる物語。湊かなえ作品だから驚いてしまったけれど,本来はこれがフツーの展開だ。------------各編について簡単に感想を述べる。「十年後の卒業文集」:卒業から10年後,同じ放送部に所属していた浩一と静香が結婚する。同窓生たちは10年ぶりにほぼ全員が顔を合わせたが,浩一と付き合っていた千秋は姿を見せなかった。海外から戻った悦子は,彼女に何が起きたのか同窓生たちから聞き出そうと手紙を送り始める。・・・高校時代の友人の手紙を通じて,ある事件が明らかになり,そして10年以上の気持ちのもつれも炙り出されてくる。これは見事だ。あるミステリーのトリックが仕掛けてあるのだけれど,それ無しでも十分作品として成立したと思う。逆にそのために不自然さが際立ってしまっていてマイナスとなっていると思う。「二十年後の宿題」:入院している小学校の恩師・竹沢先生から依頼され,小学生時代の作文を届けるために,大場は6人の人々に会おうとする。やがて大場は,彼らと竹沢先生は20年前に起きた事故の関係者であることに気付く。そこから見えてきたものは,やがて大場にも重くのしかかり・・・最初の中編と同様に,手紙を通じて過去の事件が明らかになってくる。最初は素直な人の感想が語られるのだけれど,徐々に観察眼の鋭い人の語り口となり,人の気持ちのダークな部分が見えてくる。これは確かに王道展開できちんと楽しめる。大場は前の中編から1人だけ登場人物が重なるのがリンク。「十五年後の補習」:突然,国際ボランティア隊員として,2年間の任務で危険な発展途上国に行ってしまった純一,残されてしまった真理子。彼らは高校から15年間付き合っており,何でも話せる関係のはずだった。交わす手紙を通じて,真理子は中学生の終わりに起きた事件のことを思い出し始める。・・・語り手が恋人同士ということなのに,他人行儀な手紙で始まり「昭和かよ」と思ってしまう。今回も過去の事件がキーとなるが,これまでで一番不自然。「一年後の連絡網」:エピローグ・・・これについてはいろいろネタバレになってしまうので,感想は述べない。数ページの短いものだ。2番目と3番目の中編をリンクしている。------------こうした流れとなると,次の作品の流れが予測できなくなる。やられた!!
2014.09.17
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〈アルバイト探偵〉あるいは〈アルバイト・アイ〉シリーズの(復刊)第4作目を読んだ。○ストーリー粕谷という男の登場で,冴木探偵事務所の所長の行動は怪しくなる。それを見ていた息子の〈アルバイト・アイ〉・冴木隆は,独自に調査を始めるが,六本木での銃撃戦に巻き込まれ,意識を失う。気が付くと隆は,いなかったはずの母親と妹と共に,見知らぬ街で暮らしていた。不自由の無い街での暮らしに混乱する彼の前は,この街の成り立ちを調べ始める。この街の危機を知った隆は,どちらの味方となるのか?------------日本を離れ,異国の地で大冒険となった第3作に続き,この作品も渋谷や六本木を離れ,不思議の国〈諜報街〉を舞台にして進む。いないはずの優しい母親と美しい妹と暮らす主人公・隆。読者も主人公本人も,これってなんかおかしいよね?と知りつつも,そのまま物語は進む。その不思議な街で発生する,謎の連続殺人事件・・・どんどん物語の流れが横へ横へとずれていくと感じつつ,ひょんなことで物語は本流へと戻る。まあそれほど混乱を心配するまでもなく,大沢在昌の作品らしく,小さい範囲で辻褄は合うようになる。------------『プリズナー』みたいな,アメリカンサバービアで目覚める主人公。アクションシリーズとしては”あり”の展開だが,わずか4作目でここまで行ってしまうのは,さすがにぶっ飛び過ぎだと思う。だって主人公の隆は,十分現実の東京を気に入っていて,自由に楽しんで生きている。どれだけアメリカンドリームが提示されようと,そこに溺れてしまうような,そんなキャラクターじゃない。例えば,死んだはずの恋人が復活して一緒に暮らしてくれる,それくらいの魅力が無いと,楽しい現実を捨ててここで生きようとなんてしないはず。そもそも根本の設定が間違っていると思う。間違えたのは,作者の大沢在昌か?それともラスボスの粕谷か?------------ただでさえ現実味の少ないハードボイルド探偵というジャンルで,前作では架空の東南アジアの独裁国家,今回は意図的に作られたスパイの街という舞台を用いることは,せっかく現代の東京でこのジャンルを語ろうとしてきたこのシリーズの魅力を大きく損なっていると思う。たかが2作で,このシリーズの展開に限界を感じたのか?そんなはずは無いと思う。〈007シリーズ〉の映画並みにぶっ飛んでしまったこの作品から,どのようにシリーズが展開していくのか?シリーズの再生はありえるのか?次作を楽しみにしたい。
2014.09.16
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連休の初日に世田谷文学館で開催されている〈日本SF展〉に行った。○開催内容I.日本SF概論まずは〈SFマガジン〉〈SFアドベンチャー〉〈SF宝石〉など,一時期は複数刊行されていたSF雑誌が掲載されている。それを皮切りに,日本SF界の重鎮たちが興した〈日本SF作家クラブ〉の黎明期が語られる。東の星新一,西の小松左京,2人を支える豊田有恒,そして日本SFの始祖・海野十三が紹介される。・・・導入は短い展示が複数紹介されている。初期の創元SF文庫が並んだショーケースは圧巻だった。II.日本SFを支えた作家たち筒井康隆,手塚治虫,真鍋博,小松左京,星新一をテーマにしたコーナーがある。家族でSFファンジンを刊行して有名になった鬼才・筒井康隆。言わずと知れたマンガ界の巨人でSFにも理解が深かった手塚治虫。なぜかクリスティ作品の表紙が並べられていた未来のイラストレーター・真鍋博。日本SF界を牽引した重鎮・小松左京。そして世界一のショートショート作家・星新一。・・・作家ごとにチカラの入った展示となっており,さすがは文学館というところ。直筆の原稿やメモも多く,筒井家の見事な雑誌,小松左京の膨大な研究資料,星新一の緻密で細かいメモなど,なるほど!と思わせる実物には説得力がある。III.日本SFと映像化SFへの圧倒的な追い風となった1970年の大阪万博と,〈日本SF作家クラブ〉の協力が語られる。そして『ゴジラ』など特撮映画,『アトム』などアニメーション作品が紹介される。・・・正直,この展覧会で一番弱かったのはここの部分。2012年に東京都現代美術館で開催され話題になった〈特撮博物館〉と比べると,何をしても物足りなく感じられるので,難しいところだとは思う。もっと大阪万博にフォーカスするとか,テクニックは無かったのだろうか?IV.浦沢直樹『20世紀少年』の考察1970年へのオマージュにあふれたこの作品に見られる日本SFの影響とは?・・・どんどん尻すぼみとなるこの展覧会の,残念ポイントはまだ続く。異様に観づらい展示,何を意図しているか分からない説明。時間が足りなかったのかも知れないけれども,これはヒドイね。-------------いろいろ不満を感じてしまう点はあったけれども,区立の文学館の展覧会としてここまで出来ている,という視点で見ると,これはスゴイことだと思う。展覧会の内容に合わせて,50代を中心にいわゆる”濃い人々”が来ていた。今と違ってSFって独特の位置にあった。テレビドラマはもちろん,少年マンガの連載だってSFなんてほとんど無かった。そんな中でも,このジャンルに魅力を感じていた人がいて,こうした活動が続いていた。でも,それはもう上手く伝えることは難しい。でもこの展覧会や,来ている人たちを見ていると,ちょっと思い出す。とても懐かしかった。世田谷文学館のチャレンジにありがとうと言いたい。
2014.09.15
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敬老の日の祭日が月曜日で3連休となった。中学生の姪は文化祭で準備,片付けを含めて,ずっと出掛けている。姉はいろいろ予定を入れていて,毎日2つくらい用事をこなしている。僕は用事だったりお出掛けだったり,半日出て戻るカンジ。甥は家でぶらぶら(笑)。天気は良くて晴れているのに気温はそれほど高くない。今年は残暑というほどの気候はなく,過ごしやすい。暑いのが好きな僕としては残念だけど,出掛けたり,趣味の工作をするには確かに快適だ。連休満喫だ。
2014.09.14
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SFアクション映画の名作『ロボコップ』のリメイク映画を観た。-----------○ストーリーデトロイト警察内部からの武器流出を捜査しようとしていたアレックス・マーフィ刑事は,犯罪組織が仕掛けた爆弾で瀕死の重傷を負う。彼を生き延びさせるために,妻のクララは〈オムニコープ社〉のロボットへの移植希望を同意する。マーフィは意識を取り戻し,順調に機械の身体とシンクロを進めるが,感情が高まるとそれが乱れてしまう。プロジェクトの早急な成功を望んだ〈オムニコープ社〉は,マーフィの感情を封じ込めてしまう。完全なロボコップとなったマーフィは,驚異的な効率で犯罪の検挙を行うが,それは〈オムニコープ社〉の思惑を超えてしまう。会社はマーフィを亡き者にしようとするのだが・・・-----------僕自身オリジナル版が好きで,シリーズ3部作も観ている。また最近テレビでオリジナル版を放映していたので,記憶も新たになっていた。そんな中,このリメイク版を観たので,必然的に新旧を比べることとなった。リメイクとは言え,新旧の差は意外と多かった。まず見た目で明らかなのは,ロボコップのデザインだ。当時でさえ「え?『スターウォーズ』のC3-PO?」というレトロテイストも取り込んでいた,無骨な旧ロボコップに比べて,新ロボコップは身体にフィットしていて変身ヒーローのようだ。ヘルメットを外した状態も,旧デザインでは身体と機械の段差ラインがあって,ちょっとグロだったが,今回はそうしたところはほぼ隠されていてスマートだ。これに伴い,旧ロボコップは,ガシンガシンといかにもロボットという,ちょっとコミカルな動きをしていたのに,新ロボコップはバイクで事件場に駆け付けスピーディでスマートな印象だ。-----------次に目立つのは,マーフィ刑事と妻子との関係だ。旧作では殉職と同時にマーフィはロボットと化してしまい,妻子は早々に去ってしまう。新作ではマーフィの命を救うためにロボコップ化は実施され,妻子は快復を待つ。ロボットから人間へと戻る主人公,という大きな流れがあり,それが大きなテーマだった旧作と比べると,新作では家族に愛され続けていてなんだか拍子抜けだ。-----------最後に黒幕〈オムニコープ社〉の扱いが大きく異なる。会社社長=悪いヤツという空気が残っていた旧作の時代と比べると,現代では会社のCEOってのは,いろんな障害を乗り越えて会社と社会の繁栄を目指すということになっていて,この作品でもそうだ。新作の〈オムニコープ社〉社長は,決して単純な悪役ではない。もちろん自分の会社の製品は売り込みたいのだけれど,そこで使っている警察官の殉職を無くし,社会の安全を確保する,というロジックは間違ってはいない。最後に,この社長が悪役ってことになっちゃうんだけど,ギリギリまで脚本は必ずしもそういう展開じゃなかったハズなんだよなあ。-----------様々なレベルでリアリティを追及してしまって,逆に作品の切れ味が薄れている,そんな気がする。特撮も下手だし,人間描写も下手だったけど,それでも旧作の方が魅力があった。
2014.09.13
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今週の水曜日から金曜日まで,ビッグサイトで〈国際物流展〉というイベントが開催されている。この名称ではちょっとピンと来ないかも知れない。まずはトヨタ,コマツなどのビッグネームの産業用車両のメーカー,次にダイフク,IHI,ムラテック,オカムラ,ホクショーなどの搬送機械設備メーカー,さらに三甲,岐阜プラなどの物流補助資材メーカー,そして大量のシステム機器メーカーが出展している。僕は毎年〈東京おもちゃショー〉でビッグサイトに行っているのと,時々近くや電車に乗っている時に「あ,こんなイベントやっているんだ」という個人的な感想が比較の対象になるが,この展示会がこれほどのスケールだとは思っていなくて驚いた。そりゃ,〈コミケ〉のようなバケモノイベントは異なるけど,ビッグサイトのホールを4つも使って行い,4日目のギリギリ最後まで来場者が次々に訪れ熱気があふれているとは!ホントに驚いた。-------------こちらはちょうど新しい施設を開設するので,以前からの知り合いだったり,興味持って飛び込みで入ったりするブースで話がはずむ。こちらも解決したい課題がいくつかあるので,それにつながる情報がビンビン来る。これはなかなか楽しい・・・けれどそういう機会じゃない時はどうなんだろう?-------------近い業界にいる僕らにも興味があるイベントなので,同僚と3人で行ったが,会場で10人近く更に同僚に会った。早めに帰っちゃおうかな?なんて思っていたけど,終了ギリギリまで真面目に見てしまった。その後,しっかり飲みに行ったけどね。
2014.09.12
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若竹七海のデビュー4作目の長編を読んだ。○ストーリー佐島兄妹は2人で暮らしている。兄の才蔵は市内の文学記念館に勤め,妹の楓は駆け出しのミステリー作家だ。兄の職場は,明治の財閥一族から生まれた文豪の暮らしていた館と庭園をそのまま記念館にしているのだが,そこで放火騒ぎが起きる。騒ぎに不安を感じる佐島姉妹と同僚の女性・知佳の目の前で,記念館から死体が発見される。さらに行方不明とされた文豪の姉の日記の写しが発見され,記念館は存続の危機に陥る。果たして事件に隠された謎とは?------------主人公と同僚たちも魅力的,舞台も配置図と建物平面図が付されていてワクワクする,仕事の風景もちょっと変わってはいるが面白い,それを描写する若竹七海の文章も無駄が無く読みやすい。主人公・才蔵と近い立場の同僚,落ち着いたお姉さん風の鶴子,今の言葉で言うとツンデレ系の知佳,可愛いくて病弱で不思議系の夕貴,と,恋愛ゲームかよ?というような,オイシイ状況なのだけれど,才蔵がぼーっとしているのでほのぼのとした空気で物語は進む。それを引き締めるのが,ミステリー脳(?)の妹だ。それなのに,物語の流れはスムーズには行かない。なんだろう,このもどかしさは?------------物語が置かれている状況としては,文学記念館に放火などなんらかの妨害工作が加えられており,それにどういう大きさで対応するか?というところだ。ただ,妹・楓が心配しても,兄・才蔵は,ゆっくりと対応をしていて,物語は進展が無いまま中盤まで進む。そこで起きる新しい事件が,生々しいのにあまりにも唐突で,それでもの流れと全く合っていないのに違和感を感じる。その後,事件の真相が徐々に明らかになるのだが,個人的にはそのどれにもスケール感の小ささに落胆を感じずにはいられなかった。------------状況的にはツンデレでツンツン状態の知佳と,大人しく優しい才蔵が上手くいっていると思っていたのに,主人公の才蔵は鶴子に惹かれていたということが分かる。ええっ?なんか伏線あったっけ?そうした違和感がぬぐえない内に,鶴子さんのイメージがガタガタと崩れる情報がどんどん明らかになる。でも,それって必要だったかな?作者が意図的にキャラクターの悪いところを描いて,引き摺り落とそうとしているような印象を受ける。読んでいて,ぞわぞわと気持ちが逆なでされるような,嫌な気分になるのはそれが原因だと思う。------------読者をイヤな気分にさせたいのと,ミステリーを書きたい。若竹七海はどっちを優先させたいのだろう?はっきりさせてから作品を発表すべきだと思う。
2014.09.11
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”頑固な人々”という意味の新野剛志のハードボイルド短編集を読んだ。○ストーリー引退したお笑い芸人の〈私〉が経営するアパートに,娘と連絡が取れないと押しかけてきた夫婦がいた。だがその娘には父親がいなかった。〈私〉はその夫婦を尾行し,やがて彼らが調べようとしていた事件に気付く。〈私〉は殺人を阻止するために,ある別荘に駆けつけるが?・・・------------「どしゃ降りでダンス」と改題されている作品だ。どうしたらハードボイルドのフォーマットを現代の日本に当てはめることが出来るか?それを考察しつつ作り上げた作品だと思う。主人公が一匹狼の探偵であるなど,のっけから明らかに不自然な設定があるが,それ以外は登場人物の心の流れを丁寧に追って物語が構築されていると思う。とは言え,ハードボイルド・・・長編だとくどくなる部分が,短編にしたことできゅっと締まっているように思えた。悪くない。------------各編について簡単に感想を述べる。「オリジナル・ウエディング」:探偵事務所に勤める〈俺〉が依頼されたのは,婚約者の女性の不審な行動の調査だった。確かにその女性は,ある夕べ,男性の住む家に入っていった。だがその真相とは?・・・ハードボイルドの伝統にのっとった短編だ。依頼者の男はイヤなヤツで,調査対象の婚約者の女性は大人しく美しい。冷静に考えると,この探偵不気味だと思う。「幸福なボブ」:〈誰かボブを助けてあげて。 チエ〉,その書き込みを見た〈私〉は,ボブを助けるために,あるクラブに乗り込む。そこにいたのはロブという整体の老人で,〈私〉と会った直後に謎のグループに拉致されてしまう。ロブを追う〈私〉は,ある国会議員の闇を知ることになる。・・・何やらイキオイのある酔っ払いの登場だ。正直,ハタ迷惑なだけの人のように思えるが,きちんと事件は解決している。それにしてもなあ。「ちいちゃな男」:〈俺〉を馬鹿にした女を見返すために,〈俺〉は仲間と廃病院へと向かう。だがそこで事件が待ち構えていた・・・「私が探した少年」に似ているが,パロディではなく真面目に〈ちいちゃな男〉物語を描いている,,と思う。クライマックスにヒネリがあるので,ちょっと肩透かしの気分になる。ひょっとして友人のヒロシの方が,ずっと優秀じゃないの?「公僕の鎖」:〈私〉のアパートの女性の部屋を,連絡が途絶えて心配した両親が調べにきた。だがその女性は〈私〉の部屋に居候しており,父親は既に亡くしているということだった。不審に思った〈私〉は,両親という男女を尾行する。やがて見えてきたのは衝撃の事件だった!・・・「八月のマルクス」の主人公・笠原が再登場し,この作品の中で一番しっかりとした骨組みを持った短編だ。主人公と晴子の関わりもいいし,シリーズ化すればいいのに。「ステップ」:失踪した元妻を捜し,〈私〉はあるレストランの店長を訪ねる。彼も元妻の所在を知らなかったが,〈私〉は彼の行動に不審な点を感じて,彼を尾行する。そこから見えて来た事件の全容とは?・・・長編にも出来そうな設定をスパッと短くまとめているのに好感が持てる。ただ,ちょっと不自然かなあ?
2014.09.10
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会社から帰って、なるべくその晩に日記を書いてアップしようとしている。それでも何日かは遅れて、週末にキャッチアップしている。困るのがせっかく書いたのにネットにアップ出来ない時だ。ウチの無線LANは不安定で、しょっちゅう電源を入れ直さないと接続が切れてしまう。ひどいと半日つながらないなんてこともある。何回も書いた文書がアップの際に消えた経験を重ねたので、今ではまずメモ帳で記事をまとめ、それからアップすることにしている…少しは学んだ。で、昨晩も10時過ぎからとうとう最後まで接続が切れたままだった。せっかくの文章はPCのローカルに眠ったままだ。やれやれ
2014.09.09
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真梨幸子のデビュー2作目を読んだ。○ストーリー名門中学に無理をして合格した少年が,学校のカリキュラムについていけなくなり家庭内暴力を繰り返す。悩んだ父親はその少年を殺めてしまう。「西池袋事件」と呼ばれるようになった事件から16年後,失職した〈僕〉は,マニュアル作成とデータ入力の2つの仕事をやりくりしながら,なんとか生活しようとしている。だが〈僕〉は過去の記憶にさいなまれ,やがて・・・------------現在の〈僕〉が置かれた状況が経済的にどん底で,上司も同僚もリアルなのにどこかずれたヘンな人ばかりで,読んでいてひじょうに神経が磨り減る。さらに16年前と現在がイレギュラーに交差し,所々に「西池袋事件」が描写される。〈僕〉は死んだはずの少年なのか?過去と現在はつながっているのか?読者を混乱に陥れつつ作品の9割以上を費やして第1章が終わる。第2章が解決編だと思った読者--僕のことだけど--は甘かった。・・・結局何が起きたのだか分からない。------------真梨幸子だから,最後には伝染病とか寄生虫とか,グロ系になるのかと身構えていたが,それは無かった。けれども第1章で散々精神的に混乱させられて,第2章でもその呪縛を解いてくれないというのは,なかなか疲れるものがある。ひょっとして真梨幸子の作品って,問題編の混乱をグロでムリヤリ辻褄をつけるチカラ技が持ち味だったのかなあ?それがないと,この作品のようにモヤモヤしたまま終わってしまうんだろうか?読み返したらナルホド!となるのかも知れなかったけど,陰鬱なページをまた最初から辿るのはムリだった。きちんと読み返すと,違う印象になる?・・・そんなことは無いだろうなあ。
2014.09.08
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スタジオジブリ風のアクションアニメを観た。○ストーリー高校生のアキユキは,通学の途中にテロ事件に巻き込まれ,〈ザムド〉へと変容する〈種〉を身体に植え付けられてしまう。〈ザムド〉を敵性生物として排除しようとする軍政府から逃れ,また自分の中の〈ザムド〉の成長を抑えるために,アキユキは国際郵便船〈ザンバニ号〉に乗り込む。一方で,アキユキの幼馴染の少女ハルは,故郷と家族を救うために,軍属になり,やがて彼を探すために旅に出る。-------------監督がジブリ出身の人ということで,「ナウシカ」の原作本風の世界を舞台にした物語だ。普通のSFドラマを発注したつもりのスポンサーは驚いたことだろう。南北に分けて微妙なバランスを取る世界。人々から迫害されつつも千年に一度の復活の儀を信じるルイコン教の人々。人々の魂を集めて生き続ける北の皇帝。そうした背景の中で,「ラピュタ」風の乗り物が行き交う。-------------ひじょうに複雑でハイファンタジー風な世界を長い物語で丁寧に描いている。個人的には好きなタイプだが,これってテレビ番組としては地味だっただろうなあ。
2014.09.07
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レオナルド・ディカプリオ主演,マーティン・スコセッシ監督のアカデミー受賞作品を観た。-----------○ストーリーウォール街の一流投資会社に就職したジョーダンが,証券ディーラーの資格を取ったその日に,株式大暴落〈ブラック・マンデー〉が発生する。街の小さな投資事務所に移った彼は,驚異的な説得力で業績を上げる。独立したジョーダンは,一般の株,小口取引,そして新株式売り出しなど複数の手法で膨大な利益を上げる。ウォール街に復帰し,富も名声も手に入れた彼は,成功者として賞賛される。会社を挙げてクスリと派手な女遊び,そして違法取引を繰り返していたジョーダンたちは,FBIに追い回されるようになる。そして・・・-----------これが実話だということも驚きだが,成り上がりの大金持ちジョーダン・ベルフォートを,最終的には礼賛している映画の方向性に一番驚いた。もちろん,主人公ジョーダンを批判し,馬鹿にしている面も描いている。あらゆる手口で金を稼ぎ,同僚と部下を鼓舞し,クスリの摂取を繰り返し,商売女を会社のイベントで呼ぶ,そんな姿がきちんと画面に出てくる。けれども,不幸になった顧客は登場しないし,クスリの副作用は発症せず,猥雑なイベントはワイルドだが明るく描写される。主演のディカプリオのイメージダウンを防ぐとか,一般公開映画のギリギリとか縛りがあるのかも知れないけど,これだけ楽しみがあるならば,金儲けは悪くないかも?と思わせてしまうのは,基本的に成功者を正義として捉えるアメリカ社会ならではだ。「この会社こそ自由社会アメリカを体現しているんだ」というジョーダンの演説は,この映画のテーマを表していると思う。良くも悪くもだけど。-----------ジョーダンは,若い頃から自分を支えてくれた妻を切り,他人の妻を奪い取る。そんな彼も,一緒に会社を興した仲間は,いつまでも一緒にいる。一度”ウォール街落ち”をした際に,その地元で集めた人々というだけであって,やる気はあるんだろうけど特別優秀とは思えない。そんな彼らが最後までジョーダンの会社の幹部として残っているのは,不思議だった。友情には意外と篤い人だったのかな?ジョーダンはとにかく何かに取り付かれたように金儲けに励み,一方で浪費を続ける。そのアップダウンが派手なので,あまりこの手の映画が好きではない僕でも,3時間という長い映画を楽しむことが出来た。ダメ人間かも知れないけど,面白くて凄いヤツ。・・・うん,確かに。-----------ジョーダンと対比して描かれるのがFBI捜査官のパトリック・デナムだ。ジョーダンの同僚たちは,あまりスマートに見えないのだけれど,高そうなスーツに身を包んでいる。デナムはくたびれたスーツで現れるが,元運動選手のように整っている。この捜査官が,じわじわとジョーダンたちを追い詰めていく部分も,この映画の見所の1つだ。デナムが地下鉄に乗って帰宅するというシーンは印象的だった。デナムを演じるのは,カイル・チャンドラー。いろいろな映画に出ているけれど,もう1つ決め手が無い。これを機にもっと売れるといいと思う。-----------映画はR-18指定になっている。ナットクの猥雑さだけど,これが現実だったのね!!(笑)
2014.09.06
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鯨統一郎には珍しくシリアスなミステリーを読んだ。○ストーリー会社社長の娘・美羽が幼稚園から誘拐され,社長・高村謙二の家には身代金を要求する電話がかかって来た。警察に告げずに,犯人の命令に従い,高村家の人々は金策,そしてその意外な受け渡し方法に翻弄される。高村謙二は,離婚した元妻・五井博美にも助けを求め,娘を返してもらおうとするが,警察に誘拐が知られ・・・------------コミカルな歴史ミステリー,謎のトンデモミステリーが圧倒的に多い鯨統一郎だが,久々の正統派ミステリーだ。一時より発表作品が少なかったが,最近はまた多くなっているのも,ファンとして嬉しい。登場人物も多く,高村謙二側と五井博美側,それぞれで怪しいキャラが現れる。これは離婚する前に何か事件があったのか?こいつとこいつが実は結託しているのか?・・・いろいろ考えながら読み進んだ。だが朝の会社向かうまで,出社してからの時間,そして昼休みで終わってしまって,だいぶ拍子抜けした。300ページのハードカバーなのに,なんでこんなに軽い読み応えなんだろう?・・・なんか残念だ。------------きちんとミステリーとして仕掛けがあるし,鯨統一郎としては,かなりの自信作なのではないかと思う。高村謙二がかたくなに警察への通報を拒んだり,高村も五井博美もあっさりと多額の現金の入手に成功したり,一方で犯人っぽい関係者も複数現れる。さらに女子高生と私立探偵も登場して事件を解いてしまう。総合的にはいろいろと不自然な部分があり,ファンとしてもちょっと擁護しづらいレベルだと思う。作者のチカラの入れ具合と結果がうまく合っていない不幸な作品だと思う。とは言え,鯨統一郎の多才ぶりが久々に見えて,ファンとしては応援したくなる。
2014.09.05
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同僚への付き合いで飲み会に行った。男性4人,女性3人と,まあちょっとした合コン風ではある。有楽町とか新橋はよく行くけど,都心の繁華街なので,人が多い(汗)。ただし同僚が友人(女性)に出会いの場をセットしようという会で,元々顔見知りの僕がいた方が落ち着く,という理由で参加を頼まれた。出会いの方面ではカウント外だ。最近いわゆる「いい人」扱いされている。不思議なもんだ。-------------ダーツは先端は尖っているものの柔らかいプラスチックになっていて,的のへこみに刺さる,という安全設計のもの。それだけでなく,全部電子的に点数計算をしてくれるので,プレイヤーは頭を使う必要が無い(・・・たぶん)。少し飲んでから,ペアの組み合わせを変えつつゲームをした。ルールは持ち点をゼロに近付けるゼロワンなので,先行していても,最後は足踏みとなって,良いカンジで横並びとなる。行く前は,「何でイチイチゲームしなきゃいけないんだよ。飲むだけでいいじゃん」と,カウント外らしく微妙にすねていた僕だったが,いざゲームが始まるとなかなか調子が良くて持ち上げられたりして,楽しんでしまった。-------------メアドを交換して,この場はお開き。うーん,悪くない。
2014.09.04
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辻村深月らしく女性の暗い情念を描いた作品を読んだ。○ストーリー大学の管弦楽団に参加した新入生の女子大生たち。その中には美しい蘭花,真面目で努力家の留利絵,明るく人好きのする美波がいた。蘭花は,管弦楽団に外部から指導に来たプロの指揮者・茂実星近と付き合い始め,やがてその恋愛に溺れ,転落していく茂実に振り回されるようになる。一方の留利絵は,蘭花を見守り,卒業後は彼女と同居する。そんな中,茂実が事故死を遂げ,蘭花は精神的に参ってしまう。彼女を支えて立ち直らせたのは留利絵で,彼女は会社の同僚と結婚を決意する。その式の最中に・・・------------タイトル通り,「恋」の章で,ヒロイン・蘭花と若手指揮者・茂実の恋愛が描かれる。育ちが良く美人なのに,浮世離れしていて経験が少なかった蘭花は,茂実と付き合うことで夢中になる。だが,そこには様々な障害があり,そして完璧に思えた茂実もある失敗によりすさみ始め,と波乱万丈な物語が描かれる。「友情」の章では,蘭花に憧れていた同期の地味な女性・留利絵の,やや歪んだ学生生活が描かれる。けれどもひがんでいた彼女は,傷付いていた蘭花と同居して支えることで,自分の価値を見出す。男に振り回される蘭花に呆れつつ,彼女に頼られる自分を演出し,留利絵は輝き始める。------------ファンタジックな青春ミステリーを書いて作家デビューした辻村深月の当時からの読者としては,最初の状況は派手であっても,リアルでぐずぐずで,どんどん惨めになっていく恋愛物語を読まされても,戸惑ってしまうことの方が多い。何だろう,この昼ドラみたいな展開は?最後に事件が起き,ようやくミステリーっぽくなるのだけれど,それも事件としてはあまりにも卑近でリアルだ。そして次の章となるのだが,なんと延々と同じ物語が語られる。もちろん視点は蘭花から留利絵へと移るのだが,そこで発見されたり,謎が解かれるたりすることは無く,ひたすら同じ数年間が過ぎるこのまま繰り返しで終わるのか?いやいや何か大逆転の仕掛けがあるに違いない?そう信じて最後まで読んだ。結果は???それはさすがに教えられない。(笑)------------結末とは別に,蘭花も留利絵も主人公として魅力が無いのが欠点だと思う。特に蘭花は親もしっかりしているのだから,何でこうなるまで放っておくのだろう?人の弱さはリアルに描いているのに,悪い状況から逃れる方法は不自然に閉ざされていて,ひたすらヒロインにひどい展開が続く。ちょっと現代の人の行動とは思えない。留利絵は不幸な要素を持って育っているので,この作者のロジックで言えば歪んでしまうのも仕方が無い,というところだろう。こちらのキャラには一貫性があるので,好きになれなくても読んでいて違和感は感じない。ヒロインっぽい蘭花が散々な目に遭い,目立たなかった留利絵がヒロインの親友の座を射止める。・・・こういう展開を書く作者って,絶対歪んでいると思う。------------辻村深月が書いた昼ドラだ。それ以上でも,それ以下でも無い。ガッカリだ。
2014.09.03
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ライトノベルのレーベルなのに一般の読者にも人気となった作品を読んだ。○ストーリー北鎌倉にある古本屋〈ビブリア古書堂〉は,先代の店主が亡くなり長女が継いでいる。本への愛,古書の知識,明晰な判断力を持った長女・栞子には,致命的な欠点があった。彼女は他人と会話することが極端に苦手な奥手な性格なのだった。ただしテーマが本に関わっていれば,打って変わって前向きになれるという気質でもあった。偶然〈ビブリア古書堂〉を手伝うことになった〈俺〉が,そこで体験した不思議な物語の数々とは?------------長い黒髪で美人,しかも胸が豊か(この設定要るのか?),自分が得意なジャンルでは誰よりも鋭い判断をする。でも人見知りで,いつもは他人の顔をまともに見ることが出来なくて,普通の会話も続かない。そんな女性が,自分だけには心を許して一緒に様々な謎解きをする。・・・って,どんだけオタクの願望が入っているんだろう?ヒロイン・栞子の設定は,魔法が使えるお姫様と同じくらいファンタジックな非現実さだ。しかもそんな女性と,自分だけが仲良くなれる。・・・かなり痛い作品だと言える。------------作品は4つの短編で構成され,それぞれのタイトルが実在の本と著者名となっている。その本をめぐり〈日常の謎〉系のミステリーが展開され,主人公が調査を報告を行い,安楽椅子探偵のヒロインが謎解きをする,という展開になっている。タイトルに使われている本の内容と,〈日常の謎〉を生み出す登場人物たちがシンクロしていて,「ちょっと読んでみたいな」と思わせるのは上手いと思う。一方で,登場する人物たちが,ひじょうにステレオタイプで,どこかのマンガや2時間ドラマから借りてきたような分かりやすいキャラなのはいただけない。髪型,服装,喋り方,全て分かりやすくトータルコーディネートされていて,リアリティの欠けらも無い。この辺りはラノベクオリティだと感じてしまう。普通の人物で普通の〈日常の謎〉ミステリーを展開すればいいのに。続編も読む予定だ。その魅力は十分にある。------------第一話:夏目漱石「漱石全集・新書版」:卒業後も就職活動を続ける青年・五浦大輔は,祖母の遺品の本に不思議な書き込みを見つけ,〈ビブリオ古書堂〉に持ち込む。入院していた店主・栞子は,たった1冊の本から,祖母の人生の秘密を解き明かしてしまった。・・・最初の短編だけあって,よく練ってある。え?そこまで分かるのか?という展開が,伝統的な名探偵通りの流れで,もうスッと作品に入っていけた。第二話:小山清「落穂拾ひ・聖アンデルセン」:〈ビブリア古書堂〉の得意先で常連のせどり屋・志田が,大事にしていた本を失った。それを拾ったはずの女子高生・小菅奈緒は,その時何かを行い,そのためか,本を返そうとしないのだが?・・・急に登場人物たちの言動が不自然になってしまった。不良っぽく見せているけれども,実は素直で本も読み,ケーキも焼く女子高生って,もうマンガにも出て来ないだろうに。またこの子とホームレスの親父が仲良くなる流れ・・・ざわざわする。第三話:ヴィノグラードフ・クジミン「論理学入門」:初老の男・坂口が文庫本を持ち込み,査定を依頼する。だがその直後に,坂口の妻が,査定と売却の中止を求めてくる。本と状況を聞いた栞子は,坂口夫妻に危機が迫っていることを見抜く。・・・なるほど,古本からはこうした情報も読み取れるのか,という小ネタは面白い。だが,またまたこの夫妻の人物造形が安っぽくてダメだ。ガッカリするなあ。第四話:太宰治「晩年」:栞子が入院していたのは,所蔵するある本の売却を拒否したためだった。だが犯人は直接の接触をしていないので,その正体は分からない。徐々に激しさを増す脅迫から逃れるため,栞子と大輔は,ある作戦を実行する。だが犯人に出し抜かれ,ついに・・・いやー?なんで警察に頼らないかなあ?ひじょうに危険な計画だったと思う。五浦大輔がバイト始めたの最近だし。大輔じゃないけど,栞子の作戦やその進め方って,あまり気持ちの良いものじゃないね。------------次にも期待だ。
2014.09.02
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今日は9月1日。月に一度の映画の日だ。毎月この日は有給休暇を取って映画を観に行くことにしている。有休は毎年20日支給されて,20日が繰り越し出来るので,今では40日取ることが可能だ。それでも20日も使えることなんて無いので,毎年数日が消えて行っている。それを少しでも抑えるために,映画の日をきっかけとして有休消化に励んでいる。・・・ハズだったのだけれど,先週の本社との打合せ結果の資料作りが,今日に予定されてしまった。だから,上司には良いよとは言われたものの,出勤。だって出来ないでしょ,調整作業。--------------一方で9月1日は,夏休み明けで月曜日でもある。例によって5時台に家を出たのに,電車がいつもよりもずっと利用者が多くて,なんと乗り継ぎのうち1本では座れなかった。何のために,こんな時間に出勤しているんだよそれでも月曜日から,ガリガリと資料作りをして,本社の意見とすり合わせをしながら再調整,そしていない人間の仕事を補って,1日分頑張ってしまった。「午後半休を取って,映画行こうかなあ」なんて甘い甘い。仕事が終わったのは,いつも通りの定時。我ながら日本のサラリーマンだなあ。笑
2014.09.01
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