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2017.03.20
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カテゴリ: 観照 [再録]

                                                                                           [探訪時期:2014年4月]
冒頭写真は、 浄土宗総本山知恩院の三門 です。三門両脇の桜が見事に満開です。
再録によるご紹介のつづきです。

五間三戸、重層の入母屋造本瓦葺。高さ24m、横幅50m、屋根瓦約7万枚だとか。 元和7年(1621)德川2代将軍秀忠による建立。 平成14年(2002)に国宝に指定されています。わが国最大の楼門だそうです。楼上に掲げられた 扁額「華頂山」は霊元天皇宸筆 だとか。この額、見上げていると小さく見えますが、 畳二畳以上の大きさだそうです 。知らなかった!  左右に山廊を備えた唐様建築 です。 (資料1、2)

仁王門通から白川端の桜を眺め、直近の細い道路から三条通に出た後、三条神宮道の交差点から神宮道の緩やかな坂道を南下して行くと、青蓮院の南隣りが知恩院です。

黒門


神宮道の片側には、大型観光バスがまさに数珠つなぎに駐車しています。
多くの観光客が三門前にたむろしていますが、閉門で石段下の柵が閉じられていたため、三門の全景写真を撮るのには最適でした。


知恩院の地位が確立したのは室町時代後期で、寺域が現在の規模にまでなったのは浄土宗に帰依していた德川家の支援があったからだとか。家康は生母伝通院 (でんつういん) が亡くなると知恩院で弔い、亡母菩提のため寺域を拡張したのだといいます。 (資料3)

それは慶長8年(1603)で、德川家康が征夷大将軍となり、江戸幕府を開府した年でもあります。大阪夏の陣が元和元年(1615)ですので、知恩院の寺域拡張・整備は、「京洛に事あるときは幕兵を駐屯せしめて警備の本陣たらしめようと計った」 (資料1) という政略的配慮もあったのでしょう。深慮遠謀というところでしょうか。

この地は比叡山を下った法然が青蓮院の慈円僧正の庇護を得て草庵(吉水の禅房)を結んだところです。 幾多の変遷を経た後、現在は浄土宗の総本山になっています。総本山のもとに、大本山・7寺院、本山・1寺、特別寺院・3寺院という形になっているようです。 (資料4)
法然の寂後22年目にあたる文暦元年(1234)に源智上人が「大谷の旧坊を再興し、四条天皇より華頂山知恩教院大谷寺の号を賜る」ことから、この地での再興が始まったようです。 (資料1,5)

南門を通り抜けると、円山公園です。 まずは公園の東奥の方に行き、そこから西方向、つまり八坂神社境内へと、桜を見ながら公園内を通り抜けていくことにしました。

ところどころで「立入禁止」の立て札がある場所も目にとまりました。


東の奥、料亭左阿彌の近くのシダレザクラ 場所は「料亭左阿彌」のこのページをご覧ください 。 



もともと、円山公園の地は、祇園感神院や安養寺の境内だったそうです。それが明治の廃仏毀釈のときに官に没収され、明治19年(1886)に公園化されたのです。 一時期歓楽街化したそうですが火災で焼失。 大正2年(1913)に造園家小川治兵衛の設計監督による造園によって、現在の形になった のだとか。何十年と円山公園には足を運びながら、今回少し調べて見て再認識しました。 (資料1,6)


坂本龍馬・中岡慎太郎の銅像
この二人が並ぶ像はめずらしいようです。 現在の像は昭和37年(1962)に再建されたもの 。京都高知県人会有志が昭和11年(1936)に建立されたようですが、第2次大戦中に撤去されたようです。いわゆる金属供出ということでしょうね。 (資料7)




                  円山公園で一番有名な シダレザクラ

一時期、さみしい感じになっていましたが、数年ぶりに見たシダレザクラ、かなり元気を取り戻している感じです。代替わりをして根付いてきたのでしょうか。
まわりはもう人人人・・・・で一杯です。人を入れずに撮れる場所選びから始めた次第です。


この後は、八坂神社境内へ。
そこまでの公園内道路は屋台店のオンパレードと人の混雑。


八坂神社の南楼門

                本殿の背後、つまり北側にある 神馬舎
このあたりは数人の観光客が記念写真を撮っているだけでした。


午後5時半に近づいていた時刻ですので本殿・拝殿・南楼門あたりは比較的人が少なくなっています。
人は桜や屋台のあたりに集まっているのです。


西楼門へ向かう参道石段の傍にある 蛭子神社 北向蛭子 (えびす) と呼ばれています。
参道の南側に位置し北面しています。事代主神を祀る末社の一つです。

四条通は人で混雑しているので、八坂神社石段下の東大路通を少し北に上がり、新橋通を西に抜けて、祇園新地(八坂新地)の中を流れる白川端に出ることにしました。

白川南通に入るところにあるのが、白川に架かる 巽橋の傍にある「辰巳大明神」
伎芸上達祈願でご利益のあるスポットとして・・・・有名なところ。
この小社の左側(南)が白川南通でその南辺を白川が流れています。
地図(Mapion)はこちらをご覧ください。

この白川沿いの桜がきれいでした

その白川端に、 吉井勇の歌碑 があります。かつて祇園をこよなく愛した歌人です。

    かにかくに祇園はこひし寝るときも枕の下を水のながるる

この歌碑は吉井勇の古希を祝い、昭和30年(1955)11月に建てられたもの。
ここにはもと「大友」というお茶屋があり、その奥座敷が白川の流れの上に張り出し、床下を白川が流れていたそうです。 若き日の吉井勇が「大友」にて詠んだ歌と言われているのです。
「大友」の女将だった多佳女は「文学女将」といわれた人 。様々な文学者や画家が「大友」を訪れたといいます。

夏目漱石もその一人。 御池通に漱石の句碑が建てられています。
   木屋町に宿をとりて川向の御多佳さんに
   春の川を 隔てて 男女哉   漱石

脇道にそれました。話を元に戻しましょう。
現在では、 11月8日にこの歌碑の前で、「かにかくに祭」 が祇園の舞妓・芸妓の皆さんの献花などの行事が行われています。新聞のローカル版で報道されたこともあります。 (資料8)


吉井勇はこんな歌を詠んでいます(祇園関連と思える歌)。 (資料1,9)

 伽羅の香がむせぶばかりに匂ひ来る祇園の街のゆきずりもよし 
 雨降りて祇園の土をむらさきに染むるも春の名残りなるかな
 狼藉と祇園の秋を吹きおみだす比叡おろしよ愛宕おろしよ
 比叡おろし今日もまた吹く舞姫の戀破れよとてふがごとくに
 香煎のにほひしづかにただよへる祇園はかなし一人歩めば
 つと入れば胸おしろいに肌ぬぎし君ありわれに往ねと云ひける


やまと橋から東を眺めて



                      鴨川 四条大橋から北の眺め


 高瀬川  四条通・高瀬川に架かる橋から南を眺めて

歩き慣れたルートですので、人で溢れていましたが短時間に歩き抜けた次第です。

この再録が、今年(2017)の桜だより、京の桜への誘いになれば幸いです。

つづく

参照資料
1) 『昭和京都名所圖會 洛東-上』 竹村俊則 駸々堂  p235-237
2) 三門  :「総本山知恩院」 
3) 法然上人と知恩院  :「総本山知恩院」 
4) 総本山・大本山・本山・特別寺院  :「浄土宗」公式サイト 
5) 勢観房源智上人略年譜  :「浄土宗」公式サイト 
6) 円山公園  :ウィキペディア 
円山公園  :「京都観光研究所」 
7) 坂本龍馬と中岡慎太郎像(円山公園) :「BIGLOBRE旅行」 
8) かにかくに祭  :「京都観光Navi」 
かにかくに祭  :「まるごと京都ポータルサイト e-KYOTO」 
9) 吉井勇・吉井勇歌集  :「松岡正剛の千夜千冊」 
必読短歌11(吉井勇・安永蕗子・井辻朱美) :「KUREMUTU CLUB」

【 付記 】 
「遊心六中記」としてブログを開設した「イオ ブログ(eo blog)」の閉鎖告知を受けました。探訪記録を中心に折々に作成当時の内容でこちらに再録していきたいと思います。ある日、ある場所を訪れたときの記録です。私の記憶の引き出しを兼ねてのご紹介です。少しはお役に立つかも・・・・・。ご関心があれば、ご一読いただけるとうれしいです。

補遺
浄土宗  公式サイト 
総本山 知恩院  ホームページ  
法然上人と知恩院 年表
シダレザクラ  :ウィキペディア 
シダレザクラ  :「森林総合研究所 九州支所」 
辰巳大明神  :「京都の観光スポット」 
吉井勇歌集コレクション  :「蜜柑色の画廊」 
祇園「かにかくに祭」  :Youtube 
吉井勇と京都 -『酒ほがひ』の成立をめぐって-   内田 晶 氏 (論文) 
高瀬川 都市史22  :「フィールド・ミュージアム京都」

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)


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Last updated  2017.03.23 23:37:38
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