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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2024.11.09
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カテゴリ: 文芸
角田光代さん による『源氏物語』の現代語訳。
 この作品は、2021年に読売文学賞(研究・翻訳賞)を受賞しており、
 第1巻には、「桐壼」から「末摘花」までが収録されています。
 評判通り、とても読みやすいものでした。

   ***

一帖 桐壺(きりつぼ)
桐壺更衣は、後宮の女たちから嫉妬されながらも皇子を出産。
帝は益々更衣を愛したが、更衣は女たちからの度重なる嫌がらせで病に倒れ、亡くなってしまう。 

源氏は12歳で元服し、左大臣の娘である葵の上と結婚するが、4歳年上の妻になじめず、
亡き母の面影を求めて、藤壺への思慕を強めていく。

二帖 帚木(ははきぎ)
長雨が降り続く夏の夜、17歳の源氏の宿直所に葵の上の兄・頭中将が訪れ、
さらに左馬頭と藤式部丞も加わって女性について議論を戦わせる。
頭中将は後見のない女性と通じ子まで成したが、正妻の嫌がらせもあって姿を消してしまった。
源氏は、三人の経験譚から中流の女性の魅力を知る。
そして翌日、源氏は方違えのため訪れた紀伊守の別宅で、
紀伊守の父の後妻・空蝉が居合わせていることを知ると、その夜半ば強引に寝所に忍び込む。
しかし、自身の身の程を知る空蝉はそれを許さず、その後も源氏の誘いをかたくなに拒み続ける。

三帖 空蝉(うつせみ)

空蝉は開放的な様子の若い女・軒端萩と碁を打っていた。
その夜、源氏は寝所に忍び込むが、空蝉は小袿を脱ぎ捨て寝所を抜け出していたため、
空蝉と同室で眠っていた軒端萩と情を交わすことに。
翌朝、源氏は空蝉が脱ぎ捨てた小袿を持ち帰り、小君に歌を託したのだった。

四帖 夕顔(ゆうがお)

その途上、夕顔の咲く家に住んでいる女と知り合う。
源氏は夕顔と逢瀬を重ね、廃院へと連れ出すが、夜、物の怪に襲われるような夢を見る。
目を覚ますと、正気を失った夕顔が、そのまま息を引き取ってしまう。
後日、源氏は夕顔の侍女・右近から、夕顔が頭中将との間に子まで成した女だったと知らされる。

五帖 若紫(わかむらさき)
18歳の春、瘧病に苦しむ源氏は、加持を受けるため北山の聖のもとを訪ねる。
そして、某僧都の家で、母を失い祖母の尼君に育てられている可憐な少女・紫の上を垣間見る。
兵部卿宮の姫君で藤壺の宮の姪でもあるこの少女は、藤壺の宮に生き写しだった。
源氏はこの少女を自らの手で育てたいと僧都や尼君に願い出るが、全く相手にされない。
その頃、源氏は藤壺の宮に仕える王命婦を頼りに藤壺と逢瀬を持つと、藤壺は懐妊してしまう。
紫の上の祖母である尼君が亡くなった後、源氏は紫の上を二条院へと連れ去る。
紫の上は二条院の暮らしに馴染み、源氏になついていった。

六帖 末摘花(すえつむはな)
源氏は、乳母子の大輔命婦から、故常陸宮の姫君・末摘花のことを聞き興味を持つ。
早速常陸宮邸を訪れ、後をつけてきた頭の中将と恋の鞘当てを繰り広げた後に、
命婦に手引きさせて、一向になびいてこない姫と強引に契りを結ぶ。
しばらくの後、姫のもとに訪れた源氏は、その翌朝見た姫の醜い姿、
特にだらりと伸びた先が赤い鼻に驚愕。
落ちぶれた宮家の境遇の哀れさから、姫の面倒は見続けたものの、
二条院では、紫の上と赤鼻の女の絵を描いたり、自分の鼻に紅を塗ったりして戯れていた。

   ***

男女共に、現代とは道徳や倫理観が想像を絶するほどに異なっており、唖然。
その土台となっているのは、当時の厳然たる身分制度と婚姻制度。
血筋による圧倒的権威だけでなく、美貌まで兼ね備えた光源氏は、もうやりたい放題。
現代ならば、どれもSNSで大炎上する事案ばかりで、いじり倒される末摘花には涙を禁じ得ない。

しかし、光源氏の人格が疑われるような言動も、彼が生きた時代や社会が創り出したもの。
逆に、空蝉などは、現代に近い感覚の振る舞いを貫き通すので、
ひょっとすると、当時でもこちらの方がスタンダードだったのでは、とも思わされます。
あの時代においても、やっぱり光源氏は類まれなる存在だったということなのでしょうね。





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Last updated  2024.11.09 21:31:35 コメントを書く


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