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アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は4月22日現在、前の週より183名増えて2万7532名に達した。一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%にすぎないと言われている。 COVID-19はSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)が原因だとされている。2019年12月の終わりに武漢の病院でSARSに似た症状の肺炎患者9名ほどが見つかったところからCOVID-19騒動は始まった。武漢で肺炎患者が見つかったことは間違いないだろう。が、そこからSARS-CoV-2が世界へ広がったことは証明されていない。肺炎で死ぬ人が世界で急増している話は寡聞にして知らない。 中国の疾病預防控制中心で主任を務める高福は中国湖北省の武漢にある海鮮市場で売られていた野生動物から人にウイルスが感染したと推測し、それが世界に広がる。この高福はアメリカのNIAID(国立アレルギー感染症研究所)で所長を務めるアンソニー・ファウチとも親しい。 感染対策を指揮したのは高福ではなく、中国軍の医療部門で細菌戦の専門家と見なされている陳薇。2002年から中国で広まったSARSを押さえ込んだのは陳のチームだった。 その時の経験から陳はインターフェロン・アルファ2bを試し、2019年のケースでも効果が確認された。そこで早い段階で沈静化させることに成功したのだという。 インターフェロン・アルファ2bはキューバで研究が進んでいる医薬品で、リンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できたことも幸いした。今回の件で中国の習近平国家主席はキューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたと伝えられている。 その年の前半、2019年1月から8月にかけてアメリカ政府は中国でインフルエンザのパンデミックが始まるという想定の演習を実施、その年の10月18日から27日にかけて武漢では各国の軍人による競技会が開かれた。アメリカ軍からは172名が競技者として参加、代表団の総勢は369名。 競技団の一部は中国を訪れる直前、アメリカのメリーランド州にあるフォート・ビーバーで訓練している。この基地はアメリカ軍が生物化学兵器の研究開発拠点にしているフォート・デトリックから約80キロメートル、原因不明の呼吸器系の病気が流行したスプリングフィールドから10キロメートル弱の地点にある。武漢で選手団が泊まった武漢オリエンタル・ホテルは問題の海鮮市場から300メートルしか離れていない。 武漢病毒研究所はエコヘルス同盟を介してアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)から資金と技術が提供されていたが、この構図はウクライナでアメリカ国防総省が建設した兵器クラスの病原体を研究している施設と同じ構図だ。ウクライナではジョー・バイデン大統領の息子、ハンターも研究施設に関係している。
2022.04.30
アメリカの国土安全保障に「偽情報管理会議」が創設され、ニナ・ヤンコビッチが指揮すると伝えられている。ジョー・バイデン政権が「偽情報」とみなす情報と戦うのだというが、「啓蒙宣伝省」だと考える人もいる。 ヤンコビッチはウィルソン・センターの「偽情報フェロー」で、ウクライナ外務省にアドバイスした経験があり、バイデン大統領と関係が深い。 大統領の息子であるハンター・バイデンは疑惑の渦中にいる。ウクライナの天然ガス会社ブリスマ・ホールディングスとハンターとの関係は以前から疑惑の対象になっていたが、この会社や中国のエネルギー会社CEFCを相手にハンターがいかに稼いできたかを明らかにする電子メールが出てきた。 こうした電子メールはハンターのラップトップ・コンピュータに記録されていた。修理業者にそのラップトップが預けられたのだが、それを取りに来ないことから業者がFBIへ連絡、その内容が明らかになったとされている。このラップトップから見つかった電子メールについて、ヤンコビッチはかつてドナルド・トランプ陣営が作り出したものだと主張していた。 最近は、ハンターとロズモント・セネカ・パートナーズという投資ファンドと関係が問題になっている。ハンターのほかクリストファー・ハインツとデボン・アーチャーが2009年に創設したファンドだ。 ハインツはジョン・ケリー元国務長官の義理の息子で、アーチャーはエール大学でハインツのクラスメート。バイデンとアーチャーは2014年にブリスマの重役に就任するが、その時、このふたりとビジネス上の関係をハインツは絶ったとされている。 このファンドはアメリカ国防総省の機関がウクライナで行ってきた兵器クラスの病原体に関する研究にも関係している。ウクライナにそうした研究開発施設が存在することは知られていたが、ウクライナでロシア軍が回収した文書の中に、ロズモント・セネカとジョージ・ソロスのオープン・ソサエティがウクライナにある生物化学兵器の研究開発施設へ資金を提供していることを示すものが含まれていたという。 こうした施設にアメリカの国防総省や同省の国防総省のDTRA(国防脅威削減局)が協力していたことは明らかにされているが、そのほか国務省、USAID(米国国際開発庁)、USAMRIID(米国陸軍伝染病医学研究所)、WRAIR(ウォルター・リード陸軍研究所)、そしてアメリカの民主党が仕事を請け負い、さらに国防総省はメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、そしてCH2Mヒルが仕事をしている。 メタバイオタは生物学的な脅威の評価したり管理する仕事をしている会社で、ウイルス学者のネイサン・ウルフによって創設された。2014年からエコヘルス同盟のパートナーになっているが、その背後にはUSAIDの「PREDICTプロジェクト」がある。 エコヘルス同盟はアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)から武漢病毒研究所へ資金を提供する仲介役を演じてきたことでも知られている組織。このため、ウクライナの研究所はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を引き起こすとされているSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)にも関係している疑いが生じた。アメリカ国防総省の施設がウクライナで生物化学兵器の研究開発をしていた疑いが濃厚なのだが、その中にSARS-CoV-2が含まれている可能性がある。 バイデン政権に限らず、アメリカ政府は事実を隠蔽する一方、証拠を示すことなく、一方的に自分たちの主張を繰り返し、その主張を有力メディアが広めてきた。その主張に反する情報はインターネットを支配するハイテク企業などによって排除される。アメリカの私的権力によるプロパガンダはこうした仕組みで実行されている。 プロパガンダの専門家として有名なエドワード・バーネーズは1928年に出した本の中で、グループのリーダを操ればグループのメンバーも操れると指摘、その時にキーワードの選び方が重要だとしている。 自分たちが望む習慣や信念を人びとに植えつけるためにはひとつの考え方を何度も吹き込まねばならず、本質的な価値のあるものでなく、象徴的なものが必要だとしている。習慣を変えさせ、雰囲気を作り出すことで個人の行動を操作することもできるという。 アドルフ・ヒトラーが行ったプロパガンダの基本も伝えられている。抽象的な考えは避け、感情に訴える。紋切り型のフレーズを使い、限られた一方的な考え方を絶えず繰り返す。そして敵を批判し続けるともしている。誹謗中傷する時は特定の「敵」を作るという。そこへ意識を集中させるわけだ。 要するに、現在、西側の有力メディアが行ってること。アメリカはそうした態勢を強化しつつある。
2022.04.30
ロシアの通貨ルーブルによる支払いを拒否したポーランドとブルガリアに対し、天然ガス供給を停止すると4月27日にロシアのガスプロムは発表、エネルギー資源の相場が暴騰しているようだ。ロシア政府は「非友好国」が同国の天然ガスを購入する場合、決済は4月1日からロシアの通貨ルーブルに限ると発表していた。 ルーブル決済をロシア政府が要求した原因は、アメリカ政府が自国だけでなく従属国を引き連れてロシアへの「経済制裁」、つまり経済戦争を仕掛けたことにある。 この「制裁」はロシア軍が2月24日に巡航ミサイル「カリブル」などでウクライナに対する攻撃を開始したことにあると考える人が少なくないだろうが、アメリカのジョー・バイデン政権は昨年11月、ロシアに対する経済戦争を計画したと伝えられている。アメリカの影響下にあるロシアの金や外貨を凍結、エネルギー資源をはじめとする貿易を制限するだけでなく、SWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除も決めた。 こうした経済的な攻撃の内容を決めたメンバーにはジャネット・イエレン財務長官や情報機関や軍の人間が含まれ、財務省のウォーリー・アデイェモ副長官、エリザベス・ローゼンバーグ次官補、そして国家安全保障副補佐官のダリープ・シンが関係したという。 この会議の前、世界はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で収容所化が進み、生産活動や商業活動は麻痺、個人経営の店や中小企業を中心にして経営状態が悪化、倒産に追い込まれ事態が生じていた。必然的に失業者が増え、ホームレス、自殺者を増加させることになった。 さらにデジタル・パスポートを導入し、世界規模で個人を管理する計画が立てられている。WEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブはマイクロチップ化されたデジタル・パスポートを皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するという計画を2016年1月にスイスのテレビ番組で語っている。アメリカの私的権力やその配下の者たちは世界のあり方を根本的に変えようとしているのだ。 現在の世界秩序はドルを中心に成り立っている。第2次世界大戦後に世界はドルを基軸通貨と認め、そのドルを発行する特権を利用してアメリカの私的権力は支配システムを築いた。そのシステムが現在、揺らいでいる。 そうした私的権力はTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)を成立させ、ISDS(投資家対国家紛争解決)条項で私的権力に主権国家を上回る権力を与えようとしたのだ。そうした新しい世界秩序が構築されたなら、私的権力のカネ儲けを阻むような法律や規制は賠償の対象になり、健康、労働、環境など人びとの健康や生活を各国政府が守れなくなってしまう。 アメリカの私的権力から自立するため、ドル体制から離脱しようとした国もあるが、いずれもアメリカ主導軍による侵略戦争やCIAによるクーデターなどで潰されてしまった。軍事力や経済力を含む国力の差が大きかったからだが、ここにきてアメリカのライバルとしてロシアや中国が登場、ドル体制は崩れ始め、アメリカを中心とする支配システムが揺らいでいる。 ドル体制の崩壊をアメリカの私的権力も見通している。そこで新しい支配システムをどうするかで対立が生じている。ウォール街やシティ、つまりアメリカやイギリスの金融資本は自分たちが政府を介在させず、直接統治しようとしている。人間の端末化を彼らは目論んでいる。 私的権力の直接統治は第2次世界大戦の前から目論まれている。それがファシズムだ。フランクリン・ルーズベルトは1938年、ファシズムを私的権力が国を凌駕する力を持ち、政府を所有している状態だと定義した。私的権力が民主的国家そのものより強大になることを人びとが許すなら民主主義は危機に陥ると警鐘を鳴らしたのだが、新自由主義の目標はそうした体制を築くことにあり、それが資本主義のリセットだろう。 私的権力は世界支配の道具としてWHO(世界保健機関)を考えていることが明確になってきた。WHOに対する2018年から19年にかけての上位寄付者を見ると、第1位はアメリカ、第2位はビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、第3位はイギリス、そして第4位はGaviだ。 Gaviはワクチンを推進するため、2000年にWEF(世界経済フォーラム)の年次総会で設立された。活動資金はWHO、UNICEF(国連児童基金)、世界銀行、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団などから得ている。ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団は有力メディアのスポンサーでもある。 WHOは医療利権に支配された機関であり、その背後には米英の金融資本、つまり私的権力が存在している。私的権力がパンデミックを判断し、「対策」を強要できるようにしようという条約が締結されようとしている。そのために政府間交渉会議(INB)で議論し、2024年5月に開かれるWHOの年次総会で条約に調印することを目標にしている。 パンデミックという用語は人びとに恐怖を与える。バタバタと人が死んでいくイメージがあるからだが、現在の定義ではそうした事態は想定されていない。 WHOは2009年1月から10年8月にかけて「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行した際にもパンデミックを宣言しているが、それは通常のインフルエンザより穏やかで、パンデミックを宣言するような状態ではなかった。間違い、あるいは嘘だった。 こうしたことができたのは、その前にパンデミックの定義が変更されていたからだ。死亡者が存在しなくても宣言できるようになっていたのである。 パンデミックを宣言するべきかどうかを判断するのはWHOのSAGE(専門家による戦略諮問グループ)。豚インフルエンザが流行した当時のメンバーのうち8名のスポンサーはビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、Gavi、ゲーツがワクチン推進のために設立したワクチン同盟、医薬品メーカーのメルク、ファイザー、ギリアドなど医薬品関係の利権集団だった。 COVID-19騒動でもビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団が資金面から大きな影響力を及ぼしているが、さまざまな活動の中心としてジョンズ・ホプキンズ健康安全保障センターが重要な役割を果たしてきた。このセンターへはマイケル・ブルームバーグの資金が入っている。 パンデミック条約が締結されたなら、WHOの判断で全ての加盟国はロックダウンを含む対策を強制される。現在の定義では恣意的にパンデミックの宣言をすることが可能であり、恣意的に各国へロックダウンを命令できることになる。 現在、この条約に反対しているのはロシアだけだと言われている。ロイターによると、そのロシアがウクライナを攻撃し始めた直後にWHOはウクライナの保健省に対し、危険性の高い病原体を破壊するように強く勧めたという。この情報が正しいなら、そうした病原体があることを知っていたことになる。 ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将は3月7日、ウクライナの研究施設で回収した文書から同国にはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あるとしている。 ロシア国防省によると、ウクライナの研究施設で鳥、コウモリ、爬虫類の病原体を扱う予定があり、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。またロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、ウクライナの研究施設に保管されていたサンプルが証拠隠滅のために破壊されていると繰り返している。 3月8日には上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官はそうした研究施設が存在することを認めた。その上で、生物化学兵器をロシア軍が押収して使うかもしれないとしている。つまり、そうした類の病原体を研究していたということであり、パンデミックを演出することは容易だと言える。
2022.04.29
ロシアのガスプロムは4月27日、ポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止すると発表した。ロシア政府は「非友好国」が同国の天然ガスを購入する場合、決済は4月1日からロシアの通貨ルーブルに限ると発表していたが、ポーランドとブルガリアはそれを拒否、ロシアは通告通りに供給を停止したわけだ。ポーランドは国内消費の約5割、ブルガリアは約7割をロシア産の天然ガスに頼ってきたという。 ガスプロムの供給停止はアメリカが始めた「経済制裁」、つまり経済戦争に対する反撃だが、ロシアが求めた決済の仕組みは1970年代にアメリカが始めた「ペトロダラー」と基本的に同じである。ロシアの天然ガスを購入するためにはルーブルをかき集めなければならない。それは必然的にペトロダラーの仕組みを揺さぶることになる。 アメリカの攻撃に対するロシア政府の対応は穏健なものだが、反撃があることは予想されていた。アメリカやEUもそうした展開になることを予想していただろう。その反撃で最もダメージを受けるのがEUだということも理解していたはずだ。アメリカはロシア制圧を目論んでいるだけでなく、EUの弱体化も狙っているはずだ。 ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2月21日にドンバス(ドネツクとルガンスク)の独立を承認し、2月24日にロシア軍は巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃を始めた。その攻撃はウォロディミル・ゼレンスキー政権によるドンバス攻撃が不可避という判断から先手を打ったとみられている。 ドンバスではバラク・オバマ政権がウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除した2014年2月から始まっている。 クーデターの目的のひとつはロシアの隣国をアメリカ/NATOの支配地にし、いつでもロシアを攻撃、破壊できる体制を築くことにあった。これは第2次世界大戦前のインターマリウム構想にもつながる。 ソ連が消滅した直後、1992年2月にアメリカでは国防総省のDPG草案という形で世界制覇プラン、いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンが作成された。このドクトリンではヨーロッパや東アジアを潜在的なライバルと認識、叩くべきターゲットだとされた。また支配力の基盤になるエネルギー資源を抑えるため、中東で従属度の足りない体制は破壊の対象になった。 21世紀に入るとロシアはウラジミル・プーチンを中心とする勢力が曲がりなりにも再独立に成功、EUとの関係を深めていく。両者を結合させる役割を果たしたのが天然ガスだ。その天然ガスの取り引きを潰すことも2014年にオバマ政権がクーデターを仕掛けた理由だ。 しかし、ウクライナを通らないパイプラインも存在する。そのひとつがロシアのビボルグからグライフスバルトへ天然ガスを運ぶ「ノードストリーム1」。これは2011年11月に開通した。 それと同時に「ノードストリーム2」の建設が始まり、アメリカの妨害を乗り越えて21年9月には完成したが、それでもアメリカの圧力は弱まらない。プーチン大統領がドンバスの独立を承認した翌日、つまり2月22日にドイツ政府は「ノードストリーム2」の承認手続きを中止すると発表した。この決定により、EUがアメリカから自立する道は断たれたと言えるだろう。 宣伝戦では圧倒しているアメリカだが、軍事的にも経済的にも予想されたように厳しい状況に陥った。そうした中、米英には核戦争を恐れるなと叫ぶジョー・バイデン大統領の顧問がいる一方、イギリスでは軍担当の国務次官がロシア領への攻撃を支持している。
2022.04.28
ウクライナの南部にあるミコライフ州のビタリー・キム知事は4月21日、「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と語った。住民を脅しているのだろう。 そうした処刑を実行するための秘密部隊を編成、すでに作戦を遂行しているともいう。キムにとって「裏切り者」とはウォロディミル・ゼレンスキーの政策に同意しない人びとだという。 ミコライフはビクトル・ヤヌコビッチの地盤だった地域で、ロシア語を話し、ロシアに親近感を持つ住民が多い。ゼレンスキー政権やその黒幕は住民の反乱を恐れているだろう。そうした反乱を抑え込むため、恐怖を利用しようとしているように見える。 ヤヌコビッチ政権は2014年2月、アメリカのバラク・オバマ政権が仕掛けたクーデターで倒されたが、そのクーデターの主力がネオ・ナチの右派セクターだった。 その右派セクターを創設したひとり、ドミトロ・ヤロシュは昨年11月2日からバレリー・ザルジニー・ウクライナ軍最高司令官の顧問を務めている。ウクライナ軍はネオ・ナチの指揮下に入っているわけだが、これはCIAやネオコンにコントロールされていることを意味する。 ウクライナの政治家、オレグ・ツァロフは2月19日に緊急アピール「大虐殺が準備されている」を出し、ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たとしていた。 そのアピールによると、この地域を制圧してからキエフ体制に従わない住民を「浄化」するという作戦で、ドンバスを制圧し、キエフ体制に従わない住民(ロシア語系住民)を「浄化」、つまり皆殺しにするというものだったという。西側から承認を得ているともしていた。 この作戦と並行してSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。住民虐殺の責任を西側の政府や有力メディアはロシアに押し付けるつもりだったのだろう。 クーデター直後から翌年の6月までSBU長官を務めたバレンティン・ナリバイチェンコはクーデターの前からCIAに協力していた人物で、隊員の個人ファイルをCIAに渡していたと言われている。それ以降、SBUはCIAの下部機関と化している。2018年にロシアへ亡命したSBUの将校、バシリー・プロゾロフもSBUは2014年からCIAからアドバイスを受けていたと語っている。 SBUの「死の部隊」は暗殺、誘拐、拷問を実行、そのターゲットのひとりはルガンスクのクーデター政権が支配している地域の市長で、ロシア話し合いでの解決を目指していたボロディミル・ストルク。3月1日に誘拐され、拷問された上で胸を撃たれて死亡した。3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBUの隊員に射殺され、3月7日には殺されたゴストメルのユーリ・プライリプコ市長の死体が発見されている。ウクライナでは11名の市長が行方不明だともいう。
2022.04.27
ウクライナには軍隊のほか、内務省の親衛隊が存在している。親衛隊とネオ・ナチが緊密な関係にあることは本ブログでも繰り返し書いてきた通り。対ロシア戦争の主力は親衛隊だ。アメリカやイギリスの特殊部隊はCIAと協力してウクライナ軍を訓練してきたが、それだけでなくロシア軍と実際に戦っていると伝えられている。 戦闘に必要な物資をアメリカやその従属国はウクライナへ提供している。アメリカのジョー・バイデン大統領は8億ドル相当の兵器供給を承認したが、ウクライナの財務大臣は毎月20億ドル以上の支援を要請している。 そうした状況の中、バイデン大統領はウクライナへの兵器輸送を調整するため、テリー・ウルフ退役中将を指名した。コソボ、アフガニスタン、イラク、シリアでの作戦に参加、アメリカ支配層の中東支配計画の手先として働いてきた。ジョージ・W・ブッシュ大統領の時代、イラク問題に関する特別顧問を務めている。 2015年11月から19年2月にかけて、ウルフはシリアにおけるダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)と戦うグローバル連合なるものを指揮していた。 アメリカのバラク・オバマ政権は2011年春からジハード傭兵を使った侵略戦争をリビアとシリアで始めるが、その年の10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を壊滅させ、カダフィ自身は侵略軍に惨殺された。 その際、空からNATO軍が攻撃、地上部隊の主力はアル・カイダ系武装集団であるLIFGだった。カダフィ体制が崩壊した後、この同盟関係が明らかになるのだが、これは2001年9月11日からアメリカの支配層が宣伝していた侵略を正当化させるストーリーを揺るがす事実。だが、「国際社会」とやらは問題にしなかった。 しかし、シリアのバシャール・アル・アサド体制は倒れない。そこでアメリカ/NATOはシリアでもリビアと同様、NATO軍を介入させようとする。そこで登場してくるのが「残虐さ」を売り物にするダーイッシュだ。 このダーイッシュを作り上げたのはバラク・オバマ政権にほかならない。リビアから軍事物資や戦闘員をシリアへ移動させるが、その工作の拠点がベンガジのアメリカ領事館。マークを消したNATOの輸送機が武器をリビアからトルコの基地まで運んだとも伝えられている。 その領事館が2012年9月11日に襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使が殺されているが、大使はその前日に領事館でCIAの工作責任者と会談し、その翌日には海運会社の代表と会っている。その当時のCIA長官はデイビッド・ペトレイアスで、国務長官はヒラリー・クリントンだった。オバマ政権はムスリム同胞団を重用していたが、それに反発したワッハーブ派が実行したとする説もある。 その直前、2102年8月にアメリカ軍の情報機関DIAはオバマ大統領に対し、シリア情勢に関する報告書を提出した。シリアで政府軍と戦っている武装勢力はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だと説明、戦闘集団の名称としてアル・ヌスラを挙げている。そのアル・ヌスラはAQI、つまりイラクのアル・カイダと実態は同じだともDIAは指摘している。 オバマ政権はシリアの武装勢力支援を正当化するため、「穏健派」なるタグを使ったが、実態はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘したのだ。シリアにオバマ大統領が言うような穏健派は事実上、存在しないということである。またそうしたオバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。 2012年当時のDIA局長はマイケル・フリン中将だが、このフリンだけでなく、マーティン・デンプシー大将を議長とする統合参謀本部もアサド政権の崩壊は混乱を招き、ジハード過激派がシリアを乗っ取ると懸念していた。オバマ政権はそうした事態を容認していたと言える。その政権で副大統領を務めていたのがバイデンにほかならない。 オバマ政権がウクライナでクーデターを成功させ、香港で「佔領行動(雨傘運動)」なる反中国運動を仕掛けた2014年に中東ではダーイッシュが出現する。フリンはホワイトハウスの高官と対立、同年8月7日にDIA局長を解任された。デンプシーは2015年9月25日に議長の再任を拒否される。ロシア軍がアサド政権の要請で軍事介入したのは、その5日後だ。 それから間もない2015年11月にウルフはダーイッシュと戦うとしてグローバル連合なるものを指揮するのだが、その真の目的はアサド政権の打倒だったと見られている。実際、オバマ政権はそうした政策を推進した。 バイデン政権へウクライナについてアドバイスしている退役軍人のひとりにフィリップ・ブリードラブ大将がいる。2013年5月から16年5月までSACEUR(NATO欧州連合軍最高司令官)を務めていた軍人。ネオコン/シオニストと強く結びつき、軍事的な緊張を高めるために偽情報を発信していた。ウクライナでクーデターが実行された当時、ブリードラブはSACEURだったということでもある。 ブリードラブはその好戦性を最近も示している。核戦争への恐怖がプーチンに対する適切な対応を西側はとれないのだと主張しているのだ。適切な対応にはNATO軍をウクライナへ入れることも含まれている。そうしたことをロシア政府が容認するとは思えない。そこが問題の始まりでもあるのだ。米英の支配層にはロシアを制圧したいと考えている勢力が存在している。
2022.04.27
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースチン国防長官がウクライナのキエフを4月24日に極秘訪問、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と3時間ほど会談したと伝えられている。その会談でアメリカ側はさらなる軍事面や外交面の支援を約束、キエフのアメリカ大使館を再開する睨み、リビウへ外交官を入れるという。 アメリカは従属国も利用して兵器を含む軍事物資をウクライナのクーデター体制へ供給しているようだ。その行先がどこか不明だとアメリカ政府は主張しているが、ロシア軍の攻撃で相当量が破壊されているだろう。2011年にリビアを軍事侵攻した際にはベンガジのアメリカ領事館が武器や戦闘員を輸送する拠点として利用されていた。アメリカ大使館をCIAは秘密工作の司令部として利用してきたが、それだけでなく兵器のデポとして利用するつもりなのだろう。 ウクライナの現体制は2013年11月から14年2月にかけてアメリカのバラク・オバマ政権が実行したクーデターで出現した。その主力として使われたネオ・ナチの右派セクターは2013年11月、ドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーによって編成されている。 ヤロシュは2007年にNATOの秘密部隊ネットワークに参加、その年の5月に欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議がウクライナのテルノポリで開かれたが、その議長をヤロシュが務めている。その当時、アメリカのNATO大使を務めていた人物がヌランド。ゼレンスキーは昨年11月2日、ヤロシュをバレリー・ザルジニーウクライナ軍最高司令官の顧問に据えた。 ウクライナの治安機関SBU(ウクライナ保安庁)の長官に就任したバレンティン・ナリバイチェンコはクーデターの前からCIAに協力していた人物で、隊員の個人ファイルをCIAに渡していたと言われている。軍と同様、治安機関もCIAが掌握しているわけだ。2018年にロシアへ亡命したSBUの将校、バシリー・プロゾロフもSBUは2014年からCIAからアドバイスを受けていたと語っている。 クーデターで排除されたビクトル・ヤヌコビッチ大統領は東部と南部を地盤とする政治家。南部のクリミアでは2014年3月16日にロシアへの加盟を問う住民投票が実施、80%を超える住民が投票に参加して95%以上が加盟に賛成しているが、憲法を破壊したクーデターを支持する西側の人びとは民意を否定する。 対応が遅れたオデッサでは反クーデター派の住民が虐殺され、ドンバス(ドネツクやルガンスク)では戦闘が始まる。その際、ウクライナの軍、SBU、ベルクト(警官隊)の少なからぬメンバーが反クーデター軍へ参加、戦闘はドンバス軍が優勢だった。 そこでオバマ政権はテコ入れのためにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、傭兵会社「アカデミー(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名をウクライナ東部の制圧作戦に参加させたとも伝えられている。またCIAは2015年からウクライナの特殊部隊員をアメリカ南部で訓練しているという。 ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノはウクライナでの取材を終えて帰国した後、アメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加している事実を伝えている。 クーデター当時、ヤヌコビッチ大統領派の議員だったオレグ・ツァロフは2月19日に「大虐殺が準備されている」という緊急アピールを発表した。ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たとしている。 その作戦ではドンバスを制圧してからキエフ体制に従わない住民(ロシア語系住民)を「浄化」、つまり皆殺しにすることになっていて、西側からの承認を得ているともしていた。SBUはネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたともいう。住民虐殺の責任を西側の政府や有力メディアはロシアに押し付けるつもりだったのだろう。 プロゾロフによると、SBUの「死の部隊」は暗殺、誘拐、拷問を実行、そのターゲットのひとりはルガンスクのクーデター政権が支配している地域の市長で、ロシアと問題を話し合いでの解決しようとしていたボロディミル・ストルク。3月1日に誘拐され、拷問された上で胸を撃たれて死亡した。 また、3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBUの隊員に射殺され、3月7日には殺されたゴストメルのユーリ・プライリプコ市長の死体が発見されている。4月25日現在、ウクライナでは11名の市長が行方不明だともいう。 ゼレンスキー政権は3月後半、ロシア語系住民を支持基盤とする11の政党を禁止している。そうした政党のひとつを率いるビクトル・メドヴェドチュクは昨年から軟禁状態だったが、今年4月に逮捕され、手錠をかけた姿を撮影した写真が公開された。ウクライナ側はメドヴェドチュクとウクライナ兵との交換を求めている。 SBUや親衛隊(ネオ・ナチ)はCIAの指揮下にあるが、現在、ウクライナで行われている「親ロシア派狩り」はベトナム戦争の際にCIAと特殊部隊が行った住民皆殺し作戦「フェニックス・プログラム」、あるいはラテン・アメリカでCIAが現地の軍人で編成した「死の部隊」に酷似しているとも指摘されている。 フェニックス・プログラムは1967年6月、MACV(ベトナム軍事支援司令部)とCIAが共同で実行した「ICEX(情報の調整と利用)」として始まった。その名称はすぐに「フェニックス・プログラム」へ変更される。殺人担当チームは軍の特殊部隊から引き抜いて編成されたが、命令はCIAから出ていた。 そうした秘密工作の実働チームとして動いていたのは、1967年7月に組織されたPRU(地域偵察部隊)という傭兵部隊。この部隊を構成していたのは殺人やレイプ、窃盗、暴行などで投獄されていた囚人たちが中心で、「ベトコンの村システムの基盤を崩壊させるため、注意深く計画されたプログラム」だ。 CIA長官としてウィリアム・コルビーはフランク・チャーチ上院議員が委員長を務める特別委員会で証言、その中で「1968年8月から1971年5月までの間にフェニックス・プログラムで2万0587名のベトナム人が殺され、そのほかに2万8978名が投獄された」と語っている。 コルビーはアレン・ダレスの側近のひとりで、1959年から62年までCIAサイゴン支局長、62年から67年までは極東局長、そして68年から71年まではフェニックス・プログラムを指揮していた。 1968年3月にソンミ村のミ・ライ地区とミ・ケ地区で農民が虐殺されているが、これもフェニックス・プログラムの一環だったと見られている。この事件はアメリカ陸軍の第23歩兵師団第11軽歩兵旅団バーカー機動部隊第20歩兵連隊第1大隊チャーリー中隊に所属するウィリアム・カリー大尉の率いる第1小隊によって実行された。犠牲者の数はアメリカ軍によるとミ・ライ地区だけで347人、ベトナム側の主張ではミ・ライ地区とミ・ケ地区を合わせて504人だという。 1968年、コリン・パウエルは第23歩兵師団の将校として南ベトナムに入っている。2004年5月にCNNのラリー・キング・ライブに出演した際、その師団がソンミ村で住民を虐殺、後で自分も現場へ入ったと語っている。パウエルは上官が聞きたくない情報をもみ消すことに長けていたとも言われている。 この虐殺は従軍記者や従軍カメラマンも知っていたのだが、報道していない。事件が広く知られるようになったのは、兵士の告発を知り、取材したシーモア・ハーシュの書いた記事をAPが配信してからだ。 アメリカ軍の従軍記者や従軍カメラマンはアメリカにとって不都合な事実は伝えない。ウクライナでもアメリカの政府や有力メディアはベトナム戦争の時と同じことをしている。いや、当時より言論統制は厳しくなっている。
2022.04.26
岸田文雄政権はウクライナ向けの物資を自衛隊機で輸送する計画を立て、インドに着陸許可を求めたが、拒否されたと伝えられている。4月後半から6月末にかけて10回、アメリカのウクライナに対する軍事作戦に協力してきたポーランドやルーマニアへ輸送する予定だったのだが、インドは軍用機の着陸を認めなかった。民間機の使用を求めたようだ。軍用機を使う段階で軍事作戦であり、アメリカのロシア非難に同調しないインドをそうした日本の作戦に巻き込みたかったのかもしれない。 アメリカは2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ作り替え、日本を太平洋側の拠点、インドをインド洋側の拠点、そしてインドネシアを両海域をつなぐ場所だとされた。このうちインドネシアはロシアへ接近、インドもアメリカと一線を画している。 インドと同じようにロシアとの関係を重視していたパキスタンでは4月10日、内閣不信任決議案が可決されてイムラン・カーン政権は倒された。カーンによると、アメリカのドナルド・ルー国務次官補はパキスタンのアサド・マジード公使に対し、カーン政権が継続されたなら、アメリカとの関係に影響が出ると脅したという。 次の首相、シェバズ・シャリフは軍との関係が強く、アメリカとの軍事同盟強化を主張していた。アメリカ政府はパキスタンを押さえたと考えたかもしれないが、シャリフは首相に就任した後、イランとの関係強化を打ち出している。カーンが首相の座から引きずり下ろされた後、大規模な抗議活動があったが、これもシャリフ政権に影響しているのかもしれない。 岸田首相は3月19日から20日にかけてインドを公式訪問、その際、ナレンドラ・モディ首相に対し、ウクライナを支持するよう圧力をかけたが成果が出なかったという。ジョー・バイデン政権のメッセンジャーを務めたということだろう。日本とインドはアメリカやオーストラリアと「クワド」を構成している。 この集まりは2008年に消滅したが、2017年に復活した。アメリカは2021年9月にオーストラリアやイギリスとAUKUSなる新たな軍事同盟を創設したと発表している。AUKUSはアングロ・サクソン系の国で構成されているわけで、アヘン戦争を連想させる。 アヘン戦争があった19世紀にイギリスの支配層はユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げるという長期戦略を立てた。この計画を20世紀初頭にまとめた人物がハルフォード・マッキンダー。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」はマッキンダーの理論に基づいている。 この戦略はスエズ運河をイギリス系の会社が所有するようになってから可能になったと言えるだろう。1882年にイギリスは運河地帯を占領している。 マッキンダーはユーラシア大陸の周辺部を三日月になぞらえているが、その西端がイギリスであり、東端が日本だ。その途中にあるインドは東インド会社時代からイギリスの植民地。そこから東へ侵略して行くのだが、中東は穴が空いていた。その穴を埋めるためにサウジアラビアとイスラエルを作り上げている。明治維新も同じ文脈の中にある。 AUKUSに加盟しているアメリカとオーストラリアは別のアングロ・サクソン国のニュージーランドとANZUSを組織している。1951年9月8日に日本はサンフランシスコのオペラハウスで「対日平和条約」に調印しているが、同じ日の午後、プレシディオで「安保条約」に調印。その1週間前、同じプレシディオでアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国はANZUS条約を結んだ。 そのニュージーランドで首相を務めているジャシンダ・アーダーンは4月21日に東京で会談、政治、治安、軍事での協力関係を強めることで合意したという。その矛先はロシアと中国に向けられている。日本はアメリカの手先としての役割を果たしていると言えるだろう。
2022.04.25
2013年11月から14年2月にかけてアメリカのバラク・オバマ政権はウクライナでクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除することに成功した。ヤヌコビッチは選挙で選ばれた大統領であり、言うまでもなくクーデターは憲法を否定する行為である。このクーデターを否定しない人物が「護憲派」を名乗ることはできない。ヤヌコビッチは2004年から05年にかけての「オレンジ革命」でも排除されたが、この「革命」を仕掛けたのはアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権だ。 オバマ政権はクーデターを実行するため、ネオ・ナチを戦闘員の主力とする「右派セクター」を使った。この組織はドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーが2013年11月に組織している。 そのヤロシュは2007年にNATOの秘密部隊ネットワークに参加したと言われている。その年の5月に欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議がウクライナのテルノポリで開かれたが、その議長をヤロシュが務めている。 ウクライナのネオ・ナチはステパン・バンデラを信奉している。バンデラはOUN(ウクライナ民族主義者機構)のメンバーだったが、この組織は1938年5月に指導者のイェブヘーン・コノバーレツィがソ連の工作員に暗殺されると分裂、反ポーランド、反ロシア感情の強いメンバーはバンデラの周辺に集まった。 ウクライナをドイツが占領していた時代、OUNはドイツと結びついて「汚い仕事」を引き受けた。当時、ウクライナでは90万人のユダヤ人が行方不明になったとされているが、それもOUNが行ったと言われている。 1941年3月になるとOUNの内部対立は頂点に達し、OUN-M(メルニク派)とOUN-B(バンデラ派)に分裂、ドイツはOUN-Bへ資金を提供し、バンデラ派のミコラ・レベジはゲシュタポ(国家秘密警察)の訓練学校へ入っている。ドイツ軍がソ連へ攻め込んだバルバロッサ作戦が始まったのはこの年の6月。ドイツ軍はウクライナのリビウへ入った。 リビウを制圧したドイツ軍とウクライナ人は6月30日から7月2日にかけてユダヤ人の虐殺を開始、犠牲者は4000名から8000名だと推測されている。対象地域をウクライナ西部に地域を広げると、7月に殺されたユダヤ人の数は3万8000名から3万9000名に達するという。(Grzegorz Rossolinski-Liebe, “Stepan Bandera,” ibidem-Verlag, 2014) 8月になるとゲシュタポは暴走を始めたOUN-MとOUN-Bなどウクライナの「ナショナリスト」を摘発し始め、12月にOUN-Bは1500名のメンバーがナチスに逮捕されたと発表している。メルニクを含めて約2000人が逮捕されたともいう。(前掲書) ドイツ軍は1941年6月にソ連への軍事侵攻を開始している。「バルバロッサ作戦」だ。西側には約90万人だけを残し、310万人を投入するという非常識なものだったが、これはアドルフ・ヒトラーの命令。西側から攻めてこないことを知っていたかのようだ。 ドイツ軍は7月にレニングラードを包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点に到達した。10月の段階でドイツだけでなくイギリスもモスクワの陥落は近いと考えていたのだが、12月にソ連軍が反撃を開始、年明け直後にドイツ軍はモスクワで敗北してしまう。ドイツ軍は1942年8月にスターリングラード市内へ突入するが、ここでもソ連軍に敗北、1943年1月に降伏。この段階でドイツの敗北は決定的になった。 1943年春になるとOUN-Bの戦闘員はUPA(ウクライナ反乱軍)として活動し始め、その年の11月には「反ボルシェビキ戦線」を設立した。ゲシュタポから摘発されていたはずのOUNやUPAの幹部だが、その半数近くはウクライナの地方警察やナチスの親衛隊、あるいはドイツを後ろ盾とする機関に雇われていたと考えられている。(前掲書) ドイツ軍の敗北を見てアメリカとイギリスは慌てて動き出し、この年の7月に軍隊をシチリア島へ上陸させた。シチリア島を含むイタリアで支持されていたコミュニストへの対策ということもあり、アメリカの情報機関はこの時にマフィアからの協力を得ている。 アメリカやイギリスの支配層、つまりウォール街やシティの住人はナチスを手先と考えていた。ナチスの戦争犯罪を研究しているアメリカン大学のクリストファー・シンプソンによると、1920年代後半にアメリカからドイツへ融資、あるいは投資という形で多額の資金が流れている。ヨーロッパ大陸全域でアメリカの投資額が激減している中、1929年から40年の間に約48.5%増えているのだ。(Christopher Simpson, “The Splendid Blond Beast”, Common Courage, 1995) アメリカからドイツへの投資は限られた金融機関を通して行われていた。その中心になっていたのがディロン・リードとブラウン・ブラザーズ・ハリマンだ。 ドイツへ資金を流すため、1924年にユニオン・バンキングが設立されるが、その重役にはプレスコット・ブッシュやW・アベレル・ハリマンが含まれている。ブッシュとハリマンはいずれもエール大学でスカル・アンド・ボーンズという学生の秘密結社に所属したいた。 プレスコットが結婚したドロシーの父親はウォール街の大物、ジョージ・ハーバート・ウォーカー。プレスコットは1924年、ウォーカーが社長を務める投資銀行A・ハリマンの副社長に就任、ウォール街でも名の知られた存在になる。そうしたことからウォール街の弁護士だったアレン・ダレスと親しくなる。プレスコットの息子、ジョージ・H・W・ブッシュがCIA長官に就任するのは必然だった。 こうしたウォール街人脈にとって、1932年のアメリカ大統領選挙の結果は衝撃だった。ニューディール派のフランクリン・ルーズベルトが当選したのだ。そこでJPモルガンをはじめとするウォール街の住人たちはクーデターでニューディール派を排除し、ファシズム体制を樹立しようとした。 クーデターの司令官を誰にするかについてウォール街の住人たちはパリで協議、選ばれたのはスメドリー・バトラー退役少将だった。軍の内部で圧倒的な人望があり、この人物を抱き込まないと計画を成功させられないと判断したからのようだ。 しかし、JPモルガンはバトラーがラディカルすぎると考えて嫌っていたという。この金融機関が考えていた人物は陸軍参謀長だったダグラス・マッカーサー。この軍人が結婚したのはルイス・クロムウェル・ブルックス。その母、エバ・ロバーツ・クロムウェルが再婚したエドワード・ストーテスベリーはJPモルガンの共同経営者だった。 ウォール街の住人はドイツのナチスやイタリアのファシスト党、中でもフランスの「クロワ・ド・フ(火の十字軍)」の戦術を参考にしていた。クロワ・ド・フのような50万名規模の組織を編成して政府を威圧、「スーパー長官」のようなものを新たに設置して大統領の重責を引き継ぐとしていた。こうした計画を聞き出した上でバトラーはカウンタークーデターを宣言、議会で告発している。(Public Hearings before the Special Committee on Un-American Activities, House of Representatives, 73rd Congress, 2nd Session) バトラーはその一方、信頼していたフィラデルフィア・レコードの編集者トム・オニールに相談、オニールはポール・コムリー・フレンチを確認のために派遣する。フレンチは1934年9月にウォール街のメンバーを取材、コミュニストから国を守るためにファシスト政権をアメリカに樹立させる必要があるという話を引き出した。(Jules Archer, “The Plot to Seize the White House,” Skyhorse, 2007) その後、ルーズベルトは1936年、40年、そしてドイツや日本の敗北が間近に迫っていることが明らかだった44年の選挙でも勝利する。戦争が終われば、ウォール街とナチスとの関係が調べられ、責任を問われることも予想されたが、45年4月12日に急死してしまった。そして始まるのが「赤狩り」、つまり「反ファシスト派狩り」だ。 第2時世界大戦の終盤、ドイツの敗北が決定的になるとアレン・ダレスたちはナチスの幹部と接触し始める。サンライズ作戦だ。その後、アメリカの軍や情報機関はナチスの幹部や協力者を逃走させ、保護、そして雇用する。つまりラットライン、ブラッドストーン作戦、ペーパークリップ作戦などだ。 ドイツでナチスが権力を握る頃からウォール街はファシストと緊密な関係にあった。その関係は大戦後も続き、ウクライナでもその人脈が生きている。 そうした実態を新聞、出版、放送、映画、最近ではインターネットを支配するハイテク企業が封印、事実と違うイメージを広めている。ナチスは人びとの抱くイメージをコントローするすため、啓蒙宣伝省を設立していた。その機関を動かしていたのがヨーゼフ・ゲッベルスだ。啓蒙宣伝省を「民営化」すると西側の有力メディアになると言えるだろう。
2022.04.24
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は4月15日現在、前の週より373名増えて2万7349名に達し、このうち1万2566名はアメリカで報告されている。 一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%にすぎ無いと言われているが、4月15日までに報告された1万2566名のうち21%は「COVID-19ワクチン」を接種してから48時間以内に死亡しているとされている。
2022.04.23
ウクライナ東部にあるドネツク州のマリウポリをロシア軍が制圧したようだ。ドネツク州とルガンスク州を合わせてドンバスと呼ぶが、この地域を含むウクライナの東部と南部は歴史的な経緯からロシア語を話す住民が多く、ロシアに親近感を抱いている。そのドンバスを支配していた親衛隊の主力、アゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)はネオ・ナチによって編成された。 本ブログでも繰り返し書いてきたように、ウクライナの内戦は2013年11月から14年2月にかけてアメリカのバラク・オバマ政権が実行したクーデターから始まる。その際、ホワイトハウスで指揮していたのが副大統領だったジョー・バイデン、現場で指揮していたのが国務次官補を務めていたビクトリア・ヌランド。戦闘員の主力はネオ・ナチで組織された「右派セクター」だ。 右派セクターは2013年11月、ドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーによって編成された。ウクライナはNATO加盟国でないが、ヤロシュは2007年にNATOの秘密部隊ネットワークに参加。その年の5月に欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議がウクライナのテルノポリで開かれたが、その議長をヤロシュが務めている。その当時、アメリカのNATO大使を務めていた人物がヌランドだ。 クーデターで倒されたビクトル・ヤヌコビッチ大統領は東部と南部を地盤とする政治家。2004年から05年にかけての「オレンジ革命」でもアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権はヤヌコビッチを大統領の座から引きずり降ろしている。 クーデターでヤヌコビッチは排除されたものの、東部や南部の住民はクーデターを認めず、抵抗を始める。それに対し、オバマ政権はCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、傭兵会社「アカデミー(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名をウクライナ東部の制圧作戦に参加させたとも伝えられた。 クーデター派の攻撃に対抗するため、クリミアの住民はロシアと統合する道を選ぶ。3月16日にはロシアとの統合を求める住民投票が実施され、80%以上の住民が参加、95%以上が加盟に賛成している。この迅速な動きのおかげでクリミアの住民は平穏な生活を送れた。 4月12日にCIA長官だったジョン・ブレナンがキエフを極秘訪問、その2日後にクーデター政権は東部や南部の制圧作戦を承認する。22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問、その直後から軍事力の行使へ急速に傾斜していった。 そして5月2日、オデッサでは反クーデター派の住民が虐殺される。住民を殺したグループの中心は右派セクターだった。サッカーのフーリガンを挑発して住民が集まっていた広場へ誘導、住民を労働組合会館へと「避難」させ、その中で住民を虐殺したのだ。このとき50名近くの住民が殺されたと伝えられているが、これは地上階で確認された死体の数にすぎな図、地下室で惨殺された人を加えると120名から130名になると現地では言われていた。 一方、ドンバスではクーデター政権と反クーデター派との戦闘が始まる。旧ソ連圏ではドイツとの戦争に勝利した記念日である5月9日を人びとは祝っていた。その日を狙い、クーデター政権はマリウポリに戦車を突入させ、住民を殺しはじめたのだ。6月2日にキエフ政権はルガンスクの住宅街を空爆、住民を殺しているが、その日、デレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りしていた。OSCE(欧州安保協力機構)も空爆があったことを認めている。 クーデター後、ネオ・ナチと戦ったベルクト(警官隊)は解散させられ、隊員は命を狙われている。相当数のメンバーがロシアに保護を求めたり、ドンバスの反クーデター派に参加したと見られている。軍や情報機関の内部にも離反者は少なくないだろう。 クーデター直後にSBU(ウクライナ保安庁)の長官に就任したバレンティン・ナリバイチェンコは以前からCIAに協力していた人物で、前任者のアレクサンドル・ヤキメンコによると、第1副長官時代に隊員の個人ファイルをCIAに渡していたという。 今回、ロシア軍が制圧したマリウポリは反クーデター派が多い地域であり、2014年以降、ネオ・ナチに占領されていたのである。ロシア軍に救出された住民は異口同音に、アゾフをはじめとする親衛隊が住民を人質にするだけでなく拷問し、虐殺してきたと証言している。 ロシア軍のマリウポリ制圧は戦略上、重要な意味があるが、それ以上にバイデン政権が恐れているのは住民の証言だろう。配下の有力メディアを使って流してきた作り話がバレてしまう。こうした証言を無視すると同時に新たな大きな嘘をつかざるをえなくなるだろう。
2022.04.22
イギリスのウェストミンスター治安判事裁判所は4月20日、内部告発を支援する活動を続けてきたウィキリークスのジュリアン・アッサンジをアメリカへ引き渡すように命じた。戦争犯罪を含むアメリカ支配層の権力犯罪を明らかにしたことが「スパイ行為」にあたるとして、オーストラリア人のアッサンジを処罰するとアメリカ政府は主張、それをイギリスの裁判所が容認したわけだ。 つまり、アメリカの支配層にとって都合の悪い事実を明らかにしたなら、その国籍がどこであろうと、どこに住み、どこで活動しているかに関係なく誰でもアメリカ政府に処罰されることになる。今回の判決は「言論の自由に対する死刑宣告」に等しい。もっとも、西側の有力メディアはすでに言論を放棄、権力者の宣伝機関になっているので関係ない話かもしれないが。 ウィキリークスはアメリカの私的権力を怒らせる情報を何度か公表してきた。そのひとつが2016年の大統領選挙に関するもの。民主党の候補者選びが始まってしばらくすると、ダークホース的な存在だったバーニー・サンダースが支持率を高め、私的権力が2015年の段階で次期大統領に内定していたヒラリー・クリントンを脅かし始めたのだ。 そこでDNC(民主党全国委員会)はサンダースの足を引っ張る工作を始めるのだが、その実態を明らかにする電子メールをウィキリークスが明らかにしてしまう。そこでヒラリーたちが始めたのが「ロシアゲート騒動」だが、これが捏ち上げだったことが今では明確になり、司法省、FBI、CIAなどの責任が問われている。 しかし、アメリカの当局がアッサンジを秘密裏に起訴したのは2012年。その大きな理由と考えられているのはイラクにおけるアメリカ軍の住民虐殺を暴いたことにあると考える人も少なくない。 ウィキリークスは2010年4月、アメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターが2007年7月に非武装の一団を銃撃、十数名を殺害する場面を撮影した映像を公開した。犠牲者の中にはロイターの特派員2名が含まれている。その映像を見れば、武装集団と間違ったわけでないことは明白だ。 その情報源だったアメリカ軍のブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵は逮捕され、スウェーデンの検察当局は2010年11月にアッサンジに対する逮捕令状を発行した。 アッサンジにかけられた容疑は「性犯罪」とされたが、もう少し具体的に言うならば、合意の上で始めた行為におけるコンドームをめぐるトラブルだ。アッサンジ側は女性の訴えを事実無根だとしている。このふたりの女性も当局が主張する容疑を否定している。 その話を警察がタブロイド紙へリーク、「レイプ事件」として報道されることになるが、主任検事のエバ・フィンはその翌日、容疑が曖昧だということで令状を取り消してしまう。 そこへ検事局長だったマリアンヌ・ナイが介入、主任検事の決定を翻し、捜査再開を決めた。しかも、捜査資料がメディアにリークされている。アメリカ政府の意向を受けた政治的な決定だとみられている。 それに対し、アッサンジは政治犯だと判断、2012年8月に亡命を認めたのがエクアドルの大統領だったラファエル・コレア。ロンドンのエクアドル大使館で保護するが、外へは出られなくなった。 アッサンジに対する捜査をスウェーデン当局が打ち切った2017年5月にエクアドルの大統領はコレアからレニン・モレノに交代、新大統領は亡命を取り消した。 アッサンジは2019年4月11日、ロンドンのエクアドル大使館でロンドン警視庁の捜査官に逮捕され、それ以降、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所で拘束されることになった。逮捕の1カ月前、2019年3月11日にIMFはエクアドルに対して42億ドルの融資を実施すると発表していた。この融資は亡命取り消しの交換条件のひとつだったとみられている。 アメリカはアッサンジを起訴する理由としてハッキングを主張している。その容疑で最も重要な証人はシギ・トールダルソン。2010年当時、ウィキリークスの活動にボランティアとして参加していたが、後にFBIへの情報提供者になった人物だ。ウィキリークスはこの人物が寄付のうち5万ドルを横領したと疑っていた。 2010年の初め、アッサンジからアイスランド政府のコンピュータに侵入して情報を盗むように指示されたなどとトールダルソンは主張していたが、後にそれは嘘だとメディアに証言している。トールダルソンは第三者から書類を受け取り、チェックしないままアッサンジに渡したという。 その当時、トールダルソンは「サブ」と呼ばれていたヘクター・ザビエル・モンセガーと接触していた。この人物はハッキング・グループのリーダーだったが、逮捕され、懲役124年が言い渡される可能性があったが、司法取引でFBIへの情報提供者になっていた。アイスランド政府へのハッキングを仕掛けたのはFBIを後ろ盾とするサブだ。トールダルソンはFBIの罠にかかり、FBIの情報提供者になった。 ブチャでの住民殺害を含め、西側の政府や有力メディアが宣伝している「ロシア軍による戦争犯罪」は事実でないことが明確になっている。マリウポリから脱出した住民は、クーデター体制の政権が送り込んだネオ・ナチを主体とする親衛隊が住民を人質にし、殺害していることを異口同音に証言している。 そのネオ・ナチの後ろ盾がアメリカ/NATOであり、住民殺戮の黒幕である。そのアメリカの権力犯罪を暴いたのがウィキリークス。その象徴的な存在だったアッサンジはイギリスで拘束され、アメリカへ引き渡されようとしている。
2022.04.21
ウクライナ内務省の親衛隊で中心的な役割を果たしてきたアゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)はマリウポリを拠点にしてきた。そのマリウポリをロシア軍とトンバス(ドネツクとルガンスク)軍が制圧しようとしている。 ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2月21日にドンバスの独立を承認、2月24日にロシア軍は巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃を始めたが、その直後、ロシア軍はウクライナ側の重要な文書を回収している。そのひとつがドンバスへの攻撃計画。 その文書によると、親衛隊のニコライ・バラン上級大将が1月22日に攻撃を命令する文書へ署名、ドンバスを攻撃する準備が始まった。2月中に準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたという。この作戦はゼレンスキーが1月18日に出した指示に従って立てられたと言われている。その5日前、アメリカのジェイク・サリバン国家安全保障補佐官はロシア軍がウクライナへ軍事侵攻する可能性が高いと発言している。 ウクライナの政治家、オレグ・ツァロフは2月19日、ウォロディミル・ゼレンスキー政権が近い将来、ドンバスで軍事作戦を始めると警鐘を鳴らしていた。OSCE(欧州安全保障協力機構)によると、2月17日頃からウクライナ側からドンバスへの攻撃が始まり、18日、19日とエスカレートさせている。 ツァロフによると、ロシアとの国境近くを制圧してウクライナの現体制に従わない住民を「浄化」、同時にSBU(治安機関)は各地のナチと共同で「親ロシア分子」を殺し始めることになっていた。すでに準備は整い、西側の承認も得ているとしている。 この情報が正しいなら、3月に入るとウクライナの軍や親衛隊はドンバスを攻撃しているが、そこの住民の多くはクーデター体制が敵視するロシア語系の人びとだ。戦闘の開始と同時にロシア語系住民の虐殺が始まった可能性が高いが、その時点でロシア軍が反撃に出たなら、ゼレンスキー政権だけでなく、西側の有力メディアも殺戮の責任をロシア軍に押し付けていただろう。 今でもゼレンスキー政権、ジョー・バイデン政権、そして西側の有力メディアはロシア軍がジェノサイドを行っていると宣伝しているが、脱出できた住民はいて、実態を証言している。住民がアゾフ大隊に殺されている事実のほか、マリウポリ空港の地下にはSBUの「図書館」と呼ばれる秘密刑務所があり、拷問も行われていたことも発覚した。 そうした中、ロシア海軍のミサイル巡洋艦モスクワで爆発があり、沈没した。アメリカ国防総省の広報官を務めるジョン・キルビーは爆発の原因について、ミサイル、魚雷、あるいは内部で起こった何かだとしている。つまり原因は不明だと言っている。 ウクライナ側は2機の対艦ミサイル「ネプチューン」が命中したとしている。このミサイルは亜音速で、モスクワを撃沈するほど爆発力は大きくない。モスクワの防空システムなら容易に撃墜できるとも言われている。つまり、ネプチューンが撃沈させた可能性は小さい。 そこで注目されているのが2機の電子偵察機。アメリカのP-8AとイギリスのRC-135が近くを飛行したとされている。そのほか無人機のRQ-4も飛行していたという。また炎上するモスクワの写真から魚雷による攻撃を受けたのではないかと推測する人もいる。ミサイルならアメリカ軍もすぐにわかったはずだ。 実際、キルビーも可能性のひとつとして魚雷を上げていたのだが、もし魚雷だとすると、潜水艦から発射されたのではないかという疑いが出てくる。ウクライナ軍が攻撃したのではないということでもある。
2022.04.20
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権は3月後半、ロシア語系住民を支持基盤とする11の政党を禁止した。そうした政党のひとつを率いるビクトル・メドヴェドチュクは昨年から軟禁状態だったが、今年4月に逮捕され、手錠をかけた姿を撮影した写真が公開された。ウクライナ側はメドヴェドチュクとウクライナ兵との交換を求めている。 2014年2月にアメリカのバラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したが、これはロシア語系住民の意志を力で排除したことに等しい。ヤヌコビッチが支持基盤にしていた東部地域と南部地域は歴史的な経緯もあり、ロシア語系の住民が多いが、クーデター後、ロシア語系住民は弾圧の対象になり、ロシア語の使用も厳しく制限されるようになっていた。 クーデタの翌月にロシアとの統合を求める住民投票を実施したクリミアでは95%以上が加盟に賛成(投票率80%以上)し、ロシアの保護下に入ったことで平穏な生活が訪れたが、ドンバス(ドネツクとルガンスク)では対応が遅れたことや地理的な問題からクーデター政権と反クーデター派との戦闘が始まった。2014年2月から今年2月までの間にクーデター政権が送り込んだ部隊に殺されたドンバスの住民は1万4000名を超したと言われている。 ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2月21日にドンバスの独立を承認、2月24日にロシア軍は巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃を始めたが、その直前、2月19日にウクライナの政治家、オレグ・ツァロフはウォロディミル・ゼレンスキー政権が近い将来、ドンバスで軍事作戦を始めると警鐘を鳴らしていた。OSCE(欧州安全保障協力機構)によると、2月17日頃からウクライナ側からドンバスへの攻撃が始まり、18日、19日とエスカレートしている。 ツァロフによると、ロシアとの国境近くを制圧してウクライナの現体制に従わない住民を「浄化」、同時にSBU(治安機関)は各地のナチと共同で「親ロシア分子」を殺し始めるというクロアチア的な計画。すでに準備は整い、西側の承認も得ているとしている。 作戦はキエフ、オデッサ、ハリコフ、ドニエプロペトロフスクなどウクライナ南東部で行う予定で、ターゲットには野党の政治家だけでなくブロガー、ジャーナリスト、オピニオン・リーダーも含まれ、住所と名前の書かれたリストはすでに作成されたと書かれていた。 戦闘が始まった後、ロシア軍はウクライナ軍が残した文書を回収しているが、それによると、ニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書へ署名、ドンバスを攻撃する準備が始まった。2月中に準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたという。この作戦はゼレンスキーが1月18日に出した指示に従って立てられたと言われている。 そのゼレンスキー大統領はロシア政府と交渉を始めるが、3月5日にロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBUの隊員に射殺されたと伝えられている。クーデター以後、SBUはCIAの下部機関となり、反クーデター派を拷問したり暗殺してきたと言われている。マリウポリ空港の地下にはSBUの「図書館」と呼ばれる秘密刑務所があり、拷問も行われていたとする証言もある。
2022.04.19
フィンランドとスウェーデンがNATO(北大西洋条約機構)への加盟を検討していると伝えられているが、アメリカの支配層にとって都合の悪い情報を公表してきたウィキリークスのジュリアン・アッサンジを逮捕する切っ掛けを作ったのはスウェーデンにほかならない。 ウィキリークスは2010年4月、アメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターが2007年7月に非武装の一団を銃撃、十数名を殺害する場面を撮影した映像を公開した。犠牲者の中にはロイターの特派員2名が含まれている。その映像を見れば、武装集団と間違ったわけでないことは明白だ。 その情報源だったアメリカ軍のブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵は逮捕され、スウェーデンの検察当局は2010年11月にアッサンジに対する逮捕令状を発行した。 アッサンジにかけられた容疑は「性犯罪」とされたが、もう少し具体的に言うならば、合意の上で始めた行為におけるコンドームをめぐるトラブルだ。アッサンジ側は女性の訴えを事実無根だとしている。このふたりの女性も当局が主張する容疑を否定している。 その話を警察がタブロイド紙へリーク、「レイプ事件」として報道されることになるが、主任検事のエバ・フィンはその翌日、容疑が曖昧だということで令状を取り消してしまう。 そこへ検事局長だったマリアンヌ・ナイが介入、主任検事の決定を翻し、捜査再開を決めた。しかも、捜査資料がメディアにリークされている。アメリカ政府の意向を受けた政治的な決定だとみられている。その捜査をスウェーデン当局は2017年5月に打ち切りを決めたが、アッサンジはイギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所で今も拘束、アメリカ当局は引き渡しを求めている。 アッサンジはオーストラリア国籍で、活動はアメリカの外で行ってきた。その人物をアメリカの当局は拘束させ、引き渡しを求めている。そのアッサンジを政治犯だと認め、2012年8月に亡命を認めたのがエクアドルの大統領を務めたラファエル・コレア。ロンドンのエクアドル大使館で保護するが、外へは出られなくなった。 しかし、エクアドルの大統領が2017年5月にコレアからレニン・モレノに交代してから状況が変わる。スウェーデン検察はアッサンジに対するレイプ捜査を終え、逮捕令状を取り消すと発表したが、モレノはアッサンジの亡命を取り消した。アッサンジは2019年4月11日、ロンドンのエクアドル大使館でロンドン警視庁の捜査官に逮捕される。 その1カ月前、2019年3月11日にIMFはエクアドルに対して42億ドルの融資を実施すると発表していた。この融資は亡命取り消しの交換条件のひとつだったとみられている。 アメリカ当局はアッサンジをハッキングのほか「1917年スパイ活動法」で起訴しているが、ハッキングで最も重要なアメリカ側の証人はシギ・トールダルソン。2010年当時、ウィキリークスの活動にボランティアとして参加していたのだが、後にFBIへの情報提供者になった。ウィキリークスはこの人物が寄付のうち5万ドルを横領したと疑っていた。 スウェーデンがアメリカへ従属する道を選んだのは1986年2月。自立の道を歩いていたオロフ・パルメ首相が1986年2月28日、妻と映画を見終わって家に向かう途中に銃撃され、死亡してからだ。 アメリカの支配層から嫌われていたパルメが首相に返り咲いたのは1982年10月8日だが、その直前、10月1日からスウェーデンでは国籍不明の潜水艦が侵入したとして大騒動になっている。潜水艦は捕獲されず、根拠が曖昧なままソ連の潜水艦という印象だけが広められた。ノルウェーの研究者、オラ・ツナンデルによると、西側の潜水艦だった可能性が高い。 その年の11月に日本では中曽根康弘が内閣総理大臣に就任、翌年の1月にはアメリカを訪問している。その際、中曽根はワシントン・ポスト紙のインタビューを受け、「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母(実際は巨大空母だったようだが、本質的な違いはない)とすべきだ」と発言、さらに「日本列島にある四つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と挑発した。 その直後、1983年8月31日から9月1日にかけて大韓航空007便がアンカレッジを飛び立ってから大きく航路を逸脱、NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が設定した緩衝空域と飛行禁止空域を突っ切ってソ連領空を2度にわたって侵犯、サハリン沖で撃墜されたと言われている。 一連の出来事はスウェーデン人のソ連感に影響を与えた。1980年までソ連を脅威と考える人は国民の5~10%に過ぎなかったのだが、事件後の83年には40%へ跳ね上がり、軍事予算の増額に賛成する国民も増える。1970年代には15~20%が増額に賛成していただけだったが、事件後には約50%へ上昇しているのだ。そして1986年2月28日、パルメ首相は射殺された。(Ola Tunander, “The Secret War Against Sweden”, 2004) アメリカではジミー・カーター大統領の国家安全保障補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキーがソ連に対する戦争をアフガニスタンで開始している。1979年7月にはアメリカとイスラエルの情報機関に関係していた人びとがエルサレムで会議を開き、ソ連に対するイメージ戦争について話し合っている。 この会議を主催したのはイスラエルのシンクタンクで情報機関との関係が深いとされているジョナサン研究所。その名称は1976年7月、ウガンダのエンテベ空港襲撃の際に死亡したイスラエルの特殊部隊員、ヨナタン・ネタニアフに由来している。後にイスラエルの首相となるベンヤミン・ネタニアフはその弟だ。 1981年1月にアメリカの大統領となったロナルド・レーガンもソ連に対する軍事的な圧力を強め、イメージ戦争を本格化させる。レーガン大統領はNSDD11に署名、プロジェクト・デモクラシーやプロジェクト・トゥルースがスタートしたのだ。デモクラシーという看板を掲げながら民主主義を破壊し、トゥルースという看板を掲げながら偽情報を流し始めたのだ。今ではインターネット支配も進めている。 こうしたイメージ戦略と並行して支配システムを作り変える動きも勧められている。ひとつの切っ掛けは1957年に作成されたソ連に対する先制核攻撃計画だ。300発の核爆弾をソ連の100都市に落とするという「ドロップショット作戦」が作成され、沖縄が軍事基地化されている。そして1958年、ドワイト・アイゼンハワー政権は核戦争で正規の政府が機能しなくなった場合を想定し、憲法に定められた手続きを経ずに秘密政府を設置する仕組みを作った。いわゆる「アイゼンハワー10」だ。 このシステムはジミー・カーター政権下の1979年にFEMAという形で浮上、ロナルド・レーガン政権ではCOGに発展する。FEMAは2003年から国土安全保障省の下部機関になった。 COGはレーガン大統領がNSDD55を出したところから始まる。そして創設されたのがNPO(国家計画局)。COGは上部組織と下部組織に分かれ、上部組織は「プロジェクト908」。当時、ジョージ・H・W・ブッシュ、ドナルド・ラムズフェルド、リチャード・チェイニー、ジェームズ・ウールジーたちが含まれていた。下部組織は「フラッシュボード」と呼ばれ、ホワイトハウスの役人、将軍たち、CIAの幹部、引退した軍人や情報機関員など数百人で編成された。 スウェーデンはパルメが暗殺された後、アメリカの従属国になった。NATOと緊密な関係を結び、その秘密部隊ネットワークに組み込まれた可能性が高い。あとは公式加盟国になるかどうかだ。
2022.04.18
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は4月8日現在、前の週より277名増えて2万6976名に達した。
2022.04.17
現在の戦争において軍事力は手段の一部でしかない。アメリカは基軸通貨のドルを発行する特権を持ち、金融システムを支配しているという優位な立場を利用、金融経済戦争で他国を圧倒してきたが、中国やロシアが相手の場合、ダメージはむしろアメリカやEUの方が大きい。主要メディアやインターネットに君臨する巨大ハイテク企業を支配することでイメージ戦争でも圧倒的や力を持っている。 大多数の人びとは有力メディアやハイテク企業が伝える話に基づいてイメージを作り上げるのだが、アメリカの支配層が全てをコントロールできているわけではない。彼らにとって不都合な事実を有力メディアは伝えないが、シリコンバレーのハイテク企業も削除してきた。言論統制を強化している。 ウクライナにおいてもアメリカはイメージ戦争で圧倒しているが、イメージを作り上げるために流す話は偽情報であり、その嘘を維持するため、さらに大きな嘘をつかなければならなくなる。事実が漏れ出るとイメージが一気に崩れてしまう。ロシア軍の介入がアメリカ政府のシナリオより早かったようで、ドンバス(ドネツクやルガンスク)の住民が救出され、ネオ・ナチによる住民虐殺の実態が漏れ出ている。 ウィキリークスはアメリカの支配層にとって都合の悪い事実を明らかにする活動をしてきた。その象徴的な存在であるジュリアン・アッサンジは現在、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所で拘束されている。 冤罪で終われる身になったアッサンジの亡命を2007年1月から17年5月までエクアドルの大統領を務めたラファエル・コレアは12年8月に認め、ロンドンのエクアドル大使館へ逃げ込んだ。 しかし、エクアドルの大統領がコレアからレニン・モレノに交代してから状況が変わる。2017年5月にスウェーデン検察はアッサンジに対するレイプ捜査を終え、逮捕令状を取り消すと発表していたが、モレノはアッサンジの亡命を取り消し、ロンドン警視庁の捜査官を大使館へ「招待」した。アッサンジは2019年4月11日、ロンドンのエクアドル大使館でロンドン警視庁の捜査官に逮捕される。 その1カ月前、2019年3月11日にIMFはエクアドルに対して42億ドルの融資を実施すると発表していた。この融資は亡命取り消しの交換条件のひとつだったとみられている。 アメリカ当局はアッサンジをハッキングのほか「1917年スパイ活動法」で起訴しているが、ハッキングで最も重要なアメリカ側の証人はシギ・トールダルソン。2010年当時、ウィキリークスの活動にボランティアとして参加していたのだが、後にFBIへの情報提供者になった。ウィキリークスはこの人物が寄付のうち5万ドルを横領したと疑っていた。 トールダルソンはアッサンジが2010年の初めにアイスランド政府のコンピュータに侵入して情報を盗むように指示したなどと証言していたが、後にそれは嘘だとメディアに証言している。トールダルソンは第三者から書類を受け取り、チェックしないままアッサンジに渡したというのだ。アメリカの当局がアッサンジを起訴した根幹が崩れたと言える。 トールダルソンによると、彼は「サブ」と呼ばれるヘクター・ザビエル・モンセガーと接触していた。この人物はハッキング・グループのリーダーだが、アメリカの当局に逮捕され、懲役124年が言い渡される可能性があった。そこで司法取引に応じ、FBIの情報提供者になったのだ。 アイスランド政府へのハッキングを仕掛けたのはFBIを後ろ盾とするサブ。トールダルソンはFBIの罠にかかり、彼もFBIの協力者になった。そこでアッサンジを起訴するために偽証したのだが、その事実をメディアに認めてしまったわけだ。そのトールダルソンをアイスランドの捜査当局は9月24日に逮捕、収監した。口封じだろう。 ウィキリークスが明らかにした事実の一つはアメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターによる非武装の一団に対する銃撃。情報源はアメリカ軍のブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵だ。2007年7月、バグダッドで非武装の人びとを銃撃、ロイターの特派員2名を含む十数名が殺されている。情報が公開された翌月、マニングは逮捕された。 アメリカ主導軍は有力メディアを利用して偽情報を流してイラクのサダム・フセイン体制が危険だというイメージを流布、2003年3月に侵略戦争を始めたのだ。 アメリカのジョーンズ・ホプキンス大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究によると、2003年の開戦から2006年7月までに約65万人のイラク人が殺されている。イギリスのORBによると、2007年夏までに94万6000名から112万人が死亡、またNGOのジャスト・フォーリン・ポリシーは133万9000人余りが殺されたと推測している。戦争の犠牲者は100万人程度だと言えるだろう。
2022.04.17
アメリカの支配層が世界制覇戦争を本格化させたのは1991年12月にソ連が消滅した直後からだが、ウクライナでの戦争に限定すると2013年11月の下旬。その直前、ウクライナの国会議員だったオレグ・ツァロフは11月20日、議会でクーデター計画が存在すると警鐘を鳴らしていた。実際、バラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ったクーデターを実施、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領は2014年2月22日に排除された。 クーデター直後に治安機関のSBU(ウクライナ保安庁)をアメリカのCIAは素早く指揮下に置くが、軍や治安機関から反クーデター軍へ合流した人は少なくなかったと言われている。 オバマ政権はクーデターでネオ・ナチを使ったが、その主力は右派セクター。2013年11月にドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーが創設した団体だ。 ウクライナのテルノポリでは2007年5月に欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議が開かれたが、その議長を務めたヤロシュはすでにNATOの秘密部隊ネットワークに参加していた。その当時、アメリカのNATO大使を務めていたのがビクトリア・ヌランドだ。 このクーデターは違憲であり無効だと主張しているのがヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の人びとで、クリミアでは3月16日にはロシアへの加盟を問う住民投票が実施された。80%を超える住民が投票に参加、95%以上が加盟に賛成している。 ドンバス(ドネツクやルガンスク)では対応が遅れたが、それでも同じような意志を住民は示す。この意思をロシア政府が受け入れたなら状況は変わっただろうが、そうした展開にはならなかった。そしてクーデター政権が送り込んだ戦車部隊と戦闘が始まる。 この戦闘はドンバス軍が優勢で、オバマ政権はテコ入れのためにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込んだほか、傭兵会社「アカデミー(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名をウクライナ東部の制圧作戦に参加させたとも伝えられた。CIAは2015年からウクライナの特殊部隊員をアメリカ南部で訓練しているという。 また、ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノはウクライナでの取材を終えて帰国した後、米英の特殊部隊、つまりアメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加している事実を伝えている。CIAは2007年からウクライナにおける軍事作戦の準備を始め、2013年に作戦を始動させ、今はロシア軍と戦っていると言えるだろう。 ウクライナのクーデター政権は正規軍を信頼していない。ロシア軍と戦っている主体は内務省の親衛隊だが、その中心はアゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)であり、その母体は右派セクター。つまりロシア軍と戦っている主力はNATOの秘密部隊だ。 軍をコントロールするため、昨年11月2日、ボロディミル・ゼレンスキー大統領はヤロシュをウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官の顧問に据えた。ロシア軍との戦争をこの段階でゼレンスキー政権、つまりジョー・バイデン政権は想定していると言えるだろう。 バイデン政権は昨年11月25日より少し前、ロシアに対する経済戦争も計画している。アメリカの影響下にあるロシアの金や外貨を凍結、エネルギー資源をはじめとする貿易を制限し、SWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除も決めた。内容を決めたメンバーにはジャネット・イエレン財務長官や情報機関や軍の人間が含まれ、財務省のウォーリー・アデイェモ副長官、エリザベス・ローゼンバーグ次官補、そして国家安全保障副補佐官のダリープ・シンが関係したという。 2014年のクーデターを警告したオレグ・ツァロフは今年2月19日に出した緊急アピール「大虐殺が準備されている」を発表している。ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始、この地域を制圧してからキエフ体制に従わない住民(ロシア語系住民)を「浄化」するというもので、西側からの承認を得ているともしていた。SBUはネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。 バイデン政権はドンバスやクリミアに対する軍事作戦でロシア語系住民を殺戮、配下の有力メディアを利用して責任をロシア軍に押し付けるつもりだったのだろうが、その前、2月24日にロシア軍がウクライナに対する攻撃を開始した。 巡航ミサイル「カリブル」などで航空基地が破壊されたと言われているが、その際にウクライナの生物兵器研究開発施設も狙われたとされていた。その直後にロシア軍はウクライナ/アメリカ側の機密文書を回収することに成功している。 ロシア国防省によると、そうした文書の中にドンバスを攻撃する作戦に関するものがあった。ニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書へ署名、攻撃する準備が始まり、2月中に準備を終えたとされている。攻撃は3月に始めることになっていたという。この作戦はゼレンスキーが1月18日に出した指示に基づいて立てられたという。 また、ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将は3月7日に記者会見を開き、ウクライナの生物兵器の研究開発施設から回収した文書について語っている。 ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていたとしている。文書の一部も公表した。 3月8日には上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官はウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について質問され、ロシア軍に押収されるかもしれないと懸念している。つまり、ウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 こうした施設へ資金を供給していたのはロズモント・セネカ・パートナーズやジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ。ソロスはロシアや中国の体制転覆を目的とした活動をしてきたことで知られているが、ロズモント・セネカ・パートナーズはバイデン大統領の息子、ハンターが関係している。 ハンターがクリストファー・ハインツやデボン・アーチャーと2009年に創設した投資ファンド。ハインツはジョン・ケリー元国務長官の義理の息子で、アーチャーはエール大学でハインツのクラスメート。バイデンとアーチャーは2014年にブリスマの重役に就任するが、その時、このふたりとビジネス上の関係をハインツは絶ったとされている。 アメリカの生物兵器研究開発施設には、アメリカ国防総省や同省の国防総省のDTRA(国防脅威削減局)が協力、そのほか国務省、USAID(米国国際開発庁)、USAMRIID(米国陸軍伝染病医学研究所)、WRAIR(ウォルター・リード陸軍研究所)、そしてアメリカの民主党が仕事を請け負っている。さらにメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、そしてCH2Mヒルも仕事をしている。 メタバイオタは生物学的な脅威の評価したり管理する仕事をしている会社で、ウイルス学者のネイサン・ウルフによって創設された。2014年からエコヘルス同盟のパートナーになっているが、その背後にはUSAIDの「PREDICTプロジェクト」がある。 エコヘルス同盟はアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)から武漢病毒研究所へ資金を提供する仲介役を演じてきたことでも知られている組織。このため、ウクライナの研究所はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)にも関係しているという疑いが生じた。 つまり、ロシア軍がウクライナの軍事施設や生物兵器の研究開発施設を攻撃した直後、バイデン政権を崩壊させるだけでは済まない大スキャンダルが発覚しているのだ。西側の有力メディアはそうした事実には目を向けず、ロシア軍が住民を虐殺しているという偽情報を流し続けている。ウクライナで停戦が実現した場合、このスキャンダルが噴出する可能性がある。つまり、バイデン政権は戦闘をやめさせるわけにはいかないだろう。
2022.04.16
ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノはウクライナでの取材を終えて帰国、米英の特殊部隊、つまりアメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加している事実を伝えている。 1991年12月にソ連が消滅したが、その2カ月後にアメリカ国防総省はDPG(国防計画指針)草案として世界制覇プランを作成した。その最高責任者は国防長官だったリチャード・チェイニーだが、作成の中心は国防次官のポール・ウォルフォウィッツだったことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。 まず旧ソ連圏の制圧に着手するが、1993年1月に大統領となったビル・クリントンは戦争に消極的。その流れが変わったのは1997年1月に国務長官がクリストファー・ウォーレンからマデリーン・オルブライトへ交代してからだ。オルブライトはヒラリー・クリントンと親しく、ズビグネフ・ブレジンスキーの教え子だった好戦的な人物である。 1999年3月にNATO軍はユーゴスラビアを先制攻撃、破壊と殺戮を展開し、国を解体した。その前にセルビア人を悪魔化するための宣伝が繰り広げられたが、その仕事を請け負ったのはルダー・フィン・グローバル・コミュニケーションという広告会社。1991年に「民族浄化」を行ったクロアチア政府がこの会社と契約している。 アメリカはイメージ戦略を本格化させたのだが、メディアに対する工作も強化している。1999年にはアメリカ陸軍第4心理作戦群の隊員が2週間ほどCNNの本部で活動したのも一例。「産業訓練」というプログラムの一環で、編集に直接はタッチしていなかったというが、心理戦の部隊を受け入れると言うこと自体、報道機関としては許されない行為である。その後、CNNはプロパガンダ機関色が濃くなる。アメリカ軍の広報担当、トーマス・コリンズ少佐によると、派遣された軍人はCNNの社員と同じように働き、ニュースにも携わったという。(Trouw, 21 February 2000) この当時、アメリカの支配層はロシア軍や中国軍を甘く見ていた。例えば、フォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文では、アメリカ軍の先制第1撃でロシアと中国の長距離核兵器を破壊できるようになる日は近いとされている。 そうした認識は2008年8月のジョージア軍による南オセチアへの奇襲攻撃失敗で崩れた。イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージア軍が北京オリンピックの開催に合わせて奇襲攻撃したのだが、ロシア軍の反撃でジョージア軍は完敗した。 この奇襲攻撃の前年、ウクライナのネオ・ナチ、ドミトロ・ヤロシュはNATOの秘密部隊ネットワークに参加している。2007年5月に欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議がウクライナのテルノポリで開かれたが、その議長がヤロシュ。その時にアメリカのNATO大使を務めていたのがビクトリア・ヌランドだ。 NATOの秘密部隊ネットワークは1944年にアメリカの戦時情報機関OSSの1部門だったSOとイギリスの特殊部隊SOEによって編成されたジェドバラが源流。大戦中、西部戦線でドイツ軍と戦っていたのは事実上、市民のレジスタンスだけだが、その主力がコミュニストだったことから、これに対抗するために作り上げたのである。 戦後、ジェドバラは解体されるが、人脈は残り、アメリカ軍の特殊部隊や破壊工作機関OPCになり、ヨーロッパでも破壊工作機関がつくられる。NATOが組織された後、NATOの秘密部隊になった。この人脈はベトナム戦争で住民虐殺作戦、フェニックス・プログラムを実行している。その主体はCIAと軍の特殊部隊で、正規軍は無関係だった。 バラク・オバマ政権は2014年2月にネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したが、それと並行してオバマ政権はCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込んでいる。さらに、傭兵会社「アカデミー(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名がウクライナ東部の制圧作戦に参加したとも伝えられた。 クーデターでアメリカはウクライナ全域を支配し、ロシアの喉元にナイフを突きつけるつもりだったが、クリミアとドンバス(ドネツクやルガンスク)の制圧に失敗する。そうしたこともあり、CIAはクーデター軍の特殊部隊員を2015年からアメリカ南部で訓練していると伝えられている。 CIAの秘密工作にはイメージ戦略や情報操作が含まれている。第2次世界大戦が終わって間もない1948年頃、アメリカでは情報操作を目的としてモッキンバードが始められた。(Deborah Davis, “Katharine the Great,” Harcourt Brace Jovanovich, 1979) そのプロジェクトを指揮していたのは4人。第2次世界大戦中からアメリカの破壊活動を指揮していたアレン・ダレス、ダレスの側近で戦後に極秘の破壊工作機関OPCを率いていたフランク・ウィズナー、やはりダレスの側近で後にCIA長官に就任するリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだ。 フィリップ・グラハムはジョン・F・ケネディの友人だったが、ケネディが暗殺される3カ月前に死亡、妻のキャサリンが新聞社の経営を引き継いだ。キャサリン時代にワシントン・ポスト紙はウォーターゲート事件でリチャード・ニクソン大統領を辞任に追い込んだ。 その取材で中心的な役割を演じたカール・バーンスタインはニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。 その記事によると、1977年までの20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとバーンスタインにCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) こうした情報操作システムを築いていたCIAだが、気骨あるジャーナリストが活躍する余地は残っていた。そこで1980年代に始められたのがプロジェクト・デモクラシー。アメリカは侵略、破壊、殺戮を続けるが、そうした行為に「民主的」というタグをつけ、人びとに支持させようとしたのだが、これは成功した。 こうしたイメージ作戦が本格化するのは1983年1月のことだ。ロナルド・レーガン大統領がNSDD11に署名、プロジェクト・デモクラシーやプロジェクト・トゥルースがスタートしたのだ。デモクラシーという看板を掲げながら民主主義を破壊し、トゥルースという看板を掲げながら偽情報を流し始めたのだ。インターネット支配も進めている。 フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテはオバマ政権がウクライナでクーデターを実行した2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出版した。その中で多くの国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。 彼によると、CIAに買収されたジャーナリストは人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開。その結果、ロシアとの戦争へと導いて引き返すことのできないところまで来ているとしていた。そうした危機感を持っていたウルフコテは2017年1月、56歳の時に心臓発作で死亡している。西側メディアはロシアとの戦争へと人びとを導いていると警鐘を鳴らしていたのだ。 言うまでもなく、日本の状況も悪い。むのたけじは1991年に開かれた「新聞・放送・出版・写真・広告の分野で働く800人の団体」が主催する講演会の冒頭、「ジャーナリズムはとうにくたばった」と発言したという。(むのたけじ著『希望は絶望のど真ん中に』岩波新書、2011年)
2022.04.15
フランス大統領選挙の第2回目投票は4月24日に予定されている。今のところエマニュエル・マクロンがマリーヌ・ル・ペンをリードしているのだが、世論調査によると、その差は接近してきた。しかも、年齢別の結果を見ると、60歳未満はル・ペンがマクロンを上回っている。 つまり、18歳から24歳まではル・ペン26.0%、マクロン20.0%、25歳から34歳まではそれぞれ25.0%、23.0%、35歳から49歳までは28.0%、24.0%、50歳から59歳は30.0%、24.0%。それに対し、60歳から69歳は22.0%と30.0%、70歳以上は13%と41.0%だ。マクロンは60歳以上、特に70歳以上の人びとに支えられている。ジョー・バイデン米大統領にマクロンが同調しきれない理由のひとつはこの辺にあるのだろう。 バイデン政権はウクライナでロシア軍が「ジェノサイド」を行っていると主張、それを西側の有力メディアは宣伝している。そうしたメディアはマリウポリで「アゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)」に同行、宣伝部隊として機能、マリウポリ市民を取材していない。 しかし、戦闘地域から脱出したマリウポリ市民を取材しているジャーナリストもいる。ドンバス・インサイダーの記者によると、彼女はフランスの有力メディアTF1やRFIのほか、ロシアやイタリア人の記者とマウリポリへ入ったとしている。脱出したギリシャ系の住民は帰国後、アゾフの残虐な行為を報告している。 西側では紙の媒体やテレビなど古いメディアだけでなく、シリコンバレーのハイテク企業はバイデン政権が転化しているプロパガンダ、「勇敢な市民が邪悪な侵略軍に立ち向かい、勝利する」という「ダビデとゴリアテ」的なストーリーが事実でないことを明らかにする情報を検閲の対象にし、封印しているが、封印しきれていない。事実を知ろうと思えば知ることができるということだ。そうした情報を調べているメディアがフランスにも存在している。
2022.04.15
アメリカはジェノサイドで作りあげられた国である。かつては海兵隊が侵略、殺戮、破壊、略奪の手先として活動していたが、中東ではワッハーブ派やムスリム同胞団、ヨーロッパではナチス、東アジアでは日本人も使われている。 1492年にクリストバル・コロン(コロンブス)がバハマ諸島に到着する前、北アメリカには210万人とも1800万人とも言われる先住民が生活していたが、ヨーロッパからの移民によって殺されてしまった。 イギリスから「ピルグリム・ファザーズ」と呼ばれるピューリタンの集団がプリマスへ到着したのは1620年だが、その前にイギリス人が持ち込んだペスト菌で少なからぬ先住民は死んでいる。 先住のアメリカ・インディアンを殲滅するためにイギリスは天然痘も利用した可能性が高い。当然のことながらイギリスの公式文書には出てこない(記録していない)ようだが、天然痘の患者が使い、汚染された毛布などを贈るという手法をイギリス軍は使っていたとされている。19世紀になっても続けられていたという。 銃や大砲だけでなく、細菌兵器も使われたということだが、そうしたことを正当化するため、彼らは神を持ち出す。例えば、マサチューセッツ湾に到達したピューリタンのジョン・ウィンスロップは1630年、自分たちを神から選ばれた民だと主張、神との契約に基づいてマサチューセッツ植民地を建設すると語る。 ジェノサイドで土地を手にしたイギリスの植民者は低コストの労働力を「囲い込み」で生み出された失業者を年期奉公人(年期奴隷)として使うようになった。アフリカだけでなく、ヨーロッパやアジアから奴隷がアメリカへ運ばれていたのである。 アメリカは「WASP」の国だとも言われている。白人(W)、アングロ(A)、サクソン(S)、そして「P」。通常、Pはプロテスタントの頭文字だとされているが、ピューリタンのPだと言う人もいる。それほどピューリタンの影響力は今でも大きいようだ。 ピューリタンは17世紀の半ば、イギリスを支配していたチャールズ1世の体制を倒した。いわゆるピューリタン革命だが、その指導者がオリバー・クロムウェル。地主や富裕な商工業者に支持されていた独立派のメンバーだ。革命の際、小農民や職人層に支持されていた水平派とクロムウェルは手を組んでいたが、革命後に水平派は潰される。 その後、クロムウェルはアイルランドを侵略して住民を虐殺、アイルランドの人口は激減する。虐殺前の1641年には147万人だったが、52年には62万人へ減ったという。50万人以上は殺され、残りは「年季奉公」や「召使い」としてアメリカなどに売られたと言われている。 アメリカは1776年に独立を宣言するが、これはヨーロッパからの移民が先住民を無視して行った身勝手な行為にすぎない。その後も先住のアメリカ・インディアンを虐殺しながら支配地域を東から西へ拡大させていき、1845年には太平洋岸に到達した。 1846年にアメリカはメキシコと戦争をはじめ、テキサス、ニュー・メキシコ、カリフォルニアを制圧し、フロンティアの消滅が宣言された1890年にはサウスダコタのウンデッド・ニー・クリークにいたスー族を騎兵隊が襲撃し、150名から300名を虐殺している。 ウイリアム・マッキンリーが大統領に就任した翌年、1898年にアメリカの中南米侵略を本格化させる引き金になった事件が起こる。キューバのハバナ港に停泊していたアメリカの軍艦メインが爆沈したのだ。アメリカはスペインが爆破したと主張、宣戦布告して米西戦争が始まる。マッキンリーは戦争を回避しようとしていたが、海軍次官補だったシオドア・ルーズベルトが独断で戦争へとアメリカを引きずっていった。 この戦争に勝利したアメリカはスペインにキューバの独立を認めさせ、プエルトリコ、グアム、フィリピンを買収することになる。ハワイも支配下におく。フィリピンは中国市場へ乗り込む橋頭堡としての役割を果たすことになった。その際、アメリカ軍がフィリピンで行った先住民の虐殺は悪名高い。 17世紀に書かれた「ウェストミンスター信仰告白」によると、「神は人類うち永遠の生命に予定された人びと」を選んだが、「これはすべて神の自由な恩恵と愛によるものであって、決して信仰あるいは善き行為」のためではないとされている。(マックス・ウェーバー著、大塚久雄訳『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』岩波書店、1989年) 奴隷も支配者も貧者も富豪も神が決めたことであり、社会的な強者は弱者のことを考える必要はないということにもなる。生まれ育った環境や運、そして犯罪行為もすべて神が事前に定めていたのであり、どのような手段でカネを儲けたとしても、それは神の意志だということだ。つまり、人間にとって善行は無意味であり、自分が「選ばれた人間」だと信じる人びとは何をしても許されるということになる。 ビクトリア朝時代のイギリスで政策決定の中心にはネイサン・ロスチャイルド、セシル・ローズ、レジナルド・ブレット、ウィリアム・ステッドなどがいた。 ローズは1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して大儲けした人物だが、1877年に彼が書いた『信仰告白』によると、彼はアングロ・サクソンを最も高貴な人種だと考え、優秀なアングロ・サクソンが支配地域を広げることは義務だと信じていた。非アングロ・サクソンの殲滅は神から許されているということになる。
2022.04.14
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は4月11日、ウクライナで行っている軍事作戦の目的はアメリカの世界制覇計画を止めさせることにあると語った。アメリカの目論見をロシア政府は以前からわかっていただろうが、やっと口にした。 その世界制覇計画はイギリスが19世紀に作成した計画を引き継いだもので、ユーラシア大陸周辺部を支配し、内陸部を締め上げて最終的にはロシアを制圧するというものだ。ロシア政府は以前からわかっていた話だろう。イギリスが明治維新を演出した理由もその計画がベースにある。 このイギリスの計画を20世紀初頭にまとめた人物がハルフォード・マッキンダー。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」はマッキンダーの理論に基づいている。 そして1991年12月にソ連が消滅、アメリカの支配層は自国が「唯一の超大国」になったと考えた。つまり世界制覇をほぼ達成したと認識したのである。そこで自分たちの利権を守るため、単独行動も辞さないといする方針を打ち出す。国連中心主義を打ち出していた細川護煕政権は許されなかった。 次の段階として、アメリカは西ヨーロッパ、アジア、または旧ソ連圏においてライバルになる超大国が出現しないよう備えようとする。アメリカのリーダーシップに挑戦したり、既存の政治的経済的秩序を転換させようと求めることを先進工業国の利権集団に諦めさせなければならないということでもある。この計画は1992年2月に国防総省がDPG(国防計画指針)草案という形で作成され、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 1990年代にアメリカ/NATOは旧ソ連圏を侵食し始めた。1997年にマデリーン・オルブライトが国務長官に就任すると好戦的な雰囲気が高まり、98年4月にアメリカ上院はNATO拡大を承認、その年の秋にオルブライトはユーゴスラビア空爆を支持すると表明、1999年3月にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃した。この頃からアメリカは情報操作するために広告会社を重要視するようになった。 アメリカが侵略戦争を本格化させる切っ掛けは2001年9月11日の出来事。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されてからだ。 2003年3月にアメリカ主導軍はイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒したが、思い通りの体制を築くことができない。イラク国民の多数を占めるシーア派が同じシーア派のイランに親近感を持つことから親イラン派の政権が誕生してしまった。 こうした状況を打開するため、イギリスの首相だったトニー・ブレアはジョージ・W・ブッシュ大統領に対し、非宗教政権を倒してムスリム同胞団と入れ替えるように求めたという。(Thierry Meyssan, “Before Our Very Eyes,” Pregressivepress, 2019) シーモア・ハーシュが2007年3月にニューヨーカー誌で書いた記事によると、ブッシュ政権はイスラエルやサウジアラビアと手を組み、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを叩き潰そうと考える。その手先として選ばれたのがムスリム同胞団やサラフィ主義者だ。 2009年1月に大統領はバラク・オバマに交代、2010年8月にはムスリム同胞団を使った体制転覆プラン、PSD-11を承認している。ブレア英首相の意向に沿う計画だ。そして「アラブの春」が始まり、リビアやシリアでは2011年春から戦争になる。侵略戦争の開始だ。 そして2014年2月にオバマ政権はネオ・ナチを使ったクーデターで、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。ここから現在のウクライナにおけるクーデター軍と反クーデター軍の戦争は始まる。この戦争は米英が進めてきた世界制覇計画の一環にほかならない。
2022.04.13
公安調査庁が同庁ホームページ上の「国際テロリズム要覧2021」から「アゾフ連隊」に関する記述を削除したことが世界的な話題になっている。このアゾフ連隊はアゾフ特殊作戦分遣隊を指し、今でも一般的にアゾフ大隊と呼ばれている。 この要覧は「内外の各種報道、研究機関等が公表する報告書等から収集した公開情報を取りまとめたものであって、公安調査庁の独自の評価を加えたものではな」いと主張、アゾフ大隊を同庁がネオ・ナチ組織と認めたものではないとしている。 しかし、公安調査庁は闇雲に公開情報を集めたわけではないだろう。信頼できる情報かどうかを評価していなければおかしい。独自の評価が加わっているはずだ。適当に集めましたでは無責任すぎる。そもそもアゾフ大隊の歴史は公安調査庁には関係なく、ネオ・ナチだということは明確である。 アゾフ大隊の母体になった右派セクターは2013年11月、ドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーによって創設された。この右派セクターが2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ政権を転覆させたクーデターで中心的な役割を果たしたのである。右派セクターが中心になって2014年5月に「アゾフ大隊」が正式に発足、親衛隊の核になった。この武装集団が拠点にしてきたのがマリウポリだ。 ヤロシュは2007年にNATOの秘密部隊ネットワークに組み込まれているが、その当時、アメリカのNATO大使を務めていた人物がビクトリア・ヌランド。クーデターを現場で指揮していた。昨年11月2日、ゼレンスキー大統領はヤロシュをウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官の顧問に据えた。 NATOの秘密部隊は第2次世界大戦の終盤にアメリカとイギリスの情報機関が組織したゲリラ戦部隊ジェドバラから始まる。ドイツ軍は東でソ連軍と戦い、敗北したが、西ではレジスタンスと戦っていた。そのレジスタンの主力はコミュニスト。そのレジスタンス対策でジェドバラは編成されたのである。 戦後、この組織は解体されたが、その人脈は生き残り、アメリカの特殊部隊は破壊工作機関、そしてNATOの秘密部隊ネットワークになる。こうした歴史的な背景があるため、このネットワークはアメリカやイギリスの特殊部隊と関係が深い。現在、ウクライナで米英の特殊部隊がロシア軍と戦っている理由もそこにある。
2022.04.12
フランス大統領選挙の第1回目の投票が4月10日に実施され、エマニュエル・マクロンが27.6%でトップ、マリーヌ・ル・ペンが23.4%で続いた。4月24日に行われる第2回目の投票はこのふたりで争われる。これまで有力メディアはル・ペンに「極右」というタグをつけ、彼女の国民戦線をファシスト政党だと宣伝してきたが、人気を維持している。 ウクライナのネオ・ナチを擁護している西側の有力メディアがル・ペンを批判するのは、彼女がアメリカの支配層が主導する政策に反対しているからだ。アメリカ/NATOがウクライナでネオ・ナチを使っていることをル・ペンは正面から批判していた。 2014年2月にアメリカ政府はネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を暴力的に排除することに成功した。その後もネオ・ナチを使った支配システムをアメリカは築いている。現在、こうしたアメリカの政策にEUは従っているが、クーデター直後はアメリカに従わない政治家もいた。 例えばティエリー・マリアニに率いられたフランス国民運動連合(共和党)の議員団は2015年7月23日から24日にかけてクリミアを訪問している。 この政党は2002年にジャック・シラク大統領の与党として組織され、アメリカがイギリスを引き連れて行ったイラクへの先制攻撃、つまり軍事侵略を批判していた。イラク攻撃を正当化するため、アメリカやイギリスは「大量破壊兵器」の脅威が宣伝されていたが、でっち上げだということは攻撃の前からわかっていた。 アメリカに逆らったシラクは大統領を退任した直後、2007年からスキャンダル攻勢にあう。職員架空雇用の容疑で起訴され、2011年に執行猶予付きながら禁固2年が言い渡されている。 フランスでは2012年に大統領選挙があり、社会党のフランソワ・オランドが当選したが、2011年前半の段階で同党の有力候補はIMF専務理事だったドミニク・ストロスカーンだと考えられていた。その有力候補が退場したのは事件に巻き込まれたからだ。ホテルでメイドを襲った容疑で2011年5月にニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港で逮捕、起訴されたのである。すでにベルリンへ向かう旅客機の座席にストロカーンは座っていた。冤罪だったが、政界への道は断たれた。 逮捕される前の月にストロス-カーンはブルッキングス研究所で演説、その中で失業や不平等は不安定の種をまき、市場経済を蝕むことになりかねないとし、その不平等を弱め、より公正な機会や資源の分配を保証するべきだと発言していた。進歩的な税制と結びついた強い社会的なセーフティ・ネットは市場が主導する不平等を和らげることができ、健康や教育への投資は決定的だと語っただけでなく、停滞する実質賃金などに関する団体交渉権も重要だともしている。新自由主義批判、つまりアメリカの金融資本批判だ。 こうした考え方がアメリカ政府を刺激したことは確かだろうが、それ以上に注目されているのがアフリカの通貨問題。当時、アフリカではリビアを中心に、独自の基軸通貨を作ろうとしていた。ディナールという金貨だ。 その計画で中心的な役割を果たしていたのはリビアのムアンマル・アル・カダフィのほか、チュニジアのベン・アリ、そしてエジプトのホスニ・ムバラク。西側で「アラブの春」と呼ばれているレジーム・チェンジで倒された3カ国には「ドル体制からの離脱」という共通項があったのである。 そのほか計画に参加することが予定された国にはスーダン、南スーダン、赤道ギニア、コンゴ、コンゴ民主共和国、ガボン、南アフリカ、ウガンダ、チャド、スリナム、カメルーン、モーリタニア、ザンビア、ソマリア、ガーナ、エチオピア、ケニア、タンザニア、モザンビーク、コートジボワール、イエメン、アルジェリア、アンゴラ、ナイジェリアが含まれる。(F. William Engdahl, “Hillary Emails, Gold Dinars and Arab Springs,” NEO, 17 March 2016) ドル体制への挑戦だが、金貨が導入されるとアフリカの一部で使われているCFAフランを揺るがすことにもなる。リビア侵略にフランスが積極的だった理由のひとつはこの辺にあると見られている。 この通貨問題を協議するためIMFも動いていた。ストロスカーンがドイツのアンゲラ・メルケル首相とベルリンで会談した後、トリポリへ向かう予定になっていたのだ。おそらくカダフィを会うことになっていたと見られている。(Thierry Meyssan, “Before Our Very Eyes,” Progressive Press, 2019) 今回のフランス大統領選挙でアメリカはル・ペンの当選を阻止しようとするだろうが、万一当選したならあらゆる手段を講じて排除しようとするだろう。
2022.04.11
パキスタンで内閣不信任決議案の採決が4月10日にあり、賛成多数でイムラン・カーンは排除された。次期首相になると見られているシェバズ・シャリフは軍との関係が強く、アメリカとの軍事同盟強化を打ち出している。 パキスタンはアメリカの戦略にとって重要な意味を持っている。パキスタンはアメリカと一線を画し、中国やロシアと友好的な関係を築きつつあった。カーンの排除はアメリカ政府にとって急務だったのである。 カーンによると、アメリカのドナルド・ルー国務次官補はパキスタンのアサド・マジード公使に対し、カーン政権が継続されたなら、アメリカとの関係に影響が出ると脅したという。アメリカ政府は否定しているようだが、そうした発言が出てくることは十分にありえる。 パキスタンと同じようにアメリカの世界戦略にとって重要なインドもロシアや中国と友好的な関係を築いている。例えば、ロシアとインドはルーブルとルピーで決済する方向で話し合っていると伝えられている。アメリカのドル体制を支えてきたサウジアラビアもアメリカと一線を画し、中国との石油取引で人民元で決済する可能性が出てきたという。こうした動きをアメリカは力づくで封じ込めようとしている。
2022.04.10
ドネツクのクラマトルスクにある鉄道の駅がミサイルげ攻撃され、十数人が死亡したという。残された残骸から使用されたミサイルはトーチカUだとわかっているが、このミサイルは旧式で、実戦用としてロシア軍は持っていないとされている。一方、ウクライナ軍は今でも実際に使用している。 1991年から98年までUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターの分析によると、ミサイルはウクライナ軍が支配している地域からロシア語系住民が住む地域へ向かって発射されている。 少し注意深く調べればわかる偽情報を連発、有力メディアを利用してターゲットの政権や体制を攻撃するという手口はイラクでも、リビアでも、シリアでも使われた。嘘が証明されても事態は遥か先へ進んでいるため、人びとの記憶には残らない。詐欺師が使いそうな手口だ。
2022.04.09
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は4月1日現在、前の週より303名増えて2万6699名に達した。この数字は実数の1%から10%程度にすぎないと言われ、実際は26万人強から260万人強に達するということになる。
2022.04.09
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は反ロシア・キャンペーンを展開、アメリカのグラミー賞授与式や国連の安全保障理事会でバーチャル演説している。そして4月7日、ギリシャ議会でオンライン演説を行った。ゼレンスキーを議会へ「招待」したのはキリアコス・ミツォタキス首相だ。 しかし、その際、ゼレンスキー大統領が親衛隊の中核であるアゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)のメンバーを伴っていた。マリウポリ周辺には約12万人のギリシャが住んでいるが、その戦闘員もギリシャ系だという。 アテネのウクライナ大使館はアゾフ大隊がネオ・ナチだということを否定、マリウポリから戻ったギリシャの外交官マノリス・アンドルラキスもアゾフ大隊は市民を殺していないと弁護しているが、その説明が正しくないことを知る人は少なくない。 アメリカでは白人至上主義者に関する裁判でFBIの特別捜査官が2018年10月に提出した宣誓供述書で、アゾフ大隊はネオ・ナチ思想と結びつき、ナチのシンボル主義を使っていると認めている。 思想的には1920年代からOUN(ウクライナ民族主義者機構)の幹部だったステパン・バンデラの流れを汲んでいる。この組織は1941年3月に分裂、反ロシア感情の強いメンバーがバンデラの下に集まった。これがOUN-B。このOUN・Bをイギリスの情報機関MI6のフィンランド支局長だったハリー・カーが雇う一方、ドイツが資金を提供し、バンデラの側近だったミコラ・レベジはクラクフにあったゲシュタポ(国家秘密警察)の訓練学校へ入っている。 第2次世界大戦の終盤からアメリカの情報機関OSSで破壊活動を指揮していたアレン・ダレスたちはナチスの幹部や協力者と接触、保護し、逃走させ始めた。そうした中にOUN・Bのメンバーも含まれ、対ソ連戦の傭兵として訓練を受けることになる。 アゾフ大隊の母体になった右派セクターは2013年11月に創設したのはドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーだが、このうちヤロシュは2007年にNATOの秘密部隊ネットワークに組み込まれている。このネットワークを動かしているのはイギリスとアメリカの情報機関である。ゼレンスキー大統領は昨年11月2日、ヤロシュをウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官の顧問に据えた。 マリウポリから脱出した市民は、アゾフ大隊は市民の脱出を許さず、脱出しようとした市民を銃撃、少なからぬ人が死傷していると語っている。また市民の居住空間に入り込み、ロシア軍の攻撃を避けようとしてきたともいう。建造物の破壊も続けている。 脱出した市民の中にはギリシャ人もいて、やはりアゾフ大隊を罵っている。こうしたルートからもアゾフ大隊の実態はギリシャへ伝えられているわけだ。アメリカ政府に阿ろうとしてゼレンスキーにオンライン演説させたのだろうが、国内の反発は小さくないようだ。
2022.04.09
マリウポリにある産婦人科病院を3月9日に破壊したのはロシア軍だという話を西側の有力メディアは広げている。そうした「報道」でアイコン的に使われたマリアナ・ビシェイエルスカヤはその後、報道の裏側について語っている。 彼女は3月6日、市内で最も近代的な産婦人科病院へ入院したが、間もなくウクライナ軍が病院を完全に占拠、患者やスタッフは追い出されてしまう。彼女は近くの小さな産院へ移動した。最初に病院には大きな太陽パネルが設置され、電気を使うことができたので、それが目的だろうと彼女は推測している。 そして9日に大きな爆発が2度あり、爆風で彼女も怪我をした。2度目の爆発があった後、地下室へ避難するが、その時にヘルメットを被った兵士のような人物が近づいてきた。のちにAPの記者だとわかる。そこから記者は彼女に密着して撮影を始めた。彼女は「何が起こったのかわからない」が、「空爆はなかった」と話したという。 APだけでなく、西側の有力メディアはロシア軍の攻撃で産婦人科病院が破壊され、母親と乳児が死傷しているというストーリーに仕上げたかったはず。実際、彼女の証言は記者に都合よく改竄されてしまう。 問題の病院から患者やスタッフがウクライナ軍に追い出されたことはマリウポリから脱出した市民も異口同音に語っている。その部隊はおそらくアゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)だろう。脱出した市民によると、脱出しようとした市民をアゾフの隊員は銃撃、少なからぬ人が死傷したという。また市民の居住空間に入り込み、ロシア軍の攻撃を避けようとしてきたともしている。 現在、アメリカをはじめとする反ロシア連合はイメージ戦争を中心をブチャの死体へ移しているが、これは穴が多く、病院のケースと同じように信頼度は低い。ニューヨーク・タイムズ紙は4月4日、マクサー・テクノロジーズという会社かた提供された写真を掲載し、3月19日には死体が路上に存在していたと主張しているが、これも不自然な点がすぐに指摘され始めた。 おそらく多くの人が抱く最初の疑問は、比較のために載せられた2月28日の写真に比べ、肝心の3月19日に撮影されたという写真の解像度が悪すぎるのはなぜかということだろう。影や天候の分析から実際の撮影日は4月1日だとする推測もあるが、もし19日から約2週間、道路上に死体は放置されていたことになる。その間、氷点下になったのは28日の早朝だけ。29日には17度まで上昇している。 キエフの周辺で拷問を受け、殺害された死体が発見されているが、その一部が白い腕章をつけていることも注目されている。ロシア軍を意味するからだ。また、ロシア軍が配った食糧を持っている人もいたとされている。ロシア軍が撤退した後、親衛隊はロシア軍に対して友好的な態度を示していた市民を殺して回ったとも言われている。 しかし、西側の政府や有力メディアはネオ・ナチの親衛隊を善玉、ロシアを悪玉として描かなければならない。そのため、出来事を全て反転して描くわけだ。そうして作られた話に飛びつく人も少なくない。
2022.04.08
ウクライナのブチャでロシア軍が住民が虐殺したとする話に不自然な点があることは少なからぬ人が指摘しているが、そうした中、ニューヨーク・タイムズ紙は4月4日、マクサー・テクノロジーズという会社から提供された写真を掲載、3月19日には死体が路上に存在していたと主張している。 ところが、この記事にも疑問がすぐに出てきた。「3月19日の写真」は土砂降りの雨の後だとわかるが、現地で土砂降りの雨があったのは3月31日から4月1日。影の分析から撮影された日付けは4月1日がマッチ、SunCalcプログラムで太陽の角度を分析した結果もやはり4月1日がマッチしているという。これは住民の証言ともマッチしている。ニューヨーク・タイムズ紙の記事は偽情報の可能性が高い。 巨大資本による有力メディアの支配が進んだ1980年代から信頼度は高くなかったが、21世紀に入ってその程度は大きく低下、リビアやシリアに対する侵略戦争が始まった2011年からは見る影もない。 ウクライナを攻撃したロシア軍は生物兵器の研究施設や軍事施設から文書を回収している。ロシア国防省によると、そうした文書の中にドンバスを攻撃する作戦に関するものがあった。 親衛隊のニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書へ署名して攻撃の準備が始まり、2月中には準備を終えたとされている。攻撃は3月に始めることになっていたという。この作戦はウォロディミル・ゼレンスキー大統領が1月18日に出した指示に基づいて立てられたという。 これも重大な情報だが、アメリカのジョー・バイデン政権にとってはロズモント・セネカとジョージ・ソロスのオープン・ソサエティがウクライナにある生物化学兵器の研究開発施設へ資金を提供していることを示す文書の回収が深刻かもしれない。 オープン・ソサエティはアメリカにとって都合の悪い政権や体制を転覆させる道具として有名だが、ロズモント・セネカはハンター・バイデンのほかクリストファー・ハインツとデボン・アーチャーが2009年に創設した投資ファンド。 ハインツはジョン・ケリー元国務長官の義理の息子で、アーチャーはエール大学でハインツのクラスメート。バイデンとアーチャーは2014年にブリスマの重役に就任するが、その時、このふたりとビジネス上の関係をハインツは絶ったとされている。 ウクライナに建設した生物化学兵器の研究開発施設にアメリカの国防総省や同省のDTRA(国防脅威削減局)が協力していたことは明らかにされているが、国務省、USAID(米国国際開発庁)、USAMRIID(米国陸軍伝染病医学研究所)、WRAIR(ウォルター・リード陸軍研究所)、そしてアメリカの民主党が仕事を請け負い、さらに国防総省はメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、そしてCH2Mヒルが仕事をしている。 メタバイオタは生物学的な脅威の評価したり管理する仕事をしている会社で、ウイルス学者のネイサン・ウルフによって創設された。2014年からエコヘルス同盟のパートナーになっているが、その背後にはUSAIDの「PREDICTプロジェクト」がある。 エコヘルス同盟はアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)から武漢病毒研究所へ資金を提供する仲介役を演じてきたことでも知られている組織。このため、ウクライナの研究所はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)にも関係しているという疑いが生じた。 こうした研究施設の問題をアメリカやEUはもみ消そうと躍起だが、中国をはじめ、徹底した調査を求める声も小さくはない。ブチャの虐殺話もそうしたもみ消し工作の一環だと考える人もいる。この実態が明るみん出たなら、アメリカの生物兵器を使った攻撃計画が浮上するだけでなく、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)との関係も浮かび上がる可能性もある。そうなると、ハンター・バイデンだけでなく、国防総省、国務省、CIA、そして民主党を揺るがす事態に発展するかもしれない。民主党は今回の中間選挙で負けるわけにはいかないだろう。 ハンターの場合、ニューヨーク・ポスト紙が2020年10月14日に報道した記事ものしかかってくる。バイデン家がウクライナの天然ガス会社ブリスマ・ホールディングス(本社はキプロス)や中国のエネルギー会社CEFCとの取り引きでいかに稼いでいるかを示す電子メールが存在すると報じているのだ。ブリスマの件はウクライナの検察当局が捜査、それを父親が圧力をかけて揉み消したとも伝えられている。
2022.04.07
ウクライナのブチャにおいて住民が虐殺されたとされる情報が流れている。ウクライナだけでなく欧米の政府がロシア軍の仕業だと非難しているが、それに対してロシア政府は国連安全保障理事会で討議するように要求した。その要求をイギリス政府は拒否したとロシア外務省のマリア・ザハロワは自身のテレグラムで明らかにした。 ブチャからロシア軍は数日かけ、3月30日に撤退を完了させ、31日には市の職員がフェイスブックで喜びを伝えているが、虐殺の話は出ていない。テレグラムのチャンネル、ブチャ・ライブでも31日まで虐殺の話は出てこない。 しかし、4月1日夜にツイッターへアップされた自動車から撮影されたビデオには、ヤブロンスカヤ通りに死体がある様子が映されている。現地を取材したAFPの記者はその通りで24体を、またAPの記者は20体を確認したという。 ロシア軍が撤退した後、ブチャへの砲撃があり、戦乱の廃墟を作り上げた。BBCが4月3日に公開した映像にはアスファルトに食い込んだ迫撃弾が映っていて、その状態から発射地点は南側だと推定されている。つまりウクライナ軍がいる場所だ。 4月2日にはネオ・ナチを主体に編成された親衛隊の大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)がブチャに入っているとニューヨーク・タイムズ紙には報じたが、アゾフと同じネオ・ナチでライバル関係にあるというボッツマンのチームも4月2日には現場へウクライナ警察の特殊部隊と入っているという。ボッツマンのチームはウクライナ軍を示す青い腕章をつけいない人物の射殺を許可されていた。ロシア軍に処刑された人びとだとして公開された写真の複数の遺体には白い腕章が巻かれている。 その2日、ウクライナ国家警察は自分たちが行った掃討作戦の様子をインターネット上に公開した。そこには大破した自動車の中に死体が映っていたものの、そのほかに死体は見当たらない。そこで、国家警察は死体を隠したのではないかと疑う人もいる。国家警察はブチャで親衛隊と行動をともにしていたので何が起こったかを知っていたが、その死体を親衛隊が何に使うつもりかを知らなかった可能性がある。 アゾフの母体になった右派セクターは2013年11月に創設したのはドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキー。昨年11月2日、ゼレンスキー大統領はヤロシュをウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官の顧問に据えた。この段階でウクライナ軍はヤロシュの指揮下に入ったと言えるだろう。そのヤロシュはネオ・ナチというだけでなく、NATOの秘密部隊ネットワークに属している。つまり米英情報機関がウクライナ軍を動かす態勢ができたわけだ。 2010年のウクライナ大統領選挙でビクトル・ヤヌコビッチと争い、敗れたユリア・ティモシェンコは「オレンジ革命」で大統領の座を奪ったビクトル・ユシチェンコの下で首相を務めた人物。 クリミアで2014年3月16日にロシアとの統合を求める住民投票が実施され、80%以上の住民が参加、95%以上が加盟に賛成している。その2日後に電話でティモシェンコはネストロ・ショフリッチと会話、ロシア人を殺したいと口にし、核兵器を発射したいとも語っている。それがアメリカの手先として活動、富豪になった人物の本音だろう。 今回の虐殺事件が伝えられる前、バイデン親子は厳しい状況に陥っていた。特に息子のハンター・バイデンはピンチで、大統領は恩赦を考えているとも言われている。 ニューヨーク・ポスト紙は2020年10月14日、バイデン家がウクライナの天然ガス会社ブリスマ・ホールディングス(本社はキプロス)や中国のエネルギー会社CEFCとの取り引きでいかに稼いでいるかを示す電子メールが存在すると報じた。ブリスマの件はウクライナの検察当局が捜査、それを父親が圧力をかけて揉み消したとも伝えられている。 ここにきて注目されているのはロズモント・セネカ・パートナーズという投資ファンド。ハンターのほかクリストファー・ハインツとデボン・アーチャーが2009年に創設した。ハインツはジョン・ケリー元国務長官の義理の息子で、アーチャーはエール大学でハインツのクラスメート。バイデンとアーチャーは2014年にブリスマの重役に就任するが、その時、このふたりとビジネス上の関係をハインツは絶ったとされている。 ウクライナでロシア軍が回収した文書の中に、ロズモント・セネカとジョージ・ソロスのオープン・ソサエティがウクライナにある生物化学兵器の研究開発施設へ資金を提供していることを示すものが含まれていたという。 こうした施設にアメリカの国防総省や同省の国防総省のDTRA(国防脅威削減局)が協力していたことは明らかにされているが、そのほか国務省、USAID(米国国際開発庁)、USAMRIID(米国陸軍伝染病医学研究所)、WRAIR(ウォルター・リード陸軍研究所)、そしてアメリカの民主党が仕事を請け負い、さらに国防総省はメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、そしてCH2Mヒルが仕事をしている。 メタバイオタは生物学的な脅威の評価したり管理する仕事をしている会社で、ウイルス学者のネイサン・ウルフによって創設された。2014年からエコヘルス同盟のパートナーになっているが、その背後にはUSAIDの「PREDICTプロジェクト」がある。 エコヘルス同盟はアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)から武漢病毒研究所へ資金を提供する仲介役を演じてきたことでも知られている組織。このため、ウクライナの研究所はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)にも関係しているという疑いが生じた。 また、ロシア軍はウクライナ側の軍事作戦に関する文書も回収している。ロシア国防省によると、そうした文書の中にドンバスを攻撃する作戦に関するものがあった。ニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書へ署名、攻撃する準備が始まり、2月中に準備を終えたとされている。攻撃は3月に始めることになっていたという。この作戦はゼレンスキーが1月18日に出した指示に基づいて立てられたという。 マリウポリから脱出した市民の証言も西側の政府や有力メディアの宣伝にとって大きなダメージになりかかっていた。「市長」の発言を垂れ流し、市民を取材しないメディアが少なくないが、その理由はその辺にあるだろう。 市民の証言は西側の政府や有力メディアが描いてきた「勇敢な市民が邪悪な侵略軍に立ち向かい、勝利する」という「ダビデとゴリアテ」的なストーリーが事実でないことを明らかにしている。(例えば、ココやココ) 脱出して間もない市民の声が外へ伝えらているのは現地で取材していいる記者がいるからである。例えば、ドンバス・インサイダーの記者によると、彼女はフランスの有力メディアTF1やRFIのほか、ロシアやイタリア人の記者とマウリポリへ入ったとしている。 早い段階で記事も出ているが、脱出した人の証言映像をツイッターに載せていた人もいたが、その人のアカウントをツイッターは削除した。知られたくない事実だからだろうが、一部の映像はインターネット上にまだ残っている。 アメリカが始めたロシアに対する「経済制裁」は世界、特にEUへ大きなダメージを与え始めている。ロシアのウラジミル・プーチン大統領は同国の天然ガスを購入する場合、非友好国はロシアの通貨ルーブルで支払うように求めていたが、ドイツをはじめEUはその要求を拒否。4月1日にヤマル-ヨーロッパ・パイプラインでドイツへ流していた天然ガスを止め、東側へ流れを変えた。これは大陸国だけでなく、イギリスにも大きなダメージになる。人びとの不満が爆発するのは時間の問題。その爆発を抑えるためには人びとにショックを与える新たな話が必要だった。
2022.04.06
キエフから63キロメートルほど北にあるブチャで住民が虐殺されたと4月3日に報道された。ウォロディミル・ゼレンスキー政権はロシア軍によるものだとしているが、不自然な点が指摘されている。 ロシア軍は3月30日にブチャから撤退を完了、31日には市の職員がフェイスブックで喜びを伝えているが、虐殺の話は出ていない。ニューヨーク・タイムズ紙によると、4月2日にはネオ・ナチを主体に編成された親衛隊のアゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)がブチャへ入っている。 ロシア軍が住民の犠牲を厭わなかったならば、はるか前にキエフは制圧されていたが、そうしたことにはなっていない。ニューズウィーク誌によると、軍の情報機関DIAは長距離ミサイルが攻撃しているターゲットは軍事施設だと説明、住民が狙われているとする話を否定している。またアメリカ政府が宣伝している生物化学兵器による「偽旗攻撃」について、アメリカ国防総省の高官はロシアによる化学兵器や生物兵器の攻撃が差し迫っていることを示す証拠はないと語っている。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ウクライナの戦争は2014年2月にクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を転覆させたところから始まっている。 ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の地域では反クーデターの機運が高まり、クリミアでは3月16日にロシアとの統合を求める住民投票を実施、80%以上の住民が参加、95%以上が加盟に賛成した。この住民投票では国外からの監視団が入り、日本やアメリカに比べれば遥かに公正なものだったと考えられている。 こうした動きを懸念したのか、ジョン・ブレナンCIA長官が4月12日にキエフを極秘訪問、クーデター政権は14日に東部や南部における制圧作戦を承認する。22日にはジョー・バイデン米副大統領もキエフを訪問した。 ヤヌコビッチの支持基盤に含まれていたオデッサでは5月2日に右派セクターが反クーデター派の住民を虐殺している。サッカーの試合を見にきていたフーリガンを挑発して広場へ誘導、市民を労働組合会館の中へ入れたのだが、そこでネオ・ナチのグループが反クーデター派の市民を虐殺している。 50名弱が殺されたと伝えられている。大半は焼かれているが、棍棒などで殴り殺されたり射殺されている人が少なくない。周りが焼け焦げていない場所に焼かれた死体が置かれているため、殺した後に襲撃グループが移動されたということだろう。 しかし、これは地上階で発見された死体の話。地下ではさらに多くの人が殺されたと言われている。住民の話によると、120名から130名が殺され、その大半は運び去られたという。この虐殺事件で中心的な役割を果たした右派セクターは2013年11月にドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーが組織した。 ヤロシュは2007年にNATOの秘密部隊ネットワークに組み込まれたが、その当時アメリカのNATO大使を務めていた人物がクーデターを指揮することになるビクトリア・ヌランドだ。昨年11月2日、ゼレンスキー大統領はヤロシュをウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官の顧問に据えた。 クーデター直後、ウクライナの軍や治安機関の中にもクーデターに反発するメンバーが少なくなかった。一部はドンバスの反クーデター軍へ合流している。 そうしたこともあり、クーデター政権は3月13日、内務省に親衛隊を設置。オデッサで住民が虐殺された3日後、右派セクターが中心になって「アゾフ大隊」が創設された。その後、この武装組織は親衛隊の「アゾフ特殊作戦分遣隊」として活動する。その拠点がマリウポリ。この武装グループを当初、率いていたのがビレツキーだ。 オデッサの虐殺から1週間後、クーデター政権はマリウポリ市に戦車などを突入させて市内を破壊、非武装の住民を殺害している。5月9日はソ連がナチスに勝ったことを記念する戦勝記念日で、住民は外で祝っていた。そこへキエフのクーデター軍が突入したのだ。ここからドンバスの戦争は始まる。 この制圧作戦はロシア語を話すウクライナ国民を虐殺する民族浄化作戦でもあったが、これを作成したのはアメリカ国防総省系のシンクタンク、RANDコーポレーションだと推測されている。
2022.04.05
ロシアのウラジミル・プーチン大統領は同国の天然ガスを購入する場合、非友好国はロシアの通貨ルーブルで支払うように求めていたが、ドイツをはじめEUはその要求を拒否した。ロシアは4月1日にヤマル-ヨーロッパ・パイプラインでドイツへ流していた天然ガスを止め、東側へ流れを変えたと伝えられている。 アメリカのジョー・バイデン政権に歩調を合わせ、ロシアと敵対する政策を進めてきたEUは深刻な危機に直面している。現段階では別のパイプラインから天然ガスはEUへ供給されているが、今後、それがどうなるかは不明。もしロシアからの天然ガスが全て止まると、EUは生産活動だけでなく社会生活を維持することも難しくなると見られている。 アメリカやカタールから入手するとしても生産量には限界があり、価格の暴騰は避けられない。中期的に対応できたとしてもロシアには中国という大消費地がある。さらにブラジル、インド、南アフリカを含めたBRICS、またパキスタンもインドの政策を賞賛している。そのパキスタンでアメリカはクーデターを計画しているとも言われているが、実行されてもカザフスタンのようなことになりそうだ。 中東ではシリアやイランだけでなく、イラクもロシアとの関係が緊密化している。さらにアメリカの友好国だったはずのサウジアラビアやペルシャ湾岸の産油国もロシアに接近している。西側の政府や有力メディアの宣伝とは逆に、アメリカが孤立しつつある。 形勢を逆転させるため、アメリカは強引なことを行ってきたが、それが状況をさらに悪化させている。 ウクライナの政治家、オレグ・ツァロフは2月19日に「大虐殺が準備されている」と題する緊急アピールを発表、ボロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を始めるという情報を得たと主張した。この地域を制圧した後、キエフ体制に従わない住民を「浄化」するという内容で、西側からの承認を得ているともしていた。この作戦と並行してSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたとされている。 この計画が成功すればドンバスを制圧し、ウクライナからロシア語系の住民を消し去ることもできただろう。その上でクリミアを制圧することも想定していた可能性があるが、その計画は実行する前に挫折した。 ロシア軍はウクライナを攻撃しはじめた後、ウクライナ軍が残した文書を回収、3月にドンバス(ドネツクやルガンスク)をウクライナ軍は攻撃する計画だったことが判明したという。ツァロフの情報が正しかったことになる。 こうした情報が正しいなら、アメリカがウクライナの軍と親衛隊を利用して計画したロシア語系住民の大量殺戮計画にEUも関与していた可能性があり、天然ガスの問題でもアメリカ政府に逆らうことはできないだろう。
2022.04.03
ウクライナでロシア軍はドンバスへ戦力を集中させているようだ。アメリカなどからの軍事支援や傭兵の増強でウクライナの軍や親衛隊が態勢を立て直し、攻勢に出ようとしているのかもしれない。 部隊をドンバス(ドネツクやルガンスク)の近くへ移動させていたウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は昨年12月、外国の軍隊が領土内に駐留すること、キエフ政権側で戦う外国人戦闘員にウクライナの市民権を与えることを議会に認めさせた。またドンバスでの戦闘を念頭に置き、アメリカのCIAはウクライナ軍の特殊部隊を秘密裏に訓練しているとも報道されている。 ドンバスでの戦闘は2014年2月から始まる。バラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ってクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を転覆させることに成功したが、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の地域では反クーデターの機運が高まったのだ。 クリミアでは3月16日にロシアとの統合を求める住民投票を実施、80%以上の住民が参加、95%以上が加盟に賛成した。この住民投票では国外からの監視団が入り、日本やアメリカに比べれば遥かに公正なものだったと考えられている。 こうした動きを懸念したのか、ジョン・ブレナンCIA長官が4月12日にキエフを極秘訪問、クーデター政権は14日に東部や南部における制圧作戦を承認する。22日にはジョー・バイデン米副大統領もキエフを訪問した。 ヤヌコビッチの支持基盤に含まれていたオデッサでは5月2日に右派セクターが反クーデター派の住民を虐殺している。サッカーの試合を見にきていたフーリガンを挑発して広場へ誘導、市民を労働組合会館の中へ入れる状況を作ったのだ。建物の中で殺せば目撃されないと計算したのだろう。 その会館の中でネオ・ナチのグループが反クーデター派の市民を虐殺。50名弱が殺されたと伝えられている。大半は焼かれているが、棍棒などで殴り殺されたり射殺されている人が少なくない。周りが焼け焦げていない場所に焼かれた死体が置かれているため、殺した後に襲撃グループが移動させたということだろう。 しかし、これは地上階で発見された死体の話。地下ではさらに多くの人が殺されたと言われている。住民の話によると、120名から130名が殺され、その大半は運び去られたという。この虐殺事件で中心的な役割を果たした右派セクターは2013年11月にドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーが組織した。 ヤロシュは2007年にNATOの秘密部隊ネットワークに組み込まれたが、その当時アメリカのNATO大使を務めていた人物がクーデターを指揮することになるビクトリア・ヌランドだ。昨年11月2日、ゼレンスキー大統領はヤロシュをウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官の顧問に据えた。 クーデター直後、ウクライナの軍や治安機関の中にもクーデターに反発するメンバーが少なくなかった。一部はドンバスの反クーデター軍へ合流している。 そうしたこともあり、クーデター政権は3月13日、内務省に親衛隊を設置。オデッサで住民が虐殺された3日後、右派セクターが中心になって「アゾフ大隊」が創設された。その後、この武装組織は親衛隊の「アゾフ特殊作戦分遣隊」として活動する。その拠点がマリウポリ。この武装グループを当初、率いていたのがビレツキーだ。 アゾフ大隊の創設を資金面から支えていたイゴール・コロモイスキーはウクライナ、キプロス、イスラエルの三重国籍を持つシオニストの富豪。この人物だけでなく、アメリカの「ユダヤ系富豪」がウクライナのネオ・ナチのスポンサーを務めてきた。 オデッサの虐殺から1週間後、クーデター政権はマリウポリ市に戦車などを突入させて市内を破壊、非武装の住民を殺害している。5月9日はソ連がナチスに勝ったことを記念する戦勝記念日で、住民は外で祝っていた。そこへキエフのクーデター軍が突入したのだ。ここからドンバスの戦争は始まる。 その様子を携帯電話で撮影した映像が世界に発信されたが、それを見ると、住民が丸腰で戦車に向かい、殺されていく様子が映されている。5月11日に予定されていた住民投票を止めさせることも目的だっただろうが、予定通りに投票は行われ、独立の意思が示されている。 この制圧作戦はロシア語を話すウクライナ国民を虐殺する民族浄化作戦でもあったが、これを作成したのはアメリカ国防総省系のシンクタンク、RANDコーポレーションだと推測されている。 アメリカにとってドンバスやクリミアの制圧は重要。そこで2015年からCIAがウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練し始めたと伝えられている。訓練を受けた戦闘員はドンバス周辺で活動することが想定されているはずだ。 遅くともヤロシュが軍最高司令官の顧問になった昨年11月の初頭にはドンバスへの攻撃が決まっていた可能性がある。12月に入るとアメリカの偵察機が黒海の上空を何度も飛行、民間航空機の飛行ルートを横切るなど脅しを繰り返し、ウクライナ軍はアメリカ製の兵器を誇示してロシアを挑発。その前にはアントニー・ブリンケン国務長官がロシアを恫喝、ロード・オースチン国防長官はウクライナを訪問していた。 年明け後の1月13日、ジェーク・サリバン国家安全保障補佐官は、ロシアがウクライナへ軍事侵攻する可能性は高いと発言、2月3日に国務省のネッド・プライス報道官(元CIA幹部)は記者会でロシアが偽旗作戦を計画しているかもしれないと口にし、ロシアが偽映像を準備しているとする話もアメリカ政府は流し始めた。アメリカが行ってきた人心操作術をロシアが使うという話だが、勿論、根拠は示していない。 OSCE(欧州安全保障協力機構)によると、2月17日頃からウクライナ側からドンバスへの攻撃が始まり、18日、19日とエスカレートしているのだが、本格的な戦闘ではない。そうした中、2月19日に「大虐殺が準備されている」という緊急アピールが出された。 クーデター当時、ヤヌコビッチ大統領派の議員だったオレグ・ツァロフが出したもので、ボロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバス(ドネツクやルガンスク)で軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たとしている。 彼によると、ドンバスで「民族浄化」を実行するだけでなく、ウクライナのSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと手を組み、全土で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。 ウクライナへの攻撃を始めたロシア軍は軍事作戦や生物化学兵器に関する文書やサンプルを回収しているが、ロシア国防省によると、そうした文書の中にドンバスを攻撃する作戦に関するものがあった。 ニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書へ署名、攻撃する準備が始まり、2月中に準備を終えたとされている。攻撃は3月に始めることになっていたという。この作戦はゼレンスキーが1月18日に出した指示に基づいて立てられたという。 こうした情報が正しいなら、アメリカ政府は3月にドンバスを攻撃、市街戦を始めようとしていたということになる。ドンバスから脱出した市民の話でも、ウクライナの軍や親衛隊(ネオ・ナチ)は住民の居住地域へ入って武器を設置、住民を盾の代わりにするだけでなく、建造物を破壊し、住民を銃撃して殺傷させているという。 ウクライナ側の計画通りだと市街戦で住民の多くが死亡、ロシア軍が反撃で入ってきたなら、全ての責任を西側の政府や有力メディアはロシアに押しつけるつもりだっただろう。今後、ドンバスで大きな軍事衝突があったなら、そうしたことが起こる可能性もある。
2022.04.03
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は3月25日現在、前の週より337名増えて2万6396名に達した。 副作用として帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)の発症、あるいは体の麻痺が早い段階から指摘されていた。血栓を作り出して脳梗塞や心筋梗塞の原因になっているが、微小血栓によって脳、脊髄、心臓、肺などがダメージを受けているとも言われている。ADE(抗体依存性感染増強)でエイズと似た現象も起こっているようだ。2021年4月にはイスラエルで年少者に心筋炎や心膜炎を引き起こすと報告され、そうした症状は世界に広がった。 脳がダメージを受けて体が麻痺するケースも報告されているが、ここにきて注目されているのは失語症。俳優のブルース・ウィルスがこの病気が原因で引退することが明らかになったのだ。脳梗塞が原因になることもあるが、アルツハイマー病や脳の損傷、脳腫瘍、伝染病なども原因になるという。ウィルスの場合、数年前から症状が出ていたというが、その原因をCOVID-19ワクチンが作り出すことも確かだ。
2022.04.02
ジョー・バイデン米大統領は苦境に陥っている。EUや日本だけでなく自国に経済的なダメージを与え、東から西にかけてのアジア、アフリカ、ラテン・アメリカがアメリカから離れ始めているだけでなく、副大統領時代にネオ・ナチを投入して始めたウクライナでの戦争でロシアの反撃にあっているのだ。 今、注目されているのは大統領の息子、ハンター・バイデン。ニューヨーク・ポスト紙は2020年10月14日、バイデン家がウクライナの天然ガス会社ブリスマ・ホールディングス(本社はキプロス)や中国のエネルギー会社CEFCとの取り引きでいかに稼いでいるかを示す電子メールが存在すると報じた。ブリスマの件はウクライナの検察当局が捜査、それを父親が圧力をかけて揉み消したとも伝えられている。 今回、問題になっているのはロズモント・セネカ・パートナーズという投資ファンド。ハンターのほかクリストファー・ハインツとデボン・アーチャーが2009年に創設した。 ハインツはジョン・ケリー元国務長官の義理の息子で、アーチャーはエール大学でハインツのクラスメート。バイデンとアーチャーは2014年にブリスマの重役に就任するが、その時、このふたりとビジネス上の関係をハインツは絶ったとされている。 ウクライナでロシア軍が回収した文書の中に、ロズモント・セネカとジョージ・ソロスのオープン・ソサエティがウクライナにある生物化学兵器の研究開発施設へ資金を提供していることを示すものが含まれていたという。 こうした施設にアメリカの国防総省や同省の国防総省のDTRA(国防脅威削減局)が協力していたことは明らかにされているが、そのほか国務省、USAID(米国国際開発庁)、USAMRIID(米国陸軍伝染病医学研究所)、WRAIR(ウォルター・リード陸軍研究所)、そしてアメリカの民主党が仕事を請け負い、さらに国防総省とメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、そしてCH2Mヒルが仕事をしている。 メタバイオタは生物学的な脅威の評価したり管理する仕事をしている会社で、ウイルス学者のネイサン・ウルフによって創設された。2014年からエコヘルス同盟のパートナーになっているが、その背後にはUSAIDの「PREDICTプロジェクト」がある。 エコヘルス同盟はアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)から武漢病毒研究所へ資金を提供する仲介役を演じてきたことでも知られている組織。このため、ウクライナの研究所はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)にも関係しているという疑いが生じた。 アメリカがウクライナにこうした研究施設を持っていたことは否定できない事実であり、ロシア軍は文書やサンプルなど証拠を回収、それらを公表しつつある。アメリカの政府や有力メディアが否定しても、世界の人びとは事実を知っていく。国連はこの問題に触れたくないようだが、そうした姿勢を取れば取るほど信頼されなくなる。アメリカの支配層は個人に責任を押し付けて逃げようとするかもしれない。 こうした事態になったひとつの要因はウクライナの研究施設から重要な文書やサンプルがロシアの手に渡ったことにある。アメリカ政府はそうしたことが起こるとは考えていなかっただろう。
2022.04.02
ロシア政府は3月23日、「非友好国」が同国の天然ガスを購入する場合、決済は4月1日からロシアの通貨ルーブルに限ると発表した。アメリカが「制裁」の対象にしていないロシアの銀行にルーブルの口座を作り、そこでやり取りするとしている。アメリカ政府に比べて穏健な処置だが、西側諸国は混乱しているようだ。 この仕組みは1970年代にアメリカが始めた「ペトロダラー」と基本的に同じで、ロシアの天然ガスを購入するためにはルーブルをかき集めなければならない。いうまでもなく、エネルギー資源は暖房のためだけに使われているわけでなく、手に入らなければ製造業は機能しなくなる。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で生産活動や商業活動は麻痺していなければ、ショックは今より大きかったはずだ。 EUがルーブルで支払う決断をしても、ノードストリーム2を稼働させないようなので、やはりロシア以外からエネルギー資源を調達しなければならない。調達先としてアメリカが想定されるが、この国はシェール・ガスやシェール・オイルが中心。これらはコストが高い上、生産が可能な期間は長く続かない。産油国であるベネズエラをアメリカが制圧しようとしてきた一因はここにあるだろう。 しかもシェール・ガスやシェール・オイルの生産方法は地下水を汚染して農業生産にダメージを与えているようだ。食糧の問題でもウクライナでの戦争は影響がある。ロシアとウクライナは食糧の輸出国で、現在の戦乱で世界の食糧生産量が減ることは避けられない。そこに「制裁」が加わると、飢餓が問題になってくる可能性がある。 ところで、ロシアが穏健な対応にとどめているのは、アメリカ政府が行っている「経済制裁」がアメリカとその従属国へ跳ね返ることを見越してのことだと考える人もいる。ロシアとの貿易が止まると世界経済に影響が及ぶ。すでに1930年代より経済状況は悪くなっているとも言われている。ロシアはアメリカの自爆を待っているというわけだ。 アメリカの「経済制裁」はドルが基軸通貨だということで成り立つ。今回の「制裁」はアメリカにとって切り札なのだが、切り札は出した時点で相手を威圧する力はなくなる。 世界の国々がドルを基軸通貨と認めた一因はアメリカが世界全体の利益を考えると期待したからだが、それが幻想に過ぎなかったことは明確になりつつあった。そうした中、今回の「制裁」だ。自分たちの利益だけを考えた動きをするアメリカへの信頼度はさらに下がり、ドル離れは加速する可能性が高い。 そうした中、ロシアとインドはルーブルとルピーで決済する方向で話し合っていると伝えられている。サウジアラビアが中国との石油取引で人民元で決済する可能性が出てきたという。アメリカはロシアをSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除したが、すでにロシアはSWIFTに替わるSPFSを稼働させている。アメリカ中心に設計された現在の金融システム全体が崩れる可能性もある。
2022.04.01
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