《櫻井ジャーナル》

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2012.11.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 東電福島第一原発の「過酷事故」で環境中には大量の放射性物質が放出された。その影響で癌などの発生が「有意に増える可能性は低い」とWHO(世界保健機関)が結論づけたと 朝日新聞が大々的に報道

 放射線の問題に関するWHOの報告とは、IAEA(国際原子力機関)の報告にほかならない。言うまでもなく、IAEAは原子力を推進することを目的にした組織で、核ビジネスの広報担当とも言える。

 実は、 1959年にWHOとIAEAはある合意文書に調印 している。その第1条第3項の規定により、一方の機関が重大な関心を持っている、あるいは持つであろうテーマに関するプログラムや活動の開始をもうひとつの機関が考えている場合、プログラムや活動を考えている機関は、もうひとつの機関に対し、問題を調整するために相談しなければならない。つまりIAEAの許可がなければ、WHOは放射線の健康被害に関して発表することはできない。

 すでに多くの人や団体がこの合意を批判、福島第一原発の事故後にも指摘されていた。この合意によって、チェルノブイリ原発の事故、あるいは広島や長崎に投下された原爆の被害の実態が見えなくなっていることは間違いない。

 今回の報告書でWHOは「原爆やチェルノブイリ原発事故などの知見を参考に」したというが、その「知見」がインチキなのだから、福島第一原発事故の影響に関する分析や予測もインチキである。放射線の健康被害を取り上げようという記者ならば、当然、こうした事実は知っているはずだ。

 事故前には原発の「安全神話」を日本中に広めていたが、事故後もマスコミを含む原発推進派は嘘をつきつづけてきた。事故が起こった直後、状況を知っていた原子力の専門家なら、メルトダウンになる可能性が高いことをわかっていて、菅直人首相(当時)も東京都民を避難させなければならないかもしてないと考え、 10年から20年の間は原発近くの住民が自宅に戻ることはできない とも語っていたというが、そんなことを言い始めたのは時間が経ってからのこと。

昨年12月に毎日新聞が伝えた記事 によると、「東京電力福島第1原発事故から2週間後の3月25日、菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が『最悪シナリオ』を作成し、菅氏に提出」、「さらなる水素爆発や使用済み核燃料プールの燃料溶融が起きた場合、原発から半径170キロ圏内が旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)の強制移住地域の汚染レベルにな」り、「東京都のほぼ全域や横浜市まで含めた同(半径=引用者注)250キロの範囲が、避難が必要な程度に汚染されると推定」していたという。年明け後、この報道は 細野豪志原発担当相によって確認 され、 菅前首相も同じ話をロイターの取材で話している

 原発の危機的な状況を隠し、放射性物質の汚染の状態を知らせずに住民を必要以上に被曝させ、今でも核物質は不安定な状態が続いているにもかかわらず、事故が収束したかのように原発推進派は宣伝している。今回の報告書もそうした プロパガンダ の一環と言えるだろう。

 朝日新聞の記事によると、「福島県の一部地域の乳児では、事故後15年間で甲状腺がんや白血病が増える可能性があると予測した」としている。

 甲状腺癌や白血病は比較的に早い段階で症状が現れるのだが、20年、30年の期間で考えると、ほかの癌や心臓病、脳障害、死産、先天性障害などが増え、肺、眼内レンズ、皮膚などにも影響が現れ、免疫機能が低下するという調査結果が明らかにされている。

 記事(WHO)は予測する時期を「15年」後としている。被害の急増が予想される時期より短くしているのだ。責任回避のための逃げ道を作っているつもりなのだろう。悪質である。

 チェルノブイリ原発事故の場合も情報隠しが組織的に展開された。住民を診察した医師のカルテが回収され、闇に葬り去られたことも明らかになっているが、断片的に情報は漏れている。例えば、京都大学原子炉実験所の今中哲二助教の「チェルノブイリ原発事故:何が起きたのか」(原子力資料情報室 第57回公開研究会)によると、原発職員や消防士だけでなく、周辺住民の間で多数の急性障害が認められていたことを示す文書が見つかっている。共産党中央委員会政治局の「事故対策班」の議事録がその文書で、事故から間もない1986年5月12日には、入院中1万0198人、345人に放射線障害の症状、うち子ども38人」という事実も記録されている。

ロシア科学アカデミー評議員のアレクセイ・V・ヤブロコフたちのグループがまとめた報告書『チェルノブイリ:大災害の人や環境に対する重大な影響』が2009年にニューヨーク科学アカデミーから出版されている が、それによると、事故が原因で死んだ人や生まれられなかった胎児は98万5000人に達するとしている。ただ、この数値は1986年から2004年までのデータに基づくものにすぎない。






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最終更新日  2012.11.25 16:51:43


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