《櫻井ジャーナル》

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2015.01.12
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 EUとロシアを衝突させ、両者を疲弊させるというアメリカの目論見は崩れつつある。そうした中、引き起こされたのがシャルリー・エブド編集部の襲撃。この事件には謎、疑問点が多いことはすでに指摘した。ドイツやフランスを含む少なからぬ国がアメリカの好戦的な政策に異を唱え始めていたのだが、この事件で流れが変わるのかどうか、注目しておく必要がある。

 何度も書いていることだが、1991年にソ連が消滅したとき、冷戦に勝利したアメリカが「唯一の超大国」になり、世界を制覇する日が目前に迫ったと考える人は少なくなかった。資本主義が社会主義に勝ったと思った人も多かったようで、巨大資本は本性をむき出しにする。この世には存在しない「理想的市場」を前提にした新自由主義が全世界で猛威を振るい、富の集中が加速、その結果、集中した富が流れ込む投機市場は肥大化し、庶民が生活する社会では貧困が蔓延していく。

 ソ連を消滅させる上で重要な役割を果たし、ロシアで実権を握ったボリス・エリツィンは西側資本の傀儡だが、本人はアルコール漬けの生活だったようで、クレムリンはその娘であるタチアナ・ドゥヤチェンコを中心に動いていたという。その腐敗したグループと結びつき、国民の資産を盗んで巨万の富を築いた人たちが「オリガルヒ」。その象徴的な人物がチェチェン・マフィアと結びついていたボリス・ベレゾフスキー(後にプラトン・エレーニンへ改名)である。

 エリツィンが失脚、ウラジミル・プーチンが実権を握るとオリガルヒがロシア政府を支配するという構図が崩れ、多くのオリガルヒがイギリスやイスラエルへ逃げた。ベレゾフスキーは少なくとも一時期、イスラエルの市民権も持っていたのでイスラエルへ逃亡しても不思議ではなかったが、実際はイギリスへ渡った。その首都、ロンドンは富裕層や巨大資本が資金を隠すオフショア市場のネットワークにおける中心的な存在で、資金を扱うには便利なのだろう。

 このロンドンでベレゾフスキーは西側の支配層と親しくなる。例えば、「メディア王」とも呼ばれるルパート・マードック、1980年代に「ジャンク・ボンド」を売りまくってウォール街の敵対的買収を下支えしたマイケル・ミルケン、ジョージ・W・ブッシュの弟でS&L(アメリカの住宅金融)スキャンダルで名前が出てきたニール・ブッシュとの関係は有名だが、それ以上に重要なのはジェイコブ・ロスチャイルド卿と息子のナサニエル(ナット)・ロスチャイルドとの関係だ。ベレゾフスキーは2013年3月、ロシアへの帰還を口にした直後に急死している。

 このベレゾフスキーの下で働いていたアレクサンドル・リトビネンコは2006年11月に放射性物質のポロニウム210で毒殺されたが、その数週間前、ロシアの石油会社ユーコスの元幹部レオニド・ネフツーリンと会うためにイスラエルを訪れていた。リトビネンコの死について、兄弟のマキシム・リトビネンコはアメリカ、イスラエル、イギリスの情報機関に殺された可能性があると主張している。死の直前、アレクサンドルはロシアへ戻ると話していたという。

 ベレゾフスキーにしろ、リトビネンコにしろ、ロシアに存在するアメリカの巨大資本とつながる勢力のネットワークを熟知している可能性が高く、ロシアへ戻すわけには行かないと考える人たちがいたはずだ。

 ユーコスはオリガルヒのひとり、ミハイル・ホドルコフスキーが君臨していた会社で、西側の銀行から数億ドルの融資を受け、巨大投資会社「カーライル・グループ」からも資金を得ていた。ホドルコフスキーはプーチンに対抗できると過信してロシアに留まり、支配者であり続けようとしたのだが、2003年10月に逮捕されている。特赦で釈放されたのは2013年12月だ。

 ホドルコフスキーはコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者だった時代に、ロシアの若い女性を西側の金持ちに売り飛ばしていた疑いがあるのだが、その際にKGB(国家保安委員会)の人脈から助けられていたとする証言がある。



 西側巨大資本の傀儡としてロシア国民の資産を略奪したエリツィンの人脈はまだクレムリンに食いついている。ボリス・エリツィンの孫の夫でイスラエル系のオレグ・デリパスカがその中心的存在。プーチンと良好な関係にあるとは言い難く、数年前に アメリカの情報機関から協力を持ちかけられたことをデリパスカも認めている

 このデリパスカはロスチャイルド系の情報会社ディリジェンスの助けで世界銀行から融資を受けているが、政治面でも西側との関係を強めている。 ネオコン/シオニストの米上院議員、ジョン・マケインと親しい と言われているが、それだけでなく、ナット・ロスチャイルドの口添えで西側の政治家との関係を強めている。

 こうした人脈はUSAIDやNEDを中心とするNGOのネットワークとも結びついている。ロシアの場合、 2012年1月にマイケル・マクフォールが駐露米国大使としてモスクワに到着すると、その3日後にはロシアの反プーチン/親アメリカ(親ウォール街)派のリーダーがアメリカ大使館を訪れていた が、これは象徴的な出来事だった。こうしたロスチャイルド親子やCIA/NGOの体制転覆を目的とした活動を西側では「民主化」と呼ぶ人が少なくない。





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最終更新日  2015.01.13 06:27:17


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