《櫻井ジャーナル》

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2015.09.22
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ロシアを訪問した岸田文雄外相に対し、 セルゲイ・ラブロフ露外相は平和条約締結の前提として、日本政府が歴史的な事実を認めることを求めた

 今年、ロシアは5月9日に「対独戦勝70周年」を祝う記念式典を、また中国は9月3日には「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年」を祝う記念式典を開催した。ロシアはドイツの降伏、中国は日本の降伏を祝っているのだが、いずれも日本を含む西側の首脳は出席を断った。アメリカ政府の意向が影響しているのだろうが、日本の支配層としても行きたくはなかっただろう。

 日本では8月15日を「終戦記念日」だとして式典が開かれているが、実際に降伏したのは1945年9月2日。この日、政府全権の重光葵と軍全権の梅津美治郎が東京湾内に停泊していたアメリカの戦艦、ミズーリで降伏文書に調印したのだ。降伏したということはポツダム宣言を受け入れたことを意味する。ポツダム宣言が発表されたのは7月26日。アメリカ、イギリス、中国の共同声明という形だった。

 ポツダム宣言は「 『カイロ』宣言ノ条項ハ履行セラルベク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ 」と定めている。「カイロ宣言」の条項を履行し、日本の主権は本州、北海道、九州、四国と連合国が決める周辺の小さな島々に限定するとしているのだ。確定しているのは本州、北海道、九州、四国だけである。

 そのカイロ宣言には「 千九百十四年ノ第一次世界戦争ノ開始以後ニ於テ日本国ガ奪取シ又ハ占領シタル太平洋ニ於ケル一切ノ島嶼ヲ剥奪スルコト竝ニ満洲、台湾及膨湖島ノ如キ日本国ガ清国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民国ニ返還スルコト 」とある。

 1946年1月に出された連合軍最高司令部訓令によって、連合国は日本に帰属する小さな島々を決めた。その小島は「対馬諸島、北緯三〇度以北の琉球諸島等を含む約一千の島」で、「竹島、千島列島、歯舞群島、色丹島を除く」とされている。国後島と択捉島は千島列島の一部であり、ポツダム宣言に従うと、「北方領土」という主張はできない。



 アメリカは世界各地で「レジーム・チェンジ」を目論んでいる。どのような看板を掲げようと、目的は巨大資本のカネ儲け。つまり略奪。安倍晋三首相は「戦後レジームからの脱却」を主張しているが、これも一種の「レジーム・チェンジ」なのだろう。戦前も戦後も日本は基本的にウォール街の支配下にあり、違うのはルーズベルト政権の時代。ニューディール派的なものを捨てたいということなのだろう。

 ルーズベルトがJPモルガンをはじめとするウォール街の巨大資本と対立関係にあったことは本ブログで何度か書いた通り。1932年の大統領選でウォール街が支援していたのはハーバート・フーバーだった。

 スメドリー・バトラー海兵隊少将やジャーナリストのポール・フレンチが議会で行った証言によると、JPモルガンをはじめとする巨大資本は33年から34年にかけてクーデターを計画、ルーズベルトなどニューディール派を排除しようとした。こうしたグループに話を持ちかけられたバトラー少将はカウンタークーデターを宣言、議会で明らかにしたわけである。バトラー少将の議会証言後、ルーズベルト政権は金融資本を摘発したりしていないが、そうしたことを行えば金融システムが麻痺、内乱になる可能性もあった。

 1932年にはJPモルガンを緊密な関係にあった井上準之助が血盟団に暗殺され、モルガン財閥の総帥、ジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアと結婚した女性のいとこにあたるジョセフ・グルーが駐日大使として赴任してきた。またジョセフの妻、アリス・ペリーは少女時代を日本で過ごし、華族女学校(女子学習院)で九条節子(後の貞明皇后、つまり昭和天皇の母)と親しい関係を築いている。

 1920年の対中国借款交渉を通じてJPモルガンと深く結びついた井上は「適者生存」を主張する人物で、最近の用語を使うならば、新自由主義的な政策を推進、庶民の貧困化が進んで失業者が急増、農村では娘が売られるなど耐え難い「痛み」をもたらすことになった。こうした社会的弱者を切り捨てる政策が血盟団を刺激したわけだ。

 1939年の段階でも「日本・アングロ(米英)・ファシスト同盟」を結成してソ連と戦うという案が米英支配層の内部にあり(Anthony Cave Brown, ““C”: The Secret Life of Sir Stewart Graham Menzies”, Macmillan, 1988)、ドイツが降伏した直後、ウィンストン・チャーチル英首相はJPS(合同作戦本部)に対してソ連へ軍事侵攻するための作戦を立案するように命令、「アンシンカブル作戦」が作成された。7月1日に米英軍数十師団とドイツの10師団が「第3次世界大戦」を始める想定になっていたが、参謀本部に拒否されて実行されていない。チャーチルは7月26日に退陣した。7月の段階でソ連との戦争を始めたなら、ソ連と日本が手を組むことも懸念されたようだ。

 こうしてみると、アメリカやイギリスの支配層にはソ連と中国の勝利を認めたくない人もいて、歴史を書き換えようとしてきた。ハリウッドのプロパガンダ映画も効果があったようだ。そうした動きに日本の支配層も同調しているが、今回、ロシア政府はそうした態度を許さないと釘を刺したわけだ。アメリカのそうした勢力と手を組んでいることに対する警告とも言えるだろう。





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最終更新日  2015.09.23 10:56:56


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