《櫻井ジャーナル》

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2019.01.24
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 ロシアの巨大石油会社のユーコスを支配していた ミハイル・ホドルコフスキーはソ連時代、若い女性を「ロシア人モデル」としてニューヨークへ送り出していた。

 このホドルコフスキーが 生まれたのは1963年6月のことである。父親はユダヤ教徒、母親はロシア正教徒。ソ連時代に彼はコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者を務め、ソ連が消滅した1991年12月には28歳だった。

 ソ連では1985年に書記長となったミハイル・ゴルバチョフがペレストロイカ(改革)を推進する。そうした中、1989年にホドルコフスキーはリチャード・ヒューズなる人物と「ロシア人モデル」をニューヨークへ送るビジネスを始めた。

 この年にホドルコフスキーはメナテプ銀行を設立するためのライセンスを取得する。違法送金やマネーロンダリングが目的だった可能性が高い。

 この怪しげなビジネスをソ連当局も怪しみ、モデルに対する出国ビザを出し渋るのだが、ホドルコフスキーのKGB人脈に助けられて入手できたという。この若者はKGBとつながっていたわけだ。(Mark Ames, “Russia’s Ruling Robbers”, Consortium news, March 11, 1999)

 本ブログでもすでに指摘したが、ソ連はジョージ・H・W・ブッシュなどCIAのOBグループとKGB中枢の腐敗グループが手を組んで実行したハンマー作戦で消滅した。CIAとKGBを結びつけたのはイスラエルのモサド。KGBの腐敗グループには1982年から88にかけてKGB議長を務めたビクトル・チェブリコフ、KGBの頭脳と呼ばれたフィリップ・ボブコフなどが含まれていた。

 ソ連消滅後、ロシアに君臨したのがボリス・エリツィン。ホドルコフスキーはエリツィン政権を支える顧問のひとりに就任した。国民の資産を奪う新自由主義的な政策を推進したグループに属していたということだ。

 ホドルコフスキーは1995年にユーコスを買収、中小の石油会社を呑み込み、その一方でモスクワ・タイムズやサンクトペテルブルグ・タイムズを出している会社の大株主になっている。金融、エネルギー、メディアは支配に必要な道具だ。

 ユーコスは西側から資金を調達していたが、投資会社のカーライル・グループも調達源のひとつ。この投資会社にはジェームズ・ベイカー元米国務長官をはじめ、フランク・カールッチ元米国防長官、ジョン・メジャー元英首相、ジョージ・H・W・ブッシュなどが幹部として名を連ねていた。

 この一方、彼はジョージ・ソロスの「オープン・ソサエティ基金」をモデルにした「オープン・ロシア基金」を2002年にアメリカで創設、ヘンリー・キッシンジャーやジェイコブ・ロスチャイルド卿を雇い入れた。彼がキッシンジャーやロスチャイルドの影響下にあったことを示唆している。

 ホドルコフスキーはユーコスの発行済み株式のうち25から40%をアメリカの巨大石油会社、エクソン・モービルとシェブロンへ売り渡そうとしていたが、ウラジミル・プーチンに阻止されてしまった。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,“ Next Revelation Press, 2015)

 エリツィン時代、クレムリンの腐敗勢力と手を組んで巨万の富を築いたホドルコフスキーのような人物はオリガルヒと呼ばれている。プーチンが実権を握るとオリガルヒの一部はその政権への従属を誓い、他はロンドンやイスラエルへ逃げる。ホドルコフスキーはロシアに残ってプーチンと対立する道を選んだが、オリガルヒの活動は違法なものだったことから逮捕されてしまう。

 日本では中曽根康弘、小泉純一郎、菅直人、野田佳彦、安倍晋三など新自由主義に基づく政策を推進する人物が総理大臣を務めてきた。ロシアほど劇的な形ではないが、オリガルヒは生まれつつある。そうした集団の不正をマスコミは暴こうとしないが、蟻の穴から堤も崩れるということはある。






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最終更新日  2019.01.24 00:00:20


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