そゆぶろ

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2022.06.18
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カテゴリ: オーディオ
iFi Audio GO barを購入したのでレビューしてみます。
iFiとしては初となる、バッテリーレスのUSB-DAC/Ampドングルです。



iFi Audioを簡単に紹介すると、イギリスのオーディオ機器ブランドであり、これまでにもUSB-DACアンプにバッテリーを内蔵したモデルを多く展開してきました。

私もこれまでに、hip-dac、ZEN DAC v2、iPowerⅡ、nano iDSD BL、iEMatchなどなど購入していて(概ねこのブログでレビュー済み)、かなりハマってしまっているブランドです。



今回のGO barはバッテリーレス且つバスパワー駆動(これは据置のZEN DACもそうです)のドングルタイプで、他社製ではもっと手頃な価格の製品が多いタイプ。しかしそこはiFi、かなり造りこんだ自信があるのか価格は高め。当時のZEN DAC + CANのセット並みです。


 外観





形は確かにスティック状ですが、機器の分類としてはドングルだと思うのは私だけでしょうか?





入力はUSB-C、出力は3.5mm(S-Balanced)と4.4mmバランスの2系統。側面にはボリュームやフィルタ変更に使うボタンが配置されていて、iEMatchもここに搭載。単品で販売されているiEMatchを追加しなくて済むのでスッキリ使えます。



底面には動作状況を知らせるLEDが配置されていますが、全体的に文字は読みにくいですね。nano iDSD BLの底面なんかもこうでした。側面のプリントから察するに、ハイレゾシールの貼られた面は底面で、こちらが上面になるようです。


この周囲のエッジだけ研磨された鏡面になっていて、スクウェア状に光が反射します。

 スペック(要約)

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

対応するフォーマットは同社製のDACアンプと遜色なく、PCM、DSD、DXD、MQAフルデコ―ドに対応しています。しかし¥10万前後のiFi製品よりは劣る程度。
DACチップはBurr-BrownではなくCirrus Logic製を採用しており、GO bluと同じですね。しかしモデルNo.をGO barでは開示していないのが謎。GO bluとは違うのでしょうか?

個人的に評価したいのが、4種類のデジタルフィルタとXBass+、XSpaceといったエフェクトをスタンドアロンで選択可能な点です(パワーは端末依存ですけど)。ZEN DACやhip-dacといったエントリーモデルでは限定的な選択肢が用意されているにとどまる(その上ファームウェア書き換えによる排他利用)のに対し、GO barではファームウェアの書き換えも必要ありません。

フィルタ(色は切替時のLED色です)
​​​​​​​ ● Bit-perfect ​​ ​​
​​ ● Standard ​​
​​​​ ● Minimum phase  ​​ ​​
​​​​​​​​​​ ● Gibbs Transient-Optimised ​ ​​ ​​ ​​

エフェクト
・XBass+
・XSpace​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​


 音質(個人の感想です)

付属のUSB-C to LightningケーブルでiOS端末とGO barを接続、3.5mm端子に1DDイヤホン(16Ω/kHz、100dB/mW)を繋いで、Apple musicからハイレゾ曲を中心に聴いてみました。
フィルタはStandard、iEMatchやXBass+、XSpaceはオフに。これがGO barの、というかiFi Audioのデフォルトだと思っているので。

ファームウェアは開封時点でVer1.48でしたが、グローバルサイトでVer1.70がリリースされていたので聴く前に書き換えています(いろいろ最適化されているようなので)。
2024年5月現在、ファームウェアの最新版はVer 2.50です。



バスパワーのドングルタイプでこの価格・・・期待半分、覚悟半分でしたが、しっかりとiFi Audioの音になっていると思います。nano iDSD BLの音に厚みを持たせ、音色をほんの少しだけウォームに寄せたような感じで、解像感があり、音場と音の粒の大きさを上手くバランスさせた印象です。
やや高音でシャリつく感があるものの、ZEN DACにも似た聴きやすい出音だと思います。低音はやや緩さを感じなくもないのですが、気になるほどではありません。

適正音量はiPad側のインジケータ上で30%ほどで、余裕がありそう(ボリュームシンクロを有効にした場合)。
ギャングエラーは皆無で、この点はこれまでに名前を挙げた製品より明らかに優れていると思います。

一方でサイズなりだと感じる部分も。
音場は左右だけでなく前方にもある程度広がるものの、それ自体は広くなく、音と音の間に余裕はさほど感じられず、分離感は特に多音なパートでは乏しいと感じました。ポータブル環境では騒音もありますからむしろこれで良いのかもしれませんが、自宅でPCやタブレットに繋いでじっくり聴くとこの辺にもう少し余裕がほしくなるかもしれません。

更に高感度なIEM(17Ω/kHz、107dB/mW)に変えてみると、ノイズフロアが高いのか演奏と歌唱前後の短い静寂で定在ノイズを感じます。静かな環境では音楽ファイルそれ自体の再生/終了を感じられる場合もあり、アンプがボトルネックかもしれませんね。この点は同じポータブルでもnano iDSD BLやhip-dacの方が聴感上優れていると思います。
4.4mmバランスは手持ちに適当なイヤホンがなく試せていませんが、スペックを見る限り悪くなさそう。

iEMatchを搭載したのは、この辺の特性も見越しての判断だと思います。しかしせっかく端末から吸い出したバスパワーですから、できることならiEMatchで抑え込む必要のないイヤホン/ヘッドホンを組み合わせたいところです。



 機能や細かなことなど

​GO barはiEMatchのスライドスイッチの他、3つのボタンを駆使していろいろなアレンジが可能で、音を各々の好みに寄せることができます。


ホスト側の機器(スマホとか) がGO barをうまく認識しない場合は、まず機器の電源ON・スリープ解除をしてから接続してみてください。電源や接続は上流から順番に進めていくのが基本です。

音量の+ / - ボタン
は音量のほかにデジタルフィルタの選択や、同時押し(2秒以上)でターボモードの切替(ゲイン切替)も担当します。

●ボタン は短く押すとXBass+ / XSpaceの組み合わせを切替でき、2秒以上押すと階層がデジタルフィルタの切替モードに移ります。
8秒くらい押すとボリュームシンクロのオン/オフが切り替わり、音量調整が接続した端末からも可能になります ※いきなりの大音量などを避けるため、再生前には音量を最低にしておくのが無難です

XBass+ は切替前後の違いがあまりはっきりしませんが、出音バランスを崩さず低域の底を補完するような効き方です。

XSpace は比較的分かりやすい効き方で、音場の前方空間を奥へと延長するように感じられる反面、音の厚みは若干薄まるような印象があります。どちらも音源やイヤホン/ヘッドホンに合わせて使う味変的な機能でしょうか。

4つのデジタルフィルタ は自分には差が分かりにくく、Standardを基本として時折切り替えてみるという模索の仕方をした結果、私的には下のように感じられます。

〈娯楽的〉
 ・ ​​​ ● Minimum phase 
 ・
​​ ​​ ​ ​● Standard ​​​
 ・ー
 ・
​​​ ​ ● Gibbs Transient-Optimised ​
 ・ー
 ・
​​ ​​​​ ​ ● Bit-perfect ​​ ​​
〈解析的〉

お気に入りの曲ごとに最適なフィルタを探してみるのもいいでしょうし、最大公約数的なフィルタを見つけたらそれだけで聴くのもいいでしょう。どのアプローチが良いかではなく、どちらも選べるのが良いところです。

音量 は基本的にGO barのボタンで調整。シンクロ機能が無効な状態ではiOS端末側での音量調整はできませんが、WindowsPCで起動したiTunesからは音量が調整できました。この辺の挙動は今後のアップデートでよりユーザーフレンドリーになってくれることを期待します。

付属品
2種類のケーブルとUSB-C to Aアダプタ、レザーケースが付属。レザーケースは形状はともかく、端処理や銀面裏の仕上げなど、なかなかこだわっています。

そしてこのUSB-C to Lightningケーブル。これは単品販売してもいいのでは?と思いますが、今のところないようですね。



​そしてこのGO bar、iFi Audio設立10周年を記念した限定版である、GOld barという世界限定1000台のモデルもあります(私の資金力では、そっ閉じです)。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

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2024年にはGOld barの仕様を彷彿とさせる、GO bar Kensei(剣聖)なる上級グレードが発売。こちらは限定モデルではないようですが、価格はまさにプレミアム感のあるものになっています。ビクターの誇るK2HD(圧縮音源をアップサンプリング&波形補完)を搭載しているほか、基本的なTHD+Nなどの向上も図られているようです。



USB入力のみのGO barはGOシリーズの第2弾ですが、ワイヤレスをメインとするGO bluの約3万円という価格帯から一気にxDSD Gryphonの下(ZEN Signature系の価格帯)につけてきたことで、iFi製品の中で価格と音質のヒエラルキーを分かりにくくさせていると思います(Kenseiはまた別)。

私的には、音質的にはhip-dacなどのエントリー機のゾーン(+α)にあると感じていて、それに付加価値(iEMatch、フィルタ4種、エフェクト2種、ボリュームシンクロ、品質良さそうなUSBケーブルなどの付属品)を加えた価格なのだと受け止めています。
特にGOシリーズは筐体サイズからくる音質面での制約を補うためか、フィルタ・エフェクト切替の点で自由度の高さが目立ちます。この点はガジェット的な面白みがあると言えるでしょう。

バスパワーながらパワフルな印象のGO barは、スマホよりもタブレットやノートPCに接続して、バッテリーの減りをあまり気にせず使うようなシーンが思い浮かびますが、しっかりiPhoneでも使えますし( ※6S以前のモデルは注意書きあり )、バスパワーのドングルタイプ(スティックタイプ)という枠でiFi Audioの音を求めるのであればコレでしょう!








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Last updated  2024.05.05 01:52:38
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